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バトルオブフラワーズ⑨〜激突するイマジネーション

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #エイプモンキー

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「も、もうここまで来たウッキー!?」
 ザ・ステージ陥落の報を受け、驚愕の叫びを上げるのは、ロボットのようなスーツを装着したサル顔の怪人。
 咲き乱れる花々の空間の中を転々としていたマニアック怪人『エイプモンキー』は、されど襲来する敵の影を見るやすぐさま落ち着きを取り戻し、立ち上がった。
「しかし、こっから先は通さないウッキー! どんな能力を使ってこようと、ミーのマニアック知識とユーベルコードの力で、全部返り討ちにしてやるウッキー!」
 彼は自身のユーベルコードが、自分自身のマニアックな気質と極めて相性がいいことを知っている。
 だからこそ、彼は絶対の自信を持って、迫り来る猟兵を迎え撃つのであった。


「バトルオブフラワーズへの参戦に感謝します。リムは現在の戦況を報告します」
 グリモアベースに集った猟兵たちの前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(人間の精霊術士・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「皆様の活躍によって、6つの『ザ・ステージ』は制圧され、キマイラフューチャーの中枢である『システム・フラワーズ』への道は開かれました。ここを守るのはオブリビオン・フォーミュラに仕える怪人幹部たち。その第一の関門として立ちはだかるのはマニアック怪人『エイプモンキー』です」
 怪人幹部はいずれも強大なオブリビオン。だが、これを撃破しなければシステム・フラワーズを占領せんとする『ドン・フリーダム』の元へは辿り着けない。
 ここからが今回の戦争の正念場とも言えるだろう。

「システム・フラワーズの内部は『咲き乱れる花々の空間』で、花々が集まって足場になる仕組みになっています。エイプモンキーが存在する限りは、全ての『花の足場』がエイプモンキーに繋がる上、その先に進む道は出現しません」
 つまり、エイプモンキーを迂回してフォーミュラの元へ向かう方法はなく、交戦は不可避ということだ。
「エイプモンキーは『自らの想像力が及ぶ限りのあらゆるものを創造できる能力』を持ち、この能力でを利用して猟兵のユーベルコードを無効化して、一方的に攻撃するような戦闘を行ってきます」
 常に猟兵の機先を制して繰り出されるこの戦術には、こちらもただユーベルコードを使用するだけでは対抗できない。
「必要となるのは、敵の想像力を上回る想像力です。エイプモンキーが自分のユーベルコードに対抗して創造した武器や戦術を、マニアックな理論やアイデアで回避して、攻撃を命中させる。これがエイプモンキー撃破のカギとなります」
 エイプモンキーが予想だにしないようなマニアックな理論であればあるほど、その対抗策の成功率は高くなる。ご自慢のマニアック知識にすら存在しないような超マニアック知識に基づくトンデモ戦術を叩き込んでやるのだ。

 マニアック怪人エイプモンキーは強大なオブリビオンである。猟兵の戦術が上手く嵌って撃破に成功しても、完全に力尽きるまで骸の海から蘇る力を持つ。
「ですが、短期間に許容値を超える回数倒されれば、もはや復活は不可能となります」
 何度でもシステム・フラワーズに出現するエイプモンキーに挑み、他の猟兵のチームと合わせた撃破数が一定に達すれば、この怪人を完全に撃破できるはずだ。
「決して侮れない強敵ですが、キマイラフューチャーを救うためには避けて通れない相手です。どうか覚悟の上で挑んでください」
 リミティアは真剣な眼差しで猟兵たちを見つめて、手のひらにグリモアを浮かべる。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 本シナリオの攻略目標は「⑨マニアック怪人『エイプモンキー』」となります。
 困難な闘いが予想されますので、以下の注意事項にも目を通したうえで、失敗の覚悟の上で挑戦してください。

 エイプモンキーは、猟兵が使用するユーベルコードの設定を元に、そのユーベルコードを無効化する武器や戦術を創造し、回避不能の先制攻撃を行ってきます。
(ユーベルコードで無効化したり相殺した後、強力な通常攻撃を繰り出す形です)
 この攻撃は、ユーベルコードをただ使用するだけでは防ぐことは出来ません。
 この先制攻撃に対抗する為には、プレイングで『エイプモンキーが自分のユーベルコードに対抗して創造した武器や戦術を、マニアックな理論やアイデアで回避して、攻撃を命中させる』工夫が必要となります。
 対抗するためのプレイングは、マニアックな理論であればあるほど、効果が高くなります。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『マニアック怪人『エイプモンキー』』

POW   :    マニアックウェポン
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【敵に有効なマニアックな装置】が出現してそれを180秒封じる。
SPD   :    マニアックジェット
【敵のユーベルコードを回避する装置を作り】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:柿坂八鹿

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シズホ・トヒソズマ
※アドリブ、連携OK

【POW】

出ましたね猿猿怪人!
故郷の危機、ヒーローたる私が救います!

UCで自身を縛り、ベルトの翼で飛翔し敵に迫ります
対抗手段を展開してきたら、【早業】で【操縦】したユングフラウの蓋を開き、予め内部に溜めておいたローションを私の全身にぶっかけ、ベルト全てにも行き渡します

『ああ、ローションで私のぴっちりスーツが締まって更にベルトの締め付けがっ♪ これで貴方の対策を、ベルトを切ろうとするとかはローションで絡め、止めようとする物は快楽増加により想定以上に加速したスピードで振り切る!これぞ、ローションぴっちり理論!』

【空中戦】で迫り、シュヴァルツヴィアスの【呪詛】三呪剣を叩き込みます



●マニアック違いでは?
「出ましたね猿猿怪人! 故郷の危機、ヒーローたる私が救います!」
「キッキッキー! 怪人がヒーローに負ける展開はもう古いウッキー!」
 咲き乱れる花の空間に立ちはだかる怪人を見るや、真っ先に飛び出したのはシズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)。
 不敵に笑みを浮かべるエイプモンキーを見据え、花の足場を一直線に突っ切りながら、ユーベルコード【全身帯巻闘装】を発動する。
「集まれば拳にも剣にも翼にも! 意志持つ帯よ、私を縛りあげなさンンー! やはりこの動けないくらいのきつさが堪らない!」
 無数のベルトが彼女の体を繭のように覆い、ギュッときつく拘束する。身動きひとつできないほどの緊縛状態でシズホは恍惚の表情を浮かべながらベルトを翼のように操り、凄まじいスピードで飛んでいく。

「なるほど、自分を緊縛することで得られる被虐的快楽を力に変えているッキーね? ならこいつを食らウッキー!」
 その手のプレイのマニアックな知識もご存知らしいエイプモンキーは、何かの液体が満載されたタンクと、それに繋がる放水装置を創造する。
「コイツから放射される溶解液は、生肌を一切傷つけることなく、衣類や装身具だけど溶かすウッキー。つまり、お前にダメージによる被虐的快楽を与えることなく、ベルト緊縛を解除できるウッキー!」
 一体彼がどんなマニアックな知識からこの武器を創造したのかは触れないでおく。

 勝利を確信した表情で、エイプモンキーはホースから衣類だけ溶かす都合のいい溶解液を発射する。
 このままではベルトを解除されてしまう――そう思われた刹那、シズホは恍惚とは異なる表情でにやりと笑った。
「今です、ユングフラウ!」
 彼女の叫びに応えて飛んできたアイアンメイデン型の戦闘人形が蓋を開く。その中から溢れ出したのは――大量のローション。
「な、何ィッ?!」
 驚愕するエイプモンキーの前でベルトの上からローション塗れとなるシズホ。
「ああ、ローションで私のぴっちりスーツが締まって更にベルトの締め付けがっ♪ これで貴方の対策を、ベルトを切ろうとするとかはローションで絡め、止めようとする物は快楽増加により想定以上に加速したスピードで振り切る!」
 丁寧に自分の状態を説明しながら、迫真の表情でドンッ! と彼女は叫ぶ。
「これぞ、ローションぴっちり理論!」
「な、なんてマニアックなヤツだウッキー?!?!」
 さしものマニアック怪人もこれにはドン引――もとい、戦慄せざるを得なかった。

