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映ずるモノなき模倣者

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●影を映す魔鏡
 地下迷宮「アルダワ」…静けさの満ちる迷宮主の間の石壁に影から滲み出たような昏い魔鏡が浮かび出るように顕れる。壁に掛けられたかのようにその場にとどまった魔境の周囲が侵されるように銀色に染まって僅かの後、迷宮主の間全体が銀色……光を反射する鏡へと変貌する。そうして、石壁を侵食する銀色が迷宮の深奥から溢れだし逆流するように迷宮すべてを染めてゆく。

●銀鏡の地下迷宮
 グリモアベースの一角へと貴方達を案内した茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)が、出迎え姿勢を正し一礼し話を始める。
「お集まりいただき感謝いたします。現在、アルダワ魔法学園の地下迷宮に異変が起きております。災魔の発生は確認されておりませんが迷宮自体が変化をしており予断を許さない状況となっております」
 それに続き、地下迷宮に大魔王が復活したことで地下迷宮で災魔が活性化している事実と猟兵達と魔法学園との関係性を説明し、現状判明している内容を伝え始める。
「まず、迷宮に起こった変化ですが……もともと石材で作られていた迷宮が床、壁、天井に至るまで全てが鏡となっております。強度はそれなりに高く……特に床部分の鏡は通常の手段では破壊出来ない程に硬いようです」
 これだけなら面白く綺麗な変化といって差し支えなかったかと思うのですが巻き込まれ戻ってきた魔法学園の生徒さん達から幾つかの情報が上がってきています、と地図を取り出した七曜が続け、
「まず、全面が鏡になってしまったため迷宮全体が合わせ鏡のようになっており、平衡感覚が狂いやすく歩くだけで酔ってしまう状況です。一応、迷宮が変化する前の地図は残っているので現在地の把握ができれば迷うことはないと思いますが、少し気を付けた方がいいかもしれません。そして、これが一番の問題なのですが……鏡に負傷した自分自身が映るそうです」
 戻ってきた生徒さん達からの伝聞になるので不明瞭な部分もあるので、出来る限り纏めた情報となるのですが……。
「例えばある生徒さんは迷わないために鏡に手をつきながら進んでいたところ急に手を掴まれた感覚がして視線を向けると、鏡に腕を失い血を流す自身の姿が映っており『卒業することなくこうなる』と語りかけられ。また、ある生徒さんは、いきなり足を掴まれ転び見上げた天井の鏡に血まみれで高笑いする自分自身が映っているのを見たそうです。それと、この不思議な鏡像は攻撃を仕掛けたりはしてこなかったとのことです」
 そこで一息ついた七曜が、申し訳なさそうに貴方達に依頼をする。
「この事態を起こした元凶は不明ですが……迷宮の最奥にいることは確実ですので、不明なことも多い状況ですが迷宮の踏破をお願いいたします。腕力や体力に自信があれば鏡を割って進んでいただいても構いませんし。身軽さや器用さに自信があれば、近道を探したり駆け抜ける等して迷宮を短時間で攻略してして頂いても構いません。知識や経験に自信のある方でしたら迷宮の道を覚えて視覚に頼らず進んだり、鏡を見ないで済む方法を考えていただいても構いません」

●映るもの映らぬもの
 状況に不明なことがあることに申し訳なさそうに口元を歪める七曜が深く頭を下げ話を締めくくる。
「今のところ、直接的な脅威は確認されていませんが、十分注意して探索していただけますようお願いいたします。また、現地での補助は魔法学園の教師陣から受けられますので、必要なものが依頼してください。最後になりますが改めまして、皆さんこの度もよろしくお願いいたします」


カタリツヅル
 ご覧いただきありがとうございます、カタリツヅルと申します。初めて来た頂いた方も、再び足を運んでいただいた方も、ご縁を頂けましたら皆さんの活躍を描かせていただければと思っております。

 舞台はアルダワ魔法学園。床も壁も天井もすべてが鏡化した地下迷宮を探索し、迷宮主の間へと辿り着き迷宮主の排除が目的となります。少し特殊な状況もありますので説明に少々お付き合いいただければと思います。

 第一章に関しまして、地下迷宮は鏡で覆われております。平衡感覚を狂わせる地下迷宮の鏡に瀕死の重傷を負う等、消耗した自分自身(又は指定した人物)を登場させて対話していただければと思います。もちろん、最初から最後まで普通に攻略していただいても構いません。

 第二章に関しましても地下迷宮は鏡で覆われております。ガラスにより遠近感を狂わせる地下迷宮の鏡に年を取る等、憔悴した自分自身(又は指定した人物)を登場させて対話していただければと思います。もちろん、最初から最後まで普通に攻略していただいても構いません。

 第三章に関しまして、迷宮主の間も鏡で覆われております。また、戦闘は鏡から這い出てきた自分自身と戦うことになります。性格の基本は災魔らしく猟兵に敵対してくるものとなります。が、【変化なし】【反転】【邪悪】等指定いただければ反映いたします。

 ざっくりになりますが、一章は肉体的に消耗した自分自身との語らい、二章は精神的に消耗した自分自身との語らい、三章は自分自身と向き合う……というような形で鏡像と語り、騙り、楽しんで頂ければと思います。また、状況が特殊ですので複数人での描写を希望される場合は指定いただければと思います。

●連絡事項
 複数人での参加の際、プレイングの文字数圧縮のため使用ください。また、迷宮内での各猟兵間の連絡等、各種行動に不都合はないものと致します。
(【タグ名:人数:タグ以外のキャラクターとの協力有無】)

●補足事項
 近状をマスターページに記載させていただくことがあります。お手数ですが一読いただけると幸いです。
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第1章 冒険 『誰の為の鏡』

POW   :    鏡を割っていく、鏡酔いを克服する。

SPD   :    急いで駆け抜ける、鏡酔いを無視する。

WIZ   :    鏡を塞ぐ、鏡酔いを対策する。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●銀鏡の迷宮
 銀色の輝く壁面が、床面が、天井が、光を反射し幾重にも重ねられた合わせ鏡の通路となり、有限の連なりを無数に重ねた迷宮が歪みながらも無限の広がりを持つかのように待ち構え、訪れる者の姿を映し込み捉えようとするかの如くそこに在る。
鶴澤・白雪
自分に逢えるなんて面白そうな内容じゃない
とはいえ、ここまで鏡張りだと確かに迷いそうだわ

地図を見て最短ルートを割り出した上でUCで鏡をぶち抜いて進もうかしら
鏡の強度によっては全力魔法も視野に入れて

向かう先、現れたのは全身が砕けた今にも崩れそうな無様なあたし
随分と酷い有様ね?どうしてそうなったのか聞かせてほしいわ

危害を加えてこないから邪険にする気は無いわよ
自分の体が脆い鉱石だって自覚してるし、あり得る未来だもの

でも邪魔をするなら同じ姿してようがそのまま砕くわ
あたし自身、修復できないほどに破損したら自分がどうなるのか興味あるもの
その実験にアンタは最適でしょ?まぁ、中身がただの鏡じゃなければ…だけどね



●探索開始
 魔法学園の教師に見送られた猟兵が銀色を湛えた迷宮を見渡し、映りこんだ鏡像を引き連れるように奥へと歩みを進めてゆく。

●鏡像の迷宮
 銀鏡の床を踏みながら漆黒の貴石を思わせる射干玉の髪を幾重にも鏡に映した鶴澤・白雪(棘晶インフェルノ・f09233)が、熟した酸漿を思わせる紅尖晶石で作られた瞳を面白そうに細め、周囲の鏡像を眺めながら、
「自分に逢えるなんて面白そうな内容じゃない。とはいえ、ここまで見事に鏡張りだと確かに迷いそうだわ。まぁ、何処を見ても自分の姿が映ってるのは楽しいけれどね」
 毒を孕んだ白い花を連想させる涼やかな声が、硬い足音に重ねられるように響き、雪のように真っ白な肌を覆う柔らかで心地よい花の香りをさせる衣装の衣擦れの音を残し、迷宮の先へと影が消えてゆく。

●銀鏡の迷宮
 貴石の白雪姫が鏡像を周囲な侍らせながら銀鏡を鳴らし、響く音を追うように迷宮の奥へと向けて足を進めてゆく。

●インフェルノ・ペニテンテ
 銀鏡の輝きに硬い音が混じり響いてゆく。魔法学園の教師から受け取った地図を見ながら進む白雪が、油断すれば現在地を見失いそうな銀鏡の迷宮に映り込む自身の姿に変化がないか眺めつつ、幾度か角を曲がり、正面から歩んでくる自分自身と相対する。
「この鏡をぶち抜いて進めば最短距離をいけそうかしら?……まずは、どれくらい鏡に強度があるか確かめないとね。………業火の棘に灼かれて骨の髄から燃え尽きろ」
 紡がれた言葉と共に巻き上がるのは白雪の紅瞳と同じ色をした業火。空気を揺らめかせるような熱風が吹き抜けると共に竜巻のように伸び上がった火炎が棘を伸ばすように火勢を拡げ、高温に炙られた銀色が形を崩し映った白雪の鏡像ごと溶け崩れてゆく。
 そうして、僅か後。業火の名残が収まり融けた大穴を通り過ぎた白雪の前に再び自身の鏡像……否、虚像が現れる。
 鏡に映し出された白雪の射干玉の髪は砕け短くなり烟るように曇り、燃えるような紅瞳は燃え尽きた熾火のように沈み、雪のようだった白い肌は罅割れ、零れ、軋みが聞こえるよう。
「随分と酷い有様ね?どうしてそうなったのか聞かせてほしいわ」

●銀鏡の迷宮
 貴石の白雪姫が銀鏡に映った自身の虚像にかけた声が迷宮へと溶けて消え、応じるように虚像が動き出してゆく。

●悪意の虚像
 軋むような音が静かに迷宮に溶けてゆく。銀鏡を抜け出した白雪の虚像が破片を零し、軋みを上げながらも白雪へと手を伸ばし、力尽きるように崩れ落ち銀色の床へとさらに破片を零してゆく。
『…………あぁぁ……』
「危害を加えてこないなら邪険にする気は無いわよ?自分の体が脆い鉱石だって自覚してるし、あり得る未来だもの」
 呻きをあげながらも近づいてくる虚像にそう声を掛けた白雪が紅瞳に留めたのは、虚像から零れ落ちた砕けた淡い紫の輝き。虚像の伸ばす手が自身の持つ淡紫の尖晶石に向けられていることを理解した白雪の声が冷たく凍えるように変わり、
「……そう、復讐を果たせなかったワタシの末路といいたいのね。なら、同じ姿してようがそのまま砕くわ。不快だもの。ついでに、修復できないほどに破損したら自分がどうなるのか興味あるしね」
 まぁ、中身がただの鏡じゃなければ…だけどね、と言葉を付け加えた白雪が抜き放った、心に凝る復讐心を固めたような黒剣に描かれた剣閃が虚像と銀鏡を叩き斬り、割れる音が迷宮へと響き渡る。

●銀鏡と硝子の迷宮
 鏡に映ったものはあくまで鏡像だったみたいね、と白雪が虚像を砕いた感覚に修復不能なほどの怪我を負った際の実験にはならなかったと割り切りつつ先に進み中層への入口へと辿り着く。

成功 🔵​🔵​🔴​

神元・眞白
【SPD/割と自由に】
アルダワ、やっぱりここは面白い所。
地図があるみたいだけど、ちゃんと迷わない様にしないと。
飛威と符雨(人形)に先行してもらって、先導してもらう様に。
宇宙の世界みたいに、ふわふわした感覚になるのは久しぶりになる…かも。

【自身:変化なし】
鏡の中の私。……そう、興味深い状況。私が2人なら飛威が疲れちゃうかも。
鏡の中の世界だったり、どう生まれたのか聞きたい事はかなりあるけど、
私そのままなら逆の立場だと疲れるかな。魅医、いつものお願いね。
あんまり長くいられないなら、最後はお別れ。さよなら私。
面白い体験だけど、今は先に進まないといけないから。



●探索開始
 銀色に輝く鏡面へと変化した迷宮に周りを囲まれた猟兵が、反射する光に目を眇めながら二つの影と連れ立ち銀鏡を踏み進んでゆく。

●鏡像の迷宮
 鏡面に姿を映し込み二つの足音に守られ歩みを進める神元・眞白(真白のキャンパス・f00949)が、黒を基調とした艶のあるアンティークドレスにあしらわれた黒と白のリボンを揺らしつつ、
「……アルダワ、やっぱりここは面白い所。地図があるみたいだけど、ちゃんと迷わない様にしないと。こんな状況だとどこにいるか分からなくなりそうだし……飛威、符雨は先導よろしく」
 感情をあまり感じさせない平坦な声で眞白が指示を出し、その声を聴いたメイド服を纏った二体の人形……飛威と符雨が無数の鏡像を連れて銀鏡の上を駆け、足音が遠ざかり、残された印を辿る音が続いてゆく。

●銀鏡の迷宮
 二機の戦術器が互いの死角を補いながら鏡像の迷宮を進み、安全を示す道標を真白の人形が追いかけ進んでゆく。

●姿見の虚像
 銀に染まる迷宮に足音が反響し消えてゆく。迷宮の壁面に無数に連なる自身の姿を興味深げに眺める眞白が、時折、鏡面へと触れ鏡像と視線を交わしながらも、飛威と符雨が銀鏡へと残した傷跡を頼りに歩みを進め、一面の銀色に自身の纏う黒が映される世界に、かつて訪れた漆黒の広がりに無数の星々が輝く世界を思い出し言葉を零す。
「宇宙の世界みたいに、ふわふわした感覚になるのは久しぶりになる…かも。こんなに面白いと少し寄り道したくなる……けど、飛威と符雨の目印から外れない方がいいよね」
 常人であれば……猟兵であっても平衡感覚を乱し、酔いに似た感覚を想起させる場所に眞白が感覚を侵されながらも、それ自体を楽しみながら進み、程なくして。
 柔らかく響く眞白の足音にかき消されるように銀鏡に映った無数の鏡像が数を減らし、真白の目の前に透き通るような青い瞳を細め、無表情ながら口元を緩めた鏡像が現れ、銀鏡と迷宮……虚実の境界を乗り越え、虚像が迷宮へとその身を躍らせる。
「……? 鏡の中の私。……そう、興味深い状況。でも、私が2人なら飛威が疲れちゃうかも」

●銀鏡の迷宮
 無限に広がるように映しあう銀色へと真白の人形とその虚像がただ二つ色を示し、お互いを瞳に映し込んでゆく。

●戦術器「魅医」
 銀色の世界に二つの黒が静寂と共に重なってゆく。眞白と虚像が同じ動作で右腕をあげ、ドレスの裾が擦れる音と共に互いの銀糸めいた艶やかな髪へと触れて言葉が紡がれる。
「鏡の中の世界だったり、どう生まれたのか聞きたい事はかなりあるけど……私そのままなら逆の立場だと疲れるかな」
 その響きに虚像が僅かに首をかしげる動作をし、迷宮に微かに反響する足音が聞こえだし、僅か後。
 双剣を携えた飛威が困惑したように眞白と虚像を見やり足を止め、距離を開けて術符を周囲に拳銃を構えた符雨が面白そうに表情を変える。合流した二人に視線を送った眞白が一度目を閉じ、言葉と共に背後の空間が揺らぐように歪み姿を顕したのは三人目の戦術器。
「魅医、いつものお願いね。飛威と符雨に灯をつけて。……じゃ、あんまり長くいられないなら、最後はお別れ。さよなら私」
 身体を侵す毒の痛みを感じさせない動きで下がった眞白の声に、魅医の癒しの力で分け与えられた活力に後押しされた飛威の流れるような二閃が虚像を割り裂き、符雨が放った銃弾の雨が虚像の破片を砕滅してゆく。

●銀鏡と硝子の迷宮
 虚像が消え去った迷宮で眞白が面白い体験だけど……今は先に進まないといけないから、と言葉を零し、薄れるように還る魅医を見送った後、再び飛威と符雨の先導に従い迷宮の奥を目指し中層への入口へと辿り着く。

成功 🔵​🔵​🔴​

マーリス・シェルスカナ
(※アドリブ、他PCとのからみ歓迎)
Oh~、一面Mirrorデスね。どうしてこのような迷宮が出来るのでしょうカ?謎で、神秘デスねェ。…n、この鏡…、Meの映り方が変ナ…(まるで景色すら歪む様に見える鏡には、歪んだ自分の姿も映り…。)

(シチュ等)
目に映るのは自分、ただし…上から下まで血にまみれた姿
鏡の魔女は無表情で自分によく似た声で言う。『好奇心は猫をも殺す』
『神秘はいつか君に牙をむく』『命を捨てるほど神秘は大事な物なの?』と。
対して魔女は朗らかに答えるだろう
「危険に目を背けたら、星の科学者はやっていけないネ」と。
答えながら、電脳の力で鏡の中のルートを割り出していく…。



●探索開始
 一面の銀色に染まった迷宮に新たに転送されてきた猟兵が現れ、周りに重なるように映りこむ鏡像と共に奥を目指し歩いてゆく。

●鏡像の迷宮
 銀光を反射する星飾りがついた帽子……神秘の体現者たる事を表す三角帽子を被ったマーリス・シェルスカナ(宇宙(そら)飛ぶマーリンレディ・f15757)が、発光しているかのような虹彩を持つ輝蒼の双眸で覗き込むように合わせ鏡となった銀鏡の鏡像へと視線を向け、
「Oh~、一面Mirrorデスね。どうしてこのような迷宮が出来るのでしょうカ?謎で、神秘デスねェ」
 マーリスが言葉と共に迷宮を解析しようと身体の周囲に展開した幾つもの仮想情報端末が色とりどりの光を放ち、銀鏡に幾重にも反射し、溢れ出るように迷宮が色に満たされてゆく。
「……Wow、とってもbeautifulデス」
 自身の行動に合わせ変化する迷宮に目を輝かせたマーリスが仮想情報端末の情報に目を通しながら、様々な変化を連れて足音を響かせてゆく。

●銀鏡の迷宮
 星の科学者が様々な灯りを引き連れ、映し込み、変化させながら銀鏡を染め上げて迷宮を奥へと向け進んでゆく。

●Analyze And Reproduction
 様々な色を映す鏡面に足音が反響してゆく。一面の鏡面に万華鏡の如く氾濫する色の中心をマーリスが、絶えず濃淡を変化させる一条の蒼が美しいブーツの踵で綺麗に音を響かせながら進み、僅か後。
 神秘の探究者の名を冠した特注のゴーグルがマーリスの双眸へとあてがわれ、銀鏡の迷宮に関わる解析結果が従える仮想情報端末へと表示され、輝蒼の瞳に無数の文字が流れるように映り込む。
「……nh、Construction……解析順調デス! 電脳space……展開デスね!」
 そのマーリスの言葉と共に現実世界に重ねられるように展開された電脳空間が銀鏡の反射を抑制し無数の鏡像が姿を減らし、幾重にも重なった合わせ鏡の迷宮に隠されていた歪んだ鏡を暴き出し、
「…n、この鏡…、Meの映り方が変ナ……oh、Meと違う動きしてマスね!」
 興味と共に近づいたマーリスを虚像が昏い笑みで迎え入れ、魔術師の三角帽子が、魔女の外套が真っ赤に染まり、輝蒼の双眸の輝きが陰り消えてゆく。

●銀鏡の迷宮
 現実と電脳が混ざる迷宮の一角で星の科学者と鏡の魔女がお互いに向き合い静寂が言葉によって破られてゆく。

●悪意の虚像
 赤が刻む歪んだ音が跡を残すかのように反響してゆく。鏡の魔女が携えた神秘の再現を補助する杖を模した触媒に伝う赤が床へ溢れ、銀鏡と迷宮の境界を抜けてマーリスの足元を濡らし、致命傷とも思える負傷に喚くでもなく無表情に鏡の魔女が問いかける。
『Curiosity killed the cat……Youはこの言葉知ってマスか?』
「猫がkillされる前に何を見たのか気になりマスね!」
『……Ahh、MysticはMystic。暴きたてるならいつかYouに牙をむくヨ!Meの姿みたいにネ』
「Oh、それはVery Goodデス!神秘ならいつでもwelcomeネ」
『uhh……、命を捨てるほど神秘がimportantナノ?』
「危険に目を背けたら、星の科学者はやっていけないネ」
 咎めるようにも聞こえる鏡の魔女の言葉にマーリスが朗らかともいえる声で答え、鏡の魔女の零した赤を踏み越えて、展開した電脳空間に示された道に従い奥を目指して暫し後。鏡の魔女が音と共に砕けて消える。
『Youの隣の誰かを巻き込むとしてもNot change……ナノ?』

●銀鏡と硝子の迷宮
 割り出したルートを危なげなく進み虚像を置き去りにしたマーリスが、何かが聞こえたかのように一度、振り返り…僅かに首を傾げた後に再び歩き出し昏く口を開ける中層への入口へと辿り着く。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィサラ・ヴァイン
う、全面鏡張り…鏡はちょっと苦手なんだけどなぁ…いつまでもそんな事言ってられないよね。[勇気]を出して挑戦してみよう
鏡に無数に映る私自身の目…《魔眼『コラリオ』》…今は力を抑えてるから石化はしないけど…もし暴発したらって考えると、怖い
そして何より…私に見られてる人は、いつもそんな風に怖がってるかも知れないと考えると…もっともっと怖くなる
…鏡に映る、石となったかつての英雄達…被害者が語り掛けてくる
「とにかく彼女の目を見るな」
…[魔女の秘薬]を飲んで酔い止めに…苦ぃ…でもこの苦さには大切な人の「無茶をしないでください」って思いが込められてるから…怖くっても前に進めるよ
「…いつも、ありがとう」



