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バトルオブフラワーズ⑧〜リペイント・トゥ・アタック

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

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 そんなわけでバトルオブフラワーズ継続。次のステージは『ザ・ペイントステージ』だ。
 こちらのステージで適用される特殊ルールは、ヌリツブシバトル。
 戦場はキマイラフューチャーの街並みを模して作成されているが、壁や床は『闇のような黒色』に塗り固められている。この『闇のような黒色』により、猟兵のユーベルコードはオブリビオンに直接ダメージを与える事が出来ないという、少々厄介な仕様となってしまっている。
 その代わり、ユーベルコード或いは直接武器で床や壁を攻撃すると、猟兵任意の色で、黒色を塗りつぶせる。一定以上の範囲を塗りつぶせば、一度だけ本来のユーベルコードがオブリビオンに通用するようになるようだ。
 つまり、このステージでは『街を塗る→攻撃する→街を塗る』の繰り返しが基本の戦闘スタイルを取ることとなる。一度ユーベルコードを使うと、塗り潰した範囲のペイントは全て黒に戻ってしまう上、オブリビオンはこちらの事情などお構いなしに攻撃してくる。戦法はじっくり考えるべきだろう。
 なお、マップの3分の2以上が猟兵によって塗りつぶされた場合、本来のユーベルコードの攻撃を無制限に行えるようになる。が、今回のオブリビオンである『餅巾着侍』は、頭から煮えたぎる味噌だれを噴射して折角塗った場所を塗り返すことができるようだ。
 今回のステージにおいては、塗っては塗り返され、場合によっては一方的に攻撃されるという、序盤は少々苦しい戦いを強いられることになる。作戦は良く考えるべきだろう。


鹿崎シーカー
(親愛なる猟兵の皆さんへ。皆さんの中にはアドリブ・連携を私の裁量に任せるという人がいるかもしれない。そういう人は、『一人称・二人称・三人称・名前の呼び方(例:苗字にさん付けする)』等を明記しておいてもらえると、私がとても助かります。ただし、これはお願いであって強制ではない。これの有る無しでプレイングを弾くとか判定に補正かけるとかそういうことは無いのでごあんしんください)

(ユーベルコードの高まりを感じる……!)
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第1章 ボス戦 『餅巾着侍』

POW   :    御澱流・田楽刺し
【長巻を用いた鋭い刺突攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【煮え滾る味噌だれ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    御澱流・チカラモチ
自身の肉体を【つきたての餅めいた形質】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    ちくわと鉄アレイ
【伝説的なニンジャマスター】の霊を召喚する。これは【食べると体力を回復出来るちくわ】や【当たるとダメージを受ける鉄アレイ】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:marou

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ハヤト・ヘミングです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エミリィ・ジゼル
なるほど。ようするに沢山塗ればいいと。よくわかりました。
でしたら今回は人海戦術を挑みましょう。

具体的には【増えるメイドの術】を使って35人に分裂。
そして自分を中心に放射線状にかじできないさんズを展開させながら
《インクシューター》の『範囲攻撃』で街をマケドニアカラーに塗り潰していきます。

敵が襲ってきたらかじできないさんズは散開。
わたくし自身が迎撃に回り、足止めと時間稼ぎを行います。

そうして残る34人で規定量を塗る度に攻撃用UCを発動。
【暴れまわるメイドロボの術】のマルチインクミサイルを『一斉発射』

街をド派手にマケドニアカラーで塗りつぶしながら、一気に敵にダメージを与えてやりましょう


メンカル・プルモーサ
……箒に乗って機動力は確保……
ユーベルコードによって床や壁を攻撃すれば塗れるなら……【尽きる事なき暴食の大火】を四方八方にばらまく…延焼分も攻撃だから塗れるはず…
…あ。ついでに味噌だれも燃料にして燃やして…塗り替えしていくよ…

…あとはマップの2/3を塗ることを目指して自分と別方向を延焼させつつ【煌めき踊る銀の月】で周囲を塗りつつ箒で移動して行く……

序盤はなるべく餅巾着侍との接触は避けた方が良いね…でも、もし遭遇したら【支え能わぬ絆の手】で摩擦を奪って転倒させて妨害しよう…

2/3塗りつぶせたら【空より降りたる静謐の魔剣】で集中攻撃…熱々の味噌だれを冷やしてしまおう…


シャノン・ヴァールハイト
連携、アドリブ歓迎!
一人称:当方
呼び方:苗字呼び捨て

色を塗れば良い…ならば当方は技能【怪力】を使用して容器に白い液体でも入れて、投げ込んで色を塗り替えて行くとしよう。

可能ならば、消火栓を使用する時の水源(圧力水槽や高架水槽)に色粉を大量に放り込んで、スプリンクラーや消火栓で可能な限り広範囲を一気に塗ってやりたいものだ。
効率的なのは、スプリンクラーなので、火に関するUCの使い手が居れば良いのだがな…

