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バトルオブフラワーズ⑨〜猿は賢いので

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #エイプモンキー

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 ザ・ステージを制圧し、システム・フラワーズ内部へと侵入することが出来た猟兵達。キマイラフューチャーの中心、核とも言えるその戦場は、名前に違うことなく多種多様の花が咲き誇る、楽園を思わせる空間であった。
 見渡す限りどこまでも広がる花園、その中心に鎮座する怪しい人影がひとり…。
「ウッキッキッキー!…猟兵どもめ、ザ・ステージを運良くクリアしたようだがこのエイプ様相手はそうはいかないウキよ!」
 怪人幹部の一人、マニアック怪人のエイプモンキーは自信満々にガハハと笑う。
「なにせミーには『想像力の範囲でなんでも創造できる』力があるッキーからね!持ち前のマニアック知識を生かして!どんな攻撃だろうと!無効化するメカを瞬時に作り出してボコボコにやっつけてやるウキ!ウーーッキッキッキー!」
 エイプモンキーは、不敵な表情でいつまでも笑い続けるのだった。


「…えーと、そういうわけで次の相手はお猿さんですわ」
 グリモア猟兵のペパシア・ドロキペは集まった猟兵達に敵の情報を伝える。
「システム・フラワーズの先へと進むためにはどうしてもこの敵、『エイプモンキー』を倒す必要がありますの。幹部のひとりで、決して油断できない相手ですわよ」
 エイプモンキーの能力、『想像力の範囲でなんでも創造できる』力は、猟兵達のユーベルコードをことごとく無効化してしまう。そうなってしまえば、下手したら一方的に蹂躙されてしまう可能性もないでは無い。
「でもね!勝ち目はありますわ!」
 ペパシアが高らかに宣言する。
「敵の能力は確かに強い。ですけれどその能力を充分に生かしているのは彼の持つ想像力、つまり、『マニアック知識』によるものですわ!ならば簡単。わたくし達は彼のマニアックさを上回る、さらにディープな想像力を使って打ち勝つのよ!」
 敵は猟兵達のユーベルコードの弱点を見出し、それに有効なマシンを作り出して攻めてくる。しかし、自分のユーベルコードを最もよく知るのは猟兵自身である。自分についての知識ならば負ける道理はない!
「お猿さんの創造したユーベルコード対策をさらに見切って、必殺のユーベルコードをぶち当ててやりますのよ!みなさま、頑張ってくださいまし!」


森の人
 おはようございます。森の人です。
 今回の敵は猿怪人…何やら親近感を覚えます。
 以下、今回の戦闘ルールです。大切な情報ですので目を通しておいてください。
 それでは、頑張っていきましょう!ご参加お待ちしております!


 エイプモンキーは、猟兵が使用するユーベルコードの設定を元に、そのユーベルコードを無効化する武器や戦術を創造し、回避不能の先制攻撃を行ってきます。
(ユーベルコードで無効化したり相殺した後、強力な通常攻撃を繰り出す形です)
 この攻撃は、ユーベルコードをただ使用するだけでは防ぐことは出来ません。
 この先制攻撃に対抗する為には、プレイングで『エイプモンキーが自分のユーベルコードに対抗して創造した武器や戦術を、マニアックな理論やアイデアで回避して、攻撃を命中させる』工夫が必要となります。
 対抗するためのプレイングは、マニアックな理論であればあるほど、効果が高くなります。
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第1章 ボス戦 『マニアック怪人『エイプモンキー』』

POW   :    マニアックウェポン
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【敵に有効なマニアックな装置】が出現してそれを180秒封じる。
SPD   :    マニアックジェット
【敵のユーベルコードを回避する装置を作り】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:柿坂八鹿

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 システム・フラワーズ、色とりどりの花「のみ」で構成された空間。花々の隙間から下を覗きこもうとしても、見えるのは別の花びらだけであり、狐に化かされているかのような感覚を覚える。
 そんな花園の中へと飛ばされた猟兵達。花々で構成された地面の上に立つという、未だかつて経験したことがない不思議な感覚に戸惑いつつも、倒すべき敵を探そうと気を切り替えて走り出す。
 すると、倒すべき目標である怪人エイプモンキーはすぐに見つかった。花びらを幾重にも積み重ねた大きな丘の上に鎮座し、猟兵達の姿をせせら笑いながら眺めている。
「キキキッ、遅かったウキね!待ちわびたッキーよ!」
 エイプモンキーはのそりと立ち上がる。そして、突然巨大なマシンガンを取り出したかと思うと、猟兵達に向けて撃ちまくる!
 戦闘が始まった!
黒川・闇慈
「さてさて、猿山の大将のお相手ですか。気合を入れませんと。クックック」

【行動】
wizで対抗です。
私のUCは命を削るものですので、攻撃を無効化される状態で時間稼ぎをされると非常にマズいことになります。
ですのでここは『ニセアストラル体作戦』です。私の体を魔術で青白く光らせてなんとなく超アストラル体であるかのように見せかけます。あまり手抜きをしてもバレますのでそこそこの魔力を持つ魔力レーザーで攻撃などしてみましょう。
しばらくしたら苦しむフリをしつつ発光を解除。相手が攻撃をしかけてきたら高速詠唱の技能で迅速に本物の超アストラル体に変身。全力魔法の技能でアストラルレーザーを放ちます。

