バトルオブフラワーズ⑨〜お前の『ソレ』は、読んでいた!
●対策に対策をぶつける空中合戦
「ど、どうして初仕事がこういう……あ、ごめん、これ僕の話だから聞かなかったことにして!!説明を始めるよ!!」
ライダースーツを着た黒虎のキマイラ、エルト・アルバーシュ(精霊と旅するバイク乗り・f13986)はおどおど気味に集まった猟兵を見て、話を始める。
「ま、まずザ・ステージの制圧お疲れ様。お蔭で中枢へ入ることが出来るようになったんだけど……どうも、不思議なことになってて、全部の道がとある怪人の所に繋がってるみたいなんだ。避けて通れない、その怪人の名前は『エイプモンキー』」
エルトが映像を出すと、ロボのコクピットに猿が乗っているかのような怪人が映し出された。
「えっと、その。この『エイプモンキー』なんだけど……どうも、此方のユーベルコードに対して妙な機械を設計してきて、相殺、あるいは回避……最悪が封印を仕掛けてくるんだ。そうやって此方を無力化して、強力な通常攻撃で先に殴りつけてくる、という感じだね」
要するに、此方がどんなに先にユーベルコードを仕掛けようとしても、それに対応した機械で無力化し、強力な一撃を撃ち込むつもりらしい。じゃあどうすればいいんだ、と猟兵達から抗議のような言葉が上がるが、エルトはあわあわしながらそれを制する。
「お、落ち着いて!!だから此方も、『それに対策』をすればいいんだ!!来るだろう対策に対策を施す事で、無力化を躱せば一撃入れられる筈だよ!」
つまりは、相手のぶつけてくるであろう理論に対策を施して殴れば勝てるかもしれない、とエルトは言いたいのである。そこは純然と猟兵とエイプモンキーの知恵比べになるであろう。
「えーと、困ったことにまだ『先』はいるみたいだから、気をつけて!でも出来れば無事に!!」
半ば涙目なエルトが送り出したその先には――花畑のように、花の道が続いていた。
逢坂灰斗
『対抗呪文』!!それに『対抗呪文』!! みたいな空気を感じます。
逢坂灰斗です。
此方のシナリオでは『エイプモンキー』の討伐に向かって頂きます。
【MSより】
・此方は戦争シナリオです。1フレームのみで完結し、「バトルオブフラワーズ」の戦況に影響を及ぼします。
・チームや団体で参加される方は迷子防止の為【一緒に参加される相手】か【一緒に参加するグループ名】を必ずご記述ください。
・エイプモンキーの戦法に関しては下記を御覧下さい。
====================
エイプモンキーは、猟兵が使用するユーベルコードの設定を元に、そのユーベルコードを無効化する武器や戦術を創造し、回避不能の先制攻撃を行ってきます。
(ユーベルコードで無効化したり相殺した後、強力な通常攻撃を繰り出す形です)
この攻撃は、ユーベルコードをただ使用するだけでは防ぐことは出来ません。
この先制攻撃に対抗する為には、プレイングで『エイプモンキーが自分のユーベルコードに対抗して創造した武器や戦術を、マニアックな理論やアイデアで回避して、攻撃を命中させる』工夫が必要となります。
対抗するためのプレイングは、マニアックな理論であればあるほど、効果が高くなります。
====================
では、お目に止まりましたら宜しくお願いします。……御武運を!!