●探索開始
 迷宮までの案内をかって出た魔法学園の教師の提案を辞した猟兵が、周囲に映り込んだ鏡像に急き立てられるように迷宮の奥を目指してゆく。

●鏡像の迷宮
 銀色の鏡面に映る鏡像を赤い瞳の端に捉えるヴィサラ・ヴァイン(魔女噛みのゴルゴン・f00702)が、揺ら揺らと動き警戒音を鳴らす髪の蛇の様子を感じながら赤瞳に力を籠めるように大きく息を吸い、
「……う、本当に全面鏡張り……鏡はちょっと苦手なんだけどなぁ……。でも、いつまでもそんな事言ってられないよね。まずは、私自身もちゃんと受け入れないと……」
 ヴィサラが普段から愛用している花飾りの可愛らしい帽子を目深に被ろうと萎縮する気持ちを振り切り、代わりに勇気と覚悟を持って背筋を伸ばし、視線を僅かに逸らすように彷徨わせながらも前を向いて鏡像に囲まれつつ、銀鏡を踏みしめ奥へと向かってゆく。

●銀鏡の迷宮
 魔女噛みの蛇髪少女が鏡像の赤い瞳に囲まれ僅かに身を竦めながらも硬い足音を鳴らし先へと身を進めてゆく。

●メドゥーサの魔眼
 血のように輝く無数の赤い瞳が銀鏡に浮かび上がってゆく。ふとした拍子に側面の銀鏡に映り込んだ鏡像の赤瞳とふと視線が交わったヴィサラが、双眸を天井に向ければ見下ろし覗き込む赤瞳と目が合い……心に沸きあがる恐怖を飲み込むように視線を正面へと戻し、遠くに映る自身の姿に浮かぶ赤い輝きをみとめて深く吐息を零す。
「……鏡に無数に映る私自身の目……《魔眼『コラリオ』》……今は力を抑えてるから石化はしないけど…もし暴発したらって考えると、怖い。……ううん、落ち着かないと……ちゃんと抑えられてるから………」
 見たものを石化するヴィサラの瞳の輝きがヴィサラ自身の恐怖で抑制の箍を壊さないかと再び恐怖が心に沸きあがり……心を落ち着けようとするヴィサラをあざ笑うかのように色を変えるように別の恐怖へと変わり、心に縛られたかのように動きを止めたヴィサラが瞳を閉じて心の声を聴く。
(そして何より…私に見られてる人は、いつもそんな風に怖がってるかも知れないと考えると……もっともっと怖くなる。……怪物がそう思うなんておかしいのかな)

●銀鏡の迷宮
 瞳を閉じた魔女噛みの蛇髪少女の周囲で銀鏡が生き物のように蠢きその姿を変えて通路が部屋のように広がってゆく。

●魔女の秘薬
 鏡像が崩れ虚像へと入れ替わり静寂に迷宮が包まれてゆく。周囲の雰囲気が変化したことを肌で感じたヴィサラが心と呼吸を落ち着け、再び無数の瞳と向き合う覚悟を決めてゆっくりと開いた瞳に映ったのは数多の英雄達。
 ヴィサラを中心に円形の部屋となった通路の壁を構成する銀鏡に捕らわれているかのように恐怖の表情を見せる石像の群れ……嘗ての被害者達が奏でる恐怖と怨嗟がヴィサラを責め立てるように呪うように響き、
『……石になんてなりたく……』『とにかく彼女の目を見るな』『鏡越しなら大丈夫なん……』『やめてくれ…やめてくれ』
 瞳を見開いたヴィサラの前で、被害者達が塩の柱の如く砕け散り石片が鏡面を越えて足元まで迫り、身を抱くように下がろうとしたヴィサラの腕に硬い感覚がかえり恐慌、恐怖……昏い感情が僅かにほどけ、大切に取り出されたのは魔女の血から精製された霊薬。
 抱き締めるように口を付けた霊薬が返すのは強烈な苦みと優しく微笑む空色の瞳……そこに込められた思いと身体の暖かさを想いだし、
「……苦ぃ…でも…いつも、ありがとう」
『無茶をしないでください』
「……ううん、リムがいるから怖くっても前に進めるよ」

●銀鏡と硝子の迷宮
 散らばった石片を踏み砕かないように避けながら大切な人に後押しされるようにヴィサラが、口の中に残る苦みを愛おしく転がし暫し後、中層への入口がその赤い瞳へと映り込む。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒木・摩那
【WIZ】

全面鏡の迷宮とか珍しいですね。
普通に歩けば確かに酔いそうです。

血まみれの自分にはちょっとびっくり。
なぜそんな姿になったの?
誰にやられたの?
ここでやられたの?

と問いかけてみます。
益にならないような回答ならば、以後は無視します。

迷宮の地図はあらかじめスマートグラスに入れておくので、
行き先は指示に従って歩きます。
鏡は見ても血まみれの自分を見るだけですから、
同じくスマートグラスでモザイク処理してしまいます。

不気味な迷宮ではありますが、実害は無いようですから、
まずはずんずん進みましょう。



●探索開始
 変化する前の迷宮の地図を魔法学園の教師へと返した猟兵が、薄く輝くような迷宮の静寂へと足音を刻み姿を映し込みながら進んでゆく。

●鏡像の迷宮
 神秘的な力を感じさせる白花の髪飾りから伸びる飾り紐を揺らす黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)が、真紅の民族衣装の裾を足音に合わせ躍らせつつ、茅色の瞳に連なる鏡像を映し込みながら興味深そうに感想を零し、
「全面鏡の迷宮とか珍しいですね。足元まで鏡面のおかげか少しばかり距離感が掴みにくいですし……、確かに普通に歩けば確かに酔いそうです」
 とはいえ……構造が変わっていないなら対応の仕方はありますね、と摩那が赤いアンダーリム型の眼鏡……偉人の名を冠したHMDウェアブル端末に事前に入手した情報が正しく入力されていることを確認し、迷いなく鏡面を踏み足音を響かせ進んでゆく。

●銀鏡の迷宮
 幾重にも映る鏡像を見渡しながら冥界の迷い子が現実の鏡面迷宮では迷うことなく道を選び先を目指してゆく。

●悪意の鏡像
 何処までも拡がる鏡像の迷宮に足音が溶ける。眼鏡のレンズに投映された情報に瞳を向けていた摩那が、焦点を切り替えるように銀鏡を茅色の双眸を映し込み鏡像と視線を交え、合わせ鏡の特性上その背後に連なるべき鏡像がないことに目をしばたかせ、微かに首を傾げた刹那。視界が赤く染まる。
 僅かな驚きと共に戦闘に挑むように切り替わった意識が摩那の身体を銀鏡から遠ざけ、自身の身体に負傷がないことを確認し、噴き出た赤が鏡像……虚像から噴き出したものと見定めて沸き起こるの疑問と興味。警戒を絶やさないまま倒れ伏した虚像へと近づき、微かにその身体が動いていることに気が付き言葉が零れる。
「なぜ、いきなりそんな姿になったの?誰にやられたかわかる?……ここでやられたのよね?」
 溢れ続ける赤が鏡面を越え、摩那自身の足元を浸し始めたことを感じながら、目の前で致命傷を負った虚像が返す反応を見逃さないように集中する摩那に虚像が砕けながら指を差し溶けて消える。
『……あな…た、……偽……者。………もっと世界を……知り……たか……』
「わたしの偽物……ですか?………それともわたしを偽物と言いたかったとか?」

●銀鏡の迷宮
 砕けて散った虚像の遺した言葉の意味をどうとるべきか思案する冥界の迷い子が元々の目的を思い出し身を起こす。

●スマートグラス『ガリレオ』
 銀色が占める迷宮にゆっくりと足音が刻まれてゆく。虚像の言葉を考えるためスマートグラスのレンズに投映する情報を調整し、無数の鏡像に惑わされずに先へと進んでいた摩那の視界にフィルタリングされなかった倒れ伏す虚像が現れ、それに気が付き駆け寄った摩那の前で虚像が再び細片となって消え去ってゆく。
「……声を掛ける前に消えましたが、全身の損傷は高電圧で焼かれたような状態でしたね。ん、そういえば先ほどは深く斬り裂かれた傷口で……最後に指さしたのは……」
 そう言って、腰に佩いた魔法剣の柄へと右手を、頤へと左手を添えた摩那が可能性を考えるように言葉を零してゆく。
「ふむ、これ以上進めばこうなるぞと言う威嚇。こうしてやるという挑発。あとは、ただの嫌がらせ……? まぁ、現状考えても予測にしかなりませんね。これ以上は益にならないでしょうし、無視して進むことを優先しますか」
 ついでに…血まみれの自分を見続けたいものでもないですからモザイク処理もしてしまいます、とスマートグラスに調整を加え足音が再び響き出す。

●銀鏡と硝子の迷宮
 宣言した通りに鏡像と虚像を気にせず、レンズ上で指示される経路をずんずんと進んだ摩那の前に中層への入口が姿を現し、不気味な迷宮ではありましたが…実害はなかったですね、と探索の終わりを締めくくる。

成功 🔵​🔵​🔴​

ステラ・リデル
【SPD】
(瀕死の重傷の自分を見て微かに眉を顰める)
成程、直接的に襲ってくる訳ではない。
視覚的に精神に負担をかけるという意図でしょうか。

話を聞いた時は思考を読んで、その者の恐れている情景を映してくるとも考えましたが……私にこれを見せてくるという事はそこまでの力はないようですね。
とはいえ、これはこれで興味深いので魔術式を解析できれば何かの応用に使えるでしょうか?
《悪魔召喚Ⅰ》で魔法に長けた悪魔を召喚。
この鏡の原理を解析する。
ある程度、満足したら普通に進んで攻略します。
(戦闘力はいらないので複数現れた悪魔をその数のまま用いてマッピング等。必要なら魔法の表面を覆ってその効果を打破する)



●探索開始
 銀鏡の合わせ鏡に映された猟兵が、全周を囲う鏡像と迷宮自体が光を湛えるような様子を見渡しながらゆっくりと目的地に向けて進んでゆく。

●鏡像の迷宮
 魔術的に強化を施された黒い制服を纏い同色のブーツで鏡面を鳴らすステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)が、その身に纏う白い外套を留める深蒼色の宝玉を幾重にも迷宮に映し込みながら興味深げに視線を動かし、
「……なるほど、何処までも連なる合わせ鏡ですか。実際に体験してみるとなかなかに面白いものですが、気分が悪くなる人がいるのも納得ではありますね。鏡酔い……と呼ばれていましたか」
 そう言葉にしたステラが、上下左右どこまでも拡がり続ける空間に故郷の宇宙空間を連想しながらも、重力の頚木が明確に感じられる迷宮に現状では事前説明で聞いた異常が起きていないと判断し、規則正しい足音を響かせ進んでゆく。

●銀鏡の迷宮
 未来都市の管理者が歩みを進めるたびに鏡像の数が減り迷宮が銀光で満たされるかの如く照らしだされてゆく。

●無為の鏡像
 白銀の空間に足音が響きながら刻まれてゆく。いつの間にか鏡像が消え去った銀鏡の迷宮を歩くステラの蒼玉の瞳に、銀光の世界に異物を混ぜ込んだような違和感が映り込み、進むほどに次第に細部が明瞭となってくるそれが、紺青の長髪を背中に流し黒い制服を纏い赤で彩られた……自身の虚像と見定めて僅か後。
 至近まで迫っても動きを見せない虚像が幾つもの傷を負い明らかに致死量の赤を流し、それでも溢れる赤色が鏡面を侵すように広がり続けるのを眺めて微かに眉を顰め、
「……成程、直接的に襲ってくる訳ではない。血が鏡面を越えている所を見ると襲えない訳ではないと考察しますが…視覚的に精神に負担をかけるという意図でしょうか? いえ、それならばもっと効率の良さそうな手法がありますね」
 瀕死の自身を目の前に思索の海に沈みかけたステラが、仮定に仮定を重ねるだけでは結論は出ないと一度頭を振り、
「ひとまず、この状況は興味深いですね。魔術式が使われているのであれば、それを解析できれば何かわかるかもしれません…か。ならば、……偉大なる超越者との契約に基づき、来たり侍れ」

●銀鏡の迷宮
 真紅の魔法陣が未来都市の管理者を囲うように顕れ、六芒星を潜り黒衣を纏った悪魔が迷宮へと喚びだされてゆく。

●《悪魔召喚Ⅰ》
 銀鏡を真紅に染めた光が収束し幾体もの黒が侍る。喚ばれた女悪魔を代表して進み出た一体にステラが頷きを返し、現状を語り為すべきことを応え行動を促し、
「この鏡の原理を解析する。それほど力はないと思うが警戒はするように」
 その号令に散った女悪魔達が紅い瞳を輝かせ異界の言語を銀鏡へと刻みしばし後。僅かずつ銀鏡に籠められた仕掛けが解きほぐされ始め、鏡が曇り幾体もの女悪魔が消滅する。
「解析を中止!貴女達では相性が悪い……!」
 声を掛ける間にも揺らぐように送還される女悪魔を見送りステラが解析出来た一端からこれまでの状況が腑に落ちた顔で頷き、
「……なるほど、あくまでも鏡ということですか。災魔が関わっているという特性で負の方面の記憶や死の情景などに寄りながらも心に浮かんだものを表出させてくると……私はあの記憶を誰かに見せたいとは思っていないのでしょうね」
 それと……女悪魔の身体を構成する魔力が鏡の術式と混ざってお互いに不整合を起こしたのは困りものですね、と随分か数を減らした女悪魔達を見やりつつ、
「術式の解析は満足しましたし、攻略を再開しましょうか」

●銀鏡と硝子の迷宮
 先行させた女悪魔達が進むべき進路の銀鏡をその身をもって曇らせ、ステラが暴かれてゆく構造を記録しながら銀鏡の迷宮の踏破し先へ進み、程なくして中層への入口へと辿り着く。

成功 🔵​🔵​🔴​

アマータ・プリムス
「肉体的に疲労しない、というのはいいことなのでしょうね」
この身は人形、それ故肉体的疲労は感じません
『本当に?』
平衡感覚を失った所で当機には些細な問題
無視をして進みましょう
『貴女は疲れている自分を無視しているだけ』
鏡の中から聞こえる声も無視です
これはまやかし
『だって動いていない貴女に存在する意味なんてないでしょう?』
例えまやかしだとしても言葉は刃をつきたてる

しかし勝手にUCを発動しアルジェントムから現れたネロが周囲の鏡をその手に持った大鎌から放つ【衝撃波】で破壊する
(『ケケケ、邪魔したか?』)
「いえ、ちょうど五月蠅いと思っていましたので」

当機は止まることなくこのまま先へ進みましょう



●探索開始
 幾度も訪れた地下迷宮の変化に軽い驚きを感じながら進む猟兵が、周囲の様子を気にする素振りを見せずに歩みを進めてゆく。

●鏡像の迷宮
 白銀の世界に銀色のトランクを携えメイド服の裾を乱さない綺麗な所作でアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)が、微かな音を残しながら足を動かし偽りの広さを見せる迷宮を眼鏡型の高度演算装置で読み解き正しい道を選び進み、
「サーカス……ではありませんが、遊園地にはミラーハウスという遊戯場がありましたね。この迷宮をそのままとはいきませんが、参考に覚えておきましょう……機会があるかは別ですが」
 そう零したアマータが桃花色の瞳を警戒に細め、寄り添うように映しだされている鏡像を視界から外さないようにしつつ、鏡面に姿を映し込みながら先に進んでゆく。

●銀鏡の迷宮
 アンティークドールのメイドを追いかける無数の鏡像が足音に合わせ虚像となりゆっくりと数を減らし口元が嗤いで歪む。

●悪意の鏡像
 寄り添う虚実の足音が銀鏡に複雑に反響してゆく。銀鏡にただ一人映り込む虚像はアマータの常の無表情とは違い……昏い表情を宿してクルクルと銀鏡の中で踊るように回りアマータのものより何度も補修された痕跡がありながら、それでもほつれ始めたヴィクトリアンメイド服を見せつけるように笑い、嗤い、哂い、傍に侍る。
「肉体的に疲労しない、というのはいいことなのでしょうね。『誰か』のためにあることができるのですから」
(えぇ、この身は人形、それ故肉体的疲労は決して感じません)
『本当に? 本当にいいことと思ってる? 親しい人はぜーんぶ先に逝ったわ』
 揶揄うように寄り添う虚像の横で僅かに歩みを崩したアマータが、背筋を伸ばし歩調を整え虚像に目を向けることなく前を向き。
「無数の合わせ鏡で平衡感覚を失った所で当機には些細な問題。鏡酔いなど無視をして進みましょう」
『本当に? 本当にそれは鏡酔い? 貴女は疲れている自分を無視しているだけ』
 虚像の言葉がアマータを言葉を否定し、心を揺さぶるように、精神的な部分はどうかと甚振るように寄り添い、歩く先を誘導するようにクルクルと踊り続ける。

●銀鏡の迷宮
 銀色の世界に戯言を溶かす虚像とアンティークドールのメイドの奏でる足音が響き人形劇の幕が降ろされることなく続いてゆく。

●Date et dabitur vobis
 銀鏡の世界が言葉と足音と踊りで彩られてゆく。映り込む場所を変えて踊り、騙り続ける虚像の言葉と姿を無視するアマータの目の前へと虚像が鏡面を抜け出して進路を塞ぎ、アマータがその横を通り過ぎ、
(これはまやかし、気にする必要はありません)
『それは嘘。無視したいのよね? だって動いていない貴女に存在する意味なんてないでしょう?』
 虚像の言葉がアマータの心に言葉は刃をつきたて、つい振り返った視線が交わろうとした刹那。トランクが弾ける音と共に暗闇が視界を遮り数閃の風切り音と甲高く響く砕け散る音。
 瞬刻の後に開けた視界に映るのは破壊の跡でケタケタと嗤う愚弟の姿。ゆらゆらと揺れる南瓜頭の人形が振るった大鎌を肩に担いで問いかけ、
(『ケケケ、邪魔したか?』)
「いえ、ちょうど五月蠅いと思っていましたので」
 それで?さっきのは何だヨ?と誰何するネロの視線に、当機の鏡像…いえ、虚像らしいですね、と答えたアマータに改めてネロがオイオイ、もうちょっと似せる努力がいるだろーヨと口元を歪め、
「そこまで似ていませんでしたか?」
(『あれじャァ、うっかりでも愚姉の首を狙えねーナ!』)

●銀鏡と硝子の迷宮
 まったくこの子は…とネロの軽口に南瓜頭を叩くことで応えたアマータが、聞こえない程小さく感謝を零し、気が付かないふりをするネロが陽気に大鎌を振り見つけた中層への入口へを指し示す。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・レヴェリー
平衡感覚が狂うのは厄介ね、バランス感覚には割と自信があるし、歩く分には問題ないけど気分が悪いわ。
少しふらつきながら曲がり角を曲がると……壁にもたれかかって座っているわたし?
……これが例の鏡像ね。近づいてみて分かったわ。
ドレスに隠れて見えにくいけど、片足と……片腕がないわね。
諦観したような瞳に、割れて止まった懐中時計。
一見わたしそのままだけど、色々と足りないような……?
ゆっくりとこっちを向いて語りかけようとしてくるわたしから目を離せずにいると、身につけた【あの日の約束】が仄かに暖かく光って……!
そっか、分かったわ。お話を聞いてあげられなくて悪いけど、もう行かないと
ばいばい
「ひとりぼっちのわたし」



●探索開始
 案内してきた魔法学園の教師に感謝を伝え別れた猟兵が、何処までも銀を拡げる合わせ鏡の迷宮に映り込みながら進んでゆく。

●鏡像の迷宮
 柔らかい蜂蜜色の髪に紅い花を戴く空色のカチューシャを飾ったアリス・レヴェリー(真鍮の詩・f02153)が、足元を確かめるようにゆっくりと鏡面を踏みしめ、しっかりとした足取りで周囲を見渡し、
「平衡感覚が狂うのは厄介ね。でも、ダイナにはよく乗せてもらってるからバランス感覚には割と自信があるし……歩く分には問題ないわね。それでも、目はチカチカしちゃうし、ちょっとだけ気分が悪いわ」
 何処を見ても合わせ鏡の鏡像が偽りの奥行きを見せる迷宮にアリスが、鏡に酔う感覚を感じて気分を落ち着けるように愛用しているエプロンドレスに留めた大切なアクセサリを撫で、鏡像に惑わされないように先を目指してゆく。

●銀鏡の迷宮
 真鍮の詩の謡い手が纏う空色の衣装を一面の銀に溶かし込みながら酔いを感じさせない足取りで迷宮を進んでゆく。

●友想
 鏡面が鳴らされ響く音が迷宮へと溶けてゆく。幾重にも反射する鏡面の創る迷宮に慣れ始めたアリスが、自分の動きを映し込む鏡像と共に踏み鳴らす響きに旋律を織り込みながら、興味深げに鏡面の境目を覗き込み、心を通わせた幻獣達をこの場に喚んで来てもらったらどうなるだろうと想像を膨らませてゆく。
「やっぱり不思議だわ!こう、うまく後ろの鏡像が見えないのがもどかしいけどどうやったら見えるかしら?ダイナに乗せてもらって覗き込んだり、ムートに小さくなってもらって直接潜って見てもらうのも素敵かもしれないわね」
 ただ、ダイナはいらいらして炎で鏡を焼いちゃわないか心配ね……あと、ムートって鏡の中も泳げると思うけどその時は鏡像はどうなっちゃうのかしら?と首をかしげながら天井を見上げ、頭上に映り込んだ空色の瞳と視線が絡み、
「それと、アルテアがここに来たらたぶんとっても綺麗よね。尾羽根がたくさん映り込んで幻想的になると思うし」
 ちょっと飛びにくそうな場所だからそこは心配だけど…、と零した言葉と共に前を向き再び歩みを進め、鏡面で造られた曲がり角をぶつかりそうになりながら幾度か曲がった頃、銀鏡に凭れ掛かる虚像がアリスの目に映り込む。

