バトルオブフラワーズ⑧〜闇よりも黒き縁切り場
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バトルオブフラワーズ――ペイントステージ。その戦場の状況を確認して、ジョー・パブリック(名も無き断章・f17003)は小さくため息をこぼした。
「どうやら、このステージでは『ヌリツブシバトル』という特殊戦闘ルールが適用されるらしい」
戦場ステージは、キマイラフューチャーの街並みを模して作成されている。今回の戦場も、キマイラフューチャーの繁華街を模したステージだという。
「問題は、このステージが壁や床は『闇のような黒色』に塗り固められて、そこではユーベルコードはオブリビオンに直接ダメージを与える事が出来ず、一方的に攻撃を受けてしまうということだ」
このままでは戦闘に、なるはずがない。しかし、きちんと対応策も用意されているのだ。
「その代わり、ユーベルコード或いは直接武器で床や壁を攻撃すると、ピンク、青、緑、紫など使用者の任意の色で、周囲を塗りつぶす事が出来るらしい」
一定以上の範囲を塗りつぶす事に成功すると、一度だけ、本来のユーベルコードでオブリビオンを攻撃する事が可能になる。また、この時により広範囲を一気に塗りつぶすスーパー塗りつぶし攻撃を選択する事が出来る。
「戦場の三分の二を塗り潰す事に成功すれば、本来のユーベルコードの攻撃を無制限に行えるようになる。ただ、そう簡単には行かないだろうがな」
待ち受けているオブリビオンも、そのルールは把握しているのだ。放置せず、塗り潰そうとするこちらを攻撃してくるだろう。そうなると、かなり厄介だ。
「一定範囲を塗りつぶしてオブリビオンに攻撃を繰り返すか、或いは、三分のニを塗り潰して一気に決着をつけるか――そこは、みんなの選択次第だろう。ま、個々で考えて行動してくれ」
ジョーはそこまで言い切ると、次の資料に目を通す。
「敵はキリというどんな縁でも一刀両断する縁切りの神様、という設定の拗らせ系怪人だ。ステージの特性をいい縁切り場所だと思ってズバズバ攻撃してくる……何とかに刃物というところか」
ジョーは肩をすくめ、改めてみんなを見回した。
「とにかく、ただ戦えばいいという戦場ではない。みんなの創意工夫に期待する」
波多野志郎
ヌリツブシバトルを楽しみましょうよ、どうも波多野志郎です。
今回は、バトルオブフラワーズのペイントステージで戦っていただきます。
個々で動くも良し、仲良しさんと参加して作戦を合わせるのも良し。みなさん、楽しんでヌリツブシバトルを堪能してください。
それでは、レッツペイント!!
第1章 ボス戦
『キリ』
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POW : 縁切断(物理)
【手刀】が命中した対象を切断する。
SPD : 縁消去(物理)
【何らかプラス】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【狛犬のような自動砲台】から、高命中力の【その感情を抱いた時の記憶を消す光線】を飛ばす。
WIZ : ただの八つ当たり
【なんかムカついた】から【強烈なビンタ】を放ち、【あまりの理不尽さからくる動揺】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:華月拓
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠カスミ・アナスタシア」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鈴木・志乃
今、私、モーレツに腹立ってんの
邪魔しないでくれます???
小型スピーカー(黒色。最大音量)大量に持ち込みます
飛びながらばら蒔きます
バレないように
必死こいて逃げてる様を装います
【シャウト(歌唱)の衝撃波】で意識を【誘惑】し続けます
やけになったように鎖で【なぎ払い】攻撃
なんだこいつうぜえ、と思わせられたら勝ち
もしくはなんだこいつ弱い
と思って引き寄せられれば勝ち
塩梅は【第六感】で見極めましょう
なんか落ちてる?
私の黒飴ー!!(大嘘)
全ルートあらかた飛んだらスピーカーに繋げる手元のスイッチオンして
UCで全方位一斉に攻撃します
霄・花雫
ふぅん、つまり塗れば良いの?
