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もういくつねると

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●ぷれぜんと・ふぉーゆー
 普段から賑やかな世界キマイラフューチャーは、殊更華やかにライトアップされていた。
 あちらこちらから零れる笑顔は、聖夜を彩る幸せの形そのもの……だったのが。
「きゃああ何このべたべた!?えっ甘い、これクリーム!?」
「うわー建物が燃えてるぞー!消火だ消火ー!」
 逃げ惑うキマイラ達にまじって、ふかふかのボディを持ったケーキ姿の怪人達が騒いでいる。というか、泣いている。
「ピェエエ、クリスマスなんて大嫌いだ!」
「売れ残った俺達の恨みを思い知れ!」
 ぴぃぴぃ泣き喚きながら街で暴れるケーキ怪人達を、嬉しそうに物陰で眺める者が居た。
「ふふ、いいね!クリスマスに浮かれた間抜けな一般人達を、売れ残ったクリスマスケーキ達が襲う衝撃の光景!動画に撮って今すぐネットにアップしなきゃ!」
 ふわふわもふもふの体を揺らしながら、怪人『いいねリス』は、手にしたスマートフォンで一人撮影会を始めた。

●もういくつねると
「皆さん、メリークリスマスです」
 サンタクロースの帽子を被った、無表情の少女が猟兵達を迎えた。
「はじめまして、今回皆さんをお届けする役目を務めます、鎹・たからといいます。どうぞよろしくお願いします。――皆さん、メリークリスマスです」
 雪の結晶が浮かぶ黒曜石の角を持ったグリモア猟兵、鎹・たから(雪氣硝・f01148)はもう一度聖夜のお決まりの挨拶を真顔で口にする。
「……ですが、クリスマスはもうすぐ終わりを迎えます。そして新年がやってきます。今回皆さんにお願いしたいのは、キマイラフューチャーに現れた、とある怪人達をほろぼすことです」
 たからは帽子を脱ぐことなく、淡々と説明を始めた。
「今回ほろぼすべき悪は、売れ残ったクリスマスのケーキ怪人です。名前の通り、彼らの頭は本物のケーキで出来ており、クリスマスに売れ残ってしまったケーキが怪人になりました。その恨みを晴らす為に街で暴れています」
 なんだか哀れな怪人達をはっきり「滅ぼせ」と言いきるたから。
「彼らはそんなに強くはありません、皆さんの力ですぐに蹴散らしてください。なぜなら、真の悪は他にも潜んでいるからです」
 他人からのいいねがほしくて承認欲求が怪人化したもの、『いいねリス』がケーキ怪人達を操っているらしい。
「全ての悪をほろぼしたあと、キマイラフューチャーで新年を迎えるのはいかがでしょう」
 毎年新年になると、一時的に表れる全長1キロメートルの壁面ディスプレイ。
 そのディスプレイにアートを投稿すると、一番評価されたものだけがその一年間保存されるのだという。
「ダンスパフォーマンスなど体を使った表現、ゲームのタイムアタックやトランプタワー作成など技術を活かしたもの、文章や絵、曲の投稿も素敵でしょうね。……こども達が見てはいけないものはいけませんが」
 要するに、自分がアートとするものなら割となんでもありという訳だ。見る人間を規制するような物以外ならば。
「たからはテレポートの為に、この戦いに参加できません。どうかたからの代わりに、悪をほろぼしてきてください」
 雪と色硝子の瞳が瞬いて、猟兵達をじっと見つめた。


遅咲
 こんにちは、新人の遅咲です。
 オープニングをご覧頂きありがとうございます。

●成功条件
 全ての怪人達を倒し、新年の書初めグラフィティで街を彩る。

 全体的に楽しい雰囲気でわちゃわちゃ書きたいと思います。
 書初めはイベントシナリオ感覚でどうぞ。
 皆さんのプレイング楽しみにしています、よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『売れ残ったクリスマスのケーキ怪人』

POW   :    恨みのローソク
【ケーキの飾りのロウソク 】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤い】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    ふかふかボディ
自身の肉体を【スポンジケーキ 】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    生クリームブラスト
【両掌 】から【生クリーム】を放ち、【ベトベト感】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

襲祢・八咫
まあ、飽食の時代だからなあ。まして、好きなように好きなだけ食い物が手に入るキマイラフューチャーだ。そういうこともあるだろうさ。
キマイラ共も動物の姿はしていても人だ、その辺は人間寄りの思考なのかもしれんな。獣ならば、必要以上には食い物を作ることはなかろうよ。

……ふむ。食うか。

ちりぃんと鈴を鳴らしてひとつ目烏の群れを召喚。売り残ってしまったと我が身を嘆くなら、逸そのこと正しく食ってしまえと命令を。
食われたかったのだろ?
なら、胃の腑に収めて尚も悪さをすることはなかろうよ。
そういえば、けぇきは食ったことがなかったな。おれもひと口くらい食ってみたい。頭は本物のけぇきなら、おれが食っても問題ないのだろう?


彩瑠・姫桜
…売れ残ったクリスマスケーキ…ね…

私、ケーキ自分で作る事あるけど、あんな風に残っちゃったら悲しくなるわ
売れ残り、全部買って食べたら
敵があんなに泣く事もないのかしら

…って、別に、敵に可哀想だなんて思ってないんだからっ
敵なんだもの、感情移入は禁物
頑張らなくては、だわ

ケーキな敵に私のユーベルコードが通じるかはわからないけど、
敵の動きは常に観察して規則性や特性の有無を確かめてから
【咎力封じ】で少しでも敵の攻撃力を減らせるように動いてみるわ
特に【手枷】と【拘束ロープ】を放つ際には敵の動きが少しでも鈍くなった時を狙うわね

ごめんなさい、あなたに恨みはないけれど
売れ残ってしまった自分の運命を呪うことね…っ!


不知火・迅助
何だか可哀そうな奴だな、倒した後はオイラが食べてあげるぞ!

SPDを活かした素早い動きでケーキの攻撃を避けれればいいな!
技能『暗殺』とユーベルコード『シーブズ・ギャンビット』の
素早い一撃を背後からおみまいしてやるぜ!



