5
バトルオブフラワーズ⑨〜エイプスレイヤーグロウリー

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #エイプモンキー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#キマイラフューチャー
🔒
#戦争
🔒
#バトルオブフラワーズ
🔒
#エイプモンキー


0




●鮮血フラワーパーク
 咲き乱れる花々が足場の様に固まって中空に浮いている。それら色とりどりが四方八方から収束し、たった一本の道へと繋がっている。その先はこの場所――システム・フラワーズの中枢だ。そして一本道の半ばには、凶悪な意匠の人型兵器めいた装甲を纏う、一匹のサルがいた。
『ウッキッキ……』
 その周りにはサルが作りし異形の花々がぬらりと鎌首をもたげて、この地へ至る愚か者を待ち伏せているのだった。

「忙しい中、来てくれてアリガト!」
 グリモアベース内の会議室、アイリ・フラジャイル(夢見る戦争人形・f08078)は集まった猟兵達にぺこりと頭を下げると、背面のスクリーンに映し出された戦況を説明する。
「皆のお陰で、とうとうシステム・フラワーズの中枢へ進む道が確保出来たの」
 スクリーンに映し出されたのは花で満たされた一本橋の様な道が中央で連なり、膨らんで広場の様になっている空間。
「――今回進む事が出来た場所が、お花畑の様な、それでいてちょっと違う不思議な所でね」
 アイリの言う通り、その道は何故か空中に浮いていて、更に広場めいた中央から、殊更長い一本道が更にシステム・フラワーズの中枢へと繋がっていた。
「この長い一本道の途中に今回戦う相手『マニアック怪人『エイプモンキー』』が待ち伏せてるの。このおサルさんが曲者でね……」
 続いてアイリはスクリーンに『エイプモンキー』の映像を映し出した。キマイラフューチャーを脅かす怪人軍団の大幹部の一体であり、厳めしい鎧の様なロボットの様なパワードスーツを着込んだサル、といった所だろうか。その戦闘方法の項目に【要注意:想像物質創造】と書かれた項目が。これは一体何か? と一人の猟兵がアイリに問う。

「これは――詳細は皆に渡した資料にあるわ。要約すると、アタシ達のユーベルコードを無効化するモノを創造して、絶対先制の攻撃を仕掛けてくるみたい」
 つまりは銀河帝国攻略戦の黒騎士や白騎士の様なものだろうか。確かに厄介な能力だと場がざわめく。
「それに対抗するにはその創造を超えた発想で、相手の創造したモノを更に無効化する必要がある――つまり、アイデアと機転と戦術でおサルさんの想像を凌駕する必要があるわ」
 自身が使う技ならば誰よりもその攻略法は分かる筈。相手が仕掛けてくる対策を想像して、更にそれを乗り越える事をすればいい――口で言うのは容易いが、それがどれだけ困難な事であるかは、猟兵達が一番知っている。しかし、やらなければキマイラフューチャーに明日は無い。
「厳しい戦いになると思う。でも、スペースシップワールドもカタストロフの危機から救えた。だから今回も、きっと上手く行くわ」
 それが世界の埒外たる猟兵に課せられた使命なんだから。ニコリと笑って周りを見渡したアイリは、小鳥の様なグリモアからフラワーロードへの道を開く。
「それじゃヨロシク! 皆なら何とか出来るって、信じてるから!」
 繋がった空間から、ふわりと花の香りが抜けた。


ブラツ
 こんにちは、ブラツです。
 キマイラフューチャーの危機、
 ついに敵の大幹部が登場です。
 今回は特殊ルールがありますので、
 お手数ですが以下をご確認下さい。
====================
 エイプモンキーは、猟兵が使用するユーベルコードの設定を元に、
 そのユーベルコードを無効化する武器や戦術を創造し、
 回避不能の先制攻撃を行ってきます。
(ユーベルコードで無効化したり相殺した後、強力な通常攻撃を繰り出す形です)
 この攻撃は、ユーベルコードをただ使用するだけでは防ぐことは出来ません。
 この先制攻撃に対抗する為にはプレイングで
 『エイプモンキーが自分のユーベルコードに対抗して創造した武器や戦術を、
 マニアックな理論やアイデアで回避して、攻撃を命中させる』
 工夫が必要となります。
 対抗するためのプレイングはマニアックな理論であればあるほど、
 効果が高くなります。
====================
 以上になります。
 上記無対策の場合はプレイングの成功率が激減し、
 最悪失敗する場合がありますのでご注意下さい。
 また連携を希望される方はお相手が分かる様に、
 IDを文頭に記載する等、識別子の記入をお願いします。
 それでは、よろしくお願い致します。
169




第1章 ボス戦 『マニアック怪人『エイプモンキー』』

POW   :    マニアックウェポン
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【敵に有効なマニアックな装置】が出現してそれを180秒封じる。
SPD   :    マニアックジェット
【敵のユーベルコードを回避する装置を作り】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:柿坂八鹿

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

荒谷・つかさ
ユーベルコードの無効化か……
あのお猿がソレに拘ってくれるなら、やりようはあるわね。

【秘奥義・分身殺法】を発動待機。
これは自分以上に強力な自分自身を呼び出し、連携で戦う技。
しかし欠点として「敵が自分を瀕死に追い込めるだけの強さを持つ」という発動条件があるわ。
つまり「弱体化装置」的なものでその基準を下回れば、私のコードは不発になる。
……私の狙いは、そこよ。

コード封じの代償に「私を瀕死に追い込めない」程に弱体化してくれるならしめたもの。
私のスキル(怪力、グラップル、見切り、残像、鎧砕きその他諸々)を活用して肉弾戦を仕掛けるわ。
そもそも私の戦闘能力はコード無しでも高いってこと、その体に教えてあげる。