えっと、じゃあやっぱ姫ねぇさまの出番かなあ。
広範囲塗り潰せたら他のみんなへの援護にもなりそうだし。
水の姫ねぇさまを喚び出して、大津波で一気に塗っちゃおう。
姫ねぇさま、塗り絵しよー!
塗れるかなーどうかなー。
少なくとも、多少防がれたとしてもユーベルコードが当たったトコが塗れるんなら、広範囲攻撃のがきっと良いよね。【パフォーマンス、全力魔法】
一回で足りないんなら何度だって塗り潰しちゃうんだから!
自分への攻撃は【空中戦、見切り、野生の勘、第六感】で避けて、姫ねぇさまの攻撃で塗り潰せなかった場所をレガリアスシューズで踏んで歩くよー。
イリーツァ・ウーツェ
【POW】
防御中心、広範囲への攻撃(塗りつぶし)を目的として行動
UCを使用し、衝撃属性の拡散型ブレスを行い、地面や建造物を塗りつぶす。
(全力魔法+属性攻撃)
色は……緑でいいか。
衝撃属性を選んだのは、炎などの属性より広がりやすいからだ。
敵が襲ってきた時にも、ブレスを当てて吹き飛ばしつつ広範囲を塗る。
(全力攻撃)
貴様の相手をしている暇はない。他の猟兵に遊んで貰え。
(恐怖を与える)
しつこく向かってきた場合は、手刀をする腕の二の腕や肩を杖で打つ。
(見切り+怪力)
そこならば切断効果はなかろう?
太刀緒・朔
縁切りさんとか親近感あるなぁ。
まぁ、敵だから倒すけどね!縁の切りっ放しは駄目ですよ?
基本は大太刀と鎮め火で敵の攻撃の妨害とペイントするのを中心に行動
塗りつぶす色とか三分の二まで塗りつぶすかは他の参加者さんに合わせます
鎮め火は塗り潰せる数まで出す
24個で塗りつぶせるなら24個、集中したほうが良いなら10個くらいで
あ、キリさんとフィールドとか、必要なものだけ燃やします
キリさんの攻撃は第六感で避けれたら避けるし、無理そうなら大太刀で受けてからのカウンター
只やられる訳にはいかないもんね
失せ物探しするみたいにペイントできそうな場所を見つけて、掃除の要領で効率よく塗りつぶせたら幸い
アドリブ・共闘歓迎です
アテナ・アイリス
【ディバイン・フェザー】をつかい、空に舞い上がり、空中から、「セレーネの白弓」を使って上から攻撃する。【2回攻撃】で矢を数多く無差別に降り注ぎ、床や壁を攻撃することにより、青色に変化させる。
広範囲を一気に塗りつぶすスーパー塗りつぶし攻撃を行うことにより、なるべく早く戦場の三分の二を塗り潰す事を目標とする。
「上からなら、狙いたい放題ね」
「手数で勝負よ。」
「ここは下からは見えないから気づかないはず。このちょっとの差で勝負は決まるのよね」
「これで全力で戦えるはずよ。任せたわよ。」
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です。
●漆黒の街
バトルオブフラワーズ――ペイントステージ。そこに再現されたのは、キマイラフューチャーの繁華街だ。サイズは一分の一、住民がいない以外はただ一つを覗いて完璧だ。
そう、色――光を反射しない漆黒の街、正確に再現するつもりが一切ない彩色がそこにはあった。
「……来たね」
ボソリ、と一際高いビルの屋上、その縁に腰掛けていたキリが呟く。人の気配は、彼女にはよく伝わる――だからこそ、キリはベンチから立ち上がるような気楽さでその身を虚空へ投げ出した。
「ボクが、キミたちの縁を断ち切ってあげるよ――」
無色透明の風を身に受け、キリは着地。一気に気配へ向けて走り出した。
「動き出しましたね」
「そのようだ」
鈴木・志乃(ブラック・f12101)の言葉に、イリーツァ・ウーツェ(盾の竜・f14324)が肯定する。相手が動き出そうと、このステージでは自分達がなすべき事をするしかない――こちらの攻撃は通らず向こうの攻撃は強化される、そういうルールだからだ。
「始めましょう」
アテナ・アイリス(才色兼備な勇者見届け人・f16989)がディバイン・フェザーの聖なる青白き光を身にまとい、宙へと浮かび上がる。それにうなずいて、猟兵達はそれぞれの行動を開始した。
