バトルオブフラワーズ⑨~斜め上の理論で戦え!
●エイプモンキーを狙え!
キマイラフューチャーの戦いは続いていた。
そして、猟兵たちはようやく、道をこじ開けることに成功していた。
「ザ・ステージを突破し、システム・フラワーズへの道が開きました」
グリモアベースで白金・伶奈(プラチナの先導者・f05249)が猟兵たちに告げる。
「しかし、ここから先はさらに厳しい戦いが待ち受けています」
キマイラフューチャーのオブリビオン・フォーミュラ、怪人軍団の大首領たるドン・フリーダムまでたどり着くには、敵の幹部を突破せねばならない。
最初の関門はマニアック怪人『エイプモンキー』だ。
「エイプモンキーはシステム・フラワーズの花が咲き乱れるエリアに潜んでいます」
花々が集まって足場になる仕掛けのある空間。ただし、エイプモンキーがいる限り、その先は必ずエイプモンキーにつながる場所にしか伸びない。
戦闘になれば、エイプモンキーは自らの想像力が及ぶ限りあらゆるものを作り出す能力を使ってくる。
それを用いて、ユーベルコードの弱点をつくのに有効なマニアックな装置や、ユーベルコードを回避するための装置、ユーベルコードの死角から反撃するマシンなどを作って反撃してくる。
ただ攻撃を当てようとするだけでは絶対に当てることはできない。
エイプモンキーを上回るマニアックな理論で敵の反撃を回避し、その上で攻撃を命中させる必要があるのだ。
「また、エイプモンキーは一度倒しただけで完全に倒すことはできません。『骸の海』から即座によみがえり、エリア内の別の場所で出現します」
だがその復活も無限ではない。短時間に連続で倒すことができれば、いずれ復活する力はなくなるはずだ。
「咲き乱れる花を足場にエイプモンキーを追い、発見して戦闘を仕掛け続ける必要があります」
足場はエイプモンキーに向かうので、追い続ければいつかは追いつけるはずだ。
「ドン・フリーダムへの道のりにはまだ他にも強敵が待ち受けています。どうか皆様の力をお貸しください」
銀河帝国を滅ぼし、スペースシップワールドを救ったときのように。
伶奈はそう言って頭を下げた。
青葉桂都
おはようございます、青葉桂都(あおば・けいと)です。
今回は怪人軍団の幹部、マニアック怪人『エイプモンキー』を撃破していただきます。
●シナリオについて
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「バトルオブフラワーズ」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
このシナリオの戦場は『⑨マニアック怪人『エイプモンキー』』になります。
●先制攻撃について
エイプモンキーは、猟兵が使用するユーベルコードの設定を元に、そのユーベルコードを無効化する武器や戦術を創造し、回避不能の先制攻撃を行ってきます。
(ユーベルコードで無効化したり相殺した後、強力な通常攻撃を繰り出す形です)
この攻撃は、ユーベルコードをただ使用するだけでは防ぐことは出来ません。
この先制攻撃に対抗する為には、プレイングで『エイプモンキーが自分のユーベルコードに対抗して創造した武器や戦術を、マニアックな理論やアイデアで回避して、攻撃を命中させる』工夫が必要となります。
対抗するためのプレイングは、マニアックな理論であればあるほど、効果が高くなります。
●エイプモンキーの撃破について
青丸が規定以上たまれば、シナリオが成功になり、エイプモンキーを撃破できます。
ただし、この戦場の戦力が残っている限り、エイプモンキーは即座にエリア内の別の場所に復活します。
それでは、ご参加いただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『マニアック怪人『エイプモンキー』』
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POW : マニアックウェポン
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【敵に有効なマニアックな装置】が出現してそれを180秒封じる。
SPD : マニアックジェット
【敵のユーベルコードを回避する装置を作り】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鎧坂・灯理
WIZだが、『反撃するマシン』と言う事は攻撃自体はさせて貰えるはず。
UCを使用し、分身と同時に全力でバイクをばらばらに走らせる。
三体を突貫させ、一体は逃げ回る。このUCの特性上、本体が攻撃されれば分身は消える。それを知っている相手は逃げ回る物を本体と思うだろう。
だがそれは分身だ。攻撃されても私たちは消えず、一瞬の動揺を引き出す。
その瞬間に三体で剣鉈の攻撃を仕掛け、向こうは防ぐ。
だが私の剣鉈だけは可変式銃器を変形させたもので、柄に銃口がある。
意表を突けるはずなので、至近距離でライフル弾を撃つ。
それも防がれた場合は……流石に油断しているだろう。
私が攻撃を受ける前に最初に倒れた分身に狙撃させる。
フロッシュ・フェローチェス
奇怪な容姿して、厄介なもの使って来るもんだ……それを打ち破るにはシンプルな裏かきから――強引な理論まで使ってカウンター返しをしなきゃだね。
ユーベルコード発動。ダッシュで近づき振りかぶり斬ろうと叩きつける!