 絵面としてはスゴいが、シズホの対策は実際有効ではあった。
 ベルト全てにも行き渡ったローションはさながら保護液のように溶解液からベルト(と、本体であるマスク)を守り、快楽の増加によって加速したシズホは降り注ぐ溶解液の嵐を掻い潜っていく。
「行きなさい、シュバルツヴァイス!」
 エイプモンキーの懐に飛び込んだシズホと共に、三本腕の騎士人形が、過去を切り裂く三呪剣を振るう。その刃はエイプモンキーのアーマーを深々と貫き、その本体までダメージを与えた。
「ぐぬぬ……やってくれたウッキー!」
 そのままローションぴっちり状態で急速離脱していくシズホを、歯噛みして睨むエイプモンキーであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

喰龍・鉋
ボクのUCはShadowLine!光速で対象を追い、
周囲を爆破してその破片をつなぎながら敵を物理的に身動きが取れなく出来る技だよ!
それよりも更に速く動くか、飛散しない物質を利用されたら効力は全く失われるけど、忘れてないかい?
移動している影はボクの生きる剣である大五郎だ!
ボクですらどうなるかわからない剣の気まぐれにすべてを任せる!
ボクはこの剣に使い方を教わりながら戦ってきた
つまり、彼自信の本質はボクですら未だ見たことがない!
その光速に身を乗せたまま、飛びついて捕食なり生命力吸収なり、なんなり
お前のしたいようにしろ大五郎!!



●覚醒(?)大五郎
「ボクのユーベルコードは【ShadowLine】! 光速で対象を追い、周囲を爆破してその破片をつなぎながら敵を物理的に身動きが取れなく出来る技だよ!」
 続いてエイプモンキーの前に現れたのは、黒剣「大五郎」を構えた喰龍・鉋(楽天家の呪われた黒騎士・f01859)。あえて自らの技を説明したのは、その対策へと敵の意識を誘導するため。
「キミには、見え無いと思うけど、どう対策する?」
 そう言った瞬間、大五郎は巨大な影へと姿を変え、矢のように標的目掛けて襲い掛かる。文字通り目にも留まらぬその速度に、エイプモンキーは避ける間もなく爆発に飲み込まれる。

 だが。
「舐めて貰っちゃ困るウッキー!」
 爆煙を振り払って姿を現したのは、アーマーの表面こそ焦げはしたものの、ほぼ無傷のエイプモンキー。
「こんなこともあろうかと、アーマー内に耐爆ジェルを仕込んでおいたウッキー!」
 仕込んでおいたと言いつつ実際は今創造したのだが。粘度の高いジェルによって爆発の衝撃は吸収され、さらに破片もジェルが吸着することで飛散を防いでいる。
「このエイプモンキー様の想像力をもってすれば、この程度の対策たやすいウッキー」
 ドヤ顔で挑発するマニアック怪人。だが、まだ鉋の表情に焦りはなかった。

「確かに飛散しない物質を利用されたらユーベルコードの効力は全く失われるけど、忘れてないかい?」
「何をだッキー?」
「移動している影は、ボクの生きる剣である大五郎だ!」
 鉋が叫ぶのとほぼ同時に、一度は突き抜けていった大五郎が、エイプモンキーの背後から襲い掛かった。
 そう、大五郎は自らの意思を持ち、あらゆる生物の血を啜り、成長と変質を続ける生きた呪剣。その本質は宿主である鉋ですら未だ見たことがない。
 これまでは鉋が大五郎に、その使い方を教わりながら戦ってきた。だが今はあえて、その手綱を解き放つ。
「ボクですらどうなるかわからない剣の気まぐれにすべてを任せる! お前のしたいようにしろ大五郎!!」
 宿主に判断を委ねられた大五郎は、巨大な影からさらに異形の――鉋が見たこともないような禍々しい魔剣へと姿を変え、その光速に身を乗せたままエイプモンキーに突き刺さった。

「――確かにこれは意表を突かれたウッキー。だが他剣任せは感心しないウッキー」
 ポタリ、ポタリとエイプモンキーの体から血が流れる。だがその傷は深いものではなかった。
 アーマー内に充満されていたジェルと、何よりエイプモンキー自身のパワーが、大五郎の刃を受け止めていたのだ。
「舐めて貰っちゃ困ると、言ったはずだウッキー!」
 マニアック怪人エイプモンキー。怪人幹部の肩書きは伊達ではなく、大五郎がどれほどもがいてもその両腕はビクともしない。
「出直してくるウッキー!!」
「ああっ、大五郎ーっ!」
 ガツン、と強力なパンチを食らった大五郎は花の空間のどこかへ吹っ飛んでいき、慌てて鉋はそれを追っていくのだった。

「……とはいえ、結構ギリギリだったッキー……猟兵、思ったより侮れないヤツらだウッキー」
 あと少し反応が遅れれば深手となっていたであろう傷をさすりながら、エイプモンキーは敵への警戒度を少し高めるのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

エメラ・アーヴェスピア
また嫌な強敵ね
あまり突飛な発想は、思いつくことができないから私には厳しいかもしれない
それでも猟兵としては、挑まなくてはいけないわ

それじゃ行くわよ。『この場は既に我が陣地』
死角が存在しない様に【地形の利用】をして配置
…確かにこのUCには明確な弱点が存在するわ
でも、その数の力によって死角は無くすことができる
それと、私に攻撃しても攻撃は続行されるから、そのつもりで
それでも何とかしてくるようなら、砲台を爆破するのもアリね

…マシンではなく、ウェポンを出されていたら…
「反撃」ではなく、「行動」を行うマシンなら負けていた
貴方は自らの知識に驕り、UCの選択と言う判断を間違えたのよ…!

※アドリブ・絡み歓迎



「また嫌な強敵ね。あまり突飛な発想は、思いつくことができないから私には厳しいかもしれない」
 想像したあらゆるものを創造するという敵のユーベルコード。その対応に苦慮しながらも、ここで退くという選択はエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)には無かった。
「それでも猟兵としては、挑まなくてはいけないわ」
「その意気やよし、だが返り討ちだウッキー!」
 対するエイプモンキーは堂々たる構えで、彼女の挑戦を迎え撃つ。

「それじゃ行くわよ」
 エメラが発動するのは【この場は既に我が陣地】。彼女を中心とした花の戦場に、大量の魔導蒸気砲台が召喚され、一分の隙間もない完璧な砲撃陣地が瞬く間に完成する。
「……確かにこのユーベルコードには明確な弱点が存在するわ。でも、その数の力によって死角は無くすことができる」
 彼女が言うとおり、戦場の地形を考慮して配置された大量の砲台は互いの死角をカバーし合うようになっている。上空からの攻撃にも対応できるよう高射砲の配置も万全だ。
「それと、私に攻撃しても攻撃は続行されるから、そのつもりで」
「なら正面から撃ち破るまでだウッキー。蒸気機関なんて過去の遺物、時代は内燃機関だウッキー!」
 対するエイプモンキーが自らの知識から創造したのは、火砲とガソリンエンジンを搭載した戦車部隊であった。

「撃滅しなさい」
「行くでウッキー!」
 エメラの号令と同時に砲台が一斉に火を噴く。負けじとエイプモンキーの戦車部隊も反撃の砲撃を放つ。双方の火力はほぼ互角。しかし堅固な防御体制を整えたエメラの陣地に、戦車部隊が付け入る死角はないように見えるが……。
「その砲台一つ一つの強度は大したことがないと見たウッキー。破壊されたそこが"死角"となるウッキー」
 砲弾が命中し砲台が破壊された箇所に火力を集中させていくエイプモンキー。緻密に計算された防御網は、一点に綻びが生じると全体が崩壊しかねない。
 もちろんエメラもその弱点を承知しており、砲台の配置を変更して対処しようとするが、敵部隊の展開と侵攻の方が早い。