敵が居たらUCを使用して全力で殴る。
刺突武器での攻撃なら良いが、餅のようになるのであれば、地面に向かってUCを使用して殴ってから、瓦礫等で生き埋めにするなど、色々と考えて徹底的に邪魔をするとしよう。


柚月・美影
とものちゃんと参加

〇アドリブOK
年上はさん、年下や同年代はくん、ちゃん

〇戦闘
バイクに【騎乗】し、とものちゃんとタンデムし連携
【クライミング】で悪路も乗り越えて進む
集中しているから変な質問にもさらっと答えてしまうかも
「ピンク…って何言わせてるのよっ!?」
自分も【投擲】や【念動力】で強化したカードで周囲を黄色に塗り
本格的な戦闘ではとものちゃんと攻撃と塗装に分かれて分担
バトルキャラクターズを【念動力】【二回攻撃】で強化
「来た!『ギャラクシー・ワイバーン』を召喚!効果により1体でレイヤード召喚が可能!逆巻く銀河の根源、時の生ずる場所より来たれ!レイヤード召喚!『ギャラクシー・クロノスドラゴン』!!」


潦・ともの
美影と参加
アドリブ&お遊びOK!
塗りつぶしバトルか。ふむ

『美影、今日のぱんつの色は?』

私の塗りつぶす色はそれにします

美影の後ろに乗り連携

【シンクロ召喚】で愛用カードのキャラを呼び出し、
【2回攻撃】【念動力】【第六感】【見切り】を使い一緒に床や壁を攻撃
数で勝負!

オブリビオンを攻撃できるようになれば
カードキャラを束ねて我が魂の竜を召喚!

『(召喚口上はお任せ!) シンクロ召喚 我が魂たる紅蓮なる魔竜!!!』

【なぎ払い】も使ってあらゆるものを薙ぎ払え!我が魂!!!


しかし、そっかー
ピンクかー
『今度、美影に似合うせくしーなの選んであげるね!』


紅葉・智華
※アドリブ・連携歓迎
一人称:私
二人称:あなた
三人称:苗字にさん付け
通常語尾(キャラ作り):軍人口調
戦意高揚時(素):普通の丁寧語

黒は良い色でありますが、敵の色であれば仕方ない。二番目に好きか赤で塗り替えしてやるでありますよ。
【選択UC】を多数召喚して、その砲塔から周囲に攻撃。違う色に塗りつぶしていきます。敵への直接攻撃は2/3以上の塗りつぶしがない限りは控え、塗り潰すという【援護射撃】を行う。
更に、ペイント手榴弾(アート)を【投擲】する等して、更に塗る。敵からの攻撃は経験(戦闘知識)や直感(第六感、見切り)で回避。

塗り終えたら後は、手持ちの04MVや【選択UC】で攻勢に出るよ!



