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天下自在の兵~山陽月に咆えよ剣~

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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「小さい、小さい、小さいねぇ!! おめえら侍どもが、雁首揃えてオレ一人に何にもできねえかぁ!?」

 刃についた血を乱暴にぬぐい、狂ったように笑う者、手に持つは業物《同田貫》。
 天下泰平の世に血に狂った剣豪一人、時代錯誤に闇に咆える。

 狂犬討つべし、ある大名の一声にて集められた手練れ、その数三十。
 瞬く間に狂った剣豪を追い詰めた……が、その顔に浮かべるは狂笑のみ。
 夕暮れに始まった討伐も、気が付けば星が煌めき月が昇る。
 誰一人として動けなかったからである、その狂った剣豪の間合い……なんと約20尺にも及んだからである。
 『踏み込めぬ……』手練れの侍三十が動く事さえ出来ずにいた間、怪物はなんと餅を喰ろうておったのだ。
 表情崩さず、近くの村で貰ったその餅を喰い終わり、小さくをあいきを漏らし構えをとった刹那――闇夜に血の華が咲き乱れる。
 その数三十……最大の間合い20尺、天狗の一蹴り空を蹴り、同田貫を振るえばその数だけ首が飛ぶ。
 《飛刃縮地の構え》恐るべし! 《剛なる居合い》恐るべし!!

 こうして冒頭の通り、一人の剣豪に侍三十人は殺されたのだ。
 つまらぬつまらぬ、イラつきを覚えた剣豪は唯一人、死に切れなかったもっとも手練れであった侍の言に耳を貸す。

「わ、われらに……勝とう、とも……彼らには、勝てぬ……天下自在符を持つ兵(つわもの)には、な……。」

 血反吐を吐き、呪うように、されど希望を込めて殺人者である剣豪に告げる。
 あぁ、侍よ……その一言感謝し候。
 あざけるように笑いながらへりくだった剣豪は、同田貫を手向けとばかりに突き入れ血の花を咲かせると、呪いを始めたではないか。

「クハハ! では外来の兵(つわもの)を斬ろうでは無いか! 楽しみじゃ! 楽しみじゃ!!」

 あぁ! 力に狂いし剣豪は切り捨てた侍共を鬼として蘇らせる!
 鬼は全身を血のように紅に染めながら、悶え苦しむ声を上げて立ち上がり……命じられたままの山を駆けた。
 その行先は剣豪が先ほど立ち寄った村……餅を貰いし恩を仇で返す。

「村の一つや二つ、焼けば奴らも出てこよう、楽しみじゃ! はよう出てこい外来の! 兵(つわもの)斬るはもうすぐぞ!」

 狂いし剣豪、悠然と歩み、月を見る――あぁ、良い月だ、死を感じる良い月じゃ。

「お前さんら緊急事態じゃーーーー!! サムライエンパイアで村がピンチなんじゃ!!」

 グリモアベースで騒ぐのはプリマステラ・リコールド。
 話を聞けばもう村の近くまで鬼の群れが迫っているという。
 鬼は棍棒を持ち、死者の霊をも操る強敵である。

「鬼の数は30! 全員オブリビオンである剣豪に殺され、呼び出された化け物じゃ!」

 プリマステラの顔色は青白く、凄惨な予知を見た事が伺える。
 敵は元用心棒であった剣豪で、その実力は恐ろしく、特に必殺の居合とそれを強化する構えによって相手が痛みを感じる間もなく両断するらしい。
 剣豪の目的は猟兵達と戦い、斬る事……ただそれだけの為に村を焼き討ちしようというのだ。

「このままでは村の皆が殺されてしまう……お前さんらの力を借りたいのじゃ! なんとしても村を護ってくれい!」

 村では全員総出で餅つきの準備をしている。
 今から避難を始めても間に合わないだろう、だが幸か不幸か敵の目的は【猟兵と戦う事】なのだ。
 正々堂々と戦う姿を見せれば村を襲う事は無いだろう。

「大丈夫じゃ、お前さんらなら絶対に勝てると信じておる! 戦いが終わったら餅つきに加わろうでは無いか!」

 プリマステラは最後には微笑むと、猟兵たちに戦いの後に餅つきが待っていると告げる。
 彼女は信じているのだ、猟兵たちの強さを……剣豪なんかに負けはしないと!!
 かくして猟兵たちはサムライエンパイアへと送られる、時間は早朝――敵は既に眼前に!
 猟兵たちよ、雷火の如く悪を断て!


伊吹ノ樹
 年末年始ですね猟兵さん!
 というわけで伊吹ノ樹でございます。
 今回はサムライエンパイアでシンプルな戦闘中心のシナリオでございます!

 敵は人斬りに狂った元用心棒、初戦は彼に操られる鬼を、第二戦で彼と相対します!
 時代小説のようなカッコよいシナリオと文章を書けるように頑張りますね!

 そして戦闘が終われば第三章でお餅つきですよ!
 大食いもよし、調理する側に回るも良し!
 新年っぽさを感じるシナリオを楽しんでいただけると幸いです。

 では、参加して頂けることを祈って……よろしくお願いします!
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第1章 集団戦 『棍棒鬼』

POW   :    鬼の金棒
単純で重い【金棒】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    怨念疾駆
自身の肉体を【怨念の塊】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    死武者の助太刀
【落ち武者】の霊を召喚する。これは【刀】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:桜木バンビ

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フィン・スターニス
村が無くなる
その様な事は、二度と見たくありません。

村に近付きすぎる前に、先制攻撃で
第七災禍・紫の崩壊を使用します。
「貴方達がこの村の災いとなるのなら、
私は、貴方達に対する災いとなりましょう」

攻撃のついでに、地形破壊で、
集団の足並みが崩れれば、
幸いでしょうか?

その後は、村に入れぬ様、
近づく者を優先して攻撃をします。
戦闘は薙刀を用いての、回避を重視したカウンター戦法。
見切りや、第六感も駆使し
迎撃します。


己条・理鎖
正々堂々ですか……。正面切って戦うのはあまりやりたくないのですが仕方ないですね。

【SPD】重視
敵から隠れず姿を見せておきます。
ただし、鬼の集団からはスピードを活かし常にある程度距離を取ります。
また【錬成カミヤドリ】を使用し私の本体である鎖を複製しておきます。
戦闘開始後は相手の動きを注視し攻撃を見極めます。
怨念の塊になるなら外見に変化が出そうですね。
そうして攻撃を予想し回避と同時に、複製した鎖達で敵の攻撃の隙をついてこちらの攻撃を叩きこみます。


御剣・神夜
正に外道の所業ですね
同田貫を使うとは中々の手練れと見ました。私と同じ剛剣の使い手でしょう
では、士道というものを教えるためにこの鬼たちには安らかな眠りをあたえましょう
憎むべき相手に使われるなど、これほどの屈辱はないでしょうから

金棒は振り下ろされる前に距離を詰めて威力が乗る前に受け止めて鍔迫り合いの形にする
怨念疾駆は移動する方向を冷静に見極め、移動先に動く
死武者は刀を使う奴が邪魔な位置にいるなら鬼と一緒に斬り、弓矢なら邪魔にならない限り放っておく
「悔しいでしょう。仇に使われて。今解放してあげます。その苦しみから」


叢雲・秋星
伐るべき悪は定めた、村人を救えという願いも受けた。ならば、後はそれを行うのみ。それがこの身に与えられた意味だ。

30人の鬼の前に立ち塞がる。村への影響を与えないように出来るだけ離れた場所で。
手から自身の本体たる赤黒い刀を生み出し、妖剣解放を行使する。赤黒い怨念を纏い、遠距離ならば怨念の衝撃波、近距離ならば直接斬撃で攻撃を行う。
敵の首の身を狙い、削ぎ落す。ダメージを受けている敵には【傷口を抉る】でダメージを加速させる。
敵の中心に躍り出て剣術で鬼を屠る。誰一人として突破させる訳にはいかない。


ベール・ヌイ
「用心棒とか・・・どうでもいいけど・・・鬼なら・・・斬る」

火鳥乱舞で鬼を撹乱させ、鬼殺で一匹一匹「殺気」を伴って斬り殺していきます
相手の攻撃は鞘を使って「武器受け」します、もし攻撃を食らったとしても「激痛耐性」で気にせず斬りかかります

大義名分とかきにせず、自分の復讐のために鬼は全部殺す


清川・シャル
f01154
うさぴょんと同行

鬼さんこちら!私も鬼でーす!

軽やかにシャル参上!
鬼って大きいですよね〜
対抗しなくては!
私はこれでっ!
装備「ぐーちゃん」を初めとする全装備からの発射攻撃「爆竜戦華」でーす
そいやー!

「SchallVoice」でシャウトして、呼び出した「amanecer」で増幅し、誘惑と歌唱効果で精神攻撃とか効かないかな?

まぁ攻撃効けばいいですよね
金棒「ThornSociety」準備ー
私小さいので足元目掛けてフルスイングして回りますね
地面におやすみなさーい

攻撃は金棒で受け流すスタイル

何やらうさぴょんが足元でうろついてるのでちゃんと避けますよっ
コンビネーション決まるといいんですけどね


鷲生・嵯泉
無辜の民を襲撃する、か
到底見過ごせるものではあるまい

【残像】を利用して攪乱しつつ
【忍び足】を使っての死角移動を駆使して
剣刃一閃で当てる事に集中した攻撃を加える
相手の攻撃を躱し切る事は難しいだろうが、多少の傷など構わず
攻撃する事を優先して動く
敵剣豪は最奥にいると仮定して、急ぎ向かうとするならば
全てを斃して行く事は必要ないのかもしれないが
敵を残して進むというのは、どうにも不快だ

……いや。敵では、ないな
お前達も元は民を守る為に集まったのだろうに、今はその姿
その無念、解る等とおこがましい事は言わん
だが、遣り残した事を引き受ける位の事は、私にも出来よう
心置き無く、逝くがいい


勅使河原・源蔵
カッカッカッ、血気盛んじゃのう。
楽しみか、斬りたいか、死を感じるか。
良いぞ良いぞ、剣豪とはそうでなくてはのう。
身を断ち、首を刎ね、敵を屠る手応えに生を感じる。
それこそが儂等の生き様よ。
死人相手となれば遠慮も要らぬ。
血生臭い戦場で思う存分に死合うとしようぞ。

此方が出迎えれば寄って来るとは好都合じゃのう。
襲い来る鬼共を片端から撫で斬りにしてやるわい。
『降魔化身法』、我が身に宿れ魑魅魍魎。
さあさあ、悪鬼羅刹が此処にもおるぞ。
恐れ無くば掛かって参れ。
さりとて鬼では『残像』を斬るが関の山かのう?
此方も儂一人ではないのじゃし、其方は三十しかおらぬのじゃ。
容易く減ってくれるでないぞ。
――カカッ、愉しいのう。


微笑本・ウサ氏
f01440清川氏と同行
一人称 小生
二人称 苗字+氏 You

数30?何と小イベ
サークル人数2人と壁サー8人と考えたら島7壁2オンリーイベントでも少ないでござるよ

清川氏が鬼を挑発している間に地形の利用
足元の草をせっせと結ぶ転ばずとも一瞬足が止まれば儲け

他の狩兵が掛かってしまったらそれに襲い掛かる鬼に背中から切り掛る

ナウ剣で受け流し背中の死角から蛇尻尾に咬ませたexカリをぶっ刺す能ある鷹は爪スタイル
バールを刺し長物ナウ剣で袈裟斬りをしバールを離し蛇尻尾からガチキマ攻撃

斬った鬼は足蹴にして盾ににするか狩兵にパスしてフィニッシュ

始発ダッシュで鍛えた脚力と数十万を相手取る回避と目的を狩る鷹の目と判断能力


立花・桜華
村人達の平和を脅かす敵を止めるよ!
皆頑張ろうね!