【アドリブ歓迎】



「さてさて、猿山の大将のお相手ですか。気合を入れませんと」
 クックック…と、さぞ可笑しそうに黒い衣服の青年が笑う。孤高の魔術師、黒川・闇慈(魔術の探求者・f00672)である。
 自身に向けて放たれたマシンガン攻撃。それを彼はゆらり、と動いて避ける。
「ムニャムニャムニャ……アストラル・ハイ!」
 素早く口の中で呟いた高速の詠唱により、闇慈の体は青白く輝き始める。
 その光景を見たエイプモンキーは…したり顔でにやりと口角を上げる。
「その発光現象…博識のミーは知ってるッキーよ!魔術に由来する霊的エネルギー…、アストラル体ってやつウキね!その姿ならミーの攻撃を受けないと思ったウキ?キーッキッキ!甘いウキよ!」
 突然、エイプモンキーは自身の立つ花びらの中に手を差し入れたかと思うと、そこからヘルメットのようなものを引き抜き頭に装着する。
「キッキッキ!魔法だってミーのマニアック知識の範囲内ウキよ!」
「へえ…、そのへんてこなヘルメットに何かとてつもない効果が?」
「そのとおり!このヘルメットはミーの精神波動の出力を格段に高めてくれるスーパーメカなのだ!これを使えばほら、この通り…アストラル体相手にでも攻撃を加えられるというわけウキよー!!」
 エイプモンキーは発光している闇慈の方へと、手を叩きつけるようなジェスチャーをしてみせる。すると、念力のようなパワーだろうか…。闇慈の方へと凄まじい衝撃波が襲いかかった。
「おおっと危ない」
 殺気を察知した瞬間に素早く一歩後ろへと飛び去った闇慈は、その一撃を避けることが出来た。…ふと前を見ると、自分がさっきまでいた空間にあった花々が大きく手の形に抉り取られているのが見える。
「なるほど…口先だけじゃないようですね」
 確かに、アストラル体だろうとあの攻撃を喰らえば大ダメージは避けられないだろう。
「しかし、遠距離攻撃には遠距離攻撃です。私の魔力レーザー、あなたに避けることが出来ますかね?」
 闇慈は敵を撹乱するため走り出す。そして、エイプモンキーに向けて両手から魔力の光線を連続して発射する。
「キキッ、そんなもの、避けるまでもないのよな!」
 エイプモンキーは念力の手を操ると、それらのレーザー光線を野球ボールをキャッチするかのように受け止め、打ち消してみせた。
「キキキッ!ざっとこんなもんウッキー!エイプモンキー様の強さ、さぞその身に染みたことだろうウキ! ………そして、そろそろ時間切れのようウキな?」
「…ぐはっ!」
 何が起こったのだろうか。闇慈は苦しそうな表情をしてその場で膝をつく。先ほどまで力強く発光していたのが嘘のように、輝きを失った闇慈は憔悴しきっている様子である…。
「くっ…ア、アストラル・ハイは著しく命を消費する技…。私の体力が長くは続かないこと、気づいていたのですね…」
「ウッキー!当たり前だウキ!ミーを誰だと思ってるんだウキ?お前の技の欠点など、このミーの天才的観察眼によってとっくに把握済みだったウキ!」
 勝ち誇った表情で彼を見下ろすエイプモンキー。そして、ニンマリと意地悪い笑みを浮かべると、もはや死に絶えの闇慈の方へとゆっくり歩いてくる。
 被っていたスーパーヘルメットを外して投げると、パキポキ拳を鳴らしてみせる。
「もはやこのヘルメットも必要ないウキね。このミーの自慢の拳で、じっくり料理してやるッキーよ…!」
「……………はい、出来るものならね?」
 待っていたのはこの瞬間だ!口の中で高速詠唱を行う闇慈。…突然、彼の体は燃え盛るかのように光り輝き、見る間に姿を変える!それは!そう!魔法的エネルギーのみで構成された、上位次元の存在、超アストラル体だ!!
 …つまり、エイプモンキーの自慢の拳は虚しく空を切った。
「ゲエーーッ!?お、お前!死にかけだったはずだウキ!なんで動けるんだ!」
「簡単なこと。先ほどまでの私はアストラル体ではなかったのですよ……ただ、光っていただけです。そして…クックック…この距離なら外しませんよ」
 アストラル体全身から放射される不可避の光線!至近距離にきてしまっていたエイプモンキーは、それを余すところなく浴びてしまった。
「ウキギャーー!!!」
「ふう…。奴の天才的観察眼…とんだ節穴でラッキーだった、といったところでしょうかね」
 レーザーを浴びて遠くまで飛んで行ったエイプモンキーを細目で眺めて、闇慈はそう独りごちた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヒバゴン・シルバーバック
アドリブアレンジ絡み可能使用はSPD