●必殺の180秒
 花弁舞い散る可憐な空間、されどこれより修羅に入る。その時間、180秒也。
「ユーベルコードの無効化か……あのお猿がソレに拘ってくれるなら、やりようはあるわね」
 荒谷・つかさ(風剣と炎拳の羅刹巫女・f02032)は愛刀の『零式・改三』を肩に担ぎ、ゆらりとその場へ現れた。目の前には敵の大幹部『マニアック怪人『エイプモンキー』』が禍々しいパワードスーツを纏って対峙する。
『ウッキッキ……。お前が最初の相手かウキ?』
「そうよ。そして最後の相手になる」
 不敵な笑みを浮かべ、つかさは零式を正面へ振り下ろす。一意専心、ユーベルコードの無効化ぐらいで、この烈火の炎は止まらない。
『キキッ! そうか、そうか。お前のユーベルコードは瀕死にならなければ出せなぁい!』
 ガコンとエイプモンキーの胸部装甲が開いて、赤と青の二色の粒子が二つ開いた大穴に溜まっていく。
「撃たせるか!」
『サルガイザー!』
 つかさが言うより早く、エイプの両胸から二色の光線が渦を巻いて放出された。軌道は単純、これならば躱せるとつかさは地を蹴り真横に飛ぶ。
 しかしエイプの放った光線はそれすらも予期した様に、つかさに合わせて軌道を変える――向きを変えた一瞬の遅れが、致命となった。
「そんな――!」
 確かにそれは分かっていた。敵の先制攻撃はどう足掻いても躱せないだろうと。そして【秘奥義・分身殺法】を発動する条件、自身を瀕死に追い込む事が防がれるであろう事も。
『キキッ! 必中!』
「これは、一体ッ……!」
『お前を瀕死にならない身体にしてやったのだッウキ!』
 瀕死に、ならない……だと……?
『そしてユーベルコードを無効化する180秒間の間に蓄積したダメージは!』
 もういい、分かった。そういう事ね。 
『解除と共に反動となってお前に襲い掛かるのだッウキ! その瞬間、お前はもう死んでいるッ! ウキ!』
「それはどうも。所でこの刀と私の戦闘力、どう見える?」
『ウキ?』
 モンキースカウターON! 荒谷・つかさ19歳、羅刹の戦巫女 × 剣豪、無表情 胸が大きい 実はいつもハラペコ 冷静沈着 ストイック 胸が大きい、身長149.1cm……。
「そこは飛ばしなさい!」
『ウキ……』
 畜生めぇ。
『……全戦闘技能オール32』
「そう。で、どう思った?」
 ガチャリと、つかさは零式を大上段に構えた。つまり、そういう事である。
『凄く――大きいですウキ』
「正解ッ!」
 怪力が放つ剣風が炎と衝撃波を纏って、辺り一面の草花をなぎ払い焼き払う。その威力はそのままエイプモンキーへとぶつかって、鋼の巨体を遥か遠くへ吹き飛ばした。
『何というキッ! 馬鹿力ッ!』
「これで終わりじゃないわよ!」
 吹き飛ばされたエイプモンキーを追撃せんと、炎を背にして大太刀を正眼に構えた羅刹が真っ向から激突。それは装甲がひび割れる程の圧倒的威力。
「そもそも私の戦闘能力はコード無しでも高いってこと、その体に教えてあげる」
『結構だウキッ! ミラクル☆サクガンキ!』
 不意に上空から巨大なドリルがエイプモンキーとつかさの間に割って入った。回転しながら大地を抉るそれは土煙を噴きながら、二人の間に巨大な大穴を開ける。
『ユーベルコードにこだわり過ぎたウキッ! 猟兵の筋肉はゴリラ! 頭脳はゴリラ! 燃える瞳は野生のゴリラ!』
「そんなバイオレンスじゃない! 訂正しなさい!」
 しかしその声は届かず、空いた大穴はにゅるりと新たな土壌が瞬時に塞ぐ。奴に逃げられたのだ。
「チッ……」
 180秒経過、辺りの草花の大半が見る影も無く焼き払われ、新たに盛り上がった土壌が墓標の様に聳え立つ。
 しかしダメージは与えた。
 そして猟兵が自らを撤退させる程の脅威である事を、あのマニアック知識マウント猿人の身体に教えてやったのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

白金・ジュン
POW判定

行動
マニアック知識に目が無いエイプモンキーに
バトルものにおける敗北フラグのマニアックな知識を語り
それを聞かせることで自身のUCの封印が解ける時間を稼ぐ

さらに聞いた知識をシミュレートしたエイプモンキーに
自身の敗北を想像させ「想像した全てを創造するUC」を逆手にとって
敗北を創造させる

セリフ
エイプモンキー!
バトルものにおいて相手の技を封じるのは逆転負けのフラグだ!

全能で万能な力は特化した力に破られる前振りで、
「想像した全てを創造する」なんてその最たるものだ!

もしその能力の持ち主が
自分が負けるところを想像したらどうなると思う?

予言しよう、最後にお前は「そんなバナナーッ!」と叫んでやられる!



●花と乙女と機械とサル
 上空の大地を抉り現れたエイプモンキーは、待ち伏せていた白金・ジュン(魔法少女使い・f05521)と対峙する。
 ばらばらと頭上から降り注ぐ残滓が土の香りを充満させて、芳しい花の香りを上書きした。
「泥まみれのお猿だなんて、戦車の方が良かったんじゃないか?」
『ウキ! 空から落ちて来るなら巨人なロボが定番ウキ! あと女の子!』
 矢張り思った通り――このサルはマニアック知識に目が無いようだ。
「それで火でも放つつもりかい? 来なよエイプモンキー、敗北を教えてやる!」
 ジュンが正面に『スレイヤーカード』をかざす。その背後には薄紫の可憐なゴーストが祈るような姿勢で【魔法少女の浄化の一撃】を繰り出さんとしていた。
『ウキキキキキ! お前の! 攻撃は! 当たらなければ! どうという事は、無いッ! ウキ!』
 ぼこり、と地面が隆起して。エイプモンキーの正面に異形の花々がその禍々しい花弁を開いた。
「マジピュア・ハートフラーッシュ!」
『柔らかなる花禍蕾ウキッ!』
 虹色に輝くジュン、どす黒いオーラを纏うエイプモンキー、同時に叫んだ二人の力が顕現し、そして放たれる。
 一つは麗しきハート形の光の弾、一つは悍ましき漆黒の花。それぞれが交錯した瞬間、辺りに閃光が迸った。

 異変はその直後に起きた。ジュンが纏った虹色の輝きがその光を失い、背後のゴーストが姿を消す。
「そうか、これがマニアックウェポン――オレの能力を封じたか!」
『左様、180秒の間、お前はただのニンゲンだ! ウキ!』
 ガチャリとエイプモンキーが両の拳をジュン目掛けて構える。しかし慌てる様子も無く、ジュンはエイプモンキーに宣言した。
「予言しよう、最後にお前は「そんなバナナーッ!」と叫んでやられる!」
『ウキ?』
 再び掛かった。絡めてなれど、これで180秒稼げればもう一度――戦える。
「何故ならばエイプモンキー! バトルものにおいて相手の技を封じるのは逆転負けのフラグだ!」
 ジュンは滔々と続ける。目的は相手に敗北を想像させる事。勝利を想像出来なければ奴の能力など通じない。
「全能で万能な力は特化した力に破られる前振りで、「想像した全てを創造する」なんてその最たるものだ!」
 故に全能で万能な力の『負けフラグ』っぷりを力説する事で、エイプモンキーを論理誘導しようというのだ。しかし。
『黄金の電気騎士』
 ガシッとエイプモンキーが一歩、前に出る。
『不老不死の絶対神』
 その動きに一切の乱れはない、腕を突き出したまま、ジュンの方へと徐々に迫る。
『ウキ、知らないか? 創造主であり造物主でありメカの天才であり全知全能なる神が存在する事を! ウキ!』
 それは一体どこの世界の話だ。兎にも角にも、これで前提条件は覆された、様に見えた。
「知っているさ。だがその神様も命を失いかけた事がある!」
『そう、しかしそれは相手が同じ神か悪魔か! ウキ!』
 神か悪魔――そんなものにやられる所を想像してごらん、きっとそこから先へは進めない。ジュンは歯を食いしばり、その時を待つ。
『そしてその神様は決して――無用なソウゾウは行わないウキ』