【鬼との集団戦】 
敵は多数、ここはどんどん倒していこう!
足を止めたら数に圧倒されそうだね、スピードで翻弄する
シーブズ・ギャンビットを用いて高速戦闘を行うよ
投擲用ナイフを敵へ投擲して攻撃し身軽になることで更なる加速を行う
先制攻撃とダッシュを用いて敵に一気に接近し、怪力による重い一撃を叩き込む
第六感や野生の感を用いて敵の行動を予測し、残像と見切りを活用してフェイントを交えつつ回避またはダメージの軽減を狙う
回避出来たらカウンターとして2回攻撃
毒使いとして武器に毒を付加しておき、一撃で仕留められなかった敵の動きを阻害
深追いはし過ぎず仲間と協力するよ!


キョウ・ヴァゼラード
己が力を見せつける為に非道を行うなど断じて許すわけにはいかぬ、我が聖剣にて成敗してくれよう!

「死者を鬼と化し冒涜するか…許せん!」
鬼となった彼らを救うのは、せめて聖剣の一刀にて速やかに昇天させる他ない。
高速詠唱で聖剣解放を行い、鬼の群れに斬り込む。

「仇は討つ、安らかに眠れ」
力を解放した聖剣を怪力と二回攻撃に薙ぎ払いの力を乗せて振るい、光の刃で鬼を纏めて斬り伏せる。
戦術知識を駆使して無駄の無い攻勢、立ち回りを心がけて素早く軍勢を屠る、本命はこの後に控えているのだから。
「出て来るがいい、墜ちた人斬りよ!
剣を誇りながら高みの見物で我らの力を見ようなど、臆病者のやる事であるぞ!」



●第一の兵。

 村近くに流れる小川の影響か、いつもより厳しい冬の空気がキンと素肌に刺さる。
 時刻はざっと暁七つ、いまだ薄暗き街道にてフィン・スターニスは薙刀【白霧】を構えじっと待つ。
 その薙刀、朝露を受け闇夜に煌めく後光を纏う業物、それもそのはず、とある神社に奉納されし神宝なのである。

(鬼たちに襲われれば村は持たないでしょう、そうならないようにするのが私の使命。) 

 眼帯に隠れ見えぬフィンの瞳、されど纏う気迫にて尋常ならざる【意思】を感じる。
 フィンの脳裏に浮かぶのは自分を育ててくれた宮司といた村の記憶、既に失った村の二の舞を演じるべからず。
 鴉羽の髪をしととに湿らせ鬼を待つ。

「来ましたね。」

 静けさを裂く苦悶の雄たけび、その数三十――怨念に操られし悪鬼の襲来である。
 村を守るは九人の兵、その中の一人であるフィンは流れる所作で薙刀を構えると一足――悪鬼に向かい地を蹴った。

「貴方達がこの村の災いとなるのなら、私は、貴方達に対する災いとなりましょう。」

 言の葉を言い捨て薙刀の石突で地を叩く、瞬間鬼どもの頭上に巨大な岩が生まれたでは無いか。

「封印解除。紫色の魔力を糧とし、第七の災い、此処に発現せよ!」

 水が高きから流れ落ちて滝となる如く、頭上に現れた巨石はそのまま鬼の眼前に落ち地を砕き、三十の鬼の足並みを乱す。
 足を崩された悪鬼は散兵となり各々獲物を狙い動き出した、だが待ち受ける兵と個々で相対する結果となる事を操られた身では考えつかぬのであった。

「ここから先は通しません。」

 地を崩したのち、土埃に紛れ村の入り口に陣取るフィン、薙刀の構えは時が止まったかのようにピタリと動かず、城壁が如く立ちふさがった。
 目の前には一匹の悪鬼、その手に二尺7寸ほどの鉄の金棒を持ち現れる。
 問答不要、ただ操られし悪鬼は血に狂った獣の如く地を蹴った。
 その一撃は大地を砕き、貰ってしまえばフィンの骨など粉々と見える。
 フィンで無ければ、猟兵でなければ恐怖で動けぬ圧を伴った金棒、されど目の前にいるのは両目を隠しし兵(つわもの)である。

 ――隙、見つけたり。

 フィンの薙刀は半円を描き、縦に振るわれた金棒を横からコツンと柄で叩く。
 軽くたたかれた金棒はみるみる軌道を変え、フィンの真横3寸に落ちたのだ。
 慌てて横に薙ごうとするも、悪鬼の首元には刃あり、白露の刃あり。
 刹那の果てに鬼の首は宙を舞う、これにて悪鬼仕留めたり。

 ●第二の兵。

(正々堂々ですか……。)

 悪鬼を待ちし兵が一人、己条・理鎖は思案する。
 肌を刺す空気が思考を早くし、戦場を駆ける鬼たちを正確に捉えていた。
 されど理鎖は忍びである、影から影へ、正々堂々、正面切ってのやり取りをあまり好ましく思っていない。
 ――が、出来ないかと言われれば否である。
 放っておけば鬼の数匹は村へと入るだろう、鬼たちは望む望まぬに関わらず、怨念に操られ村人を殺す。
 そうならぬように理鎖はわざわざ身を晒すのだ、まるで餌があると告げる様に。

「来ましたね……三匹同時。」

 理鎖を捉えし鬼三匹、そのうち二匹が棍棒を振りかぶり駆け、残りし一匹は怨念へと身を変じ始めた。
 やっかいな、溜息をつきたくなる状況であるが理鎖は両手をだらりと下げると、姿勢を低くし地を蹴った。
 ついで聞こえる金属音、じゃらじゃら、じゃらじゃら――その音、ヤドリガミである理鎖によって生み出されし鎖である。

「まずは二つ。」

 燕が如く駆ける理鎖は、鬼どもの間を駆けぬけた。
 罪人を戒める鎖は理鎖を追うように地を削り、大蛇の如く金棒を振りかぶった鬼の脇腹へと食い込むと、そのまま肉を抉り臓の芯を破壊。
 刹那のすれ違いにより、鬼二匹は鮮血の華を吐き出し膝を折った。
 だが鬼の命はまだ潰えぬ、動けぬだけで怨念に突き動かされし鬼は止まらぬのだ。

「なるほど、この程度では死なない……と。」

 理鎖は膝を折った鬼たちの気配を察しながらも、視線は奥――怨念によりどす黒く変貌した悪鬼へと注がれる。
 まるで乾いた血の色だ――そんな感想が出る中、変貌した悪鬼は間合いを図らずに腕を振り上げたのだ。
 ――来る、直観にて間合い内だと察した理鎖は、両腕から垂れた鎖の蛇を巧みに操ると鬼たちを壁へと仕立て上げる。
 直観は正しく、変貌した鬼の腕は伸縮自在の剛腕となり、理鎖の身体を貫こうとしていたのだ。
 だが鬼の腕は理鎖へと届かず――、鬼一匹を完全に貫き、残りの鬼の身体半ばで止まっていた。

「お疲れ様です、では……お返しですね。」

 伸縮自在の腕を手に入れた鬼であったが、貫いた仲間の悪鬼の身体が邪魔となり、腕を戻すのに間が出来た。
 その隙を見逃す程理鎖は甘くはない、新たに生み出した鎖は片手に三本、合わせて六本――鬼を拘束した日本と合わせ計八本。
 八岐大蛇が如くどれもが自ら意思を持ったかのように鎌首をもたげると、四方八方から締め上げる。
 その締め上げは鬼のあらゆる臓器を捩じり潰し、まるで雑巾のようにひねり上げるではないか。

「鬼、合わせて3。」

 理鎖の言葉と共にキン、と鎖が鳴り響く――悪鬼の絶命を告げる音色であった。

 ●第三の兵。

「鬼となった人の想いを感じます。」

 戦巫女でもある御剣・神夜は相対する悪鬼の怨念から彼らの無念と悔みを感じ取る。
 その想いは黒く、瘴気となりかねない重きものであった。
 だからこそ神夜は刃を閃かせると、しかりと両足を地につける。
 朝露にしとりと濡れた黒髪を一つに結び、優美可憐な出で立ちをする神夜が担ぎしは豪刀・牙龍。
 その刀身四尺に届こうかという野太刀である。

「あなたたちに安らかな眠りを。」

 華奢に見える神夜が扱うには似つかわしくない豪刀だが、悪鬼たちは我関せずと突き進む。
 生前であれば間合いを図り、意図を図る侍であっただろう……だが今の彼らは怨念に操られし鬼なのだ。
 哀れな……戦巫女だからこそ、鬼達の生前の無念をひしひしと感じる神夜、彼女がとった行動――それは。

「参ります!」

 振り上げられた金棒を牙龍で受け、鍔迫り合いへと持ち込んだのだ。
 鬼は困惑する、全力で振り下ろしたはずなのに受け止められたのだ、無理もあるまい。
 だが理屈は簡単な事、力の入り方を見極めた神夜の技術によるものだった。
 気付けぬ鬼はひたすらに力で押す、それしか出来ぬのだ。 

「ガ……ガァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」

 両手で金棒を握り、両足に力を籠め、目の前の女子をへし潰す、その為に豪咆を放った……。
 その瞬間、わずかな力の移動を見極めた神夜は舞うように身を翻す。
 まずは右足、神夜の華奢で美しい足が一歩前に出る。
 次に左足、大地を擦るように一歩後ろに。
 その動きで生まれた力は流れる様に丹田に伝わり、半身前面に押し出すようにを左を向く。
 そして牙龍を握る両手もまた同じく動き、金棒から伝わる力を受け流しながら逆袈裟へと放たれる。
 刃、逆に流れて鬼を斬る。
 合気とも思える刹那のやり取りに、剣豪であれば手を打って賛美していたであろう。
 それ程までに美しい見切りであった。

「悔しいでしょう、仇に使われて……今解放してあげます。 その苦しみから。」

 言の葉は刃を振るう動きの中で放たれる、軸足を中心に円を描き、力をそのまま鋭さへと変えて放たれた一閃。
 横一文字に軌跡を描き、悪鬼の首を討ち跳ねる。
 その悪鬼の口、最期の最後に力まず動き伝えたのだ。
 ――感謝する。 と。