――ま、これは回避か防御、挙動封じで終わらせられるだろうね?なら思いっ切り「驚いたふり」でもしてやるよ。
……ああそう言えばさっき、銃を下に落としててさ?
あとホロデバイスゴーグルでの情報収集で――次の位置取りの見切りぐらいは出来ている。で、此処でサプライズだ。
銃を踏みつけその勢いで銃口を、刹那の早業で敵の方へ向ける。
メカブーツの突起を引っ掛け、引き金一発。大砲弾を放つ壊銃形態の一撃だ――散れ!!
●駆け抜ける猟兵たち
グリモア猟兵によって転送された猟兵たちは、咲き乱れる花の上を移動していた。
重たそうな、奇怪な機械を身につけたマニアック怪人・エイプモンキーが前方にいる。
「奇怪な容姿して、厄介なもの使って来るもんだ……」
フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)はこの場にいる誰よりも早く、オブリビオンのもとへと駆けていく。
(「それを打ち破るにはシンプルな裏かきから――強引な理論まで使ってカウンター返しをしなきゃだね」)
考えている間も足は止まらない。神速に耐える特殊ウェアに包まれた大きな胸を揺らしながら、空気抵抗を感じさせない速度でフロッシュはエイプモンキーめがけて走っていく。
彼女と同じくらいの速度で、グレーのコートを着た猟兵が花咲き乱れる空間にエンジン音を響かせていた。
一線に切り揃えた前髪と、肩のあたりで切り揃えた後ろ髪が、改造されたマシンの震動で少し乱れる。
「反撃するマシンを使ってくるということは、攻撃自体はさせてもらえるはずだ。それをどう活用するかだな」
鎧坂・灯理(不退転・f14037)は愛用するオシャレなフレームの眼鏡ごしに、オブリビオンを睨み付けていた。
「考えはあるよ。まずは……やってみるさ!」
ダッシュするフロッシュの腕が刃状の異形へと変化する。のみならず、その刃の周りに陽炎が現れ、高熱の爪が出現した。
「加速式、鳴動――引き裂いてやるよ……!」
だが、接近してくるフロッシュを見てもエイプモンキーは落ち着いていた。
「高熱を発する爪ウッキーね。対策は簡単ウッキー。熱と反発する性質を持ったブーツ、ヒートジャンプブーツをはくだけで……」
薙ぎ払う。
その一瞬前には、エイプモンキーは巨大なブーツを作り出して、中に入っていた。
熱爪が触れそうになった瞬間、ブーツから敵がはじき出されてフロッシュの攻撃を回避してみせる。
「なっ! なんだそれはー!」
驚きの声を上げたフロッシュに対して、空中で一回転したオブリビオンが彼女を蹴りつけ、吹き飛ばした。
だが攻撃をしかける猟兵はフロッシュ1人ではない。
次いで3台のバイクが同時にエイプモンキーへと接近していく。
フロッシュに追撃をかけようとしたオブリビオンがバイクへと素早く向き直る。
3台のいずれも、灯里が乗っていた。
「分身か? だが本体は見え見えだウッキー」
3人の灯里の他に、1人だけ後方に残った灯里がいる。
オブリビオンは花に隠れるようにして距離を取ろうとするその灯里を、もちろん見逃さなかった。
「分身を作っている本体を見極めて叩く、のび~るアイアイがお前を追い詰めるウッキー」
エイプモンキーの眼前に、目のようなものがついた球体が現れた。
球体は紐状になり、後方にいる灯里へうねりながら伸びていく。