キマイラフューチャー、ザ・ペイントステージ! 影絵めいた黒一色の大都市。その一角で黒い砂煙が爆発してビルより高く舞い上がった! そこから飛び出すのはモノバイクを駆る柚月・美影(ミラクルカードゲーマー・f02086)とその背にしがみつく潦・ともの(星達の眷属・f04019)、そしてキャタピラ脚部で走るエミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)と彼女の分身多数。額に『1』と刻んだエミリィの分身が本体に並走し、報告。
「家事できないわたくし。今ので四人ほどやられました」
「わたくしは皆家事できませんよ、わたくし。引き続き塗り続けます。マケドニアカラー一色!」
「はい!」
 返事と共に走る三十人近いエミリィが一斉に水鉄砲を発射した。赤と黄のインクがビル壁や先の道路を染め上げ、黒一色の街をストライプ模様に塗り替えていく。カードを取り出した美影は二色に染まる車道を前に声を上げた。
「塗るの早! なんかエミリィちゃんだけで大分いけそうじゃない!?」
「沢山塗るなら、掃除をするより簡単です。しかし……」
 エミリィが肩越しに背後の黒噴煙を振り返る。直後、噴煙上部から黒い人影が飛び出した! それはニンジャだ! 黒衣をまとった、ニンジャである!
「逃げられると思うてか。貴様らを始末するのは、このニンジャマスター黒鉄丸よ!」
「なんか出た! とものちゃん、つかまってて!」
 美影がハンドルをひねると同時、虚空の黒鉄丸が竜巻めいて回り始めた。彼の周囲に手のひらサイズの黒球が無数に出現し、星空じみて都市の空を覆い尽くす! 黒鉄丸から裂帛の気勢!
「無惨な屍を晒せ! 忍法・黒鉄之雨! イヤーッ!」
 次の瞬間黒球が流星群じみて落下! 赤黄二色に染まった街に次々と黒い鉄アレイが降り注ぐ中、美影が複雑軌道走行で回避し、エミリィは加速して鉄アレイの草原を踏み潰していく。ジグザグに駆けるバイクの後ろでとものは歓声を上げた。
「さすが美影。当たらなければどうということはありませんの!」
「当たらなければね!」
 分身エミリィの一人が後頭部に鉄アレイを受け顔面から転倒。さらに別の一人が背中に鉄アレイを三本受け転倒、また別の一人が刺さった鉄アレイにつまづいて転倒! 無数の蒼い0と1になって分解消滅する彼女達を横目に、本体エミリィは水鉄砲のタンクを外して投棄。キャタピラとスカートの間から新たなタンクを取り出しリロード!
「これはいけませんね。かじできないさんズ散開! 迎え撃ちます!」
『はい!』
 ギュルギュルギュル! キャタピラが火花を散らして回転し、エミリィは前後反転しながら水鉄砲を横薙ぎに放水! 黄色のインクが降り来る鉄アレイの雨を薙いで軌道を逸らす。同時に地面を染める赤と黄色のインクが蒸発して蒼光となり、エミリィへと流れ込んで行く。美影は肩越しにエミリィを振り向いた。
「エミリィちゃん!」
「柚月様、お先へどうぞ。時間稼ぎは任せてください。ペイントはお任せしましたよ」
 背後にサムズアップサインを出すエミリィ。それを見たとものが小さく呟く。
「……見事な死亡フラグですの」
「縁起でもないこと言わないの! ほら、塗るよ!」
 聞こえてくる二人の会話を余所に、エミリィは不敵に微笑む。
「死亡フラグですか。……よろしい。そのふざけたフラグは圧し折ります!」
 エミリィを包む蒼い光が一気に膨張。地面に着地した黒鉄丸は思わず片腕で目を庇った。蒼い光の中から突き出す、巨大な機械の右腕、左腕!
「暴れまわるメイドロボの術!」
「むッ!?」
 SMACK! 蒼光が爆発的に光量を増して消滅。腕をわずかに下げた黒鉄丸は目を見開いた。エミリィが居たそこにはそびえる鋼鉄の巨体、キャタピラ駆動する巨大なメイド型のロボが鎮座している! 分身エミリィたちが黒に戻った街へ放水。都市を再び赤と黄色に染めたインクは、蒸発して蒼光と化しメイドロボの両腕に吸い込まれていく。メイド型ロボは黒鉄丸に両拳を突き出し、全自動腕まくりじみて前腕部のカバーをオープン。蜂の巣めいて空いた機械の穴をさらけ出した!
「マルチインクミサイル、発射ーっ!」
 前腕部の穴全てから小型弾頭が飛翔した。高速バク転する黒鉄丸を追って地面に突き刺さり爆散するミサイル群! 赤と黄のまだら模様が黒いアスファルトを染め上げる中、黒鉄丸はムーンサルト回転跳躍。ピラニア魚群めいて追随してくるマルチミサイル!
「イヤーッ!」
 黒鉄丸が大量の鉄アレイをマシンガンの如く射出! 鉄アレイはミサイルの弾幕に正面衝突して片っ端から爆散せしめ、赤黄二色の雨を降らせる。再度着地した黒鉄丸は眉間のシワに汗を浮かべた。
「攻防一体の攻撃か。出来る!」
「家事より出来ます。メイドですから! 食らえ、メイドビ―――――――ムッ!」
 蒼光を吸い込んだエミリィロボの両目が輝き、黒鉄丸を薙ぐように光線を放った。ロボへ突進した黒鉄丸の背後をビームが焼き払い、爆轟を引き起こす! 爆風を追い風にした黒鉄丸は天高くへと跳躍し、片手を空に突き出した。出現した巨大鉄アレイをつかみ、ジャベリンめいて振りかぶる!
「忍法・黒鉄鬼殺し! イヤーッ!」
 THROW! 投げ放たれた鉄アレイに、エミリィロボはクロスガード体勢を取る。前面に展開された青のビームシールドが巨大鉄アレイを防いだ瞬間、ロボの右キャタピラを銀閃が横一直線に突き抜けた。SLASH! 一拍遅れてキャタピラが横一文字に引き裂かれ、エミリィロボが右に傾く!
「おっ、と……!?」
 倒れる方へ視線を向けるエミリィロボ。カメラアイは袈裟掛けに斬り裂かれ、悲鳴を上げて消滅していく分身エミリィ五体を捉えた。後方に目をやれば、赤と黄に染まったストリートに味噌だれをぶちまけながら疾駆する人型! 裸足に草履、着流し姿で頭を餅巾着にした浪人。餅巾着侍が猛スピードで街の中を駆け抜けていた!
「行かせませんよ!」
 エミリィロボが餅巾着侍の背中に右腕を向けるが、上から垂直落下した巨大鉄アレイがロボ装甲を押し潰して歪ませる。縦になった鉄アレイの上に降り立った黒鉄丸は、エミリィロボを真正面から睨んだ。
「オヌシの相手は拙者だ。主殿の邪魔はさせん!」
「いいでしょう。オブリビオンの前に、ニンジャ、殺すべし!」
 ロボの内部で、エミリィの瞳がキラリと光った。