第1章 ボス戦
『マニアック怪人『エイプモンキー』』
|
POW : マニアックウェポン
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【敵に有効なマニアックな装置】が出現してそれを180秒封じる。
SPD : マニアックジェット
【敵のユーベルコードを回避する装置を作り】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
バルディート・ラーガ
UCの起動用の光源として閃光火薬を巻いた葉巻を大量に準備し、点火。
即座に後方へ半円状に「投擲」。左右へ避けても、対象とあっしを結ぶ直線上の光源を選択してUC発動すれば瞬時に距離を詰めて攻撃可能です。
このUCの弱点は、平面軸しか移動できねエ事。
敵サンの対抗手段は回避、空中へジェットで飛び上がる事でしょう。
さアて、空中にまだ葉巻が浮いてンのに気づきやしたかね。あ、閃光で見えなかったかなア。
閃光弾とは投擲角度や火薬の燃焼速度を変えてやして。
中身は「毒使い」で調合した腐食毒…ガラスカプセルに詰めた王水と、炸裂火薬。
毒雨も攻撃も避けるため、あっしはそのままUCで遠くへ離脱しやす。
●花に酸雨
花畑の道の先にて、猿怪人を視界に捉えたバルディート・ラーガ(影を這いずる蛇・f06338)は即座に行動を開始した。
「此処も十分明るいでやすが……もっと明るくして差し上げやすよ」
ダッシュと同時に後方に葉巻を半円を描くように投げ付け。それは程なく強い光を伴って炸裂した。だが、この程度の目眩ましで怯むのがエイプモンキーでは無い。
バルディートの四肢の一部が影化したのを見抜いた怪人は即座に空中へ舞い上がった。
「光源を用意すればどーとでもなると思ったウッキー?所詮それは影、平面軸しか動けないウッキー!!」
明確な光源を用意すれば尚更だ。影は宙に踊り出るには空中に影を作る物体を飛ばさなければならないし、それの位置を割り出せさえすれば回避など用意なのだ。
エイプモンキーの予想とジェット機動により機身は宙空へ舞い踊る。だが、それを遣い手であるバルディート自身が予測していない訳もなく。
「……ウキ?」
「――ああ、やっぱお気づきでやすかね?『葉巻』が残ってる事に」
エイプモンキーがジェットで空中に逃げ込んだ瞬間目撃したのは、光の中で『まだ』揺蕩っている葉巻。
「これ、閃光弾とはちと違いやして――」
その回答を聞く前に、猿怪人は答えに辿り着いていた。
「濃塩酸と濃硝酸の混合物……王水、と炸裂火薬の仕込まれた葉ま――」
だが、その回答から対処を『想像』するには遅い。目の前で王水ごと爆ぜた葉巻は、花畑に酸の雨を降らせた。
猿の醜い悲鳴が響き渡る中、バルティートは我関せず、とばかりに去っていく。
「……ほら、エイプモンキーさん。アンタは頭良いんでやすよね?この雨の後始末、お願いしやすよ」
くつくつと響く笑い声の主は、酸の腐食の激痛に蝕まれる猿を笑っていたかのようだった。
成功
🔵🔵🔴
ステラ・アルゲン
ルパート殿(f10937)と参加
ルパート殿が複製した鎧の中に気付かれないように身を潜ませ
ルパート殿が敵を拘束したら隠れるのを止めて【流星雨】を放ちます
剣先を向けなければならないのがこの技の弱点
だが拘束されていれば狙いやすいというもの
死角からの攻撃も鎧が守ってくれるはず
流星群と流星雨の違いを知っているだろうか?
星座を元に降るのが流星群、流星雨はその中でもより多く降るもので、一時間に降る量は千個以上だそうだ
また落ちる際にはプラズマも発生させる
無数に降り注ぐ炎【属性攻撃】と【マヒ攻撃】だな
ルパート殿を巻き込まないようにだけ気をつけておく
この作戦が上手くいくといいが……
あの黒騎士を信じて共に参ろうか
ルパート・ブラックスミス
ステラ・アルゲン殿(f04503)と共闘。
当方の浅知恵と奴の猿知恵の知恵比べだ。
会敵前にUC【錬成カミヤドリ】展開。30体越えの複製鎧に短剣持たせ包囲、一斉攻撃。
勿論避けるのは容易いだろう。高速移動する装置で掻い潜り、そのまま複製鎧が追撃する前に本体を直接叩けばいい。
故にこれは【フェイント】だ。敵の反撃を【覚悟】して受けそれを【カウンター】【怪力】【グラップル】で拘束。
複製鎧の一体に収めていた(【物を隠す】)ステラ殿の攻撃の為の隙を作る。
ステラ殿への反撃は収めていた複製鎧で【かばう】。
ステラ殿にとっては死角でも自分からなら十分【見切り】できる筈だ。
ここだ、流星の騎士よ!自分に構うな、敵を討て!
