バトルオブフラワーズ⑨〜ウッキッキーのウンチク合戦
「集まれ皆の衆!!システム・フラワーズに突入する時が来ましたよ!」
元気にアホ毛をぴょこぴょこさせたアリア・ヴェルフォード(謎の剣士X・f10811)はそう呼びかける。
「キマイラフューチャーの戦争もいよいよ幹部戦です!」
現在、一時的ではあるが猟兵たちは六つのザ・ステージを全て制圧し、先へと進む道を開くことに成功していた。
いよいよシステム・フラワーズの内部に突入していくのだが、その第一の関門として怪人幹部のひとり、マニアック怪人『エイプモンキー』が待ち受けていたのだ。
システム・フラワーズの内部は咲き乱れる花々の空間であり、花々が集まって足場となる仕組みとなっている。
現状その全ての足場がエイプモンキーへと繋がっており、彼を無視して先へと進めなくなっていた。
「そこで皆さんは中枢への道の邪魔となっているマニアック怪人『エイプモンキー』を討伐しなければならない訳です!先の戦争同様にこのお猿さんも何度も蘇るみたいですが積み重ねていけばいずれ倒せるはずです!」
しかし敵も幹部の一人そう易々と倒せるわけではない。
エイプモンキーは『自らの想像力が及ぶ限りのあらゆるものを創造できる』という凶悪な能力を持っているのである。
これによって猟兵のユーベルコードを無効化し、一方的に攻撃するような戦闘を行ってくるのだ。
「ようするにお猿さんの裏の裏の裏をかく必要があるわけですね!どうやらお猿さんは自分の力に慢心しているみたいなので突破口もあると思います!自分の力がどうやって反撃されるのか、という部分を意識してみるといいかもしれません!」
敵の想像のさらに上を越えていく、難しいがやるしかないのである。
「では、頑張ってお猿さんを懲らしめてやってくださいね!」
アリアは一礼すると、準備と覚悟を決めた猟兵たちを順次テレポートで送りだした。
小牧葵
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エイプモンキーは、猟兵が使用するユーベルコードの設定を元に、そのユーベルコードを無効化する武器や戦術を創造し、回避不能の先制攻撃を行ってきます。
(ユーベルコードで無効化したり相殺した後、強力な通常攻撃を繰り出す形です)
この攻撃は、ユーベルコードをただ使用するだけでは防ぐことは出来ません。
この先制攻撃に対抗する為には、プレイングで『エイプモンキーが自分のユーベルコードに対抗して創造した武器や戦術を、マニアックな理論やアイデアで回避して、攻撃を命中させる』工夫が必要となります。
対抗するためのプレイングは、マニアックな理論であればあるほど、効果が高くなります。
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はい、こんばんは小牧葵(こまき あおい)です。
もう幹部戦って早いですね。
盛り上がるように頑張っていきますのでよろしくお願いします。
では皆様の熱いプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『マニアック怪人『エイプモンキー』』
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POW : マニアックウェポン
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【敵に有効なマニアックな装置】が出現してそれを180秒封じる。
SPD : マニアックジェット
【敵のユーベルコードを回避する装置を作り】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
カザミ・カナ
猟兵のみんなー!風神さまよ!
さーて、お猿さん退治!
私のUC、体調不良を起こす……具体的には風邪をひかせるものなんだけど、お猿さんはどーいう対策をしてくるのかな?
あ、もし罹ってくれたんなら、そのまま物理攻撃の予定!
お薬でも飲む?ふっふーん、風邪薬って、一時的な症状緩和は出来るけど、完治する訳じゃないの。知ってた?
下手にその場しのぎなんかしたら、私はともかく、他の猟兵に退治したときにクラッときちゃうかもよ?
一番なのはがっつり食べてグッスリ寝ることなんだけど、そんな暇あるかしら?
もし目の前でご飯食べてあったかくして寝たんならご一緒に……じゃなくて、その隙に神さまパンチをお見舞いしちゃうわ!