「まあ、飽食の時代だからなあ。まして、好きなように好きなだけ食い物が手に入るキマイラフューチャーだ。そういうこともあるだろうさ」
 キマイラ達の悲鳴と、ケーキ怪人達の泣き声が響き渡る街中に踏み込む猟兵達。
 襲祢・八咫がゆるやかに残酷な時代の流れを口にすると、彩瑠・姫桜は暴れる悲壮な怪人達を見つめた。
 自分でケーキを作ることがあるけれど、あんな風に残ってしまえば悲しくなる。
「……売れ残り、全部買って食べたら。彼らもあんなに泣く事もないのかしら」
 そう呟いたのち、きょとんとした表情を浮かべる八咫の視線に気付き、はっとしてからぶんぶん首を振る。
「って、別に可哀想だなんて思ってないんだからっ」
 相手は怪人――オブリビオンだ。感情移入は禁物と、戦いへの決意を新たにする。
 街の惨状を眺めつつ狼耳を動かす獣人の不知火・迅助は、二人の話を聞いてから明るい声をあげた。
「何だか可哀そうな奴らだな。そうだ!倒した後は、オイラが食べてあげるぞ!」
「えっ」
「……ふむ、食うか」
「あっあなた達、あれを食べるの……?」
 ケーキとはいえオブリビオン。果たして味は問題ないのか、そもそも食べていいものなのか。そんな困惑を露わにする姫桜とマイペースな八咫、それに楽しげな迅助の姿を、ケーキ怪人達が目敏く見つけた。
「む、なんだ!?お前達も俺達を忘れてクリスマスを楽しんでるのか!?」
「ピェエ、クリスマスも、クリスマスに浮かれる奴らも大っ嫌いだァ!」
 泣きながら襲いかかるケーキ怪人達の攻撃を、迅助が軽やかな身のこなしで躱す。
 自分達の攻撃を躱す者が現れたことに驚きを隠せない怪人達へ、八咫がすっと手にした鈴を一振り。
 ちりぃんと澄んだ音が鳴った瞬間、ぶわりと広がる闇のような烏の群れが訪れた。彼らが売れ残った我が身を嘆くのならば、逸そ正しく食ってしまえと。
 命令を受けたひとつ目の烏達は一斉に怪人達へと飛び掛かると、その鋭い嘴で突っつきだす。
「い、いたた、痛い痛い!」
「やめてやめて、食べないでよぉ!ああっボクのイチゴ取らないで!」
「ん……食われたかったのだろ?」
 食べてもらえないことが悲しくて泣いていたケーキ達、今度は啄まれて泣いている。念願が叶ったはずなのに喜ばない姿を見て、八咫は不思議そうに小首を傾げる。
「むぅう、そっちがその気ならこうだ!」
 仲間の痛々しい姿に奮起した怪人の1体が気合を入れると、彼の肉体がふかふかのスポンジケーキに変身!みょーんと伸びた体が猟兵達に触れる矢先、その体はぴしりと動きを止める。
「ひぇっなんだこのロープ!?」
「掛かったわね」
 怪人のふかふかのスポンジを縛り上げるロープは姫桜が放ったもの。怪人達の動きをしっかり観察していた彼女が取り出す拘束具が、次々とケーキ達の攻撃力を落としていく。
「ごめんなさい、あなた達に恨みはないけれど!売れ残ってしまった自分の運命を呪うことね…っ!」
 姫桜は金色の髪を靡かせて、胸を痛めながらも猟兵としての仕事をきっちりこなす。でもやはり、彼らの泣き声がとても心に刺さるのだ。
「こ、こんなもの!すぐに外して……ビャアアッ!?」
「どうした!?何があったんアイタァー!」
 拘束具を外そうとまごついている怪人が、突然悲鳴をあげ次々にその場に倒れ込む。
 仲間の身に何が起きたかわからず、混乱する怪人達の背後に音もなく忍び寄るのは迅助。手にしたダガーで素早く強烈な一撃をお見舞いしては、暴れていた怪人達の数を確実に減らしてゆく。
「へへっよそ見ばっかしてるからだ!安心しな、オイラ達が食べてやるからさ!」
 烏につっつかれ、拘束されたところを痛めつけられるケーキ怪人達はボロボロだった。
「うっうっ……俺達はただ、普通に食べられたかっただけなのに……」
「ひどいよぅ……」
 めそめそと泣きながら力尽きるケーキ達に、迅助が満面の笑みでぐっと親指を立てる。
「泣くなよ、今から食べてやるんだ!」
「えっ」
「うむ、おれもけぇきは食ったことがない。本物のけぇきなのだから……ひと口くらい食べても、問題ないのだろう?」
「ひぇっ」
 同じく、とろんとした藍色の瞳でケーキ達を見つめる八咫。じりじり近寄る二人と、怯えた表情を隠さずガクガク震えるケーキ達。
「あなた達、本気だったのね……」
 そのあとケーキ怪人達がどうなったかは、口元を両手で隠し、その光景を見つめる姫桜しか知らない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リク・ユズリハ
ケーキさんがいっぱいだぁっ!
思わず瞳がきらきら
ハッと涎を拭いて
…ケーキさんたち、泣いてるの?
誰にも声をかけてもらえないと、かなしいけど…
でもでも、悪いことするのはだめめのめっ!だよっ
ケーキさんたちだって本当は、みんなに楽しくなってほしかったんだよね?

【ライオンライド】
らいおんさん、力を貸して!
もふっと乗ってあっちこっち移動しつつ
逃げ切れなかったひとがいたら助けるよっ
クリーム塗れさんだったら『掃除』でらいおんさんにぺろぺろしてもらおう
【ジャッジメント・クルセイド】
びびっとおひさまビーム!
人さし指をケーキさんに向けて攻撃だっ

うーん、甘くていいにおい…
ケーキさんたち、今度は食べてもらえるといいねっ


異灰窯・玄鉢
売れ残ったのは哀しいが、迷惑かけるのは如何なものか。自己顕示のためにそれを利用するリスも癪にさわります。
【WIS】
グラフィティスプラッシュを使い、ケーキ怪人を攻撃します。
明度低め・汚い色の塗料を使用しますので、周囲と怪人をなんとなく「映えない」感じにできるでしょう。


コノハ・ライゼ
はー、オレあーゆーの初めて見たわあ
(素直に感心してるしめっちゃ興味津々)

【WIZ】
でもまあ、暴れちゃうのは良くないし
おにーさんが美味しく頂いてあげよう

周囲に一般人が居たら危ないよネ
敵と一般人を遮るように【彩雨】を降らせて遮るヨ
囲った中心、敵へ向けて降らせる密度を濃くして
更にはどんどん彩雨追加して動き制し、仲間が攻撃しやすいようにしてこ
っと、コレじゃあ頂くンじゃなく召し上がれだわぁ

反撃されたらちょっと摘まみ食い……あ、私めには少々甘さが過ぎますねぇ
べとつくクリームに「柘榴」突き立て『生命力吸収』
『2回攻撃』で切断を図ろう

さあさ、かわいそーなケーキちゃんを誑かしてンのはだぁれだ?



