バトルオブフラワーズ⑧〜幸せ色に染め上げて
●何もない世界は幸福なのか
くるくる、くるり。
きらきら、きらり。
回るよ、回る。
この世には、幸せだけがあればいいの。
この真っ黒な世界に、私一人。
ただただ、踊り続けるの。
みんなの、みんなの、幸せの為に。
●ヌリツブシバトル
「やぁやぁどうだ、戦は順調かい?」
ゴッさんことゴ・ディーヴァ(神のヴィジランテ・f16476)は猟兵達に向けて笑顔を見せながら手を振った。
「君達に向かって貰いたい戦場があるんだが、一つ頼まれてくれないかな?」
そう言ってゴッさんは背景に映像を映す。しかしその映像に映し出されたものは、黒、黒、黒。
故障か? と不思議がる猟兵達。
「いや、バグではない。これが俺の予知した戦場、『ザ・ペイントステージ』だ」
よく見てみれば、うっすらと見えるのはキマイラフューチャーの街並みを模した街。どういう事か、真っ暗な理由は光がないからではないようだ。
「この場所は灯りがないのではない。全てが闇の如く真っ黒に染められているのだ。勿論、その原因はオブリビオンによるものだよ」
オブリビオンによって塗り固められた空間では、猟兵のユーベルコードは無効化されてしまう。足を踏み入れてしまえば一方的に攻撃をされてしまう恐ろしい場所だ。
では、どう太刀打ちすればいいのか。
「この戦場、どうやら床や壁を武器やユーベルコードで叩いたりすると色が変わるらしい。その色を一定以上の範囲まで広げれば、『一度だけ』本来のユーベルコードで敵に攻撃が与えられるようになるみたいだ」
黒色を塗り潰し、自分達の色で染め上げていけばいずれ攻撃のチャンスが訪れるという事だ。
勿論、攻撃のチャンスを戦闘に使うのではなく、更に広範囲を塗り潰す『スーパー塗りつぶし攻撃』を行っても良いだろう。そうすれば他の猟兵達の攻撃するチャンスが作りやすくなるというものだ。
「敵は一体。一撃を狙って攻撃するのも良いし、味方を支援する為に塗りに徹するのも有りだ。皆で役割分担するなりして、協力してくれ」
塗りに徹すれば、徐々にこちら側も有利になっていく。街の3分の2以上が猟兵達の色に染まった場合、一度きりであったユーベルコードが無制限に使えるようになるのだ。塗る行為に損はないという事だ。
「敵は変わった奴だ。真っ暗闇の中、オルゴールを鳴らしながら一人くるりくるりと踊り続けている。君達の持つ『幸せな思い出』を武器にする厄介な技を持っているから、気を付ける事だね」
何もない世界を、君達色に染め上げてやれ。
ゴッさんはそう言うと、グリモアを輝かせ猟兵達を戦場へと送った。
ののん
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「バトルオブフラワーズ」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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お世話になります、ののんです。
●状況
キマイラフューチャーが舞台となります。
特殊な戦闘ルールとなっておりますのでご注意下さい。
●色について
床や壁を攻撃すると任意の色に塗り潰す事が出来ます。
色はご自由に指定して下さい。
●敵の攻撃について
キャラさんの持つ『楽しい思い出』や『楽しかった思い出』、『幸せな事』、『貰って嬉しいプレゼント』等をプレイングにお書き頂くと、敵がそれに沿った攻撃を行います。
書かれていない場合、見知らぬ誰かの思い出を攻撃として使用してきます。
●プレイングについて
お気軽に、ご自由にお書き下さい。どの章からでも参加歓迎致します。
キャラ口調ですとリプレイに反映しやすいです。
お友達とご一緒する方はIDを含めた名前の記載、または【(グループ名)】をお願い致します。
同時に投稿して頂けると大変助かります。
申し訳ありませんがユーベルコードは基本的に【選択したもののみ】描写致します。
●リプレイについて
アドリブ等を入れる事が多いので、苦手な方はその旨をお伝え下さい。
以上、皆様のご参加お待ちしております。
第1章 ボス戦
『ギヴ』
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POW : あそんであげる
小さな【メリーゴーランド】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【遊園地】で、いつでも外に出られる。
SPD : しあわせになあれ
いま戦っている対象に有効な【すてきなプレゼント】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : ……わすれちゃったの?