だが、灯里を貫く寸前、伸びていくそれが止まった。
「なに? あれが本体じゃないウッキー?」
驚きの声をエイプモンキーがあげた。
「気づいたか。だが、もう遅い!」
接近する3人の灯里が剣鉈を振り上げる。もっとも、召喚中の本人には戦闘能力がないのでポーズだけだ。
「いいや、間に合うウッキー!」
高速で伸びた目が背後から灯里を貫き、分身たちが消える。
力を取り戻した灯里が剣鉈を握り直すが、その時にはもうエイプモンキーの拳が彼女に迫っている。
伸びる目はあくまで相殺のための攻撃だったが、その拳は灯里を倒すための本命の攻撃だった。
(「予想とは少し違うが……防がれるのは想定のうちだ!」)
おそらく、剣鉈を振り下ろすよりもエイプモンキーの拳が当たる方が早かっただろう。
ただ、その剣鉈は、剣ではなかった。物理法則を無視して変形する可変銃器。
柄に開いた銃口からライフル弾が飛び出し、灯里の眼前を通過して敵へと突き刺さる。
エイプモンキーの拳は止まらず、灯里を花の道から叩き落とすが、銃弾は敵の体を確かに貫いていた。
血の筋を残しながら、改めてオブリビオンはフロッシュを吹き飛ばした方へと体を向けた。
手の中にはおもちゃのボールがすでに現れている。
よろめきながらも立ち上がったフロッシュへと振りかぶる。
飛び道具を持っていないと判断したらしく、反撃を警戒していない動きだった。
「……ああそう言えばさっき、銃を下に落としててさ?」
フロッシュが言った。
「ウッキー!?」
彼女は反撃をわざと受け、銃を落としておいた場所に飛ばされるよう仕向けたのだ。
拾うのは間に合わない。
ボールはすでに敵の手を離れている。
だが、銃の場所はホロデバイスゴーグルに映っていた。
アタッチメントで壊銃形態に変化させた撃銃・刻天炉のストックを踏みつけて銃口を敵に向ける。
メカブーツから飛び出した突起を引き金に引っかける。
「大砲弾を放つ壊銃形態の一撃だ――散れ!!」
砲弾とボールが交差し、同時に互いを吹き飛ばす。
花の足場から落とされながら、フロッシュは敵を見上げた。
さすが幹部級というべきか、エイプモンキーはまだ健在だった。
けれど、灯里が開けた銃創が砲弾の衝撃で大きく広がり、足元の花を血で濡らしている。
エイプモンキーは態勢を立て直そうと花の道を逃げようとするが、他の猟兵たちはすでに追いついてきて、攻撃に移ろうとしていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
星群・ヒカル
よっすマニアック怪人
思う存分てめーの知識を見せてみろ!
『銀翼号』に乗って走り出し突撃
……すると思ったか!
敵が射程範囲内に入ったら『超宇宙・真眼光波動』を使用する!
プリズムと鏡か
複数個で光を散乱+収束させれば反射攻撃もできる訳だな
初撃カウンターは『視力・第六感』で回避しよう
だが全てのエネルギーは、最後は熱に変換されるんだ
光エネルギーで周囲は温められた
そこに銀翼号のガトリングガンの弾薬を分解し取り出した爆薬を『迷彩』でばらまいてから
ぽい(スプレー缶とライターを投げ入れる)
爆風からは『騎乗・逃げ足』で回避
ちなみにバイク転倒の時はバイクを蹴飛ばすのが得策なんだ
このおれが何回銀翼号でこけたと思ってる!!