●黒へと挑む、そのために――
道路を、建物の壁を、蹴って加速を得ながらキリが迫ってくる。それを見て、太刀緒・朔(斬り結びの新月・f08368)は呟いた。
「縁切りさんとか親近感あるなぁ」
大太刀を流れるような動作で引き抜き、朔はキリを迎え撃つ。
「まぁ、敵だから倒すけどね! 縁の切りっ放しは駄目ですよ?」
「うるさい、ボクの勝手」
キリは言い捨て、横一閃の手刀を放つ。朔はそれを第六感で反応、紙一重でかわし――後方で轟音を聞いた。
「おおー……」
思わず感嘆の声が漏れたのは、キリの手刀が街に刻んだ切り傷だ。広範囲かつ、深い。しかし、その傷も深い闇色に飲まれていく――なるほど、この威力といい確かに厄介なステージだ。
だが、対処法はわかっている。だから、朔は大太刀を構えながら後方へ跳んだ。
「炎を断つ故、焔を制す」
ボボボボボボボボボボォッ! と朔は己の周囲に月影の鎮め火(ツキカゲノシズメビ)を点す。そして、静かな色の炎は朔の意志に従って周囲に拡散。壁や床に着弾すると、赤い点となった。
その色の変化を泳ぐように空を移動しながら見て、霄・花雫(霄を凌ぐ花・f00523)は呟く。
「ふぅん、つまり塗れば良いの? えっと、じゃあやっぱ姫ねぇさまの出番かなあ。広範囲塗り潰せたら他のみんなへの援護にもなりそうだし」
精霊杖を手に、花雫は雑居ビルの上へと飛ぶ。そして、精霊杖を頭上に掲げて告げた。
「姫ねぇさま、塗り絵しよー!」
花雫の呼びかけに応え、水の精霊――水の姫ねぇさまが、姿を現す。花雫の意図を悟った水の姫ねぇさまが両手を広げると、ドォ!! と大津波が雑居ビルを一気に水色に塗り潰した。
「きれー! もっと塗っちゃおうよ、姫ねぇさま!」
パシャン、と水色の上に降り立ち、花雫は足首の鰭のような薄翅を筆代わりに建物の壁に線を描いていく――その後を追うように、水の姫ねぇさまが津波を遡らせていった。
「色は……緑でいいか」
それとは逆方向から、イリーツァは攻めて行く。大きく息を吸い込むと、ドン! と口から衝撃波を撒き散らし、建物や地面を深く落ち着いた緑色に変えていった。
「――生意気」
キリは、それを見て猟兵達の作戦を悟る。一気に三分のニまで塗り潰そう、そういう策だ。ならば、させない――キリがそう動こうとした時、視界の隅に飛ぶ志乃の姿が映った。
「何、やってるの」
彼女がただ飛んでいるだけなのが怪しい、そう気付いたキリがそちらへ向かう。志乃は構わず、速度を上げて逃げ惑った。
キリは、そこで何かを志乃がばら撒いている事に気付いた。
「……何、それ」
「なんか落ちてる? 私の黒飴ー!!」
そう叫びながら、志乃は苦し紛れに光の鎖を薙ぎ払う。それが壁や地面に当たらないよう、キリは強烈なビンタで弾いた。
志乃が逃げ、キリが追う――それを上空から見ながら、アテナは呟いた。
「ここは下からは見えないから気づかないはず。このちょっとの差で勝負は決まるのよね」
アテナは、裏通りをセレーネの白弓で射ていく。月光の矢が突き刺さるたびに、鮮やかな晴天のような青が広がる――キリから離れて、手数で稼ぐ作戦だ。
「上からなら、狙いたい放題ね」
アテナはそうこぼし、次の裏路地へと。着実に漆黒を塗り潰していった。
●鮮やかな色の街
どれだけ、この戦いが続いただろう。ヌリツブシバトルとはよく言ったもので、この特殊ルール化では、いかに色に染めていくかがかかっていた。
「……何のつもり?」
「何がです?」
キリの訝しげな問いに、とぼけて志乃は答える。誤魔化した、とも言えるだろう。
(「……こいつは見逃しちゃ駄目なヤツだ、ボクの第六感がそう言ってる」)
キリの予感が、志乃を無視できなかった。言語化できない、その勘にキリは賭けたのだ。ここで落とさなければ、何か致命的な結果を招く、と。
そのキリの予感は、正しい。そして、それを隠し通した――志乃の、勝利だ。
ふう、と志乃が息を吸う。まずい、とキリは一気に速度を上げ、手刀を振りかぶる。殺す、殺さなければ『何か』が起きる――!