場所は変わって、此方もケーキ怪人達が暴れまわる街の一角。
「はー、オレあーゆーの初めて見たわあ」
 ぴぃぴぃ泣きながら街をめちゃくちゃにする怪人達。コノハ・ライゼはその姿に素直に感心しつつ、興味津々に眺めている。
「ケーキさんがいっぱいだぁっ!」
 天真爛漫な笑顔で瞳をきらきら輝かせているのはリク・ユズリハ。思わず出てしまう涎を拭いてから、ふと怪人達の泣き声に耳を澄ませた。
「……ケーキさんたち、泣いてるの?」
「クリスマスという行事の為だけに作られたのに、売れ残って役目を果たせないのが哀しいのでしょう」
 何故か左肩が植木鉢になっているタール状の身体を揺らし、異灰窯・玄鉢が答える。
「しかし、人々に迷惑をかけるのは如何なものか。自己顕示のために、それを利用するリスも癪にさわります」
「うんうん、悪いことするのはだめめのめっ!だよっ」
「だよねェ。暴れちゃうのは良くないし、おにーさんが美味しく頂いてあげよう」
 皆の意見が一致したところで、コノハはぺろりと舌なめずり。新たな犠牲者を生み出そうと襲いかかる怪人達とキマイラ達の間に割り込んだ。
「貴様等、何者だ!」
「なに、ただの猟兵さんサ」
 ふわりと笑みを浮かべると、つっと人差し指を虚空へ。上空から90本もの煌めく針の雨が降り注ぎ、あっという間にキマイラ達と怪人達を遮る壁が作られる。
「むきぃ、これじゃああいつらをクリームまみれにできないじゃないか!」
「お前!絶対に許さないからな!」
 地団太を踏む怪人達に、コノハはくつくつと笑ったまま、尚も彩揺らめく水晶の針を落としていく。徐々に囲まれ動きを制限されて彼らは怒り心頭のようだった。
「っと、コレじゃあ頂くンじゃなく、召し上がれだわぁ」
 それでもまだキマイラ達と怪人達を完全に分断しきれなかったらしい。怪人の一体が肉体をふかふかのスポンジに変身したことに気付いたリクが、頼れる仲間を呼び出す。
「らいおんさん、力を貸して!」
 リクの呼びかけに応じたのは、彼の身長の2倍もある黄金のライオン。ふかふかスポンジに対抗するには十分なもふもふっぷりだ。
 ライオンに騎乗しあっちへこっちへ移動すると、逃げきれなかったキマイラを引っ張りあげてライオンの背に乗せては、次々と安全な場所へ避難させる。
「あっお兄さんクリームまみれ!らいおんさん、お掃除してあげて!」
「うおっなんだぁ!?」
 べったりとクリームがついたキマイラの顔を、ライオンがぺろぺろ舐めればすっかり綺麗に。猟兵に助けてもらったことに感激しながら、ありがとう!と歓声をあげるキマイラ達に、リクもにっこり笑顔で手を振る。
「それでは僕も」
 コノハによって動きを止められた怪人達に向き直り、玄鉢が手にしたペイントブキから塗料を発射。彼が怪人達にぶちまけたのは、明度低めで暗く地味な色ばかり。
「これでなんとなく、SNS映えはしなくなったでしょう」
「ピャアアなんだこの色、やだー汚い!」
「拭いても拭いても落ちないじゃないか!どうしてくれる!」
 虹色に輝いていた水晶の針ごと、べっとり残念な色味になってしまったケーキ怪人達。
 サンタクロースやトナカイのマジパンも可愛くカットされた可愛い苺も、ケーキとは思えぬ色に染まり、美味しくなさそうな外見に拍車がかかる。
「オレの彩雨も、これはこれで趣ある色になったね?」
「お褒め頂き光栄です」
 新しい色に染まった自分の水晶の針を、楽しそうに見つめて笑うコノハと、丁寧に頭を下げる玄鉢。
「動けなくたってまだ戦える!くらえ、生クリームブラスト!」
 その場に縫い留められた怪人が、決死の表情で両肘から出すのは甘い香り漂う生クリーム。
「おっと」
 軽やかに躱したコノハの頬に、ほんの少しくっつくクリーム。指ですくってぺろりとひとなめ。
「あ、私めには少々甘さが過ぎますねぇ」
「俺達はクリスマスケーキだ!甘くてナンボだろうが!」
 味の感想に納得いかない怪人がぷんすこ怒るのをよそに、隙を突いたリクと玄鉢が次の攻撃に移る。
「まだまだいくよっ」
「それではこれで、お仕舞いとしましょう」
 リクが人差し指を怪人達に向けて、おひさま輝くビームを放てば、玄鉢がトドメとばかりに再び残念な色彩の塗料をばら撒いてゆく。
「ピャアアア!!」
「だからこの色やめろってばー!!」
 ちゅどーんという音を立て、とっても地味な色合いの爆風と共に甘い香りを置き土産にした怪人達が、ものの見事に塵と化した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『いいねリス』

POW   :    強いっていいね! いいね!ボム
【いいね! 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【いいね!ボム】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    足がはやいんだね! いいね!ビーム
レベル分の1秒で【いいね!ビーム 】を発射できる。
WIZ   :    いいね!って思ったらみんなあつまれー!
戦闘用の、自身と同じ強さの【共感者】と【いいねリスの分身】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠青景・黒影です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ちぇ、あいつらあっさりやられちゃったじゃないか。これじゃあ動画の再生数ものびそうにないなぁ!」
 スマートフォン片手にぶつくさ身勝手な文句を呟いている、ふわふわの獣。
 承認欲求の塊が具現化した怪人『いいねリス』は、愛らしいハートマークのおでこを見せびらかし、猟兵達にウィンクする。
「でもでも、君達猟兵がかっこよく戦って、こんなにかわいいぼくに結局負けちゃったら、すっごく面白くない?ネットに晒してあげちゃう!そしたらいいねも拡散もどんどんのびちゃうよ!」
襲祢・八咫
……なんだ、己が無様に負ける様でも撮りたいのか。世の中には奇妙な輩もいるものだな。
怪人とはいえ、嘆く者を使い捨てにするのは、些か趣味が悪かろうよ。
……ふむ。
おれには、肥太った栗鼠より、素直に泣いて怒っていただけのけぇき共の方がまだ幼気で愛らしい気がするぞ。

おいで、烏。
獣を狩るはおまえの得意だろう。
目玉を刳り貫き、毛皮を灼き捨て、尾を引き抜け。あの小狡いだけの獣を、疾く仕留めておやり。
……ああ。
その悪趣味の源も、破壊しておこうか。
帯から抜いた扇子に力を通して鉄扇へ、三本脚の大烏が仕掛ける合間にあのすまぁとふぉんとやらを壊せないかも試してみよう。


彩瑠・姫桜
自分の仲間よりも動画の再生数を気にするの?!
(ケーキ怪人達に合掌していたら、聞こえた言葉に思わずむっとし)
自分で自分の事をかわいいって言うの、自意識過剰なんじゃないかって思うわ
特にあなたの場合はね

私は弱いし、戦う事もまだまだ苦手だけど
あなたみたいな身勝手な怪人なんか認めてやらないし
負けてやらないんだから!