●銀の翼の超宇宙番長
また別の排気音が花で満たされた空間に響いた。
シルバーメタリックに輝く宇宙バイクを駆って現れたのは、超宇宙学生服に身を包んだ1人の男。
超宇宙学生帽の額に、超宇宙の徽章を輝かせた星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)は、花の道を正面から突っ込んでいく。
「よっすマニアック怪人。ケガしてるとこ悪いが遠慮はしねえ。思う存分てめーの知識を見せてみろ!」
「いい挑戦だウッキー! なら、来るがいいウッキー!」
ダメージを受けた体でも、マニアックな知識について挑戦されれば、オブリビオンも受けるよりない。
「だったらこのまま銀翼号で突撃……すると思ったか!」
「なにっ?」
「その目に焼き付けろ。これが……超宇宙番長の輝きだッ!」
星映す銀の瞳より、魔力光波動を周囲へと放つ。
光の速度で近づく攻撃を前に、エイプモンキーはニヤリと笑った。
「その攻撃は眼光に宿った魔力を光に変えて攻撃するものだな。ならはこちらも眼光で対抗するウッキー!」
エイプモンキーが両手の中に作り出したものは薬のようだった。それも目薬だ。
「歪空点眼薬を作り出した。これをさせば、にらみつけた空間を歪めて光を自在に反射・屈折させることができる」
胸についた巨大な機械の顔に目薬をさすと、それが厳めしい顔を作った。
襲いかかる魔力光は、すべて防がれたのだろう。光が縞模様や奇妙な濃淡を形作ったことでヒカルはそう判断した。
「つまり、見た場所が全部鏡やプリズムになるってわけか! ……で、使いようによっては反射攻撃もできるってわけだな」
予想していたこと、そして直感でオブリビオンが彼の技を逆用して攻撃してきたことをヒカルは察した。
だが、察したときにはすでに光がすぐそばまで迫っており、もう回避が間に合う状況ではなかった。
色物のようでも敵は強力なオブリビオンだ。ただ技術を頼りにかわそうとしてもかわせはしない。
銀翼号にまたがったまま、ヒカルが光に飲み込まれた。
「終わったウッキー」
「いいや、まだだぜ」
光が消え去ったあと、倒れていたのは銀翼号だけだった。
ヒカル本人は、もう数歩下がったところに立っている。
「バイク転倒の時はバイクを蹴飛ばすのが得策なんだ。このおれが何回銀翼号でこけたと思ってる!!」
彼を救ったのは銀翼号と、そしてバイクでつちかった知識だった。
エイプモンキーはさらに攻撃をしようとしたが、反撃の準備はすでに整っていた。
「教えてやるぜ。全てのエネルギーは、最後は熱に変換されるんだ。光エネルギーでこの周囲は十分温められた。熱された空気の中で爆発を起こせばとうなると思う?」
片手にスプレー缶を持ち、もう片手には火薬を握り込む。
「その体で試してみやがれ!」
そして、可燃性のガスと火薬をばら撒いた空間にライターを放り込むと、巻き起こった爆発が花を吹き飛ばす。
花の道から落ちていくヒカルは、エイプモンキーもまた落下していることをしっかりと確かめていた。
成功
🔵🔵🔴
幻武・極
へえ、なかなかカッコいいロボだね。
ボクが直接相手をしてもいいけど、今回はこのモフィンクスが相手をするよ。
モフィンクスの召喚条件はキミと同じユーベルコードの弱点の実証
なら、先制攻撃になってしまうキミならではの弱点は
『ボクのユーベルコードの弱点を指摘すれば、それはキミのユーベルコードの弱点となり、それを実証した瞬間キミのユーベルコードの弱点を実証したことになる。よって、180秒間ボクのユーベルコードは封じられるが、180秒後にボクのユーベルコードが発動しキミのユーベルコードが封じられる。』
ボクはこの180秒間をオーラ防御、時間稼ぎ、武器受けを駆使して耐え抜き後に続く猟兵に託すよ。
御宮司・幸村
【SPD】
攻撃を予想する装置、ねえ?
エンドブレイカーさんの前では、そんなの何の意味もない
説明書によると―
相手の『エンディング』を見る能力を持ち、『エンディング』に関わる出来事に積極的に関わることで、定められた運命を破壊し、変更することができます
と、ある
つーまーり、あのモンキーの未来は骸の海に帰る未来以外存在しない!
では『詠唱』!
あっ、ちなみにエンドブレイカーさん達は、不幸な『エンディング』を見てしまうと、その結末を叩き潰さずにはいられない気質がある人達だから、逃げ切れると思わないでねー?