●銀鏡の迷宮
 動きを見せない虚像を心配しながらも真鍮の詩の謡い手がゆっくりと近づき、それに合わせ周囲の鏡像が溶けて二人だけが取り残される。

●あの日の約束
 静寂が満ちる銀世界に二輪の空色の花が揺らめく。俯いたままの虚像の至近距離まで近づいたアリスが、鏡面に屈み込むように虚像の顔を覗き込み、
「……あなたが例の鏡像ね。近づいてみてはっきりとわかったわ。……それと、ドレスに隠れて見えにくいけど、片足と……片腕がないのね」
 そう零すアリスを初めて認識したかのように、虚像の色あせた蜂蜜色の髪の合間から覗く諦観したような空色の瞳が、僅かに色を取り戻し、割れて止まった懐中時計を床に落としながらも、軋むような動作音を響かせゆっくりと動きだし、くすんだ顔をアリスに向けようとする。
 その何かを伝えようとする虚像の様子に瞳を離せずにいるアリスが、あなたは、一見わたしそのままだけど……色々と足りないような気がするわ、ともどかしく感じる想いを溶かすかのようにエプロンドレスに留めた獅子の牙が、鯨の髭が、鳥の尾羽根が、真鍮の歯車が暖かな光を放ちあたりを照らし出す。
『………………』
「そっか、分かったわ。お話を聞いてあげられなくて悪いけど、もう行かないと……ばいばい、ひとりぼっちのわたし」

●銀鏡と硝子の迷宮
 仄かに光と温かさを残す四つで一組のアクセサリに後押しされるようにアリスが鏡像の合間を抜け、僅か後。ぽっかりと口を開いたままの中層への入口へと辿り着く。

成功 🔵​🔵​🔴​

シュデラ・テノーフォン
趣味で鏡は何度か作ってるし
幾ら硝子好きっても、コノ量見るのはなァ
まいいや行こう

何が映るんだろって、あァ
昔の俺か
国の為に毎日毎日ずっと戦い続けて
いやそん時は戦争真っ只中だったからだけど
護って狩って護って狩って
ただそれだけ
随分ボロボロだね。顔は笑ってるけど
言われちゃったよね?そん時一番護ってた人にさ
お前のソレは笑顔じゃないって
ホント、酷かったんだね
やァ、君。俺は今ね毎日楽しいよ

狩りは好きだろって?そりゃ今でも好きだよ
でも。もう君には成りたくないな

複製したマスケット銃で射撃、鏡を割り鏡酔いを抑えたいな
飛んでくる破片は指輪の盾で防ぎつつ
進行方向変える時等に地図へ書き込みを行う
現在地を常に把握して進もう



●探索開始
 周囲に無数に映り込む鏡像ではなく鏡面を興味深く眺めていた猟兵が、魔法学園の教師から手渡された地図へと目を落とし進む先を決めてゆく。

●鏡像の迷宮
 身の丈を超える銀鏡に映り込む自身の黄金の瞳を覗き込んでいたシュデラ・テノーフォン(天狼パラフォニア・f13408)が、鏡に指紋を残さないようにはめていた白手袋を脱ぎさり僅かに驚いた調子で言葉を零す。
「……趣味で鏡は何度か作ってるし、個人的には幾ら硝子好きっても、流石にコノ量見るのはなァ。ただ、継ぎ目のない一枚板っていうのはちょっとしてやられた気分だね。まァ、いいや…行こう」
 硝子細工師として歪みなく伸びる鏡面……ガラス板を検分を終えたシュデラが、この先は猟兵としての狩りの領分と意識を切り替え、僅かに高揚した気分を示すように、鋭く奏でられる足音が銀鏡を踏んでゆく。

●銀鏡の迷宮
 天狼の銃騎士が鏡面迷宮を進みながら童話の姫の名を冠する愛銃を引き抜き慣れた手つきで透き通る銃弾を籠めてゆく。

●Glasregen
 銀面に映り込む白が次第に数を増してゆく。数十を越える複製された純白に灰銀被る彩りを持つ硝子細工を飾ったマスケット銃を舞わせるシュデラが、ほんの少しの惜しさを感じつつも鏡酔いの抑制の為と進む先の銀鏡へと硝子の銃弾を放ち……銀鏡が割れ、硝子が砕け散り、細片がキラキラと降り注ぐように迷宮の床へと零れ落ち飛び跳ねる。
「これはこれで綺麗な雨になったね。鏡と硝子の散っていく感じはなかなか悪くはない」
 まァ、少しばかり危ないのは玉に瑕だけどさ、とシュデラが左手を翳した姿で中指に煌く透明な環の淡光を照らされる、眼前に展開された硝子細工の薄膜に当たって弾けた迷宮の残骸への感想を零し、それからしばらく後。
 銀面の世界に銃声が幾度も響き渡り、幾枚もの銀鏡と硝子の銃弾が砕け散り、麗硝の雨が迷宮へと降り注ぎ、その中心で進捗状況を地図に記載し着実に進むシュデラの前に砕けず残った銀鏡に映る鏡像が時を遡るように姿を変え、鏡面から虚像が迷宮の中へと歩み出てシュデラの前に立ち塞がる。
「何が映るんだろって思ってたが……あァ、昔の俺か、なるほどなァ」

●銀鏡の迷宮
 砕けた銀鏡と硝子の雨の名残に囲まれながら天狼の銃騎士が過去を模した虚像と対峙し時計の針が進んでゆく。

●過去の虚像
 静かに流れる迷宮の空気を言葉が揺らしてゆく。虚像の胸に輝く懐かしい故郷を示す勲章を黄金の色の瞳で見つめていたシュデラが、当時を思い出しながら言葉を零し、
「あの頃は、国の為に毎日毎日ずっと戦い続けてたなァ……まァ、そん時は戦争真っ只中だったからだけど」
『騎士として人を護って、敵を狩って……また、騎士として人を護って、敵を狩って……ずっと、国に仕えてきた』
「そうそう、ただ、それだけ。随分ボロボロだね。君さ、顔は笑ってるけど……覚えてる?」
『………』
「言われちゃったよね? そん時に一番護ってた人にさ、お前のソレは笑顔じゃないって」
『………そんなことはない』
「当時の俺じゃ気が付かなかったけど、ホント、酷かったんだね。……やァ、君。俺は今ね、毎日楽しいよ」
『俺も狩りで毎日が楽しい。……好きな狩りをやめたのか?』
「まさか、狩りはそりゃ今でも好きだよ。でも、もう君には成りたくないな。だから……じゃあね」
 言葉と共に踏み込んだシュデラが流れるような動作で白銀で絢爛を象る柄を握り、鞘鳴りと共に振るわれた水晶の刃が描く透明な剣閃が虚像の胸元に吸い込まれ割れる音が響き、虚像と銀鏡が崩れさる。

●銀鏡と硝子の迷宮
 崩れ去った虚像を置き去りに進むシュデラが胸ポケットを確かめるように腕を伸ばし……僅かな溜息と共にポーチから取り出した飴を口に含み、地図に従い中層への入口へ向け歩いてゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​

セリオン・アーヴニル
《行動方針:POW》

鏡による未来予知の怪異……とはまた定番なヤツも居たモノだ。
さて、俺にはどんな未来を見せてくれるのか?

基本的には力業で道中を突き進む。
道中の分岐点に差し掛かった際には進んだ方向の鏡を叩き割る、
同じ場所に戻ってしまったら変化をつけて叩き割る…など、
そうやって無理矢理進めば、『文句』があれば向こうから現れるだろ。

鏡にどんな負傷の未来が写ろうが…きっと大して気にはしない。
「そうか、負傷するのか。…で、それが?『治せば』済む話だ」
嘲笑と共に『そんな自分の姿』を鏡ごと叩き割ってやろう。



●探索開始
 滑らかな鏡面を見せる銀色の迷宮を進んでゆく猟兵が、反射し拡がる鏡面に自身の姿を映し込みながら奥に向けて進んでゆく。

●鏡像の迷宮
 深く拡がる銀色の世界に黒いロングコートを映し込んでいるセリオン・アーヴニル(並行世界のエトランジェ・f00924)が、黒色のブーツで銀面を踏みしめつつ、翻ったロングコートの黄色の裏地を迷宮にはためかせながら、
「事前の説明では負傷した自身の姿を見た生徒が複数…だったな。鏡による未来予知の怪異……とはまた定番なヤツも居たモノだ。さて、俺にはどんな未来を見せてくれるのか?」
 状況説明から予測した自身の考えを零し、迷宮の突破に有用な銀鏡を破壊するのに適切な武器を選定しながら、分岐路の進み方に無駄が出ないように思案しつつ、そうしている間に訪れた最初の分岐路を始点と定め、迷うことのないように基点を示す目印を刻み込み、既に通行した通路を区別する目印として、右の通路の銀鏡を砕き歩き出す。

●銀鏡の迷宮
 並行世界の異邦人が柄の長さと刃渡りが同等の特徴的な武装で銀鏡を割り砕き、破片が迷宮へと散りさらに砕けてゆく。

●槍剣『オルファ』
 反響する破砕音と共に合わせ鏡が歪に変わってゆく。柄を長く握り遠心力と間合いを利用しながらセリオンが、試作品の兵装を奮って幾枚ものガラスを砕きつつ進み、零れ落ちた破片を置き去りに迷宮の奥へと向かい、幾つかの分岐路を越えたところで砕かれた細片を床に散らす分岐路へと再び辿り着つく。
 状況を確認するように止めた足が動いているかのような鏡酔いの感覚に僅かな間、頭を押さえて意識を強く持ちなおしたセリオンが周囲を見渡し、
「進んだときに割った鏡は右側にあるな。通路に入って道なりに左に三回曲がったことを考えると普通に戻ってきただけか…」
 頭の中で迷宮の構造を思案したセリオンが四角く歩いて戻ってきただけと確かめ、初めて道を選んだ時に砕いた銀鏡の破片が荒らされたりしていないことを見定めて、監視するものの存在や惑わすような迷宮の仕掛けはないと判断し、まだ確認していない通路に向けて歩き出し、再び銀鏡が砕かれる音が響き渡る。
「次、戻って来ることはないと思うが……万が一の為に一応、どう歩いたかもわかるように目印の付け方にも工夫しておくか」
 これだけ派手に無理やり進んでいるんだから向こうからきてくれると手間が省けるのだが…、と期待しつつセリオンが破壊音と共に迷宮を進んでゆく。

●銀鏡の迷宮
 並行世界の異邦人が汎用型ベルトフックに槍剣を吊るしなおし漆黒の銃身を持つ大口径自動拳銃を代わりに引き抜く。

●Guiltfeeder
 幾重にも反響する銃声と破砕音が迷宮に溶けてゆく。幾つもの分岐路の銀鏡を破砕しながら通り過ぎてゆくセリオンが、鏡酔いの感覚にも慣れて迷宮を移動する速度を僅かに上げて、しばし後。
 合わせ鏡の特性上、観測者が動くたびに変化する鏡像が変化しない分岐路へと辿り着き、映り込んだこれまでとは雰囲気が異なる負傷した鏡像を見定め、言葉を零す。
「鏡にどんな負傷の未来が写ろうが…きっと大して気にする必要はないな。……ふむ、俺はそんな負傷をするのか。…で、それが?『治せば』済む話だ」
 その顔に嘲笑を湛えたセリオンが、負傷した虚像の映り込む銀鏡へと迷いなく大口径の銃弾を叩き込み、破壊力を遺憾なく発揮した銃弾が銃声を置き去りに銀鏡を粉々に砕き、映り込んでいた虚像が掻き消え、飛散した破片が迷宮に綺麗な音を響かせる。

●銀鏡と硝子の迷宮
 銃声が幾度も響き渡り、そのたびに砕かれる銀鏡と共に虚像が迷宮から姿を消し、血塗れの自分自身を迷いなく砕き、幾つもの分岐路を越えたセリオンの瞳に中層への入口が見えてくる。

成功 🔵​🔵​🔴​

シホ・エーデルワイス
アドリブ&味方と連携歓迎



地図は<情報収集と学習力>で暗記
迷宮は目を閉じ
<第六感と聞き耳>で十フィート棒を使い攻略

そういえば私はこの世界に初めて来たはずなのに
何故慣れているのかしら?

いえ

この世界だけじゃない

記憶は無いけど
様々な世界で過ごした経験が身に付いています



気配を感じて目を開けると
黒い十字架へ磔にされ無数の杭で串刺しされた自分が
2つ前のUDC依頼で見た末路


これが貴女の最期
人々の怨嗟を浴び生贄となる宿命

それでも貴女は助けるの?


私は…恨みを抱いて逝くよりも
皆の幸せを祈りながら逝きたい

この身が許されぬ罪で救われないのなら
他人の厄を引受けて人々の幸せを祈ります

それに私は皆との絆が宿命を覆すと信じます



●探索開始
 銀色に折り重なる迷宮に照らされながら長い影を落とす猟兵が、反響する音に耳を傾けながら脳裏に描く迷宮と銀鏡の迷宮を重ね合わせてゆく。

●鏡像の迷宮
 魔力の籠められた特殊な糸で編まれたゴスロリ風のドレスを纏ったシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)が、袖口に施された十字架の意匠を銀鏡に映し込みながら、響く音に耳を澄ませ息をつくように言葉を零す。
「見せてもらった地図はかなり正確なものだったようですし…音が良く反響するおかげで、目を閉じて居ても周囲の状況を脳裏に浮かべられます。……何とかなりそうですね」
 零れた言葉が迷宮に溶ける前に再び甲高い音……シホが緩やかに探るように動かす十フィート棒が、銀鏡に当たる音……が響き、幾重にも揺らめく鏡像に惑わされることなく、鏡面が鳴らされる音が迷宮の奥へ向かってゆく。

●銀鏡の迷宮
 瞳を閉じたままの薄雪の聖者が祈りを捧げるような表情を無数の鏡面に映し込みながら銀宮に綺麗な音を響かせてゆく。

●既知感
 銀鏡に落ちる影が実物と交わり澄んだ音を奏でてゆく。淡く光るように拡がる銀宮を進むシホが自ら閉ざした暗い視界の中で、鏡面を叩き腕に還る反動とそれに伴い響く反響を頼りに歩みを進め、危なげなく迷宮の角を曲がり、脳裏に思い浮かべる地図へと自身の現在地を書き記し、程なくして……順調な道行きにシホが思い浮かべるのは僅かな疑問。
(そういえば私はこの世界に初めて来たはずなのに、何故慣れているのかしら?初めて使う道具も……初めて聞く説明も……なぜだか自然に受け入れられました)
 それを皮切りに、例えば……陽の昇ることのなくなった常闇の世界での出来事。例えば……竜が舞う広大に拡がる大地での出来事。例えば……何処までも拡がる漆黒の海に浮かぶ星征く船の世界での出来事……猟兵として訪れた多くの世界でも同じように不足なく自然に動けたことを思い出し、
(いえ、この世界だけじゃない……記憶は無いけど、様々な世界で過ごした経験が身に付いています)
 実際に起きたことは思い出せなくとも、過去が確かに自分自身へと刻まれていることを感じ、シホが歩みを確かにしてゆく。

●銀鏡の迷宮
 薄雪の聖者が身体に刻まれた経験を活かし鏡面を鳴らし閉ざした視界で迷うことなく奥に続く道を選び先へと進んでゆく。

●捧げるもの
 迷宮に響く足音が止まり余韻が溶けるように消えてゆく。十フィート棒から返る音が行き止まりを示し、持ち手を滑らせ伝い進んだシホが、身体を撫でる心が竦むような気配と雫が落ちる音にある種の確信をもって青い瞳を開ければ、そこには漆黒の十字架に磔にされ、無数の杭に串刺しにされて赤を零す自分自身の姿。
 世界法則を書き換える超常能力の影響でゆっくりと死に進み、変らぬ宿命を繰り返すその姿にシホが息をのみ、磔にされた虚像の顔が嗤いに歪み、
『自分の最期を見るのはどんな気分かしら? ……人々の怨嗟を浴び、生贄となる宿命を受け入れるのは何度目かしらね。ねぇ、それでも貴女は助けるの?』
「私は…恨みを抱いて逝くよりも、皆の幸せを祈りながら逝きたい」
『助けられた人は幸せを祈られたかったのかしら? 私を裁いて怒号を上げていた顔の方が幸せそうに見えなかった?』
「この身が許されぬ罪で救われないのなら、他人の厄を引受けて人々の幸せを祈ります」
『贖罪の為に、死なない身体で幾度もこの最期を迎えること受け入れるの?』
「……いいえ、それに私は皆との絆が宿命を覆すと信じています」
『そう。じゃぁ……貴女は先に進んで』

●銀鏡と硝子の迷宮
 シホの答えを聞いた虚像が零した言葉を掻き消すように罅割れ砕け、飛び散った破片が銀鏡を穿ち中層への入口までの道筋を示すかのように傷跡を刻み込む。

成功 🔵​🔵​🔴​

弥刀・一二三
spd中心 アド絡歓迎
【自身:楽しむ】
全面鏡て遊園地のアレみたいなもんどすやろか?
あんま破壊してまうと崩れてもうたら困りますな
地図をインストールしタブPCとゴーグルで鏡が見えんよう
【オーラ防御】で一応己を保護して正規ルートを確認しながら進みますわ
道に岩等置かれとったら、どない硬いもんでもツボ?みたいなんあるし、そこを【破壊工作】で排除
変なもん見せられたら、多分そこに災魔がおるっちゅー事どすやろし
取り敢えず【撮影】し【カウンターして催眠術で言いくるめ、呪詛や恫喝で恐怖を与える】から【破魔】でやり返し
酔いとは縁遠いんで、どないなるか分からしまへんけど【医術】で治しまひょ



●探索開始
 銀を湛え続ける迷宮へと機械の奏でる重低音を伴った猟兵が辿り着き、反響と鏡像を伴いながら銀鏡の迷宮を進んでゆく。

●鏡像の迷宮
 銀鏡を車輪が咬み擦れる音を響かせながら愛機である自作バイクを駆る弥刀・一二三(サイボーグのスターライダー・f10459)が、魔法学園の教師から得た地図をインストールした高機能小型タブレットPCの表示を、眼前を覆う暗視ゴーグル――
静止画や動画の撮影はもとより情報管理をも行う複合機器――に映し込みながら、
「全面鏡て遊園地のアレみたいなもんどすやろか? あんま破壊してまうと崩れてもうたら困りますな」
 見た目は脆そうに変化した銀鏡で構成された迷宮に一二三が言葉を零し、幾重にも反射し重なり続けることでどこまでも拡がり続けるような合わせ鏡の中を駆け抜けてゆき、残された機械音が迷宮へと溶けてゆく。

●銀鏡の迷宮
 鏡像の迷宮を所有する機械を操り機械マニアのメカニックが創り出された拡がりのなかを迷うことなく進んでゆく。

●影を映す魔鏡
 銀鏡の輝きに機械の奏でる重低音が響いてゆく。迷宮の壁面に一二三が操るMONSTER DAEGが唸りをあげるような重低音と共に映り込み、跨り駆ける一二三も幾重にも重なる合わせ鏡の中に無数の姿を刻ざまれてゆく。
 そうして、漆黒の宇宙をも駆ける科学の結晶が、蒸気機械と魔法に彩られた迷宮の床を構成する銀鏡を駆け、車輪が擦れる音が鋭く響き渡り、黒い跡と微かに焦げる音を残しながら一二三の愛機が迷宮を踏破してゆき、僅か後。 迷宮の中層へと至る経路を順調に進む一二三が、その瞳を保護させているゴーグル越しに異常を捉え動輪の軋むと音と共に愛機を停止させ、その眼前には銀鏡の中で背を向け、赤をじわじわと拡げる堆積した硝子をかき分けるボロボロな自身の虚像。此処までの案内を務めたゴーグルにその様子を撮影させながら金色の瞳を細め、
「うちに見えるのはこれどすか。変なもん見せられたら、多分そこに災魔がおるっちゅー事どすやろし……」
 そう言って伸ばした一二三の腕が銀鏡に沈み込むように虚像の肩へと届き、口調を恫喝めいたものに変えながら、思考を誘導するかのような抑揚で言葉を紡ぐ。
「ほな、ここの事教えと貰いましょか。そんなとこ掘っても無駄でおすやろ?」

●銀鏡の迷宮
 虚像へ干渉しようとした機械マニアのメカニックが虚ろな瞳で踵を返し愛機へと跨り来た道を遡り、虚像がそれを見送る。

●虚ろ映す魔境
 一面の銀世界の静寂を重低音が喰い破ってゆく。銀鏡をなるべく直視しないように努めつつも平衡感覚を乱すように身体を侵してくる一面の銀正解による鏡酔いの影響に周囲の警戒をしながらも一二三が愛機の速度を緩め、バイクの操縦の邪魔にならないパンク風のライダースーツに合わせたスタッズの撃ち込まれた革のロングブーツで鏡面を鳴らすように踏みしめ体をほぐし、
「酔いとは縁遠いんで、どないなるか分からしまへんけどで役に立ちそうな知識で対応しまひょ」
 周囲の景色を見ないように瞳を閉じ、医療知識に基づいて不調を整えるように気を落ち着け、程なくして再び瞳を開け愛機へと跨り機関音が響き始める。
 数刻の後、一二三の前に現れたのは銀色の巨塊。身の丈をはるかに超え通路を占領するように塞ぐそれに一二三が冷静に言葉を零し、
「どない硬いもんでもツボ?みたいなんあるし、壊せない事はないおすやろ」
 確かめるように振るわれたクランケヴァッフェが轟音と共に銀塊を吹き飛ばす。