 ●第四の兵。

 妖気を纏う鬼の前、妖刀担ぐ男が一人、黒髪を三つに結いし無表情の男は心中にて告げる。
 伐るべき悪は定めた、村人を救えという願いも受けた。ならば、後はそれを行うのみ。それがこの身に与えられた意味だ。
 戦いに言葉は不要か、眼前に迫る巨体を前に、果敢に踏み込む剣士、彼こそは叢雲・秋星――妖刀より生まれしヤドリガミなり。

「疾ッ!」

 抜き放たれし妖刀は弧を描き肉を削ぐ、禍々しき力を宿す赤黒き刃はやすやすと鬼の身を削るのだ。
 恐ろしきこの力……秋星の一存で自由に振るわれたなら民は恐怖を抱くだろう、だがそうはならない。
 力とは、誰かのために振るわれるもの――秋星は彼に願った力ない者の代わりの力だと知っているからだ。
 それを教えてくれた主人たち、彼らの【名】を借りる秋星にとって大事な存在。
 彼らの教えを胸に鬼を斬る、守るために刃を振るうのだ。

「まだ、力があるのか。」

 秋星に右肩の腱を削がれた鬼であったが、怨嗟の怒声をあげると動かなくなった右手を棍棒にみたて打ち据えようとする。
 その攻撃を半身になって躱すと、まさしく返す刀で腋腹を斬る。
 妖刀一閃――吹き上げる血が大地に艶やかで恐ろしい絵を描いた。

「なるほど、まさしく鬼か……で、あれば。」

 秋星はカチリと妖刀を下ろすように構える。
 剣先を水平よりやや下に、ピタリと止めたソレは下段の構え……所謂防御の構えである。
 動けぬ鬼を相手に何を……そう感じる間もなく、ひときわ大きな妖気が秋星の持つ妖刀から生まれ自身に集い始めたではないか。
 《妖剣解放》、妖刀のヤドリガミである秋星の技である。
 そして僅かの間の後、下段の構えからは放たれたのは間合い外からの斬撃……衝撃破であった。

「参るぞ。」

 ぽつりと告げられた言葉と共に秋星の身が消える。
 刹那、暴風となって鬼を襲い首をはね上げたのだ。
 その剣筋、まさしく嵐――首を失った鬼の背後で残心を胸に視線を次の鬼へと向ける。
 刃の鋭さ故、鬼を斬りしその刃、そして秋星自身にも返り血一つ無いのであった。

「さて、次だ。」

 再び剣を構えた先、見据える鬼めがけ秋星は駆ける。
 この先に存在する鬼を操りし悪を斬るために。

 ●第五の兵。

「用心棒とか……どうでもいいけど……鬼なら……斬る。」

 鬼に対して複雑な思いがあるベール・ヌイは鬼となり果てた侍たちへと苛烈に攻める。
 呼び出した火炎の鳥を家来の如く操り、敵陣へと飛び込むのだ。
 両の手に握るは鬼殺、鬼を殺すために造られた一級品。
 言葉なく、静かに、刃を手向けとして鬼と踊る。
 その姿はまさしく妖狐の舞そのもの、美しき銀の髪が揺れるたびに鬼を裂いていく。
 さりとて鬼も無抵抗ではない、自身が殺めた死霊を配下として呼び出すとヌイに向かって嗾けたのだ。
 放たれる矢、突き入れられる剣先、たった一人の為に死霊の軍団は動き出す。
 しかしてその刃も矢もベールには届かず、ベールの周りを付き従っていた炎の鳥によって矢は燃やされ消えてしまい、突き刺さるはずであった刃はヌイの鞘にて往なされる。

「邪魔……しない……。」

 妖狐が回れば鬼殺が一閃、妖狐が跳ねれば鬼殺が一断。
 銀の踊り手が舞うたびにみるみる死霊は減っていく。
 頭上から、逆袈裟で、横一文字に……戦場を飛び跳ねるヌイに焦った鬼は棍棒を振りかぶる……が、それを護るは呼び出しし炎鳥。
 鬼の視界を奪うように飛びつき目をつつき、次の鳥は金棒を持つ手に掴みかかる。
 鋭い痛みと炎による火傷により攻撃そのものが難しくなり、ついには金棒を取り落としてしまう鬼……。
 そんな鬼に聞こえるはベールの言葉。

「これで……終わり……。」

 短く、小さな美しき声と共に放たれた白銀。
 それは鬼の首を跳ね飛ばし、命脈を断ったのだ……その瞬間、鬼と変化した侍は心を取り戻し、感謝の祈りを白銀の妖狐に捧げるのであった。

 ●第六・第七の兵。

「鬼さんこちら! 私も鬼でーす!」

 羅刹である清川・シャルは絹の様に細やかな金色の髪を、小さな身体の動きに合わせてぴょぴょんと跳ねさせる。
 その可愛らしい動きと、インカムマイク《Schall Voice》で増幅された声により自然と鬼の視線を奪うのだ。

「見事ですぞ清川氏!」

 そんなシャルと裏腹にこっそりと戦場を隠れながら進むのは小柄なキマイラ、微笑本・ウサ氏である。
 シャルと比べ、更に小さな身体を草むらに隠す姿は愛らしくもあるが、その行動は中々に強烈であった。
 ウサ氏は周囲の草をキツク結ぶことで促成の罠を作っていたのだ。
 勿論罠は鬼がシャルへと進む道に作られており、そこを通ればどうなるか、など火を見るよりも明らかであった。

「準備完了、何も知らずに来たでござるぞ!」

 罠を作り終えたウサ氏は大きく足音を立て迫りくる鬼をやり過ごすべく、こっそりと背後に回る。
 その動きを感じ取ったシャルは可愛らしい掛け声である物を取り出すのだ。

「大きな鬼さんに対抗します! かもん《ぐーちゃん》!!」

 シャルが取り出したもの、それはピン気色で可愛らしくファンシーでどこかマジカルっぽい印象を受ける……【グレネード】であった。
 金棒でシャルを押し潰そうとしていた鬼は驚き、歩幅を縮める事で射線から逃れようとする……が。

「ジャストフィットでござる!」

 背後でこっそり確認していたウサ氏の言葉通り、鬼は結んだ草に足を取られ転んでしまいそうになる。
 それでも必死にたたらを踏んで転げぬように耐えた鬼、であったが、目の前にはすでに発射されたグレネードが存在し――命中、そして、極大の爆音と炎が鬼を包み込んだ!

「ヒット! うさぴょん!」

 ぐーちゃんの命中を確認したシャルは続けて足元に隠すように置いておいた《ThornSociety》ことガンガンにメタリックピンクを聞かせた特大鬼金棒を両手で握り構えるのだ。
 あの構え、まさかあの四割打者ホームラン王の!? と野球に詳しい諸氏がいれば感づいたかもしれない。

「合点招致でござるよ! うおおおお!!」

 シャルの呼びかけに答えるのはもちろんこの人、こっそり鬼の背後に回っていたウサ氏である。
 彼は爆炎に包まれ悶える悪鬼を背後から不意打ち、聖なる力では無く、( ゚∀゚)o彡セイなる力を宿したバールのようなもので全力で殴り付け、そのままブスリと突き刺した。
 更に真偽不明な日本刀で袈裟に切り捨て鬼の抵抗を奪った後、キマイラの特性で、ある部分を巨大化させる……それはウサ氏の蛇尻尾であった。
 巨大化した蛇は大咢で炎上する鬼を咥え込み、危うく火傷する所であるが、シャルの要望通りに大きく振りかぶるのだ。
 その構え、某国で奪三振の山を築いた投手そのもの、スリークォーターから放たれた鬼は炎を纏ったままスピードガンが壊れる程の速度シャルへと投げられた!

「ああ!? ついマジ投げモードでござった!?」

 思いがけぬ全力ストレートであったがコースはばっちり、ストライクコース!
 しかしシャルはそれを待っていたようで……。

「甘いよ、うさぴょん! もらったーーーー!!」

 ガンメタピンクのバット……もとい鬼金棒が全力スイング!
 軸足を中心に大地から生まれた力を腰に、腹に、肩に、腕に、そしてThornSocietyから飛び込んできた鬼へと伝えた。
 結果――。

「あの世にホームランでござるな。」

 鬼は天高く打ち上げられ、その命を散らす。
 その光景を二人でしばし見やった後……。

「「いぇ~い!」」

 二人はハイタッチ、見事なコンビネーションで鬼を打ち破ったのであった。

 ●第八の兵。

 轟と爆発にも似た踏み込みで敵陣を駆ける男が一人。
 いまだ薄暗き早朝において、時折黄金にも見える琥珀色の髪を靡かせるは鷲生・嵯泉。
 身の丈五尺にもなる長身と、鍛えられた身体でもって鬼へと迫る。
 手には刃、悪鬼を見据える瞳は石榴色、口数少なき男は敵陣深く食い込んだ。
 鬼の攻撃を避け、どうしても避けれぬ時は最小限に受け、ただただ奥へと駆け抜ける。
 目指すは鬼を操る首魁、奴を倒せば戦は終わり、無用な血は流れるずに終わる。
 されど、操られし鬼共は我が身を盾に嵯泉を防ぐ。

「退け! 退くんだ!」

 戦場の熱が嵯泉の精神を熱し、炎にも似た熱を感じさせる石榴の瞳で睨み、鬼へと告げる。
 だが鬼共に返事なく、言葉の代わりに金棒を振るう。

「くっ!」

 振るわれた金棒を紙一重で避ける嵯泉、伸びきった鬼の右腕を足場に宙へと舞う。
 そのまま膝で鬼の顎を蹴り砕き、流れるまま手にした刃で一刀に伏す。
 裂かれた鬼の身体から、人と同じく赤き血が噴き出、鮮やかな華を散らして倒れた。

「一匹!」

 自分に言い聞かせるように叫ぶ嵯泉、戦の熱が否応なしに精神を湧き上がらせる。
 だがそれは本当に戦の熱だけなのだろうか?
 嵯泉の胸中に浮かぶのは予知された光景、この鬼達も元々は国を護る侍であったという事実。
 無念であろう……悔しいであろう……。
 怨嗟に狂うように叫ぶ鬼を前に怒りに似た感情がふつふつと生まれる。

「お前たちの遣り残した事を引き受ける位の事は、私にも出来よう。 心置き無く、逝くがいい。」

 紅き瞳で再び立ちふさがった鬼を見据え、手向けの言葉を与えよう。
 自分に出来る最大を、嵯泉は刀を構えると新たな鬼に向かい刃を走らせる。
 長身から放たれる大上段の一撃は屈強な鬼にして幹竹割に切り伏せる、まさしく、その一撃剛刀真っ向幹竹割。
 切り捨てた鬼の無念を背負い、嵯泉は戦場の先へと駆けるのだ。
 そんな剣豪の背を、切り捨てられた鬼が生気の無い瞳でじっと見つめ、震える口は小さく、頼んだぞ――と動いたのであった。