「蒸気機関式の砲台と、内燃機関式の戦車。どちらが機動力に優れているかは一目瞭然だウッキー!」
 勝ち誇りながら陣地に生まれた死角へと戦車部隊を突っ込ませるエイプモンキー。
 窮地に立たされるエメラだが、彼女はこうした事態も想定済みだった。
「それなら、こうするしかないわね」
 敵戦車がすべて砲撃陣地に踏み込んだのを見計らってエメラが合図を出すと、轟音を上げて残されていた砲台が一斉に自爆した。
「ッキー?!」
 エイプモンキーは咄嗟に脱出したことで大したダメージはないようだが、彼の創造した戦車は一両残らず自爆に巻き込まれ、大破する。
 結果としては痛み分けといったところか。

「……マシンではなく、ウェポンを出されていたら……『反撃』ではなく、『行動』を行うマシンなら完全に負けていた」
 エメラは冷静に告げる。行動の無効化ではなく相殺を狙った敵の戦術ミスを。
「貴方は自らの知識に驕り、ユーベルコードの選択と言う判断を間違えたのよ……!」
「くっ、確かに……同じ土俵で上回ることに意識が向いてしまったウッキー……!」
 それは自信の能力に絶対の自信を持つ彼の、"驕り"という名の弱点であった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ネムネ・ロムネ
※アドリブ歓迎

ちょうど火器のメンテが終わった所です
弾は十分に取り寄せました
見せてやりましょー
ネムの持つ全ての火器、『交渉道具』を
ステージには間に合わなかったですけど
ここからはネムに任せて下さい

負けねーです


敵に降らせるのは弾丸の雨
UCを使い制圧を試みるのです
ガトリングガンを
狙撃銃を
バズーカを
拳銃を
予備のガトリングガンも起用するのです
相手に休む間を与えないつもりで

でもわかっているのです
このUCの弱点は接近される事
肉薄されての白兵戦には無力
でも構いません
敵にネムの火器を『覚えさせる』まで

来たですね?ネムを捕まえに

ならお渡しするのです
ぬいぐるみで偽装した手榴弾と袖に隠していたナイフの一撃
ムクごめんね



「ちょうど火器のメンテが終わった所です。弾は十分に取り寄せました」
 敵のユーベルコードに苦戦を強いられながらも、少しずつダメージを蓄積させていく猟兵たち。そこに姿を現したのはネムネ・ロムネ(移植された心・f04456)。
「見せてやりましょー、ネムの持つ全ての火器、『交渉道具』を」
 小柄なその身に幾つもの銃火器を携え、ここからはネムに任せて下さい、と彼女は力強く宣言する。

「タダの銃弾でミーを倒せるつもりなら、やってみるがいいウッキー!」
「ん。負けねーです」
 ズシン、と不敵に一歩踏み出すエイプモンキーに照準を合わせ、ネムネはトリガーを引き絞る。降り注ぐのは弾丸の雨。先ずはガトリングガンによる掃射で足を止め、弾が切れたら即座に狙撃銃に交換して、四肢を狙う。
「おおっと、危ないウッキー」
 重厚なアーマーに見合わぬ身軽さで弾丸を避けるエイプモンキー。だが、避けた位置にはバズーカの砲弾が飛来する。
「ッキー?!」
 咄嗟に防壁を創造して砲弾を防ぐ。その間にネムネは片手で拳銃を連射して牽制しつつ、空いた手で予備のガトリングガンに弾薬を詰め、再び制圧射撃を開始する。
 相手に休む間も与えない火砲の嵐。それがネムネのユーベルコード【ストームダンサー】だった。

「確かに凄い銃撃だウッキー……だがここまで執拗にミーを近付けさせないのは、接近戦が苦手だと言っているようなものだウッキー!」
 弾幕から距離を取ったエイプモンキーの傍に奇怪なマシンが創造され、彼の周辺の空間が歪む。
「ワームホールを知ってるウッキー? 離れた二点を繋ぐ空間の虫食い穴。ミーのユーベルコードはそれさえ創造するウッキー!」
 歪みの中に飛び込んだ怪人は、空間を越えて瞬時にネムネの背後に姿を現した。

「これで捕まえたウッキー♪」
 勝利を確信したエイプモンキー。だが、振り返ったネムネの表情は普段と変わりなく――。
「来たですね? ネムを捕まえに」
 その手には銃ではなく、ブタのぬいぐるみが抱えられていた。
 ネムネの狙いは敵に自分の火器を『覚えさせる』ことで、他の攻撃手段から意識を逸らさせること。
「ならお渡しするのです」
 ムクごめんね、と心の中で謝りながら、ぬいぐるみで偽装された手榴弾が、転移してきたエイプモンキーの間近で炸裂した。
「ウッキィィィィィィ?!」
 爆風と飛び散る破片が怪人を襲う。すかさずネムネは袖に隠していたシースナイフを抜き放つ。
 手榴弾で破損したアーマーの亀裂に、強化魔術を施した純金の刃が突き刺さり、怪人の身体を引き裂いた。

「ぐぅ……ッ! 思い切ったことをするヤツだウッキー……!」
 傷口を押さえながらぐらり、と後退するエイプモンキー。だが、至近距離で手榴弾の爆発を受けたのはネムネも同じ。ぬいぐるみのムク共々彼女も傷だらけだった。
 有効打を与えたことを確認すると、ネムネ残りの弾薬を使い切りながら前線から後退する。この戦いが勝利に繋がることを信じて。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ヴィサラ・ヴァイン
ゴルゴンは古典的な怪物だし【メドゥーサの魔眼】を鏡で跳ね返したり古典的な対策が有効です
死角から反撃するマシンと組み合わせると…鏡張りのビットを用いたオールレンジ攻撃でも来るのかな
死角からの攻撃は《ヴィサラの心眼》と[第六感]で感知して回避
敵本体を直接魔眼で反撃するには、鏡張りのビットが邪魔だね…
先に[目立たない]ように別の所を鏡のように滑らかに石化し、本命の【メドゥーサの魔眼】を反射させエイプモンキーを石化させるよ
[恐怖を与える]事で《魔眼『コラリオ』》を強化!
角度の計算は[第六感]で!
「この魔眼とは、生まれてからの付き合いなんです。弱点もよく理解してるつもりです」



「ムムム、まさかミーがここまで手を焼かされるとは……だが、ミーの最強能力がある限り、猟兵恐るるに足らずだウッキー!」
「なら、恐れさせてみせます」
 負傷を重ねつつも、今だ自信を揺らがせないエイプモンキーの前に現れたのはヴィサラ・ヴァイン(魔女噛みのゴルゴン・f00702)だった。
「あまりこっちを見ないでくださいね」
 味方に向けて警告しながら、彼女が放つのは【メドゥーサの魔眼】。神話の怪物たるゴルゴン、その代名詞とも言える石化の力が怪人を襲う。

「ふっ。甘いでウッキー!」
 にやり、笑みを浮かべたエイプモンキーが自らの前に創造したのは、全体をミラーコーティングされたビットの群れ。
「ミーの知識に抜かりはないウッキー。ゴルゴン、バジリスク、コカトリス。古典的な魔眼を持つ怪物への対策には、古典的な手段が一番だウッキー!」
 鏡に反射された石化の視線は、さらに幾つものビットを経由して死角からヴィサラ自身を襲う。その身に備わった心眼と第六感によって反射的に身を翻したヴィサラのすぐ足元の花が、冷たい石の塊に変わった。
「おっと、角度の調整が甘かったウッキーか? だがこれでお前の能力は封じたウッキー」
 ビットを展開したままゆっくりと距離を詰めていくエイプモンキー。神話においてメドゥーサを討ったというペルセウスの如く、その手には鎌のような刃を持つ剣が創造されている。
「これで終わりだウッ、キー……?」
 だが、剣を振り上げたまさにその時、彼の歩みが突如として止まった。