 ソウゾウは――想像は行わない。がちゃりと鋼鉄の拳に火が灯る。至近距離、回避する事もままならない。
「――ッ! だが、お前は油断して、自説を垂れる為にここまでこうして来た!」
 全ては知識で猟兵を凌駕し圧倒する為。その特性を最大限に生かした攻撃は的中した。故に、まだ戦いは終わっていない!
『ナックルモンキー!』
「マジピュア・ウォール&マジカルロッド・ソードモード!」
 エイプモンキーの両腕が外れて火を噴きながら突進すると共に、ジュンの背後のにゴーストがゆらりと顕現――どこか弱弱しい姿、それでも全霊を込めて星型の輝きがジュンを守らんと力場を形成する。そしてジュンが隠し持った魔法の刃がナックルモンキーと交差する様に、エイプモンキーのキャノピーへと突き刺さった。

『ウキ……。キャノピーが無ければ即死だったウキ』
 剛腕炸裂、放たれた二つの鉄拳は星の輝きが幾許かの衝撃を受けながらも、圧倒的な剛力でジュンを遥か遠くへ吹き飛ばす。
 その姿を一瞥すると、戻った両腕を再び装着して、エイプモンキーはその場を後にしたのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

メイスン・ドットハック
【WIZ】
こちらのユーベルコードを封殺してくるかのー
ならばそれ相応のやり方をせんといかんのー

UC「蜂のように舞い、華のように散る」を発動
175匹の爆弾蜂を召喚し、ハッキングで高速化し、バラバラに突っ込ませる
敵の死角から反撃するマシンで撃ち落とされるのは想定済み
実は爆弾蜂にはワイヤーを取りつけており、各所にワイヤートラップを設置させるのが狙い(罠使い)
爆発が派手な上に花びらが散っているので、視覚的にワイヤーは発見しづらい(地形の利用)
近寄って攻撃しようとしてきたエイプモンキーをワイヤーを手繰り寄せて拘束
残りの爆弾蜂を向かわせて撃墜される隙に、電脳魔術兵器で総攻撃を仕掛ける(一斉射撃、誘導弾)



●電網怪機
「こちらのユーベルコードを封殺してくるかのー。ならばそれ相応のやり方をせんといかんのー」
 メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は花畑をひらりひらりと舞う蝶を目で追いながら、腰を下ろしてぼうっとしていた。
『ウキッ、今度はお嬢ちゃんが相手かウキ?』
 来た。装甲に亀裂が入り、キャノピーも一部がひび割れたパワードスーツを纏ったエイプモンキーが、ガシャンガシャンと騒々しい音を立てながらゆっくりと近づいてくる。
「そうじゃけー。これからわれ、ぶちまわしたる」
『ウキキキキ! やってみろウキ!』
 ゆっくりと立ち上がったメイスンは『HIROSHIMA』からユーベルコードの発動を試みた。その時。
『お前の能力はハッキングで強化した電脳蜂ウキ! だったらミーの能力でハッキングし返してやるウキ!』
 エイプモンキーは瞬時に見破る。何を使おうとしたか、一瞬の動きでそれらを完璧に把握していた。
「そんな上手い事いくまいが――のぉ!」
 しかしメイスンはそんな言葉を気にもせず【蜂のように舞い、華のように散る】をこの場に呼び起こした。じわりと空間から紫電を滲ませて、総勢185匹の電脳爆弾蜂がメイスンを中心に隊列を組み、10匹を残して一斉にエイプモンキーへと突撃する。
『通信周波数解析完了――ウキキ、この距離なら十分上書き出来る! ウキャキャキャ!』
 ハッキングで強化された運動性で鋭角な軌道を取りながら殺到する巨大な爆弾蜂は、不意にエイプモンキーが全方位に放った電撃めいた何かに侵食され、機敏だった動きが瞬く間にのたりとした蝶の様な動きに変わる。ブォンブォンと相変わらずやかましい音を立ててはいるが、その動きは最早手で触れる事も容易な、ゆったりとしたものになっていた。
「運動系プログラムと探知系ルーチンに深刻なエラー……ようやりよる」
 眼に掛けた『MIYAJIMA』でクラックされたプログラムを瞬時に把握するが、修正しようにもランダムに生成される不可解なコードがその作業の邪魔をする。
『ウキキキ! こんな動きじゃあたちまちアウトだウキ!』
 そうじゃのー、してやったりじゃが。如何なる手段を以ても立て直せない状況となった爆弾蜂を忌々しげに睨みながら、着々と進められる本当の策を見破られない様、あくまでしてやられた表情を装うメイスン。それを見てエイプモンキーは満足げに、両手の指先から弾幕を形成して175匹の爆弾蜂をこれ見よがしに破壊した。
『ゲームセット、これで決まりウキ! ミラクル☆サクガンキ!』
 キラリと巨大なドリルが再び上空より飛来する。これで地中の死角からメイスンを攻撃するつもりだろうか、しかしその目論見は脆くも崩れ去った。
『ウキ? 何なのだこれはウキ!』
 回転するドリルに、爆弾蜂によって密かに花畑へ仕込まれた『KURE』のワイヤー群が物凄い速さで巻き付くと同時に、エイプモンキーも纏めて巻き込もうとその締め付けを強くした。
「阿呆め、掛かりよったのー」
 このままドリルを回転させては自身も破壊される。慌ててその回転を止めるが時既に遅く、残りの爆弾蜂がゆったりとエイプモンキーへと近づいていた。
『ウキッ!? このままでも迎撃くらいやれるッキャ!』
 緩んだワイヤーの隙間からがちゃりと両手を前に広げ、再び弾幕を形成するエイプモンキー。しかしその攻撃も囮、爆ぜる爆炎に紛れて研がれた牙を、奴はまだ知らない。
「そんなこすい攻撃で、止められるかのー」
 メイスンは『KONOMI』で解析した結果を元に、エイプモンキーに痛打を与えるべく本命の電脳兵器を続々と召喚していた。
「虚数空間より電脳魔術兵器召喚、8.8.8.8オールリンク。ディザスター、ドライブじゃけー」
 メイスンの周りには稲妻を纏った弾丸がずらりと、その全てがホーミングで一斉に発射された。
『ウキャッ! これに掴まるのは不味い……こうなれば奥の手ウキ!』
 爆炎を抜け着弾と共にエイプモンキーの制御系を侵食する電脳兵器、今度はこちらの番と言わんばかりにメイスンのハッキングが冴える。瞬く間にアクセス経路を確保し、運動系をクラックしようとしたその時。
『フェイスオープン! 焼き払え! ウキッ!』
 その叫びと共に前面の、猿の顔面めいた装甲板が展開して、中から現れた火炎放射器が周囲の電脳兵器を瞬時に焼き尽くす。そしてそのまま炎に紛れて、エイプモンキーは三度撤退したのだった。
「奥の手か、やるのう……じゃが、大分痛手は負わせたはず」
 降りかかる火の粉を手で払い、逃げたエイプモンキーを目で織ったメイスンは、これで少しは引き籠れるととりあえず安堵した。

成功 🔵​🔵​🔴​

オンカール・シン
【覚悟】を決めて敵の攻撃を食らいましょう。それで僕は瀕死です。すぐにUCを使いたいのですが180秒間は使えない。その間敵の攻撃をやり過ごさなくてはいけません。

インドではヨガ行者などの間に自分の心臓を止める方法が伝わっています。例えば1979年にあるヨガ行者は5日に渡って自分の意志で心臓を止めました。1935年にも心停止できるヨガ行者が確認されています。医師が死亡を確認し葬式まで行われた後に蘇った例もあります。

僕もそれに習い、攻撃を食らうと同時に自分の心臓を止め高度な死んだふりをします。僕が死んだと判断されて敵の関心から外れるでしょう。180秒後に蘇ってUCを発動。これで敵の意表をつけますね。 


九条・救助
お前がひとを苦しめるなら、誰だろうとやっつける。
ヒーローだからな、オレは!