>戦闘
【咎力封じ】使用
リスってちょっとすばしっこそうなイメージあるけど
うまくすれば動きを止められるかもしれない
まずは【拘束ロープ】で捕縛を試みるわ
ロープ振り回しながら敵の動きを観察
ユーベルコード使った直後とか、隙を狙うわ
命中すれば【手枷】、【猿轡】と続けていくわ

仲間の攻撃との連携も意識するわね



「自分の仲間よりも、動画の再生数を気にするの?!」
「怪人とはいえ、嘆く者を使い捨てにするのは、些か趣味が悪かろうよ」
 ケーキ怪人達にそっと手を合わせていた彩瑠・姫桜は、あくまで自分本位な『いいねリス』に食ってかかる。
 襲祢・八咫も哀れなケーキ怪人達を想い、リスに対しやわらかくも棘を含んだ言葉を重ねた。
「え?君達、ぼくがあいつらを仲間として扱ってると思ってたの?そんなわけないじゃないか!『素材』を大切にする必要あるかい?」
 高音の笑い声をあげながら二人を笑い飛ばし、ケーキ達への思いやりを微塵も感じさせない発言の数々に、姫桜は表情をきつくする。
「自分で自分の事をかわいいって言うの、自意識過剰なんじゃないかって思うわ。特にあなたの場合はね!」
「……ふむ。おれも、肥え太った栗鼠より、素直に泣いて怒っていただけのけぇき共の方がまだ幼気で愛らしい気がするぞ」
 姫桜の言葉を肯定するように頷く八咫も、するりと戦闘の構えに入る。
「なんとでも言いなよ、君達はぼくには勝てないんだからさ!さぁおいで、いいねと思ったみんなー!」
 リスがふわふわの両手を大きく広げると、ぽこぽこと空中から怪人と全く同じ姿の大量のリス達が飛び出した。
 ぽこぽこ増えたリス達は妙にわざとらしく、かわいいふりふりとした動きで二人に襲いかかる。
「……なんだ、己が無様に負ける様でも撮りたいのか。世の中には奇妙な輩もいるものだな」
 小首を傾げてから、ふ、と小さく息を吐く八咫。相手が己の分身を召喚するなら、此方は真に頼れる仲間を。
「おいで、烏。獣を狩るはおまえの得意だろう」
 目玉を刳り貫き、毛皮を灼き捨て、尾を引き抜け。――あの小狡いだけの獣を、疾く仕留めておやり。
 八咫の呼びかけに応じた三本脚の大烏は、広い翼で大きく羽ばたき、大量のリスめがけて飛び立つ。鋭い爪や嘴で体をつつき、目も眩む陽光で分身を一斉に焼き尽くす。
「なに、見た目が全てそっくり同じなら……本体ごと、丸ごと灼いてしまえば同じよな?」
「アチチチ!なんだよこのでっかいトリは!危ないじゃないか!」
 どうやら分身達の中に本物が混じっていたらしい。点火した尻尾をぶんぶん振り回し、なんとか火を消そうとしている間に分身達はぽふっと音を立てて徐々に消滅していく。
「ああー!せっかくギャラリーを増やしたのに!」
 リスが八咫に向かってぷんすこ怒っている間に、姫桜は静かにロープを振り回す。ユーベルコードを放った直後の隙を突いたからか、勢いよくリスの分身達へと投げつければ、ロープは小さな腕や足にしっかり巻きついた。
「わわわっ今度は縛りプレイ!?ぼくのチャンネルは全年齢なんだから!」
「ちっがうわよ!自分勝手なその口も、塞がせてもらうわ!」
 手枷に猿轡と、素早い動きで次々と放っていけば、大半のリスは身動きを取れなくなってしまい、キーキーと甲高い鳴き声をあげじたばた。
「私は弱いし、戦う事もまだまだ苦手だけど。あなたみたいな身勝手な怪人なんか認めてやらないし、負けてやらないんだから!」
「なんだよもう!きみ、女の子なのにずいぶんひどいじゃないか!ネットで炎上しちゃうよ!?というか、ぼくがさせちゃうから!」
 姫桜にセクハラと脅迫めいたことを喚くリスに、ほぅ、と小さく笑む八咫。
「ならばその悪趣味の源も、破壊しておこうか」
 帯から抜いた扇子を鉄扇へと変えると、優雅な仕草のまま鉄扇を投げつければ、リス本体が手にしていたスマートフォンを叩き落す。
「あ、あああ!ぼくのスマホが!画面どころか全部割れてるじゃないか!電源、電源が……つかない……!」
 何度もカチカチ電源ボタンを押し直しては、全身の毛を逆立てぷるぷる震えだすリス。
「もぉぉ、怒った、ぼくは怒ったよ!絶対に君達を倒すんだからな!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

浮世・綾華
んー。あれなんかちっちゃい子(f01768)がいる
え~っと、君なんてーの?
嗚呼いや怪しいもんじゃアリマセンヨ
マジマジ。俺も猟兵だかんネ

いいねリスって俺も最近知ったんだけど
何あれウケんな。ネタにもほどがあんだろ
でもいいねはしません。なんでって
リスよかリクちゃんのがかわいーからでーす!
あといいねリスが勝っていいね貰うより
いいねリスがいいね貰えない方が断然かわいそーで面白いっしょ

(あ~俺も別に強い攻撃とかできねーんだけど、
頼られて悪い気もしないしな)

お子さまの教育に悪い痛い技とか使うのもアレなんで
巫覡載霊の舞とかなぎ払いでシンプルに攻撃するよ

みえないとこでは傷口を抉ったりもするかもだけどな


リク・ユズリハ
ケーキさんたちやっつけたぞっ
らいおんさんをいいこいいこ

ハートがついたリスさんだ!
さ、さいせいすう?かくさん…?
きょとんとしていると
背の高いおにいさん(f01194)に声をかけられ
えっとね、ボクはリクだよ!
おにいさんは……そっか、猟兵さんなんだねっ

つまりあのいいねリスさんが悪いボスさんなんだね?
こそこそ隠れてるなんて、ボク、もう怒ったぞ!

もう一度らいおんさんに乗っかって
ようく狙って、おひさまビームで攻撃っ
リスさんの近くでがお!ってしたら『気絶』したりしないかな?
ボクはまだ強い攻撃できないから
隙ができたら、綾華おにいさん、お願い…っ!

悪いことしていいこいいこされたって
おもしろくもなんともないもん!