「何だ? 足が、動かないウッキー?!」
 足元に視線を向けたエイプモンキーは、自らのアーマーの脚部が石化しているのを見て愕然とする。
「バカな?! 魔眼はこのビットで防いだハズだウッキー!」
 何をされたのかと辺りを見回した彼は、戦場の片隅で目立たないように咲いていた一輪の花が石化しているのに気付く。石化した花の表面はとても滑らかで――まるで鏡のように周囲の景色を映している。
「ッ! まさか、魔眼を利用して石の鏡を作ったウッキー?!」
 そう。ヴィサラはビットの盲点となる位置に石鏡を作り上げ、それに視線を反射させてエイプモンキーを石化させたのだ。

「この魔眼とは、生まれてからの付き合いなんです。弱点もよく理解してるつもりです」
 少し得意げな様子でヴィサラが言う。彼女はエイプモンキーの採った古典的な対策を熟知したうえで、その裏をかいてみせたのだ。
「こ、これが本物のゴルゴンなのかウッキー……?!」
 戦慄するエイプモンキー。彼の抱いた負の感情を糧として、ヴィサラの魔眼『コラリオ』はさらに輝きを増して標的を蝕む。
「クッ。アーマーパージだウッキー!!」
 これ以上魔眼の力に侵蝕される前に、慌てて怪人は石化した装甲の部位をパージする。内部にいる本体は無事なようだが、アーマーの防御力は大幅に下がっただろう。
 ゴルゴンを侮った代償は高くついた。歯噛みするエイプモンキーは猟兵たちへの警戒度をさらに上昇させるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒城・魅夜
影を縫うことで相手の意思と技と動きを奪う力。
逆に言えば、影がなければ無力です。

無数のドローンに自分を強烈に照らさせることで己の影を消し、死神札が縫うべき対象をなくした、という、あなたの対応は、まさにその欠点を見事に付いたもの。
確かに凄まじい光です。
あなた自身の視力は大丈夫なのですか?
ああ、サングラスをしていますものね。だから、眩しくない、と。

「サングラスが影になっている」から。

ええ、そうです。
サングラスが影を落としているその場所こそが、私の死神札の狙い。

それはサングラスの影で、あなたの影ではありませんから、動きを封じることはできません。

しかし、いかがですか?
――目を撃ち抜かれた気分は。



 猟兵たちの猛攻によってエイプモンキーはじわじわとその守りを剥がされ、表情には焦りが見え始める。そこに息を吐く間も与えず、次なる猟兵が強襲をかける。
「罪深きものよ嘆け、汝の影は汝を見放し我が寵愛に歓喜する」
 静かに標的を射程に捉えた黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)が放つのは【背徳の媚態を示せ裏切りの影】。怨念を宿したジョーカーのトランプ――死神札が咎人たる怪人を襲う。

「ウキッ!!」
 しかしエイプモンキーもさるもの、自らの経験と知識から一瞬のうちに魅夜のユーベルコードを見極め、対抗するマシンを創造する。戦場には投光機を搭載した無数のドローンが現れ、強烈な白光でエイプモンキー自身を照らしだした。
「……なるほど、敵ながらお見事です」
 敵の行動の意図を理解した魅夜は、その対応の早さに僅かな感嘆を込めて呟く。
「確かに私の技は、影を縫うことで相手の意思と技と動きを奪う力。逆に言えば、影がなければ無力です」
「ウッキッキー。その通りだウッキー」
 エイプモンキーは様々な角度からドローンに自分を照らさせることで己の影を消し、死神札が縫うべき対象を消し去ったのだ。
「咄嗟のことであんまりマニアックなものを作れなかったのは残念だウッキーが……これでお前の能力は封じたウッキー!」
 得意げに語りながら、光を浴びたまま魅夜に襲い掛かるエイプモンキー。その鋼鉄の豪腕は華奢な少女の身体を一撃で打ち砕くかに思われた。

 ――しかし魅夜は落ち着き払ったまま、迫るエイプモンキーに尋ねる。
「あなた自身の視力は大丈夫なのですか?」
「フッ、ミーのこいつが見えないのかウッキー?」
 嘲笑うように口元を歪めながら、とんとんと顔のサングラスを示すエイプモンキー。その答えに魅夜は、我が意を得たり、とばかりに微笑み。
「ああ、サングラスをしていますものね。だから、眩しくない、と」

「『サングラスが影になっている』から」

「――――ッ!!!!」
 その一言で、エイプモンキーが全てを理解するのに十分だった。そして理解した時にはもう遅い。
「ええ、そうです」
 敵が拳を振り下ろす刹那の差で、再び魅夜が投じた死神札は、エイプモンキーの"サングラスが"影を落としている場所を貫いた。
 その場所こそが、彼女の死神札の真の狙いだったのだ。

「それはサングラスの影で、あなたの影ではありませんから、動きを封じることはできません。しかし――」
「ウッギィィィィィィィィィィィィィィ?!?!」
 耳を劈くようなエイプモンキーの絶叫が、戦場に響き渡る。ナイフのごとく鋭利な死神札と、それに縫われることで魅夜の意に染まったサングラスの影は、魅夜の狙い通りにエイプモンキーに牙を剥いた。
「いかがですか? ――目を撃ち抜かれた気分は」
「よ、くも……やってくれたウッキィィィィィィ!!!!」
 サングラスの下の眼窩からボタボタと血を流しながら、エイプモンキーが叫ぶ。死神札のヒットした方の目は完全に失明しているようだ。
 敵の対策を逆手に取った魅夜の一手は、敵の急所に大きなダメージを刻み付けたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シール・スカッドウィル
さて……【残響】は切断面を燃やすユーベルコードだ。
おそらく、相手はそれを高熱、あるいは単純なエネルギーの塊と見て、水か氷で対処してくると思われる。
が、それは間違いだ。
というか、その対処をされると俺も危ない。
幇の支援効果を<全力魔法>で、必要な範囲に。

【残響】は、確かに高エネルギーの圧縮体だ。
だがそれは、単純な熱ではなく、絶えず動き続ける電子運動によるものだ。
固定化したビームとでも言えばいいか。
制御下にあれば問題ないが、変に干渉しようとすると、エネルギーがそこら中に散らばって形を維持できなくなり、指向性を持たない全方位攻撃と化す。

支援効果は、反射と絶縁。
守りきれば、それがそのまま攻撃になる。



「グ、ウゥゥゥッキィィィ……!!」
 眼と視力の半分を奪われてよろよろと後退するエイプモンキー。その機を逃すまいと追撃を仕掛けるのはシール・スカッドウィル(ディバイダー・f11249)。
「行くぞ」
 友たる精霊が変じた三叉剣「インクナビュラ」と護剣「ディムライト」を構える彼には、ユーベルコード【残響】によって創造された蒼い浮遊刃が追従し、周囲の花々を焼き切りながらエイプモンキーに襲い掛かる。

「ッ……舐めるんじゃないウッキー!」
 隻眼となった怪人は、シールの能力を高熱を発する高エネルギー体だと判断し、即座にそれに対抗するマシンを創造する。出現したのはまるでスペースシップワールドの熱線銃を大型したような、巨大な光線砲だった。
「レーザー冷却、という技術を知っているかウッキー? 緻密に制御されたレーザー光を照射することで原子の運動速度を低下させ、物質を冷却する技術だウッキー」
 エイプモンキーが創造したのはその技術を応用した、言わば冷凍光線砲である。
「コイツでお前の攻撃をカチンコチンに冷やしてやるウッキー!」
 自信たっぷりに照射された光線が、飛び交う蒼い浮遊刃をまとめて薙ぎ払う。