 一方その頃、美影&ともの方面! モノバイクの座席から四方八方へカードが飛翔し、壁や床に当たっては黄色いタイル状に変色させる。街中のそこらに付着し、拡大していく黄色い四角を見回したとものは、あごに手を当てて考え込んだ。
「メイドも黄色、美影も黄色。……ふむ」
 とものは体を傾け、前をにらむ美影の横顔を覗き込む。
「美影、今日のぱんつの色は?」
「ピンク! ……って」
 ハッとした美影は赤くした顔でとものの方に振り返る。
「なっ、何言わせてるのよっ!?」
「なにって、私が塗り潰す色ですの」
「はぁ!?」
 上擦った声を上げる美影を差し置き、とものは右手の平を上向けた。湧き立つ紅蓮の炎めいたオーラが、二枚のカードの形に収束。とものはそれをつかみ、真上に投げる! カードはたちまち二つの大きな炎球となった!
「レッドフォーク・デーモンとレゾナンス・ドラゴンを召喚! 街を美影のぱんつ色に染めてしまえ!」
「ちょっ、とものちゃ――――ん!?」
 美影の悲鳴を余所に、炎球は破裂四散! 炎球から現れたのは長身痩躯で槍めいた音叉を携えた紅蓮の悪魔と、コオロギじみた羽を持つマッシブな竜。悪魔は音叉の先に炎をまとわせ、街中に見境なく炎弾を発射! 対してドラゴンは羽を震わせ、鈴の音めいた音波を放つ。残った黒の部分がピンク色に変化する中、とものは腕組みしてうんうんと頷いた。
「しかし、そっかー。ピンクかー。……今度、美影に似合うせくしーなの選んであげるね!」
「余計なお世話だよっ! あ、アタシだってちょっとくらい大胆な……あああああああっ!」
 真っ赤な顔でハンドルに頭突きする美影。その時、モノバイクのすぐ真後ろ上空に餅巾着侍が出現! 二刀を交叉した侍の全身が殺気を撒き散らし、二人は同時にそちらを振り向く!
「我が戦線で召し物の話か。甘く見られたものよなァッ!」
「やばっ……!」
 美影が慌ててハンドルをひねりバイクを加速! とものの鼻先を剣閃がかすめ、着地前転した餅巾着侍がバイクに追って走り出す。少しずつ距離を詰めてくる侍を眺め、とものは楽しげな笑顔で言った。
「あら。オブリビオンに美影のぱんつの色聞かれてしまいましたの」
「とものちゃんのばかぁ―――――っ!」
 泣きそうな顔で叫んだ美影は八つ当たりめいて周囲にカードを撒き散らす! 黄色とピンクの隙間、残った黒地に命中するカードを、茶色の液体が上から塗り潰していく。餅巾着侍は頭から味噌ダレを連射しながら居合いの構え!
「逃がさん! この戦場で、隙に振る舞えると思わぬことだ!」
「とものちゃん、攻撃任せるっ!」
「おっけー美影。レゾナンス・ドラゴンの効果発動!」
 とものが片手を振り上げると共に、ピンクと黄色が蒸発してドラゴンの両羽に流入。金属音じみた声で吠えた竜は羽を高速振動させて紅い音波を侍に撃つ! 餅巾着侍の輪郭がビリビリと震え、わずかに減速。だが侍は構えを崩さぬ!
「ふん、こそばゆいッ!」
 SLASH! 抜き打ち一閃、音波が裂ける。再加速した餅巾着侍の真横に悪魔が並び、ピンクと黄の光をまとった音叉で連続突き! 侍は加速と減速を織り交ぜて次々かわし、突き出された音叉を斬り上げで打ち上げる。
「ふッ!」
 侍はコマの如き回転斬で悪魔にひと太刀浴びせて振り払い、もう一度美影のバイクを追走! 直後、彼の目前が連鎖爆発! 急ブレーキをかけた侍が空を仰ぐと、左右のビル屋上に四ツ足の歩行戦車が列を成して餅巾着侍を照準していた。うち一機の足元に立つ紅葉・智華(紅眼の射手/自称・全サ連風紀委員・f07893)が、上から美影に呼びかける。
