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バトルオブフラワーズ⑨〜奪えマウントポジション

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #エイプモンキー

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●知恵比べ
「ザ・ステージ各所の制圧お疲れ様、ついに内部への道が開いたねぇ」
 グリモアベースにて、オブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)が集まった猟兵達にねぎらいの言葉をかける。この先、システム・フラワーズの内部に突入するわけだが……まずは第一の関門として、怪人幹部のひとり、マニアック怪人『エイプモンキー』が立ち塞がっているらしい。
 システム・フラワーズの内部は「咲き乱れる花々の空間」で、「花々が集まって足場になる」仕組みになっているようだが、このエイプモンキーが居る限り、全ての足場はエイプモンキーの場所に繋がってしまうという。
「つまり、こいつを倒さないと先に進めないわけだ」
 例によって例の如く、エイプモンキーも倒した傍から骸の海から蘇る。しかし短期間で何度も撃破すれば、それも限界が来るはずだ。
「とはいえ、そう簡単に倒せる相手でもなさそうでね……」
 オブシダンが声のトーンを落とす。このエイプモンキーは、『自らの想像力が及ぶ限りのあらゆるものを創造できる』という凶悪な能力を持っている。それによって、猟兵のユーベルコードを無効化して、一方的に攻撃するような戦闘を行ってくるようだ。
「要するに、こちらの技の弱点や死角を突いたり、回避したりと、かなり正確な対抗策を具現化してくるみたいなんだ。無策で挑めば綺麗にカウンターパンチを喰らってしまうことになるだろうね」
 そこで、とグリモア猟兵が笑う。
「逆に言うならこちらも敵のカウンターが予測できるでよね? だから、さらにその対策を施してやれば良い」
 カウンターのカウンター。ユーベルコード返し返し。言い方は何でも良いが、つまりはそういうことだ。
「どうだろう、ちょっと頭をひねってみてくれるかな?」
 面白がるようにそう言って、オブシダンは一同の転移の準備を開始した。


つじ
 どうも、つじです。
 幹部戦、エイプモンキーとの戦いになります。

●リプレイ
 お一人様(もしくは1グループ)ずつ、エイプモンキーの元まで花の足場を移動し、一回戦闘する。という流れです。
 倒したらまた別の場所で復活しますので、そうしたら別の猟兵の出番になります。

●先制攻撃
 エイプモンキーは、猟兵が使用するユーベルコードの設定を元に、そのユーベルコードを無効化する武器や戦術を創造し、回避不能の先制攻撃を行ってきます。
(ユーベルコードで無効化したり相殺した後、強力な通常攻撃を繰り出す形です)
 この攻撃は、ユーベルコードをただ使用するだけでは防ぐことは出来ません。
 この先制攻撃に対抗する為には、プレイングで『エイプモンキーが自分のユーベルコードに対抗して創造した武器や戦術を、マニアックな理論やアイデアで回避して、攻撃を命中させる』工夫が必要となります。
 対抗するためのプレイングは、マニアックな理論であればあるほど、効果が高くなります。
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第1章 ボス戦 『マニアック怪人『エイプモンキー』』

POW   :    マニアックウェポン
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【敵に有効なマニアックな装置】が出現してそれを180秒封じる。
SPD   :    マニアックジェット
【敵のユーベルコードを回避する装置を作り】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:柿坂八鹿

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

スノウ・パタタ
そうさい、ゼロになっちゃうです?うんとねえ、せーれーさんにお願いするのよ。
【宝石箱の奇跡】
体から取り出した赤と緑の宝石、呼び出したのは炎と風の精霊魔法。風で火力を育て、敵の周囲に広げる様に燃え上がらせる。

消さないとどんどん、焼けちゃうのよー。
伸縮性のある体でびよびよと回避行動を取りながら、攻撃の的を少しでも外そうと跳ね回る。

火を使ったら、水を出すと思ったの。
水は苦手じゃないのよー、たーるさんは色々性質があるのだけどね、わたしは油性だから水は弾いちゃうのよ。体の成分までは分からないと思うのだけど、どうかなあ。
マニアック…あ、ユキさん(バディペット)は水で増えるのよー。ランダムの毒に注意、です!