●アルダワ地下迷宮
 虚ろな表情で銀鏡の迷宮を封じる扉を破壊した一二三が茫洋と立ち尽くし、異変を察知し訪れた魔法学園の教師に回収され医務室へと運ばれてゆく。

大失敗[評価なし]




第2章 冒険 『ガラスと鏡の迷宮』

POW   :    障害は破壊するのみ。割って前に進む。

SPD   :    手をつく?道具を使う?工夫して最短距離を駆け抜ける。

WIZ   :    ガラスや鏡の並びの規則性や、特徴を調べて出口を目指す。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●魔法学園アルダワ
 迷宮から避難してきた生徒達の話を纏めた魔法学園の教師が中層へと向かう猟兵達の元へと状況の説明をするために訪れる。上層部分の攻略にして頂いた方はありがとうございます。中層部分の攻略から手を貸していただける方も感謝いたします、と頭を下げ話し始めるのは銀鏡と硝子で構成された迷宮の情報。
「中層は少し透明度の低い曇鏡といろいろな色をしている硝子で構成されているようで……危険がある場所に送り出す身で、たとえが不謹慎かも知れませんが、例えるならは万華鏡の中に取り込まれてしまったかのような幻想的な雰囲気を味わえるようです」
 そこで一度、話を区切った教師が続けるのは鏡に関する生徒の実体験を纏めた状況報告。
「まず、普通に自分の姿が映っただけの生徒達がおりました。この生徒達は曇鏡と色硝子の迷宮を順当な手段で撤退してきております。非常に透明度の高い硝子もあり帰還にはかなり戸惑ったと言っておりましたが、特段の異常は体験しておりません」
「次に自分自身の姿が見えた生徒……これは怪我を負っていたり、若かったり年老いていたり、憔悴していたり…といろいろな形で映し出されています。あと、死に別れた肉親や友人の姿を見た生徒もいます。鏡に映った内容はまちまちなのですが…全体的に見た人間を精神的に消耗させるものが多い統計となっています」
 そうして、自身を見つめる猟兵達に申し訳なさそうに教師が言葉を繋ぎ、
「こう申し上げるのは非常に心苦しいのですが、曇鏡に映ってくるものは皆さんそれぞれで変わり、迷宮に入りそこで対峙するまで何が現れるか不明で予測がつきません。ただ、災魔が関わっているため、皆さんの感情や精神を負の方向に引き摺りこむ形で映されることが多いようです」
 説明を終えるとともに頭を下げた教師が、必要な物があれば準備いたしますのでお声掛けくださいと猟兵達を見送る。

●銀鏡と硝子の迷宮
 薄く色付いた硝子が銀色の輝く壁面へ映し込まれ華のような模様を成し、僅かに膨らむ透き通る硝子が銀鏡が反射する光を七色に分け煌かせる。上層の迷宮よりも僅かに透明度の低い鏡面が閉じ込めるように織りなす鏡の檻が、訪れる者の姿を映し込み捉えようとするかの如くそこに在る。
鶴澤・白雪
今度は中層ね、景色としては綺麗だし万華鏡の世界なんて夢があっていいけど少し不気味だわ

地図と鏡の配置や種類を照らし合わせながら出口を探すわ
規則性が見つかれば役に立つかもしれない

さて、今度はどんなあたしが現れるのかしら?
現れたのは燃え尽きた無気力な自分
心が折れた姿って事かしら

(もう何もしたくない
全部飲み込んで強いフリをして前を向いてもあたしは自分が1番許せない
本当に復讐したい相手はやっぱり自分自身だから)

それは見ないようにしてきた自分の本心
前向きに振舞って人の優しさに触れるたびに膿のように広がる罪悪感

やめて、あの子のためにも折れるわけにはいかないのよ

あたしの心の鏡像なら答えを見つけるまで黙ってて



●中層への挑戦
 朧げな鏡像を周囲へと溶かし込みながら歩いていた猟兵が、鈍く輝く曇鏡に反射する様々な色を観察するようにゆっくりと迷宮を進んでゆく。

●曇鏡の迷宮
 赤と白を輝きを色硝子に反射させる二輪の造花を戴く髪飾りを差した鶴澤・白雪(棘晶インフェルノ・f09233)が、上層との違いをその酸漿を思わせる紅い瞳に映し込みつつ、周囲の光景に気を飲まれないように声を零し、
「なるほど、ここが中層ね。聞いてた通り確かに景色としては綺麗だし……万華鏡の世界なんて夢があっていいけど、少し不気味だわ。こんなに綺麗なのになんでなのかしらね…?」
 穏やかな口調の中に毒とも棘ともとれる蠱惑的な影を落とす白雪の声が余韻を残し響き、地図に従い進む白雪が纏う衣装を花弁のように翻し、花の香りと共に鈍銀の世界に足音が響いてゆく。

●万華鏡の迷宮
 響く足音と共に進む貴石の白雪姫が僅かに色付いた硝子に触れながら曇る鏡面を踏みしめ迷宮の奥へと身を進めてゆく。

●貴石の標
 曇鏡の鈍色を震わせるように澄んだ音が響いてゆく。陽炎の如く不鮮明な鏡像を連れる白雪が、金剛石のようなどこまでも透明な硝子板を躱し通り過ぎ、月の輝きを思わせる乳白色の硝子板を横目に歩みを進め、僅か後。星の瞬く夜空を連想させる夜色の硝子板を後方に置き去りにした頃。
「ダイヤに、ムーンストーン……ルビーとオパールを模したものもあったわね。それでさっきのはラピスラズリ……。多分だけど、誕生石かしらね? なら、そろそろ最後ね。……さて、今度はどんなあたしが現れるのかしら?」
 呟いた言葉の答えを合わせをするかように海にも空にも見える蒼く揺蕩う硝子が現れ白雪の歩みを塞ぎ、それに触れた白雪が蒼へと沈み込み姿を消す。
 蒼空から墜ちるように、蒼海から浮かび上がるように一瞬の浮遊感を抜けた白雪の紅い瞳に映るのは、見覚えのある小高い丘と3階建てのコテージ。ある種の確信と共に自室を目指す白雪の横を通り過ぎていくのは埃を被った海の宝石たち……そうして、僅か後。
 蝶番を軋ませ扉を開いた白雪が見たのは、射干玉の髪に酸漿の瞳……泡雪の肌をした儚く溶けて消えそうな自分自身の虚像。

●海の宝石
 貴石の白雪姫の背後で扉が閉まり音をたて、茫洋と顔を上げた虚像を降り注ぐ太陽の光と遠く響く海鳴りが彩ってゆく。

●復讐の毒花
 崩れ落ちるような音がコテージの一室を震わせる。怯えるように蹲り見上げてくる虚像にむけて白雪が一歩足を踏み出した刹那。拒絶する悲鳴と共に虚像が後ずさり、
『もう、何もしたくない……!もう、何も見たくない……!もう、何も聞きたくない……!』
 それは、深く隠した本心に負けて心が折れた……燃え尽きて無気力で弱々しい白雪の姿。
『あの子は、あたしの自由をねが…「やめて」』
 虚像の言葉を遮った白雪の心の箍が緩むかのように黒剣が昏く沈み……安寧の対価に差し出された事実や、復讐の為に剣をとった過去を受け入れたフリをする白雪を虚像がさらに抉るように騒ぎ、
『それに、あの子が…あの子は……あたしの…「やめて!」』
 前向きに振舞って人の優しさに触れるたびに膿のように広がる罪悪感の根幹を暴きかねない、その言葉を白雪が遮り……それでも騒ぎ続ける虚像を白雪が抱きしめ、
『本当に…復讐……しないといけないの……は「ねぇ、やめて? あの子のためにも今は折れるわけにはいかないのよ」』
 冷たい体温に動きを止めた虚像に白雪の声が優しく響きすべてが崩れ去る。
「あなたがあたしの心の鏡像なら答えを見つけるまで黙ってて」

●魔鏡の誘い
 甲高い音と共に蒼く揺蕩う硝子が砕け散り、腕の中の感覚が消えたことを感じた白雪が立ち上がり、頭に飾った造花の花言葉を心に沈めるように刻み、迷宮主の間へ向けて歩みを進める。

成功 🔵​🔵​🔴​

マーリス・シェルスカナ
(※アドリブ大歓迎)
Magic Mirror(文字通り)は面倒ですネ。
電脳にも影響でソウ…、最奥までは控えテ
此処は「エレクトロレギオン」にルート特定してもらうネ。
電脳じゃない分、時間かかりそうだケド…その間はこの景色を楽しむネ。

Oh、またMeの姿が…て、HEY!Meはこんなお婆ちゃんじゃナイYo!?
(鏡に映った老婆な魔女姿に理不尽に怒りながら)

…エ、【神秘に何の価値がある?】【無駄骨おって損ばかり】
【もっと他にやる事ないの?】【自分の一生を捨てるな】ッテ?

No!神秘は偶然の世界、人だって偶然の果てに生まれたヨ。
ナラ偶然を必然にシテ、未来を創る事だって出来る筈ヨ
それをするのが科学者の使命ネ!



●中層への挑戦
 烟る銀面に映り込み色合いを変える硝子の反射に照らされ進む猟兵が、影絵の鏡像を周囲に拡げながら足音と共に迷宮の奥を目指してゆく。

●曇鏡の迷宮
 黒地に金の縁取りがされた魔女のローブを纏ったマーリス・シェルスカナ(宇宙(そら)飛ぶマーリンレディ・f15757)が、姿を模した神秘の体現者に恥じない興味と知性を宿した輝蒼の双眸で曇る鏡面と様々な変化を見せる色硝子を見定めながら、
「nh~、ここもbeautifulデスガ……Magic Mirrorは面倒デス。…Ahh、Meのintuitionじゃ電脳spaceにも影響でそうネ! 最奥までは控えたほうがよさそうヨ!」
 よく響く声がいつもの調子で迷宮に響き歩みを進めたマーリスが透き通る硝子に衝突し、撓むように響く音と共に尻もちをつき…、
「Ouch! ……透明なglassもgreatデス…が、歩き回るのはアブナイですネ!」
 瞳に星を散らし頭を押さえながら立ち上がったマーリスが、曇鏡へと細長い影を映し込み喚び声が響かせる。

●万華鏡の迷宮
 星の科学者が七色に輝く魔女の杖を携え、言の葉を紡ぎ科学へと解きほぐされた神秘の一端が迷宮へと再現される。

●人造使い魔
 溢れる光が迷宮を染め上げ鈍銀が白く染まってゆく。太陽のように月のように、人に寄り添う神秘のようにめまぐるしく廻る色がマーリスを照らし出し詠唱が完成する。
「……知識の運び手にシテ、Crashのinciter……対価を糧にcome alongネ!」
 魔力光が弾け、解ける七色を呼び水に顕れたのは幾何学的な模様を輝かせる有機物とも無機物ともつかない数十の蛇の群れ。独特の音を奏でるそれらの赤い瞳に怯むことなくマーリスが言葉を紡ぎ、
「Thanks! Meの代わりにsearchをお願いするネ! and……案内もpleaseデス!」
 術者と召喚物の繋がり故かマーリスの命令を正しく認識した蛇達が迷宮へとその模様を刻むように流れるような勢いで消えてゆく。
 そして、現実世界で虱潰しに経路を探る蛇達を送り出したマーリスが、電脳世界での探索より時間が掛かるのは仕方ないと位置を変えることで万華鏡のように変化する風景を楽しみ、しばし後。鏡華を眺めるマーリスの元へ幾何学模様の蛇が戻り、虚像の映る曇鏡へと案内し……、
「Oh、ここにもまたMeの姿が…って!? HEY! Meはこんなお婆ちゃんじゃナイYo!?」

●万華鏡の迷宮
 虚像の老魔女に星の科学者が理不尽な怒りに満ちた悲鳴を上げ、役目を終えた使い魔達が迷宮へと溶けてゆく。

●神秘の徒
 紡がれる言葉が鈍銀の迷宮を彩ってゆく。心外と騒ぐマーリスへ落ち着いた雰囲気の暖色で纏められた服装の上からローブを纏い魔女の三角帽を被った虚像が、穏やかに、柔らかく……何処か諦念に沈んだ声で語りかける。
『歓迎するよ、little Me。サテ、先達としてadviceしようじゃないか……よくお聞きMysticに追いかける価値などないサネ』
「No! 神秘は偶然の世界ネ、valueは求めるんじゃなくてtake noticeヨ!」
『Nothingはnothingだよ。気が付く以前に何もない……make vain effortsサ』
「No! No!! 人だって偶然の果てに生まれたヨ! 神秘 is hereネ!」
『そこに在ると納得したらならlook for something……自分の一生を捨てるんじゃないヨ。もっと他にやる事があるだろう?』
「No! No!! No!!! 偶然を必然に! UnknownをKnownに!! 知識で未来をcreateするのが科学者の使命でWishネ!!!」

●魔鏡の誘い
 想いを語るマーリスと諫める虚像の声が次第に大きくなり割れる音と共に曇鏡が震え、送り出すかのように整然と並ぶ破片がマーリスを迷宮主の間へと導く。

成功 🔵​🔵​🔴​

ステラ・リデル
【SPD】
先程は平衡感覚、次は遠近感を狂わせる仕掛けですか。
……万華鏡とはよく言ったものですね。
確かに留まって見る分には美しい光景です。
とはいえ、いつまでも眺めている訳にはいきませんね。
《魔剣舞踏》で宙に複数の光の剣を顕現。
それを先行させ時にぶつける事で進むべきルートを確かめる。
曇鏡に映るものに関しては、上層部と少し術式を変えただけの本質的には同じものと判断。
少し観察した後は興味をなくして先に進みます。
突破した際に振り返り
「本当に綺麗な場所ではありますね。無粋な災魔が居なければ良い観光名所になるかもしれません」
と述懐。



●中層への挑戦
 鈍銀の鏡面を踏みしめながら身体を慣らすかのようにゆっくりと歩む猟兵が、色硝子の輝きを置き去りに鏡像と共に足音を刻んでゆく。

●曇鏡の迷宮
 鈍く輝く鏡面に映り込む姿を横目に歩くステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)が、その身に纏う魔力を青い輝きに染め、深蒼色の宝玉を周囲の鈍銀に揺らめかせるように辺りを見渡し、
「なるほど、先程は平衡感覚、次は遠近感を狂わせる仕掛けですか。……光をプリズムのように拡散させる色硝子といい、万華鏡とはよく言ったものです」
 その言葉が迷宮へと溶ける前にステラを中心に鏡の色華が様相を変え……とはいえ、ここまで規模が大きいと賞賛に値するとは思いますね、と感嘆しつつステラが言葉を紡ぎ、警戒を絶やさぬままに迷宮の奥を目指し足を進め、銀世界に青い軌跡が進んでゆく。

●万華鏡の迷宮
 鈍鏡に青い魔力が沸き上がる様を映しながら黒い衣装を纏った未来都市の管理者が迷宮を見定めるように歩みを進めてゆく。

●魔剣舞踏
 打ち寄せるように溢れるように青が鏡を満たしてゆく。色硝子と鈍鏡が創る拡がる箱庭を進むステラが、複雑さを増し始めた周囲の光景に鏡面を覆うように身に纏うオドを猛らせ、
「刻々と変化し、移動する程に見え方が変わり飽きない……確かに、この迷宮に留まって見る分には美しい光景です。とはいえ、目的は迷宮主の討伐。いつまでも眺めている訳にはいきませんね」
 応えるように溢れるのは白光。ステラの手に空間から引き抜かれた白光の剣が顕現し、それを模倣するかのように周囲に満たされた青いオドが凝縮されて固まり形を成し、数十の魔力剣へと変わり、ステラの周りを踊るように旋回し始める。
 そうして、程なくして。曇鏡の迷宮を満たすのは蒼光と硝子の悲鳴。それはステラを守護し侍り従う魔力剣が、進む先へと先行し飛翔の勢いのまま鈍鏡、色硝子の区別なく突き刺さり道を斬り開く音。創られた道を示し、彩るかのように散らばる砕けた色とりどりの破片を黒いブーツで踏みしめステラが歩みを進めてゆき、
「道を塞ぐ硝子は追加されていますが、迷宮の構造そのものはやはり変化していないようですね。……いえ、まずは先を急ぎましょう」

●万華鏡の迷宮
 鏡宮が砕け奏でる澄んだ音に迎えられるように未来都市の管理者が青剣を舞わせながら迷宮の奥を目指し進んでゆく。

●魔鏡の鏡像
 罅割れた鏡面が歪んだ鏡像を映し込み砕けてゆく。視界を薄く青く染めるオドのベール越しにステラが、魔力剣が突き刺さった跡を見せる曇鏡の割れた鏡像が上層の虚像のように変化を見せないことを意識の端で観察しながら、引き抜いた拳銃から闇色の魔力弾を放ち曇鏡を粉砕し、
「何も映らなかったと言っていた生徒は、逃げることに気を取られあまり鏡面を意識していなかったと言っていましたし……視野を魔力で遮りながら鏡像へ意識を向けないように意識している私にも虚像は見えないようですね」
 零した言葉を組み立てるようにステラが鏡に仕込まれた術式に関して思案し、興味を失った声色で言葉が続き、
「視認、心象……模倣。迷宮主が目的としていることは理解できませんが、やはり術式自体はほぼ同じとみて構わないでしょう。手を出すのはあまり勧められないようですし無視していくのが得策のようです」
 そうして、気を引き締めなおしたステラが僅かに速さを増した足音を響かせ、変わらず整然と舞い続ける魔力剣が迷宮を破壊する音が鈍銀の静寂を侵してゆく。

●魔鏡の誘い
 迷宮主の前と続く部屋へと辿り着いたステラが念のためと周囲の輝鏡を砕き息をつき、踏破した迷宮を振り返りながら零した感想が空気に溶けてゆく。
「本当に綺麗な場所ではありますね。無粋な災魔が居なければ良い観光名所になるかもしれません」

成功 🔵​🔵​🔴​

シュデラ・テノーフォン
コノ色硝子好いなァ
でも発生源狩ったら消えそう。少し残念

万華鏡は見慣れてるけど透明度高いのは面倒だ
角曲がる度に弾一発進行方向に撃って確認するよ
後は上層と同じく地図へ現在地書き込みながら進もう

で…また昔の俺か
非番の時かな、今度は無表情だ
戦争以外何も興味無かった時期だね、目死んでるよ

そら俺の頑張りか解らないけど国は今でも元気だし
落ち着いたからって暇くれたけどさ
逃げた?まさか。俺に騎士の剣をくれた人はずっと心配してたんだよ
あのままだったら俺は今でも硝子が綺麗だって思えずに
食事も皆鉄の味だと思ってたんじゃないかな

確かに君見てると少し溜息がでるね
でもそれだけ。さ、通して貰うよ
じゃあね過去の英雄君と銃声一つ



●中層への挑戦
 緩やかに銀色に染まった迷宮で足を留めた猟兵が、異なる色合いを示す色硝子を硝子職人の眼差しで観察し時計が時を刻んでゆく。

●硝子の迷宮
 淡い色を絶妙な濃淡で透かす色硝子を手袋越しに触っていたシュデラ・テノーフォン(天狼パラフォニア・f13408)が、冷たく硬い硝子独特の感触から名残惜しそうに手を離し、感嘆と羨望を籠めて感想を響かせ、
「いやァ、コノ色硝子好いなァ。……こう、手作りな風味も感じるし、記念に貰えるならほしいんだけど。でもまァ、発生源狩ったら消えそうだよね……これ。少し残念だなァ」
 さておき、いいものも見れたし狩りの時間だよね、と色硝子に映った金銀妖瞳を鋭く細めて雰囲気と表情を変えたシュデラが、借り受けた地図を取り出し慣れた手つきで印をつけ、硝子と曇鏡へと規則正しい足音が刻まれてゆく。

●万華鏡の迷宮
 反響する足音を天狼の銃騎士が鋭敏な聴覚で聞き取り進み、僅かに感じ取った違和感に愛用の拳銃に手を伸ばしてゆく。

●Cenerentola
 透き通る色合いが幾重にも鈍銀の迷宮に彩を添える。まっすぐに狙いを定めた硝子細工装飾の白い大型拳銃の照星越しに映る幾枚かの色硝子を見るシュデラが、警戒心に従い撃鉄を起こし澄んだ銃声が響き渡り、甲高い音と共に床面に硝子の破片が雨のように零れ落ち、
「……万華鏡は見慣れてるけど透明度高いのは面倒だなァ。この透明な硝子もいいアクセントになってるけど、今の状況で混じってると見定めるのは限界があるし…もったいないけど仕方ないよね」
 散らばる破片に混じる透明な硝子片を光に透かし検分していたシュデラが、欠片をレッグポーチに納めて歩みを進め、鏡面に喰いこむ透明な精霊弾を確認し、再びの銃声。
 そうして、弾倉を数度入れ替えた後。曲がり角を越えるたびに迷宮を震わせていた銃声が途絶え、シュデラの目の前に姿を見せるのはかつての自分。苦笑するような言葉が鏡面を抜け出た虚像へと掛けられ、視線が交錯する。
「で…また昔の俺かァ。これは非番の時かな、今度は見事に無表情だ。やァ、君。また会ったね」