「柚月さん、止まらずに! 援護するであります!」
「智華さん! ありがとー!」
 餅巾着侍が赤く染まった足元の地面とビル屋上、距離を離すモノバイクを見て舌打ちをする。四ツ足歩行戦車が全て黒い闇に包まれて溶けるように消滅するのを見、餅巾着侍はダッシュを再開! その後方上空を飛行する夜鳥型ドローン三機がクチバシを開き、喉奥から迫り出した機銃から弾をばらまく。疾駆する侍の足元に黒い砂煙が上がり、彼の足跡をたどるように赤いラインを描いていく。ビル屋上、侍に並走した智華は、手榴弾を複数吊るしたベルトを取り出し振り回し始めた!
「さて、黒は良い色でありますが、敵の色であれば仕方ない。二番目に好きか赤で塗り替えしてやるでありますよ」
 ベルト投擲! 手裏剣めいて回転しながら飛んでいくそれに、智華はアサルトライフルの銃撃を浴びせた。穴の開いた手榴弾が爆発して侍の前に赤のインクをカーテン状に散らす! 侍は居合い抜き一発でインクのカーテンを両断し、すれ違いざま両側頭部から味噌ダレを発して塗り返した。視線が智華の方を向く!
「鬱陶しい。先に死にたいのならそうしてくれる!」
 餅巾着侍は両脚をバネめいて縮め大ジャンプ! 肉迫してくる侍を見た智華はアサルトライフルを横抱きにし、前傾姿勢で前に飛び出す。彼女の居た場所を斬撃が吹き抜け、ワンテンポあとに侍が着地。前転から片膝立ち姿勢で振り返った智華はアサルトライフルから餅巾着侍の足元に銃撃! 駆け出した侍は銃弾を走る足で蹴散らしながら詰め、智華の脳天めがけて刀を大上段に振り上げた! 間一髪横っ飛びで回避する智華。彼女は追撃の横一閃をブリッジでかわし、頭を戻して刺突を紙一重で避けた。鈍化する時間の中、下を向いた刃が智華の眼球に向くビジョン!
「っ!」
 真横に転がった智華側頭部の髪先が数本斬られた。直後、二人の間をドローン機銃の掃射が隔てる! バックステップした餅巾着侍は鼻を鳴らし、収めたままのもう一刀を抜いて投げつけた。刀はプロペラめいて回転しながら飛来する三機の鳥型ドローンを一度にスライス! ドローンの爆発を貫いて伸長した侍の腕が、そのまま飛んでいきかける刀の柄をつかんで引き戻す。彼が周囲を見回すと、智華は既にビルから飛び降りていた。前転着地から駆け出した彼女を見下ろし、餅巾着侍は右手の刀を肩に担いだ。
「悪知恵の働くネズミどもめ。面倒をかけさせるな!」
 智華を追ってビル屋上から跳躍する餅巾着侍。当の智華は、黄色のモザイク柄とピンクの塗装で満たされた道を走りながら、片目を閉じて左手首に巻いた腕時計型端末に声をかける。
「ヴァールハイトさん、こちら紅葉。対象を誘導しながら指定ポイントへ移動中、オーバー」
『了解した。当方の準備も大方終わる。故に』
 不意に智華が振り返る。目と鼻の先に餅巾着の頭部があった。餅巾着侍の腕が二刀を下段に引き絞ると同時、二人に濃く巨大な影が覆い被さる! そろって真上を見上げる二人の視界に、巨大な球形タンクとそれを掲げたシャノン・ヴァールハイト(死者の声を聞き、招く者・f10610)! シャノンは両手十指をタンクの壁に食い込ませ、白いロングコート越しに腕の筋肉を盛り上げた。
「合流する。走れ紅葉!」
 言いながら、シャノンはタンクをダンクシュートめいて投げ下ろす! 即座に智華が前後反転し、後ろ手に手榴弾を三つ投げて全力疾走。彼女に追随しかける餅巾着侍の前で手榴弾は破裂しペイントを撒き散らした。怯み、足を止める侍の頭上にタンクが落下! 粘土の如く押し潰される餅巾着侍。彼を中心に地面が浅く広く凹んでひび割れる! 圧力をかけらた餅巾着侍は低い声で呻いた。