「ケーキさんたちをやっつけたね!らいおんさん、ありがとう!」
 大活躍した相棒のライオンを、いいこいいこと撫でてやるリク・ユズリハ。
 ふと、なんだろうと不思議そうに見つめる先に居るのは、大切なスマートフォンを破壊され、全身の毛を逆立て怒りに顔を歪めるリス。
「ハートがついたリスさんだ!……さ、さいせいすう?かくさん……?」
「んー、あれ?なんかちっちゃい子がいる」
 聞いたことのない言葉にきょとんとしていると、背後から聞こえる声に振り返る。
「え~っと、君なんてーの?嗚呼いや、怪しいもんじゃアリマセンヨ」
「ほんと?」
「マジマジ。俺も猟兵だかんネ」
 初対面の青年へ、やはりきょとんと蜂蜜色の瞳を向けるリクに、けらりと人好きのする笑顔で返したのは浮世・綾華。
「そっか、おにいさんも猟兵さんなんだねっ!えっとね、ボクはリクだよ!」
「はーいリクちゃんね。いーお返事ありがと、俺は綾華っつーんだわ」
 はじめましての挨拶を交わしてから、綾華はぷんすこしているリスを珍しそうに眺めた。
「しっかし何あれウケんな、ネタにもほどがあんだろ。でもいいねはしません。なんでって、リスよかリクちゃんのがかわいーからでーす!」
「えっボク?えへへ、ほめられちゃった!」
 小さくかわいい猟兵仲間に、綾華がにししと笑いかければリクも素直に照れ笑い。
「それに、いいねリスが勝っていいね貰うより、いいねリスがいいね貰えない方が断然かわいそーで面白いっしょ」
「つまりあのリスさんが悪いボスさんなんだね?むぅ……こそこそ隠れてるなんて、ボク、もう怒ったぞ!」
 リクは綾華の言葉に、グリモア猟兵の『真の悪』という言葉を思い出したらしい。びしっと指をさすと、リスに大声で宣言する。
「リスさん!ボクたちが相手だよっ」
「あっ君はさっきのライオンの!ということはそっちの彼も猟兵だね!?」
「まーそーいうこと」
 猟兵ならばもはや相手は誰でもいいらしい、リスは迷わず二人の方に向かってぽてぽて走り出す。
「らいおんさん、もう一度おねがい!」
 ライオンは快く応じてリクを背に乗せ走り出す。リスとライオンはどんどん距離が縮まり、リスが手にしたハートを、リクが真剣な表情で人差し指を互いに構える。
 邪悪な方法で稼いだいいねの力を宿したビームと、おひさまの力を味方にした光あふれるビームがぶつかり合う!
 激しい闇と光の煌めきが相殺された瞬間、リスの目の前にライオンの巨大な顔が現れた。
「ガオ!!」
「ひゃあああっ」
 オブリビオンとはいえ、やはり小動物か。わかりやすくビクッと驚いたリスは白目を向いてその場に立ち尽くす――気絶だ。
「今だよ!ボクはまだ強い攻撃できないから、綾華おにいさん、お願い……っ!」
 隙を作ることに成功したリクに促され、綾華が軽やかな足取りでその身に神霊を降ろす舞をふわりと踊る。
「(あ~俺も別に強い攻撃とかできねーんだけど、頼られて悪い気もしないしな)」
 子供好きな彼は、リクのお願いを聞き流すつもりはない。
 美しい所作のまま薙刀による衝撃波を放てば、気絶していたリスが受け身を取ることも出来ず吹っ飛んでいく。
「お子さまの教育に悪い痛い技は使わないから安心しろよ」
 そう言葉にしつつも、衝撃波による土埃の中で吹っ飛ぶリスに再度駆け寄り、薙刀の切っ先でざくりと一撃。
「(ま、『見えなきゃ』何したっていいよな、見えなきゃ)」
 土埃で薙刀の一撃を見ていなかったリクの目には、衝撃波で目を回して倒れるリスと、舞を終えた綾華しか視界には居なかった。
「悪いことしていいこいいこされたって、おもしろくもなんともないもん!」
 ばーんとリスに言い放つリクに相槌するように、ガウッとライオンが軽くひと吼え。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コノハ・ライゼ
いたいた、アイツか……リスって美味いかな?

【WIZ】お目見えとありゃやる事ぁひとつ
ケーキん時同様一般人との距離を開けるように
【月焔】を壁状に撃ち込む
ハイハイ巻き込まれんようどいててネ
こっからお見せするンは大炎上だからサ!
『高速詠唱』に『2回攻撃』併用して隙を与えず、仲間が攻撃しやすいよう炎で追い立てンね

お仲間呼んじゃう?ダメだなあ、目標は自分の手で成し遂げないと
反撃時には『激痛耐性』で凌ぎながら
リス本体に『傷口をえぐる』炎の集中攻撃だネ

負かそうなんて甘い甘い
オレ達が格好良く戦うだけでバズり確定だっつうの!


夜桜・雪風
要するに面白い動画が撮りたいのですね。
私のユーベルコードも綺麗なので、
ぜひ受けつつ撮影してください。
いいねがいっぱい貰えるといいですね。

【高速詠唱】でユーベルコードを放ちます。
【範囲攻撃】を【全力魔法】で行いますね。

手加減すると動画がつまらないですよね?

【鎧砕き】と【鎧無視攻撃】で攻めましょう。
【2回攻撃】で【傷口をえぐる】ようにして【吹き飛ばし】てあげます。

私の【第六感】が言っています。
今のこの状況は、動画で見ているキマイラ的には「いいね」な雰囲気です。
やっぱり派手なユーベルコードは見ていて楽しいですからね。

なにか反撃されたら【オーラ防御】で身を守りましょう。

「いいね」集めもほどほどにです。



「いたいた、アイツか……リスって美味いかな?」
 不穏な言葉を口にしたコノハ・ライゼに、先ほどの衝撃からなんとか立ち上がったリスは一瞬怯む。
「き、君はなんでも食べちゃうつもり?ならぼくがゲテモノを食べてる風景を撮ってSNSに上げてあげるよ!もちろん、君達が負けを認めたあと、ぼくに縋りつくならね!」
「そう、要するに面白い動画が撮りたいのですね」
 すらりとした長身の美少女、夜桜・雪風は桜のようにあまく微笑んだ。
「私のユーベルコードも綺麗なので、ぜひ受けつつ撮影してください。いいねがいっぱい貰えるといいですね」
「いいねェ、お目見えとありゃオレもやる事ぁひとつだ」
 風の力を司る魔道書をはらりと捲る雪風の隣、コノハがぐるりと周辺を見渡す。
 ケーキ怪人達から逃げ惑っていたキマイラ達は、むしろ猟兵の活躍をこの目で見ようと徐々に増えてきているようだった。
「ハイハイ巻き込まれんようどいててネ、こっからお見せするンは大炎上だからサ!」
 高速詠唱による隙のない召喚により月白の冷たい炎の波柱があがれば、ぶわりと燃え盛った月白の波がリスを追い立てる。
 炎に追われるリスとキマイラ達の間には、しっかりと炎の壁が出来上がった。それはさながら、ステージと観客席のように。
「また炎かい!?君達ってばこんなにかわいい小動物のぼくに対してひどいよ!毛が焦げちゃうだろ!」
「火はお嫌いですか。ではこれなら、あなたも気に入ってくれるでしょうか」
 微笑む雪風が手にした強い魔力を秘める杖と魔導書が、はらりと白い花弁へと変わりゆく。
 コノハに続いて高速詠唱で呪文を短縮した雪風のユーベルコードは、全魔力を注ぎ込んだことにより通常より二倍も三倍も多い数の花弁としてリスに襲いかかる。
「手加減すると、動画がつまらないですよね?」
 優しい香りが辺りを包めば、鈴蘭の花弁が月白の炎と混じりあう美しい光景にキマイラ達が歓声をあげた。
「わぁあ綺麗!」
「これ、動画で撮らなきゃ損だよね!」
 次々に自分のスマートフォンにこの奇跡を収めていくキマイラ達の様子を見て、雪風がリスに告げる。
「私の第六感が言っています。今のこの状況は、動画で見ているキマイラ的には『いいね』な雰囲気です。やっぱり派手なユーベルコードは、見ていて楽しいですから」
「ぐぬぬ、派手な技ならボクだって負けてないさ!とってもかわいいんだから!いいねって思ったみんな、集まれー!」
「おおっと、お仲間呼んじゃう?ダメだなあ、目標は自分の手で成し遂げないと」
 両手を広げてぽこぽこと分身を呼び出し始めるリスを見て、やれやれといった表情でコノハが笑った。
「スマホ持ってるお前が本体だろ?」
 壊れてしまったスマートフォンをまだ握りしめているリスに目をつければ、月白の炎を再び送る。
「しまっアチチチ!!」
 火傷の規模は大きくなり、尻尾どころかリスの体全体に広がる炎は、ふわふわの毛をチリチリにするには十分すぎた。
 本体が負傷するごとに分身の数も減っていき、戦場はコノハの宣言通り大炎上と化す。
「キマイラ達に拡散してもらう為に、もう一度花を舞わせましょう」
 雪風が魔導書を高く掲げれば、風に吹かれてぱらぱらと捲れるページが端から千切れて次々に無数の花弁として宙を舞う。
 強く吹き荒れる鈴蘭の嵐が分身諸共リス達を巻き込めば、全てのリス達が上空へと勢いよく吹き飛ばされる。
「ひゃあああっボクは木登りしないんだよぉー!」
 リスらしからぬ内容の叫びをあげながら吹き飛んだリスは、そのまま垂直に真っ逆さま!
 激しい打撃音を立てて地面へと見事にめり込んだ。
「負かそうなんて甘い甘い!オレ達が格好良く戦うだけで、バズり確定だっつうの!」
「いいね集めもほどほどに、です」
 戦場を幻想的なステージに作り変えたコノハと雪風に、観客となったキマイラ達から惜しみない拍手と歓声が送られた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神埜・常盤
あァ、少し遅れてしまったかな?
僕も助太刀させて貰うとも!