凍神覚醒……ッ!
オレは……、オレは、“ウェンカムイ”だ。あまねく生命を凍て付かせ、滅ぼす悪神だッ!

……けど、お前はきっとオレの力を超えてくるんだろうね。
オレの力は氷と冷気。熱量で対抗されれば叩き潰されるだろう。

オレはそれを予測し、逆に利用させてもらう!
凍らせる力、それは即ち分子の振動を操り“止める”能力。「止める」ことができるなら、逆に「動かす」こと……熱を操る【属性攻撃】だって、オレにできるはずだ!
お前がオレの氷を溶かすために作り上げるだろう発熱装置を着火点にし、オレはこの熱をお前に叩きつけてやる!

歯ァ食いしばれッ!!


ジェリー・ワイルダー
俺はその兵器の中にどうにかして(獣殺士)を突っ込んでやりたいが、対策してくるんだろ?
俺のUCは命中しなきゃ意味がねぇ。ってことはサルはダニー達を入りこませないように気密性を上げるか、身を守るバリアを張るかってところだよな。
まぁそれはそうとサルの視力がどれだけいいか知らねぇが、俺でさえ見えないもんをずっと対策しつつ俺を攻撃できんのかな。俺まだ発動してないかもしれねぇし。
見えないものを予測したところで無駄に疲労するだけだろ。
通常攻撃はフック付きロープで花の橋の下に回避しつつ、隙をついて第2、第3のダニー達を大量に突っ込ませてやるよ。
あ、ダニーノミーラミーってのは固有名詞じゃないんだぜ。



●不死身ヒーローズ
『キキッ! ここまで来ればあの攻撃も追って来れないウキ!』
「そう簡単には行かねえぜ!」
 花弁が舞い踊る虚構の大地で、再びエイプモンキーは猟兵と対峙した。九条・救助(ビートブレイザー・f17275)は眼前の奇怪なマシンに指を差し、声高らかにその進撃の阻止を宣言する。
「へッ――何でも作れる創造主の癖に、そこら中ボロじゃねえか」
「慢心はいけません。これだけ戦っていて、まだこんなダメージしかないのですから」
 その後ろからジェリー・ワイルダー(野良猫・f15817)とオンカール・シン(ਆਮ ਭਾਰਤੀ ・平凡なインド人・f03871)が。それぞれ『ベルタ31』と『ブレンガン』を構えて、エイプモンキーへ睨みを利かす。
『ウキキッ! 揃いも揃ってミーにやられに来たかウキ!』
 勢揃いした猟兵達を一瞥し、エイプモンキーは不敵に嗤う。そうなのだ――如何に数を揃えようと、この怪人に必殺のユーベルコードはただでは通じない。
『お前はッ! 瀕死にならなければ発動できないユーベルコード!』
 指を差し返し救助に。
『お前はッ! 冷気を強さに、その代償にダメージを貰うウキ!』
 そのままオンカールへ。
『お前はッ! 殺虫剤が、効かなかったら困る』
「なんで雑なんだ俺だけッ!?」
『ウキキッ! しかし根本的に入られなければどうという事がないウキッ!』
 最後にジェリーへと、自信満々にそれぞれのユーベルコードの弱点を指摘する。これを破らなければ、敵の絶対先制はもう、止まらない。
 一陣の風が舞い散る花弁を吹き飛ばし、同時に戦端が開かれる。もう後戻りは出来ない、世界の命運を握る一戦が始まった。

『サルガイザー!』
 ガコンと開かれた猿面の装甲板から、再び二色の怪光線が螺旋を巻いて放出される。狙いはオンカール、ユーベルコードを封じる為に180秒間瀕死を免れる光条が容赦なくその身を包み込んだ。
「オンカール!」
『余所見をしてる場合かウキ! フェイスオープン! 超灼熱モードウキッ!』
 続いてエイプモンキーは装甲板を展開、中身の黒々とした剥き出しの表面から、灼熱が迸る。
『最後にキャノピー塞いでクーラー全開ウキッ!』
「なんで俺だけとても普通な返しッ!?」
『一応虫除けするウキ』
「しかも念入り!」
 エイプモンキーの腰部のハッチが開き、四方に殺虫剤を乗せた火炎放射がばら撒かれ。辺り一面が灼熱の炎に包まれた。
「畜生……。だがそれだけで俺達はやられねえぜ、なあオンカール!」
 吹き荒ぶ火の粉を払いながら、いつの間にか横で倒れたオンカールに声を掛けるジェリー。しかし反応は無い。
「オン――カール……!?」
『ウキ?』
 キャノピー内で小首をかしげるエイプモンキー。あれ、サルガイザーってそんな致死的マニアックウェポンじゃない筈……。
「お前、よくもオンカールを……!」
『何かの間違いッキ』
「死んでるよ! 見事にな!」
『ウキ……』
 それは正直すまんかった。平凡なインド人を舐めていた。まさか本当にユーベルコードの能力があるのに死ぬなんて……ありえないウキ。
 そもそも目立たない感じだったから出力調整間違えたウキ? 瀕死を飛ばして死ぬとは。しかし戦線を離脱した相手を気遣っている余裕は、無い。
「よくも、よくも……ッ!」
 無慈悲にも仲間を絶命させたエイプモンキーに対して、怒りの感情を爆発させる救助。そして発動した【凍神覚醒】が、凍てついた刃をその身に宿す。
「オレは……、オレは、“ウェンカムイ”だ。あまねく生命を凍て付かせ、滅ぼす悪神だッ!」
『ウキキッ! だがその氷の力は通じないウキ!』
「それでもッ、お前がひとを苦しめるなら、誰だろうとやっつける」
 ヒーローだからな、オレは! 一跳び、エイプモンキーへ間合いを詰める救助。しかしその氷の刃は敵の喉元に届く前に、儚く溶けて消えた。
『ウキャキャキャ! 無駄ウキ!』
「矢張りこれだけじゃ足りないか――!」
 想像通り、俺の力を超える灼熱で、俺のユーベルコードを完全に回避した。流れる血が、過ぎる時が己を傷つけ、容赦の無い灼熱が徐々に近付いてくる。
「だったら“それ”を、利用させてもらう!」
 ぶうんと、救助が纏った氷を解除する。ほんの僅か――想定だにしない動きにエイプモンキーが一瞬止まった。
『ユーベルコードを諦めた――ウキ?』
「歯ァ食いしばれッ!!」
 そのまま突進する救助。ゆらりと景色が歪んで、いつの間にか全身から炎めいた闘気が発露していた。
『ウキキ! ミーの灼熱に対抗しようなんて、しかもそんなボヤみたいなしょぼい火種で! ウキ!』
「果たしてそれだけかな――!」
 救助はニヤリと口元を歪ませる。ガシッとエイプモンキーを両の掌で押さえて、猿の灼熱を一身で受けながら。その身を揺るがす事は無い。