 ●第九の兵。

「はっ! よっ! てやっ!」

 悪鬼が迫りし戦場で、紫銀の華が咲き誇り。
 美しい髪を靡かせて短刀を振るうのは立花・桜華、羅刹のシーフにして剣豪である。
 全身のばねを巧みに利用し宙を舞い、紙一重で金棒を躱してはすれ違いざまに短刀で切り抜ける。
 二匹に迫られても、三匹に迫られても変わらぬ動きで回避を続ける桜華の視界は戦場を見渡していた。

「あ、あそこまずいかな?」

 猟兵ではなく村を狙って進む鬼を視界に捉え、手早く短刀を掴むと駆けだした。
 駆けだす先は目の前で金棒を振るう鬼の肩――。

「ちょっと肩借りまーす!」

 褐色の健康的な美脚で一歩、赤鬼の腕を駆ける。
 二歩、肩を踏み台に宙を舞い、三歩目には宙を蹴り翻りながら刃を投げる。
 美しく半円を描いたアンダースローによる投擲で放たれた短刀は村を目指していた鬼の右目へと吸い込まれるように命中。

「命中! やったね♪ さ、次は誰かなー?」

 そのまま半身捻りで大地に立った桜華は怒りに燃える鬼の群れを前に再び風のように舞うのだ。
 その動きたるやまさしく八艘飛びが如く。
 銀髪が残像で銀線に見える程の速度に鬼達は付いて行けずにきりきり舞い。
 だが、ある自分を境に鬼達の動きは急におかしくなる……ある者は膝をつき、ある者は頭を抱え、ある者は絶命までしたのだ。

「あ、効いてきた? わたし特製の毒!」

 朗らかな笑みを浮かべ、大道芸でもするように短剣を宙に放り投げ遊ぶ桜華。
 毒使いとして担当に仕込んでおいた毒の効果が今鬼達に襲い掛かったのだ。
 僅かな傷から注がれた毒により動きを封じられ、戦力を大幅に奪われてしまった鬼達。
 桜華は鬼達と戦う傍ら、仲間の援護に短刀を投げつつ、毒が回りきるのを待っていたのだ。

「それじゃ、ここまでだね。 バイバイ♪」

 毒により膝をつき、動くこともままならない鬼に対し、桜華は持っていた短刀を逆手に構えると一閃。
 別れの言葉と共に鬼の首を裂いたのであった。

「んー、まだ結構残ってるのかな? それじゃ、援護ぞっこーって感じで!」

 短刀についた返り血を軽く拭く桜華は再び戦場を駆け始めた。
 残る敵は数少ない、けれど村の平和を守るために慢心はしないのだ。

 ●第十の兵。

「剣よ、光纏いてその真なる姿を現せ!」

 拘束詠唱によって光が生まれる。
 早朝のまだ闇深い戦場に新たな太陽が生まれるのであった。
 そんな太陽を生み出した男……彼は金刺繍が施された黒の戦装束を身に纏い、手には輝くルーンの刻まれた聖剣を。
 戦場を駆ける疾風ここにあり、キョウ・ヴァゼラードが鬼を前に刃を閃かせる。
 彼の心中には死を冒涜する悪への怒りがあった。
 その感情に呼応する様に聖剣は更にまばゆい光を纏い、朝靄に包まれる戦場を昼間のように染めあげる。

「死者を鬼と化し冒涜するか……許せん!」

 慈悲の刃と化した聖剣を薙げば鬼の身体は綺麗に裂かれ、聖なる魔力にって妖気は消え去り、邪心を祓う。
 倒れ伏す鬼の表情をちらりと見たキョウは得も言われぬ感情を抱いてしまうだろう。
 その表情とは安らかなもの、満ち足りたものであったからだ。
 聖剣の光に浄化され、最期に人としての心を取り戻した故である。

「仇は討つ、安らかに眠れ。」

 倒れ伏した鬼を……いや人を前にキョウは短く黙祷を捧げると再び聖剣を掲げ鬼へと迫る。
 自らに向けられた金棒を紙一重で避け、そのまま円を描き横に薙ぎ、鬼の腹を切り裂けば返す刀で鬼の左肩から一閃袈裟斬り――。
 鬼の身体まで聖剣をめり込ませ、その途中にて魔力を解放。
 キョウの意思に応じ浄化の魔力が鬼を内側から焼き尽すのだ。
 聖なる魔力の熱で焼かれた鬼は絶命、前のめりに地に倒れる……だが侍の心は救われたのだ。
 怨嗟にまみれ、自ら守るべきであった民を害する前に、散れた事に喜んだ侍の心……。
 こうしてまた一人、侍の想いを背負ったキョウは聖剣を天高く突き上げ、此処には居ない誰かに見せつける様に掲げると、世界の果てにまで届けとばかりに叫ぶ。

「出て来るがいい、墜ちた人斬りよ! 剣を誇りながら高みの見物で我らの力を見ようなど、臆病者のやる事であるぞ!」

 鬼に人の心を取り戻させし男は叫ぶ、行き場のない感情を胸に……。

 ●最後の兵。

「カッカッカ!」

 戦場を笑いながら見渡すは一人の男、名は勅使河原・源蔵。
 下町で遊び、縁側で茶をしばく姿が似合いそうな年齢の男であるが、楽しそうに腰に佩いた刀を軽く打ち据えていた。
 心中に広がる感情はなんという? 羨望? 願望? どれも違う。
 目の前で広げられる若い猟兵達の戦いを見て悪戯小僧のように湧き上がったこの感情――それは。

「なぁに、どいつもこいつも……楽しませてくれるわい!」

 歓喜に愉悦であった。
 久方ぶりに腕が鳴る、少し遊んでやろうでは無いか。 と源蔵は《歩を進める》のであった。
 目の前には悪鬼の群れ四匹、四という数字がやや縁起が悪いが……縁起が悪いは鬼の方であろう。
 自然と笑みが浮かび、口角が吊り上がる。
 それを嘲りと受け取った鬼どもが全身を自由自在に伸ばし、鞭うつように殴打。
 殴打! 殴打! 殴打! 殴打!
 重ねる事十を数え、それが四匹で四十の殴打。
 四方八方から穿たれた鬼の剛力での殴打にて地面が抉れ、足元には無数の石ころが転がっているではないか。
 その場に好々爺の姿なし、源蔵は何処に行ったのか。

「カッカッカ! 此方が出迎えれば寄って来るとは好都合、されどその身では触れられぬか。」

 声が聞こえるは鬼の背後、そして同時に重き音をたて倒れ伏すは鬼一匹、まずは首級一つであった。
 そこまでしてようやく鬼共も感づいた、源蔵の身から立ち上る妖気……その強大さに。
 ただ大きいわけでは無い、重さが違う、圧が違う、年季が違う。
 人も鬼も仏も関係なく、彼の前では斬られるであろうとはっきりと分かる、されど操られし鬼共に後退の文字は無し。
 ただ愚直に源蔵へと挑むのみ。

「さあさあ、悪鬼羅刹が此処にもおるぞ。 恐れ無くば掛かって参れ。」

 源蔵が纏いし妖気《降魔化身法》、身を斬るような痛みと共に力を増す禁呪に近い術である。
 で、あるが今の源蔵には関係等ない、先の若き者共の戦いを見て年甲斐もなく昂っておるのだから。
 挑む鬼に受ける鬼、悪鬼羅刹の演武は続く。
 変貌した鬼共の攻撃は数を増し、四方から同時、八方から差をつけて、様々な方法で打ち出される。
 曲がる腕に縮む腕、一つ触れれば身を砕く拳の嵐にもう一匹の悪鬼――源蔵は未だ笑っていたのだ。
 当たらぬ、当たらぬ、当たらぬ。
 触れれば折れる老木に、何度撃っても当たらぬ拳。
 鬼共は速度を上げ掴もうと挑むも、握るは空のみ……その全てを遊ぶように避けられていた。

「ふむ、貴様らでは『残像』を斬るが関の山かのう?」

 ぽつり言葉が紡がれる、その言葉を皮切りに一匹の鬼が真一文字に両断されて地に伏した。
 その背後には右手の親指で顎をかく源蔵の姿、抜刀も見せず、いつの間にやら鬼を斬る、これで首級二つ。
 触れられぬ……その残った二匹のうちの一匹、ついに一歩後ずさる。
 怨念によって操られた鬼が敗北を悟った瞬間であった。

「儂一人でないのじゃし、若いのに任せてもよいが……なに、折角の獲物じゃ、簡単には逃がさんぞ。」

 僅かな後ずさりの動きを隙として源蔵が駆ける、その一足で姿を消し、気づけば逃げ出そうとした鬼の眼前に、その間合い十三尺一寸六分。
 刹那一閃、大輪の血の華を咲かせるのみ――首級三つ。
 あぁ、剣筋が、姿が見えぬ……これが兵(つわもの)か……。
 鬼が死の淵にてようやく感じた実感、これが本当の鬼なのだ。

「さて、残るはお主だけじゃのう……。」

 ぽん、と軽く鞘に納めた日本刀、その柄を叩きながら何事もなく言う源蔵。
 彼の眼前では覚悟を決めた眼差しの鬼が居るでは無いか。

「――カカッ、愉しいのう。」

 笑みを浮かべ視線を受ける、さて死合てやろうではないか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『用心棒』

POW   :    剛なる居合い
【居合い 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    飛刃縮地の構え
自身に【修羅の気 】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    死者の誘い
【用心棒が殺した死者 】の霊を召喚する。これは【悲痛な叫び声】や【生前持っていた武器になりそうな物】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:高橋ろでむ

👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠犬憑・転助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ドサリ……最後の鬼が地に伏せる。
 天下自在の猟兵の前には鬼ですら敵ではないのだ。
 そんな猟兵達の勝利を祝うべく、朝陽がようやく上り始めた。
 冬の早朝、特徴的である冷えた空気……されど戦場は熱く、様々な気が入り混じる混沌そのもの。

「クハハハハハ! 強いのう! 強いのう! こりゃあ斬り甲斐があるわ!」

 土を軽く蹴飛ばし笑いながら現れたのは黒髪の剣士、腰に佩くは業物《同田貫》。
 死んでなお鬼として操り、我がために他者をないがしろにする狂いし強者、ここにあり。

「さぁ、見せてくれ! 天下自在の兵の力を!」 

 猟兵を前に剣を構える、その構えまさしく邪気を纏いし《飛刃縮地》!
 繰り出されるは大木をも両断する《剛なる居合い》!
 数多の戦場を駆け抜け、数多の命を散らし、数多の強者を喰らった男が今笑う。
 望んでいた、心の底から望んでいた真の強者との殺し合い!
 それがいま叶うのだから!

「あぁ! 存分に死合おうぞ!」
己条・理鎖
鬼の時とは異なり今度はあの侍一人……ならば、私が攻撃役として動く必要はないですね。攻撃を行う他の猟兵の方の援護に回ります。

【SPD】重視
相手の攻撃は刀が主体なのでそれを封じるのを目的とします。
攻撃には参加せず回避重視で立ち回り隙を探ります。
狙いは【斬撃による衝撃波】を使った後。
高速移動を可能とするとはいえ攻撃した後は隙ができるはず。
そこを狙って【咎力封じ】で腕を拘束します。
成功したら、後はできる限り拘束を維持します。


キョウ・ヴァゼラード
ヤツが狂気に墜ちたオブリビオン!
性根が腐っていようとその力量は達人…私を凌駕しているだろう。
だが私は勝つ、自分の為に戦う者にノブレスオブリージュを誓う私が負けたりはせぬ!