自身が戦闘で瀕死になると【楽しかった思い出】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠コルチェ・ウーパニャン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
きらきら、きらり。
鳴り続けるオルゴールの音は、とても寂しそうで。
真っ暗闇の世界に、ぽつりと一人ぼっち。
だけど大丈夫。
ここにはみんなの思い出がたくさんあるのだから。
さぁおいで、ここでずっとずっと、思い出に浸りましょう。
きらきら、きらり。
黒天・夜久
アドリブ歓迎!
わぁ、真っ黒ですね。自分、顔だけ浮いた生首みたいに見えてないといいのですが。
そんな独り言を呟きながら、宇宙バイク・アトラタスを走らせつつ人形に蒸気ガトリング・ミーティアを撃たせて塗り替えていきます。
ついでにユーベルコードを発動し、全弾塗ることに集中させます。敵の位置とかは気にせずにばら撒くことに集中するつもりなので、もしかしたらちょっとくらい流れ弾が飛んでいくかもしれませんね?
過去の記憶がさっぱり無い身空なもので、オブリビオンが使ってくる思い出での攻撃も、結構他人事でスルーすると思います。
見渡す限りの暗闇世界。
このまま何も考えずに探索すれば、永久に迷子になってしまいそうだ。
しかしその心配はない。暗闇世界を陣取るオブリビオン、ギヴの身体は真っ白。オルゴールの音を鳴らしながら舞う姿は、この世界にとっては目立ち過ぎたのだ。
オブリビオンの方が目立ち、猟兵側が逆に目立たない。そんな事もこの世界では当たり前に起こりうる。そう、黒天・夜久(ふらり漂う黒海月・f16951)のように、黒い身体を持つ者であれば尚更だ。
「わぁ、真っ黒ですね。自分、顔だけ浮いた生首みたいに見えてないといいのですが」
唯一真白な顔で辺りを見回し。まるでお化けになった気分だと感じたのも一瞬のうち。ギヴを目の前にすれば、宇宙バイクであるアトラタスにまたがり、エンジンを吹かす。
「では、宜しくお願いしますね」
夜久の後ろに乗る喪服姿の女性、いや、からくり人形ブラックウィドウは無言のままドレスを翻す。その下からがちゃりと取り出されたのは蒸気ガトリングガン、ミーティア。
ギヴから距離を取り、大きく回り込むように宇宙バイクを走らせると、ブラックウィドウはガトリングガンを容赦なく撃ち込む。標的はギヴではなく、この真っ暗な世界。
地面を、ビルを、標識を、看板を。次々と攻撃をしていくに連れ、そこから花が咲いたかのように色が付いていく。
夜久も炎を纏った弓矢を周囲に向かって放った。すると、放たれた弓矢をブラックウィドウがすかさず狙って撃つ。
パァン。弾丸は全弾命中。花火の様に四散した炎はより広範囲に渡って世界を塗り替えていく。
――やめて、お願い。
そう訴えるかのように、きらりきらりとオルゴールが大きく鳴り響いた。火の粉を浴びたギヴは回りながら幻想を召喚した。
楽しそうな子供の声が、大人の声が、優しい思い出へ誘おうと夜久の跡を追い掛けて来る。
『楽しいよ、楽しいよ。おいで、おいで』
しかしそんな声が耳に入ろうとも、夜久の表情が変わる事はない。彼には過去の記憶などなく、それにすら興味を持っていない。故に、楽しかった思い出など持っていないのだ。
「……それは他人の思い出ですから。自分には関係ありませんよ」
彼は宇宙バイクのスピードを更に上げていき、ギヴの幻想を大きく振り払う。
その無心のまま、夜久とブラックウィドウは黒い世界をひたすら塗り替えていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
エリエ・ルーミエンス
今日も主サマの生きた世界を守るため、オブリビオン退治頑張ります♪
今回は街の色塗りが必要なんですね
んぅ……ただ矢を放つだけでは効率が悪いですね
矢の先に爆弾でも括り付けて、爆風を活かして一気に塗りましょうか
嫌がらせにオブリビオンも爆風に巻き込みたいですね?