「お前とはいずれ戦わなくてはならないと思っていたウホ……」

ゴリラ型ロボットのヒバゴン・シルバーバックはタルを片手にエイプモンキーと静かに睨み合う。
そしてヒバゴンは無言で腕を振り回して限界まで力を溜めた。UCを放つために。
全力の一撃を放つシンプルなこの技には弱点も多い。敵は間違いなく回避するだろう。故にこそヒバゴンはタルを持ち込んだ。
「ウホオオォーー!」
ヒバゴンは助走をつけてタルを全力投擲!次に投げたタルを飛び越し、そのままUCを発動する。エイプモンキーの後の先に対してヒバゴンの出した答えは、想像の先を行くことだった。
「ゴリラはいつでも猿の一歩先を行くウホ!」



 猿と人との化かしあい合戦、初戦は猟兵の勝利であったようだ。
 ならば次鋒戦…この男ならどうなるだろうか。
 鋭い目付きで静かにエイプモンキーを見つめるゴリラな男、ヒバゴン・シルバーバック(ゴリラ型ロボット・f07349)。
 彼はこの一戦、並々ならぬ思いで挑んでいた。
「お前とはいずれ戦わなくてはならないと思っていたウホ……」
 そう、これはキャラ被りをなんとかするための闘い。類人猿キャラは一人でいい。どちらかがこの戦いで散らなければいけない!
 ゴリラ型ロボット、ヒバゴンは静かに巨大なタルを持ち上げた。
「…ウキ?なんだぁそのタルは?まさかそんなものでこのミーに挑もうってわけじゃないだろうッキーな?」
「ウホ、そのまさかウホよ」
 ヒバゴンはタルを持ち上げていない方の腕を勢いよくグルグルと回し、エイプモンキーを威嚇する。
「もはや苦笑いしか出ないウキよ…。まあいい、投げたきゃ投げてくるウッキー…。このメカで相手してやるウキからかかってこいッキー」
 そうしてエイプモンキーが取り出したのは小さなトランポリンだ。投げやりにそれを地面に設置すると、ポヨンポヨンその上で弾んでみせてヒバゴンを挑発する。
「キッキッキッ、そもそもミーのような知的なお猿さんに、ユーみたいな力任せのゴリラが勝てるわけないってことッキーね!さあ、かかってこいウキ!」
「吠え面かくのはどっちか、見せてやるウホーー!!」
 さあ、運命の一投……投げたっ!!
「ウホオオオォーーーーーッ!!!」
 渾身の振りかぶりでエイプモンキーへと放たれたタル。その勢いはまるで隕石である。
「ウキャアアアァーーーーー!!なまっちょろいウキーーー!!」
 ボヨォォォオオン!
 トランポリンを使って天高くジャンプしたエイプモンキー。…なんて高さだろうか!ヒバゴンの一撃は……虚しくその下を通過することとなった。
 「ウッキッキ!見たかゴリラ男!これが格の違いってやつッキーよ!」
 と、エイプモンキーは笑いながらヒバゴンの方を睨みつける……が、ヒバゴンが……いない!?
「ここウホよ!!!」
 その声に反応してエイプモンキーは自分の頭上を見上げる。するとそこには、拳を天高く振り上げて殴りつけようとしているヒバゴンの姿があった!
「…くそっ!あのタルはフェイントか!」
「気づくのが遅かったウホね!ゴリラはいつでも猿の一歩先を行くウホ!」
 そしてヒバゴンは、強烈な1発をエイプモンキーへとお見舞いした!……かに思えた。
「…くっ…、足りないウホかっ…」
「…あ、危なかった。…冷や汗かいたウッキー……」
 ヒバゴンの必殺技、グラウンドクラッシャーは、地に足つけて相手に攻撃を叩きつけた時、その真価を発揮する。空中戦では、ほんの少しだけ威力が不足していたのである。
 それでも強烈な一撃を受けたエイプモンキー。地面へと勢いよく叩きつけられるのであるが、システム・フラワーズの花びらはふんわりと優しくそれを受け止めてしまったわけだ。
 猿とゴリラの決着がつくのは、まだ少しだけ、先の話であるようである…。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ゲンジロウ・ヨハンソン
○アドリブ歓迎

○先制への対応
はじめにエイプモンキーに向けて用意したビニールシートを広げ、
ドラム缶に入った大量のクッキングオイルを流し込み準備完了。
シンプルな殴るUCを選択じゃ。相手のとってくる行動は、このUCの威力に合わせた火力での相殺や防御壁、重装甲の展開ってとこじゃろ。
なれば、わし自身以外の部分で元の威力を越えりゃいいな。
お前さんは知っとるか、とあるテレビ番組で検証された「一番滑るオイル」を。
それはベビーオイルでも、魚肝油でもない!
【料理】用のクッキングオイルじゃ!
つるっと滑って高速滑走!この速度でUCを放てはきっと奴を打ち破れるはずじゃ!