●モフィンクスの降臨
爆発の影響で落下したエイプモンキーの元に、花で作られた道が伸びていく。
猟兵たちは花の上を突き進んでいく。
大きな傷跡から血を流すオブリビオンは、接近してくる猟兵に気づいて跳ね起きる。
「へえ、なかなかカッコいいロボだね」
告げたのは、鋭く黒い二本角を生やした羅刹の少女だった。
「ボクが直接相手をしてもいいけど、今回はこのモフィンクスが相手をするよ」
幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)が突き出して見せたのは、モフモフとしたスフィンクスのぬいぐるみだ。
「ずいぶんと可愛らしいウッキー。けど、動く様子はないウキね?」
エイプモンキーはもふぐるみを見つめて言った。
ジリジリと距離を詰めていく猟兵たちから、敵も同じだけ後退している。言葉をかわしながらも、オブリビオンはしっかりと攻撃に備えているようだ。
「ユーの能力は相手の弱点を見抜いてそのモフィンクスに封じさせるウキね。弱点はもちろん、相手の弱点を見抜かなきゃならないことウッキー」
「だろうね。けど、ボクのユーベルコードはキミのと同じタイプの能力だ」
語るエイプモンキーへと身構えたままで、極は告げた。
「ボクのユーベルコードの弱点を指摘すれば、それはキミのユーベルコードの弱点となり、それを実証した瞬間キミのユーベルコードの弱点を実証したことになる」
リスクを恐れぬ強い意志は、続けてきた武術を修行の賜物か。
「実証したところでユーベルコードを封じてしまえば関係ないウキ。召喚封じの空間シャッターを作ったウッキー。これでもう、どこからも召喚はできないウキ」
ニヤけた笑みを浮かべたまま、エイプモンキーは透明な壁を金属音と共に花で満たされた空間に下ろした。
ここまでは想定通り。
そして、エイプモンキーが拳を振り上げて襲いかかってくることも、わかっていた。
オーラをまとい、魔法拳で受けの姿勢を取り、重たい機械の拳をしのごうとする。
けれどその守りの上から痛烈な打撃が極を襲った。
180秒耐えれば今度はモフィンクスが敵のユーベルコードを封じるはず……しかし、ただ身につけた技術を使うだけで耐えるのはたやすいことではない。
エイプモンキーは他の猟兵たちの攻撃をしのぎながら極への攻撃を続けた。
それでもしのぐことができたのは、これまで他の猟兵がつけた傷でいくらかなりと敵の動きが鈍っていたおかげだろう。
少女が花の足場から叩き落されたのは、180秒が経過するのとほぼ同時だった。
「モフィンクス……見張りを任せたよ」
出現したモフィンクスに呼びかけながら、極は足場から落ちていく。
仲間の1人と目が合った。
「後はおじさんにお任せだよー。まあ、おじさん召喚しかできないけどねえ」
御宮司・幸村(いいかげんサマナー・f02948)の言葉に、極は応えようとした。
けれど力はもう入らず、彼女はただうなづくことしかできなかった。
「さあて……攻撃を予想する装置、ねえ? エンドブレイカーさんの前では、そんなの何の意味もない」
幸村は赤いヘッドマウントディスプレイで目を覆ったままエイプモンキーへと近づく。
ユーベルコードが封じられているうちにと、他の猟兵たちも攻撃をしかけていた。
「説明書によると――相手の『エンディング』を見る能力を持ち、『エンディング』に関わる出来事に積極的に関わることで、定められた運命を破壊し、変更することができますと、ある」
召喚する異世界の存在についての説明を読み上げる。
「つーまーり、あのモンキーの未来は骸の海に帰る未来以外存在しない!」
コントローラを手に、幸村は召喚の操作を行った。
「似て非なる世界で生きし異世界の者よ、今こそ並列世界の門を開け、我が呼び声に応え顕現し理不尽な終焉を破壊せよ。終焉を終焉させる者!」
数字が刻印された勇者が召喚に応じて現れる。
エイプモンキーは花の道を走って逃げていくのが見えた。
「あっ、ちなみにエンドブレイカーさん達は、不幸な『エンディング』を見てしまうと、その結末を叩き潰さずにはいられない気質がある人達だから、逃げ切れると思わないでねー?」