「グ、グ、グ……効か、ぬわッ!」
 タンクが真上に跳ね飛んだ! バネめいてタンクを吹き飛ばした餅巾着侍は、前方に着地したシャノンに右の刀で斬りかかる。シャノンの左ストレートが刃と衝突! シャノンは逆から飛んできた刃を裏拳で弾き、肩狙いの斬り下ろしをショートアッパーで迎撃。次の瞬間、高速剣戟と拳のラッシュによる応酬が始まった! 侍とシャノンの間に金属音と火花散る! 侍は左の刀を引き絞って刺突を繰り出した。
「ぬうううああああああああああああッ!」
「ふんッ」
 両腕を腰だめに構えたシャノンの腹に刺突が直撃! 大きく後ろに滑った彼に飛びかかった侍は、二刀を大上段に振り上げる!
「チェストォォォォォォッ!」
 脳天への一撃が振り下ろされる! だが刀は鈍い音を立てて跳ね返された。全身に暗く輝く金のオーラを鎧めいてまとったシャノンは、両目をカッと見開いた。上半身をひねって右拳を引き絞り、黄金のオーラを集中!
「主菜だ。存分に味わえ」
 がら空きになった侍の胴に渾身の右ストレート! SMAAAAASH! まともに拳を食らった餅巾着侍は弾丸じみて吹き飛ぶも、地に両脚をつけて制動をかけた。地面と擦れた草履から白煙を上げながらも止まった餅巾着侍は、勢いよく顔を上げて言い放つ。
「効かん! この戦線に居る限り、拙者は無敵だ!」
「そうか。だが当方にも打つ手はある」
 シャノンは握ったままの拳を足元の地面に叩き込む! 大地に走った亀裂が広範囲に枝分かれしながら餅巾着侍の足下を通過し、地盤を崩した。足を取られよろめく侍の左右、地面から伸びた亀裂に飲まれたビルがぐらぐらと揺れ、彼の頭上めがけて倒壊! 砕けたビル二棟から瓦礫が雨の如く降り注ぐ中、シャノンは智華を見返った。
「今だ。撃ち抜け紅葉!」
「了解っ!」
 智華の手中でアサルトライフルが光に包まれて消滅し、代わりに鈍色の大型機械砲が出現。智華は砲口を上げ、垂直に落下するタンクを狙う。彼女の視界に現れたターゲットサイトがタンクをロックオン!
「このチャンス、逃さない! ドミナント・バレット!」
 BOOOM! 機械砲が火を噴き、放たれた砲弾がタンクを貫通し爆散せしめた。中身の白いペンキが滝めいて餅巾着侍にのしかかった瓦礫にぶちまけられ、周辺ごと純白に染め上げる。地鳴りを起こす怒涛。それを内からぶち抜いて空中に躍り出た餅巾着侍が、体を高速回転させた。しぼり雑巾じみて足首から顎下までねじれる肉体! 油断なく身構えるシャノンを見下ろし、侍は二刀の刃を水平に構える!
「秘剣・嵐斬餅!」
 餅巾着侍が先とは逆方向に高速回転! 無数の飛ぶ斬撃がシャノンめがけて急降下する中、彼は両腕を交叉して防御態勢を取る。全身に黄金色のオーラをまとうシャノンに、斬撃が矢次早に降り注ぐ! 空気を鋭い音がつんざき、智華が思わず声を張った。
「ヴァールハイトさん!」
 シャノンは不動の姿勢で飛び来る斬撃を受け止め続ける。一方、音も無く着地した餅巾着侍は二刀を収め、居合いの構えでシャノンへ突進! 低姿勢ダッシュしながら鯉口を切る侍。だがその時、餅巾着侍後方の空の一部が人型に歪んだ。透明化を解除したメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、浮遊する箒に腰掛けたまま侍の右足に手をかざす。手の平に浮く魔法陣!