○戦闘
敵を油塗れにして火をつける。UCで殴る。



「危ない危ない…もう少しでやられてしまうところだったウッキー!だがしかし、もう油断はしないウキよ!」
 エイプモンキーはサングラスの奥の鋭い目で猟兵達を睨みつける。その視線に負けじと、猟兵達も真剣な眼差しで怪人を見つめ………て?
「え、何してるんだウキ…?」
 エイプモンキーがつい気の抜けた声を上げる。それもそのはずである。猟兵の中にひとり、おかしな行動をしてる者がいた。
「…え?何かの?」
 その猟兵、ゲンジロウ・ヨハンソン(腕白青二才・f06844)は自分が注目を浴びていることに気づくと、逆にキョトンとした顔でキョロキョロ周りを見渡す。
「し、真剣勝負の真っ最中に何をしてるんだって聞いてるんだウキーーー!!」
「油で辺りをびしょびしょにしないようにビニールシートを広げてるんだが?…まさかお前さん、この美しい花畑をギトギトにしたいってわけじゃなかろ?」
 そう言うとゲンジロウは、自分が敷いたシートの上に、ドラム缶からバシャバシャと料理用油を流し入れる。
「よし、じゃあエイプモンキー君、この上に立っとくれ」
「……普通に嫌だウキよ!!」
「嫌といっても立つことになるんじゃ。このわしの全力のユーベルコード、【筋絆仲の拳】を受けるんじゃからのう…」
 そこで初めて、エイプモンキーはこの目の前に立つ男が警戒に値する強者だということに気付いた。
 さっきまでのおちゃらけた雰囲気とはまるで違う。全ての力を拳へと蓄え、必殺の一撃を喰らわそうと気を高めるゲンジロウ。
「(こ、こいつ…強いウキ…。だがしかし、その攻撃、明らかに近距離パワー型と見た!)ウッキィー!当たらない攻撃など怖くもなんともない!一旦距離をとって離れるウキー!」
 油でテカテカ光るビニールシートの上から飛び退き、急いで距離を離そうとするエイプモンキー。しかし、ゲンジロウはいつの間にかその背後へと回り込んでいた。
「ここじゃよ」
「ゲッ!?いつの間に後ろに!?」
「…お前さん、知っとるか?最も滑るオイルというものを…?」
「…え、何を言ってるんだウキ…?」
「それはな、ベビーオイルでも、魚肝油でもなく、料理用のクッキングオイルじゃ!!!今のわしのスピードからは逃げられんぞ!!」
 なんということか。この男、ゲンジロウ。オイルを撒いて摩擦係数を限りなくゼロにすることで、とんでもないスピードを手に入れたのだ!先ほどまでの奇行はそのための場面作りだったのだ!気が付かなかった!なんという機転!

「……そんな馬鹿なことがあるかーー!!ウキー!!」
 エイプモンキー、キレる。
 そして、吠えつつも冷静に…である。瞬時に、幾層ものバリアを目の前に展開していく。ゲンジロウの必殺の一撃、それさえ喰らわなければ結局どうってことはないのだ。この一撃をバリアで耐えて、マニアックウェポンで反撃をしてやるとしよう!
「キッキー!このバリアの厚さはちょうど30cmある。ユーの攻撃じゃあ貫けはしないウキねぇー!ちょっと驚いたけどここで終わりだウキよー!」
「ほう……、なるほど確かにそうなってしまえばわしの力では突破不可能だのう…」
「…キキキッ!そうだろうそうだろう!これでミーの勝ちだッキー!!」
「わしの力、『だけ』ではの?」
 次の瞬間、ゲンジロウはクッキングオイルに火を放った。瞬く間に辺り一面は燃え上がり、戦場は火の海と化す。
「ゲェー!?何してるんだッキー!?ユーも燃えちまうんだウキよーー!?」
「はっはっは、火炎ごときでちぎれるほどわしの筋繊維はヤワじゃないわい!」
 そしてゲンジロウはエイプモンキーに向けて体当たりを仕掛ける!!
 筋肉のパワー × スピード × 炎の威力 = 破壊力!!
 エイプモンキーのバリアはいとも容易く破壊された!!
「ウキーー!!!?!?!」
「…油断してもしなくても、同じ結果になったようじゃのう?」
 ゲンジロウは力こぶを威勢よく見せつけながら、満足そうににやりと笑った。

成功 🔵​🔵​🔴​

片桐・公明
銃撃と格闘で応戦
攻撃より回避を優先し、相手の行動のパターンを分析する
UCは切札
最後まで温存する

【WIZ】
「想像力が力とは恐れ入ったわ。確かに並みの攻撃なら効かないでしょう。」
「だけどそれにだって弱点はあるわ。」
「想像力は知識と経験が下敷きにあるもの。つまりあなたか経験したことが無く、知見の無いものに対しては無力と言うことよ。」
「異なる世界で灼滅者として戦っていた両親の経験。そしてこの世界では消えてしまった、母さんの先祖が培った歴史。想像できるものならしてみなさい。」(UC発動)