 そして異変は唐突に起こった。
『何! 許容熱量限界突破、どうしてウキ?』
 救助が取った策は熱を“操る”属性攻撃。これまでの氷を操る、すなわち分子運動を止める属性攻撃を、逆に分子運動を更に動かす力へ反転させたもの。
 エイプモンキーはその灼熱を自身の想像以上に増幅させられ、瞬く間にマシンに不調をきたしたのだ。しかしそれだけでは説明がつかない。何故こんなにも熱気が籠っている?
「そりゃあお前、さっき自分で言ってたよな」
 ジェリーが不敵に嗤う。その手には『I56ロケットランチャー』が。そしてその弾頭には見えない【獣殺士】――頼れる共生体がその牙を研いで戦いの時を待っている!
「防虫対策、完璧なんだろうよッ!」
『ウキキッ! まさかの熱暴走!』
 このマニアックな猿がキャノピーだけで防虫出来るとは考えにくい。恐らく各駆動部の隙間も、ギリギリのクリアランスで虫除け――害虫の侵入を防ぐ為に再調整された筈。その為想定以上に熱膨張した各部品が、マシンの挙動に深刻な影響を与えたのだ!
『しかしキャノピーさえ閉めていれば、オマエのユーベルコードは効かないウキ!』
「ではそれを破壊しましょう」
 それでもユーベルコードは効かないとタカを括るエイプモンキーに、怜悧な一言が刺さる。それは死んだ筈のオンカールの声だった。

『何……だと……ウキ? 生きていたのかウキッ!?』
「死んでましたよ。それでもヨガの力で蘇る事は可能です」
 滔々と語るオンカール。
「インドではヨガ行者などの間に自分の心臓を止める方法が伝わっています。例えば1979年にあるヨガ行者は5日に渡って自分の意志で心臓を止めました」
 ずさりと一歩、軽機関銃を両腕で構えて前進するオンカール。
「1935年にも心停止できるヨガ行者が確認されています。医師が死亡を確認し葬式まで行われた後に蘇った例もあります」
 オンカールは覚悟を以て自身の心臓を止めた。そして目立たない様、そのまま地に伏せた。
「僕もそれに習い、攻撃を食らうと同時に自分の心臓を止め高度な死んだふりをしただけの事です」
『それ何てユーベル』
「ヨガです」
 しかしその身体は止まった血流を全身に巡らすので精一杯、朦朧とする意識の中、180秒を経過した今、瀕死のオンカールが成すべき事はただ一つ。
『しまった……』
 ふわりとエイプモンキーの後ろに【戦場の亡霊】が、同じ様な軽機関銃を手に現れ、前触れも無くトリガーを引いた。
 それはただの銃撃ではない、ユーベルコードによる攻撃。周囲に響く暴力的な炸裂音と共に、エイプモンキーのキャノピーが飴細工のようにバラバラと破砕される。
『危ないウキ! マシン強制冷却、後ろの亡霊を振り落とすウキ!』
 ガチャリと己に突き付けられた銃口に恐怖したエイプモンキーは、マシンを正常に稼働させる為止むなく超灼熱モードを解除する。そして両腕を振り回し、纏わりつく亡霊と救助をブオンと振り払った。
『ウキキ……これでまた振り出しに戻っただけウキ!』
「そうかな……!」
 その隙を逃すジェリーではない。担がれたロケランから火を噴いて放たれる。
「こいつの弾頭に何が詰まっているか分かるか! 俺からのおすそ分けだぜ!」
『いけない! このままでは保健所に連れ去られるウキ!』
 しかし時既に遅い。空中で爆ぜた弾頭からはわらわらとダニー、ノミー、ラニー達が、防虫解除された獲物に向かって一斉に飛び掛かった。
『ウッキ! 一旦! ここから脱出ウキ!』
 残った防虫剤が時と共にこれらを無力化するだろう。しかしそれを待っていては、ここにいる猟兵達にフクロにされてしまうのは明白だ。
 エイプモンキーは背部のスラスターを全力噴射し、一目散にその場から逃れた。戦いはかろうじで猟兵達が制したのだった。

「逃げましたか。しかし確実に、ダメージは溜まっているでしょう」
「流石に……堪えたぜ、あの灼熱は」
 救助とオンカールはその身を削って命を賭して戦った。既にボロボロの身体を残る気力を奮わせて、何とか立ち上がる。
「ああ、だがお前さんも十分熱かったぜ」
 血を拭う救助にねぎらいの言葉を掛けるジェリー。そのユーベルコードでなければ、三人の力が揃わなければ戦える相手ではなかった。
 しかし始めてエイプモンキーにユーベルコードを当てられたのだ。
 確実に猟兵達は、敵の大幹部を追い詰め始めていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ミハエラ・ジェシンスカ
我が邪剣の術理は単純だ
先行する攻撃に意識を向けさせ、生じた隙へと本命の一撃を叩き込むもの
畢竟「来るとわかってさえいれば対処は容易い」

加えて我がフォースレーダーによる観測には死角がない
それでも敢えて死角を狙うのだとすれば
光学、念動いずれの観測も不可能な一撃という事になるだろう

ああ、結局のところ我が邪剣と何ら変わらん
畢竟「来るとわかっていれば対処は容易い」

死角への一撃を【見切り】
潜ませておいたセイバードローンで【武器受け】
しかる後に反撃を叩き込む

よくできた猿真似だ
だが死角を狙うという発想が戦いにおいてもはや凡庸
我が邪剣はその一点を偏執的なまでに練り上げたもの
同じ術理であれば見切れない道理はない


リンタロウ・ホネハミ
さぁ、蝙蝠の骨を食って【〇〇六番之卑怯者】を発動!
敵の攻撃を超音波ソナーで避けながらスリングで投擲攻撃を仕掛けるっす!

と、いきたいところっすけど
おそらくオレっちが発する超音波を相殺する、逆位相の音波発生装置を作って無効化するでしょうね
けど構わないっす、攻撃を喰らいながらでもとにかく「気合」と「覚悟」で攻撃に耐え(激痛耐性)て「投擲」!

もちろん当たんないっす
当てるつもりがないっすからね、超音波発生用スピーカーっすから
形を変えた(武器改造)から分かんなかったっしょ?

ソナーにおいて重要なのは「どこから」「受信するか」っす
人間は蝙蝠と違って、発信源を別に作れるんすよ!
と攻撃を回避してぶった斬るっす!


メタ・フレン
化物には化物を。
チートにはチートを。
ご都合にはご都合を。

私は【バトルキャラクターズ】で対抗します。
恐らく敵は単純な攻撃しか出来ないと考えていると思いますが…

≪地縛鎖≫は『地域』の情報を集める。
この『地域』をエイプモンキーだけに限定し、奴のデータを可能限り<情報収集>し、それを<暗号作成>でコード化(これを『オブリビオンコード』と名付けます)。
そしてエイプモンキーのオブリビオンコードを【バトルキャラクターズ】にインストール!
敵の『想像物質創造能力』を<学習>したゲームキャラを作ります!