「……繋ぎ止める絆よ、弱れ、停まれ。汝は摺動、汝は潤滑。魔女が望むは寄る辺剥ぎ取る悪魔の手…………フリクション・ゼロ」
 メンカルが伸ばした手をひったくるように振った直後、侍の右足が大きく滑った。バランスを崩して顔面から地面に突っ込む彼を余所に、シャノンは防御態勢をといてメンカルを見上げた。
「プルモーサ!」
「……お待たせ。こっちも、準備できた……マップ、塗り潰すね……」
 言いながら、メンカルは手元のタブレット端末に指を走らせる。ザ・ペイントステージ全域を上から見た地図の各所に魔法陣のマークが浮上!
「……遅発連動術式クロノス解放……貪欲なる炎よ、灯れ、喰らえ。汝は焦熱、汝は劫火。魔女が望むは灼熱をも焼く終なる焔。……グラトニー・フレイム」
 メンカルの指がタブレットの画面を叩いた瞬間、CABOOOOOOOOOM! ステージ各所で白い炎柱と銀の花吹雪が巻き上がった。凄まじい速度で延焼する炎を、吹き荒れる銀の花風を浴びた街が白く染め上げられていき、さらに炎に触れた街中の消火栓やスプリンクラーが暴発! 白いペイントインクを撒き散らし、黒を白へと塗り替える。メンカルのタブレット上でマップがどんどん白くなり、%表示の数字が恐るべき速度でカウントアップしていく。50、60、70、80。さらに上昇!
「ち……!」
 なんとか立ち上がった餅巾着侍は己の手に目を落とし、握っては開く。
「塗り潰されているのか、我が戦線が! やらせるものかァッ!」
 頭部の巾着が大きく膨らみ、振り向きざまメンカルに味噌ダレを射出! 無表情を崩さぬメンカルの前に白い魔法陣が展開され、白い炎を放射した。炎は味噌ダレを呑み込み、焼き尽くしながら一直線に伸び侍へ到達! BOOOOM! 白い爆発が侍を呑み込むと同時、メンカルのタブレットが電子音を発した。画面に浮かぶ『COMPLETE』の文字列!
「……ステージ、制圧完了……これで、攻撃が通るはず……」
「ぬうううううっ!」
 うめき声を上げメンカルを睨む餅巾着侍。彼の頭が膨張し、蒸気を上げて膨れ上がった! 時を同じくして空に青白い魔法陣が展開!
「戦線を塗り潰したぐらいでいい気になるなッ! 味噌だれ噴火ァッ!」
「……停滞せしの雫よ、集え、降れ。汝は氷雨、汝は凍刃。魔女が望むは数多の牙なる蒼の剣」
 メンカルが呟き、餅巾着の頭部から火山噴火めいて味噌ダレが噴き出した! 天蓋じみて空を覆う味噌ダレは、しかし一瞬で茶色の氷塊と化す。ひび割れ、粉砕する味噌ダレ氷塊を貫き降り注ぐ無数の氷剣。それを見上げた餅巾着侍は二刀を引き抜いて跳躍! 竜巻めいて回転しながら氷剣を斬り払いつつ垂直上昇し、青白い魔法陣を見据えた。
「秘剣・力餅ッ!」
 SLASH! 剣閃が走り、魔法陣が真っ二つに割断される。鈴じみた音色を放って弾け飛ぶ魔法陣。餅巾着侍はそのまま体を回してしぼり雑巾のようにねじり、二刀を構えた!
「秘剣……嵐斬餅!」
 餅巾着侍は逆回転し、全方位に飛ぶ斬撃を撒き散らす! 三人に向かった斬撃は、しかし虚空で不可視の壁に阻まれた。智華の赤い瞳に大量の文字列が走る。
「ひっかかった。そこは罠よ……ヴェンジェンス・ウォール!」
 智華が右手をかざした瞬間、斬撃を止めた不可視の壁に紫電が走り、侍をダイヤモンド型の雷結界に閉じ込める! 結界はぎゅっと収縮し、電撃を爆発させた。ZGRAAAAAAAAK! 響く轟雷を聞きながら、シャノンが拳を固めて引き絞る。黄金のオーラを凝集して振り抜いた!
「はッ!」