●
「猟兵のみんなー!風神さまよ!さーて、お猿さん退治ね!」
システム・フラワーズの内部、決戦の場に先陣として転送されたカザミ・カナ(ダメ風神と毒舌雷神・f17237)は意気揚々と声を上げた。
彼女の目の前には敵の幹部のひとりであるマニアック怪人エイプモンキー、彼はカザミのその宣言ににやりと笑う。
「やっと来たウッキーね!さあかかって来るがいいウッキー!ミーの想像した全てを創造する能力の前にひれ伏すがいいウッキー!」
自分の能力を盛大にひけらかすエイプモンキー、それだけ自分の力に自身があるのだろう。
だがそれを打ち破らなければならないのだ。
「お猿さんも風邪、って知ってるでしょ?そーゆーことでちょっと寝ててもらえるかな?邪な風よ、吹き荒べ!」
カザミはエイプモンキーへと指先を向けて身体の不調を引き起こす病魔の呪いを放つ。
「ウッキャー!初手呪いだなんて卑怯だウッキー!でもミーは風邪を一瞬で治す薬、柿ロンSSを創造したウッキー!お前の攻撃は無駄だウッキー!」
それを甘んじて受け止めた後、いつの間にか手元に作られていた柿を食べながらカザミへと迫るエイプモンキー。
この後に放ってくるのは話に聞いていたとおり回避困難な強力な一撃だろう、それを避ける術はカザミにはなかった。
だから避けない、その代わりにカザミは口を開く。
「ふっふーん、風邪薬って、一時的な症状緩和は出来るけど、完治する訳じゃないの。知ってた?」
紙一枚、すんでのところで拳が止まった。
「お前なんて何時でも倒せるウッキーね!だからその話を聞いてやるウッキー!」
カザミの前で腕組みをして立つエンプモンキー。
そんな彼にカザミは言葉を続ける。
「だーかーらー下手に薬でその場しのぎなんかしたら、この後に他の猟兵が来た時にクラッときちゃうかもよ?」
「それは困るウッキーね!で、どうすればいいウッキー?」
「一番なのはがっつり食べてグッスリ寝ることよ!」
「!」
自信満々に言い放つカザミのそれを受け、エンプモンキーに衝撃が走った。
「なら膳は急げウッキーよ!何を食べるといいウッキー?」
「え?ネギとかショウガ?」
「ネギにショウガ……え?生、ウッキー?」
だが最後のツメが甘かった。カザミは神、人間の料理はあまりよく分かっていなかったのである。
これはまずいとカザミは神さまパンチをエイプモンキーへと放つ。
拳は腹部を捉えたものの彼の着ている鎧は厚く、あまりダメージを与えられなかった。
「よく考えたらミーの薬が完璧じゃない訳がないウッキー!よくも騙してくれたウッキーね!」
その言葉と共に創造されたネギによるフルスイングでカザミの意識は飛んだ。
苦戦
🔵🔴🔴
大神・零児
敵行動予測
【自身からレベルm半径を覆う自分の意識】意識範囲拡大を封じる
【それを用いた対象全員の意識に触れる感覚】自身の意識を隠すかダミーを掴ませる
【その感覚により敵意を可視化し回避する意識】敵意を隠す
だが、敵意以外の意識すら創造物や所持していたありとあらゆる物に乗り移るし無機物にも存在を保つための意識はある
システム・フラワーズの花も
UC全開
俺の意識拡大を封じるなら俺の意識に触れなければならない
ならば封じようとしている意識に俺の意識を這わし、敵の意識がつながっている創造物やエイプモンキーが乗り込んでいるメカ、又はシステム・フラワーズの花の意識にも俺の意識を這わせ、それらの意識の波を読み回避と攻撃
●
花々が乱れ舞うシステム・フラワーズへと転送された大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)は笑みを浮かべているエイプモンキーへと足を進めていった。
「次はユーの番ということウッキーね!次から次へとご苦労なことウッキー!」
エイプモンキーはそう口にしながら向かってくる大神を見据えてその挙動を観察する。
大神もまたエイプモンキーを警戒しながらその距離を詰めていき、
「行くぞ……!第六感の、その、先へ!」
そして凡そ30メートル、大神はユーベルコードを使用しながらエイプモンキーへと一気に駆けだした。
大神は自身を中心に上下左右へと意識を広げていく。
その意識は有機物、無機物関係なく必ず持っている敵意を含めたあらゆる意識を視覚として知覚するものだ。
だが――彼が本来見えるはずだったそれには幾つもの穴がぽっかりと空いており、その穴の中心には何かがあった。
「キッキー!ユーのそれは言ってしまえば第六感いや野性の勘ウッキーね!だからそれを狂わせるジャマインドを幾つもばら撒かせてもらったウッキー!」
穴の中のそれがおそらくエイプモンキーの言っているジャミング装置なのだろう。
よく目を凝らせば穴の中にも意識は存在しているのは分かるが、動きながらそれを頼りにすることは困難と言わざるを得ない。
「ユーの頼みの綱は絶たれたウッキー!このまま止めを刺してやるウッキーよ!」
こちらへと向かってくるエイプモンキーに対して大神は足を止めて目を閉じた。
ユーベルコードが封じられたとはいえ未だ大神の五感は健在、だがそれではエイプモンキーの攻撃を防ぐことはできないと彼の直感は囁いていたのである。
「……無理だな」
「キッキー!ミーの力は強大!諦めるのも仕方ないウッキーね!」
肉薄したエイプモンキーによる鋼鉄の拳が大神へと放たれ大神を直撃し――
「避けるのを諦めのが、だ」
同時にエイプモンキーを大神の妖刀「魂喰」が斬り裂いていた。
「ウキー!?」
そう、大神はジャミングの中で意識を見つけるのと戦うことが同時に行えないのであれば見つけることだけに集中すれば良いと全てをシャットアウトし、回避さえ捨てて待ち構えていたのだ。
エイプモンキーの敵意を見つけるために気力を振り絞り、やっと見つけたそれへと刀を振るったのである。
「ここまでか……後は頼んだ」
その結果は相打ち、大神は後に続く猟兵たちのために少しでもダメージを与える選択を取ったのであった。
苦戦
🔵🔴🔴
二天堂・たま
必ず先手を打ってくる相手か…。
その上UCを無効化するUC・UCを回避するUCが得意、と。
ならば直接相手に向けなければいいんじゃないか?