●隠し刃より、墜つる
ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)は、花畑の遠方。猿怪人の座するその場所を視界に入れた後に行動を開始した。どのように進んでもエイプモンキーに至るのだから、『その全ての道』を利用しなければならないのだ。
「――当方の浅知恵と奴の猿知恵の知恵比べだ」
小さく呟いた瞬間、ルパートが何重にも増殖する。精確には本体たる鎧が、エイプモンキーを包囲するように、多量に複製されていくのだ。
自らに向けて進撃していく鎧の軍勢。本来ならば絶望的な状況であろう。
「なぁるほど、物量で包囲するつもりウッキー」
けれど、とエイプモンキーはせせら笑う。
「ミーのここはその程度じゃ抜けないウッキーよ」
自らの頭を指さして回避機動を続ける猿怪人は、調子を良くしたかのように語る。
「大概、こういった『コピー』の群れは、本体を制圧されないように立ち回って、追撃を与える役割に徹するウキ。だからこそ、妙に殺到する場所は逆説的に――」
狙いすましたように本体へ鋼の掌底を加える。ルパートは直ぐ様格闘戦に持ち込み、拘束を狙うが、相手の攻撃の重さも含め、油断すれば直ぐに振りほどかれそうな状況だ。
「これだけ物量を用意したのに本体を直ぐ見つけられちゃうとか可哀想ウキね?」
サル顔が鎧騎士の反撃を嘲笑うかのようにそのまま拘束を振り落とそうとしたが――
「――ところで」
「……ウキ?」
「流星群と流星雨の違いを知っているだろうか?星座を元に降るのが流星群、流星雨はその中でもより多く降るもので、一時間に降る量は千個以上だそうだ。また落ちる際には――」
鎧の群れの一部から漏れ聞こえたのは、鎧騎士の者ではない声。ルパートが最初から鎧の1つに隠していた、ステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)の物。
「……プラズマも発生させる」
「……其処まではさせないウッキー!!」
剣先を向けるというのは相応に視野的な死角を生み出す。今のステラは鎧の中に収まっていたのだから尚更だ。
ただ。その死角をも補いきらんとする数の『鎧』が居なければの話だが。
(この状況であのルパート殿を巻き込まない保証は――)
相殺を試みようとする一撃を鎧は防ぎ続けるが、真正面で拘束を続ける鎧騎士に流星が当たらぬ保証は何処にもない。だがそれも織り込まれていたのだ。
「――ここだ、流星の騎士よ!自分に構うな、敵を討て!」
「……っ、降り注げ、流星たちよ!」
着地した流星雨が執拗な程にエイプモンキーを叩き続ける。
どんなにマニアックな知恵を用いても、自らを捨て牌にもう一人の大技を『通す』という浅知恵の前には為す術無く焼かれていくしか無かったのだ――
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
フローライト・ルチレイテッド
では行きましょー。
音源とスピーカーを何個か用意して。大きめの布をかけて。
ランダムに鳴らしていきまーす。
陣が作れないとそもそも誰も出てこれないわけですが。
自分は【早業】でせっせと戦場を動いて間合いを詰めながら隙を伺います。
【パフォーマンス】で置いておいたスピーカーを陣に変換する…ように見せかけて、
おさるの人の機械部分の隙間に存在している二酸化酸素分子一個を召喚陣に変換します。
44g/molサイズの物体ですが、無機物化合物ですのでー。
船長『これが俺達のやり方だ!』
尚、召喚された船長達は手段を選ばず攻撃します。
飛んでくる攻撃には【野生の勘】で感知を、【早業】で回避を試みます。
無理なら【激痛耐性】で。
●目に見えるものが全てではなく
「――では、行きましょー」
フローライト・ルチレイテッド(重なり合う音の色・f02666)が戦場に持ち込んだのは布を被せたスピーカー。戦場にいくつもの音響機器をセットし、音楽でその場を満たし始めた。
手元のギターを奏でながら、布を被せられたスピーカーに触れていく。戦場を自らのステージに塗り替えていくかのようなその所作は否が応でも目を惹き付けるだろう。
それに仕込みがあると判断したエイプモンキーは更なる先読みを自らのマニアック知識から対策を打ち出していく。
「無機物変換、ウキね?だけどその程度でミーのマニアック知識から逃げられるとでも思ってるウキかー!!」