「私の業火がただの炎だと侮ったツケ。あなたの命で払ってもらうわ。」



「ウキウキ…ウッキー!まだバリアが破壊されただけウキ、ミーは全然無傷だウキよー!!」
 体の節々を焦げ付かせながら、花々を掻き分けてエイプモンキーが飛び出してくる。
 そうは言うものの、怪人の姿はなかなかに満身創痍に見える。この気を逃してなるものかとばかりに、猟兵達は果敢に攻める!
 片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)もそのひとりだ。特徴的な銃を振り回しながら弾丸をばら撒き、エイプモンキーの体力を少しでも削ろうと応戦する。
「この怪人、前評判ほどの実力ではないわね!皆、ここで一気に方を付けるわよ!」
 公明の号令に倣って、猟兵達が一斉攻撃をかける。
 …しかし、猟兵達の攻撃を四方八方から受け止めるエイプモンキーは、それでも何故か余裕の表情だ。
「キッキッキ、ユーたちさっきから頑張ってるようだけど、ミーにはちっとも聞いてないウキ!…なぜだかわかるかね?ユーらの攻撃はぜーんぶ、ミーの想像の範囲でしかないんだウキよー!!」
 そう言ってエイプモンキーは全身に力を入れる。すると…、猟兵達の攻撃が全て弾き返されてしまったではないか!
「キキキッ!今ユー達が行った攻撃全ての軌道を予測して、それに対応したメカを作り上げたウキ!ミーが本気を出せばこの程度、おちゃのこさいさい!伊達に幹部やってないウッキー!!」
 キャッキャキャッキャとはしゃぎ回って喜ぶエイプモンキー。その周りを、小型の戦闘メカドローンがふよふよと浮いて回る。先程の現象は、このメカがやったものらしい。
 勝ち誇るエイプモンキー……その前に、いち早く立ちなおった片桐・公明が銃を構えて立ちはだかる。
「まだ勝負は終わってないわ…。私が相手よ」
「はぁ…つまらんウキねぇ…。ユーは…銃が得意みたいウキね?でもミーは、なんならユーが放つ全ての弾丸をメカたちで相殺できるウキ。勝ち目ゼロウッキーよ?」
 その発言に同意するように、ドローンたちがやんややんやと騒ぐ。
 公明は強い意思を持った視線でエイプモンキーを睨み返し、両手に構えた拳銃を怪人へ突きつける。
「…想像力が力とは恐れ入ったわ。確かに並の攻撃はあなたには効かないようね」
「わかってくれて嬉しいウキよ」
「だけど、それにだって弱点はあるわ」
「…ウキ?」
 エイプモンキーは不機嫌な表情を浮かべ、ため息をついて公明を見下ろす。
「想像力は知識と経験が下敷きにあるもの。つまりあなたか経験したことが無く、知見の無いものに対しては無力と言うことよ。…でしょう?」
「…まあ、理論上はそうウキね。でもミーには無限に等しいマニアック知識がある!ミーの知らないものなんて、この世の中に、あーるっのっかなあ?…ウキキ!」
「…そう。ならこの攻撃はあなたに通るわね。…異なる世界で灼滅させる者として戦ってきた両親の経験!そして、この世界では消えてしまった母さんの先祖が培った歴史!どれもあなたが知らないものよ。想像出来るものならしてみなさい!【紅蓮『赤壁乃業火』】!!」
 途端、彼女が構えていた両手の拳銃から業火が放たれる。全てを焼き尽くす、紅蓮のエネルギー波。その炎はまるで意思を持っているように…大蛇のごとくエイプモンキーへと纏わりついた。
「あ、熱い!?熱いウキ!?」
 エイプモンキーの召喚していた戦闘用ドローン達が瞬く間に溶け落ちる。この世に存在するはずのないエネルギーによる攻撃、それを防ぐ術は流石のエイプモンキーでも持ってはいなかった。
 システム・フラワーズの花園の中を、炎を消そうと転がり回るエイプモンキー。しかし、公明の操る大蛇は、一度縛り付けた獲物をそう簡単には離さない!
「私の業火がただの炎だと侮ったツケ。あなたの命で払ってもらうわ」

成功 🔵​🔵​🔴​

庚・鞠緒
ウチの「Touch of red」の弱点はダメージを受けないといけねェって事だ
逆に言えば負傷受けりゃァいいわけだが…どう対策してくる?

負傷させずにヤるなら毒か?【毒耐性】には自信がある
首でも絞めるか?【怪力】で引き剥がせねェくらい強くやってみるかよ
一撃で葬るか?なら【第六感】で攻撃を【見切り】致命傷を避け【激痛耐性】で耐える
もたもたしてンなら自分で自分を傷つけて負傷を作る
こいつは自傷じゃねェ、お前のせいでやらざるを得なかったンだよ
増加した戦闘力と【生命力吸収】能力で強引にいく
【力溜め】て【2回攻撃】で装甲ごとブった斬る
マニアックに攻めて、どうにかしてみろよ
そいつはゴリ押しの暴力に勝てンのか!?