UC:親指チックの相棒を敵の背後に走らせると同時に、
UC:スカイステッパーで敵から離れるように逃げ足。
それだけでは先制攻撃を許してしまうだろう。
攻撃を受ける直前、親指チックの居場所交代で回避する。
そしてボビンケースの鋼糸とカーボン繊維を、早業とロープワークを駆使して捕縛、猟兵の攻撃するスキを作るための時間稼ぎにする。
UC:ケットシーインパクトで戦意を削げばさらに完璧だな。
戦意が鈍れば技のキレも鈍る。
ワタシが勝つのではない、ワタシが勝ちを引き寄せるのだ。
●
必ず先手を打ってくる相手、それにどうやって対抗するかに頭を働かせながら二天堂・たま(ひよこなケットシー・f14723)はエイプモンキーの前へと立っていた。
その横には
「ウッキッキー!考えていることが顔にでてるウッキーね!ミーの最強の能力が打ち破られるなんてそんなことは万が一にもありえないウッキーよ!」
纏っている機体にいくつかの傷をつけながらもドヤ顔でエイプモンキーは二天堂へと告げる。
確かにユーベルコードを無効化あるいは回避する想像した全てを創造するユーベルコードは圧倒的な脅威だ。
だがきっとそこにも何かしらの穴があるのではないか?
自分が勝たなくてもいい、後に続く猟兵たちに少しでも多くの情報を伝えることで勝ちを引き寄せることが重要だと二天堂は考えていた。
今まで行われたのは直接エイプモンキーへと効果を及ぼすかその気配を捉えようとするものだ。
ならばエイプモンキーへと直接向かわない、干渉しない手段はどうだろうかと二天堂は密かに小さなひよこを召喚して敵の背後へと向かわせる。
「ならばこんなのはどうだ?」
そして二天堂自身は花びらを蹴ってエイプモンキーから逃げるように離れだしたのである。
「ミーはそこまで優しくないウッキー!逃がさないウッキーよ!!」
だが数メートルも行かないうちにエイプモンキーの創造によって作られた棘の突いた鉄壁に阻まれた。
「中々やるようだな」
「此れで終わりウッキーよ!」
即座に作られた壁に関心する二天堂、そこにエイプモンキーが突撃して鋼鉄の拳を放つ。
だがそれを受ける直前に二天堂の姿が消えて変わりにひよこが現れた、親指チックによる居場所交代である。
「甘いな、ワタシはそこまで読んでいたのだ」
そう告げながら二天堂はホビンケースからカーボン繊維と鋼糸を取りだし、ひよこへと攻撃を放ったエイプモンキーを捕らえんと放ち彼を捕らえ――その顔が笑っているのに気付いた。
「がっ!!」
その直後に自身の背中を強烈な衝撃が襲う。
「キッキー!ミーは更に先を読んでいたウッキーよ!花びらの下に何時でも放てるように体バット砲を仕掛けといたウッキー!」
死角から反撃するマシン、それが居場所交代した自分へと放たれたのを二天堂は悟った。
衝撃によって吹き飛ばされながらも必死に意識を繋ぎとめながら二天堂は糸を手繰り寄せエイプモンキーへと向かう。
敵はどんなものでもそれを封じ、また反撃を行ってくるという最低限の情報は得た。
ならば後はできる限り爪痕を残すのだ。
近づいてきた二天堂にエイプモンキーがとどめの拳を振るう。
「受けよ……我が奥義」
それに対して二天堂は最後の気力を振り絞り肉球から衝撃波を放ち――溢れんばかりの悪意の一部を削いだ感触と共に意識を失った。
苦戦
🔵🔴🔴
暮陽・黎明
こんな話をしてやろうか。これがなんだか分かるかー?
そう、フルーツだー。どこでもよく見るなー。キミらも私達も普段から食べるものさー。
これ、実はキミら動物たちにとってはかなり有害な食べ物だって知ってたかー?
何が有害かは、食べてみてのお楽しみだなー?
(人間が食べやすいよう甘みが高くされてる果物は、そこらに生えてる果実類を摂取する動物たちからしてみると、人間以上に糖質が高いものを食べ続けると不健康になるという動物マニアックな知識)
食べたけりゃまずは私から受け取ってくれよなー。そっちに投げ上げるからよー?