●万華鏡の迷宮
 再びの邂逅も砕けた鈍鏡と硝子の雨の名残と共に、天狼の銃騎士と過去を模した虚像が向き合い言葉が紡がれてゆく。

●在りし日の銃騎士
 緩やかな緊張感が鏡面を揺らすかのように満ちてゆく。興味を示さないまま瞳を上げた、飾り気のない擦り切れた私服を纏う虚像の様子を気にせずシュデラが複雑な色をにじませた声を響かせ、
「はァ、客観的にみるとひどいもんだね。戦争以外何も興味無かった時期だろうけど、目ぇ死んでるよ」
『…? 騎士として国を護って、狩りの充足もある。他に何が必要だ?』
「いやさ、なんて言うか…生きてないよ、君。そらァ、俺の頑張りかは解らないけど国は今でも元気だし……落ち着いたからって暇くれたけどさ」
『騎士の役目から逃げたのか? 狩りも途中で投げ出したのか?』
「まさか、俺に騎士の剣をくれたあの人はずっと心配してくれてたんだよ。…今ならその気持ちも分かるなァ」
『………』
「あァ、たぶん、俺もそんな反応してたんだろうね、当時はさ。……ねぇ、君。硝子を綺麗だなんて思えないよね? 食事も全部、鉄の味しかしてないよね? 護った人の顔とか思い出せる?」
『……それが? 武器を整備し、体調を整え、護り狩る、それだけで充分だ』
「…はァ、確かに君を見てると溜息がでるのは実感したよ。……でもまァ、それだけ。さ、通して貰うよ」
 そうして、現在と過去を引き裂くように銃声一つ。
「じゃあね、過去の英雄君。俺は未来で楽しくやってくよ」

●魔鏡の誘い
 数刻の後。シュデラが迷宮主の間へと繋がる広間で目的地に着いたことを確認し、口の中に飴を放り込み転がしながら…あァ、一つだけ羨ましいこともあったね、と紫煙を思い出して苦笑する。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィサラ・ヴァイン
大切な人との思い出を胸に先に進む
次に鏡に映るのは…誰かな?
もう惑わされる事もないと思うけど…
…鏡に映るのは…リム?
私の事を『怖くない』って言ってくれて、私を真っ直ぐに見てくれた、リム
…だけど鏡の中のあの子は私を見てはいなかった
もう一人の映ってる何処かの誰かに、魔女の秘薬を渡している…笑顔を振り撒いて
…あの子にとっては、困ってる誰かに。怪我をしてる誰かに寄り添うのは当然の事
彼女は何も悪い事なんてしてない。なのに…
「…どうして私は泣いてるの…?」
突然、一人ぼっちになった気がしたから?
衝動的に《拾った石片》で鏡を割る
…鏡の破片で血が出てるけど…流石に今は《魔女の秘薬》を飲む気にはなれなかった



●中層への挑戦
 鈍鏡の中で迎えるように滲む鏡像を瞳に映し込み進んでゆく猟兵が、しっかりとした足取りで鏡面を踏みしめながら迷宮の奥へと消えてゆく。

●曇鏡の迷宮
 色硝子に仄かに映る影へと鈍鏡に浮かび上がる鏡像を重ねながらヴィサラ・ヴァイン(魔女噛みのゴルゴン・f00702)が、うっすらとしかし明瞭な輝きをみせる蛇髪の赤瞳とヴィサラ自身の双眸を息を整え見返しつつ、
「うん、大丈夫。……苦手でも大切な人との思い出が胸にあればちゃんと向き合えるし先にも進める。この迷宮にもう惑わされる事もないと思うけど…、次に鏡に映るのは…誰かな?」
 僅かに不安を滲ませつつもヴィサラが、紡いだ言葉通りに上層で銀鏡に映った過去を乗り越えた事実を抱き、中層もきっと進んでゆけると大切な人への想いで暖かく満たされながら姿勢を正し、鈍鏡に気後れすることなく足音が響いてゆく。

●万華鏡の迷宮
 魔女噛みの蛇髪少女が携えた秘薬の確かさに力を貰い魔眼を映す鈍鏡の迷宮へ刻む足音を乱すことなく進んでゆく。

●魔女の末裔
 揺らめく碧色が赤い軌跡を迷宮に刻み擦れる音を響かせる。万華鏡のように見え方を変え続ける迷宮の様子を警戒するヴィサラの髪の毛が変化した緑色の身体を躍らせる蛇髪が、瞳と同じ色の赤い舌をチロチロと動かしながら周囲の状況を把握し、ヴィサラへと危険を伝えるために時折身体を鳴らし、透き通った色硝子の位置を知らせて注意を促し、暫し後。
 道を遮るような色硝子の壁を潜り抜けヴィサラが奥へと進み、曇りが薄れ輝きを示し始めた銀鏡に二つの虚像が映る。柔らかな梔子色のミディアムボブの毛足は撫子色に光を弾き、淡紅色の可愛らしい魔女のドレスの肩に薄桃色のスカーフをかけたその姿は誰よりも大切な人を模したもの。
「え? ……あの鏡に映ってるのは…リム……だよね? うん、間違いない。私の事を『怖くない』って言ってくれて、私を真っ直ぐに見てくれた、リム」
 でも、それなら一緒にいるのは誰なの……?と零し虚像の元へと急ごうと歩みを速めたヴィサラの前で魔女の末裔の虚像がヴィサラに空色の瞳を向けることなく影絵の鏡像に向けて歩み寄ってゆく。

●万華鏡の迷宮
 魔女の末裔の虚像が微笑みながら安心させるように影絵と近づき、魔女噛みの蛇髪少女が焦燥と共に傍へと駆け寄る。

●≪拾った石片≫
 鏡面が虚実の境界を示し、分かたれたままに移ろってゆく。何処かの誰かの影絵に近づいてゆく大切な人の虚像の後姿に、その顔が浮べているだろう笑顔を脳裏に幻視したヴィサラが、虚像へ手を伸ばし追いかけるようにさらに踏み出し銀鏡に衝突し、打ち付けた痛みを無視してもう一度手を伸ばし銀鏡に阻まれて、
(…あの子にとっては、困ってる誰かに。怪我をしてる誰かに寄り添うのは当然の事)
 そう思いながらも魔女の秘薬を渡し影絵と共にある虚像の横顔が笑顔であることを見てしまったヴィサラの瞳から涙がこぼれ視界が滲んでゆく。
「…どうして私は泣いてるの…? 彼女は何も悪い事なんてしてない。なのに……なんで?」
 こぼれた言葉と共に溢れるように浮かび上がってくるのは、チョコレートケーキで祝った記念日の一幕。ぐちゃぐちゃで思い通りにならない心が、隣を奪われ……崩れ去り堕ちていくような心細さに変わり、
(……ちがう、ちがう、そんなことない!)
 心が悲鳴をあげ、目の前が罅割れ、砕け散った銀鏡が迷宮へと降り注ぎ……魔眼に捕らわれた人の残滓たる石片を握りしめたヴィサラが衝動に振り回されまま赤を零し一人……取り残される。

●魔鏡の誘い
 鏡の破片に裂かれた傷と強張ったままの手に喰いこむ石片から点々と赤を零すヴィサラが怪我した姿をもし見られたら、心配させると思い謝りながらも秘薬の重みから目を背け進んでゆく。
(ごめんね、リム。……でも、今は流石に……ごめんね)

成功 🔵​🔵​🔴​

シホ・エーデルワイス
世界観に沿ったアドリブ希望

引き続き地図を思い浮かべ目を閉じ
<第六感、聞き耳>と十フィート棒で進む

順調な歩みに前回のUDC依頼で蘇った
異世界の私達との邂逅は
真実だと改めて実感


気配を感じ
目を開け


映っていたのは金髪紅眼三つ編みのミレナリィドール
顔立ちは私そっくり
異世界の私

彼女は張切っていた
多忙な仲間の代わりに
作戦の準備を進めておけば喜ぶと思い

だが

身勝手な事を!
虚栄心の塊だ!

不和による連携の乱れで勝てる戦いに敗北
彼女は侮蔑され心が壊れた


信頼

全部幻で存在しない

貴女も仲間だと思っている人から陰口を叩かれているかもね?


確かに皆が実際私をどう思っているかは分からない
でも
お礼を言ってくれた人まで否定しないで!



●中層への挑戦
 長い影が色硝子と交わり響かせる高い音色が鈍鏡に反響し、残響を頼りに進む猟兵が脳裏に浮かべる地図と迷宮を比べながら歩みを進めてゆく。

●曇鏡の迷宮
 閉ざしたままの瞳を神秘的な魔力を籠められたヴェールで覆ったシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)が、再び感じる既知感を錯覚ではないのだと受け入れ、納得しつつも心を乱すことなく手元に返る色硝子を叩く反動と、音程は変わりながらも美しく響く音を聞き取りながら、
「やはり気のせいではないのでしょうね。邪神とその眷属と戦ったあの世界で見た異世界の私達との邂逅は……やはり、事実として起きた真実の一端だったのでしょう」
 でも、それならばこの世界で違和感なく行動できる事実がたどり着く先は……、と思案に沈みかけたシホが、沸きあがる何かに蓋をするように猟兵としてやるべきことを為すべきと気持ちを切り替え、澄んだ音が暴いてゆく迷宮を迷いなく進んでゆく。

●万華鏡の迷宮
 薄雪の聖者の奏でる音が万華鏡の如く変化する鏡宮を彩り、幻想的な風景が描き出されひと時の間に消えてゆく。

●虚像の迷宮
 幾重にも拡がる鈍銀へと響く音が溶けてゆく。色硝子が重なり合い様相を変える万華鏡を思わせる風景から零れる光で瞳を閉ざした顔に陰影を刻むシホが、上層と同じく危なげなく歩みを進め、響く音がいつの間にか石壁を打つような硬質な物へと変わり、異常を感じ取ったシホが青い瞳を開けると懐かしくも記憶のない迷宮の一角。
(……ここは? この見えている迷宮自体が過去の迷宮ということなのかしら?)
 そのシホの予想を肯定するかのように背後から迫った足音が横を通り過ぎ、駆け抜けシホの瞳に三つ編みにした金色の髪を跳ねさせながら、紅眼に期待を覗かせるシホとそっくりな顔立ちをしたミレナリィドールの少女が姿を見せ迷宮主の間へと繋がる広間へと辿り着く。
(……あれは、異世界の私? それじゃ、これから迷宮主の討伐に向かうというところ?)
 シホが疑問を浮かべながらも届かない世界を眺め、その中で動くシホの虚像が希望に満ちた表情で武器の手入れをし、消耗品を準備し後から続く仲間の為に準備を進めて、しばし後。
 迷宮主へと挑戦に備え交代で休憩をしていた魔法学園の生徒達が違和感に気が付き、広間へと数人の生徒達が駆け込んで俄かに空気が乱れてゆく。

●万華鏡の迷宮
 魔法学園の生徒達が無断で扱われた自身の武具を認め回収し、怒りと共に薄雪の聖者の虚像が詰め寄られてゆく。

●≪地下迷宮の大魔王≫
 静寂を緊張と隔意が覆い時計の針がゆっくりと進んでゆく。各々の道具を確かめ終えた魔法学園の生徒達が金髪紅眼の少女――シホの虚像――に詰め寄り、声を荒げてゆく。
『身勝手な事を!』『なぜ大人しく休んでいない!?』『虚栄心の塊だ!』『ここがどこか理解していないのか!?』
 心の乱れは金髪紅眼の少女へと向かうものだけでは収まらず、水の中に黒いインクが零れたかのように全員の心へ広がってゆき、撤退の案も出ながら迷宮主の間の扉は開かれ、しばし後。
 満身創痍で迷宮主の間から転がり出てきたのは半数以下に数を減らした生徒達。勝てるはずの戦いの負けたのは不和による連携の乱れか最奥に蘇った大魔王による影響かは知れずとも、幾多の別離に生贄が求められ捧げられたのはシホの虚像。
 そうして、しばし後。侮蔑の言葉で心を壊されて取り残された虚像が……顔を上げ嗤いながらシホへと話しかける。
『見ていたでしょう? 信頼なんて、まぼろし。絆なんて、まやかし。何処にも存在しない虚構よ』
「確かに皆が実際私をどう思っているかは分からない……」
『そうでしょう? 貴女も仲間だと思っている人から陰口を叩かれているかもね?』
「でも、そうだとしても! お礼を言ってくれた人まで否定しないで!」

●魔鏡の誘い
 悲鳴が嘲笑を遮り、銀鏡が砕け散る音と共に誘うように現れたのは迷宮主の間に続く広間への道。

成功 🔵​🔵​🔴​

神元・眞白
【WIZ/割と自由に】
さっきの私はもう1人の私…かな。自分と話す事なんてないし、次は…?
鏡映し、永久に煌めいて。光あるところには影もある。でも、それも私。

【自身:過去】
……私。こんにちわ、昔の私。進む道に迷ってる私。
そう。私は私でもこの鏡は色々なものを見せてくれるのね。
今でも少し悲しいけれど、みんながいるから大丈夫。マスターがいなくても大丈夫。

魅医、少しだけ私に灯をあげて。大元は災魔かもしれないけど少しの休憩。
短い間だけど、私は進まないといけないし。寂しいけれど。
さよなら昔の私。鏡の向こうのみんなによろしく。



●中層への挑戦
 割れる音を聞きながら一つの足音を侍らせた猟兵が、刻まれた目印を辿りながら色硝子で彩られた鈍鏡の迷宮の奥を目指してゆく。

●曇鏡の迷宮
 散らばる色硝子の破片と鈍鏡へ刻まれた目印を道標に進む神元・眞白(真白のキャンパス・f00949)が、遠く聞こえる破砕音と足音を感じながら曇鏡に映る幾重にも重なった影絵の鏡像と共に進み、
「さっきの私はもう1人の私…かな。……いま、周りに映っているものは違うみたいだし、なにか条件があるのだろうけど……。まあ、自分と話す事なんてないし……でも、次は…なにかな?」
 斬り裂かれ砕かれ消えていった虚像へと眞白が零す言葉が迷宮に反響し、侍るように影を踏む魅医の足音にかき消されて、僅か後。鏡面に散らばり彩を添える色硝子の欠片を踏みながら眞白が周囲を見渡し、連れ立って響く足音が迷宮に反響してゆく。

●万華鏡の迷宮
 戦術器を引き連れ進む真白の人形が、刻まれた印を慣れた様子で確認しながら迷宮の奥に向けて進んでゆく。

●回廊の迷宮
 標された目印が重なり堆積する破片が溢れてゆく。手元の地図と迷宮の構造を確かめていた眞白が立ち止まり、既に確認した目印と新しく刻まれた目印が存在する鈍鏡を眺め、魅医へと振り返りながら耳を澄ませ、飛威と符雨がたてる破砕音が先行していることを聞きとり、
「戻ってきた……? それとも、迷宮が広くなってる? ここまで地図と迷宮に違いは感じなかったけど……」
 ひとまず、飛威と符雨を放ってはおけないから追いかけましょう、と結論を出した眞白が歩き出し、魅医が変わらず護るように侍るようにその後ろに従ってゆく。
 クルクルリと廻り様相を変える万華鏡の如く幾重にも拡がる迷宮に色硝子の残骸が積もって、しばし後。重なる印が増え、山積する破片が明確な違いを見せ始めた頃。
 再び足を止めた眞白が鈍鏡に刻まれた目印の数を数え、手元の地図で辿った経路と重ね合わせて目印のない方向へと曲がる。そうして、遠く響く破砕音から離れるように進み、迷宮から曇りが取れるかのように輝きが増し、鏡像が明確な虚像となり姿を結んでゆく。
「鏡映し、永久に煌めいて。光あるところには影もある。でも、それも……私」

●万華鏡の迷宮
 在りし日を模した虚構を映す銀鏡の前で立ち止まった真白の人形の前で虚像たちが過去をなぞるように動いてゆく。

●戦術器
 銀鏡の映す光が周囲を取り込むように揺らいでゆく。覗き込むように、俯瞰するように視線の位置を変えて虚構の時間が流れるのを見ていた眞白の瞳に映る光景が切り替わり……いつの間にか虚構の中に踏み込んだ眞白が立つのはかつてマスターに与えられた部屋。
 懐かしさを感じながら周囲を見渡した眞白が手を伸ばそうとした瞬間、ドアノブが鳴り現れたのはかつての虚像。
「……私。こんにちわ、昔の私。進む道に迷ってる、私」
(そう。…私は私。でも、この鏡は色々なものを見せてくれるのね。今でも少し悲しいけれど、みんながいるから大丈夫。マスターがいなくても大丈夫)
 別離の影を感じさせない瞳を持つ虚像にそう声を掛けた眞白が、虚構に違う未来が存在するのかは知らないけれど…、と魅医に瞳を向け、
「魅医、少しだけ私に灯をあげて。大元は災魔かもしれないけど、少しの休憩」
 灯された光に驚きと疑問の顔を見せる虚像に、眞白が笑いかけるように言葉を紡ぎ、踵を返した後ろで虚構が崩れてゆく。
「短い間だけど、見れてよかった。……私は進まないといけないし。寂しいけれど。さよなら、昔の私。鏡の向こうのみんなによろしく」

●魔鏡の誘い
 数刻の後。砕かれた色硝子と割れた鈍鏡の先に辿り着いた飛威と符雨の後を追い、眞白と魅医が迷宮主の間へと繋がる広間へと足を踏み入れる。

成功 🔵​🔵​🔴​

アマータ・プリムス
一緒に行きましょうか、ネロ

次に写しだされるのは
『今までに会ったもう会えない人たち』
長い長い時間の中で当機だけが取り残されていく

もちろん皆様の顔は覚えています
一度たりとも忘れたことはありません
『お前のせいで』
『お前がいたから』

周囲から聞こえてくる怨嗟の声
(『相変わらず似てねーナ。似せる努力より傷を抉る努力してればしょうがねぇか』)
「そですね、これは見る者の心の内を写しだすようですから」
(『こんなこと考えてんのか?』)
「まさか」

当機は後悔などしていません
しては皆様に失礼ですから
当機は出会った方全てに完璧な応対を

「先へ進みますよ」
(『この先が楽しみだな、ケケケ』)
過去は過去、大事なのはその先です



●中層への挑戦
 鈍銀が折り重なるように拡がる迷宮で足を止めた猟兵が、麗銀の輝きをみせる箱鞄を足元に置き慣れた手つきで留め金を開放する。

●曇鏡の迷宮
 桃花色の瞳で周囲を見渡すアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)の横で、銀色のトランクの蓋が内側から押し上げられ開き、南瓜頭の案山子人形が姿を顕して大鎌を引き抜き終えるとともに閉じたトランクをアマータへと器用に投げ渡し、漆黒のフードから覗く眼光を瞬かせながら、ギザギザの口を歪め哂う。
(『ケケケ!相変わらず目に優しくねーナ!ココハ!』)
「当機は嫌いではありませんが……さて、状況を理解したなら一緒に行きましょうか、ネロ」
 危なげなくトランクを受け止めたアマータが姿勢を正して迷宮の奥へと視線を向け歩き出し、ネロが音もなく滑るように続き、鏡面に二つの色合いが混ざり華を成して移ろってゆく。

●万華鏡の迷宮
 アンティークドールのメイドが黒衣の案山子人形と連れ立ち、鏡像を幾重にも映し込み先へと進むにつれて異変が鈍鏡を覆ってゆく。

●隔意の鏡宮
 曇鏡に足音が反響し次第に輝きが増してゆく。銀鏡に映る風景が滲むように入れ替わり変化していき、古めかしくも暖かい武家屋敷が映される。そして、虚像が若い男の姿を取り、アマータの隣を粛々と歩く男の表情が昏いものへと変わり、
【お前のせいで子供たちは……】
 銀光一閃。怨嗟の声を銀鏡ごと断ち割った虚構を斬り裂く一撃が刻んだ痕跡を見るネロが呆れたように口元を歪め、
(『相変わらず似てねーナ。マァ、似せる努力より傷を抉る努力してればしょうがねェカ?』)
「そうですね。どうやら、これは見る者の心の内を写しだすようですから」
 ネロに応えて言葉を返したアマータが、消え去る若い男の虚像を見送るように眺めていた割れた鏡の先で映される風景が高く伸びる摩天楼じみたものへと変わり、新たな虚像が姿を見せる。
(今回、写されているのは……今までに会ったもう会えない人たち、なのでしょうね)
 姿だけは似ながらも決定的に違う虚像にそう、アマータが思案し再び怨嗟を塗り籠められたかのような声が響き、瞬雷銀閃。
【お前がいたから私達は……】
(『オイオイ、愚姉はこんなこと考えてんのカヨ? 不細工に覚えられてるヤツラが泣くゼ?』)
「まさか、出会いにも別れにも当機は後悔などしていませんよ。…それをしては皆様に失礼ですから」

●万華鏡の迷宮
 華のように風景を変える虚構を黒衣の案山子人形の大鎌が断ち切り、アンティークドールのメイドが歩みを緩めず進んでゆく。

●人形遣いの人形
 鏡片が零れる澄んだ音の残響が空気に溶けてゆく。幾度目かの虚構が映り始め、浮かび上がってくるのは広大な荒野で戦っている青年の姿。その虚像が明確な輪郭を取り戻す前に斬風が奔り、広範囲の銀鏡が砕け散り、ネロが大鎌を揺らしながら深く嗤う。
(『先にいるのが何かは知らねェケド、よく飽きないもんダヨナ』)
「そうですね。ただ、長い長い時間の中で当機達だけが取り残されていくのは事実ではあります」
(『ハッ、その割には忘れずに全部を丁寧に覚えてるじゃねーかヨ』)
「もちろんです。当機が関わった皆様の顔は覚えています。……一度たりとも忘れたことはありません」
 先ほどの虚像に連なる人たちを思い起こし、それよりもはるか過去……自身の始まりへと想いを馳せながら、
(お仕えした方からいただいた物はすべて私のこの胸の奥に、ですから――)
「当機は出会った方、全てに完璧な応対を……。過去は過去、大事なのはその先です。えぇ、当機の存在意義は誰かのためですから。さぁ、先へ進みますよ、ネロ」
(『しかたねぇナ。マァ、この先もその先もどうなるかはオレも楽しみだけどヨ! ケケケ!』)

●魔鏡の誘い
 歪み浮き上がる虚構をネロが嘲笑と共に斬り裂き、懐かしい顔を再び見送ったアマータが進んで、しばし後。迷宮主の間へと繋がる広間へと二人がたどり着く。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・レヴェリー
お話に聞いて想像していたよりも凄いわね……!
色んな色にキラキラ輝いて、本当に万華鏡みたいだわ!
でも、すごい数の鏡全部にわたしが映ってると、何だか頭が痛くなっちゃいそう……
同じように動くわたしの中に、こっちをまっすぐ見て立っている、黒いドレスのわたし?
鏡像なんでしょうけど、お話に聞いたみたいに年をとってたり、焦燥しているような様子はないわね。むしろわたしにしては落ち着きすぎているような?
……分かったわ。それ、喪服ね?
確かにわたしは成長も老いもしないものね。
分かってる、おいていかれるって言いたいんでしょ?
……その不安は確かにあるけど、それで歩みを止めたりしないわ!
だって、それなら尚更勿体無いもの!