「ヤツの剣は修羅の剣、間合いに入れば死あるのみ」
まずはヤツの太刀筋、必殺の間合いを見極める為に観察に徹する…それが将の務めだ。

「宣言しよう、一切の移動を禁ずる!」
動きを見極めたらデュエリスト・ロウにて移動禁止を宣言。
これにより必殺の間合いと高速移動を禁じ、得意な戦法を封じる。

「これは戦争だ、どんな手を使ってでも貴様を斃す!」
移動を禁じた上で、ヤツの間合いの外から聖槍アリアンを怪力で振るい、2連突きや薙ぎ払いで一方的に攻撃する。



(まずは援護を。)

 狂った剣豪を前にまず動いたのは己条・理鎖、彼女は隙を伺うように影へと潜ったのだ。
 その姿を確認したキョウ・ヴァゼラードは一歩前、居合の構えを見せる剣豪と相対すると大きな声で宣言する。
 それは相手へと新たな法則を課す猟兵の技である。

「宣言しよう、一切の移動を禁ずる!」

 《デュエリスト・ロウ》、キョウの手袋が弧を描いて宙を舞う、それに当たれば新たな法則が付け加えられるのだ。
 通常であればそれを嫌がり回避に動くはず、その隙こそが理鎖にとっての狙いの一つとなるだろう。
 が、この男、野犬の如く狂っていたのだ。

「そうかい! それじゃあ動き回って死ぬとしようぜ!」

 腰に佩いた刀に右手をあて、倒れるのではないかと思う程の前傾姿勢で加速――そのまま自ら手袋にぶつかると勢いそのまま肉薄、キョウへと刃を抜き放ったのだ。
 その速度、まさしく風の如く――。

「――ッ! まだ犬のほうが利口だ。」

 迫る刃にキョウの身体は後ろに飛ぶように回避、それと同時に手にもった聖なる槍にて神速の居合を受け止める。
 もう少し反応が遅れていれば肉を裂いていたと理解出来るほどの刹那の見切りであった。

「そりゃどうも、しっかし動かねえでいるとこうなるのか……こりゃ面白いな!」

 刀と槍との鍔迫り合いで身を止めた狂いし剣豪、その身に襲う痛みを笑みを持って迎え入れると小さくつぶやいた。
 ――そろそろくるぜ? と。
 その刹那、遅れて斬撃が衝撃はとなり、槍をすり抜ける様にキョウを襲う。
 これが居合い、これが飛刃縮地の構えか……吹き飛ばされるキョウは致命傷を避けて着地。
 追撃を防ぐために槍を構える……が、剣豪は自らの左腕に巻き付いた鎖によって足止めされていたのだ。

「捕らええました。」

 既の所で剣豪の左腕、その手首を鎖によって封じたのは影へと潜り、隙を伺っていた理鎖。
 見事、その腕へと《咎力封じ》を命中させた……これにより剣豪の動きは封じられる……はずであった。
 もう一度告げよう、彼は狂っていたのだ。

「えらい頑丈な鎖じゃねえか! しゃらくせえぜ!」

 一閃――剣豪の同田貫は自らの動きを封じる鎖……ではなく左手を斬り飛ばしたのだ。
 噴き出る鮮血、しかしてその瞬間、彼を封じた鎖は外れ、狂気が解き放たれる。

「――ッ!」

 鎖による封じを手ごたえを失った理鎖は咄嗟に鎖を構える、忍びとして養われた戦勘の賜物だろう。
 刹那の間もなく鮮血をまき散らしながら同田貫を振りかざし剣豪が迫っていたのだから。
 甲高い金属同士のぶつかり合う音が響く、間一髪で刃を防いだ理鎖は続いて訪れる衝撃を回避すべく身を捩った。
 が、剣豪はその動きを野生の勘で見極め――蹴り穿ったのである。

「クハハ! 強えのう! じゃが、それだけじゃ!」

 派手に吹き飛ぶ理鎖を見ながら左手を失った男は狂ったように笑い続けるのであった。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

御剣・神夜
強者、普段なら心躍る言葉ですが、この男は強者とは言えませんね
ただの堕ちた人斬り。力に酔えば私もこうなるのでしょう
その姿、心に刻みましょう。堕ちた強者として、自身への戒めとして

リーチは普通ならこちらに分があるが飛刃縮地を使われると相手が有利になるので使われたら野太刀を盾にして距離を詰める
居合いは間合いに入らないよう気を付け、自分のリーチを生かして自分の間合いで戦う
幽霊は特に邪魔にならないのなら無視し、邪魔になるようなら用心棒と一緒に攻撃する
「戦いで死した者には敬意を示すもの。貴方は自分が斬った者たちの命を、死を、戦いを汚しました。貴方に殺された者たちの無念は我々が晴らします」


フィン・スターニス
既に過去の存在である貴方が、
現在を脅かす
その凶行を許す訳にはいきません。

戦闘開始直後は様子を伺い、
隙を見て、第三災禍・黄の拒絶で、暗殺じみた奇襲を行います。
武器はとり回しやすい脇差を使用。
成功すれば良し。
対応されても、他の人に隙を晒す事になるでしょう。

その後は、奇襲の成否に関わらす、薙刀に持ち替えそのまま戦闘に加わります。

守りは、第六感、見切りで
攻撃にカウンターで合わせ、
攻めは、払いと突きを中心に、
格闘も絡めで狙いを絞らせない様に立ち回ります。

また、正面から行くと見せ、
第三災禍・黄の拒絶で、死角からの攻撃も行いますましょう。



狂いし剣豪ここに在り。
 自らの身体を切り落とし、ただ人を斬るためだけに生きた理外の存在ここに在り。
 笑い声を響かせる男に対し、次に動いた猟兵達……それは可憐な二人の戦巫女であった。

「堕ちた人斬り、その姿、心に刻みましょう。堕ちた強者として、自身への戒めとして。」

 凛と前に進むは御剣・神夜。
 その手に持つは龍の爪が如く荒々しき野太刀、豪刀・牙龍である。

「堕ちる? 堕ちるも何も人を斬っての兵ぞ! お主もそうじゃろう? 一度斬れば身に感じる充足! 強きものを斬ればそれは更におおきゅうなる!」

 クハハ――大きく笑いながらの男と清廉な巫女剣士との問答、その答え、重なり合う事はありえない。
 もはや男にとって人を斬るという事は呼吸と同じなのだ、人の理の外の男と言葉で交わる事など不可能なのである。

「斬ればほれ、こういう事もできるんじゃ。」

 未だ鮮血が溢れる左腕など些細な事、そういわんばかりに男は咆える。
 それに呼応して現れたるは全員首無しの亡霊達、いずれも彼によって殺された怨念の兵。
 その亡霊共、刀剣持ちて構えるは様々な流派の構え……男に斬られし兵が猟兵を襲うのだ。

「あなたという人は……」

 首無し亡霊ゆえに顔が見えぬ、されど神夜には痛い程に亡霊たちの怨念と悔悟が伝わってくるのだ。
 死者を鞭打ち、自らの駒とする狂人をキッと睨むと、流れるような所作で牙龍を構えるのであった。

「クハハ! 人は斬られれば死ぬ、死ぬっつー事は負けじゃ! 負けたモンを何をしようが勝者の特権よ!」

 流血に痛みなど関係ない、人を斬れればそれでよい――そして勝者こそが全てである。
 男は亡霊と共に神夜に向かって戦場を駆ける、女剣士の首を刈ってやろうと刃金を走らせる。
 だが、その刃は戦巫女に届くことは無かった。
 剛刀一閃――龍の牙が暴風を纏って振るわれれば、亡霊ともども狂人を薙ぎ払い。
 神夜の見切りによる神速の居合い、ギリギリ間合い一寸外からの攻防であった。

「戦いで死した者には敬意を示すもの。 貴方は自分が斬った者たちの命を、死を、戦いを汚しました。 貴方に殺された者たちの無念は我々が晴らします。」

 凛と透き通る声が響き、剣風が一筋吹き抜け、神夜の髪を靡かせた。
 その剣牙を辛うじて狂人は防ぐも亡霊たちは防ぐこと敵わず、二分され冥府へと帰っていく。
 まさしく戦巫女の本領発揮である。

「クハ、クハハ! なかなかの剛刀よ! 楽しくなってきおったわ! 切つ張っつは面白いのう!」

 両足を大きく開き、再び神速の居合を持ち出す狂人、されどその居合振るわれる事能わず。

「封印解除。黄色の魔力を糧とし、第三の災い、此処に発現せよ!」

 突如響く麗しくも芯のある声、その声の元を探ろうと本能のままに意識をわずかに反らした狂人、その脇腹に深々と刃が収まっておったからである。
 声の主はフィン・スターニス、もう一人の戦巫女である。

「ガハッ!? いつの間に……っ!!」

 振り向きざま、同田貫を振るう男であったが、フィンは見事にそれを回避、その手に血に染まりし脇差を持ったまま間合いの外へと逃れるのであった。
 その秘術、七彩龍の巫女が一つ《第三災禍・黄の拒絶》。
 空間そのものを繋げるこの術の前に間合いも何も関係ないのだ。

「既に過去の存在である貴方が、現在を脅かす。 その凶行を許す訳にはいきません。」

 脇差を収め、薙刀を構えるフィン。
 彼女を前に、傷を負った男はなおも楽しそうに笑っていた。
 同田貫を手に男は駆ける、戦巫女二人を相手に戦場を駆けるのだ。

「その刃、私には届きません。」

 だが同田貫は薙刀を構えたフィンに届かない、まるで振るわれる場所が分かっていたかの如く薙刀でいなし、時折徒手空拳も交えて隙を一切与えないのだ。
 しかしそんな二人の戦巫女を前に、狂人は楽しそうに刃をふるう。
 強者との戦、求めていた物を目の前にし、新たな欲が出てきたのだ――きゃつらの首が欲しい、と。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

清川・シャル
f01154
うさぴょんと同行

うーん、間合いが面倒そうです
サムライという生き物は間合いだと聞きました
関係ないくらい離れちゃえばいいんです

はいっ
うさぴょん、任せたよ!

射程距離ギリギリをとって
コード【爆竜戦華】
で全ての武装からの攻撃
桜色が舞散ります

うさぴょんー当たらないでねー?

なんか死者の霊ってやばくないですか?
ぐーちゃんで援護射撃します
弾道を操れるので何とかなるでしょう
後ろは勝手に任されましたよー

はいどーーーん

あー、ぐーちゃんで目くらましもアリですね!