アレが噂のいいねリスか
その魅惑のもふもふボディも良いが
僕は血の味こそ気になるなァ

戦闘突入後すぐに天鼠の輪舞曲を披露
手品のようで面白いだろう?
再生回数もさぞ伸びるだろうさ
ホラ撮れ撮れ、と召喚された者達を
催眠術も用いながら煽り動きを封じたく
……あァ、需要があるなら
キマイラ君達もバリバリ撮ってくれ給え

催眠が成功しようとしまいと
その後は引き続き天鼠の輪舞曲で本体に突撃
召喚された者達の妨害も覚悟して
捨て身の一撃を試みよう
重たい一撃を与えられたら良いンだが

体力が危うくなったら吸血で
体勢を立て直したいなァ
美味かッたら僕もいいねしてやる
喜び給えよ、君



「ま、まだだ……まだぼくは負けてないんだからね……」
 めり込んだ体を起こして、ぜぇぜぇと息を切らしながらリスは足掻く。
「まだ粘る気だぞあのリス!」
「そろそろいい加減大人しくやられちゃえよー!」
「私達は猟兵さん達とツーショしたいのー」
「なっなんだいみんなして!なんにもできないギャラリーのくせに!」
 今すぐ猟兵達に駆け寄りたい観客のキマイラ達が、しぶといリスにブーイングを送る。リスはだいぶショックを受けているようで、観客達をも下に見ているのは既にバレバレだった。
 その背後、かつんと靴音を立てる者が居る。
「あァ、少し遅れてしまったかな?僕も助太刀させて貰うとも!」
 琥珀色の髪を揺らした神埜・常盤が現れると、新たな猟兵の登場にキマイラ達が歓声をあげる。
「ま、また出てきた……」
 嫌な汗がリスの顔を伝う。ちなみにふわふわだった体はボロボロで、既に無残なものとなっている。
「君が噂のいいねリスか。魅惑のもふもふボディとのことだったが……聞いていた話とは随分違うね?」
「う、うるさい!」
「まぁまぁ、怒らないでくれ。むしろ僕は、君の血の味こそ気になるなァ」
「ひっ」
 猟兵は本当にオブリビオンも食す奴らのかと、リスは震えあがる。
 その様子を見た常盤はくすりと笑えば、瞬く間に黒い闇へと姿を変える。膨らんだ闇は小さな蝙蝠達の群れであり、羽ばたきながらリスへと襲いかかる。
「手品のようで面白いだろう?再生回数もさぞ伸びるだろうさ……あァ、需要があるなら、君達もバリバリ撮ってくれ給え」
 蝙蝠の群れと姿を変えた常盤が声を掛けると、手品のような光景に見とれていたキマイラ達が、わぁっと一斉に動画や写真を撮り始める。
「なっなんで!?ぼくは!?みんな、ぼくを撮ってよ!!ぼくこそが主役のはずだろ!?猟兵は脇役に決まってるだろ!?」
「諦め給え。君にはもう、彼等のお眼鏡にかなうような華はないんだよ。……いや、最初から無かったのかもしれないなァ」
 狼狽えるリスに最後通告をすると、吸血蝙蝠と化した常盤は軽やかに舞ったのち、リスの首元をガブリ。
「美味かッたら僕もいいねしてやろうと思ったが……うん、これは不味い」
「ギャアアア!!」
 常盤がふわりと元の体に戻った直後、ケーキ怪人達と同じくちゅどーんという爆発音と共に、いいねリスは爆散する。
 爆風を背に受けにこやかに微笑む常盤の姿に、女性陣はメロメロ、男性陣も拍手喝采と、キマイラ達は猟兵達によるヒーローショーを存分に楽しんだのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『書初めグラフティ』

POW   :    ダンスやアクロバットなど体を使った表現

SPD   :    ゲームのタイムアタックやトランプタワー作成など技量を競う表現

WIZ   :    曲や文章の投稿、チェスの対戦など思考能力を使った表現

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


新年、1月1日。
 キマイラフューチャーの街の一角に出現した、全長1キロメートルの壁面ディスプレイ。
 人々が思い思いのアートを投稿すると、一番評価されたものだけがその一年間保存される。
 その周辺には、猟兵達の作品を見たがるキマイラ達がわくわくした表情で待機していた。
 さて、君達はどんなアート作品を投稿するのだろう?
 ――勿論、年齢制限には気をつけて。
新年、1月1日。
 キマイラフューチャーの街の一角に出現した、全長1キロメートルの壁面ディスプレイ。
 人々が思い思いのアートを投稿すると、一番評価されたものだけがその一年間保存される。
 その周辺には、猟兵達の作品を見たがるキマイラ達がわくわくした表情で待機していた。
 さて、君達はどんなアート作品を投稿するのだろう?
 ――勿論、年齢制限には気をつけて。
彩瑠・姫桜
あけましておめでとう
アートな新年、ちょっと楽しみね

