バトルオブフラワーズ⑦〜殴られても、殴られても
「ふふふ、とうとう中枢にたどり着きましたね。
皆さん、お疲れ様です。」
集まった猟兵達を、八咫は笑顔で迎えていた。
「とはいえ、今もステージごとに怪人たちが道を塞ごうと、虎視眈々と狙っています。
皆さんにはその一つを潰してもらいましょう。」
八咫はゲートを開くと、暗いステージの上で一つのスポットライトに照らされたサンドバッグの姿が見えた。
……呟くような声が聞こえるが、どうやらサンドバッグは歌っているようだった。
「いや、あの、どういう状況だ?と聞きたい気持ちは解ります……説明させてください。
今回の戦いは、歌いながら戦う事で、戦闘力を上げると共に攻撃のダメージを後回しにできるという加護を受けることができます。
敵も加護を受けているので、歌っている間はダメージが蓄積されていきます。
……では、どうやって倒すのかというと、あちらを見てください。」
八咫に促されて観客席に視線を向けると、大きなつばの広い帽子を被ったテレビウムの女の子の顔に、サンドバッグの歌うステージが映し出されていた。
「あのように、キマイラフューチャーの住人達に、戦いの様子が流れます。
皆さんの戦う様を住人の方々に見てもらい、どちらが優れた歌を歌っていたか?を判定されます。
……原理は不明ですが、自動的に行われるようです。
そして、劣っていると判定された場合、判定された側に今までのダメージを一気に与えられます。
なので、歌いながらもある程度攻撃をする必要があります。
敵はサンドバッグとして、手を出すことはないそうなので……。」
今もぽつぽつと、毎日毎日殴られる、それに耐え続ける日々……というような歌を歌い続けるサンドバッグ。
「悲哀の歌ではありますが、そんなサンドバッグの姿にここの住人達の共感を得てしまうかもしれません。
サンドバッグに負けないよう、自分の信じる物や心を奮い立たせる事についての歌などいいかもしれませんね。
そんな歌と共に障害を打ち砕くとか、いいと思いませんか?」
八咫は笑顔で提案しつつ、ゲートを開きなおすと、ステージの上へ繋がった。
「それでは『コウハクウタガッセン』、がんばってくださいね。」
ヨグ
ヨグです、キマイラフューチャー戦争シナリオ第6弾となります。
いつも殴られる、そんなサンドバッグの悲哀を打ち壊す明るい歌を歌いつつ、どんどん殴ってください。
第1章 集団戦
『戦闘員・ナグルド』
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POW : 強靭で無敵だド!
全身を【頑丈なサンドバッグ 】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : バチバチするド!
【触れると爆発する砂 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 飛び道具卑怯だド!
【ボクシンググローブ 】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
イラスト:井渡
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
レイニーア・ノックス
相手が動いたりしないことからいちいち細かいことなど考えずに自身の全力の一撃を助走をつけて叩き込む。simple is bestの考え方。
「ナグルドです……毎日、毎日……殴られるドです……。」
会場に流れる呟き、それはステージの上に立つサンドバッグから出る言葉。
悲しげなメロディーと共に、ぽつぽつと話すサンドバッグ。
「それでも立つのが、サンドバッグ……ナグルドです……。」
会場は静かに聞き入っていた。
……突然の乱入者が現れるまでは。
「とぉりゃああああ!」
舞台袖から突然駆け込んできたのはレイニーア・ノックス(ドラゴニアンの竜騎士・f18202)。
そのまま拳を振りかぶり、全力で一発叩き込む。
「考えずに殴る、simple is bestの考え方よ。」
「……今日も、殴られるド……手も足も出ないド、です……。」
変わらず呟き続けるサンドバッグに、レイニーアはさらに拳を振り上げる。
「そう、今日も殴るわ……でもね、」
ドス! と突き刺さる拳。
「嘆くだけのサンドバッグに、」
ドス!
「レイニーの拳が受けきれるかしら?!」
ドスン!