(フルーツに興味を示し近づいてきた来たところを捕まえ斬る。自身の死角になろう場所は猿を盾に利用する)
●
意気揚々と次なる猟兵を待ち受けるエイプモンキー。
そこへフルーツ籠を手に持ちながら向かっていくのは暮陽・黎明(瑠璃色に染まる空の果へ・f00383)である。
「次はユーがミーの相手ウッキーね!ミーの創造と知識の前に跪くがいいウッキー!」
暮陽に気付いたエイプモンキーは自信たっぷりにそう口にした。
彼の装着しているロボ鎧には既に破損が生じているがそんなことはお構いなしに彼はドヤ顔を披露していたのである。
「これがなんだか分かるかー?」
そんなエイプモンキーを華麗にスルーしつつ暮陽は自身の持つフルーツ籠を見せつつ声をかけた。
「馬鹿にしてるウッキーか?見て分かるようにフルーツだウッキー!」
「そう、どこでもよく見かけるフルーツだー。キミらも私達も普段から食べるものさー」
当然と言わんばかりに答えを述べるエイプモンキーに暮陽は笑いながら正解だと告げる。
実際暮陽が手に持っている籠には林檎や桃、葡萄といった市販のフルーツが積まれていた。
「で、それがどうしたウッキー?貢物ウッキーか?」
「ま、そんなところだー。食べたいかー?」
まさかの貢物宣言にエイプモンキーは毒を怪しみ躊躇していたが、結局食欲が勝ったのか
「キッキー!なら貰ってやるウッキー!早く寄越すウッキー!」
と催促を始めたのである。
「そっちに投げ上げるからよー?受け取ってくれよなー」
暮陽は林檎を放り投げ、エイプモンキーはそれをキャッチした後に咀嚼し始めた。
「甘いウッキー!美味ウッキーね!次を寄越すウッキー!」
そのまま凄い勢いで食べ終わり次の催促を行うエイプモンキーに暮陽は桃を投げ渡し、彼はそれを食す。
このやり取りを数度行った後、最後の葡萄を手に取った暮陽は催促するエイプモンキーに対して暮陽はこう告げた。
「これ、実はキミら動物たちにとってはかなり有害な食べ物だって知ってたかー?」
この日二度目の衝撃がエイプモンキーに走った。
「キャー!?どういうことだウッキー!?」
「内緒だー。何が有害かは、後のお楽しみだなー?」
そう、実は人間が食べやすいように甘み・糖質が高くされている果物は、普段野生の果物を摂取している動物からすると体に悪いのである。
と言ってもあくまで食べ続けると、という条件があるがエイプモンキーはそれを知らなかった。
「そら、最後の葡萄だー。一番甘いぞー」
暮陽は動揺と困惑に苛まれたエイプモンキーに葡萄を投げ上げる。
葡萄を取るか取らないか、迷っていたエイプモンキーの視線は完全に上空の葡萄にあった。
その瞬間、暮陽は地を蹴りエイプモンキーの懐へと入っていた。
「よそ見がお前さんの敗因だよ。黎薄流刀剣欺『千変斬』」
そう告げて暮陽は自身の死角に配慮しつつ妖刀を抜刀し神速の逆手斬りを放つ。
その斬撃はロボ鎧へと入り込み、装着者のエイプモンキーへと到達しかけ――そこで止まった。
なぜなら暮陽の腕と体が下から生えた何本の鎖によって巻きつかれていたのだ。
「反応が遅れて焦ったウッキー!でもミーを使った所で足元の死角は消せないウッキーよ!何が害なのかは分からないけどこれで終わりウッキー!」
システム・フラワーズの足場は花々の道であり、その下に何かを仕掛けるのは容易かったのである。
そして放たれた鋼鉄の拳が動けない暮陽へと叩きつけられたのであった。
苦戦
🔵🔴🔴
ニィ・ハンブルビー
弱点を見抜くだって!?
じゃあ【フェアリーランド】が抵抗されると吸えない事も!
先手を取って壺を壊せば効果を発揮しない事も!
そもそもいつでも外に出られる事も!
全部お見通しって事!?
ま、別に出入口の壺が一つだけとは限らないんだけどね!
予備の壺なら沢山あるし!
そもそもアンタを吸い込むつもりも別にない!
ボクがやることは超単純な物量作戦だ!
事前に刃物や火薬や巨大な建造物を詰め込んで!
壺を敵の頭上に向けて全部ぶん投げる!
そのまま詰め込んだ物を敵に向けて一気に放出して!
敵を圧し潰す!
さあ問題!
フェアリーランドはどれだけの物を詰め込めるでしょう!
答えは簡単!アンタが支えきれない程の超大量だ!
そのまま潰れちゃえ!