SPD
私はジャグリング披露するわ
私のドラゴンランス2匹にも手伝ってもらうわね

技は5ボールカスケード
私が3つ、シュバルツとヴァイスで1つずつ
5つのボールを、1人と2匹で投げて交差させていくわね

さあ、シュバルツ、ヴァイス、用意はいいかしら?
観客の皆さんに楽しんでもらうわよ

衣装は普段着よ
べつに特別な衣装が嫌いってわけじゃないけど
着飾るのは何だか恥ずかしいから

代わりに
シュバルツとヴァイスには
お正月らしい金と銀のリボンをかけて
おしゃれさせるわね

※ドラゴンランス2匹
シュバルツ(schwarz)→黒猫の外見のドラゴン
ヴァイス(Weiß)→白蛇の外見のドラゴン



「皆、あけましておめでとう」
 トップバッターは朗らかな声で新年の挨拶を告げる彩瑠・姫桜。
 着飾るのが恥ずかしい彼女の代わりに、黒猫の姿をしたシュバルツと白蛇の姿をしたヴァイス、2匹のドラゴンランスには金と銀のリボンが飾られている。
 お正月らしい装飾をつけた2匹に注目が行く中、取り出されたのは5つのカラフルなボール。
「さあ、シュバルツ、ヴァイス、用意はいいかしら?観客の皆さんに楽しんでもらうわよ」
 ぱっと同時に宙に放られたボール達を、1人と2匹は次々に投げて交差させてゆく。
 時折ポーズを決めながら、互いに目配せしては相手のボールをキャッチするタイミングはばっちり!
「すごい!あのボール1個も地面に落ちてないよ!」
「お姉ちゃんかっこいー!」
 呼吸のあった連携は強い信頼関係がなせる技。姫桜の鮮やかな手捌きに見惚れるキマイラ達に、ウィンクや尻尾を振るなど、サービス精神旺盛なシュバルツとヴァイス。
「黒猫ちゃんかわいい!」
「わたしはあの白い蛇さんがすき!とっても綺麗!」
「女の子だけじゃなく、あの2匹もうまいもんだなぁ」
 観客から聞こえる楽し気な声に姫桜は微笑む。
「あなた達ってばノリノリね。ま、私も楽しいんだけど。それじゃ、いよいよフィニッシュよ!皆、かけ声よろしくね!」
「いっせーのーで!」
 再び同時に宙を舞ったボールをシュバルツとヴァイスが跳ねて追いかければ、キマイラ達も声をあげる。
 次の瞬間、5つのボールは見事に姫桜と2匹の手元に舞い戻っており、ジャグリングを大成功させた少女に観客達は惜しみない拍手を送った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神埜・常盤
コノハ君(f03130)と一緒に
僕は新年の初参りに奏上する為の祝詞を
習字で書き初めてみよう

そんな地味なアートでバズるのかッって?
字の綺麗な男は素敵だろう、バズるとも!
……なァ、コノハ君、バズって何だね?(こそり

心を鎮めて巻紙に筆を走らせよう
一文字一文字大切に丁寧に
此の世界の皆の平穏を願いながら書けば
長い祝詞だってホラ、直に完成
きッとご利益も抜群だ

ふふ、自分で言うのも何だが達筆だろう?
何せ達筆過ぎて読めないッて事で
書いた恋文を其れと気付かれずに
捨てられた事もある位だからねェ

オヤ、美味しい慰めの花が
蒲鉾と三つ葉の薔薇とは縁起が良いね!
麗しいブーケの謎が逆再生で紐解かれていく様
僕も是非拝見したいなァ


コノハ・ライゼ
ジンノ(f04783)と一緒に

映し出されるアートやジンノの書き初めに興味津々
見聞を広めるのは料理のセンス向上にもなるしネ
ぉわあ、ジンノ筆で字ぃ書いてるすっげー
そーだよ達筆男子素敵!!
ナニ書いてるか全然わかんねーケド!
バズ……ああえっと、簡単に言うと凄い超人気てコト!

切ない恋文話に軽やかに笑い声上げ
やだもーそんなジンノサンにはコレあげちゃう
と相手の口に放り込む小さなピンクの薔薇一輪
コレ何で出来てると思う?蒲鉾と三つ葉!お正月っぽくてイイでしょ
これを幾つか合わせてブーケに――っつうのを逆再生した動画を投稿してみたヨ
このハレの日に輝けるアーティストへ祝福を、ってネ



「なかなか盛況だね。では、僕もひとつ」
「お、ジンノは何をお披露目すんの?」
「新年の初参りに奏上する為の祝詞を、書き初めようと思ってね」
 神埜・常盤が手にしたのは筆と巻物状の半紙。墨が溜まった硯もしっかりセットしてある。
 キマイラ達と一緒に興味津々に眺めるコノハ・ライゼは、見聞を広めるのは料理のセンス向上にもなるとのこと。
 一見地味にも見える習字だが、常盤は自信ありげに筆に墨をたっぷり含ませる。
「字の綺麗な男は素敵だろう、バズるとも!……なァ、コノハ君、ところでバズって何だね?」
「バズ……ああえっと、簡単に言うと凄い超人気てコト!」
 聞き慣れない単語の意味をコノハに教わった常盤は、なるほどと頷いたのち、静かに目を閉じ心を落ち着かせた。
 暫くしてからそっと目を開け、巻紙に筆を走らせていく。
 一文字一文字、大切に、丁寧に。願うのは此の世界に暮らす人々の平穏。
 筆という見慣れない筆記用具を使った、静謐な雰囲気のパフォーマンスに見とれるキマイラ達。なかには美しい彼の所作に見とれて、ため息をつく女性も。
 長い祝詞も常盤の手に掛かればあっという間、一文字ずつ心のこもった祝詞が書かれた巻物は、ご利益抜群だろう。
「ぉわあ達筆男子、素敵!ナニ書いてるか全然わかんねーケド!」
「ふふ、そうさ、素敵だろう?何せ達筆過ぎて読めないッて事で、書いた恋文を其れと気付かれずに捨てられた事もある位だからねェ」
 読めないのはコノハだけではなくキマイラ達も同じだったらしい。甘酸っぱい恋文の話が語られる傍ら、さっきまで静かだった観客達は徐々に騒ぎ出す。
「よくわかんないけど、すっごく綺麗なものを見た気がする」
「かっこいいねぇ、ぼくも、あのペンみたいなの使ってみたい!」
 美しい書の道に惹かれたキマイラ達の、わいわいとした賑やかさが戻ってきたのを見たコノハはからから笑う。
「切ない思い出も含め、皆さんに伝わったみたいだヨ。で、そんなジンノサンにはコレあげちゃう」
 ひょい、と常盤の口に放り込まれたのは小さなピンクの薔薇一輪。
「オヤ、美味しい慰めの花が」
「コレ何で出来てると思う?蒲鉾と三つ葉!」
 お正月っぽくてイイでしょとコノハがウィンクすると、先ほどまでジャグリングや書き初めを生配信していたディスプレイに、ピンクや白の愛らしい薔薇のブーケが映される。
 わぁ、と沸き立つ観客達が見つめた先、動画は静かに進んでいく――逆再生の形で。
 みるみるうちに薔薇の束は束ねられる前へ、一輪の薔薇は包丁を入れられる所へと戻っていき、材料となった蒲鉾と三つ葉が現れた。
「やァ、これは縁起が良いね!」
「このハレの日に輝けるアーティストへ祝福を、ってネ」
 料理上手を活かしたコノハらしいアート作品に、料理という作業が必要ない世界に住むキマイラ達は、皆驚いたようにディスプレイを指差す。
「ね、もしかしてあれって食べられるモノで作ってあったの?どんな味かな」
「オシャレねぇ!猟兵さんってこんなこともできちゃうんだ」
 不思議な技術に感動した人々のざわめきをくすくすと笑って眺める常盤。
「コノハ君の料理の腕は、キマイラフューチャーの皆にも通用したようだよ?」
「そりゃあよかった!あとで薔薇を一輪ずつ配ってみるのもイイかもしれないネ」
 実際に配ったとすれば、ヒーローである猟兵からの食べ物のプレゼントなど、キマイラ達が押し合いへし合い熱狂してしまうのは火を見るよりも明らかだったので、自粛しておくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

七色・うみ
ちょっと何か楽しそうな事してるじゃん! ねーねー私も混ぜてったら☆

やるからには最高評価、狙いたいよね!
WIZぅ! 歌と踊りでみんなの心を動かすよ!
始まる前にみんなとちょっとだけお話して、コミュ力からも掴んでいくの!