これで敵がどんな攻撃を仕掛けてきても、それを無効化する武器をその都度創造してやります。
後は…想像力の戦いですね。


ナナシ・ナナイ
わいのUCは装備してる全武器(アサルトウェポンと拷問具)をぎょうさん複製し念力で操る能力や、おそらく武器による遠隔攻撃を予測・妨害するはずや。だからその予測を裏切らせてもらうわ。作戦はUCで複製した拷問具(鉄条網)を全身に巻き付け、念力で操って即席パワーアシストスーツや!!念力で固定したアサルトウェポン(突撃銃)を足場に空中を縦横無尽に飛び回りながら肉弾戦や!関節部を狙うで。拷問具にようて出た血で目つぶしもできたらええな。名付けてナナシ・ナナイ≪スーサイドアタックスタイル≫!!…死ぬほど痛いで、でも泣かない、だって男の子やもん。



●無限の軍勢
 恐るべき害虫軍団の魔の手を逃れたエイプモンキー、しかしその先には更に大勢の猟兵が待ち構えていたのだ。
 システム・フラワーズの中枢へ至る道、ここは絶対に突破しなければならないと息巻く猟兵達へ、エイプモンキーは絶対無敵の創造能力を背に不敵に嗤う。
『雁首揃えてわざわざここまで……ご苦労な事だウキ』
「化物には化物を。チートにはチートを。ご都合にはご都合を」
 しゃなりとメタ・フレン(面白いこと探索者・f03345)が一礼し、圧倒的な能力を振りかざすエイプモンキーへ言葉を返す。
「どうぞよろしく。チート対策はそれなりに、して来ましたから」
「そういう事だ。来るとわかってさえいれば対処は容易い」
 続けてミハエラ・ジェシンスカ(邪道の剣・f13828)が言葉を続けて。その手には既に二振りの『フォールンセイバー』が握られて。既に戦闘準備は万全と意志表示する。
『ウッキッキ――チートに卑怯、まことに結構ウキ』
「それだけじゃ無いっすよ!」
「あんさんの予測、裏切ったるから楽しみにしててな」
 リンタロウ・ホネハミ(Bones Circus・f00854)とナナシ・ナナイ(ナニワのマンハンター・f00913)がふらりと、それそれ己の得物を手にエイプモンキーと対峙する。
『キキッ! 蝙蝠に天邪鬼、揃いも揃って曲者ばかりウキ!』
 狂った様に笑うエイプモンキーは、相も変わらずそれそれを指差してユーベルコードの能力を自信満々に説き始めた。
『お前のユーベルコードは29体のバトルキャラクターを召喚』
 フレンの持つ『ゲームデバイス』を指差して、高らかに嗤いながら。
『お前のユーベルコードは絶対死角からの奇襲攻撃』
 ミハエラの『フォールンセイバー』を指差して、堂々と。
『お前のユーベルコードは音響探知による絶対回避』
 リンタロウの『何かの骨』を指差して、呆れた様に。
『お前のユーベルコードは42個の武器の複製の念動操作』
 ナナシの『アサルトウェポン』と『拷問具』を指差し、さも面倒そうに。
『全部非常に、非常に――面倒だが、単純ッ!』
 故にやるべき事は一つッ! パチンとマシンの指を鳴らせば、エイプモンキーの周囲に全く同じ形のエイプモンキー軍団がその姿を現す。
『数による絶対的な蹂躙! 一人でも大勢でもやる事は変わらないウキッ!』
 総勢30機。数で圧倒し、死角を欺瞞し、音響を飽和させ、圧倒的な威力を見せつける。
『この無限の軍勢、押し止められるなら見せてみよ! ウキ!』
 そして全てのマシンが一斉に、その拳から火を噴いた。圧倒的な数の暴力が、続く戦端を開いたのだった。

「死角はある――だが」
 どれが本体だ。あるいは全てがコイツそのものだとでも? 飛び交う鉄拳と光線を避けながら、ミハエラは敵の死角を――本体の死角を探る。もし想像した通りこれら全てが本体だとしたら、最早狙うべき敵は無いにも等しい。
「多分、本体はあるっす。奴の能力が想像による創造なら、それは絶対に出来ない筈っす」
 ミハエラの予想に対し、リンタロウは滔々と己の予測を語る。あくまで想像だが、それは説得力のある想像だった。
「どれもが本体で想像力豊かなんて、同士討ちを避ける為には絶対に取る事は出来ないっす!」
 自身の代わりの自身を創ったのだ。それは自身の身を護る為。現にアクティブソナーの音紋は乱れ飛んではいるが、時折それが返ってこないモノもある。
 であれば、その近くに本体が潜んでいる可能性が高い。二人はその予測に賭けて、密やかに必殺の機会を伺った。

「敵の『想像物質創造能力』の学習、して、この軍勢に対するには――」
 フレンは『地縛鎖』でこの戦場の情報を集め、これまでのエイプモンキーの能力を可能な限り解析、把握して戦いに挑んだ。そしてそれを基にした『想像物質創造能力』を学習した【バトルキャラクターズ】――29体の戦闘マシンで果敢に応戦している。しかし単純な戦闘能力のぶつけ合いでは、決してそれを上回る事は敵わなかった。何せ双方が学習し続けるのだから、多少の誤差はすぐに呑み込まれてしまう。であれば、それを覆す強大な力が必要だ。
「全機合体、オープンマニューバ!」
 単純な戦闘力のぶつけ合いだけでは、この状況を覆せない。もう一歩、いやそれ以上に敵の能力を上回る必要がある。フレンはふわりと1機の戦闘マシンに飛び乗って、それを覆す手段を発動する。
「チェンジバトルキャラクター、スイッチ!」
 全ての戦闘マシンがそれぞれ多面体のような形状に変形し、辺り一面を眩い光で包み込む。その光が晴れた時、浮遊する巨大な真紅の人型戦闘マシンがその場に誕生していた。
「あなたにこれが想像出来た?」
『出来たウキ。するとは思わなかったけどね! ウキ!』
 エイプモンキーに問うフレン。コクピット内にデバイスを接続し、額の『電脳ゴーグル』を下ろして。そして眼前の巨大な戦闘マシンに対して、数々のエイプモンキーが口々に言葉を返すのだった。
『それまでの情報は、これまでの結果に過ぎないウキ』
 ウッキッキと飛び跳ねる様な挙動でフレンを挑発するエイプモンキー。
『予測すら出来ない想像とは、こういう事ウキ!』
 それに続いて別のエイプモンキーが言葉を発した時、突如エイプモンキーの肩の穴から鬼の角めいた鋭い突起物が隆起した。
「一体、これは――?」
 戸惑うフレンに対してエイプモンキーが返す。
『要約するとこれまでに無いパワーアップをしたのさ! ウキッ!』
 そして全てのエイプモンキーの角の先端から、凄まじき勢いで電光が放たれる。それはこれまでの戦闘データには無い、新たな能力だった。相手のユーベルコードを無効化する事に特化したその力は、未だ健在だった。

「――探れたか?」
「何とか。しかし確証は五分五分っす」
 ミハエラとリンタロウはパワーアップした際のエイプモンキーの挙動を探っていた。音響の変化が発生したのは、少なくとも当初想定した地点から。敵が己の身を護る事を考えるのであれば、当然というべき結果。
「だったらわいに任せとき。わいのユーベルコードは少なくとも、奴の想像外や」
 それはナナシだった。【孤独な傭兵団】で複製し念力で飛ばしたライフルを足場に、ふわりと二人の元へ近付いて来た。
「わいの能力、ただ武器を増やすだけじゃないで」
 ナナシは二人にそう告げると、同じく増やした蛇腹鉄条網型の拷問具を全て己の身に巻き付け、念力を以て即席のパワーアシストスーツへと変貌させる。
「名付けてナナシ・ナナイ≪スーサイドアタックスタイル≫!!」
 わあ凄い痛そう。喉元まで出かかった言葉を飲み込み、二人はナナシを見送って先へと進む。願わくば予測が正鵠を得たものであると願って。