●
「弱点を見抜くだって!?それって最強じゃないか!」
花々の園へと転送されたニィ・ハンブルビー(怪力フェアリー・f04621)は驚きの声を上げた。
「キッキー!ようやくミーの最強の創造能力を理解した猟兵が現れたウッキーね!そう、ミーの知識と組み合わさった創造は最強ウッキー!」
それを聞いて上機嫌になったのかやけに’最強’のアクセントを強調しながらドヤ顔を繰り広げるエイプモンキー。
此れまでの言動を踏まえてどう見てもかませのやられ役にしか見えないのだが、油断ならない相手だとニィは考えていた。
実際に彼は数々の猟兵たちのユーベルコードに対して的確な創造を用いて看破し続けて来ていたのである。
しかし本来の性格とこれまでを経てエイプモンキーは完全に慢心していた。
最初の驚きの演技に気付かずにドヤ顔を向けてきたのがいい証拠だ。
ならばそれを利用してやろうとニィは驚きの顔を崩さないまま口を開いた。
「じゃあボクのフェアリーランドが抵抗されると吸えない事も!?」
「知ってるウッキー!」
「先手を取って壺を壊せば効果を発揮しない事も!?」
「当然知ってるウッキー!!」
「そもそもいつでも外に出られる事も!?」
「知らないわけがないウッキー!!!」
「全部お見通しって事!?」
「ウキャーーーーー!!!!!」
ニィに乗せられたこともありエイプモンキーのテンションは完全に最高潮、興奮して叫びだしており完全にやばい奴である。
「くっそー!」
悔しそうな顔をしながらニィは小さな壺をエイプモンキーへと投げつけた。
「キッキーーー!!!無駄だウッキー!!!!!ミーの黄金バットで割ってしまえば終わりウッキーよ!」
当然エイプモンキーはドヤ顔のまま創造したバットで壺を破壊する。
「ユーがボールでミーがバッターだウッキー!」
そしてそのままバットを握り締めてニィへと突進、その小さな体をふっ飛ばそうとフルスイングを放つ。
しかしそのバットが捉えたのは――巨大な鉄球だった。
鉄球の背後にいるニィの手には予備の壺が握られており、そこから鉄球をだすこと攻撃を防いだのである。
もとよりニィはフェアリーランドにエイプモンキーを閉じ込めようとは思っていなかった。
慢心を引き出しつつ、言葉巧みに吸い込むことにエイプモンキーの意識を誘導させていたのである。
「ウキャー!?ミーの手がキキッー!!」
「さぁここで問題!」
手を痺れさせたエイプモンキーの上に壺を投げつつ、ニィは笑顔で告げた。
「フェアリーランドはどれだけの物を詰め込めるでしょう!?」
「ウキャー!?沢山だウッキー!」
「そう!アンタが支えきれない程の超大量だ!そのまま潰れちゃえ!」
フェアリーランドは吸い込むだけではなく外に出る、つまり吐き出すこともできるのだ。
上空にある壺から事前に仕込んでいた刃物や火薬、巨大な建造物などとにかく多くのものが吐き出されエイプモンキーへと降り注がれる。
「ウキャー!!!!????」
たまらず悲鳴を上げつつエイプモンキーは瓦礫の下敷きとなったのであった。
成功
🔵🔵🔴
フランチェスカ・ヴァレンタイン
「砲身展開、集束開始…!」
このUCは重力子を極大化させながら集束し、それを超重力砲として叩き込むもの
極大化した重力子を拡散されれば当然、砲撃にはなり得ません
仕掛けるタイミングを計って牽制しながらそのように思考誘導と参りましょう
拡散されたとしても、極大化した重力子の不安定さは変わらないはず。であれば…!
散らされた重力子をそのまま暴走させて空間を局所的に歪曲させ、カウンターに対する防御フィールドとしてしまいましょう
その上で相手からはわたしの位置も歪曲されて見えている筈ですから、それを利用して空戦機動での連続強襲を仕掛けます
最終的には歪曲空間に相手を叩き込めれば上出来、ですかね?
※アドリブ・絡み歓迎
●
山積みとなった瓦礫から這い出てくるエイプモンキー。
「キッキー!酷い目に合ったウッキーよ!」
「あら、出てきてしまったのですね?」
それを待ち構えていたのは大型の機殻斧槍を持つフランチェスカ・ヴァレンタイン(九天華めき舞い穿つもの・f04189)である。
「ウキャー!もう油断はしないウッキー!お前に勝ち目は一切ないウッキーよ!」
これまでの戦闘を経て負った数々の傷により猟兵たちを侮っていたことを認め、エイプモンキーはフランチェスカへの警戒を強めていた。
「そればかりはやって見なくては分かりません。砲身展開、集束開始…!」
エイプモンキーからの敗北宣言を軽やかに受け流しつつ、フランチェスカはエイプモンキーへとユーベルコードを放つべく仮想砲身を展開する。
「キッキー!それは「ええ、あなたが拡散してくる前に放てば良いだけです」」
それに対する詳細を語ろうとするエイプモンキーにかぶせる用にフランチェスカはそう口にしつつ収束を急ぐ。
そしてフランチェスカの仮想砲身から放たれたのは極大化した重力子を収束させた超重力砲による対艦砲撃級の一撃。