●宝石と液体
 ぺたぺたと、歩みに合わせて集まる花々を踏み越えて、スノウ・パタタ(Marin Snow・f07096)はシステム・フラワーズ内部を行く。目指す場所はここの奥底だろうが、目下この道は全てエイプモンキーに繋がっている。
「また猟兵が来たウッキー! いい加減しつこいウッキー!」
 近づくスノウを発見した幹部――派手なアーマーだかロボットだかに身を包んだ怪人、エイプモンキーがそう文句を付ける。そんな事を言われても、と首を傾げるスノウに、その怪人は矢継ぎ早に捲し立てた。
「何度やろうと無駄ウッキー! どんなユーベルコードが来ようが、ミーの卓越した頭脳で相殺してやるウッキー!」
「そうさい、ゼロになっちゃうです?」
 うーん、としばし悩んだ様子を見せて、スノウはポンチョの下、ブラックタール特有の体の中を探りだす。
「うんとねえ、それじゃわたし、せーれーさんにお願いするのよ」
 取り出したのは、赤と緑に輝く宝石だ。『宝石箱の奇跡』と名付けられたそのユーベルコードは、この宝石を使って――。
「ウキーッ、宝石の種類に応じた精霊を呼び出し、力を行使させる術だと見たウッキー! さしずめその色は炎と風! ならばミーの生み出すのは、この水流竜巻発生装置!!」
 高らかにそう宣言したエイプモンキーは、スノウのそれが発動するよりも早く、ユーベルコードの力を発揮する。
「……何も起きないです?」
 一瞬、スノウの言うように見えたが、幹部のユーベルコードが不発などするはずもない。
 歩みに合わせて咲く花の下、スノウの死角から、それは陸に生じた渦巻の如く彼女に襲い掛かった。
 スノウの本来発動しようとしていた炎の嵐は、逆方向に渦巻く水によって瞬く間に掻き消されてしまう。
「あっ、危ない、のよ……?」
「さぁさぁそのまま渦の中で捩じ切れてしまうが良いウッキー!」
 コンコンコンを可能とするシステムフラワーズから引っ張ってきているのか、凄まじい水量を持つ渦巻が、スノウの逃げ場を潰すように迫る。
 元々彼女は自分の周りに炎と風を展開するつもりだった。敵は丁寧に、それを読んで潰しに来たのだろう。竜巻の様に荒れ狂い、大蛇の様にのたうつその水流の中で、スノウの身体が捩じり上げられ――。
「……ウッキー?」
 特に捩じり切れることもなく、そのまま吹き飛ばされて花の上に着地する。
「そんな、骨とかバッキバキになってるはずじゃいッキー? どうなってるウッキー!?」
「水は苦手じゃないのよー、わたしは油性だから、なおさらー」
 ブラックタールである彼女の身体の組成、そして伸縮自在という特徴を生かした対策と言えるだろう。火属性の攻撃を狙えば、自ずと水関係の攻撃が来るはずだという、スノウなりの推理がハマった形。
 とはいえ、水流が完全に無効化できるはずなどなく、ふらっふらしているようだが……。
「ウキキー! とはいえユーベルコード自体は相殺できたウッキー! かくなる上は、肉弾戦!!」
「ユキさん、いくのよー!」
 水を得てなんか増殖を始めたウミウシ達を従えて、スノウはエイプモンキーと改めて対峙した。風の魔法と、展開される毒。エイプモンキーの、それでもなお強力な通常攻撃は脅威だったが、結果としては痛み分け。
「この勝負預けたウッキー! さらば!!」
 仕切り直しとばかりに、エイプモンキーは花の道を踏み荒らしながら逃げ去っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

勘解由小路・津雲
【解説】過冷却水トラップ 
水は零度になれば凍るが、上手く冷やせば零度以下になるという。その代り衝撃を与えると一瞬で凍る。以下はこの原理を利用した罠である。