塗り潰す色は薄桃
私の可憐な瞳の色です
幸せな思い出を武器に――ということは、
主サマと言葉を交わしあった、あの甘い一時の思い出が使われるのでしょうか
ま、好きにやらせておきます
偽りの光景なぞに惑わされたりしません
私のココロの中の主サマのほうが、解像度、いいですから
UCが使用可能になったら【千里眼射ち】で一撃必殺です
※他PCとの絡み&アドリブ歓迎
主サマの生きたこの世界で、私も生まれた。
エリエ・ルーミエンス(誰かのためのヒロイン・f17991)は今日もこの世界を守る為にオブリビオン退治に勤しむ。
この黒い世界にとって彼女もまた目立つ存在であった。白い存在が二人。きらりきらりとオルゴールの音色を奏でながら踊るギヴに、少しだけむすっとしなくもない。
「こんな色よりも、もっと素敵な色がありますよ」
つんと澄ました顔。手に持ったクロスボウを構えると、高層ビルへ向けて一つ、また一つと発射していく。
弓矢の先端には爆弾。高層ビルの壁に当たった瞬間、大きな爆発音が世界に響き渡った。散る窓ガラスとビルの破片、そして華やかな薄桃色。それはまるで光る桜の花びらのようで。
季節外れの花見色。エリエの瞳と同じ色に染まりつつある世界に、ギヴは少し残念そう。降り注ぐ薄桃色を浴びながらオルゴールの音色が寂しげに聴こえる。
――そんな貴方にプレゼントよ。
ふわり、ゆらり、エリエの目の前に現れる霧。その中からうっすらと見えてくる人影。思わずエリエは目を大きく開く。
「……主サマ」
忘れもしないその姿。思い出されるのは、互いに言葉を交わし合った、あの甘い一時。あぁ、確かに彼が一番のプレゼントなのかもしれない。
しかし、エリエはすぐさま目を閉じた。そして、静かに頷いた。
「……やはり所詮は偽り。私のココロの中の主サマの方が、解像度、いいですから」
誰か作ったものよりも、自分の目に焼き付いた主サマの方が比べ物にならない程良い。そんな確信を得た。
薄桃色に染まり切った地面に足を踏み込むと、再びクロスボウを構える。狙うは偽りの主サマと、その後ろに立つギヴ。
10秒間の集中など簡単な事だった。主サマはただただこちらを優しく見つめ、ギヴはただただ踊り続ける。
「勝手にどうぞ、とは思ったものの……中途半端な物真似程、ムカつく事はありませんね」
クロスボウから弓矢を射る事に、躊躇いなどなかった。エリエの千里眼射ちは偽りの主サマを貫き、そのままギヴの細い腕を射抜いた。
成功
🔵🔵🔴
ジロー・フォルスター
弟のような不知火イヅル(f02177)と共闘
【暗視】で見通し全てを白に
俺は周囲の地形を【情報収集】し【地形の利用】で効率よく叩く
銀の鞭に魔導銃、【属性攻撃】で発生させた水を【高速詠唱・全力魔法】でばらまき床に壁に衝撃を与える
「くく…手数は多い方なんでな!」
ギヴが寄ってきたら動きを【見切り・ロープワーク】で1度だけ使えるUC『思念の鎖』を使い拘束
「やっちまえ、イヅル」
イヅルを攻撃する思い出から【激痛耐性】でイヅルを【かばう】
【防具改造・オーラ防御】で耐える
思い出を銀の鞭の【ロープワーク】で拘束
「同じ顔か…イヅル、お前の手でやれるか?」
イヅルの過去は知らない
が、自力で越えなければ傷を残す気がしてな
不知火・イヅル
ボクは、ジロー・フォルスター(f02140)と行動するよ。
【迷彩】や【目立たない】で、ギヴの死角を移動しながら、確実に白く染めていこうかな。
見つかって邪魔されたりしたら、嫌だからね。
UCが使えるようになったら、ギヴを倒すために使うつもり。
でも、もしも、死んだ双子の弟『イツカ』に攻撃されたら、とっさには動けないかもしれない。
だって、イツカはボクを助けるために死んだから。イツカがボクを殺そうとするのなら、ボクは何もできない。
だけど、ジローに危害が及ぶなら倒すよ。どんなにつらくても、かなしくても、涙があふれても。
ボクが、やる。ボクの手で。
だって、ジローはなにも悪くないんだ。悪いのは、ボクだけだから。
徐々に黒色が少なくなっていく世界。それでもまだまだギヴの領域は広い。
ジロー・フォルスター(現実主義者の聖者・f02140)はサングラスの奥に潜む目を細める。暗視能力により暗い世界でもはっきりと輪郭が分かる。こちら側が動かない限りギヴ側も動かない事を知れば、落ち着いて周囲を見渡す。