腰の入った一撃と自信に満ちた言葉。
「……立ってるだけなら、だれでもできるのよ。」
拳を解きながら決め台詞。
「いいぞー!」
「その通りー!」
観客からの反応も上々だった。
「う……サンドバッグです……殴られるだけなら……。」
ドン!と突然吹き飛ぶサンドバッグ。
どうやらレイニーアの勝利と判定されたようだった。
「歌の……勝負ではないのかド……。」
「……あなたも呟いてるだけでしょ。」
しばしの沈黙。
「……そうだったド。」
大成功
🔵🔵🔵
蝶ヶ崎・羊
サンドバッグの嘆きの歌ですか
確かに歌かどうかは怪しいですが、歌勝負なら負けませんよ
ステージに立てば軽く会釈をしてから明るい【歌唱】を披露します
そして歌いながら風の【属性魔法】、歌を利用した【衝撃波】で攻撃。
敵の攻撃は【オーラ防御】か【見切り】で回避します
歌のシメにユーベルコードを発動敵に【指先】を向けて光を落とします
嘆いてばかりでは何も始まりはしません
それにこの世界は悲しい歌よりもそれを笑い飛ばす楽しい歌が似合ってます。そうでしょう?
「サンドバッグの嘆きの歌ですか。確かに歌かどうかは怪しいですが、歌勝負なら負けませんよ。」
そう呟きながら舞台に上がるのは、精巧に作り上げられたミレナリィドールの蝶ヶ崎・羊(伽藍堂の歌箱・f01975)。
サンドバッグの横に立ち、マイクを持って観客席へ軽く会釈。
「本日はよろしくお願いします、それでは参りましょう……。」
指を鳴らす蝶ヶ崎に合わせ、流れるのは明るい曲。
曲の調子に合わせて指を鳴らしながら、歌い始める。
「青い空と白い雲、そんな日は外へ出向きましょう。
部屋に籠れば、たちまちじめじめ湿ってしまう!」
歌い上げるのは、外へ出よう!という内容の歌。
嘆きを出すくらいなら、外で遊ぼう!と誘う歌。
「仕事でイライラ、いつもはそれをサンドバッグにぶつけてしまう。
そんなの絶対もったいない、せっかく明るい世界があるのだから!」
歌の最中、蝶ヶ崎の歌声に籠る魔力が衝撃波としてサンドバッグに襲い掛かる。
サンドバッグが呟く隙もない。
「さぁ笑おう! 君は笑う姿がよく似合う!」
歌が〆に差し掛かる。
蝶ヶ崎の右手がサンドバッグへ、銃を向けるように手の形を作り、
「晴れ渡る空は、君の物!」
〆の歌声と共に、サンドバッグに光が差した。
会場の拍手と共に、サンドバッグが光に吹き飛ばされる。
それは、蝶ヶ崎の勝利を表していた。
「嘆いてばかりでは何も始まりはしません。」
サンドバッグへ語り掛ける蝶ヶ崎。
「それに、この世界は悲しい歌よりも、それを笑い飛ばす楽しい歌が似合ってます。……そうでしょう?」
最後の言葉に、会場が湧きたつ。
「そうだそうだ!」
「明るくいこうぜ!」
「外の明るい空みたいに!」
観客の拍手に応えて一礼し、ステージを下りる蝶ヶ崎。
サンドバッグはそれを見送るしかできなかった。
大成功
🔵🔵🔵
明石・鷲穂
使用技能【怪力、グラップル、カウンター】
なんか悲しいな。
サンドバッグだと…殴られてばっかりだもんな。
…………でも、それがサンドバッグだよな?
「歌うってのは得意じゃない…というか人前で歌う機会もないからなあ」
「頑張れよ~殴られてこそのお前だろ~……こんな感じか!」
ひとまずサンドバッグとしてヤル気を出してもらうために、相手を鼓舞する…作詞作曲・俺の鼻歌でも歌うか!