もし間合いに入っちゃって近距離に来ちゃったら「ThornSociety」で殴っておきますね


微笑本・ウサ氏
f01440清川氏と同行

力をタダ見とはうつけでござるな。ちょうど戦場への資金の足しに業物でも頂くでござる


敵の間合いを確認しながてら手裏剣を上左右から回り込むように念動力で飛ばしながら近づく

清川氏が後衛するそうなので
煙幕代わりに暗殺を行う
野生の勘と見切りで
居合は横薙ぎに抜く
ならばバックステッポゥし念動力でexカリを地面に突き刺し受け止め
大木は切れてもバールはムリポ
ナウ剣で突きexカリを蛇尻尾で回収し右手のナウ剣と蛇尻尾のexカリでNEO燕を放つ
左手の手裏剣で牽制
狩兵多勢の攻撃を受けながらこれも受け切れるか?否!断じて否!

死霊に頼っておる時点で負けでござるよ。うぬより弱い奴しか居らぬのだからNo



「力をタダ見とはうつけでござるな。 ちょうど戦場への資金の足しに業物でも頂くでござる。」

 凶悪な笑みを浮かべ昂る剣豪に声をかけるのは微笑本・ウサ氏。
 自慢の兎耳を揺らしながら、小さき体躯で挑発するように動くのだ。
 そんなウサ氏を援護するのは大型のピンクグレネードランチャーを構える清川・シャル。
 愛称ぐーちゃんで知られる凶悪で可愛らしい武器で狙いを定める。

「小童どもか!? 遠慮はせん、存分に首を狩らせてもらうぞ!」

 そんな二人を前に剣豪は刃を閃かせ戦場を駆けようとする、が……足元にウサ氏の手裏剣が待ったとばかりに突き刺さった。

「さっすがうさぴょん! 任せたよ!」

 シャルは戦場を把握し、“爆撃”で剣豪だけを巻き込める位置取りに動く。
 その隙をカバーするのがウサ氏だ、小柄な体躯を活かし、四方八方から手裏剣を投げるのだ。
 その手裏剣は念動力で操られ、無限の軌道を描き襲い掛かる。

「それそれそれ! いくでござるよ!」

 間合いを図り、ギリギリの所で手裏剣の弾幕を貼り続ける、あと一歩、あと一歩と脳裏に描いた必勝図に従って。
 その瞬間はやってくる、手裏剣は防がれるも、一進一退であった状況を買える瞬間が。

「うさぴょんー当たらないでねー?」

 シャルによる《爆竜戦華》である、掛け声とともに放たれたぐーちゃんの全武装は寸分たがわぬ精密さで狂人剣豪を狙うのだ。

「戦場に響きし我が声を聴けーーーー!」

 可愛らしい声と似つかわしくない爆音が戦場を支配する、あまりの大きさに近くの森が揺れる程であった。
 その炎熱は確実に敵の身体を焼き、傷を負わすだろう……だが、相手はオブリビオンなのだ。

「熱いのう! じゃが、それを待っておったわ!」

 姿勢を低く、炎熱に耐えながら狂人は駆ける――狙いは爆炎を目くらましての一閃!
 相手はちょこまかと手裏剣を放っていたおかしな小童よ!
 剣豪の思惑通りに進むかと、思われた……が!

「待っていたのはこちらでござるよ!」

 煙幕を抜けた先でゆっくりと後ろに飛ぶのはウサ氏、手には鬼を貫く謎の硬度を持つバールのようなもの!
 横薙ぎの一閃を予想し、バールを地面に突き刺すと狂人の同田貫を受け止めたのだ。

「なっ!? ――ッ!?」

 剣をバールで弾いた刹那、交差する形でウサ氏が駆ける!
 その手には妙な妖気を漂わせる刀剣、そしてキマイラらしく蛇の尻尾でバールを回収すると狂人の背中に低空から上昇する燕の如く二枚の線を刻むのだ。

「うさぴょんナイス!」

 二人の連携によって背中に大きく傷を負った狂人、その顔は更に深い笑みを浮かべ、さらなる充足の為に咆えるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ベール・ヌイ
「鬼大将なら・・・刀を使うけども・・・ただの狂人なら・・・これで十分」

刀を戻し、双銃を構えて火鳥乱舞を再び起動します
とくにかく相手の飛び道具や召喚する霊を火鳥乱舞と双銃の【援護射撃】【クイックドロウ】【属性攻撃】【二回攻撃】で対応します
こっちに攻撃がくるなら【武器受け】で防御しましょう・・・かりに防御しきれなくても【激痛耐性】があるから平気平気


立花・桜華
自身の欲を満たす為だけに殺戮を繰り返す相手に負けるわけにはいかないね
ここで食い止めるよ

【修羅との戦い】
手下の鬼とは違ってかなりの力を持っているみたいだね
速さに自信があるみたいだけどスピードならわたしも負けないよ
鍛えたダッシュ力とシーブズ・ギャンビットで高速戦闘を行う。上着を脱ぎ敵へ投げつけて視野を奪い、ナイフを投擲することで目潰し狙いつつ身軽になることで更なる加速を行う
敵の攻撃のタイミングを第六感や野生の感で予測、見切りと残像によるフェイントを用いて攻撃が当たったと見せ掛ける事で隙を誘ってカウンターを狙い、持ち前の怪力による一撃を叩き込む
返す刃で2回攻撃を狙う
「当たったと思った?残念!」



「自身の欲を満たす為だけに殺戮を繰り返す相手に負けるわけにはいかないね。」

 立花・桜華はくるりとダガーを回すと軽くステップを刻んだ。
 先ほどの鬼達との戦闘で崩れた足場、だが桜華にとっては平地と変わらない。
 右、左、右、左……タンタンと軽い音を鳴らし、フッと桜華は戦場から消える。

「あぁ? オレと速さ比べか? 楽しいねぇ!」

 同じように剣豪も鮮血に塗れた身体にて体勢を低くし……一足、無音の踏み込みにて戦場から消えるのだ。
 土煙が舞う戦場にて二人の鬼がぶつかり合う、時折聞こえる金属音、ぶつかり合う刃金と刃金の火花だけが視界に映る迅雷の戦いである。

「へへ、やるねえ……面白れじゃねえか!」

 土の削れるような音共に桜華と剣豪が現れた、剣戟の嵐――その時間数十秒、刃の打ち合い重ねて九度。
 両者無傷にて姿を見せる。
 そこに現れるはもう一人の銀髪の少女、ベール・ヌイ。
 彼女の手には鬼を斬った刃ではなく二丁の銃が握られていた。

「鬼大将なら……刀を使うけども……ただの狂人なら……これで十分」

 何処か眠そうな少女は銃口を狂人に向けるとためらわず引き金を引く。
 撃ちだされたそれは炎と氷の銃弾、それは風に乗り狂った剣豪へと迫る。

「へっ! おもしれえ! だがいいのか? お仲間に当たっちまうかもしれねえぜ?」

 半身を反らし銃弾を回避した男は嘲るようにベールに問いかける、その間にも迫る銃弾を弾き、躱し、撃ち落とす。
 それを見て答えるは銀狐の少女。

「大丈夫……当てないし……当たらないから。」

 仲間を信じるこの言葉に銀髪の鬼の娘は笑みを浮かべると嬉しそうに跳ねるのだった。

「それじゃ、再開しよっか!」

 桜華はもう一つの短刀を手に再びステップを踏む、二刀流――しかも順手と逆手を自由自在に切り替える無双の担当二刀流であった。
 その状況にも笑って応えるのが狂いし剣豪、降り注ぐ銃弾の雨の中二人の鬼は再び姿を消すのだった。

 刃金がぶつかり合うたびに甲高い金属音が響き、衝撃破を孕んだ嵐が巻き起こる。
 その風の音に合わせる様にベールは引き金を引き炎熱と氷雪の銃弾を嵐に撃ち込むのだ。

(チッ……良い狙いをしてやがる。 断言するだけはあるぜ。)

 同田貫にて短刀を振るい受け、返す刀を避けられた直後に頬を掠める銃弾、その正確さに舌を巻く男の表情は得も言われぬ程の歓喜の感情に富んでいた。
 強い相手だ……この二人を切り捨てればどれほどの充足を得られるだろうか……と。
 その気持ちが表れてから、更に速度を上げる狂人。
 一足一尺が一足二尺に、ついで一足三尺へと距離と速度を上げていく――まさしく進化した瞬間であった。
 まさしく迅雷、銃弾の雨の中打ち合う事五合目にしてついに狂人の刃が桜華を捉える。

(獲った!)

 閃く短刀を避け、褐色の首へと刃金を返す……至高の瞬間の到来であった。
 ――が。

「当たったと思った? 残念!」

 切り裂いたのは桜華の上着だけ、いや……わざと斬らされたのだ。まさしく刹那の見切り――
 それに気づいた瞬間、男の胸に十字の傷が生まれる。
 進化した剣豪のもう一段上の速度……神速の抜き打ちであった。

「隙だらけ……。」

 わずか一瞬、自らの速度を上回る速度を垣間見た一瞬の惚け……その隙を見逃す程ベールは甘くはない。
 的確に胸の十字に加えられたのは炎熱の弾丸、裂傷と火傷の二重の熱にて狂人の精神は焼き切られる。
 ――が、彼は笑みを浮かべたまま再び剣を握るのである。

「クハッ……クハハハハハハハハ!! 愉しい! 愉しいねぇ!! これが天下自在符を持つ者、天下無双の兵か!」

 狭いし男の本懐、ここに在ったか。
 猟兵達を前に男は絶頂に至った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鷲生・嵯泉
……強者が望み、か
其れを悪いとは思わんが
其の為だけに他者を蔑ろにし貶める行為は
つくづく性に合わんな
私は護る為に在る……戦う事でしか、それを成し得ん身ではあるが
お前の様に、死合いを求める気など無い

お前の様な性質のものと真正面から当たるのは得策ではないのだろうが
引き受けた遣り残しを遂げるには、それを避けて通る訳には行くまい
【残像】を利用した回避と剣刃一閃
出来る事も多くはないが、すべき1つを見失う心算も無い
攻撃は最大の防御と、退く事よりも歩を進める事を優先

自身が斬るばかりではなく、
斬られる側と成り得た事実を忘れている訳ではあるまい?
再びその時が来た事を思い知るがいい


勅使河原・源蔵
やれ、興が乗り過ぎ出遅れてしもうたわい。
心躍る死合いをしておるのう。
その剣技、その業物、相手にとって不足無し。
「儂は勅使河原源蔵。お主、名は何と云う?」

さて、かの剣技の前では遠間は不利。
儂も術の反動で長くは持たぬ。
故に飛び込み打ち合うとするかのう。
お主も一太刀で終わってしまってはつまらなかろう?
――ああ、善き哉善き哉。
やはり手練れとの死合いは血が騒ぐわい。
お主も儂も同じよのう。
剣にしか生きられぬ兵同士、この命尽きるまで斬り合うが定めよ。

止めとなれば『剣刃一閃』にて、その首戴くとしよう。
さらばじゃ。
お主の名、覚えておくぞい。
あの世で会うたらまた死合おうぞ。
まあ、まだ当分行く気は無いがの。



満身創痍、されど殺意に曇りなし――いや、むしろ以前よりも鋭さを増している。
 窮鼠猫を噛むと言われる通り、追い詰められた獣のげに恐ろしきかな!