「暗いとはいえ、既にある程度の色は塗られているな。イヅル、行けるか」
「うん、任せて」
そう笑顔で返すのは不知火・イヅル(電脳世界のキオクの守り手・f02177)。太陽の存在しないこの場所では肌を隠さずに済む。その事もあってか普段より元気そうだ。
イヅルは軽快な足取りでギヴの死角へ転がり込むと、既に塗られている白い背景に溶け込み、その続きを攻撃で塗り始める。
ジローも銀の鞭を構えると、地面に強く叩き付けた。その衝動により発生したのは真白な津波。津波は白色の跡を残しながら黒い世界を塗り替えていく。おまけに魔導銃による水属性の弾も雨のように降り注ぐ。
「くく……手数は多い方なんでな!」
ジローの塗り潰した場所が増えれば、イヅルの潜む領域も増えるというもの。津波と共に走る姿は、まるで海ではしゃいでいるかのようにも見えた。
「そろそろ攻撃、出来そうだね」
「待て、イヅル。まだ相手の動きが分からない」
止めようとしたが遅かった。白色の中からイヅルはギヴの背後に忍び寄り、ユーベルコードを仕掛けようとした。
が。
――どうして楽しそうなの?
きらり、きらり。白い雨に濡れたオルゴールが鳴る。それが耳に入ってきたと同時に、イヅルの笑顔は消え去った。
それはギヴが生み出した幻想。楽しかった思い出。そうである事は分かってはいるけれど。
「……イツカ」
イヅルの前に現れたのは、自分と同じ姿をした少年。懐かしいあの時と変わらない、そう、あの時のままだった。
双子の弟はゆっくりと近付いた。優しそうに、手を差し伸べながら。
しかしイヅルはその手を取る事はなかった。嬉しさなんてないのだ。寧ろ恐怖の方が大きいのだから。
あぁそんな、楽しかったあの時と同じ顔をしないで。その顔はもう、二度と見られないんだ。
イヅルの心が締め付けられる。それはオブリビオンによる攻撃ではないのだが、どうしても体を動かす事が出来ない。
「イツカは……ボクを助けるために死んだから……。ボクを殺そうとするのなら、ボクは……」
「イヅル!」
その声は知っている。『彼』の声だ。自分の視界がより一層暗くなる。しかし、温かい。
顔を見上げれば、そこに居たのは自分を庇うジローだった。
幻想は攻撃をする素振りは見せていない。本当にそっと近付いただけだった。故にジローの行動を目の当たりにした幻想は、何処か悲しげだった。
「じ、ジロー」
まだ動揺はしているが、彼の名を呼べたお陰で正気を取り戻していくイヅル。
「お前の過去の事を、俺は知らない。だがこれだけは言おう。『今を見ろ』」
今、この温もりをくれるのは、弟のように自分を見てくれる『彼』だ。
今、自分が応えなくてはいけない相手は『彼』だ。
「……イヅル、お前の手でやれるか?」
ジローの睨む視線はギヴを狙った。ギヴの周囲の空間が歪みそこから放たれたのは銀色の鎖。踊る手足を縛り付けると、ギヴの鳴らすオルゴールは不協和音を鳴らした。
悲しそうに揺らぐ幻影。もうすぐ消えそうなそれは、動きを封じる必要もなさそうだ。
「……ボクが、やる。ボクの手で」
イヅルの声は弱々しく、しかしはっきりとしていた。どれだけ辛くても、悲しくても、涙が溢れても、やらなければいけないのだから。
そんなイヅルに、ジローは肩を強く抱く。
「やっちまえ、イヅル」
イヅルと呼ばれた『少年』は決意を固めた。攻撃意思を向けた対象は、ギヴと幻想。
戦闘用の人工衛星が獲物を狙い、野太いレーザー光線を撃ち放つ。
レーザー光線が降り注ぐ直前の幻想の顔を、イヅルとジローははっきりと見届けた。
――楽しかった思い出は、時に悲しさを呼び出す事もあるんだね。
そんなオルゴールの音色は、人知れずかき消されていった。
大成功
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クラリス・ノワール
絡み連携、アドリブ歓迎
黒しか無い街とか見ると
暗い部屋で自分が消えてしまうんじゃ、って思った
子供の頃の事、思い出しちゃうのです
でも、前の戦争でちょこっと克服できたし
今はあの時よりもっと、綺麗なもの色々知ったから大丈夫!