エンドブレイカーたちが追いすがり、オブリビオンへと攻撃を続ける。
けれど、その攻撃が続くうち……突然、その攻撃がエイプモンキーをすり抜けた。
「ユーの能力は運命を砕く者を呼ぶようだな。ならば、運命再建装置を作れば、ミーが勝利する運命を取り戻せるウッキー」
機械でできた鍵を手に、オブリビオンが幸村へと近づいてくる。
いかに強力な存在を呼び出そうとも、ただ呼んだだけではエイプモンキーはそれより強い『なにか』を想像し、創造してくるだけなのだ。
エイプモンキーの背中から伸びる巨大なトゲによってなぎ倒され、幸村は花の足場から叩き落される。
けれど、極のおかげで召喚したエンドブレイカーたちは敵に浅からぬ傷を与えている。
骸の海に帰る未来は、確実に近づいていた。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
大神・零児
敵行動予測
【自身からレベルm半径を覆う自分の意識】意識範囲拡大を封じる
【それを用いた対象全員の意識に触れる感覚】自身の意識を隠すかダミーを掴ませる
【その感覚により敵意を可視化し回避する意識】敵意を隠す
だが、敵意以外の意識すら創造物や所持していたありとあらゆる物に乗り移るし無機物にも存在を保つための意識はある
システム・フラワーズの花も
UC全開
俺の意識拡大を封じるなら俺の意識に触れなければならない
ならば封じようとしている意識に俺の意識を這わし、敵の意識がつながっている創造物やエイプモンキーが乗り込んでいるメカ、又はシステム・フラワーズの花の意識にも俺の意識を這わせ、それらの意識の波を読み回避と攻撃
メルノ・ネッケル
早速ガンスピンを開始!
とはいえ、ただの銃撃は防がれるんがオチ。
そう、うちのUCの弱点は「攻撃が銃頼り」なこと。
……だから、撃たへん。
スピンを続けながら攻撃を【見切り】、回避に専念。
UCの弱点を攻めてくる以上、妨害の為に銃の破壊・無力化を優先するはず。
そこを意識すれば、時間は稼げる!
向こうには滑稽に映るやろな、潰される攻撃手段を必死に強化しとるんや……そこが付け入る隙。
銃を潰されてからが本番や!
……このUCが強化するのは"戦闘力"。
射撃能力だけやない。その中には純粋な"身体能力"も含まれとる!
潰したと思った奴からの急襲、これにかけるしかない。
地を蹴って、懐に入って……思いっ切り、ぶん殴ったる!!
●拡散する意識
傷ついたエイプモンキーへと、猟兵たちはさらに追いすがる。
咲き乱れる花に隠れて攻撃をしのごうとしているオブリビオンの前に飛び出したのは、妖狐の少女だった。
「回れよ銃よ、回れよ回れ……ってな」
メルノ・ネッケル(火器狐・f09332)はエイプモンキーと対峙すると、愛用のリボルバーを素早くスピンさせた。
それも1回ではなく、何度も。
「わかりやすいウキ。ユーの能力は、銃をくるくる回してパワーアップすることウキね」
「せやな。けど、見破られてたかてウチが勝つにはこうするよりないんや」
もとよりメルノの技は見切られやすくなるのが前提の技。
とはいえ、考えもなしにただガンスピンを行っているわけではない。
エイプモンキーは今のところ、メルノの意図を見抜いている様子はなかった。
「残念ウッキー。見え見えの攻撃を見逃してやるほど、ミーは甘くないウッキー」
その反応も、予想から外れてはいない。
「その技の弱点は銃を使わないと発動しないことウッキー。対策は簡単ウキ」
エイプモンキーの手に、ハサミが現れる。
「これはガードカッターウキ。空間を超えてトリガーガードを切り、ガンプレイができないようにしてしまうウキ」
刃がこすれる音が花々の間に響く。
銃を狙ってくることを予想していたメルノは、とっさに後方へと飛び退いた。
けれど、さらに二度、三度と攻撃を受ければかわしきれるものではない。そもそも、敵は離れた位置からハサミをメルノの方に突き出しているだけだ。
攻撃を受けながらも彼女は銃を撃たない。
(「撃ったところで意味あれへん。それよりも隙を作るんや」)
幾度目かの音が響いた瞬間、指にかけていたトリガーガードが落下し、メルノの手からリボルバーがすっ飛んでいった。