 エイプモンキーはこれでシールのユーベルコードを相殺したつもりだったのだろう。だが、その結果は彼の予想外のものだった。
「ウ、ウキキッ?!」
 冷凍光線を浴びた浮遊刃は、熱を失って消滅するのではなく、弾けて周囲に蒼い炎を撒き散らしたのだ。
 飛び散る蒼炎の火の粉から、慌てて距離を取るエイプモンキー。
「な、なんでこうなったウッキー?」
「貴様はそれを高熱、あるいは単純なエネルギーの塊と見て対処したのだろうが、それは間違いだ」
 支援魔法を付与した「幇」のカードを自分に当てつつ、シールが種明かしをする。
「【残響】は、確かに高エネルギーの圧縮体だ。だがそれは、単純な熱ではなく、絶えず動き続ける電子運動によるものだ。固定化したビームとでも言えばいいか」
 シールが制御することによって、刃の形に固定されたエネルギーの塊。それが【残響】の正体だった。
 その電子運動に外部から干渉すればどうなるか。エネルギーがそこら中に散らばって形を維持できなくなり、指向性を持たない全方位攻撃と化すのだ。

「冷却ではなく、ビーム対策が正解だったウッキーか……!!」
 相手の能力を見誤ったエイプモンキーは悔しそうに歯噛みするが、時すでに遅し。冷却光線によって安定を失った浮遊刃は次々と爆発し、無秩序な破壊を巻き起こす。
 シールは「幇」に付与していた反射と絶縁の魔法によって、もはや自分にも制御できない蒼炎から身を守る。魔力の膜に反射された炎は、その勢いのままにエイプモンキーへと襲い掛かる。
「ぐ、グアァァァァァァァウッキィィィィィィ!」
 暴走するエネルギーにその身を焼き焦がされる怪人。その姿から当初の絶対的な自信と余裕は、もはや失われていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
人々を護る騎士としてキマイラFの安寧の為、押し通らせて頂きます、エイプモンキー
貴方の想像力を超えてみせましょう

UCで持ちこんだ大型エネルギーキャノン…「エネルギー粒子を散らすバリア装置」で無効化されるとは…

ですがまだ手はあります。攻撃してくる敵を遠隔●操縦する機械馬に横から襲わせ妨害、その隙に装甲内のワイヤーアンカーを発射し●だまし討ち
●ロープワークで拘束し動きを封じて挙動を制限することで攻撃を●見切って●盾受けで防御
拘束の一瞬の隙をつき脚部スラスターを点火して●スライディングするかのように急速接近

●怪力でキャノンを鈍器として振り下ろします
銃は遠距離武器だと思いましたか? 立派な近接武器ですよ



 猟兵のアイデアと工夫を凝らした猛攻の前に、いよいよエイプモンキーは劣勢に立たされ始める。度重なる負傷によって動きが鈍くなり、余裕を失いだした怪人の前に現れたのは、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)。
「人々を護る騎士としてキマイラフューチャーの安寧の為、押し通らせて頂きます、エイプモンキー」
「ここは……通さんウッキー! マニアック怪人の名に賭けて!」
 騎士としての矜持と、怪人幹部の意地が、ここに激突する。

「貴方の想像力を超えてみせましょう」
 そう言ってトリテレイアが構えたのは、この一戦のために持ち込んだ大型エネルギーキャノン。【システム・マルチウェポンマスタリー】を搭載した機械騎士は、目的のためには時に武装と手段を選ばない。
 長大な砲身にエネルギーが収束され、眩い純白の輝きと共に光の奔流が放たれる。
 されど、その標的となったエイプモンキーは冷静だった。
「今度こそ対処は誤らないウッキー!」
 彼のマニアック知識にはSF映画の知識も当然のように含まれる。その中に登場する未来兵器から、エネルギー粒子を散らすバリア装置を創造する。
「"想像の産物"を創造する! それがミーのユーベルコードだウッキー!」
 トリテレイアの放ったエネルギー砲撃は、エイプモンキーの展開した光のバリアに触れた瞬間、まるで花火のように弾けて散った。

 渾身の一撃を無効化されたトリテレイア。
「ですがまだ手はあります」
 撃ち終えたエネルギーキャノンを背部のハードポイントに格納すると、遠隔操縦する機械白馬「ロシナンテⅡ」を呼び寄せ、敵の側面から強襲を仕掛けさせる。
「今度はお馬さんウッキーか?」
 やはりSF映画を元にしたレーザーやミサイル等の超兵器を創造したエイプモンキーが、その照準を機械馬に向ける。敵の注意が逸れた隙を突き、トリテレイアは装甲内からワイヤーアンカーを射出する。
「ムムッ、小癪なウッキー!」
 ワイヤーが絡まり身動きが制限されたことで、エイプモンキーの攻撃の照準はブレ、無作為に周囲を薙ぎ払っていく。
 乱雑に襲って来るレーザーやミサイルの嵐を、トリテレイアは冷静に見切り、重質量大型シールドで受け止める。だが相手はこれでもオブリビオン・フォーミュラ直属の怪人幹部の一人。その火力は彼をして完全には防ぎ切れないほど凄まじい。

 しかしこの機を逃すわけにはいかない。
 自らの損傷に構わず、トリテレイアは脚部スラスターを点火し、花の足場の上をスライディングするかのように急速接近する。
 そしてまだ拘束を振り解けないでいるエイプモンキー目掛けて、背部にマウントしていた武装――すなわちエネルギーキャノンの砲身を叩き付ける。
「それで殴るのかウッキー?!」
「銃は遠距離武器だと思いましたか? 立派な近接武器ですよ」
 平然と告げるトリレテイアの一撃は、しかとエイプモンキーの胴体に直撃し、そのアーマーを大きくひしゃげさせた。

「グゥ……ッ! 確かにちょっと驚いたウッキーが、ミーの想像力を超えるにはまだ足りんウッキー!」
 苦悶の声を上げた怪人は強引にワイヤーを引き千切り、再びSF兵器の照準を合わせる。スラスターを逆噴射するトリテレイアだが、退避にはあと一瞬間に合わない。
 至近距離から放たれたレーザーや銃弾や爆炎が、トリテレイアの全身に更なる損傷を刻む。
「……これ以上の戦闘継続は困難ですか」
 仲間たちに決着を託して、傷ついた機械騎士は前線から後退するのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

オーキッド・シュライン
≪心情≫
・左腕が燃えてますし、炎使いとバレバレでしょう。
・相手は徹底的な炎対策をしてくるはずですわ。
 スプリンクラーとか、雨を発生させる装置とか、消火剤の散布とか
 そのへんでしょうか。
・フェイントで一発地獄の炎のブラスターを撃ちますわ。
 確実に掻き消されるでしょう。
・その後は、破れかぶれの細剣での接近戦を挑む振りをしますわ。
 その際敵の攻撃は踊るような足さばきで残像を残したダッシュで
 攻撃を見切りながら回避しますわよ。無理なら武器受け
・ある程度近づいたら、デンドロビウムを実弾モードに切り替えて
 装置に向けて早撃ちで実弾をぶち込み破壊しますわ
・装置を壊されて炎が解禁されたら力溜めしていたUC発射



 後退する味方の穴を埋めるように、素早く前に出たのはオーキッド・シュライン(絢爛なる豪火・f15793)。
 熱線銃「インフェルノブラスター・デンドロビウム」を握るその左腕は、地獄の炎で煌々と燃え盛っている。
「見るからに炎使いらしいヤツが来たウッキーね」
「やはりバレバレですわね」
 エイプモンキーの指摘を否定することなく、オーキッドはデンドロビウムから地獄の炎の熱線を放つ。
 これが対策されることは想定済み。それを見て出方を決めるための一撃だ。