【戦闘】【エレメンタル・ファンタジア】を使用、周囲の花の水分を凝縮し、雨を降らせ、凍らせて氷の雨で攻撃。

が、当然これは敵の先制攻撃で防がれる。このとき、攻撃は発生しなくても、雨を降らせることが出来れば、自分の体を濡らした水分を「玄武の錫杖」で過冷却しておく。

エイプモンキーがこちらを攻撃すれば、その衝撃で相手もろとも凍らせ、凍傷でダメージを与える。「こちらは仮初の体、いくら冷やしても問題ないが、そちらはどうかな?」

被弾前提の作戦ではあるが……。



●氷漬け
「ようやく見つけたぜ、あんたが幹部だな?」
 花の道行きの先に大きな体を見つけて、勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)が攻撃にかかる。これは倒すべき敵であると同時に、切り抜けるべき関門でもある。彼の取った手段は、術士特有の技法、エレメンタル・ファンタジアだ。
「今度の相手はお前かウキーッ!」
 振り向き、戦闘態勢を取ったエイプモンキーの目が、彼を捉えた。
「花が豊富に咲いているのを良い事に、その水分から氷を生み出す気だなウキーッ」
 術として顕現する『氷の雨』を察知し、怪人は即座に対策のマシンを生み出す。
「雨ともなれば上からしか攻撃は来ないウキーッ! ならばミーの頭上にだけ飛ぶ円盤を作れば良いウキーッ!」
 エイプモンキーのユーベルコードによって生み出されたそれは、津雲の手の届かない高度で、ぴったりとエイプモンキーの頭上に収まる。しかも跳ぼうが走ろうが完全追従、雨が降り、やがて氷の粒が降り注ごうとも、エイプモンキーの周りだけは平和なままだ。
 逆に、雨という特性上津雲の頭上にも同じものが降り注いでいた。
「キキーッ! 自分でダメージ受けてれば世話ないッキー!」
 愉快気に嗤いながら、エイプモンキーが花の足場を蹴って津雲に迫る。空中から振り下ろされる拳を、津雲は雨に濡れた身体で、玄武の錫杖を構えて迎え打った。
「――かかったな」
「ウキッ!?」
 拳が津雲を打ち据えると同時に、彼を濡らしていた水が、周りを巻き込んで瞬時に凍り付く。
 過冷却水。やり方さえ整えれば、水は凍り付くことなく0度を下回る事ができる。今回はそれを、杖を通した術式で実現してみせたのだ。
 通常ならば凍り付いているはずのそれは、衝撃が加わることで一気に本来の形へと変わる。そう、津雲は自らの身体を餌に、エイプモンキーを誘い込んだのだ。
「こちらは仮初の体、いくら冷やしても問題ないが、そちらはどうかな?」
「ウキィ、生意気だウキーッ! ミーがこんな罠に引っ掛かるとは……無念……ウキ……」
 ピキピキと周囲の空間に氷の張る音が響く中、エイプモンキーは力尽きたらしく、ついにその声は聞こえなくなった。
「……やったか」
 骸の海へと帰った敵を確認し、津雲が真っ白な息を吐く。
 どれだけ冷やそうとも、ヤドリガミは本体さえ無事ならば死にはしない。だが仮初の身体が、精神が、傷付き疲弊した分を『なかったこと』にはできるかと言えば……。
「上手くいったとは言え……中々、応えますね」
 エイプモンキーに一矢報いる事には成功した。だが彼自身も、しばらくはこのまま動けないだろう。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

茅原・紫九
ここは俺に任せて先に行け!
……いいだろう、五分の賭けだが俺も覚悟を決めよう。
俺の取る戦法は単純明快、避けて殴る。

このUCの欠点は死亡フラグに途方もなく弱いことだ。かつての使い手もそれで死んだ。
いや、ジョークでなくな。摂理とは道理であり積み重ね、起こるべくして起こる事。
敵は死亡フラグを振りかざしてくるだろう。

……だから俺は死亡フラグを重ねまくって逆に折る!
端から見れば滑稽だろうが死んだあいつへの弔いでもある。
帰った時のパインサラダの準備はした!
唐突な過去回想は今やった!
先に行け発言もした!