美国・翠華
【アドリブ歓迎・共闘希望】
ユーベルコード…
私が半死半生になることでUDCは開放される
私は死なないから即死攻撃で倒すのは対策ではない
となると後は私に攻撃せず、自傷もさせなければ無力ということかな
こちらの動きそのものを封じられれば無力になる

ユーベルコードを発動しようとすればおそらくそうするでしょうね
けど、私はまず戦場を見渡して
敵の攻撃も味方の攻撃も見極める
そしてそれに合わせて早業のように動く
あえて激しい戦場へ飛び込むわ
相手には自分を攻撃させようとしてると見えるかもね
でも、私の攻撃は対策できたとしても

私が「たまたま事故」で重傷を負うことは対策できる?
開放されればUDCは動ける
思う存分暴れていいわ



「だ、脱出脱出ーー!!」
 エイプモンキーは拘束技から逃れる手段が無いと判断すると、取り出したボタンをポチリと押す。
 すると、爆発音とともに何かがエイプモンキーの体から射出された。よく見ると、それは一回り小さいエイプモンキー(本体)だ!
「ぐぬぬぅ…!まさかミーのスーパースーツを捨てなければいけない事態になるとは…。猟兵ども!この借りはでかいウッキーよ!」
 憎しみを隠さず、怒りを露わにするエイプモンキー。猟兵達はそんなエイプモンキーを取り囲むと、カウンター攻撃を受けないよう周囲を気にしながら、じりじりと距離を詰めていく。
「あの野郎、明らかに弱体化してやがる!テメェら、逃がすんじゃねェぞ!」
 眼光鋭い少女、庚・鞠緒(喰らい尽くす供物・f12172)は周りの猟兵にそう声をかける。
「弱体化ァ?…キッキッキ、舐めるなよ!みんな纏めてかかってくるウキ!」
 エイプモンキーは周りの猟兵をぐるりと一望し、サングラスの奥の、未だ爛々と輝く好戦的な目付きでにやりと笑う。
 奴の発言はハッタリではない。猟兵達の間に静かな緊張が走る。
 その膠着状態をいち早く脱したのもまた、少女猟兵、鞠緒であった。
「言ってろよ!」
 両腕の鉤爪を怒らせると、一瞬でエイプモンキーの目の前まで移動。連続の引っ掻き攻撃で猿怪人を八つ裂きにしようと試みる。
「ウッキッキ、その程度ならメカを使うまでもないウキねぇ!」
 エイプモンキーは攻撃の軌道を素早く予測し、その全てを俊敏な動きで躱してみせる。
「…チッ、猿野郎!避けてばっかりいないでウチの相手をしやがれ!」
 そんな怪人の態度に苛立った鞠緒は、さらに激しくエイプモンキーに連撃を浴びせる。しかし、エイプモンキーはウキウキ笑いながら、それをいなすばかりである。
「キキキッ、ユーの魂胆はわかってるウキよ。その攻撃、ユーベルコードが未発動ウキね?ユーのユーベルコードを発現させるためには、何かトリガーが必要になるようウキねぇ……例えば、一度相手の攻撃を受ける必要があるとか?」
 エイプモンキーの天才的観察眼は、鞠緒の攻撃が一瞬揺らぐのを見逃さなかった。
 図星である。鞠緒のユーベルコード、【Touch of red】はダメージを受け、血を流さないと発動しない技。幹部怪人に通用するまでの即時強化を自身の体にもたらす為には、一度敵に攻撃をしてもらう必要があるのだ。
「へッ、だったらどうだってンだ?てめェ、永遠にウチの攻撃を避け続けてるつもりかよ?」
「うーん…それは確かにめんどくさいウッキー…。仕方がない、相手してあげるウキよ。……でも、ユーの喜ぶ攻撃は、ぜーったいしてあげないもんねー!」
 エイプモンキーは、銃のようなマニアックマシンを目の前で瞬時に作り出す。そしてトリガーに指をかけると、躊躇することなく即発砲!
 鞠緒の胸へと、ぺたり、吸盤のようなものが命中する。吸盤からはコードのようなものが伸び、それはエイプモンキーのマニアックマシンへと繋がっている。
「ご存知、『電気ショック』ウキよー!!流血沙汰無しの戦闘にはもってこい。心臓の鼓動ごとその血流、止めてやるウッキー!!!」
「うぐぅぅぅ…!」
 インド象でも即死する高圧電流だ!激痛には耐性がある鞠緒といえど、堪らず絶叫した。
「ウッキッキ!ミーの勝ちウキー!」