「そんなので暴れられてココを火事にされちゃ堪らんウッキー。ミーが消火してやるウッキー!」
 挑発的なセリフと共にエイプモンキーが創造したのは、人工降雨発生装置。UDCアースでは今だ実験段階の技術だが、この怪人の知識はその遥か上をいく代物を創造可能にする。
 戦場には突如として滝のような豪雨が降り注ぎ、分厚い雨のカーテンによって熱線の威力は削ぎ落とされ、標的に届くことなく掻き消えた。

「やってくれますわね」
 雨でびしょ濡れになったオーキッドは、苦々しい表情を浮かべながら右手の細剣「フレイムフェンサー カトレア」を構えてエイプモンキーに挑みかかる。その素振りは、炎を無効化されて破れかぶれで接近戦を狙っているようにしか見えなかった。
「ククク、無駄無駄ウッキー」
 エイプモンキーは降雨装置を起動したまま巨大な水鉄砲を創造すると、その照準をオーキッドに向ける。
「コイツの水圧はウォーターカッター級。人間の体なんて簡単に貫くし真っ二つだウッキー!」
 放たれる水の弾幕をオーキッドは踊るような足さばきと俊足で躱し、避けきれないものは細剣の刃で受け流す。しかし敵の攻撃は苛烈であり、接近戦の間合いにはどうしても近付けない。

 ――だがオーキッドの真の狙いは、敵と刃で切り結ぶことではなかった。
 細剣を届かせるには遠いが、銃弾ならば雨による視界不良の中でも十分に狙える距離。そこまで近付いた彼女はデンドロビウムの設定を実弾モードに切り替えて、目にも留まらぬ早業でトリガーを引いた。
 その標的は、この雨を降らせる元凶である、人工降雨発生装置。
「ウキッ?! その銃、実弾も撃てるウッキーか?!」
 これ見よがしに炎の左腕を見せていたことが功を奏したのだろう。エイプモンキーが防ぐ間もなく銃弾は装置のド真ん中に着弾し、バチバチッと激しい火花が上がる。

 激しかった豪雨の勢いが弱まっていく。台風の真っ只中から真夏の夕立レベルに。
 オーキッドにとってやや誤算だったのは、これで雨が完全に止まなかったことだ。
「ふぅ、ちょっと焦ったウッキーが……ミーの創造したマシンは、ただの銃弾くらいじゃ壊れないウッキー!」
 怪人の言う通り、降雨装置は機能を低下しながらもまだ稼動している。だがオーキッドはこれしきの誤算では怯まない。仮に怯んでも表には出さない。
「炎が解禁されたなら十分ですわ」
 デンドロビウムの設定を実弾から再び炎へ。その銃身にあしらわれた花の意匠が紅蓮に染まるのは、ここまでの戦闘中に地獄の炎を十分にチャージしていた証。
「業火絢爛に咲き誇れ! デンドロビウムギガブラスター!!」
 解き放たれた業火はまるで紅蓮の花弁のように火の粉を散らしながら、雨のカーテンに減衰されながらも一直線にエイプモンキーを襲う。
「クッ、ここまで力を隠していたウッキーか!!」
 水鉄砲による迎撃でも抗し切れず、着弾した紅蓮の炎は破損したアーマーの隙間から怪人の肉体を焼き焦がす。
 大打撃とはいかずとも、その負傷は今の彼にとって無視できぬダメージであった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

月鴉・湊
トドメ希望

猿との知恵比べか。おじさん、あんまり頭はよくないからね。知識ではなく経験で勝負させてもらうよ。

UCを使い幻の自分を複数体出し分身するUCと思わせる。
そして幻全員であの猿に暗殺技で襲いかかる。

きっと奴は幻を見抜いてくるだろう。しかしそこに襲いかかるやつらは全員幻だ。そしていきなり後ろから現れ首を狙う。

残念、そいつを防いでも後ろから襲いかかった俺も幻さ。

二重、いや三重の騙し討ち。
本命は俺の持つ銃による攻撃さ。

切り札のこの銃はは今までこの世界じゃあ使ったことはない。
どんなに俺の情報を調べても出てこないだろう。
安心しな。一発で仕留めてやる



「グゥゥゥ……まさか、猟兵がここまでしつこいヤツらだとは予想外だったウッキー……」
 炎が消え、雨が上がる。血肉の焦げる異臭を放つエイプモンキーの前に音もなく姿を現すのは月鴉・湊(染物屋の「カラス」・f03686)。
「猿との知恵比べか。おじさん、あんまり頭はよくないからね。知識ではなく経験で勝負させてもらうよ」
 飄々とした調子で妖刀「影楔」を構えながら、彼はユーベルコード【咎に儚い幻想を映させよ】を使う。
 一人が二人、二人が四人、四人が八人、十六、三十二――黒羽織を纏った男の姿が次々と増えていく。

「これは分身? いや、幻ッキーか! ならコイツの出番ウッキー!」
 一斉に襲い掛かってくる湊"達"の刃を避けながら、エイプモンキーは新しいグラサンを創造した。彼のマニアック知識の粋を集めれたそれは、熱源、音波、重力等様々な反応を検知することであらゆる偽装や幻覚を看破する。
 これで幻の中に紛れた本物を探し出そうとする怪人だったが、その結果は予想外のものだった。
「どれどれ、本物は……いない?! こいつら全員幻だウッキー!」
 そう、湊のユーベルコードは幻を出すだけではなく、自分自身を透明化させる効果もある。幻の自分が現れるのと同時に姿を消した彼は、戦場に潜んだまま機会をうかがっているのだ。

 エイプモンキーが幻を見抜いた瞬間、その背後から鋭い殺気が襲い掛かる。
 いつの間にか忍び寄っていた一人の「湊」が、怪人の首を一太刀で切り落とさんと妖刀を振るう。悟られずに迫り一撃で仕留める、それはまさしく暗殺者としての熟練の技だった。
「ッ……いや、こいつもニセモノだウッキー!」
 殺気に反応して辛くも刃を躱しながら振り返ったエイプモンキーは、グラサン越しにそれも幻であることに気付く。
「殺気を放ったのはワザとウッキーか……とすればコレは本命の攻撃への布石!」
 再び振り返った怪人が、その先に一挺の拳銃を構えた男を"視"るのと、彼が引き金を引くのはまったく同時だった。

 本物の湊が切り札として使用した黒厳炉「宵月」は、この戦闘中は勿論のこと、この世界では一度も使用したことのない武器。たとえエイプモンキーでもその性質の全ては掴めない。
 花の咲き乱れる戦場に合わせた迷彩を施された銃弾は、まるで蛇のように弾道を歪曲させ、標的のアーマーの隙間から肉体を貫いた。
「グゥッ……!」
 胸を押さえるエイプモンキー。彼のグラサンが幻だけでなく透明化も看破できる物でなければ、咄嗟の反応も間に合わずに銃弾は心臓を撃ち抜いていただろう。
「一発じゃ仕留められなかったか」
 傷を負わせたとはいえ暗殺の失敗を悟った湊は、反撃が来る前に即座に後退する。立つ鴉跡を濁さず、まるで最初からそこには誰もいなかったかのような静けさで。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アリス・フォーサイス
ぼくと似たような能力を持ってるみたいだね。これは知恵くらべになるかな。

ぼくのアナロジーメタモルフォーゼの弱点は無機物しか変化させられないってとこだね。となれば、当然、有機物を利用した武器を使ってくるよね。

そこで、ぼくは限界を超えるよ。たしかに有機物は変化させられない。でも、原子単位で考えたらどうかな。炭素原子そのものは無機物だからね。だからぼくはまず、原子単位で物質変換させる。そうなれば分子は形をたもっていられない。そこからさらに変換を重ねていき、こちらの兵器、改良型パンジャンドラムに変えて突撃させていくよ。