可愛い服を着た敵から少し離れて
まずはUCで地面を緑に染めます
闇にも負けず芽吹く草木の緑、いつか見に行く景色!
そう思えばとっても素敵です!
黒に怯える気持ちをワクワクに変えて
UCの効果で戦う力も上がれば
敵にも色を命中させてやれるのです!
故郷から飛び出て、綺麗な光景を見た嬉しさ
そんな楽しい思い出が襲ってきても
これからもっと、新しい綺麗なものを見に行く為と思えば
きっと勝てると思うのですよ!
黒い世界に飲み込まれてしまいそう。ここへ送られて、足を踏み入れた時からそう感じていた。
クラリス・ノワール(ブラックタールの新米絵描き・f07934)の身体は真黒であった。思い出すのは子供の頃の記憶、あの暗い暗い部屋の事。
だけど、今は違う。あの頃の自分とは違う。何故なら、様々な綺麗なものを知ったから。
だから、この黒い世界も塗り替えてしまおう。今の自分にはその力があるのだから。
筆を手に取ると、彼女はまず自身の足元をくるりと塗った。
それはスタート地点。色は緑色。彼女の思い描く作品は決まった。
クラリスは足軽やかに走る。大きく筆を動かしながら、緑色を広げていく。
広がっていく緑色の地面。そう、それは草木の色。闇にも負けず芽吹く強き色。
いつか見に行くと決めた、あの素敵な景色! それをここで表現する!
そう思いながら描いていくと、自然と恐怖の心も薄れていった。今は楽しさと期待で溢れ返っている。
あぁなんて楽しいんだろう! そしていつか、この景色の本物も見てみたい!
クラリスのそんな思いは表情だけでなく体にも筆にも表現されていた。嘘偽りなく、心の赴くままに!
やがて彼女の描いた景色はギヴの周囲を囲んでいった。ギヴのいる場所だけがぽっかりと穴があるようにも見える。
――楽しそうね。
きらり、きらり。オルゴールの音色が聴こえた。黒色だったギヴの周囲が幻想によって風景が変わっていく。
クラリスの手足がぴたりと止まる。ギヴのいる場所に見覚えがあったからだ。いや、忘れるはずがない。
そう、あれは故郷から飛び出した時に見た、『あの場所』の風景だ。あの美しい風景を見た時の感動と嬉しさを忘れるはずがない。
思わず惹かれて足を踏み入れそうになるが、クラリスはすぐに思い出す。今、自分は草木を描いているのだと。
だから彼女は、『あの場所』にいるギヴに向けて、微笑んだ。
「……あの時の光景は忘れません! だからこれからももっと、新しい綺麗なものを見に行きますよ!」
彼女は言った。もっともっと、新しい思い出を作っていく、と。そう約束するよ、と。
高まる未来への希望を胸いっぱいに詰めながら、クラリスは筆を大きく振った。草原のように光る緑色が彼女に勇気と力を与え、ギヴの体と幻想を緑色に染めた。
――そう。貴方達は未来へ歩いていくのね。
――新しい、楽しい思い出を作っていくのね。
真っ暗だった世界は鮮やかな世界へ。
ギヴの動きは徐々に遅くなっていき、オルゴールの音色も徐々に遅くなっていく。
嗚呼、思い出を映し出すゼンマイはもうすぐ止まってしまうのだろう。しかし猟兵達は思い出に浸っている場合ではない。世界を守る為に進まなければいけないのだ。色鮮やかなこの世界で、新しい思い出を作る為に。
きらり。オルゴールは最後の音を鳴らし終え、ギヴの舞いは終幕した。その体は風に飛ばされた灰のように、さらさらと静かに消えていった。
成功
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