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バトルオブフラワーズ⑧〜戦場が闇に染まる前に

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

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●バトルオブフラワーズ
 ――キマイラフューチャーが、まっぷたつに割れました……!
 テレビウムを通して伝えられた『システム・フラワーズ』からの救援依頼。
 現在、「システム・フラワーズ」を占領しているのは、この世界のオブリビオン・フォーミュラ「ドン・フリーダム」だ。
 この奪還の為、猟兵達は驚異の大戦争『バトルオブフラワーズ』へと身を投じることとなる。

 グリモアベース。
 金髪エルフのグリモア猟兵、セレイン・オランケット(エルフの聖者・f00242)が話を聞いてくれる猟兵を探していた。
「できるだけ、皆に力を借りたい状況なの」
 猟兵が話を聞く態勢に入ったことで、セレインは小さく頷いてから説明を始める。
 まず、前提として、周囲を守る6つの『ザ・ステージ』を全てオブリビオンから取り戻さないと、目的地である『システム・フラワーズ』にたどり着くことはできない。
 ザ・ステージにはそれぞれ「特殊な戦闘ルール」があり、たとえ敵を倒しても、敗北条件を満たすと謎の力で追い出され、強制敗北になってしまうのだという。

●ヌリツブシバトル
 そこは、キマイラフューチャーの街並みを模した戦場ステージに、『シュウカクフードバトル』という特殊ルールが適応されている。
「戦場の壁や床は『闇のような黒色』に塗り固められているわ」
 これによって、猟兵のユーベルコードはオブリビオン……暗黒面『斬裂の支配者ロード・リッパー』に直接ダメージを与える事が出来ず、一方的に攻撃を受けてしまう。
 その代わり、ユーベルコード或いは直接武器で床や壁を攻撃すると、ピンク、青、緑、紫など黒以外の好きな色で、周囲を塗りつぶす事が出来る。
「一定以上の範囲を塗りつぶす事に成功すると、一度だけ、本来のユーベルコードでオブリビオンを攻撃できるわ」
 オブリビオンを攻撃せずに、より広範囲を一気に塗りつぶすスーパー塗りつぶし攻撃を行う事も出来まる。
 さらに、マップの3分の2以上が猟兵によって塗りつぶされた場合、本来のユーベルコードの攻撃を無制限に行えるようになる。
「こうなったら、一気に決着をつけることができるはずよ」
 確実に街を塗りつぶして後を他メンバーに託すか、一撃を与えるチャンスを狙うのもいい。
「以上ね。皆の色って、どんな色かしら」
 ――その色で、街もオブリビオンも染めてきてほしいの。
 セレインは送り出す猟兵達へとそう願うのである。


なちゅい
 猟兵の皆様、こんにちは。なちゅいです。
 当シナリオを目にしていただき、ありがとうございます。

 キマイラフューチャーで戦争が開始されました。
 できる限り、執筆本数を増やしてまいりますので、よろしくお願いいたします。

 こちらのシナリオは、1章構成、『暗黒面『斬裂の支配者ロード・リッパー』とのボス戦。
 ただし、特殊ルール『ヌリツブシバトル』が適応されます。
 キマイラフューチャーの街並みを模した戦場が舞台です。
 黒く塗り固められた街では、オブリビオンに直接ダメージを与えられません。
 皆様の好きな色(黒以外で)で街の3分の2以上を塗りつぶし、そこから攻撃できるようになったオブリビオンをやっつけてください!

 最速のプレイングが届いてから、そちらが失効する前(3日以内)にリプレイを執筆いたしますが、戦争シナリオなので、10名程度の参加が確認できましたら、執筆を開始することもあります。

 シナリオの運営状況はマイページ、またはツイッターでお知らせいたします。
 それでは、行ってらっしゃいませ。
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第1章 ボス戦 『暗黒面『斬裂の支配者ロード・リッパー』』

POW   :    魂を蝕む触手の群れ
【暗黒面 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【蠢く蒼の触手のかたまり】から、高命中力の【魂を蝕む触手の一撃】を飛ばす。
SPD   :    シンクロ・ザ・ネメシス
【暗黒面の感情で塗潰す事により支配した 】【一般人のイケメンな猫耳キマイラ男子の体に】【斬裂の支配者 ロード・リッパーの身体能力】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    次はどんな子にしようかなぁ?猫耳は外せないよね。
対象のユーベルコードに対し【支配していたイケメンな猫耳キマイラ 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:夜月蓮華