「そうウッキー!重力子を拡散させてしまえば終わりウッキーよ!このニュート力場発生装置で無効化してやるウッキー!」
だがその超重力砲は発射直後に霧散したのであった。
作られた対策装置によりランダムに力の向きを動かしてしまうそれが重力子の砲弾を拡散させたのである。
「キッキー!無駄に終わったウッキーね!ミーの創造は万能ウッキー!」
エイプモンキーは走りだし砲を放ったことで無防備となったフランチェスカへと迫りその鋼鉄の拳を放つ。
拳はフランチェスカの腹部へと突き刺さった――はずだがエイプモンキーの手には一切の感触がなかった。
それに驚いたことでエイプモンキーの動きが止まる。
「ウキャッ!?」
その隙を逃さず攻撃を回避していたフランチェスカは機殻斧槍をエイプモンキーへと叩き込んだ。
なぜ攻撃を回避できたのか、否、フランチェスカが回避したわけではなくエイプモンキーが攻撃を外したのだ。
拡散により砲撃は無効化されたものの、巨大化した重力子は場に残っていた。
その制御を放棄することで重力子は独りでに暴走し、空間を局所的に歪曲させて視覚と実際の位置のずれを生じさせたのである。
両者の立場は同じだが重力子を扱うフランチェスカは歪曲空間に対して経験がある。
経験のないエイプモンキーは混乱したまま近くに見えるフランチェスカへと反撃を行うがその拳は外れていた。
それに対してフランチェスカは空戦機動を生かしつつ連続攻撃を正確に叩き込んでいく。
「もう少しの間踊っていただきましょうか」
そしてエイプモンキーを歪曲空間へと叩き込み、重力子が霧散するまでフランチェスカの猛攻は続いたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
エミリー・ローレライ
TKGAで出撃「面倒な猿は潰す…味方が…」【スキルマスター「護りの心得」】【スキルマスター「天使の加護」】【Duplication】発動。浮遊シールドを複製。87機の浮遊シールドを味方の近くに展開し攻撃が来たら『かばう』『盾受け』で防御支援。「攻撃がなきゃ回避はできない…お前の攻撃はすべて受け止める、来なさい雑魚…」『挑発』を使って攻撃を自分に集めるようにす る。来た攻撃は手持ちの盾を使って『盾受け』『時間稼ぎ』で防御。
流観・小夜
TKGAで出撃
【観測行動・飛空物体展開】で観測ドローンを展開し対象の行動を【追跡】、敵の攻撃からはエミリーさんに守ってもらい、【ダッシュ】で回避して高所に陣取ります。
【機関接続・火力形態】を発動し、多数の武装を一斉起動し射撃します。
当方の弱点として重量により動けず、重火器による自壊が懸念されます。しかし動けないなら守ってもらい、壊れるより先に倒せばいいだけです。
ロケットランチャーでの爆破により機械を率先して破壊、ガトリング砲で動きを抑制し味方の隙を作る【援護射撃】、アンチマテリアルライフルで【暗視】【視力】で敵を正確に捉え、【スナイパー】で回避できなくなった所を容赦なく撃ち抜きましょう。
イサナ・ノーマンズランド
・SPD使用…【TKGA】で出撃
浮遊シールドで庇って貰いつつ棺桶による【盾受け】で攻撃を凌ぎ、UC使用。
ヲタ趣味人への拷問具、『うろ覚えのにわか知識を披露してドヤる、無知を指摘しても気にしない上に逆ギレして面倒くさい、事あるごとに本題そっちのけで惚気けてイチャつくチャラいリア充(彼女付き)』を棺桶の中から連れてくる。
拷問具の精神攻撃で相手の集中を妨害、散弾銃とロケットランチャーによる【2回攻撃】の【一斉発射】で【傷口をえぐる】ように集中砲火を浴びせる。
「おねがい、レイゲン!」 『おうよ、あのエテ公に相応しい道具はこれだ!』
「……本当にあれで大丈夫なのかなあ。まあ、いいけどね!」
アドリブ歓迎。
ユウキ・スズキ
TKGAで出撃【エミリー、小夜、ラモート、ユウキ】
UC【対象分析、再装填】を使用。
「おい、何を踊ってやがるんだエテ公?俺はまだ一発も撃ってないぞ?」
おそらくホローポイント弾。
固そうな装甲に衝撃力で対処。
エミリーの召喚した盾に隠れつつ射撃。
可能なら70口径のライフルも撃ち込む。
敵の攻撃は可能な限り避けるが、それでも駄目なら左腕を犠牲にする。
味方が回避しきれなかった場合も同様。
左腕健在で殴れそうならUC【アイアンフィスト】で殴りかかる。
「結局はただのグーパンだからな弱点は接近しなきゃならんし、俺は別に足は早くない」
が、左腕のアンカーを敵の背後に撃ち込み巻き取り、対処される前に肉薄して殴る。
ラモート・レーパー
TKGAのみんなと連携
「さて、狩と行こう!」
仲間はお兄ちゃんお姉ちゃん呼びするよ。呼び出した【デュラハン】にまたがって動き回りながら、僕の装備で夜であることに加えて灯を破壊して真っ暗闇に。あとは黒剣を狩猟武器に状況に応じて変えていって敵の牽制にかってでよう。敵を倒したら、【ウィル・オー・ウィスプ】の地獄に遺体を持って行って食べる!