へへっ、これだけ言えば勝ったに違いねえ。
勝ったならこんな所にいつまでもいられるか!俺は一人で帰るぞ!



●来るべき運命
「皆、ここは俺に任せて先に行け!」
 ……というやり取りが、猟兵達の間で行われたとか。
 何だかもうわざとらしいほどのセリフを吐いて出向いた茅原・紫九(風に流され来たる紫煙・f04064)は、エイプモンキーを前にしてもその姿勢を崩さなかった。
「猟兵……一体何人来てるウキ? こうなったら片っ端から相手してやるウキーッ!」
 怒り狂う強敵。本来ならば脅威だが、だからこそ。
「……いいだろう、五分の賭けだが俺も覚悟を決めよう」
 ふっと気障に笑って、紫九は足元の花を踏みしめ、構えた。
「ミーの命が続く限り、ここは通さないウキーッ!」
「……ッ!!」
 ここだ、と紫九が目を見開く。ユーベルコード、涅槃寂静。だがそれと同時に、いや一瞬早く、エイプモンキーがそれを発動した。
「――読めたウキッ! そのユーベルコードはミーの事を瞬間的に隅々まで観察し、その後の行動を予測するもの!!」
 水が高い場所から低い場所へ流れるように、自然の流れを、因果の在り方を読み解く至高の目。だが――。
「ユーが視る『運命予測』は連続した動作の中でしか成立しないウキ! ゆえにこのランダマイズマシーンでミーを一時的に操作させ、ミーの意思と関係無い攻撃を混ぜれば、運命は帰られるウキーッ!」
 一時的にAIに自らの動きを任せることで、紫九の予測を外してやろうと怪人は高らかに宣言する。それに対する紫九の反応は……不敵な笑みだった。
「――良いんだな? 俺は仲間達に『ここは任せて先に行け』と伝えた。この意味が分かるか?」
「ウ、ウキ?」
「良いか!? 端から見れば滑稽だろうが死んだあいつへの弔いでもある!」
「ま、まさか……!」
 気付いたようだな、と笑みを深め、紫九は宣言する。
「見ていてくれ、必ず俺が、お前の無念を晴らす!」
 唐突な過去回想と虚空への呼びかけ。流れるように積み重ねられていく『死亡フラグ』。紫九のユーベルコードは敵を観察するものだが、同時にその周りだって目に入っている。世界は地続きであり、彼女がこのままユーベルコードを使えば、彼女にも『起こるべきことが起こる』。
 だが逆にエイプモンキーがそれを邪魔すれば、その流れはひっくり返る――!?
「そ、そんな馬鹿なことがあるウキ!? まさか、これは、罠……ッ!?」
 自ら構築した理論に生まれた疑い。その一瞬、エイプモンキーは対策を行うことを躊躇した。
「さっさと終わらせるぞ、俺は帰ったら皆にパインサラダを御馳走しなければならんからな!!」
「ウキャーーーーッ!?」
 その隙をついた紫九の一撃が、狼狽える敵を捉えた。
「やったか……?」
 吹き飛んで倒れ伏す敵を見遣り、手応えを確かめるように、手を強く握る。渾身の攻撃だった、まさかこれで生きているということはないだろう、彼女はそう判断し――。
「こんな所にいつまでも居られるか! 俺は一人で帰るぞ!」
 踵を返した。
 足早に進めた靴について、花びらが舞い上がり、ひらひらと踊るそれが落ちたところで、ゆっくりと影が立ち上がった。
「逃がさん……無傷で帰れるなどと思うなウキーッ!」
「くそッ、まだ折り損ねたフラグがあったかッ!」
 因果の鎖はそう簡単に切れはしない。いつだって、振りにはオチがつくのだから。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