「どうや、あんさんがばらけさせて強化した連中、未だわいにはちっとも届いておらんで」
『ウキ! 猟兵はゴリラ! 忘れていたウキ!』
 自身の身体の痛みを代償に戦闘力を強化したナナシは、浮遊するライフルの上を器用に飛び乗りながらエイプモンキーらへ強襲を続ける。狙いは関節部や、肉薄して確実にダメージを与えるで、と。その一撃は致命とはならずとも、少しずつ、確実にエイプモンキーの機動力を削いで、戦闘力を削っていく。反撃の鉄拳も光線も電光も、纏った拷問具と念力が強固な装甲となって、どれも致命には至っていない。
「情報にない攻撃です。それでも」
 そしてフレンの戦闘マシンも、剛腕を振るい頭上から強烈な一撃をエイプモンキーへと浴びせ続ける。
「わたしの方が、強い」
 戦闘マシンの腹部中央に薄緑色の光が集まって、巨大な光球を形成する。
「バトルキャラクター! シャイニングストーム!」
 フレンの叫びと共に放たれた光の衝撃波が、大地を蠢くエイプモンキーの群れを悉く薙ぎ払った。
「合わせるで、トップアタックや!」
 ナナシの自らを締め付ける拷問具が、肌を裂いて血を滲ませる。
「死ぬほど痛い――でも!」
 それでもやらねばあかん。少しでも数を減らして、確実に本体を叩くんや。エイプモンキーの頭上より鮮血を撒き散らしながら、ナナシは果敢に突っ込んでいく。
「これで前が見えへんやろ、仕舞いや」
 飛び散った血飛沫がキャノピーを真っ赤に染めて、視界を塞がれたエイプモンキーの頭上から無慈悲な弾丸の雨を降らせ、止めを刺す。
『ウキキ! しかしまだまだ! ウキ!』
 二人の勇猛なアタックにより、増えたエイプモンキーは既に20体近く倒された。だがそれを嘲笑うかのように、新たなエイプモンキーが20体、大地より生まれる。

「フォースレーダーで新規に現れた奴は特定済みだ。元の残りは」
「あと10機っす。しかしこのままじゃ、皆が耐えられるかどうか難しい所っす」
「さもありなん、か。こうなれば仕掛けるか――」
 ミハエラとリンタロウは身を潜めながら、徐々に目標地点へ近付きつつあった。しかしこれ以上、ゆっくり様子を見ながら獲物を選定している時間は無い。その時、ミハエラにフレンから通信が入る。内容は敵増援出現前後の配置情報。それはフレンの地縛鎖が拾い得た、最後の情報だった。
「成程、こいつか」
「矢張りそうっすか。なら後は仕掛けるだけっすね」
 場所は予測通り、敵の特定もほぼ完了した。後は策を実行するのみだった。

『ウキキ! どうした、そろそろ疲れて来たんじゃないか? ウキ!』
「まだや。わいのユーベルコードはこんなんで……終わらんわ」
「数が多すぎます。また増えましたし――」
 ナナシとフレンが増援の対処を、それでも再び20近い数のエイプモンキーを相手取っている間に、ミハエラとリンタロウは遂に敵の本体がいる場所へと到達した。
『ウキ、そろそろ来ると思ってたよ、ウキ』
 ニヤリと笑みを浮かべて語るエイプモンキー、その数10体。リンタロウが即座に【〇〇六番之卑怯者】で潜む敵の本体を探る。この距離ならば、僅かな誤差でも見逃したりはしない。
「矢張りこいつが、本体っす」
 導き出された答えは、フレンが提示した情報と、自らが予測した情報と完全に一致した。恐らく音波を吸収する装甲でも纏っているのだろうか、一体だけ音の返りが全くと言っていい程存在しない。
『来るとわかってさえいれば対処は容易い、ウキ』
 ソナーで位置や攻撃を探るなら果たして、ミー達の飽和攻撃を躱しきる事は出来るかな? むしろ音の壁を超える事も容易いウキ、と嘲笑を浮かべながらエイプモンキーは続ける。
「ならばその身で試してみると……いい!」
 リンタロウに気を取られている隙に、不動の本体へ向かいミハエラが駆ける。だまし討ちは十八番、味方すら利用し敵を欺く――フォールンセイバーを手に縫う様に敵の合間を駆け抜けて。しかしその赤黒い光刃がエイプモンキーへ迫った時、不意にミハエラの背後から光刃が出現し、背後からずばりと斬り裂いた。
『自らの刃を喰らうのは如何な気分かな、ウキ』
「……。流石の刃だ、切れ味が違う」
 現れた刃は【邪剣開帳】――己の隠し腕に仕込まれた第3の刃だ。死角を狙い抜き放たれたそれがエイプモンキーの周囲に張られた次元フィールドを介して、己自身に刃を向ける事となったのだ。
「それに」
 ゴポリと体液めいたオイルを吐きながら、ミハエラは続ける。
「そこが死角である事は、変わりない」
『ウキッ!?』
 ミハエラの背部が爆発する。それは隠し腕の光刃をギリギリ受け止めた『セイバードローン』の自爆。爆発が次元フィールドを伝ってエイプモンキーを揺るがし、ぐらりと体勢を揺らす。
「この距離なら、外さないっす!」
「それに私の邪剣は、もう一振りある」
 刹那の隙、リンタロウの『ロックスリング』が、ミハエラの第四の『隠し腕』がエイプモンキー本体へ決死の一撃を加えた。二つの攻撃が続けざまに装甲を穿ち、ひび割れた隙間から紫電が漏れる。
『ウッキ―! しぶといウキ! ええいこうなったら!』
 ガチャリと、ミハエラとリンタロウを囲むエイプモンキーが一斉にその拳を二人に向ける。二人の意識が敵群へずれた瞬間、本体のエイプモンキーは背部のスラスターから火を噴いて、一目散に離脱した。

『ここは任せるウキ!』
 逃げるエイプモンキーを目で追って、ナナシとフレンはマシン越しに目を合わせる。
「逃げおったわアイツ――で、残るは」
「こいつらですね」
 これでもう、増える事は無い。
 その背後には40体近いエイプモンキーの残骸が。兎に角今は、こいつらをどうにかしよう。
 包囲されているミハエラとリンタロウを救出すべく、血塗れの猟兵と機械を纏った猟兵が大地を駆けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

渡塚・源誠
ボクの魔力の「モノの性質の度合を好きにできる」性質を利用した、こんな攻撃はどうかな?


まずボクの体内にある魔力の「内部に留まり続ける力」を上げた状態にして、敵の近くに接近

ボクの攻撃の要が武器内の魔力であることから、敵は「魔力を消す結界」を作るだろうけど、上のようにして体内に魔力を残し、それを使い「敵までの最短距離部分の結界の効力を弱める」よ

直接魔力を扱うのは実は苦手で、だから結構無茶な所だけど…もし上手くいけばここで投げた金属札の魔力は尽きないはず…そしたらそれで、「敵アーマー背中部分の磁力を極限まで引き上げる」よ

後は敵の胴体正面に何の細工も無い金属札(鉄含有)を投げたら、どうなるかわかるよね?