●
花々の園、システム・フラワーズ内部の第1関門へと足を踏み入れたのは5人の猟兵たち。
その先頭には銀色に輝く大盾とその周囲に三つの浮遊シールドを携えたエミリー・ローレライ(麺の神に愛された天使・f05348)が立っていた。
「面倒な猿は潰す…味方が…」
エミリーは自分に言い聞かせるようにそう呟いた。
彼女が今回請け負った役目はエイプモンキーの強力な攻撃から他の四人の猟兵たちを守り抜くこと。
この先に待ち受けているであろう困難に立ち向かうため、エミリーは無表情ながら覚悟と気合を入れていた。
「あそこがいいでしょうか……」
そして彼女の後ろに立つのはその手に狙撃銃を携えている流観・小夜(駆動体α・f15851)だ。
流観の役目は狙撃による支援および攻撃である。
そのため彼女は周囲を見渡して狙撃に適した場所を探そうとしていたが、それは探すまでもなくすぐに見つかった。
これまでの戦闘によってできていた瓦礫の山がちょうどいい高さとなっていたのである。
「お猿さんたいじだね。わたしもがんばるよ」
「ああ、今回はエミリーに大きな負担がかかることになるからな」
そしてこのチームにおいて銃撃によってメインの火力を担うイサナ・ノーマンズランド(ウェイストランド・ワンダラー・f01589)とユウキ・スズキ(元米国陸軍少尉 (自称)沼に潜みし者・f07020)もまた気合を入れていた。
イサナは左肩に棺桶型武装コンテナ、右肩にロケットランチャーを背負い、手には散弾銃を握り準備は万端と言った様子だ。
一方のユウキも複数の銃の整備は万端で、今はカスタムした大口径自動小銃である八咫烏を握ってはいるが戦況によって即座に武器を切り替える準備は整っていた。
「さて、狩と行こう!」
そして最後の5人目、羅刹のラモート・レーパー(生きた概念・f03606)は他の四人の気持ちの準備が整ったのを察してそう告げた。
彼らの目的はこれまで多くの猟兵たちによって追い詰められているエイプモンキーへととどめを刺すことだ。
ここまで繋いでくれた仲間たちのために敵を倒しきる、5人はその思いを旨に待ち受ける強敵へと足を踏みだしていく。
そして、こちらへと向かってくる5人の猟兵を見てエイプモンキーは笑っていた。
「キッキー!!何人来ても同じことウッキー!まとめて相手しやるウッキー!」
これまで数多くの猟兵たちからダメージを受けてはいたが、それでも自身の能力を破った者は終ぞいなかったのだ。
自分の能力に対する圧倒的な信頼が今なおエイプモンキーにあったのである。
しかし、いかに能力が強くとも必ず勝つとは限らないのだ。
加えて強敵と言えどエイプモンキーは第一関門だ。ここで足踏みをするわけには行かないのである。
「作戦通りだ!行くぞ!」
意を決したユウキは声を張り上げ、それに答えるように4人の猟兵が動きだし戦闘が始まった。
先手をとったのは猟兵たち、5人は作戦通り自身の用いるユーベルコードの詠唱を行う。
彼らのユーベルコードは総じて装備や協力者となるモノの召喚である。
「……数の暴力は偉大、Duplication」
エミリーは、周りの4人の猟兵を守るための87機の浮遊シールドを
「ドローン展開。対象を発見、のち観測せよ」
流観はエイプモンキーの動きを監視させるためのドローンを
「おねがい、レイゲン!」
『おうよ、あのエテ公に相応しい道具はこれだ!』
イサナはエイプモンキーに精神攻撃を行う本題そっちのけで惚気けてイチャつくチャラい男とその彼女のカップルを
「対象の距離及び肉質解析…問題無い。リロード」
ユウキはエイプモンキーの装着しているロボ鎧に有効な八咫烏用弾薬としてのホローポイント弾を
「『』の呼び声に従い、『』の足として『』の前に姿を現せ、デュラハン」
そして最後にラモートは3メートル弱の体長を持つ黒い狼を召喚しようとしていた。
だが――
「あれ?……でない?」
エミリーの小さな呟きが場に響いた。
「これは……」
「レイゲン?」
『はぁ?どうなってんだ?』
そう、5人とも召喚しようとしたが全て不発、原因不明の失敗に終わったのである。
「やられた……みたいですね……」
「小夜お姉ちゃんの言うとおりみたいだね。何をやったの?」
だが5人同時ともなればその原因は明らかである。
ラモートはエイプモンキーへと質問を問いかけた。
「キッキー!簡単なことウッキー!ユーたちのそれは召喚させたら面倒くさいものウッキーよ!だからミーは召喚術式を狂わして誤作動しいては中断させる装置を創造したウッキー!」
それに対してエイプモンキーはドヤ顔で自分の力を自慢していた。
ユウキはその間に創造された装置がどこにあるのか探そうと隅々まで目を光らせるが、隠されているのかそれっぽいモノは見当たらない。
「キャー!余所見は禁物ウッキー!!」
そこにエイプモンキーは飛び掛って鋼鉄の拳を叩きつける。
「させない……」
だがその拳は体を割り込ませたエミリーの大盾によって防がれた。
浮遊シールドは召喚できなかったが役目は変わらない、無いのであれば身を張るしかない。
「攻撃がなきゃ回避はできない…お前の攻撃はすべて受け止める、来なさい雑魚…」