白斑・物九郎
●WIZ
「ワイルドハントの狩り、見せてやりまさァ」


【砂嵐の王】の「モザイク状の空間」を、己の身辺、特に頭部周辺に撒く
己の眼窩の位置&高度、即ち視野を量り辛くさせ、死角を算出させぬ目論見

この際の敵対抗は「モザイクを除去する」ことと想定

モザイクはきっと除かれるだろう
ならば「“フォースオーラの”モザイク状の空間」を「“砂嵐の王の”モザイク状の空間」の一枚下にて己の頭部周辺へ棚引かせておく

コードはキャンセルされるだろう
だが「アイテムは」消せまい

モザイクを除いて暴いた死角を縫ったと敵に思わせ、しかし消えていないモザイクを顔に纏い振り返る(敵到来方角は野生の勘で割る)
虚を突きざまの一撃を狙う(だまし討ち)



●白黒モザイク
 坂のようになった花の通路を一つ二つと昇って行き、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は標的の元へと辿り着いた。
「またミーの遊び相手が来たウキーッ! この際適当に時間をつぶして帰ってもらうッキー!」
 エイプモンキー自体も、度重なる猟兵との戦いに開いてきている頃合いなのか。だが何にせよ、甘く見られているのは気分が良くないだろう。
「ワイルドハントの狩り、見せてやりまさァ」
 低く構えた物九郎の詠唱に呼応して、空間がぐにゃ、と歪んだ。引き裂かれ、捻じ曲げられたように崩れたそれは、空間上にモザイクとして残る。
 その名は『砂嵐の王』。物九郎のユーベルコードだ。
「それはモザイク状の空間を展開し、それを武器か、自分に有利な空間とする技と見たウキ! 躱したところで陣地を広げられてしまうなら、モザイク自体を解除してしまえば良いウキーッ!」
 この辺りはもはや慣れたものなのか、エイプモンキーは即座に掃除機のお化けのような機械を生み出した。モザイクデコーダー、とでも呼ぶべきか、それは光学的に乱された空間を読み解き、正すためのものだ。
「ははぁ、俺めの作ったモザイクをそいつで引っぺがす、と?」
「その通りだウッキー! 覚悟するウキー!!」
 エイプモンキーは口にこそ出していないが、本来彼の狙いは物九郎の死角を突いて即座に戦闘を終わらせることである。そのためにも、物九郎の顔付近を漂うこのモザイクを捨て置くわけにはいかないのだ。
 これさえなければ、視界の隙を突ける。そんな目論見の元、モザイクデコーダーはその首をもたげ、消しゴムをかけるようにモザイクを読み解いていった。
 モザイクが消えれば、物九郎の視界も開ける。それでもこうして強行された敵の攻撃から、物九郎もその『狙い』に辿り着いた。
「こんなユーベルコード、消してしまえばこっちのものだウッキーッ! さあ、どこから攻撃が行くか――」
「ああ、でしたら、やってみたらいいっスよ」
 舞う花弁まではっきり見えるようになったそこで、背後に回り込んだエイプモンキーの方へ、物九郎が振り向く。
 くるうり、と廻ったその顔にあるのは――。
「モザイク!? どういうことウッキー!?」
 死角を突こうにも視線が全く読めない。戸惑う敵に、物九郎は凶暴な、狩猟者の笑みを浮かべた。
「その機械、ユーベルコードのモザイクしか消せないみたいっスねえ」
 彼の引き起こすモザイクには、厳密には二種類ある。ユーベルコードで引き起こしたものが一つ、そしてもう一つは……フォースオーラによく似た、ただの『現象』である。
 とはいえ、そこまでの答え合わせをしてやる義理もない。虚を突いたのだからそのままに、物九郎はその左手でエイプモンキーの胴を引き裂いた。
「ウ、キィィ……!」
「一丁上がり、ですわな」
 骸の海に消えていく恨めし気な声を聞きながら、物九郎は踵を返す。
 一応の役目は果たした、と彼は認識する。まだ『こちら』に戻ってくるようなら、また別の猟兵がその相手を引き継ぐだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アメリア・イアハッター
先へと行くためにそこを通してもらうわよ、さるさる!