スピーカーの全てに死角からの攻撃が殺到するが、歌い手はそれでも平静と曲を奏で続ける。
「えっと、マニアックならもっと頭が回ると思ったんですが……無機物って何も『スピーカー』だけじゃないですよね?」
「……ウキ?」
わざとらしい敬語で彼が答えたと同時、唄が始まる。
「――La La La…漕ぎ出そう La La La…広い宇宙へ♪ La La La…漕ぎ出そう La La La…自由のままに♪」
スピーカーには変化は見られていなかったのだ。攻撃により白日の下に晒されたその音響機器は相も変わらず、音楽を奏で続ける『のみ』で。
――荒くれ者達は突如、エイプモンキーに張り付くようにして召喚されたのだ。
突如召喚された海賊達は得物を振り下ろし、不意打ちを決めるような形で機動力を削いでいく。よくよく見てみると、彼らが召喚されているのは『機体の隙間』から。
「ヴ、ヴギィ!? い、いつの間に!?」
「『――これが俺達のやり方だ!』」
集団蛮行を受け沈んでいくエイプモンキーに、フローライトは軽く解説するように答えた。
「あなたの機体の『隙間』にある、二酸化炭素、ですよ」
「44g/molサイズの物体ですが、無機物化合物ですのでー」
大成功
🔵🔵🔵
フルール・トゥインクル
このユーベルコードの弱点はいくつかありますですけど、一番はやはり代償なのですよね
闇の精霊の力が強いとほとんど動けなくなってしまいますですから、他2人の精霊の力を弱めるかオプスキュリテだけあえて強化するか、その辺りでしょうか
だから動けないなりに精霊銃で狙おうとしても無駄なのでしょうね
大丈夫なのです、全部わかってますですから
精霊銃に込められているのはいつもの樹属性ではなく時属性なのです
そして初撃を当てるのは敵ではないのです、狙いは私
時の力で私に宿った光の精霊の時間を早めて力を強めるのです
大丈夫、怖くないのです
そうして闇の呪縛を光で切り裂いて身軽になったのならそのまま相手を撃ち抜くのですよ
●代償を背負うということ
フルール・トゥインクル(導きの翠・f06876)もまた、花畑の道を突き進んだ先に立ちはだかる強敵の姿を捉えた。小柄なその身ながらもその身体に宿る覚悟はこの場に至ったどの猟兵達とも引けを取らない。
「オランジェ、リュミエール、オプスキュリテ、みんな力を貸してほしいのです。私にも精霊の加護を!」
三色の光にも似た精霊達の力が宿る光景を、エイプモンキーは真っ直ぐに見ていた。
「精霊は強大な存在なのはミーも良く知ってるウッキー」
だからこそ、と怪人は笑う。強すぎる力は身を滅ぼすのだ。どの力が強くとも術者には強大な反動を齎す。
彼女も懸念している通り、闇精霊の力が強ければ強いほどに、彼女に降りかかる呪縛は強固になり、その場から動かずに攻撃をすることを強いられる。
「……大丈夫、怖くないのですよ」
震える手。けれども、その手はしっかりと精霊銃に携えられていて。
エイプモンキーが、回避予測を立てた後に強襲を仕掛けようとした瞬間、
……乾いた音がした。
「――ウキ?」
一瞬、エイプモンキー本人が狼狽した。なにせ、眼前で行われたのは
……フルールの『自分自身に対しての発砲』。
当然だろう。目の前で突然の自傷、或いは自滅行為。だが、狼狽してはいけなかった。それこそが『致命的な隙』を生んだのだから。
刹那に刻まれるは銃声の乱射。突如急加速したかのような銃捌き。
「突然の加速、しかもそれはただの『強化』じゃないウキね!!!」
「そうです。今、この銃(こ)に宿ってるのは樹の精霊では無いのですよ」
時流の流れを司る『時の精霊』。エイプモンキーを縫い付けるように発砲される弾丸に込められた精霊力も同じ。その身を縫い付ける程の……時の束縛。
自らに宿る力が相対的な『自由』を齎し、怪人には不利を齎す。回避速度をも上回る速射がエイプモンキーに刻まれていく。
「――怖くないのですよ。今の私には、皆の加護がありますから」
闇の加護の籠より飛び立った彼女は、光のように自由に舞い踊った。
成功
🔵🔵🔴
アマニア・イェーガー
(アドリブ、連携ok)
【逆巻く嵐の王】に乗り戦場へ向かう
敵に近づいたら海賊船で攻撃を始めるよ。もちろん反撃は想定済み
海中から現れた触手が死角から襲いかかるマシンを捕らえ、牙が、角がマシンを引き裂くだろう
あ、やっぱり驚いた?