●中層への挑戦
 周囲の曇鏡に映る鏡像を引き連れ足音を軽く響かせる猟兵が、色硝子を興味深そうに眺めながらも足を緩めず踊るように進んでゆく。

●曇鏡の迷宮
 空色の靴で曇鏡を踏みエプロンドレスの裾を乱しつつも軽やかに動くアリス・レヴェリー(真鍮の詩・f02153)が、楽しそうに位置を変えながら色硝子に、曇鏡に、視線を向けて魔法学園の教師からの説明を脳裏に思い浮かべ、
「これは、とっても綺麗ね! お話に聞いて想像していたよりも凄い……! いろんな色にキラキラ輝いて、動くたびに見え方も変わって本当に万華鏡みたいだわ!」
 アリスがクルクルとステップで舞うように足を動かし、響く足音がカタリカタンッ!と万華鏡を廻してなかに籠められた無数の硝子を流動させるかのように様々な変化が起こり、アリスの空色の瞳へと映し込まれ、静寂を湛えていた迷宮へと旋律が奏でられてゆく。

●万華鏡の迷宮
 真鍮の詩の謡い手が軽い足音を幾重にも周囲に響かせて、曇鏡と色硝子が織りなす景色が反射を変えて華と咲いてゆく。

●騙鏡の迷宮
 千変万化する鏡宮に反響する足音が拡がり溶けてゆく。無数に映し込み合う鏡像の中心でアリスが涼やかに足音を刻んで、色鮮やかで燃えるような深紅の色硝子や柔らかな新緑を思わせる若葉色の色硝子を通り抜けて進み、興味と興奮に彩られたアリスのはずむ声が零れ、
「色硝子もいろんな種類があって素敵ね! どうやって作ったのかちょっと気になるわ! でも、ずっとすごい数の鏡全部にわたしが映ってるのを見ていると、何だか頭が痛くなっちゃいそう……」
 平衡感覚にも自信はあるけれど長居はしない方がいいかしらね、と迷宮の地図を取り出し現在地を確認し、それなりに進んだにも関わらす曇鏡に変化がないことを訝しみつつもさらに歩みを進めて、しばし後。
 空色の瞳を変わらず楽しそうに煌かせるアリスがリズムを刻む軽い足取りで迷宮を踏みしめ……衝突音と可愛らしい悲鳴。何処までも透明な硝子にぶつかり反動で転んだアリスが、少し恥ずかしそうな表情で尻もちをついたまま澄んだ硝子を見上げ、周囲の鏡像が同じ表情で同じ動作をするなか、一人の虚像が立ったまま見下ろすように視線を向けているのを見つけて、
「…あら? あそこでこっちをまっすぐ見ているのは……黒いドレスのわたし?」

●万華鏡の迷宮
 立ち上がった真鍮の詩の謡い手の周囲で鏡像が揺らぐように消えてゆき、曇鏡を抜けた黒衣の虚像がゆっくりと近づいてくる。

●時を刻んだ先
 空色と昏黒が対峙し周囲が崩れるように銀色に染まってゆく。鏡像が消え、風景が滲み、黒いドレスの虚像と二人取り残されたアリスが声を上げることなく、ただ見つめてくる虚像を観察し、考えを纏めてゆく。
「ううん……虚像なんでしょうけど、お話に聞いたみたいに年をとってたり、焦燥しているような様子はないわね」
 むしろ、わたしにしては落ち着きすぎているような?と首を捻るアリスが、襲い掛かってくることも語りかけてくることもない、静かにたたずむ虚像の在り方と黒いドレスの胸元にあの日の約束を示す大切なアクセサリが飾られていないことに気が付き、
「……なるほど、分かったわ。それ、喪服ね? 確かにわたしは成長も老いもしないものね。分かってる、お友達にも仲間にも大切な人にもおいていかれるって言いたいんでしょ?」
 その言葉に悲し気に口元を微笑ませた虚像へ、アリスが希望に未来に活力に満ちた表情で微笑みをかえし、
「……その不安は確かにあるけど、それで歩みを止めたりしないわ! だって、それなら尚更勿体無いもの! 悲しいことだってきっとそれは私を押しつぶすものじゃなくて、私を先に進めるためのもののはずだわ!」

●魔鏡の誘い
 だから、ばいばい!と力強く踏み出したアリスの後ろで虚像が送るように手を振り溶けるように消えてゆき、少し後。迷宮主の間に続く広間へとアリスがたどり着く。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『シャドウミラー』

POW   :    力の影
【鏡に映した相手を歪め力を強化した偽物】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD   :    素早さの影
【鏡に映した相手を歪め素早さを強化した偽物】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    知性の影
【鏡に映した相手を歪め知性を強化した偽物】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。

イラスト:イツクシ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠マリアンネ・アーベントロートです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●シャドウミラー
 迷宮主の間に続く広間に至った猟兵達やこれから迷宮主の間に転送される猟兵達に魔法学園の教師から感謝の声が届く。鏡面の迷宮を踏破した猟兵達と新たに訪れた猟兵達に対して感謝の言葉とともに深く下げていた頭を戻し、教師が迷宮主に関して話し始める。

 迷宮主の間で待つのはシャドウミラー。過去を映す鏡とも影を映す鏡ともいわれる呪われた魔鏡です。謂われとしてはかつて魔王が創り出した意志ある鏡だとか、処刑場に飾られていた鏡が死の光景を映し続け変質したなれの果てだとか、曰くつきの材料で作られた魔鏡だとか、いろいろ出てきましたが詳細は不明です。ただ、災魔として蘇っているので意思は持っているのだと思います。

 特徴としては鏡本体に対して一切の攻撃が効きません。後で説明させていただきますが魔鏡から現れる『影』を撃破することで、魔境本体にダメージを与えを壊すことができるようです。鏡として見る場合、長辺が2mほどの変形した菱形で、横幅は最大で1m程。深い藍色めいた紫の刺々しい枠金で覆われ、赤紫色の禍々しい宝珠が天辺に飾られています。

 続きましてシャドウミラーの能力に関してお伝えします。この魔境の能力は一つ。皆さんの『影』を創り出すことです。ある意味、鏡らしいのかもしれませんが映した相手の得意とする能力を強化した『影』を創り出しそれを持って攻撃してきます。注意していただきたいのは使い魔などを持たれている方が共に迷宮主の間に入ると、その使い魔なども『影』が創り出されてしまいます。
 『影』の姿に関しましては、基本は皆さんと同じ姿のようですが、年を取っていたり、過去の姿を模していたりと幅はあるようです。

 この『影』の撃破に関しましては、まず一つ推奨させていただきたいのは物理的に破壊する方法です。魔境の能力で『影』自体が強化されており、周囲の鏡からは上層や中層のように虚像が顕れ、妨害してくる可能性もあります。ですが、難しくあろうとも皆さんであれば問題ないと信じています。

 もう一つは、精神的に乗り越える方法になります。上層や中層で精神的に揺さぶられる光景を見た方もいるかと思いますが、それの延長線上で皆さんを否定してくる『影』を乗り越え、過去の自分を越えてゆく……訣別するわけでも、無視するわけでもなく、乗り越えた場合に現実と虚像の不整合により『影』が崩壊するようです。こちらに関してはとても難しいと思われ……逆に『影』に捕らわれる危険もありお勧めは出来ません。

 別件として一つ、お互い顔と名前を明確に意識している相手とは迷宮主の間に一緒に入ることも可能かと思われます。えぇ、不思議なことに上層や中層で移動経路が重なっている方もおられていたようなのですが、お互いに認識できていないのです。もしかすると、迷宮自体も合わせ鏡のように幾重にも映されているのかもしれません……ただの予想になってしまいますが。

 っと、余談でしたね。申し訳ありません。それでは最後になりますが、迷宮主の間に関しましてもこれまでの迷宮と同じく銀鏡で覆われていますので、お気を付けください。お伝えすることは以上となります。長い説明となりましたが聞いてくださりありがとうございます。魔法学園のことをよろしくお願いしますと教師が話を締めくくる。

●映ずるモノなき模倣者
 迷宮主の間の壁に掛けられた魔境が鏡面に黒のみを映し込み輝く。天井、側壁、床面を覆う銀鏡も何も映すことなくただ銀色を湛え、摂理に反し映ずるモノのない静謐な空間が粛々と訪れる者を待ち続ける。
ステラ・リデル
【SPD】
貴方が迷宮主ですか。本体への攻撃は無効なのでしたね。
それでは私の影を出してもらいましょうか。

影は、どうやら速度を強化されているようですね。
……最近、速度自慢の敵が多いですね。
《魔剣舞踏》34本の光の剣を具現化。
4本を守りに残りを影の全周囲に配置して攻めます。
ただし、この攻めは仕留める為のモノではありません。
影の動きを阻害誘導して動きを制限、見切る為の攻めです。
(押し切れるならそのまま押し切っても良いですが、流石に容易くはないでしょう)
光の剣で影の攻めを見切ってカウンターでオーラセイバーを振るって斬り裂きます。
「まだ砕けませんか。それでは残りは他の方に任せましょう」



●迷宮主の間に続く広間
 魔法学園の徽章が刻まれた大扉を潜り歩みを進める猟兵が、まっすぐに伸びる銀色の回廊へと影を落としながら迷宮の最奥を目指してゆく。

●迷宮主の間へと続く回廊
 滑らかに続く銀面の上を漆黒のブーツで踏みながら進むステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)が、歩く勢いで紺青色の長髪を靡かせつつ、規則正しい足音を刻みつけながら懐かしくも思えるような光景に息をはき、
「私がそう感じるだけかも知れませんが……スペースシップの連絡通路のようにも見えますね。他の人はまた別の感想を抱くのでしょうけど、やはり楽しむにはいい場所かもしれません」
 ただ、迷宮主の間の近くなのは問題ですが、と静寂に満ちた通路をステラの言葉が揺らし、次第に近づいてくる回廊の終わりに空気が引き締まるかのように緊張感が満ち始め、銀色に染まった空間へと足音が消えてゆく。

●『影』の迷宮
 迷宮主の間へと踏み込んだ未来都市の管理者が瞳を差す眩い銀光に目を眇めながら影を映す鏡へと近づいてゆく。

●魔鏡の迷宮
 銀世界に響く靴音が止まり反響が静寂に飲まれ消えてゆく。世界に対する異物であることを高らかに宣言するかのように迷宮主の間でただ一つ…否、見上げるステラを除いてただ一つ、影の魔境が鏡面を漆黒に染めて存在感を示し来訪者を迎え入れ、その歓迎を堂々と受け入れたステラが仮初と言えど『主』たるその鏡に声を掛ける。
「なるほど、貴方が迷宮主ですか。なかなか、年代を感じさせる造りで壊すのに惜しいものがありますが、貴方への攻撃は無効なのでしたか。……それでは、お互いにやるべきことは一つです。さぁ、私の影を出してもらいましょうか」
 その言葉に水滴が落ちた水面が波打つようにドプンッ…と、音なき音を感じ取れるような生々しさで漆黒の鏡面が揺らぎ波打ち、内側から突き破るようにステラの『影』が現れ、滑らかな動作で黒い光で出来た剣をステラに向けて構え、流麗ともいえるその動作に、
「どうやら速度を強化されているようですね。……最近、速度自慢の敵が多い気がしますが、貴女はどうなのでしょう?」
 応じたステラが青く揺らめくオドを身に纏わせながら白い光で出来た剣を創り出して構え、ステラと『影』の言葉が重なる。
『「舞い踊りなさい」』

●『影』の迷宮
 まるで鏡に映したかのように未来都市の管理者と『影』の周りに青光と紫光で出来た光剣が次々と創り出されてゆく。

●《魔剣舞踏》
 溢れるように輝きが満ち重なるように色が満ちてゆく。衝突の合図は廻る青。蒼い輝きの光剣がステラの周囲を護るように周りはじめ、『影』の行動範囲を制限するように散った青剣が紫剣とぶつかり合い火花を散らし、砕け散り数を減らしてゆき、
(……押し切れるならそのまま押し切っても良いですが、流石にそこまで容易くはないようですね)
 『影』の生み出した光剣と相討ち数を減らす光剣に思考が沈みかけたステラの視界が黒い光を僅かに捉え、反射的に身を捻り、青剣が砕かれる音と共に感じるのは左腕の灼熱感。溢れるように零れだした赤が迷宮主の間を染めはじめ、
「なるほど、思考の死角を突かれましたか……、形だけ似た張りぼてというわけではないようですね」
 ですが……師事するあの人は貴女よりも強い、とオドが猛り傷口を締めつけ止血し、『影』に向けて魔力剣が構えられ、間合いを一瞬で詰めた『影』の魔力剣とステラの魔力剣が火花を散らし、受け流すように刃を滑らせたステラの一撃が『影』の腕を斬り裂き、合わせるように繰り出された『影』の一撃がステラの身体に深く刺さる。

●終幕
「……。まだ砕けませんか……。それでは、残りは他の方に任せましょう」
 身体を幾か所も欠けさせ僅かに薄れ始めた『影』に、赤を散らし意識を明滅させるステラが引き際を見定め、魔力剣を解き目晦ましと変えて迷宮主の間から撤退してゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​


●映ずるモノなき模倣者
 戦いの跡に佇む『影』が破片を零しながら揺らめき……その名通り、漆黒のナニカに変わり、魔鏡の鏡面へと吸い込まれてゆく。そうして、僅か後。宝玉から軋むような音が響き、一条の傷跡が刻まれる。
マーリス・シェルスカナ
(※アドリブ、連携・絡み歓迎)
【SPD/邪悪(MADな探究者)】
此処がGoalネ。後はあのMirrorから出る影を倒せばOKネ?
サテ、流石に3度目にもなれば慣れてくるケド…?

Oh、3度目は実に忠実ですネ。デモ少しFaceが暗い…?
何、【神秘の為に犠牲もいとわない】?HEY!何言いだすノ!
危険に目は背けないとは言ったケド、犠牲と違うネ!
【未来への投資になる】とか【犠牲になった人だって浮かばれる】って、後先考えないやり方は反感を招くだけっテ分からないのですカ!?

悪い方にしか考えない影ハ、【アステロイドスプラッシュ・プログラム】による疑似小惑星で割れガラスにしてやるデス!悪い子はお仕置きネ!



●迷宮主の間に続く広間
 幾つもの色を浮かせて銀色の回廊を進む猟兵の周囲に変化が訪れ、一面の銀色が明滅する灯りに彩られ独特の機械音が満たされてゆく。

●迷宮主の間へと続く回廊
 かつて過ごした学者達の集う放浪船と同じ雰囲気を感じる虚構のなかを進むマーリス・シェルスカナ(宇宙(そら)飛ぶマーリンレディ・f15757)が、見慣れ始めた銀面の変化を興味深そうに観察しながら映された数多くの機材の用途を推し測ろうと思案し、
「uhh……、少しNostalgicな場所デス! ただ、Danger?な空気と言うのカ、不吉な感じがするのがBadですネェ」
 これまでの神秘や魔法を科学で解析してきた経験からマーリスが、研究に向けられたどこか暗い情念の片鱗を感じ取り警戒心を引き上げてゆき、
「……Oh! 解析error!? とてもイヤな感じデス!」
 情報解析を行っていた仮想情報端末の表示に驚きの声を上げつつ、機械音の満ちる空間へとその身を進めてゆく。

●『影』の迷宮
 低く動作音を響かせる虚構に迎え入れられた星の科学者が慎重に漆黒を映し込んだ影を映す鏡の元へと辿り着く。

●邪悪なる探究者
 無数の音が絶えることなく連なり繋がり響いてゆく。虚構の研究室に飾られた禍々しい魔鏡が湛える漆黒を見上げながら、僅かに感慨深そうにマーリスが言葉を零し、
「此処がGoalネ。後はあのMirrorから出る影を倒せばOK…? サテ、流石に3度目にもなれば慣れてくるケド……血塗れなMeに、GrandmaなMe、今度はどんなMeが出てくるネ?」
 その声に漆黒の鏡面が揺れ、色白の綺麗な肌にマーリスと同じ魔女の三角帽を被りローブを着た『影』が顕れ、黒の残滓を纏って迷宮主の間に降り立ち、昏く嗤う顔がさらされる。
「Oh、3度目は実に忠実ですネ。at restな気分デスガ……。少しFaceが暗い…デスカ?」
 危険な雰囲気の『影』にマーリスが自身との違いを探るように視線を動かすなかで『影』が口を開き、
『HEY……Meの研究所にWelcomeネ。ここはMysticの為に、Futureの為にあらゆる犠牲をtolerateする場所ヨ!』
 その言葉に目を見張ったマーリスが慌てたように過去の会話を思い出しながらも反論し、
「HEY! 何言いだすノ! 危険に目は背けないとは言ったケド、犠牲とは違うネ!」

●『影』の研究所
 昏い笑みを湛えた『影』が声を荒げる星の科学者の言葉を聞き流しながら、楽しそうに血塗られた研究の成果を語ってゆく。

●正道と邪道
 異なる道を進んだ鏡写しの二人が言葉を交わし袂を別ってゆく。マーリスが伝えた正道に反して成した結果を誇るように愛おしむように語る『影』の言葉が無数の機械音に彩られながら響く。
『あのmachineは電極をbrainに突き刺すことで、どんな生き物でも電脳spaceを使えるようになりマス!』
「No! 後先考えないやり方は反感を招くだけっテ分からないのですカ!? Causal rewardで身を滅ぼすネ!」
 そう叫んだマーリスが神秘の再現を補助する杖を模した触媒を『影』へと突きつけ、
「WickedなMeは疑似小惑星で割れガラスにしてやるデス! 悪い子はお仕置きネ!」
 研究室が電脳空間へと書き換わり、仮想の宇宙空間に取り残された『影』が小惑星帯に巻き込まれ……澄んだ硝子の割れる音が響き渡る。
 そうして、電脳空間が解けて顔を上げたマーリスの目に映るのは嬉しそうに笑う『影』と罅割れた鏡の中で煙を上げる、一つの機械。
『Thanks Me。実験complete! 障壁発生装置に入れてたモノも感謝してるネ!』

●終幕
『Meは沢山の命を犠牲にInvestigationしてるヨ! それを簡単にExceedされる訳にはいかないのデス!』
 積み重ねたものが違うと『影』が朗らかに笑い、沈むようにマーリスの意識が暗闇に飲まれる。

苦戦 🔵​🔴​🔴​


●映ずるモノなき模倣者
 罅割れた鏡が滑らかさを取り戻し、虚構の研究室で壊れた機械を解体する『影』が、焼け焦げたナニカを取り出して別の機械へと接続し解析を始める。そうして、僅かの後。解析の合間に新しく組み立てられた機械が新たな稼働音を響かせ始め……夜の帳が下りるように迷宮主の間の光景が霞んでゆく。
シホ・エーデルワイス
アドリブ歓迎


(生贄として置き去りにされた経緯に震撼)

命を託す武器まで断らず手入れしたのは
やり過ぎでしょうけれど…
あんな最後は辛過ぎます…
私は…彼女を止め助ける事ができるかしら…


影は金髪紅眼の私
二挺の精霊銃で射撃してくる

私の聖銃を使った戦い方は貴女の戦闘経験ね?

本家の私に勝てる?

<第六感、誘導弾、見切り、スナイパー、カウンター
で迎撃し損ねた分はオーラ防御>

撃ち合いは不利
なら

【華霞】の花弁に隠れ<目立たない、忍び足、迷彩、ダッシュ>で近づき

銃口を手で払い除け捌き躱し
足払い等で体勢を崩し
【弾葬】を<楽器演奏、誘導弾で零距離射撃>

私の中にあるのは貴女の経験だけではありません
私達の約束は必ず果たします!