「いい度胸ウッキー!直ぐにユーを倒してやるウッキー!」
エミリーは挑発によってエイプモンキーの攻撃を集めていた。
その攻撃は決して軽いものではなく衝撃までは消しきれない、一発毎に確実にエミリーにダメージを刻んでいた。
作戦の初段階は失敗、だがそれでも自分の役目を果たそうとエミリーは攻撃のヘイトを集めている。
「戦闘を続けるぞ!」
それ見てユウキは八咫烏を放ちながら戦闘と作戦の続行を指示する。
そう、作戦の全てが破産となったわけではないのだ。
ユーベルコード抜き、通常の攻撃を積み重ねてエイプモンキーを仕留めきるという選択肢はまだ残っていたのである。
「……借りますね、イサナさん」
「うん、いいよ」
それを受けて流観はイサナからボルトアクション式の軍用スナイパーライフルを借りて目的地へと走りだす。
悔しいがエイプモンキーのユーベルコードへの対策は万全であり、この後に予定していた多数の銃火器への対応もされることが予想できる。
であれば確実に整備されている武装で戦うのが良いと流観は判断を下し、イサナから狙撃用のそれを借りたのである。
イサナは棺桶を障害物としながら散弾銃を放つがエイプモンキーはユウキによる銃弾を含めて腕のロボ鎧で防いでいた。
エミリーに攻撃を放ちながらもエイプモンキーは周囲の状況をきちんと把握しているのである。
このままではジリ貧となってしまうだろう。
何とかエイプモンキーの隙を作る必要があった。
それの鍵を握っていたのはラモートである、彼女はこの空間にある灯を潰そうと走り出した。
乗ろうとしていたデュラハンがいないため多少の時間をかけながらラモートは一つずつ灯を壊していく。
「ちょっと多すぎないかな?」
しかしこの空間は広いためか灯となるものは無数に存在していた。
間に合わないかもしれないと焦りを覚えかけたラモートだったが、その時、遠くにあった灯が弾けとんだのを見た。
そう、ラモートは決して一人ではないのだ。
瓦礫の上の目的地へと到達した流観はラモートの手伝いに回ったのである。
2人は次々と灯を破壊していく。
「ラスト……」
そして流観の放った弾丸が最後の灯を貫き
「日を覆え、常夜の世界」
ラモートによって戦場は真っ暗な闇に包まれた。
「なっ、どうなってるんだウッキー!!」
突如として訪れた暗い闇にエイプモンキーは吠えた。
視界が奪われたのである、これではどこに敵がいるのかもわからなかったのである。
一方5人の猟兵たちはいずれも暗視によってエイプモンキーの位置を完全に把握していた。
――ターン――
「ウキャッ!!」
見えないものを防げる道理はなく、流観によって放たれた弾丸がエイプモンキーの胸部を打ち抜く。
「今がちゃんすたいむ」
そしてイサナは即座にエミリーとスイッチしエイプモンキーの正面から散弾銃を放ち、弾丸を正面から受けたたらを踏むエイプモンキー。
「おいおい、何を踊ってやがるんだエテ公?」
それを煽りながら背後から挟み込むようにユウキは小銃を連射する。
「ムキャー!!どこにいるウッキー!正面から戦えウッキー!!」
見えないままに腕を振り回し暴れるエイプモンキー。
「お猿さんこっちだよ!そっちじゃないよ!こっちだよ!」
そんなエイプモンキーを誘導、牽制するようにラモートは声をかけながら黒剣や槍で攻撃しながら立ち回っていく。
そしてエミリーは3枚の浮遊シールドを操りながら万が一を無くしていた。
銃弾の嵐がエイプモンキーを覆い続け、そのロボ鎧は崩壊寸前である。
このままトドメを刺す、ユウキは左腕のアンカーをエイプモンキーへと撃ち込み右手を巻き取った。
そしてラモートはヨーヨーで左手を絡めとった。
「よいしょっと、これで終わりだね」
イサナは撃ち尽くした散弾銃からロケットランチャーへと切り替え、流観は狙いを頭に定める。
そしてユウキが70口径のライフルであるDSR-70 Panzerbuchseを構え――3人による最高火力が一斉にエイプモンキーへと放たれた、エイプモンキーの意識は骸の海へと帰った。
「疲れた……」
動かなくなったエイプモンキーを見て、戦闘が終わったことを実感したエミリーはそう呟く。
「一時はどうなることかとおもったよ」
「そうですね……何とかなってよかったです」
それに応えるようにイサナと流観はほっと胸をなでおろしていた。
「冥府の門よ。『』の呼びかけに応じその門を開け!」
ラモートはエイプモンキーに手を添えその体を吸い込む。
「皆、特にエミリーはお疲れ様だな。でラモートはそれを何に使うんだ?」
ユウキは労いの言葉をかけながらラモートに用途を聞き
「え?食べるんだよ?」
「そうか」
突っ込みを放棄した。
●第一関門の終戦
こうして猟兵たちの活躍によって敵の幹部の一人であるエイプモンキーは骸の海へと沈んだ。
しかしこれで終わりではない、これは序章。幹部は他にも残っているのである。
キマイラヒューチャーの平穏を取り戻すため、猟兵たちは次の戦場へと向かっていくのであった。
苦戦
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