さらに空気中の窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素もパンジャンドラムに変えて突撃だ。



「ぼくと似たような能力を持ってるみたいだね。これは知恵くらべになるかな」
 ここまでの戦闘から敵の能力を観察していたアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)が呟く。
 彼女のユーベルコード【アナロジーメタモルフォーゼ】は無機物の情報を分解し再構成することで、自らの思い通りの物質へと変換し操作する力だ。想像したものを創造するエイプモンキーのユーベルコードと、その性質は近い。

「確かに、お前のユーベルコードはミーのユーベルコードに近い。だが一つ決定的な違いがあるウッキー!」
 傷をかばいながらも退く気配を見せないエイプモンキーは、ここぞとばかりにアリスの力の弱点を指摘する。
「それは『無機物しか変化させられない』という点! つまり有機物を使用した武器や防具は変換できないウッキー!」
 そう言って彼が創造したのは、分厚い革や鱗で出来た鎧と、巨大な生物の骨から削り出された剣だった。
「ミーにはこうしたモンスターの部位を利用した武具の知識だってあるウッキー!」
 十中八九それはゲームの知識だろう。

 しかし確かに、これらの武具はアナロジーメタモルフォーゼでは変換できない。
 さあどうする、と笑みを浮かべながら迫ってくるエイプモンキーに対して、アリスは動じることなく、きっぱりと。
「なら、ぼくは限界を超えるよ」
「ウキッ?」
 首をかしげる怪人の前で、少女は端末とデバイスの機能をフル回転させる。
「たしかに有機物は変化させられない。でも、原子単位で考えたらどうかな」
 有機物とは炭素を含む化合物の大部分の総称だが、炭素原子そのものは無機物にカテゴリされる。そこでアリスは自らの能力をより繊細に、原子単位での物質変換を行おうと言うのだ。

「ま、まさかお前にそんなことができるウッキー……?!」
 動揺するエイプモンキー。だがアリスには自信があった。分子も原子も素粒子も、すべては情報に過ぎない。そして彼女はその情報を自在に操る者。電脳魔術師にしてウィザードなのだから。
 怪人が創造した武具がバラバラに分解されていく。原子変換によって形を保てなくなった分子がさらに変換を重ねていき、アリスの望むがままに作り変えられていく。

 そして完成したのは――巨大なボビンに爆薬とロケットを搭載した奇怪な物体。

「こっ、これは……パンジャンドラムだウッキー?!?!?!」
 かつて地球で起こった世界大戦の折、某国が開発していたロケット推進式陸上爆雷という名の変態兵器である。
 アリスはそれを、幾つも幾つも――材料が足りなくなれば空気中の窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素まで変換して、大量のパンジャンドラム部隊を完成させる。

「ちょっ、待っ、待つでウッキー……その失敗さ、いや変態兵器を本気で使うでウッキーか?!」
「大丈夫だよ、これは改良型だから」
 どこをどう改良したのか具体的な説明はせずに、アリスはパンジャンドラムを一斉に突撃させた。
 本来、まっすぐ走ることすらロクにできない欠陥兵器であるパンジャンドラムだが、これはアリスのユーベルコードによって作成された物。今回はその意のままにエイプモンキーを狙って一直線に突っ込み、そして爆発する。
「ウッキィィィィィィィィィィィィィィィ?!?!?!」
 ちゅどぉぉぉぉぉん!! とド派手な爆発に飲み込まれたエイプモンキーの悲鳴が、戦場に響き渡ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

天都狐・華夜
ホモォビウムを単独進攻させ、囮に使用する。
なお、ホモォビウムは破壊されるとその場で自己修復ないし、自己複製を行い戦線に即時復帰する、存在感のある非常にウザい自立型無人戦車である。
鳴き声はホモォ、移動形態は無限軌道か各履帯を立てることで可能となる四足歩行。

【地形利用】や【スナイパー】・【迷彩】技能を用いて、各スティレットを隠蔽し、その遥か後方で自身にも隠蔽を施し、狙撃姿勢で待機。
目標からの接敵もしくは、ホモォビウムへ攻撃を行うタイミングで【一斉発射】や【零距離射撃】などを交えてユーベルコードを使用。

「さて、罠にかかるか、見破られるかは運次第ですけど、どっちに転ぼうとも、一撃は入れますよ。」



「ひ、ひどい目にあったウッキー……うん?」
 ゲホゲホと咳き込みながら爆煙の中から姿を現した黒焦げのエイプモンキーが見た物は、独特なフォルムを持つ四足式の歩行戦車であった。
 ホモォ、と唸り声を上げながら進攻してきた戦車はエイプモンキーを射程に捉えると、搭載した戦車砲による砲撃を開始した。
「っとぉ!」
 咄嗟に防壁を創造して砲弾を防ぎ止めながら、曲射砲を創造して謎の戦車を攻撃するエイプモンキー。だが、攻撃を受けた戦車は一度は破損するものの、すぐさまその場で自己修復を行い、砲撃を再開する。
「なんかウザいやつだウッキー……それにどうも囮っぽいウッキー」
 どうやら戦車の中に人は乗っていないらしい。ここまでの戦いで警戒心が強まっている怪人は、この自立兵器が単独で攻撃を仕掛けてくる状況をそう分析し、相次ぐ砲撃を躱しながら周囲を見回す。

 彼の推測は正しかった。エイプモンキーと戦う自立型無人戦車――ホモォビウムの後方では、天都狐・華夜(ロジックエラー・f01491)が偽装学生服の迷彩機能を作動させつつ、狙撃姿勢を取って潜伏していた。
 さらに戦場の周辺には、彼女が操る半自立式兵器「スティレット01」「スティレット02A」が、機を見れば即座に敵に襲い掛かるよう隠蔽され待機している。
「さて、罠にかかるか、見破られるかは運次第ですけど、どっちに転ぼうとも、一撃は入れますよ」
 スコープ越しに標的の動向を伺う華夜。その先にいる怪人のグラサンが、ギラリと光った。

「上等だウッキー! たとえ罠だろうと踏み潰してやるウッキー!」
 自らの膨大な知識の中から、一目では用途の分からぬ奇怪な装置をアームに搭載するエイプモンキー。それが攻撃の前兆と予感した華夜は、敵が拳を振りかぶるのと同時にユーベルコードを発動する。
「手腕保持兵装以外の各兵装全自動照準開始。トリガータイミングの同期完了。……今!」
 構えていた多目的型バスターライフルのトリガーを引く。それと同時に、待機させていた全兵装が一斉に攻撃を開始する――筈だった。
「ぐぅ……っ!!」
 華夜が放った銃弾は確かにエイプモンキーを貫いた。だが、それ以上の追撃はない、どころか囮役だったホモォビウムまでもが動きを止めている。
「これは……?」
「どうやら読みが当たったみたいだウッキーね」
 原因を究明するよりも早く、弾道から華夜の潜伏位置を突き止めたエイプモンキーが、背部のジェットを吹かして急速接近する。

「お前のユーベルコードの弱点は、火力の多くを自立式の兵装に頼っているところだウッキー。なら、そいつらとのリンクを切ってやればいいウッキー!」
 エイプモンキーが創造したのは、戦場全体に電磁波や魔力波を発生させ自立兵器の機能を停止させる、EMP兵器の一種だったようだ。
 華夜は長距離仕様のバスターライフルから中近距離武装の「アグレッシブセイバー」に武装を持ち替えて連射するが、それだけではダメージこそ与えれども敵の接近は止められない。
「吹っ飛べウッキー!」
「くっ……!」
 振り抜かれたエイプモンキーの拳は、盾として構えられたアグレッシブセイバーの刀身ごと、華夜の身体を戦場の彼方まで吹き飛ばしていった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

誘宵・カレン
貴方も知らないマニアックでユニークな理論に興味ありませんかー?