●迷宮主の間に続く広間
 大扉を備えた広間の銀鏡に天然窟に近い迷宮が映し出されるなか猟兵が、僅かに乱れた足音を刻みながら迷宮主の間へと向けて進んでゆく。

●迷宮主の間へと続く回廊
 魔鏡に映された虚構に震える身体と心を落ち着けるように深く息をするシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)が、心の奥に封された迷宮を模しているであろう周囲の風景を覚悟を籠めた瞳で見つめ、
「確かに、命を託す武器まで断らず手入れしたのは、やり過ぎでしょうけれど……。それでも…、……。あんな最後は辛過ぎます…私は…彼女を止めて助ける事ができるかしら…」
 銀鏡が砕け散る前の虚像の顔を思い出したシホが、いえ、心だけでも助けたい……でも、そう思うのは罪なことなのでしょうか?と迷いを心にのせ、回廊の終端が訪れて迷宮主の間に辿り着く。

●『影』の迷宮
 薄雪の聖者が、俯いたままのかつて果てた『影』の現身と邂逅し、見下ろす影を映す魔鏡には漆黒のみが湛えられる。

●Pea&Tulip
 在りし日の悲劇を示唆する虚構のなかで鋭い音が奏でられる。藍色のゴスロリドレスの裾を翻して跳躍し、距離を離した『影』の袖口から二挺の聖銃が飛び出して両手に収まり、僅かに遅れて身を翻したシホの両手にも銃身に蒼い十字架の彫られた白い自動拳銃と赤い十字架の刻まれた黒い自動拳銃が構えられる。そうして、迷宮主の間に発砲音と幾つもの十字架が刻まれ、光弾と銀弾が虚構の迷宮を穿ってゆく。
 跳ねるように軽やかに、照準をずらすことなく舞う『影』の銃撃がシホの纏う魔力糸で編まれたドレスアーマーを削り火花を散らし、異世界の自分自身に支えられたシホの放つ銃弾が『影』の行動を先読みし、時には弾道すら歪めて襲い掛かり、銃弾同士が衝突する炸裂音が響き渡る。
「なるほど、私の聖銃を使った戦い方は貴女の戦闘経験ね?」
『……だとしたら、本家の私に勝てる?』
 激しい戦闘にも息を乱す様子がない『影』に撃ち合いは不利とシホが、貫通はせずとも鈍痛を返す全身の痛みに素早く判断した直後、沸きあがる銀色の花弁が迷宮主の間を満たす。
「咲き誇って!私のエーデルワイス!」

●『影』を映す魔鏡
 銀一色に染まる世界のなか薄雪の聖者が身を潜め駆け、影を映す魔鏡が烟り、『影』が舞い踊る花弁の流れを瞳に映す。

●弾葬の葬送曲
 高貴な白銀がすべてを覆い隠すかのように舞い上がる。花弁の銀色に染まる世界のなかで息を潜めたシホが、佇むように動きを止めた『影』の背後へと回り込み、無数の花弁が擦れる音に足音を隠し、幾重にも反射する光に姿を紛れ込ませ、緩く携えられた『影』の双銃を標的に一息に間合いを詰め……刹那の交錯。
 飛び込むように踏み込み『影』の聖銃の側面に手を当てたシホが力を籠め……幾重にも強化された知性の反動で紅眼から赤い涙を零す『影』が加えられる力に逆らわず身体をさばき、自ら飛んだ『影』を追ったシホが踏み込みの勢いを活かした足払いで追撃し、さらに跳躍した『影』が距離を開け、体勢を整えられたことを悟ったシホの両手に二挺の聖銃が形を成し、願いの言葉が迷宮主の間を震わせる。
「……っ! それでもっ! 貴女の魂に救いを!」
『……後悔に…嘆きに…捕らわれ果てた私は救われるのかしら……?』
 シホの聖銃に備えられた機能が解放されて奏でられるのは葬送曲。重なり響く澄んだ銃声が風琴の如く深く優しい音を奏で『影』を送るように鳴り響き、シホの両腕に奔った痛みと共に照準がずれ演奏が途絶える。

●終幕
「私の中にあるのは貴女の経験だけではありません。私達の約束は必ず果たします! ……だから!」
 撃ち抜かれた両腕から赤を零したまま聖銃を落とさないよう耐えるシホが、全身から赤を零し滲む『影』に声を届け……血に汚れた顔で悲しげに微笑んだ『影』が、聖銃を手から溢して頷き影を映す魔鏡へと消えてゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​


●映ずるモノなき模倣者
 迷宮主の間から去る足音が遠ざかり、変わらぬままあり続ける影を映す魔鏡を残して周囲の風景が一面の銀色へと変わり……静謐な空間にパキリと明確な音が響き渡り、宝玉の一部に蜘蛛の巣状の傷跡が刻まれる。
シュデラ・テノーフォン
【戦狂の廃人】
やっぱり出たよ昔の俺
君さ、ヤニ臭いよ
俺の無期限禁煙の邪魔しないでくれるかな
あァそういう試練?

冗談はコノ辺でヤろうか
お互い会話よりコッチが楽しいよね
もう笑ってる…いやアレ鏡なんだから
笑ってるのは俺かな

敵の銃撃は指輪の盾で弾き
氷の精霊弾で周囲の鏡や硝子割りながら動き回る
ソレを隠れ蓑に、目的は天井の鏡を割り落として氷で固定
俺を映し錯覚させソノ隙を狙う

ね、君
餞に灰かぶりだった俺が国出られた言葉を贈るよ
『天狼、世界は硝子のように沢山の彩と輝きに満ちている。
見ておいで、君自身の為に』
剣くれた時よりも有難かったなー
なんて

じゃ今度こそさよならだ
マスケット銃にUCの魔法を付与
光線の一撃で撃ち抜くよ



●迷宮主の間に続く広間
 銀面を軍靴で踏み鳴らし大扉を押し開けて迷わず進む猟兵が、確信と高揚に弾む気持ちを押し込めるようにゆっくりと足音を刻んでゆく。

●迷宮主の間へと続く回廊
 嗅ぎなれた戦場の空気とでもいうべき独特の気配を肌に感じ進むシュデラ・テノーフォン(天狼パラフォニア・f13408)が、闘争の……狩りの気配に上がりかけるテンションを抑えるように軽口をたたき、
「これで、俺以外が待ってたら詐欺だよねぇ。……まァ、そん時は年代物みたいだし魔鏡を貰って帰ろうかな?」
 確実に近づいてくる回廊の終わり、迷宮主の間の入口を映し込む瞳に興奮を混ぜ込み、静謐でありながら危機感をあおる空間へと身を躍らせ、期待と羞恥と高揚と自嘲と……複雑に混じりすぎた声が迷宮へと零れる。
「あァ、やっぱり出たよ……昔の俺。やァ、待たせたかな?」

●『影』の迷宮
 楽しげな声が迷宮を揺らすなか天狼の銃騎士と『影』が互いに見定めるように視線を動かし緊張感が高まってゆく。

●邂逅
 魔鏡の湛える漆黒の下で黒鉄が研ぎ澄まされてゆく。かつて纏っていた軍服に武骨な銃を携えた『影』から漂ってくる懐かしい香りにシュデラが苦言を呈しながら間合いを測り、
「……君さァ、ヤニ臭いよ? 俺の無期限禁煙の邪魔しないでくれるかな? あァ、もしかしてそういう試練だったりする?」
『………』
 視線を交える金銀妖瞳に油断はなく、シュデラがかつての『影』の実力を推し測り、『影』が先に進んだ自身を想像し、お互いに浮かび上がるのは牙を剥いた微笑。
「まァ、冗談はコノ辺でヤろうか。戦場で会話なんて必要ないし……お互いコッチが楽しいよね?」
『……あァ』
(もう笑ってる、気が早いね…。いや…アレ、鏡なんだから、笑ってるのは俺かな?)
 年齢、服装、装備……在り方、変わったものは多くとも向けあう笑顔は、鏡に映り込むように似通い、それでも僅かに違い……合図もなく同時に引き抜かれた黒の軍用拳銃と白の自動拳銃が狙いを定め、お互いを撃ち抜き合った弾丸の破片が鏡に突き刺さり、戦いの幕が切って落とされる。

●『影』の迷宮
 天狼の銃騎士の放つ氷の精霊弾が『影』を掠め周囲の鏡を穿ち、『影』の銃撃が天狼の銃騎士を護る硝盾と火花を散らす。

●かつての言葉
 砕けた銀鏡と氷片が死闘を飾るように煌めき降り注ぐ。微笑を浮かべた無表情の狂相……矛盾を孕む表情で縦横に駆ける『影』へと視線を向けて応じるように駆けるシュデラが、左手に輝く透明な指輪が発する熱と防弾仕様のコート貫いた痛みに笑みを深めながら、弾倉を流れるような手つきで交換し……銃声と共に、硝子が弾け、氷が舞い、赤と黒が散る。
 そうして、しばし後。赤を零すシュデラと黒を溢す『影』が対峙し、互いに銃口を向けあい死線の上を疾走した時間に刻まれた微笑のまま、終わりを獣の嗅覚で感じとり僅かな静寂が訪れる。
「ねぇ、君。……餞に灰かぶりだった俺が国を出た時にもらった言葉を贈るよ」
『……』
「天狼、世界は硝子のように沢山の彩と輝きに満ちている。見ておいで、君自身の為に。……騎士の証をくれた時よりも有難かったなー。伝わるかな?」
『……いや、だが覚えておこう』
 そうして、引き金へと掛かる力が増し……沈むように腰を落とした『影』の頭上を光の精霊弾が掠め過ぎ去り、シュデラの左肩に凶弾が刺さり赤を散らし、銀鏡に跳弾した精霊弾がシュデラの仕掛けを開放し『影』へと鏡片が降り注ぎ、鋭利に迫る破片を避け下がろうとした『影』の胸元を白光が貫く。

●終幕
 赤い硝子の羽根を飾った光線銃を下げたシュデラが消えゆく『影』へと穏やかに微笑み、
「じゃ、今度こそさよならだ。……あァ、でも、あの人を心配させても悲しませなかったのは誇っていいと思うよ。俺が言うのもなんだけどさ」
『……そうか』
 言葉と共に紫煙の残滓も含めて全てが溶け消えて、シュデラのみが残される。

成功 🔵​🔵​🔴​


●映ずるモノなき模倣者
 迷宮主の間に再び静寂が訪れる。そうして、巻き戻るように鏡面が再生され、一面の銀世界が湛えられ……唯一の色を見せる影を映す魔鏡から割れる音が響き渡り、欠けた宝玉の一部が落下し床に落ちる前に溶けるように消えてゆく。
鶴澤・白雪
ついに悪趣味な舞踏会を開いた主人に会えるのね
それで今度は力が強化されたあたしの劣悪なコピーってわけ?

今までの流れからして復讐したところであたしが身を滅ぼすって悪意込めて訴えかけてくるんでしょうね

でもお生憎様
アンタが肉体面と精神面の両方を揺さぶってくれたおかげで改めて気持ちが固まったわ

例え今回見せられたような結末になったとしても
不安に苛まれたとしても納得のいく結果になるまで何度でもひっくり返すわ
この身体が割れて壊れるまで何度でもね

さぁ、最後の勝負といきましょ?
影があたしより強いならこっちは『生命力吸収、2回攻撃、覚悟』とUCで戦闘力を強化して応戦するわ

アンタの命ごと糧にしてあげるから倒れなさい



●迷宮主の間に続く広間
 銀鏡に映り込む鏡像へと胸を張るように視線を上げ先を見据える猟兵が、大扉を越えて回廊へと踏み込み、虚像を置き去りにして最奥へと進んでゆく。

●迷宮主の間へと続く回廊
 決意を刻むように淡紫の尖晶石を一度だけ握りしめた鶴澤・白雪(棘晶インフェルノ・f09233)が、童話に謳われる姫の如き容姿に輝く紅尖晶石の瞳に強い意志をこめながら、
「この先が迷宮主の間ってことは、ついに悪趣味な舞踏会を開いた主人に会えるのね。……まぁ、今までの流れからして復讐したところで、あたしが身を滅ぼすって悪意込めて訴えかけてくるんでしょうけど」
 これまで超えてきた迷宮での出来事を思い返した白雪が、自身を待ち受けるものを半ば確信しつつ濁るような漆黒の刃をもつ黒剣を抜き放ち、その色を誇るかのように柄を握り直し、高く鳴らされる足音が迷宮主の間へと進んでゆく。

●『影』の迷宮
 貴石の白雪姫を迎え入れた銀鏡の連なりが寒村めいた情景を映し込み、影を映す魔鏡から顕れた『影』が憎々しげに紅い双眸を輝かせる。

●リーサル・コンシダレイション
 始まりの場所を模した空間で静寂が緊張感を孕んでゆく。影のような黒剣を携えを憎悪ともいえる表情を向けてくる『影』に、白雪が油断なく漆黒の刃を構え、身体を紅い尖晶石で覆わせ鎧のように纏いながら確かめるように声を掛け、
「それで、アンタが魔鏡が強化されたあたしの『影』ってわけ?」
『残念なことにね。復讐も果たせないだろう不出来な存在の『影』であってるわ』
 次の瞬間に弾けたのは貴石。白雪を覆う紅尖晶石が憎々しげに言葉を吐き捨てた『影』の振るった影剣に斬り裂かれ飛散し、欠けた紅を纏い踏み込んだ白雪の逆撃が『影』の身体を掠めて砕き白片を散らし、復讐の剣が斬り結ばれ、言葉が交わされる。
『アンタなんて復讐に酔って身を滅ぼすだけ……ならすぐに壊れてあの子に謝りなさいよ!』
「そうね、無様な姿だったわ。だからこそ、見せられたような結末になったとしても不安に苛まれたとしても……納得のいく結果になるまで何度でもひっくり返すわ!」
 言葉と共に白雪の紅鎧を突き破り『影』の一撃が身を抉り、絡みつく紅片に姿勢を崩した『影』に脇腹を白雪の刺突が貫き……お互いに引くことなく命を削り合う。

●『影』の迷宮
 復讐心に支えられた黒刃と影剣が貴石の白雪姫と『影』をお互いに斬り裂き貫き、ばら撒かれる貴石が積み上げられてゆく。

●復讐の炎を継ぐ
 零れ輝く貴石に交わされる剣撃と叫びが映し込まれてゆく。かつて銀鏡に映された姿のように全身から破片を零す白雪が、変わらぬ意思の輝きを酸漿の瞳に示し、復讐で影剣を猛らせた罅割れた『影』が許されないのは白雪自身だと心に凝る事実を叫び、
『アンタが一番あの子を裏切っているのをなぜ認めないの!』
「……お生憎様、アンタ達が肉体面と精神面の両方を揺さぶってくれたおかげで、もう気持ちは固まってるの。さぁ、最後の勝負といきましょ?」
 だから迷うことはないわ、と語る白雪の構える黒刃が緋色に染まってゆき『影』を狙った切っ先が首へと向けられ、『影』の復讐心が焚べられたかのように影剣が禍々しい巨剣となり振りかぶられ……交錯する白雪と『影』が二つの音を奏でる。
 澄んだ音を響かせ砂塵となって砕け散ったのは白雪の左腕と影の巨剣。白雪の緋刃は『影』の首に添えられ止まり……『影』の薙ぎ払った影剣は左腕ごと白雪の胸郭を半ばまで斬り裂き、折れたその剣身を晒す。
「ねぇ、わかって? あたしはこんなところであたしを殺して復讐を終える気はないの。この身体が割れて壊れるまで復讐の炎に身を捧げるわ。……だから、アンタの命ごと糧にしてあげるから任せなさい」

●終幕
 砕けて幻の如く消えさった『影』から継いだ左腕を確かめるように動かす白雪が、影を映す魔鏡を見上げ湛えられた漆黒に言葉をかけることなく踵を返し迷宮主の間を去ってゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​


●映ずるモノなき模倣者
 迷宮主の間から猟兵が去った後。淡い輝きを返す散らばった貴石が細かく砕け鏡面へと沈み、破損が修復された銀鏡が輝きを取り戻し、パキリッ!と硬く響く音と共に大きく砕けた宝玉の欠片が輝きと共に床へと落ちてドロリと溶けるように緋黒のナニカに変わり消えてゆく。
神元・眞白
【SPD/割と自由に】
今の私?…過去の私。この先にいる私は…?
…飛威?私は大丈夫。さっきの私もきっと頑張れるから。

【自身:未来(真の姿)】
真の姿:戦術器「妖-ヨウ-」其れは、妖-アヤカシ-の夜 / 周囲のオブリビオンや同系統の力を鹵獲し、自身に上乗せする殲滅型戦術器。倒した敵の力も取り込む事で加速的に力を増大する、が、比例して制御は効かなくなる。

そう、あれも私。止まらなかった…止まれなかった私。
苦しいけど可能性の道はこういう未来も見せてくれるのね。
もう、アレは止まれない。大切な物を壊しても、もう止まらない化物-ケモノ-。
じゃあ皆、行こう。壊れた人形は人形師として終わりを打たないと。



●迷宮主の間に続く広間
 開かれた大扉を潜り抜けて進む猟兵を三つの足音が追いかけ、銀色に続く回廊へと複雑に足音が奏でられ幾重にも反響して響いてゆく。

●迷宮主の間へと続く回廊
 迷宮の最奥から感じる何かに心を落ち着けるように呼吸を整えた神元・眞白(真白のキャンパス・f00949)が、そのまま迷宮で起きた一幕へと心を飛ばし、その様子に心配そうに飛威が傍に寄り添い様子を伺い、周囲を警戒するように符雨と魅医が距離を取り備え、
「最初会ったのは今の私? さっき会ったのは…過去の私。それなら、この先にいる私は…? …飛威? 私は大丈夫。さっきの私もきっと頑張れるから。……皆もありがとう」
 至近に感じた飛威の気配に視線を上げた眞白が、安心させるように茫洋とした表情を笑みに変え、符雨と魅医へも感謝の言葉を届け、次第に近づく迷宮主の間に気を引き締め、連れ立って響く足音が回廊を通り抜け消えてゆく。

●『影』の迷宮
 四機の戦術器が銀面に彩られた部屋へと辿り着き、影を映す魔鏡に湛えられた漆黒が揺らめくように波打ってゆく。

●戦術器「妖-ヨウ-」
 不気味に蠢く黒から暗く重い気配が漂い満ちてゆく。銀色が陰るような気配のなかで影を映す魔鏡の漆黒の鏡面が盛り上がり、最初に吐き出されたのは三つの黒。
 魔鏡を蹴り黒の残滓を払うかのように軽い足音と共に立ちはだかるように降り立った飛威の『影』。その背後に護られながら、支えるように術符を輝かせふわりと降りた符雨の『影』。戦況を見渡せる位置に魔鏡の近くに手にした医療鞄と共に降りた魅医の『影』。三つの『影』が自身の実像たる飛威、符雨、魅医へと強化された身体で駆け間合いを詰め……援護をしようと眞白が声を上げようとした刹那。
 夜の帳が下りるように一瞬、迷宮主の間が昏く明滅し……魔鏡の鏡面が弾けるように盛り上がり、一つの影が飛び出してくる。魔鏡の残滓を拭ってもなお黒く昏いのは眞白の『影』。その姿に眞白の呼吸が荒くなり、背けようとしても固定されたかのように動かない視線が、意思を感じさせない爛々と輝く『影』の青黒い双眸と交わり言葉が零れる。
「そう、あれも私。止まらなかった…止まれなかった私。苦しいけど可能性の道はこういう未来も見せてくれるのね」

●『影』の迷宮
 ひぃ、ふぅ、みぃに『影』を重ねて六つの戦術器がお互いを牽制し合い、真白の人形が自身の未来たる『影』と対峙する。

●殲滅型戦術器
 幾重にも鳴らされる戦いの音が途絶えることなく響いてゆく。助けを求めるように周囲を見渡す眞白の蒼い瞳に『影』達を押し留めるために奮戦する飛威達の姿が映り、余力のない状態を実感し、
「もう、アレは止まれない。大切な物を壊しても、もう止まらないケモノ。皆…には頼れないから、私が行こう。壊れた人形は人形師として終わりを打たないと」
 覚悟を決めた眞白の雰囲気を感じ取った眞白の『影』―『妖』―が、壊れた人形じみた異常な動作で身体の向きを変え眞白を取り込むべくまっすぐに駆け出し、湧き出るように未完成の戦術器達―カラクリ人形の軍勢―が溢れ、両者が激突する。
 激戦は眞白が人形師として操るカラクリ人形たちが乱れぬ連携で被害を出しながらも戦況を押し込み……倒した敵の力も取り込む事で加速的に力を増大する殲滅型戦術器の特性が戦況を拮抗させ、瞬く間に飲み込み、僅か後。
 全ての護りを失った眞白に『妖』が迫り、致命の一撃が届こうとした刹那。無差別に残された銃弾と術符をばら撒いた符雨の弾幕が『影』達と『妖』を押し留め、振り落とされる『妖』の一撃を双剣で飛威が受け止め…、衝撃を殺しきれぬまま吹き飛ばされ、符雨と飛威が稼いだ僅かな時間に魅医が眞白を掴み、迷宮主の間の出口に向かって駆け抜ける。

●終幕
 弾幕により巻き起こされた煙幕に紛れ、眞白を抱えた魅医が走り、符雨に支えられた飛威がその後を追ってゆく。

失敗 🔴​🔴​🔴​


●映ずるモノなき模倣者
 煙が晴れた迷宮主の間で『妖』が軋むような動きで『影』へと襲い掛かりと解体し分解し、組み立て組み込み……影を映す魔鏡が見下ろすなか三度繰り返され、四つあった影が、異形の『影』一つへと変わり顕れた時の光景を巻き戻すように漆黒のナニカに飲み込まれ。 迷宮主の間に静寂が訪れる。
ヴィサラ・ヴァイン
さっき鏡に映った光景を思い出す
…吐き気がする
嫉妬、なのかな
こんな気持ちを抱く自分を醜く思う
そんな私を映し鏡は影を創り出す
…ひどい顔
頭も回らない状況
そんな時にリム(f08099)が駆け付けてくれた
こんな姿見られたく無かったけど…ありがとう
リムの言葉で冷静に
良い所も、悪い所も、全部を引っくるめて
…それが『私』なんだ