宇宙バイクに乗り敵へと接近
宇宙バイクはジャンプも可能なため、速度・騎乗技術・小回りの良さで敵から狙い辛くし、ジャンプで意表をついて攻撃を避ける

敵に接近すれば更に宇宙バイクから自身がジャンプしUC発動
敵本体はUCを回避する筈
でも足場にしてる花はどうかな?
花には水分がたっぷり
そんな花が一瞬で凍れば途端に強度を失いボロボロになる筈
そんな足場にそんな重そうな機械に乗って立てば足場は崩れ、例え崩れずとも脆く滑りやすく踏ん張ることはできない筈
後は身軽な私は花の足場を一瞬だけ蹴り続けることで空中戦を仕掛け、バランスを崩した相手の攻撃を避けつつ蹴りを叩きこもう


ヴァーリャ・スネシュコヴァ
マニアック…って、相手は知識が豊富ということか?
でも……知識を持っていたとしても、経験していないこと、技術力が足りないこと
敵にはきっとそれがあるはずなのだ

敵には氷の【属性攻撃】で作った氷塊を、真正面からぶつけにいく
多分敵は熱や炎を使った機械を作って、俺に対抗しようとするだろう
でも、俺には他に武器がある
それは…【フィギュアスケート】!

敵が俺の攻撃を燃やしてる間に、【先制攻撃】と氷の【属性攻撃】で地面をかちんこちんに凍結
『ドラジェの精霊の踊り』により研ぎ澄まされたスケートの技術を駆使し
ターンやジャンプ技で回避
敵を翻弄させ転倒を狙う
転倒したら蹴技で攻撃!

俺の研ぎ澄まされた技術についてはこれまい!