 同じ頃、その体にUDCを宿す少女。美国・翠華(生かされる屍・f15133)は歯噛みしてエイプモンキーを見つめていた。
 彼女のユーベルコードの発動条件は、奇しくも目の前で戦闘中の猟兵、鞠緒と同じ。大きなダメージをその身に受ける必要がある。
 【名状しがたき被虐の代償】…そう名付けられた彼女のユーベルコードは、自身が死に瀕する状況に追い込まれた時、融合しているUDCが力を貸すため覚醒するというものだ。
「(助けに入りたいけど…あいつ、私のユーベルコードの発動条件に気付いている!きっと私が駆け寄ったところで、電流で筋肉を硬直させて動けなくさせられてしまうわ…)」
 鞠緒と戦闘しながらも、チラチラと周りの猟兵へ視線を送るエイプモンキーは、それだけで翠華が同様の能力を持つことを察したのだろう。こちらを牽制するかのように電撃銃を見せびらかしている。
「どうしたー?誰も助けに来ないウッキーかあー?」
 電流の光に顔を照らされながら、エイプモンキーが周りの猟兵に吠える。そして手元のダイヤル─電流の威力調節機構だろうか?─をカチカチと回し、動けない鞠緒をさらに痛めつける。
「くっ…そうは言っても、助けないわけにはいかないわ!」
 翠華は堪らずその場から駆け出す。そしてにんまりと笑顔をうかべる猿怪人に向かって大きくジャンプをすると、思いっきり体当たりをしかけ…。
「馬鹿めウキ!これでユーもビリビリ地獄ウキよ!」
 するとエイプモンキーは、取り出したもうひとつの電撃銃を翠華に向かって突きつけ、すぐさま放つ!
 ぺたり、同じく電撃吸盤が翠華に命中する。
「くっ…!」
 焦りで額に汗をうかべる翠華。果敢の突撃は不発に終わってしまった…。
「キキキッ、安心しろ。ユーの電撃はちょーっとビリビリするだけウッキーよ。せいぜいそこで痺れて、他の猟兵が全滅するのを見てるがいいッキー!」
 その言葉通り、翠華の全身に弱い電流が流れ出す。痛みは大したことがないのだが…、動きに全く自由が効かない!
「キキキッ!仲間思いなのは結構だけど、ミーには無駄な足掻きだったウッキーね!?」
「……い、いいえ」
「ウキ?」
「私は、『間に合って』いるわ…!」
 翠華の発言に、ふと視線を横へとずらすエイプモンキー。そして気付いた。翠華の付けている特徴的なマフラー、それが隣の鞠緒へと巻きついているではないか!
「命に関わるような高圧電流…。私も同伴させてもらうわ!!……ふふ、私の体のUDCさん、思う存分暴れるがいいわ…」
 2人の体を流れる超高圧電流、そのあまりの衝撃にエイプモンキーの持っていたマニアックマシンが破裂する。そんな予想外の事態に、反射的にエイプモンキーも銃から手を離してしまう。
「ぐわっ!爆発したウキッ!…はっ?!」
 思わず目を伏せたエイプモンキーは、正面の2人へ急いで視線を戻す。すると、目の前に立っていたのはさっきまでとは明らかに違う。怒りに燃えた猟兵2人である!
「よくも好き勝手やってくれやがったなァ…。覚悟は出来てんだろうなあ!!」
 あまりの痛みに吸盤のあった部分を掻きむしってしまった鞠緒は、自身の鉤爪で傷つけられた部位から盛大に血を流していた。結果、【Touch of red】が発動し、鞠緒は大きく戦闘能力を向上させていた。
「こいつは自傷じゃねェ…。お前のせいで流さざるを得なかった傷だ!…マニアックなんぞブチ飛ばす、ゴリ押しの暴力を喰らいやがれ!」
 鞠緒はグッと双腕に力を込め、素早い連撃をエイプモンキーに浴びせる!さっきまでとは威力も、素早さも別物だ。分厚い毛皮を斬り裂いて、エイプモンキーの体にどんどんダメージを蓄積させていく!
「こ、こんな馬鹿なウキー!」
 鞠緒に押され後方へと後ずさっていく怪人。…すると、背後に何者かの気配を感じ、思わず飛び上がる。
「こ、この後ろにいるのはまさか…」
 エイプモンキーは恐る恐る後ろを振り返る。そこに居たのは美国・翠華!彼女ももちろんユーベルコードの発動に成功していたのだ!
 翠華は先程の電気ショックにて意識を失ってしまっていたのであるが…、それは体内のUDCが気兼ねすることなく大暴れできるということに他ならなかった。
「『ギャハハハハハ!!』」
 狂ったように暴れる翠華の体。UDCが彼女の体を操って行う高速攻撃はもはや人間の身体能力ではなく…、エイプモンキーの想像力の範囲を大きく超えていた!
 2人の怪物めいた猟兵に挟まれたエイプモンキーはもはやマニアックウェポンを取り出す暇もない。ユーベルコードの効果が切れるまでの間、ずっと両名のサンドバッグとして打たれ続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラザロ・マリーノ
「竜の咆哮」の弱点は無差別で射程距離が今一つってところか。
つまり単騎で、逃げられない状態で撃てば良いんだな。

速攻で距離を詰めて(ダッシュ/ジャンプ/フェイント)、「フック付きワイヤー」を駆使して猿に取り付くぜ(投擲/ロープワーク/地形の利用)。

接触したらしがみついて(怪力/グラップル/クライミング)、ワイヤーで体を固定。さらに「趾下薄板」の分子間力で張り付くぜ。
発勁の衝撃波で固有振動数を測って(衝撃波/聞き耳)、周波数を調整したUC「竜の咆哮」をブチ込むぜ!