私の影。貴女が何を考えてるか私にはよく分かる
…怖いんでしょ?
リムに嫌われるのが。愛想尽かされるのが
[恐怖を与える]言葉を放ち【強迫】
…だったら永遠に『私』の物にしないとね?
リムの影を強化された魔眼で石化させ、私の影自身も石化させる命令を下す
…これはあり得たかも知れない未来
さよなら、私の影


リミティア・スカイクラッド
ヴィサラ(f00702)の窮地に駆け付け
挨拶代わりの一撃を影に(UCで鏡を宝石に変換し射出)

勝手なことを承知で言うのなら
リムはヴィサラのその嫉妬心も、大切にしてほしいと願っています
それはあなたがリムを想ってくれている証ですから

だから、立ってください
もうすぐあなたの誕生日。帰って一緒にお祝いしましょう

「手をつなぐ」ために手を差し伸べて、共に影に立ち向かい

――ああ、無視してごめんなさい、リムの影
未熟、非力、虚勢。どんな醜い一面を見せられても、それはリムが足を止める理由にはなりません
あなたはただの――通過点です

ヴィサラが石化させた影を【魔女の禁呪】で強化した「全力魔法」の宝石の魔弾で撃ち抜きます



●迷宮主の間に続く広間
 磨かれた輝きを放つ周囲の銀面を見ないように大扉を開けた猟兵が、銀色の回廊に映り込む鏡像から目を背けながら足早に進んでゆく。

●迷宮主の間へと続く回廊
 石片を剥がし引き攣るような痛みを鼓動にあわせ伝える手のひらを握りしめるヴィサラ・ヴァイン(魔女噛みのゴルゴン・f00702)が、硬く目を閉じ頭髪が変化した緑色の蛇に誘導されて奥へと向けて歩み、
「……吐き気がする。でも、リムに対してじゃない。……きっと、私に対して。さっきのはやっぱり嫉妬、なのかな? だって、リムは何も悪いことはしてないもんね」
 グルグルと堂々巡りに回る思考がヴィサラを苛み、顔色を悪くしながらも、回廊は終わり迷宮主の間へとその身がたどり着く。

●『影』の迷宮あるいは銀鏡の回廊
 変化した雰囲気に身を竦める魔女噛みの蛇髪少女が瞳を開け影を映す魔鏡の鏡面が盛り上がり漆黒の塊が零れ落ちる。
 時同じくして、魔法学園から広間へと転送された猟兵が焦燥感と共に大扉を開き、銀鏡の回廊へと鏡像を映し込みながら迷宮主の間に向けて駆けてゆく。

●嫉妬に揺れる
 銀鏡の迷宮主の間で鏡像に虚像が混ざり趣を変えてゆく。眼前に顕れた『影』の執着心に満ちた暗い表情をヴィサラが赤い瞳に捉え自身も似たような表情をしているのだろうと空回る思考で感じ取り、
(…ひどい顔……醜い顔。でも、これは私なんだよね。だったら、醜いのは私も同じなのかな…?)
 拒絶感と同族嫌悪をヴィサラが感じ呆然とするなかで、『影』が向けて指をさした鏡面にはリムの虚像。蘇る記憶に蹲ったヴィサラが目を塞ぎ耳を塞ごうとしたところに『影』から惑わすように誘うように声が届く。
『……大勢の中に埋もれたくないんでしょ? 一番でも嫌で、唯一になりたいんでしょう?』
 その言葉にドロリと重い感情が湧きだし、心に溢れ……膨れ上がり表面張力を超えるかのように流れだそうとした刹那。虚像が泥のように溶けて、迷宮の主の間の天井を構成する鏡面が砕け散り、愛しい声が聞こえる。

「……ヴィサラ!」

●≪邂逅≫
 降り注ぐ銀鏡の破片と宝石の雨が魔女噛みの蛇髪少女と『影』を別ち、澄んだ音と共に床の上を輝きで彩ってゆき、煌く雨を追い空を蹴って降り立った魔女の末裔が大切な人の元に駆けより、魔女の『影』が再会を眺めながら姿を顕す。

―――時計の針は僅かに戻り、場面はもう一つの邂逅へ。

●迷宮主の間へと続く回廊
 祈る気持ちで首元の噛み跡を撫で銀色の回廊を飛ぶように翔けるリミティア・スカイクラッド(人間の精霊術士・f08099)が、帰りの遅いヴィサラを探して辿り着いた迷宮の様相に表情を曇らせながら踏み込む力を強くし、
「ヴィサラはどこにいるのでしょうか? どこにいてもすぐに見つけますから……きっと、無事でいてください」
 逸る気持ちに押されるようにリミティアが空色の瞳に力を籠め、銀鏡に映り込む鏡像に目を向けることなく進み、迷宮主の間の入口を飛び越えて影と対峙する。

●『影』の迷宮
 合わせ鏡の迷宮主の間に魔女の末裔が飛び込み宝石剣を引き抜き、『影』が銀鏡に向けた視線を上げることなく迎え入れる。

●ダイアモンドバレー
 視野にヴィサラの姿が見えないことで周囲を探し出したリミティアへ向け『影』が床を構成する銀鏡の一点を指差し、
『……リムはリムの『影』に興味がなさそうですね。ヴィサラはそこに映っていますよ? でも、災魔に一族の血と誇りを真似されても気にならないほどヴィサラが大事ですか?』
 揶揄するような『影』の言葉に耳を貸すことなくリミティアが、迷わずMagi-Phoneを取り出して鏡に関わる魔術を検索し、『影』が鏡の奥で繰り広げられる光景に口元を緩め、少し後。
 銀鏡に映り込む虚像の構造を読み解いたリミティアが魔力を宝石剣に廻らせ、周囲の銀鏡が群青色の宝石へと変わり、妖精杖を通し操られたそれが『影』を巻き込み床面を撃ち抜き、銀鏡が割れた先には追いかけ探した大切な人の泣き出しそうな顔。その顔になによりも早く声を届けようと名前を呼ぶ。

「……ヴィサラ!」

●≪邂逅≫
―――時計の針が追いつき進む、魔女噛みの蛇髪少女の元に魔女の末裔が辿り着き、その傍には二つの『影』。

●想いの行方
 散らばった輝きが銀面へと映り込み麗石の雨の余韻が消えてゆく。泣きそうなままでリムの声に顔を上げたヴィサラの瞳に、駆け寄るリミティアの姿が映りそのまま抱きしめられ、感じる暖かさに涙が溢れだして呆然と言葉が零れ、
「……え? リム? なんで? でも、ごめん……私。…私さ、本当に嫉妬深いんだと思う」
 これまで迷宮で体験した自分の姿を隠したい気持ちに負けそうになりながらもリムへと伝え、優しくその言葉を聞いたリムが、ヴィサラと言葉を受け止めるように言葉を返し、
「聞いてください、ヴィサラ。勝手なことを承知で言うのなら、リムはヴィサラのその嫉妬心も、大切にしてほしいと願っています。それはあなたがリムを想ってくれている証ですから」
 そんなヴィサラがリムは大好きです、と締めくくったリミティアに、嫉妬心も自身の一部と受け入れはじめたヴィサラが冷静さを取り戻し、
「私も大好きだよ、リム。……でも、そっか。良い所も、悪い所も、全部を引っくるめて…それが『私』なんだ」
「えぇ、だから立ってください。もうすぐあなたの誕生日。帰って一緒にお祝いしましょう」
 抱きしめていた身体を離したリミティアがヴィサラに手を差しだし、繋がり寄り添う二人が見つめる先には魔眼を煌々と輝かせるヴィサラの『影』。嫉妬に歪んだ表情を見せる影に、手のひらから伝わる暖かさを感じながらヴィサラが、
「……私の影。貴女が何を考えてるか、私にはよく分かる…怖いんでしょ? リムに嫌われるのが。愛想尽かされるのが。…だったら永遠に『私』の物にしないとね?」
 ヴィサラが『影』の恐怖を煽り魔眼の発動を誘発するように言葉を操り、暴走する魔眼が銀鏡に重なり合い迷宮主の間を赫光が満たし、ヴィサラの手に伝わる感覚が冷たく変わり……視線を動かせば石と変わりゆくリミティアの姿が映り、同じく石化してゆく二つの『影』の片割れから、
『だって、誰かと手を繋いで微笑むリムなんて見たくないでしょう? …なら、どうするとおもう?』
 石化しながらそう嗤う自身の『影』に寸前までヴィサラ自身がそれに嫉妬していたことを思い出し、自身の言葉通りに『影』が命令と自身の意思で『リム』を手に入れ、自身は永遠に手放すことになることに気が付き、言葉にできない悲鳴と共に赫光が溢れ、……やっぱり、ほら貴女は醜い化け物よ、と嗤うヴィサラの『影』が石となってヴィサラが頽れ、石化が解けて意識を取り戻したリミティアに未だ石化を進行させるリミティアの『影』から嘲りを含んだ声が掛かり、
『ヴィサラ…の『影』がかわいそうなので、リムはこのまま付き合います。それと、ヴィサラには少し早い誕生日プレゼントを。リムには贈り物を上げますね』
「――ああ、無視してごめんなさい、リムの影。未熟、非力、虚勢。どんな醜い一面を見せられても、それはリムが足を止める理由にはなりません。あなたはただの――通過点です」
 繋いだ手から感じるヴィサラの重さと嗚咽の雰囲気に、構っている時間が惜しいとリミティアが魔力を猛らせ、石化の進行したリミティアの『影』が完全に灰色に染まり、ヴィサラにより石化した『影』と共に双眸が色を取り戻し、リミティアのが放った幾重にも吹き荒れる宝石の銃弾が石化した二つの『影』を砕き……不滅の特性を付与された双眸の変化した宝石が迷宮主の間で弾かれ合いながら二つに融け合いヴィサラとリミティアの足元に留まり、不気味な輝きを持って赫瞳と空瞳が二人を見上げる。

●終幕
 頽れたヴィサラが感情に任せて使った魔眼の感覚と結果に怯えるように震え、そこに寄り添うリミティアが気持ちを伝えるように優しく抱きしめ、異形の双眸にも見える二つの宝玉がそれを見つめ続ける。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


●映ずるモノなき模倣者
 美しい鏡面を取り戻した迷宮主の間で、変わらずそこに在る影を映す魔鏡から細かく割れる音が響き、赫砂の如く割れた宝玉が床へと向けて零れ落ち……風に浚われるように空中へと溶けてゆく。
アリス・レヴェリー
【WIZ/反転】
……ここが迷宮主のいる所ね?
見つけたわ。あれが例の鏡ね。ということはそろそろ影が?
……なるほど、本当に鏡みたいね。逆側に付けられた装飾品に、反時計回りの懐中時計。利き腕もわたしと逆の左利きかしら?
喚んだ子の影も出てくるとなると、わたしとわたしの一騎打ちになるわね。
【真鍮の軌跡】を発動、自身の戦闘力を高める軌跡を残す箒で攻めていきましょう。
当然向こうも真似てくるでしょうし、時計の結界をお互いに削りつつ、如何に自分の軌跡を残せるかが分け目になりそうね。
わたしより賢そうだし、召喚も出来るようだけど、それはあくまで影。
あの日の約束によるみんなから貰った勇気や第六感は真似出来ないはずよ。



●迷宮主の間に続く広間
 閉ざされた大扉を掛け声とともに押し開けた猟兵が、何処までも銀色を拡げる合わせ鏡の回廊を軽い足取りで奥を目指して進んでゆく。

●迷宮主の間へと続く回廊
 戦いの準備を整え真鍮による装飾がされた箒を携えて駆けるアリス・レヴェリー(真鍮の詩・f02153)が、顕れる『影』への好奇心と興味を刺激されながら悪戯めいた表情で微笑み、
「わたしはだいぶ慣れたけどダイナ達はきっと驚くわよね、ここ。どんな顔をするかちょっと楽しみね! でも、迷宮主はこんな鏡ばっかりのところで疲れちゃわないのかしら?」
 蜂蜜色の髪を靡かせるアリスから人形の幼体らしい天真爛漫さで紡がれる言葉が、足音に乗りながら冷たい空気へと溶けてゆき、回廊の終端を通り過ぎる共に言葉が響く。
「この部屋で行き止まり……ということは、ここが迷宮主のいる所よね?」

●『影』の迷宮
 真鍮の詩の謡い手が辿り着いた迷宮の最奥で銀色のなかに罅割れた宝玉を戴く漆黒を湛えた影を映す魔鏡を発見する。

●≪鏡写し≫
 静謐と銀色に満ちた迷宮主の間に音が刻まれ変化が訪れる。事前に聞いた通りの外観を持った魔鏡を見上げるアリスが考えを纏めるように言葉にしてゆき、
「……見つけたわ。あれが例の鏡ね。ということは、そろそろ影が出てくるのかしら?」
 その言葉に漆黒の鏡面から『影』が飛び出し、アリスの前に降り立ち鏡像そのものの姿を見せ、アリスが様々に輝く美しい結晶――世界の雫――を文字盤に嵌め込んだ懐中時計を取り出したのに応じて『影』が反転した懐中時計を掲げ、アリスが納得したように言葉を紡ぐ。
「……なるほど、本当に鏡みたいね。逆側に付けられた装飾品に、反時計回りの懐中時計。利き腕もわたしと逆の左利きかしら?」
 それと、これも確かめないといけないわ、とアリスが唄うのは大切な友達を想う詩。それは猛る金獅子を、揺蕩う勇魚を、煌めく大鷲を招く声。同時に謳い始めた『影』と共に謡い終わり、
『「……、わたしの友よ!」』
 アリスに寄り添うようにダイナが、見守るようにムートが、護るようにアルテアが顕れ、アリスの『影』も魔鏡から喚び出された三つの『影』に囲まれ、瞳に力を籠めてアリスが『影』へと視線を合わせる。
「やっぱり、喚んだ子の影も出てくるとなると、わたしとわたしの一騎打ちになるのね?」

●『影』の迷宮
 真鍮の詩の謡い手と『影』が向き合い、それぞれの『影』と対峙した真鍮の詩を好む王達と女王が周囲に散ってゆく。

●真鍮の軌跡
 懐中時計が時を刻み幾重にも真鍮色の軌跡が描かれてゆく。信頼する大好きな人からもらった箒で描いた軌跡の上を駆けるアリスが、細部まで同じ箒を操る『影』の一撃で懐中時計の時間を刻み、お返しとばかりにアリスの振るう軌跡が『影』の懐中時計の時間を逆廻しに進める。
(当然、向こうも真似てくるわよね。今のところお互いの懐中時計が刻んだ時間は同じ。……いいえ、先に攻撃を受けてるから『影』が有利かしら? なんか、わたしより賢い気がするわ。だからこそ、如何に自分の軌跡を残せるかが勝負の分け目になりそうね)

 ――チクタクと時計が12を共に刻み。猛る金獅子が咆哮を上げ、銀面を泳ぐ白鯨が身を躍らせ、麗しき星鷹が輝きを零してゆく。

 真鍮色の輝きに満ちる迷宮主の間で『影』と距離を取ったアリスが大切に飾られた≪あの日の約束≫に手を当て、駆けだした先は空中。描かれた軌跡を足場に翔けるように間合いを詰め、迎撃に振り上げられた『影』の箒の軌跡を周囲で戦う大切な友たちから貰った勇気で見極め、箒の柄で一撃を受け止めたアリスが押し込まれる力に逆らわず横薙ぎに繋いだ軌跡が『影』を吹き飛ばす。

●終幕
 振りぬいた一撃にしっかりとした手ごたえを感じたアリスが周囲で支えるように戦ってくれていた大切な友達たちに撤退することを伝え迷宮主の間を後にする。

成功 🔵​🔵​🔴​

アマータ・プリムス
最後の最後まで当機の前に立つのは当機ですか
きっと貴女はメイド服に身を包むことなく別れも出会いも経験せずのありのままの『私』なのでしょう
※相手は第二口調
双方スコパェを手に戦いますが恐らく強化されたあちらの方が上手でしょう
『無様ね、貴女』
「当機からみれば貴女の方が無様ですよ」
差は歴然ですがそれは当機一人だけの場合
当機いつだって一人ではありませんでした
生意気で言うことを聞かず口の悪い大切な弟とずっと二人でした
(『ケケケ、オレの姉貴に化けるならもちっと真面目にやるんだな!』)
ネロが現れUCを発動
二人ならば目の前の敵も恐るるに足りません
ネロに操られ全力の張り手で鏡ごと叩き割ります

心の中で弟に感謝を



●迷宮主の間に続く広間
 辿り着いた広間で魔法学園の徽章を見上げていた猟兵が、身に纏った衣装を整え銀面を鳴らしながら大扉をくぐり先へと進んでゆく。

●迷宮主の間へと続く回廊
 慣れ親しんだ銀色のトランクの重みを感じるアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)が、明確に感じる既知感に周囲を見渡し銀鏡に映る景色が変わってゆく。
「なるほど、懐かしくはありますが戻りたいとは思わないものですね。えぇ、当機がいるべき場所は変わったということなのでしょう」
 その様子を眺めるアマータが自身の心の在り処を改めて確かめながら回廊を進み、トランクから愛用の箒を取り出し馴染ませるように振るい、迷宮主の間で魔鏡の下に待つ黒い外套の存在を瞳に納める。
「やはり、最後の最後まで当機の前に立つのは当機ですか」

●『影』の迷宮
 アンティークドールのメイドがかつてを振り返りながら佇む『影』へと近づき似て非なる瞳がお互いを見定めるように交わる。

●積み重ねたもの
 虚構の景色のなかでの邂逅が静寂を破り空気を鋭くしてゆく。アマータが桃花色の瞳に映る、夜を模した黒色の外套を纏う『影』の同じ色でありながら人形じみた瞳から、視線をそらさずに声を掛け、
「きっと貴女はメイド服に身を包むことなく別れも出会いも経験せずのありのままの『私』なのでしょう」
『……当機? 私ではなくてそう区別するの? それは、器にとって必要なことではないわ』
 アマータが使った一人称への疑問を『影』が返しつつ無表情に応じ、アマータと『影』が同時に柄に刀が仕込まれている箒を構え重心を落とし、初手はお互いに瞬刃の抜刀術。
 鋭刃が幾度もぶつかり合い火花が散り、アマータが掠める鋭刃と腕に響く重さに僅かに身体を軋ませ、
『無様ね、貴女。余計なことをしているから弱くなるの、服もなんなの?』
「当機からみればそれを余計と思える貴女の方が無様ですよ。創られた器だろうと中に何を入れるかは当機が決めます」
 その言葉に憤ることも羨むこともなく冷然と振舞う『影』の一撃がアマータの護りを潜り抜けるように、首を断つように迫り、
(『ケケケ、オレの姉貴に化けるならもちっと真面目にやるんだな!』)

●『影』の迷宮
 銀の箱鞄より飛び出した黒衣の案山子人形が口を歪め嗤い、アンティークドールのメイドに『影』の断頭の刃が迫るなか、影を映す魔鏡の鏡面が揺らぐ。

●≪姉弟≫
 銀刃が振るわれ鋼糸が走り漆黒が揺れ事態が流れてゆく。迷宮主の間を奔ったネロの操る鋼糸がアマータへと接続され、操られることで人形としての十全の能力が引きだされ、『影』の振るう一撃がアマータの持つ仕込み刃に絡めとられ、二本の刃が空中を舞い、それに構わず踏み込んだアマータのスナップを利かせた張り手がアマータの『影』の頬を打ち重い打撃音が響き、息をつく間もなく繋がれた鋼糸を辿るように振り向いたアマータの目に映るのは新たに顕れたネロの『影』が爪を煌かせネロへと迫る姿。
(『影』との差は歴然ですがそれは当機一人だけの場合、当機いつだって一人ではありませんでした)
 その光景に鋼糸がアマータからネロに向けてピンと張りつめ、ネロの逆撃が『影』の爪と打ち合いお互いを弾き合い、
(生意気で言うことを聞かず口の悪い大切な弟とずっと二人でした。ですから、二人ならばどんなことも恐るるに足りません)
 二人の『影』に囲まれながら心でこそ繋がった姉弟が不敵に軽口を叩き合い、宝玉の砕け散る音が響く。
「油断しましたか? ネロ。しかし、あなたの『影』も似ていませんね」
(『ケケケッ、花を持たせてやったんだヨ! マァ、もうそのツラも見納めみたいだけどナ!』)

●終幕
 限界を向かえ宝玉を失った影を映す魔鏡か崩壊し『影』達が消え、箱鞄に消えつつサーカストラックまで頼んダ!愚姉と帰る場所を指定したネロの気遣いに苦笑がこぼれ、普段の雰囲気に戻ったアマータが迷宮主の間を後にする。
(いつも感謝してるわ、ネロ)

●??????
 薄れる意識に、零れ落ちる漆黒に、根幹が罅割れ砕ける感覚に、あがらうことなく身を任せ、与えられた役目を忠実に終えたのだろうかと自問しながら、姿を映す銀鏡に映り込む漆黒のみを映し続けた自身の最期を見届ける。

●模倣者の消えた迷宮
 一面の銀鏡に侵されていた迷宮が本来の姿をほぼ取り戻し、以前から魔法学園の生徒の探索の習熟に使われていたその場所は、変化したまま残った鏡面と硝子により難度を上げて生徒達を鍛え、猟兵達が去った後の迷宮が役割を果たしてゆく。
 蘇った過去の悪夢は溶けて消え、猟兵達が護った現在が未来に向けて繋がり、魔鏡と向き合った猟兵達も得たものを胸に先へと進んでゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月27日


挿絵イラスト