「……強者が望み、か。」

 刃を携えし獣を前に、静かに歩を進めるのは鷲生・嵯泉。
 琥珀の髪を日に煌めかせ、赤き石榴の瞳に決意を込めた侍ここに在り。
 心中に思う、強さへの憧れは分かろう、が……其の為だけに他者を蔑ろにし貶める行為は許されぬ。
 水と油、狂いし剣豪と嵯泉はまさしく正反対の理念によっていた。

「私は護る為に在る……戦う事でしか、それを成し得ん身ではあるが。」

 ス……嵯泉が音もなく構えるは秋水、一閃露を掃い鋭悉くを断つ。一身護るべきの為に――災禍を絶ち切る為だけに在ると知れ。
 悪しき魂魄を斬る稀代の刃である。

「クハハ! 何をいまさら! 刀とは! 斬って斬られてなんぼのもんじゃ!」

 使えるは傷だらけの右手、それを腰だめに構え、抜き放つときを待は実直不動の大業物、同田貫。
 人の為と我が為、交わるは言葉ではなく刃のみ。
 打ち合いは一瞬、刹那にて決着はつくであろう両者は理解している。
 そして、その時は不意に訪れる。

「――ッ!」

 先を取ったのは狂人、腰だめの姿勢から地を砕く踏み込みにて嵯泉へと刃を走らせる。
 その速度、まさしく雷の如く――。
 されど、その刃……首には届かず。

「私はお前の様に、死合いを求める気など無い。」

 先を得たはずの狂人の刃は琥珀の髪をわずかに切り裂いただけであった。
 先の先……機先を制した嵯泉は一歩、刃へと自ら踏み込む事により殺しの間から抜け出たのである。
 決死の踏み込みここにあり、守るよりも攻めるを取った一歩が、僅かに……まさしく一瞬であったが先に秋水にて狂人を逆袈裟に斬り裂いたのだ。
 多量に血を流しガクリと膝をつく狂人に背を向け嵯泉は二人の差を告げる、その言葉は届かぬであろうが……。

「クハ! カハハ! まだ、じゃ……まだ、死んでおらん! 少しでも、動けるうちは! オレは負けてねえ!!」

 俊足一足、天狗が如く宙を翻った鮮血の狂人、彼の瞳は未だ爛々と輝いていたのだ。
 死に切れぬ、まだまだ人を斬れる! 斬れるうちはまだ死ねぬのだ!
 もはや生きているのが不思議な男は再び嵯泉に襲い掛かろうとする、がそれを止める声一つ。

「まぁ、待て。」

 枯れ枝が如き男、勅使河原・源蔵であった。
 先ほどの戦いで悪鬼羅刹が如く鬼を切り殺していた武人である、だが力の行使によってその身には常に激痛が走っているのだ。
 そんな男が何故戦場に? 聞かずとも分かろう、斬り合う為であろう!
 目の前で繰り広げられた死合いの数々、老いた刃を尖らせる。
 しかしてその刃、触れれば真っ二つの大業物……勅使河原源蔵ここに在り。

「儂は勅使河原源蔵。お主、名は何と云う?」

 一寸、きょとんと惚けた顔をした狂人であったが、本能で察したのか最大の狂笑でもって応えた。

「源蔵翁か! オレは叢継(むらつぐ)! 性は捨てた! 名も久しく口にはしておらぬ! だが、応えよう! 源蔵翁よ! オレの為に死んでくれ!」

 クハハ!! 小さくも獣の如き笑みを合図に狂人剣豪・叢継が駆ける。
 その一足は決死の一足、地を蹴り、空を蹴り、源蔵へと迫る!
 一合――互いに分かる決着の時……それは長くはかからないと。
 本来であれば、万全同士であれば幾度も斬り合い決着を着けたであろう……が、神はその歓喜の時間を許さなかったのだ。

「叢継か、その剣技、その業物、相手にとって不足無し。」

 源蔵はおよそ構えという構えを見せず、だらりと利き腕に刃を持つ。
 白く朝日を浴びて煌めくはいかな大業物か……いや、その刃、まさしく《無銘》。
 戦場において、いかな敵を相対しても我が手にあったまさしく愛刀である。
 二匹の剣鬼、相見え。

「源蔵翁!!」

 叢継は空を蹴って居合いを放つ、その動きたるや天狗が如く、今までの直線での速度だけでなく。
 鋭角に曲がり、機先を惑わす動きも加える動き……まさしく魔剣の極致にまで達した居合である。

「……。」

 無言で笑みを浮かべるは同じく剣鬼
 ――ああ、善き哉善き哉。
 やはり手練れとの死合いは血が騒ぐわい。
 お主も儂も同じよのう。
 剣にしか生きられぬ兵同士、この命尽きるまで斬り合うが定めよ。
 心で笑う源蔵を前に、踏み込みから一寸足らずにて叢継の動きは極限に達する。
 一足、二足、三足、四足――風を孕んで見極める、五足目だと。

「なっ!?」

 構えは無かった、先の先を完全に獲った。 だというのに、なぜここに刃があるのか。
 右手で同田貫を振りぬく寸前……まさしく寸前である……目の前に無銘があったのだ。
 先の先、そのまた先……相手の機先を取る動きの先にある雲耀の刃。
 同田貫を抜く前に斬られた……気づいたのはその寸前、まさしく神速。

「カ…ハ…」

 膝から崩れる事も出来ずに大の字で仰向けに倒れる叢継。
 狂人剣豪の死合い、ここに決着。

「さらばじゃ。」

 身動ぎできぬ叢継にかけらた言葉、それと同時に霞む視界に光るモノ。
 嗚呼……放たれた最後の白刃のなんと美しきかな……。
 まさしく、天下自在の兵であった、オレはなんと小さい男か。
 クハハ……声にならぬ笑いが漏れて、天下に仇成す狂人は倒れた。

(お主の名、覚えておくぞい。 あの世で会うたらまた死合おうぞ。)

 まあ、まだ当分行く気は無いがの。
 死合いを終え、刃を収めては、天をみやる源蔵あ心中にて呟き朝日を見る。
 見よ、陽も猟兵を祝福するかの如く晴れ渡っているではないか!
 これにて猟兵の戦いは幕を閉じるのであった。
 天下自在の兵に喝さいを!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『餅つきしようぜ!』

POW   :    力いっぱい餅をつく!食べる!

SPD   :    素早く餅を返す!食べる!

WIZ   :    きな粉やあんこ等を用意する!食べる!

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「せいっ! せいっ! せいっ!」

オブリビオンの魔の手から救われた村から威勢の良い声が聞こえる。
正月に響くその声、その正体は餅つきである。
大量に生み出される餅は様々な味付けを施され、猟兵達に振舞われるのだ。
餡子、ずんだ、きな粉、醤油、海苔――。
村の人々の笑顔を護った猟兵たちへの最高の報酬となるだろう。

そんな村で何をするのも猟兵達の自由だ!
大食い会場で村一番の餅喰いである五郎さんに挑むも良いだろう。
仲の良い猟兵に手作りのお餅を披露して食べ合っても良い。
さぁ、正月だ! 存分に餅を食べようでは無いか!
フィン・スターニス
無事に事がすみましたね。
新たな年、盛大にお祝いしましょう。

私は、あんこやきな粉を用意するお手伝いをしましょう。
沢山食べる人も多そうですし、
忙しくなりそうですね。
ですが、嬉しい忙しさです。
日常を守れたのですから。

あとは、食べ過ぎで動けなくなった人がいるなら
介護も協力しましょう。
程々にしないと、ダメですよ?


己条・理鎖
お餅はありがたくいただきますが、ちょっと気分が沈んでいるので騒ぐ気分にはなれません。雰囲気に水を差すのも嫌なので離れた所にいます。

離れた所で戦闘について反省をしています。
まさか腕を切り落として拘束から逃れるなんて頭のおかしい戦い方をするとは……いえ、言い訳ですね。

あ、いただいたお餅はしっかり食べますよ。おいしい物は好きなので。


御剣・神夜
お餅ですか。まさに正月の風物詩ですね。
うーん悩みますねぇ。きな粉も良いですし、醤油をつけて海苔でもいいですし、悩みます
まぁ、お正月ですし、全部食べちゃいましょう。今日はお祭りです。羽目を外しても悪いことはありません。

出来上がったお餅を分けてもらって、きな粉、醤油と海苔で美味しくいただく
「あー。出来立てでシンプルな味付けでも美味しい。料理ってすごいですねぇ。私も早くこれくらい上手になりたいものです」
料理上手な家族からダメ出し連発食らってめげそうですけど、これで頑張れそうです
必ず私の料理でうならせて見せます!


キョウ・ヴァゼラード
何とも強大な敵であった…狂気に理を以って挑まんとしたのは失策であったが、これは次への反省としておこう。

「餅つきか、あまり馴染みはないが私にも参加させて欲しい」
私のいた世界、国にはなかった文化…それ故に興味深い。
慣れている地元の者にやり方を習いながら、ぺったんぺったん一生懸命に。

「せっかくだから一緒に食べようかと思ってな」
上手く出来たら醤油をかけて2人前を持ち、プリマステラに振る舞う。
美味しく出来ているだろうか?
それが気になるところだな。

「正月…ふむ、いつか領地に帰ったら新年の祭りに取り入れてみよう」
その時はプリマステラ達、猟兵仲間も呼んで盛大にやりたいものだ。


勅使河原・源蔵
この活気、この香り、良いのう良いのう。
餅つきはこうでなくては。
天下泰平とは正にこれよのう。

儂は喰う専門じゃ。
黄粉や餡子を用意しておき、喰うのみの皆と餅に舌鼓を打つとしようかのう。
戦の華は一騎討ちじゃが、祝いや食は大勢で楽しんでこそじゃ。
美女が居れば尚良しじゃな。
酒まであれば言う事ないんじゃが、どうじゃろうか?
座りし儘に餅を喰う。
天下人にでもなった気分じゃ。
……いや、さすがに腰にきてのう。
おまけに術の反動で五体余さず軋んでおる。
ちょいと無理をし過ぎたわい。

うむ、美味い!
この村の餅は美味いのう。
ほれ、皆も喰え喰え。
儂もまだまだ……はうっ! も、餅が喉に……
あの世へのお迎え、随分と早かったのう……


立花・桜華
餅つきだー
これでもパワーには自信があるんだよ。羅刹の怪力見せてあげるよ!(羅刹旋風で杵を振り回してパワーアップ!)