歌うのは私オリジナルの曲「New links」で、明るい電子的曲調に早めのテンポで、みんなで繋がって幸せな未来を作ろうって想いを、複雑な歌詞に乗せて歌い上げるの!
ポジティブで楽しくなる感情は必殺技でさらに増幅しちゃう!
スクリーンには色とりどりの光と幻想的なイラストが、曲に合わせて色々変化して表れるよ!

あと、歌詞の所々に暗号も混ぜました! 最後の歌詞で解ける『みんな大好き』、伝われっ☆



「ちょっと、何か楽しそうな事してるじゃん! ねーねー私も混ぜてったら☆」
「あら、アナタも猟兵なの?」
「そーだよ!うみです、よろしくね♪」
「うみチャンか~かわいいね!」
 特徴的な声でキマイラ達に話しかけているのは、バーチャルキャラクターの七色・うみ。
 キュートな外見と持ち前のコミュ力で既に観客の心を惹きつけている彼女は、場をいとも簡単に自分の舞台へと作り変えた。
 ディスプレイの前でキマイラ達に手を振り声を掛ける。
「それじゃあいくよ!みんな聴いてね、『New links』!」
 明るく速いテンポのテクノポップが流れ出すと、マイクに繋がったうみの歌声が辺りに響き渡る。
 複雑な歌詞に乗せて歌い上げるのは、互いに繋がることで幸せな未来を一緒に作ろうという少女のあたたかな願い。
「きれいな声!それにすっごく楽しそうなダンス!」
「なんか俺、元気出てきたよ」
 軽やかなステップを踏みながら紡がれる歌声から、自然と彼女の想いに共感した人々に応えるように、『楽しい感情』は更に増幅されていく。
 ディスプレイには色彩豊かな光と幻想的なイラストが映し出され、それらは曲に合わせ次々と変化を繰り返していく為、聴くだけでなく見る楽しさも抜群。
「ねぇ、この歌詞……」
「なんかさっきから……そうだ、これ暗号だよ!」
 ざわめくキマイラ達の様子にウィンクして、遠くの観客まで届くように歌い続けるうみ。最後の歌詞で解けるのは、
「……あっわかった、このフレーズ、『みんな大好き』だ!」
「ほんとだ、すっごーい!あたしファンになっちゃった!」
「うみちゃーん!コッチ向いてー!」
 愛に満ちた彼女のパフォーマンスに夢中になったキマイラ達。彼女の情報や音源を求め、その場で即座に検索を始める者が続出したとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リク・ユズリハ
わあっ、大きな画面…!
ここにみんなの作品が飾られるんだねっ
ボクも楽しみだなぁ

ふふーん
ボクはね、らいおんさんと書き初めをするよっ

大きな紙をよいしょと運び
愛用の獣奏器を構えて
ボクはびーじーえむ係!
お祝いの楽しい音楽を奏でようっ
体の中、思いついた旋律を自由に
楽器演奏の力をめいっぱいに発揮するぞ!

ボクの楽器はふりふりすると音が鳴るんだ
…そうだ!
【勇気りんりん】で鈴さんたちをいっぱい呼んで
曲に合わせて一緒にふりふり踊ってもらおう

らいおんさんも尻尾をふりふり墨をつけて
おっきく「楽」って書いてもらうんだ
はみ出しちゃってもまちがっちゃっても大丈夫っ
おっきな楽しいことがいっぱいの素敵な一年になりますようにっ♪



「みんなの作品、どれもステキだなぁ……ボクたちもがんばろうね、らいおんさん!」
 リク・ユズリハが太陽のにおいが香る笑顔で頭を撫でれば、相棒のライオンはガウッと此方も元気のよいお返事。
 小柄な体がよいしょと運んだのは大きな半紙、手にしているのは愛用の獣奏器。
「ねえあれ、あの子もフデで文字を書くのかな」
「でも持ってるのって文房具に見えないよ?」
 不思議そうに首を傾げるキマイラ達に、リクは大きな声で話しかけた。
「ボクはびーじーえむ係だよ!お祝いの音楽、聴いていってね!」
 トンファー型の獣奏器をひと振りすれば、しゃらん、ちりん、愛らしい不思議な鈴の音。
 思いついた旋律を心のままに、手足を伸ばし体全てを使って表現していく。
 鈴が奏でる音楽に少しずつ惹きこまれていくキマイラ達をちらりと見て、はっと思いついたようにリクは笑う。
「そうだ!鈴さんたち、おねがいっ。もっともっと、みんなにこの楽しい気持ちをとどけたいんだっ」
 リクの声に応えるように、おひさま印の小さな鈴が次々に零れだせば、宙をふわりと浮かんで踊り始めた。

 ――ころころ、ちりん、しゃらんしゃらん。

「わぁ、ちっちゃくてかわいいのがあんなに沢山!」
「あの子も音楽も、楽しそうじゃないか!」
 鈴の音は大合唱となり、キマイラ達も目を輝かせる。そろそろ頃合いとリクが合図したところで、ライオンも墨をたっぷり吸った尻尾をふりふり。
 勢いよく元気よく、らいおんさんが自分の尻尾で書いたのは『楽』の文字。
「おっきな楽しいことがいっぱいの、素敵な一年になりますようにっ♪」
 点が足りなかったり、トメやハネが間違っていても大丈夫。込められた願いはきっと伝わっているから。
「ライオンくんかっこいー!」
「鈴の音楽、とってもよかったよー!」
 リクとライオン、鈴達に送られた大勢の歓声と拍手がその証拠。


 今年一年、この壁面ディスプレイに飾られることが決まった動画は、少女と二匹の竜が織りなすボールの妙技。
 けれど、キマイラフューチャーにおけるヒーローの猟兵達が投稿した動画は全て瞬く間に拡散された。
 神聖な祝詞の書き初めも、色とりどりのキュートなテクノポップも。
 料理の花咲く麗しいブーケも、雄々しい相棒の習字と奏でた鈴の音も。
 全てがキマイラ達の心に喜びを齎し、願いは電子の海を泳いでどんどん広がっていく。

 ――どうか一年、佳き日であるようにと。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月09日
宿敵 『いいねリス』 を撃破!


挿絵イラスト