疑問を抱かないか耳を塞がれるのが弱点ですね。
ですが、この一言でこちらに意識を釘付けにさせますよー。

そして一言、
「どうして猟兵は貴方のUCを知っているのでしょう?」
―――これで詰みです。

さて、皮肉過程理論とシロクマ実験は知っていますかー?
『何かを考えないように努力すればするほど、逆にその事が頭から離れなくなる』という現象を説明する理論です。
"貴方のUCを猟兵が知っている"事が貴方の敗因なのです。
その敗因を突き付けられて全く疑問を抱かないほどお猿さんはおバカさんではないですよね?

考えまいと努力しても貴方の頭脳の聡明さがそれを許しませんよ



「フッ、やっぱりミーの能力は最強だウッキー……ゲホッ、ゴホッ」
 幾度とない猟兵の攻撃を退けて強がりながらも、積み重なった負傷と疲労の色を隠しきれないエイプモンキー。撃破まではあと一息かに見える。
 そこにすっと音もなく姿を現した誘宵・カレン(cruel queen・f17601)は、開口一番に彼にこう囁いた。
「貴方も知らないマニアックでユニークな理論に興味ありませんかー?」
 ――と。

「ウキッ?!」
 思わず反応しかけるエイプモンキーだったが、即座に、これは罠だと判断する。
 西遊記に登場する金角・銀角の持つ瓢箪のように、その質問や返答の内容に関わらず、「問いかけに答えてしまうこと」を発動条件とする能力は数多くある。
(ミーの知識がミーに訴えかけているウッキー。ここは返事をせずに何も考えないのが正解だと……!!)
 そう、エイプモンキーにはそれがよく分かっていた。こんな問いかけには耳を塞いでしまうのが一番だと。だが、どうしてもそれが出来ない。『マニアック怪人』としてのプライドと好奇心と知識欲が、彼に思考の放棄を許さない。

 そしてカレンは、沈黙を貫きながらも悩んでいる様子がありありと窺えるエイプモンキーに、さらに一言囁く。
「どうして猟兵は貴方のユーベルコードを知っているのでしょう?」
 ――これで詰みです。と、勝利を確信した笑みを浮かべて。

「そうそれ! それもずっと気になっていたウッキー! ……ハッ!!」
 沈黙を破ってしまったエイプモンキーは、すぐさま慌てて口を塞ごうとするが、もう遅い。"疑問"の感情をはっきりと抱いてしまった時点で、カレンのユーベルコード【謎を喰らう触手の群れ】は発動している。
「皮肉過程理論とシロクマ実験は知っていますかー? 『何かを考えないように努力すればするほど、逆にその事が頭から離れなくなる』という現象を説明する理論です」
 召喚した紫の触手を次々と襲い掛からせながら自らの知識を披露するカレン。
「"貴方のユーベルコードを猟兵が知っている"事が貴方の敗因なのです。その敗因を突き付けられて全く疑問を抱かないほどお猿さんはおバカさんではないですよね?」
「う、ウッギィィィィィィィィィッ?!」
 エイプモンキーにその解説を黙って聞いている余裕はなかった。絡みついた触手は標的の心に根付いた"謎"を喰らい、その精神を貪っていく。
 考えてはいけない、そう思えば思うほどに疑問は深まり、触手の攻勢は強まっていく。永遠に終わらない悪循環。
「考えまいと努力しても貴方の頭脳の聡明さがそれを許しませんよ」
 相手の最大の武器である知識と知恵と想像力を逆手に取ったカレンの作戦は、確実にエイプモンキーを追い詰めていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミスティ・ミッドナイト
厄介ですね、知性を持った怪人は。

本体の装甲を粉砕するために、グレネードランチャー(UC)で擲弾を撃ち込みます。
敵は恐らく、アクティブ防護システム(APS)を展開するでしょう。
戦車等に搭載されている装置ですね。
飛来物を感知し、散弾等で物理的に迎撃するものです。
直接狙っては撃ち落とされますね……。
ですが、策はあります。

地面に向けて擲弾を撃ち込みます。
衝撃でなく、時間制で爆発する時限信管を搭載した擲弾です。

APSは約70m/sを超える高速飛来物を感知する代物。
転がった擲弾を蹴り飛ばせば……せいぜい20m/s程でしょう。
この速度では感知は出来ませんよね。

名付けるなら、そうですね……
爆殺シュート(真顔)



「厄介ですね、知性を持った怪人は」
 いよいよ満身創痍となったエイプモンキーの前に現れたのは、ミスティ・ミッドナイト(夜霧のヴィジランテ・f11987)。
 万能のユーベルコードとそれを自在に使いこなす知能と知識を持ったこの怪人は、紛れもなく強敵だった。だがそれは決して無敵の存在ではなく、逆にその知性の高さが仇となったケースもある。
「これで終わらせましょう」
 擲弾を装填した【グレネードランチャー】を構えて、ミスティはそう宣言する。

「グ、グヌヌヌヌ……ミーは負けないウッキー! 怪人幹部の座に賭けて!!」
 残された力を振り絞ってエイプモンキーが創造したのは、巨大なレーダー装置を中心に銃器や散弾発射装置やレーザー砲などを搭載した巨大マシン。
 元特殊工作員としての知識と経験から、ミスティはそれを戦車等に搭載されているアクティブ防護システム(APS)の一種だと即座に見抜いた。
 それは銃砲やミサイルなどの飛来物を感知し、着弾前に物理的に迎撃する装置だ。
「矢でも鉄砲でもミサイルでもユーベルコードでも! コイツで全て撃ち落として蜂の巣にしてやるウッキー!!」
 自らのマニアック知識を総動員した最終兵器を背に、エイプモンキーが叫ぶ。

「直接狙っては撃ち落とされますね……。ですが、策はあります」
 敵の最後の足掻きを見たミスティは冷静に、グレネードランチャーの照準を変える。怪人ではなく、地面に向けて。
 撃ち込まれた擲弾は足場となる花の花弁を散らしながら、爆発することなくコロコロと転がった。
「ウキッ?」
 不発弾か? と意図を理解できず首をかしげる怪人をよそに、ミスティは転がる擲弾をボールのように足で押さえ。
「APSは約70m/sを超える高速飛来物を感知する代物。私の脚力でこれを蹴り飛ばせば……せいぜい20m/s程でしょう。この速度では感知は出来ませんよね」
「――!!!!」
 青ざめるエイプモンキーに向かって、レディーススーツからすらりと伸びた脚を振りかぶり――。
「名付けるなら、そうですね……爆殺シュート」
 真顔のまま綺麗なフォームで擲弾を蹴り飛ばした。

「つ、つい高性能にし過ぎたのが裏目に出たウッキィィィィ!!」
 どんな強力なユーベルコードだろうと撃ち落としてやろうと意気込んだ結果、キマイラフューチャーのハイテクの粋を極めすぎたAPSは、人力で蹴られた擲弾にはピクリとも反応しない。
 策士策に溺れる――自らのマニアック知識を過信しすぎた結果である。
 慌てて逃げ出そうとしたエイプモンキーの間近で、擲弾に搭載された時限信管がミスティの狙いピッタリのタイミングで作動し――。
「も、申し訳ございません、ドン・フリーダム様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 断末魔の絶叫だけを残して、システム・フラワーズを守る三大幹部の一角は、戦場を揺るがす轟音と爆炎の中に消えていったのだった。


 ――かくしてマニアック怪人エイプモンキーとの死闘を制した猟兵たちは、ある者はひと時の休息を取り、またある者は次なる戦場へと向かう。
 キマイラフューチャーの未来を賭けた戦いは、まだ終わらない。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月13日


挿絵イラスト