そういや、趾下薄板ってファンデルワールス力じゃなくて静電相互作用で張り付いてるらしいな。
まあどっちも分子間力なんだけど。

※アドリブ連携歓迎



「このタイミング…今しかない!」
 ヘロヘロになったエイプモンキー目指し、1人の猟兵が突撃する。二足歩行のトカゲを思わせる風貌の戦士、ラザロ・マリーノ(竜派ドラゴニアンのバーバリアン・f10809)だ。
 身軽な動きで素早く猿怪人へと接近すると、持っていたフック付きワイヤーを投擲し、カウボーイのようにそれをエイプモンキーの首元へ引っ掛ける。
「ゥッ……ウキッ!?」
 すぐさまそれを外そうと、エイプモンキーは首元へ手を当て、力を込めてそれを引き裂こうとするのだが…外れた時、既にラザロはエイプモンキーの頭上へと張り付いていた。
「ご機嫌いかが?」
「こ、小癪なことを…!振り下ろしてやるウッキー!」
 首をブンブンと振り回し、上に乗っているラザロを地面の花園へ叩き落とそうと暴れるエイプモンキー。
「うおおおおお!?おうおうおうおうおう!?」
 戦士ラザロと言えど、怪人幹部の持つ桁外れの怪力には逆らえず、顔を顰めて一生懸命にしがみつく。
「へ、へへ!そう簡単には振り落とされないぜ?!俺には秘密兵器の『趾下薄板』ってシロモンがあるんだ!」
 趾下薄板。強力な分子間力の力で壁や天井に張り付くことが出来る履物の一種である。
 ラザロはこれを使い、エイプモンキーの頭の上に足をぴったり密着させている。むしろ離れたくても離れられない。
「…ファンデルワールス力だか静電相互作用だかのおかげらしいけど、大した力だよなあ!」
「き、キキッ…、分子間力…ね。」
 エイプモンキーの目が怪しく光る。
「ミーのマニアック知識によると、分子間力には引力だけでなく、反発する力…斥力も存在する」
 エイプモンキーは即座に、この状況に対応したマニアックマシンを作成し始める。
「ミーの力でこの分子間力を反転させてしまえば…!ユーの体なんていとも簡単に吹っ飛び…!」
「うるせえ!!!喰らえ!!」
 最後まで言わせてはくれなかった。
 ラザロは体内で練り上げた濃厚なドラゴンオーラを、引っ付けている足を伝わせてエイプモンキーへと流し込む。攻撃のためではない。怪人の体を通して自身の体内へ戻ってきたオーラを確認し、エイプモンキーの体細胞…その固有振動数に対応したオーラを作り上げるためだ。
「ウキィッ!?な、なんだ今のは!凄く気持ち悪い感覚だったウキよー!!」
「そりゃあ悪かったな!これからもっと味わうことになるぜ!」
 ラザロはそうして、えへんと一つ咳払いをする。これから行う攻撃の予備動作だ。
 この攻撃は通常、自身を中心にした広範囲への無差別攻撃を目的とし、集団戦で猛威を振るう。だがしかし、システム・フラワーズの今の環境でそれを行えば、ほかの猟兵達を無闇に傷つけることになってしまうだろう。
「そのために、お前だけに攻撃を行う方法を思い付いたんだ」
 練り上げたドラゴンオーラを口内へと集中させていき……そして、ラザロはエイプモンキーへ、渾身の頭突きを噛ました。
「…ああ、言っとくが耳とか塞いでも意味無いぜ?骨伝導って知ってるか?」
 【竜の咆哮】。ドラゴンオーラを存分に乗せた破壊の咆哮を、ラザロはエイプモンキー1人に対して浴びせかけた。
 音はエイプモンキーの頭蓋骨を伝って体内へ…そしてそのまま怪人の中を縦横無尽に走り回る!
 体内で何度も反射されたエネルギーは、増幅され膨れ上がり、怪人の細胞をどんどん破壊していく。
「こ、これは!?こんな!?こんなはずでは…!?!?」
 今まで感じたことの無い感覚に狼狽え、絶望し、そして顔を歪めて絶叫するエイプモンキー。
 やがて怪人の体内では膨れ上がったエネルギーが行き場所を探して暴れ周り…そのエントロピーが行き着くところは…!
「ウ、ウッキイーーーーーーーーーー!!!!」

 どっ……かーーーん!!!!!

 大爆発である!!!!!
「俺の勝ち!!!」
 しゅたりと着地したラザロは爆発を背景にポーズを決める。
 振り返れば、もう誰の姿もない。
 ただ、もうもうと煙が立ち上っているばかりであった。

成功 🔵​🔵​🔴​


 こうして、長かった戦闘は終わりを告げた。
 怪人幹部、エイプモンキー…奴は確かに大した猛者であった。
 だがしかし、彼の無敵の作戦、マニアック知識カウンター無双には大きな穴があったわけで…それが今回の勝利の決め手となったことは確かである。
 その穴とは…、「想像力とは全ての人が有する無限の才能」であるということ。
 発想力で言えば、数々の世界を旅し、数多くの戦闘を乗り越えてきた猟兵達に大きく分があったわけだ!

 猟兵達は頷き合い勝利の喜びを互いに分かち合った。
 …システム・フラワーズ。その奪還を目指し、そして猟兵達は先へと進む。この先に待っているものとは何か?戦争の先には何があるのか?
 猟兵達は思い思いの想像を膨らませ、次の戦闘へと旅立っていくのであった。

最終結果:成功

完成日:2019年05月11日


挿絵イラスト