エリス・ガーデナー
事態はむずかしい!
でも怪人を倒せばいいって事は理解した!

『王女蜂の針仕事』は、帯電する鉄杭。
なら愛用のホワイトピラーに針金巻いて電気流し、電磁気力を得るわ。
その斥力籠めたピラーで薙ぎ払い、敵の猿真似攻撃を反発させて撃ち落とす!
※手袋は絶縁体素材
電気の知識はあるの!賢いアタシ!…いつ覚えたんだっけ?

まあいいわ反撃よ!
ダッシュ&ジャンプ、敵の上からピラーをぶん投げる!
その槍投げを囮に、手から『王女蜂の針仕事』を撃つ…
「蜂の巣がどこか言ってなかったわね!」
と見せかけピラーに念じ、刀身を砲台にして『王女蜂の針仕事』をぶっ放す!
敵が槍から目を離した頃合い狙い目
「ふふん。ハチミツは甘いけど、危険なのよ!」



●電光切花
 猟兵達の追撃はその手を緩める事無く、エイプモンキーに迫り続ける。あれ程の圧倒的戦力差すら覆す埒外の威力に、エイプモンキーは焦っていた。
 それは決してしてはならぬ想像。マニアック、論理的に、確実に敵のユーベルコードは無効化した筈。なのにその想像を悉く覆してくる。
 バチバチと紫電を漏らしながらゆっくりと花の大地にその脚を下ろした先に、またも猟兵が二人――エイプモンキーを見据えて待ち構えていた。
「事態はむずかしい! でも怪人を倒せばいいって事は理解した!」
「そういう事です。やるべきはいつもと同じ。過程が面倒なだけでね」
 エリス・ガーデナー(不器用なニンギョウ・f01337)と渡塚・源誠(旅好きの猟兵・f04955)は異形のマシンを目にしても臆することなく、得物を手に握り締めエイプモンキーと対峙した。
『ウキキ……。ホント、しつこいよねお前ら、ウキ』

『そっちの娘は95本の放電する鉄杭を放つ、そっちの男は威力を魔力で増幅した金属札を放つ――似てるウキね』
 溜息を吐きながらそれぞれのユーベルコードを解説するエイプモンキー。投げっぱなしの放出系ユーベルコード。であれば。
『だから纏めて、封じてあげるよ! ウキ!』
 放たれるそもそもの威力を封じれば、吸い取ってしまえばいいのだウキ! と、エイプモンキーがその腕を頭上に掲げると共に、周囲の花畑から巨大な怪物花が隆起する。
『電撃なら避雷針で封じられるよね? ここのお花畑全てがそれになるウキ』
 ボコボコと増え続ける怪物花。その全てが天に花開き、大口の様な花弁を広げている。
『ついでに魔力も吸い取るウキ。これでお前らのユーベルコードは、ただの鉄塊だウキ!』
 ウキャキャキャと嬌声を上げ勝利を確信するエイプモンキー。しかしこのサルは忘れている。幾ら想像出来ても、敗北を省みない者に勝利は決して訪れない事を。

「それでも、当たれば痛いんだからねッ!」
『やってごらんよ! ウキャキャキャ!』
 エリスは声高らかに【王女蜂の針仕事】――帯電する無数の鉄杭を召喚し、一斉に放つ。しかしその全てが、漏れる紫電を怪物花に吸収され、纏った電光を失うと共に力場を乱されて勢いを削ぎ落される。エイプモンキーに届いても、それが装甲を穿つ事は出来なかった。
「クッ――こうも防がれるなんて」
『ほうら、勢いも無い! 避けるのも簡単ウキッ!』
「ではこれならばどうでしょう?」
 ふとエイプモンキーが眼下を見下ろせば、そこには源誠の姿が。その手には【弾丸級金属札乱れ撃ち】の魔力を行き渡らせた『魔力貯蔵機能付金属札』を。飛来する鉄杭に紛れて目立たない様忍び足で近付いた源誠は、咄嗟に溜め込んだ魔力を、金属札を伝って構築した呪文をエイプモンキーへ染み渡らせたのだ。
『直接魔力を! ウキ!?』
「あまり得意じゃありませんし、何より留まらせた魔力も少ない。ですが、これだけ近寄れば十分です」
 ぶぉんと発動した魔力は傍目には何を起こしたか分からない。だがそれが齎した異常は、搭乗者であるエイプモンキーが肌身をもって直ちに実感した。

『ウキ、ミーのマシンを磁石に!?』
 マシンの関節がぎこちない。それに鉄杭が――当たって落ちて、ただの鉄の塊となった物が、ふわりと浮かんでエイプモンキー自身へ纏わりついてくる。
「それだけじゃないわッ!」
 その声は遥か天上から。『ホワイトフリルリボン』をひらりと舞わせて、大地を駆け大きくジャンプしたエリスが、その手の『ホワイトピラー』を高々と振り被っていた。
「蜂の巣がどこか言ってなかったわね!」
 轟音一閃、空気を裂いて投げ放たれた豪著なランスが、磁力に引き寄せられるように深々とエイプモンキーに突き刺さる。その円錐状の本体には針金がコイルの様に巻かれて。それは雷を誘導する導雷装置となった。
「大穴開けるわ、覚悟はいいわね!」
 バチバチと、上空から続け様に残りの鉄杭を召喚するエリス。紫電を纏って現出したそれらから、避雷針の様に高々と掲げられた白い柱目掛けて放電が届く。
「こうすれば迷わず、巣に戻れるわ!」
 稲妻のロードが行くべき道を作り、それに沿って王女蜂の針が殺到した。最早逃れる術は、無い。
『グギギ――ウキャアッ!』
 バキバキと装甲を穿ち、無数の鉄杭が突き刺さったエイプモンキーの上半身は、ハリネズミの様に肥大したシルエットを作って、バチバチと全身に稲妻を纏わせる。
「アタシを阻むもの全て、こうなるの」
「そして磁力が極限まで上がった本体にこれを投げれば――どうなるか分かるよね?」
『ウキャッ!?』
 エイプモンキーから離れた源誠がふわりと鉄札を投げつける。その鋭い一撃が動力部を貫いた時、盛大な爆発が全てを呑み込んだ。

 大地が揺れ、新たな道が形作られる。その先はシステム・フラワーズの中枢。
「ふふん。ハチミツは甘いけど、危険なのよ!」
 すとんと着地したエリスは、エイプモンキーの残骸からホワイトピラーを抜き放つと、その尖端を新たな道目掛けて掲げた。
「そうですね。その危険を甘く見られたから、ボクらは勝てた」
 風に乗って寄ってくる灰を手で払いながら、源誠もその道を見据える。
 ここでのエイプモンキーは討ち倒された。
 それはこれまでの数多の戦いが、確実にエイプモンキーを追い詰めていた成果であった。
 しかし大幹部はまだ残っている。戦いは終わっていない。
 新たな敵を倒し平和を取り戻すべく、猟兵達は再びその歩を進めるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月12日


挿絵イラスト