「ウチのリボルバーが!」
飛んでいった重に目を向けた瞬間、エイプモンキーが襲いかかってきた。
両腕を組んで、メルノの上から振り下ろす。
痛烈な一撃が狐耳の生えた彼女の頭を襲った。
衝撃を受けて花の足場にメルノは叩きつけられた。
(「けど……銃を潰されてからが本番や!」)
エイプモンキーはメルノを撃破したと判断したのだろう。花をかき分けて振り向く音が狐の耳に聞こえてきた。
オブリビオンが振り向いた先にいたのは、狼頭の男だった。
「俺の相手もしてもらうぜ、エイプモンキー。ご自慢の想像力で俺の技も見切ってみろ」
妖刀『魂喰』を手にした大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)は、オブリビオンへ告げると自らの意識を拡大し始めた。
「ユーはさっきのキツネよりは複雑な能力ウキね。けど、ミーのマニアック知識をもってすれば見抜けない能力なんてないウッキー」
広がりゆく意識を、敵は果たして看破しているのかどうか。
「どうやらユーの能力は精神を拡散させて知覚を強化する能力ウキね。ミーの敵意を感知できるウキ。普通なら防げるはずがないウキが、ミーの想像力にはかなわないウッキー」
その言葉と共に、エイプモンキーの頭部を覆うカバーに赤く輝くもう1枚のカバーが重なった。
「精神遮断シールドを作ったウッキー。これでもう、ユーの心はミーに届かないウキ」
勝ち誇った笑みを浮かべてオブリビオンが言う。
そして、敵は花を蹴散らして零児へと突進してきた。
だが、零児は接近してくる敵の姿を静かに見ているだけだった。少なくとも、はたからはそう見えたはずだ。
「……勘違いしているぞ、エイプモンキー」
「なんだとウッキー!?」
「意識は創造物や、持っていたありとあらゆるものに乗り移る。そして、無機物にだって自らの存在を保つための意識がある」
突進をかわし、狼の黒瞳が静かにオブリビオンを見つめていた。
「なら、シールドをユーの方にかぶせれば解決だウッキー! 自分だけがかぶれるものじゃないウキよ!」
想像力の及ぶ限り、なんでもできる能力。
けれど、想像力が及ばないものには力も及ばない。
「そのシールドが俺の意識を封じるということは、シールドに俺の意識が触れるということだ。そして、シールドにはお前の意識がつながっているぞ、エイプモンキー!」
システム・フラワーズの花々に、エイプモンキーが乗り込んでいるメカに、そしてエイプモンキーそのものに、零児の意識が伸びていった。
薙ぎ払う機械の腕を再び彼は回避する。
刀に手をかけたままさらに攻撃をかわして……そして、零児は敵を倒れているメルノの近くへ誘導する。
彼女が本当に倒れたわけでないことを、拡散させた意識で触れて理解していたからだ。
「今だ!」
「ああ、礼を言うで!」
合図の言葉の意図を理解したメルノが跳ね起きて一気にエイプモンキーの懐まで踏み込んでいく。
「ウチがガンスピンで強化しとったのは銃だけやない。それを使う、ウチ自身の身体能力もや! 思いっきり、ぶん殴ったる!」
狐の羽衣から仕立てた紺色のコートが花と共にひるがえり、少女の拳がエイプモンキーへと命中する。
衝撃を受けたメカに開いていた大きな穴から、ヒビが広がっていく。他の猟兵がつけた傷が広がっていき、小さな爆発が起きた。
さらに広がった穴から改めてエイプモンキーの血が噴き出した。
そこに、エイプモンキーの攻撃で足場から落とされた猟兵たちも駆け付けてきて攻撃を加えていった。
もはや敵は瀕死の状態だった。
「これで――止めだ!」
意識を探り、零児は妖刀を突き出す。
零児の意識に触れてユーベルコードを封じられたエイプモンキーに、それを防ぐ手段はもはやなかった。
操縦席のカバーを砕いた魂喰の切っ先がエイプモンキーの頭を貫いて、オブリビオンを骸の海へと送り返す。
まだ蘇ってくるだけの力が残っているかどうかはわからないが……完全なる滅びへと、エイプモンキーはまた一歩近づいていた。
大成功
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