【先ずは餅つきペッタンペッタン!】
餅つきは楽しそうだね
シーフとしての器用さと持ち前の怪力を生かして的確に杵で餅をついていくよ
間違って人の手をつかないように注意するよ
餅つきの相方と呼吸を合わせてドンドンテンポ良くいこう
どのくらいつけば大丈夫なのかな?う~んもう少しやってみるかな

上手く餅が出来たら、美味しく頂こうかな
う~ん、醤油にずんだ、きな粉と色々あって何を使って食べるか悩むけど、わたしは餡子を使ってみよう!
美味しいものを食べて皆で笑って楽しむのはやっぱり良いよね!
おかわりもらうよー



●立花・桜華

「餅つきだー! これでもパワーには自信があるんだよ!」

 羅刹の怪力ここに在り! そう言わんばかりに杵をぐるんぐるん回すのは立花・桜華だ。
 村の餅つきに混じった桜華は豪快に、されど繊細に餅をつく。
 ぺったん、ぺったん、ぺったん!
 相方を潰さぬように、振り下ろされる杵は的確に餅をこねる。
 ぺったん! ぺったん! ぺったん!
 杵が振り下ろされる度に餅の粘りが増していき、振り上げられる杵にくっついて伸びる伸びる!
 ぺったん! ぺったん! ぺったんたん!
 天に届かんばかりに伸びる餅、その餅を見ようと村人が集まり、拍手喝采が巻き起こったのであった。

「ふぅ~できたね♪」

 ふっくらもちもちのお餅が出来上がり、村人の拍手に包まれる桜華は褐色の肌に浮いた汗をぬぐい、満面の笑みで進められた椅子に座る。
 そこに差し出されるのはつきたてのお餅である。

「わ! 餡子のお餅だ♪」

 熱々のお餅の中にはたっぷりのあんこ、甘い甘いあんこがずっしりと入ったあん餅である!
 餅つきによって火照った身体は冬に空気にやや冷まされる頃、空腹を自覚するにはちょうど良いタイミング。
 そこで出されたお餅は最高のごちそうであろう、桜華は頂きますと笑顔で告げると、大きなお餅をほお張る。
 瞬間、口内に色がる甘さとお餅の香り、嗚呼……なんて美味しいのだろうか。

「おかわりもらうよー!」

 お餅と笑顔に包まれて、笑顔の桜華は思うのだ。
 美味しいものを食べて皆で笑って楽しむのはやっぱり良いよね!


●キョウ・ヴァゼラード

「餅つきか、あまり馴染みはないが私にも参加させて欲しい。」

 伯爵としての威厳と、気品を持つキョウ・ヴァゼラードの言葉に、餅つきをしていたお爺さんはにこやかに笑顔で答える。

「あいよ、頼みましたぞ。」

 にこにこと杵をキョウに差し出したお爺さん、キョウがつく餅をこねるお婆さん。
 村の人々の笑顔は、先ほどまでの戦いの結果を忘れさせるのに十分な報酬であった。 

「猟兵さん、杵をば、餅に振り下ろすんじゃ。 そう、そうやって……うんうん。」

 キョウは不慣れながらも猟兵らしい膂力を持って、軽々と杵を振り下ろす。
 時折お爺さんやお婆さんに教わりながら、ぺったんぺったんと丁寧に餅をつくのだ。
 次第にお餅に粘りが生まれ、まるく、もちもち、やわらかく――大きく立派な餅となった。

「やっぱり兄さん上手だねぇ! ほら、出来立てのお餅! どんどんお食べさ!」

 餅つきの相方を務めたお婆さんはにこにこ笑いながら、一人では食べきれないような量のお餅をキョウに渡す。
 その量に苦笑が浮かぶも、キョウは紳士的に断り、村のみんなで食べようと告げるのだ。
 そんなキョウの手には二人分のお餅があった。

「せっかくだから一緒に食べようかと思ってな。」

 キョウがやって来たのは転送ゲートを護っていたグリモア猟兵、プリマステラの座る椅子であった。
 プリマステラはキョウを確認すると満面の笑顔でキョウなのじゃ! お疲れさまなのじゃー! と両手をパタパタ動かし労う。
 そんな無邪気な少女はキョウの手にあるお餅に気づくと、更に明るい笑顔を浮かべ、感謝の言葉を述べるのだ。

「わー! ありがたいのじゃ! お餅なのじゃー!」

 ぴょんぴょん跳ねながら受け取る少女、その隣に静かに座るキョウ。
 まるで保護者と子供に見える風景であった、そんなキョウは上手にできたか気になっていたが……。
 うにょーんと餅を伸ばし、笑顔で食べるプリマステラをみれば杞憂であると確信できたのだ。
 皆で餅をつき、皆で餅を食べ、皆で笑顔を浮かべる。
 見知らぬ文化ではあるが、なんとも明るく郷愁を感じる風習ではないか。

「正月……ふむ、いつか領地に帰ったら新年の祭りに取り入れてみよう。」

 その時は領民だけでなく、猟兵の皆を呼んで盛大に催してみるのも良いだろう。
 きっと笑顔が生まれ、最高のひと時になる事間違いなしだ。
 そんな思いを胸に、キョウはお餅を口にする、その味は天下泰平の味がした。

●フィン・スターニス

「はい、次の方どうぞ。」

 暖かな出来立てのお餅を振舞うのはフィン・スターニス。
 村の餅つきをする猟兵仲間から渡された柔らかいお餅を手際よく仕上げている。
 一口大にまるめ、きな粉をまぶせば、それを待っていたであろう子供がニコニコと笑顔で両手を差し出しているのだ。

「ありがとー! おねーさん!」

 笑顔の子供にきな粉餅を振舞えば、小走りに走り去る。
 なんとも平和な一時では無いか。
 そう、フィン達の活躍によってこの笑顔が守られたのだ。
 この風景を見るだけで心に染み入るように充足感が満たされる。
 本当の幸福とはこういう事なのだろう、と実感しながら目の前の少女が欲しがっているあんこを丁寧にお餅にくるんであげるのだ。

「あ、ありがとう……おねえちゃん……!」

 人見知りであろう6~7歳の少女は精一杯はにかみを浮かべフィンからお餅を受け取った。
 そう、日常とは、平穏とはこれで良いのだ。

「食べ過ぎないでくださいね。」

 お餅を持って走る子供たち、そして大食いに走る大人たちに声をかけフィンは手際よくお餅作りを手伝うのであった。


●御剣・神夜

「うーん悩みますねぇ。 きな粉も良いですし、醤油をつけて海苔でもいいですし、悩みます。」

 御剣・神夜の眼前に並べられるいっぱいのお餅、つきたてのお餅特有の良い香りが鼻腔を擽ってくる。
 この匂いを嗅いでいるだけで空腹神経を刺激し、油断すればくぅとお腹を鳴らしてしまいそうになるほどだ。
 そんなお餅の誘惑を目の前に、味付けで迷った神夜がとった行動は……!

「まぁ、お正月ですし、全部食べちゃいましょう。 今日はお祭りです、羽目を外しても悪いことはありません。」

 大き目なお皿に乗せられるのはきな粉餅にあんころ餅、海苔にまいたお餅にお醤油をたらり!
 お皿に広がる楽園を手に、足取り軽く用意された椅子に座るのだ。
 冬の澄んだ空気で冷えた身体に出来立てのお餅の熱が身体を温める。

「あー、 出来立てでシンプルな味付けでも美味しい。 料理ってすごいですねぇ、私も早くこれくらい上手になりたいものです。」

 舌の上に広がる極楽を感じながら、花嫁修業中の自分を思う。
 料理上手な家族にダメ出しされる日々だが、いつか自分も極上の料理で唸らせてやろうと決意を新たにするのだ。
 そんな決意を新たにした神夜が二個目のお餅を口に入れた時、不意に楽し気に餅つきに沸く村を見やる。
 それは自分たちが守った光景、平和の証そのもの。
 その光景とお餅で心と身体をぽかぽかに温める神夜だった。


●勅使河原・源蔵

「ささ、源蔵さん。 きな粉餅ですよ。」

 村一番と気立ての良さで評判のお鈴がお皿にこんもりと盛ってやってくる。
 餅を平らげる村の人々の中央、人々が笑顔で食べ合うその会場の更に中央でお餅を食べるのは勅使河原・源蔵である。

「おぉ、おぉ、嬉しいのう。」

 好々爺な表情を覗かせてそれを受け取る源蔵は冬の寒さ等一切感じぬ程の熱気と活気を浴びていた。
 笑顔の人々、笑い合いながら美味しいお餅を喰らう、大人も子供も生きている実感に満たされている。
 この活気、この香り、良いのう良いのう。
 餅つきはこうでなくては。
 天下泰平とは正にこれよのう。
 勿論源蔵も餅を喰らいながら自分たちが守った平穏を楽しむのだ。

「あら、源蔵さん空いてますよ。」

 お鈴が気づき酌をする、おっとっと、と酒盃に一杯注がれる清酒が源蔵の心を奪うだろう。
 美女に酒 座りて喰らうは 天下人
 まさしくこの村の天下人となっていた源蔵は痛む身体を存分に癒す。
 戦を楽しみ、食を楽しみ、人を楽しみ、酒を楽しむ。
 嗚呼、まさしく生きる事を楽しんでいるのだ

「うむ、美味い! この村の餅は美味いのう。 ほれ、皆も喰え喰え。」

 きな粉に餡子、醤油に海苔、様々な餅を楽しみ、村の人々の笑顔を楽しむ源蔵はカッカッカ! と笑いながら、何個目か分からぬ餅を喰らう。
 だが少しお餅が大きすぎたようで……。

「儂もまだまだ……はうっ! も、餅が喉に……あの世へのお迎え、随分と早かったのう……。」

 お鈴が大慌てで背中をさすり、水を持ってこさせるのであった。
 勿論無事であった源蔵は村の皆に笑顔で迎えられた、もっともお鈴は心配したのでお小言を聞かせるのであったが。
 楽しく美味しい餅つきはまだ続く、天下が太平である限り、来年にもまたやってくるのだから。

●己条・理鎖

「ふぅ……。」

 村の喧騒からやや離れた場所で己条・理鎖は暖かなお茶を両手に先ほどの戦いを思い出していた。
 タイミング含めて、完璧な技であった。
 が、自分の手を切り裂くという埒外な方法で脱出されてしまったのだ。

(まさか腕を切り落として拘束から逃れるなんて頭のおかしい戦い方をするとは……。)

 自分でも言い訳だと思うが、自分の身体を捨ててまで人を斬りにくる存在を理解できていなかった。
 手に持ったお茶の温かさがじんわりと沈んだ心を温めてくれる。
 それでも晴れない理鎖であったが、ふと物音と気配を感じ、視線を送る。
 そこには6~7歳の少女がお餅を持って立っていたのだ。

「お、おねえちゃん……きょ、今日は……ありが、とう……!」

 精一杯、口下手で人見知りであろう少女の感謝の気持ちが込もっとプレゼント、餡子の入ったお餅を渡してきたのだ。
 気持ちを込めた出来立てのお餅を手渡し、その少女は理鎖に笑顔を向けると返事を待たずにパタパタと走り去った。

「ありがとう……か。」

 渡されたお餅と少女の笑顔は落ち込んだ理鎖を癒すだろう。
 それは確かに理鎖達が守ったものなのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月04日


挿絵イラスト