●氷上のダンス
「マニアック……って、つまり知識が豊富ということか?」
「その通りだウキーッ! どんなユーベルコードが来ようが、全部無効化してやるウッキー!」
 調子に乗ったようなエイプモンキーの言葉から、ヴァーリャ・スネシュコヴァ(一片氷心・f01757)は勝機を見出す。
 確かに知識と、相手の動きを見切る眼力はあるのだろうが、それだけでは届かない領域があるはず。そこを突ければ――。
「それじゃこの一手から! 受け止めてみるが良いのだ!」
 ヴァーリャの指先から冷気が踊り、空気中の水分を氷塊へと変えて撃ち出す。
「そんなもの、当たるわけがないウッキー!」
 エイプモンキーは背部にあるジェットを起動し、真正面からの攻撃を飛翔して回避。そのまま低空飛行でヴァーリャへと迫る。
 振り下ろされる拳を、低い姿勢のまま後退してやりすごす。そんな彼女の軌跡には、冷気による霜が白い痕を引いていた。
「ウキ? これは……!」
「舞台は整えた――冷たい踊りでも見てみるか?」
 とん、と指先がもう一度地面を叩くと、霜の降りていた花の足場に一面の氷が張る。着地したエイプモンキーの居場所も含めた一帯のスケートリンクに、ヴァーリャハ滑らかに踏み出した。
 瞬時に靴裏にブレードが形成され、氷の上でステップ。この華麗なダンスこそが彼女の用いる『ドラジェの精霊の踊り』、だが。
「ウキキッ、素晴らしい身のこなし、だがその動きはスケートに類するものと見たウキーッ!」
 エイプモンキーはそのユーベルコードに対して、自らもユーベルコードを放つ。がちゃこん、と音を立てて背負っていたシェットの噴射孔が形を変えた。
「ならば、ミーはこのマニアックジェットを変形させ、火炎放射器に! ミーの周りの氷を融かしてしまえばどんな動きでも届かないだろうッキー!!」
 炎と、それに伴う熱風がエイプモンキーの足元へと噴射され、怪人を中心に氷の領域が失われる。燃え盛る炎と次々に生み出される花の足場が拮抗する中、エイプモンキーの高笑いが響いた。
 ヴァーリャが氷の領域を広げるスピードよりも、あんななりでも幹部クラスであるエイプモンキーのユーベルコードの方が出力は上だ。このままでは、足元の奪い合いはエイプモンキーの勝利に終わるだろう。
 しかし。
「ヴァリちゃん、ちょっと頭下げててー!」
 炎の噴射音に紛れて聞こえたそれに、彼方からのエンジン音が重なる。
 坂になっていた足場を駆け上がり、走ってきた宇宙バイクがそのままの勢いでジャンプ。
「な、何事ウッキー!?」
 乗っていたライダー……アメリア・イアハッター(想空流・f01896)は上空でバイクから跳びあがり、一回転してエイプモンキー目掛けて降下する。
「先へと行くためにそこを通してもらうわよ、さるさる!」
 目印の赤い帽子を押さえた彼女の身体から、こちらも冷気の波が迸る。
「不可視の氷魔法! だが既に対策は出来ているから問題ないウッキー! ここまでの戦いで温まったマニアックジェットの熱量を以てすれば、ミーのボディが氷の影響を受けることなどありえないウッキー!!」
 拳と掌の合わさる至近距離で、アメリアの身から放たれるのは『フリージングデス』。氷属性の高威力無差別範囲攻撃だ。
 エイプモンキー自体に対してはほぼ効果がないようだが、しかし。炎によって消し去られていた氷の領域が、また一瞬にして蘇る。
「さあ、この足場で戦えるかしら!?」
「甘いウッキー! 足元がいくら凍り付こうが、ジェットで飛んで回避してしまえば何の問題もないウキー!」
 再度の加熱よりも、目の前の敵からの攻撃に備えるために、エイプモンキーは不確かな氷の足場から飛び上がる。だが既に、アメリアがその上を取っている。
「甘いのはそっちよ! 空中戦で私に勝てると思った?」
 言うまでもない、空は卓越した空中戦技術を持つ彼女の領域だ。
「な、なんだとウッキー!?」
 上昇しながらのエイプモンキーの拳を足裏で受けて、蹴り上がるついでにベクトルを歪めてやる。この辺りは、そう、ヴァーリャの考えた通り、知識だけでは及ばない世界だ。
 空中で姿勢を崩したエイプモンキーを踏みつけて、凍った足場に叩き付ける。
「ヴァリちゃん!」
「任せるのだ!」
 冷気の奔流を高い氷耐性で凌いでいたヴァーリャが、それに応えた。迫るヴァーリャの姿に、慌てて体勢を立て直すエイプモンキーだが――。
「う、ウキャーッ! す、滑るウキーッ!!」
 重い身体を氷の上で上手く制御できず、構えることにすら手間取っている。
「見たところ、経験も技術も足りてないな! 出直すと良いのだ!」
 知識は大事だ。だが身体で得たものが伴わなければ、本物には敵わない。伸ばされた腕を、薙ぎ払われた炎を、巧みなステップとジャンプですり抜け、ヴァーリャはさらに足払いを加えてやる。
「研ぎ澄まされた技術についてはこれまい!」
 転倒したエイプモンキーを翻弄するようにフェイントを利かせて、迫る。
「さあ、これでとどめよ!」
 そして、もう一度降ってきたアメリアの上空からの一撃と、氷上での鋭いターンで遠心力を乗せたヴァーリャの回し蹴りが、同時にエイプモンキーを貫いた。
「ウキィィ、今度はスケートの練習が必要だウッキー……!」
 負け惜しみのような、恨みがましさが残るような、そんな言葉を落としながら、力尽きたエイプモンキーは骸の海へと帰っていった。
「やったね!」
「協力、感謝するのだ!」
 霜と氷で白く染まった花畑で、二人は互いの健闘を讃え合う。
 ――あの強力な力を持つオブリビオンは、まだ骸の海から戻ってくるのかもしれない。しかし、少なくとも、この場の戦いを制したのは、猟兵達の側だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月11日


挿絵イラスト