『今日もげんきにいっくぞおおおおおおおおおおおおあああああああああああああああ!!!!!』
繁華街に鳴り響く、魂の叫び(タマシイノサケビ)――志乃のマイクで拡声されたソウルフルなシャウトが、一気に街を明るいオレンジ色に染めていく!
志乃がこぼしていたのは、もちろん黒飴などではない。最大音量に設定していた、大量の小型スピーカーだ。街中にバラ撒かれたスピーカーからのシャウト、その衝撃が街を至る場所を塗り潰したのだ。
まだ、残っているはず――キリがそう冷静に判斷した瞬間、それを裏切る結果が現われた。その瞬間に、街の三分のニがヌリツブシ終わったのだ。
「これで全力で戦えるはずよ。任せたわよ」
志乃がキリを引き寄せていたからこそ、その影に隠れていたアテナがノーマークだったのだ。視界の死角、裏通りは青色に染め上げられていたのだ。
「この……!!」
キリは歯ぎしりし、地面を蹴る。これでただ、有利が消えただけ――不利ではない、そのはずだ。
しかし、もはや完全に逆転していたのだ。ここまでの絵を、猟兵達は事前に描いていたのだから!
「――ッ!?」
「そこならば切断効果はなかろう?」
キリが手刀を放とうとした瞬間、イリーツァの魔杖“竜宮”が彼女の二の腕を打った。振り抜けず動きが止まったそこへ、アテナの牽制の矢が降り注ぐ!
「今よ!」
「クッ――!」
キリが後退する、その背へ志乃の光の鎖が放たれた。ドォ! と背中を強打され、キリがたまらず地面を転がる。
「今、私、モーレツに腹立ってんの。邪魔しないでくれます???」
「こ、の……!」
咳き込みながら立ち上がるキリへ、イリーツァの竜霊開基・叫哮波(リュウレイカイキ・キョウコウハ)が叩き込まれた。ドン! と衝撃波がキリを吹き飛ばし、一度、二度、三度と地面をバウンドさせる。キリは手刀をアスファルトに突き立て、急停止――だが、その上を花雫が取っている!
「姫ねぇさま!」
花雫の期待に応えるように、滝のような瀑布がキリを押し潰した。諦めずなおも立ち上がろうとしたキリへ――朔が迫った。
「――さようなら」
「切るのは、ボクの専売特許――!」
別れの挨拶と共に、朔は振りかぶった大太刀を横一文字に薙ぎ払う! 最後まで言わせない、朔の斬撃がキリを完全に両断した……。
こうして、このエリアのヌリツブシバトルが猟兵側の勝利で幕を閉じる。しかし、これもバトルオブフラワーズという世界の命運を懸けた戦いの一つに過ぎない。
それでも、勝利は勝利。一つ一つの積み重ねの先にしか勝利はない事を、猟兵達は皆理解していた……。
大成功
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