「悉殿都漫多囉跋陀耶~……これ違うな。
まあ良いか。娑婆訶!」
「これは、慈悲の歌だ」
良い感じにサンドバッグとしてのヤル気を取り戻してくれたら、正々堂々UCをぶち込もう。
(アドリブ他お任せ)
有馬・ナオ
ブットバースより助太刀参上でしゅ♪。
アドリブ&連携大歓迎
サンドバッグさんの歌は物悲しげでしゅ……でもね。
耐えきった貴方は素敵な人とマイクを持ち軽やかにステージに参加します。
「毎日、毎晩踏ん張って後ろ姿寂しいか?」
「寂しい姿は漢の象徴!耐えきった貴方は素敵な人だ!?」
UC【ジャスティス・ペイン】
を発動し身体能力を強化。暗いサンドバッグさんと【手を繋き】(手があるかは兎も角)一緒に踊りながら。
前向きに【歌唱】歌います。
「だから、呟くだけじゃ勿体無い明るく空を見ようよ」とダンスを交え最後にターンを決めて一礼します。
「毎日殴られ、砂が零れ落ちるド……。
今日も殴られ、穴が開いていくド……。」
サンドバッグの独白が続いている。
心なしか、中の砂が減っている気がする。
「サンドバッグさんの歌は物悲しげでしゅ……。」
「そうだな……サンドバッグだと、殴られてばっかりだもんな。」
幼い少女である宿主のさくらさんと共に、ヒーローマスクの有馬・ナオ(EinHeldohneNamen・f10768)は、山羊のケンタウロスである明石・鷲穂(門前の山羊・f02320)の背中に乗って、サンドバッグの歌を聞いていた。
しかし、そこで明石はふと思いつく。
「……でも、それがサンドバッグだよな?」
「その通りでしゅ。」
有馬の言葉と共に、舞台へ進む明石。
「耐えきった貴方は素敵な人だと、教えてあげるでしゅ!」
「おう、やってやろうぜ!」
明石は鷲の翼を広げて一息に舞台へ飛び、サンドバッグの横へ降り立つ。
二人の手には、マイクが握られていた。
「毎日、毎晩踏ん張って、後ろ姿寂しいか?」
先に歌い始めたのは有馬。
「寂しい姿は漢の象徴! 耐えきった貴方は……素敵な人だ!」
明るく歌われるその歌は、耐えるサンドバッグを認め、その姿をほめたたえる歌。
「だから誇りに思うんだ! 殴られるのは漢の象徴!」
「……ナグルドは、そんなこと……言われたことなかったド。」
サンドバッグの呟きも、どことなくうれしそうである。
「頑張れよ~殴られてこそのお前だろ~……。」
合間に明石も歌を差し込む。
(歌うってのは得意じゃない……というか、人前で歌う機会もないからなあ。)
でも、今は横に有馬もいる。
彼女の歌う歌に合わせ、思いつく限りの誉める歌詞で歌っていく。
「悉殿都漫多囉跋陀耶~……これ違うな。」
……が、途中でネタが切れ、お経になっていった。
「さぁ行こう! 手を取って!」
と、有馬の歌詞に合わせてサンドバッグの横へ歩く明石。
背に乗った有馬と、彼女が差し出した手を浮遊したグローブで取るサンドバッグ。
「明日も殴られよう! それはサンドバッグの誇りだから!」
「誇り……誇りを持つド。」
さっきまで、中の砂が抜けたようにへたっていたサンドバッグも、今ではすっかり胸を張って浮いている。
歌も佳境、サンドバッグの周りを回るように動く明石と、手を取って踊る有馬。
「だから……呟くだけじゃ勿体無い!」
最後にサンドバッグと共に手を振り上げ、
「明るく空を見ようよ!」
「……見るド!」
二人の声が合わさった。
……一拍置いて、会場を万雷の拍手が包んだのだった。
「……自信が持てたド。……自分はサンドバッグだったド。」
「いいことでしゅ! それでこそでしゅ!」
嬉しそうなサンドバッグと有馬。
「よし、じゃあさっそくサンドバッグの仕事するかい?」
「いいド……思いっきりやるド!」
明石の側を向き、胸を張るサンドバッグ。
その顔は、どんな攻撃でも受け止める自信に満ちていた・
「よし、よく言った。……娑婆訶!」
ダン!と足を踏みしめ、左手を引く明石。
「これは……慈悲の歌だ!」
そのまま左手を開いて、一気に押し出す。
……観客には、比較的ゆっくりとした動きに見えた。
「ドオォォ!?」
一撃でサンドバッグは舞台の端まで吹き飛び、壁に弾き飛ばされて戻ってくる。
そこには、有馬が拳を構えて待っていた。
「これで、とどめでしゅ!」
「ドフ!?」
サンドバッグの顔に命中した有馬の拳。
そのまま空に飛ぶサンドバッグ……この瞬間、コウハクウタガッセンの審査が終わったようだった。
バン! という音と共にサンドバッグがはじけ飛び、キラキラと砂が舞い散った。
「……最後に、いい夢を見せてもらったド……。」
会場にいた全員の耳に、サンドバッグの声が聞こえた気がした。
「……これで、よかったんでしゅよね?」
「ああ、もちろん。」
見上げてくる有馬の頭を撫でつつ、明石はサンドバッグがはじけ飛んだ辺りを見つめて呟く。
「未練はないだろう、自分の仕事を全うしたんだからな。」
大成功
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