このUCはねー、海賊船と海を呼び出すものなんだ。"海水"じゃなくて"海"なの
ふっふっふっ。何を隠そう、この下には水深数千メートルの海――かつて大航海時代、数多くの海賊船を沈めた魔物の住まう海を再現してるんだ。わたしの死角だろうと"彼ら"は攻撃するよ!想像出来たかな?
これが、大いなる海の怒り(リザレクト・パイレーツ)!さあ、ワイルドハントの始まりだよ!
●花海に嵐夜来たりて
最後の異変は、余りにも壮大だった。
一面の花畑のような道で構成されるこの中枢部だが、一つの道筋が書き換えられるように、潮の香りで満たされ始めていた。
「……余りにも奇妙ウッキー。これは既にユーベルコードの影響が始まってるウキね」
それもその筈。海水が花の道の1つから『満ち溢れて』来るのだ。その水面の先。1つの帆船……いや、海賊船が揺蕩いながら、此方に向かってきている。その船の主こそ、アマニア・イェーガー(謎の美少女アンティークマニア・f00589)。
彼女の持つ空間改竄能力は世界法則にも干渉する――とさえ言われるが。中枢部たる此処でも例外ではないのだろう。
「……さて、私の世界(プログラム)と、キミの知識(マニアック)。何方が上手か勝負しようじゃないか」
互いの視線が交錯した瞬間。開戦の火蓋は切って落とされた。
「――空間改竄をも得意とする電脳魔術師ウキか。確かに素晴らしい精度ウッキー」
しかし、エイプモンキーとて異様に圧倒されるだけでは無い。砲門の稼動を見て、それを叩き潰そうと、船に致命的な一撃を与えようと画策していたのだ。
「……無論、船を扱う以上、弱点も知らないとは言わせないウッキー」
海上では睨み合いが続いているが、ドサクサに紛れて怪人は海中からの攻撃を仕込んでいた。マニアックウエポンが音もなく突き進む狙いは船体の要たる、『竜骨』。
(成る程、表立って攻めてこないとすれば狙いは竜骨……確かに、狙われたら『ばらばら』になるね。……けれど)
ニヤリと笑うアマニア。そう、彼女が『再現』したのは海水ではなく――
船底の竜骨を目掛けて放たれた兵器は……そのまま、『海中に没した』のである。
直ぐ様砲撃を横っ飛びに回避しながらもエイプモンキーが狼狽する。手応えが無いからだ。
「……ウキ!?何故ミーの一撃が『当たって』いないウキか!?」
「確かに船の『生命線』を直接狙われるとわたしも困るね。けど――私の再現したのはただの海水じゃあ、ない」
エイプモンキーの知識にも『それぐらい』の内容ならある。だが、そこまで『再現』するのか、と驚愕する他ない。
その彼の狼狽を実証するかのように、海の魔物の『足』が、捻り潰されたマニアックマシンをぽい、と投げ捨てたのだ。
「此処は、海賊時代、数多の船をも沈めた『魔物』の棲まう海を再現したモノ――『彼ら』の死角すらも潜り抜けられるかな?」
嘗ては凶悪なる敵であったろうものだが、再現した主が乗っている以上、この海の全ては彼女の味方だ。じわり、じわりと哀れな迷い子に向け、狩猟者達が距離を詰める。
怪人が必死に飛び回りながら抵抗するも、余りにも『予測』が出来なさ過ぎる。
……エイプモンキーが哀れに踊り回るのを見遣った船長は、高らかに告げた。
「これが、大いなる海の怒り(リザレクト・パイレーツ)!さあ、ワイルドハントの始まりだよ!」
嵐夜の狩りは、知識のみで乗り切れる程甘くは無く。
知識のみに頼った猿は、花畑でなく……再現の海の中に没して消えた。
成功
🔵🔵🔴