 SMAAAAASH! パンチと共に黄金色の衝撃が飛び、電光を貫いて餅巾着侍を弾き出した。彼は空を斜めにすっ飛びながら、歯軋りの音を鳴らす。
「グッ……おのれ! 黒鉄丸、黒鉄丸は何をしている!」
「はーい、ご注文の品でーす!」
「何……」
 振り向いた餅巾着侍の背後に巨大メイドロボ! 右腕を失い、スカート部分からジェット噴射したロボは左拳を振りかぶる。その手に握られているのは黒衣のニンジャ、黒鉄丸! 餅巾着侍から驚愕の声!
「馬鹿な! 黒鉄丸!」
「それなりに苦労したので借りを返しに来ました。これは! 借用書代わりの!」
 ロボエミリィの肘が炎を噴射して侍に殴りかかる!
「ロケットパンチですッ!」
 ロボエミリィの左拳が侍に直撃し、切り離されて流星めいて地上に墜落! CRAAASH! 打ち砕かれた地面がクレーターに早変わり。メイドロボの腕に剣閃を走らせ、爆散させた餅巾着侍はふらつく足で抉れた地面を踏みしめる。その時、エンジン音が周囲に響き、音叉を手にした悪魔と虫の翅を持つ竜を従えたモノバイクがクレーターに飛び込んだ! バイクごとジャンプして宙を舞う美影は左手でハンドルを握りしめ、左手首にセットした山札からカードをドロー! そしてそのカードを高く掲げた。
「来た! アタシはギャラクシー・ワイバーンを召喚!」
 銀河色の翼竜は宇宙めいた光にくるまれ、二つに分裂。美影はそのまま片手を天に突き上げた! 垂直に飛翔した光球が、空に開いた銀河色の渦に吸い込まれていく!
「このモンスターは、効果により1体でレイヤード召喚が可能! 逆巻く銀河の根源、時の生ずる場所より来たれ! レイヤード召喚!」
 二つの光球を呑み込んだ渦が一気に収縮して爆発! 眩い閃光を引き裂いて現れたのは、巨大な歯車を背負った銀河色の巨竜!
「時を統べるソラの竜、ギャラクシー・クロノスドラゴン! とものちゃん!」
「うむ! レベル4のレッドフォーク・デーモンで、レベル4のレゾナンス・ドラゴンをチューニング!」
 悪魔と竜が炎に包まれ、それぞれ四つの赤い輪二組に変化した。赤い輪は重なりあって八枚重ねと化し、その穴を真紅の閃光が真っ直ぐ貫く!
「王者の咆哮、今大地を揺るがす! 荒ぶる炎よ、灼け付く軌跡を刻み込め! シンクロ召喚!」
 光が爆発! 灼熱の火の粉を撒き散らし、赤光の中から飛び立ったのは紅蓮の体を持つドラゴンだ。ねじくれた二本角を生やした頭部に、鋭いかぎ爪を備えた五指。羽ばたく翼は燃え盛り、周囲を赤々と照らし出す。とものは天に突き上げた人差し指を、餅巾着侍に向けた。
「我が魂たる紅蓮なる魔竜! クリムゾン・デモン・ドラゴンッ!」
 二体の竜が咆哮して空気を震わす。魔竜を背後に従えたとものと美影は腕を組んで仁王立ちし、互いに目配せ。そろって片手を振り上げた!
「行きますの! クリムゾン・デモン・ドラゴン!」
「ギャラクシー・クロノスドラゴンの攻撃!」
 二人が声をそろえると共に、二体の竜は羽ばたいた。赤の竜が右手を燃やし、銀河の竜が口の中に光を溜め込む。とものと美影は、一緒に餅巾着侍に人差し指を突きけた!
「クリムゾン・ヘル・ブレイズ!」
「ギャラクティック・オーバーブラスト!」
 燃える右手と竜のアギトが、紅蓮の炎と銀河色のブレスを放つ! ふたつは軌道上で重なり合って螺旋を描き、餅巾着侍へ一直線! 二色の光が着流し姿を呑み込み、KRA-TOOOOOOM! ビッグバンじみた大爆発を引き起こした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月11日


挿絵イラスト