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はティアー・ロードです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アルテュール・ドリィブ
カラフルで楽しい世界なのに、真っ黒なんてつまらない
グラフィティスプラッシュで辺りを塗りつぶそう
これほど塗りに向いているユーベルコードもあるまい
それに、おれの武器の指先、実は万年筆なんだ
「周りを気にしないでいいなんて、なんだか楽しいね」
インクの色は、淡い桃色。うん、いつものおれの色だ

相手を倒すことより、塗ることを優先
おれが倒さなくとも、次に戦う誰かのためになるならそれでいい
ユーベルコードが使えるようになった状態で、
オブリビオンに邪魔されるようならユーベルコードを使って対抗
かわされても気にしないよ。なに、もともときみを倒すためじゃない
「戦場おれの色に染まるなら、それでいいのさ。ほら、綺麗だろう?」


セリオン・アーヴニル
命懸けの陣取り合戦…か。
特殊なルールがあるなら、単純に突破すれば良いだけの事。
奴に『数の力』と言う奴を見せてやるとしようか。

序盤は特にサポート、もとい陣地の確保を重点的に行う。
【境界崩壊】を発動し、『自分自身の複製』を32人生成。
自信を含めた計33人でフィールドに散開し、より広範囲を一気に塗り潰してやろう。
色は…そうだな。
目立つように薄い赤か黄色あたりが良いだろうか?

3分の2以上を塗り潰した後は、散開していた全員を集結させ、文字通りの肉盾や援護射撃等で味方の戦闘フォローを行う。
「数の有用性と言う奴だ。…実感出来たか?」
等と、皮肉兼挑発を飛ばしつつ。


露木・鬼燈
んー、また変なルールなのです。
いーけどね、これはこれで楽しそうだし。
がんばって塗りつぶすです。
綺麗な赤色にぬりぬりするっぽーいっ♪
ムカデを遠距離戦闘用の装備で召喚して騎乗。
レーザー機銃やミサイルを使うです。
僕は魔剣を連結刃形態に変形させて塗りつぶし攻撃をするです。
街のマップデータをハッキングして入手。
ムカデの補助脳を利用して効率的に塗りつぶせるルートを算出。
壁も移動できるので、かなり無茶なルートもイケルイケル!
いい感じにに塗りつぶせたら選択の時。
悩むけど…スーパー塗りつぶし攻撃いくっぽい!
温存していたコンテナミサイルを使うです。
撃ち出されるのはクラスター爆弾。
広範囲を塗りつぶすならこれだよね!


龍ヶ崎・紅音
アドリブ・絡み歓迎

【POW】

さてと、この黒い街をいろいろな色に染め上げちゃいますか!!

最初は、「ロックブレイカー」の【なぎ払い】や【槍投げ】の焔【属性攻撃】で"赤く"塗りつぶしことを優先に敵の攻撃からの回避に専念するよ
相手が"暗黒面"の感情を誘発させるなら、【勇気】と【気合い】で対抗するよ
一定範囲を塗りつぶしても、攻撃せずに『煉獄猛焔波動』で一気に塗りつぶすよ

2/3以上塗りつぶしたら、持っている斧を消えるように「収納用魔宝石」にしまって、黒焔竜剣を召喚
そのまま、【力溜め】の【捨て身の一撃】で一刀両断にするよ

街全体を"黒"に染め上げたはずが、"黒い"焔の斬撃に切られる気分はどうかな?


クララ・リンドヴァル
わわっ、ものの見事に真っ黒ですね。急いで塗り返して、システム・フラワーズへの道を開いてしまいましょう。
色:薄紫です。
UC発動。通路など直線の場所は突撃で一気に塗らせます。ついて行きますから、無事に戻って来てくださいね。広い場所は魔力放電で周囲の床や壁に攻撃を滅茶苦茶に撒き散らします。
遭遇したオブリビオンには、邪魔する程度に近くを軽く塗りかえしてやって、気を引いたらすぐに下がって行くヒットアンドアウェイを行いたいです。
攻撃出来る状態のオブリビオンへの攻撃>スーパー塗りつぶし
出来れば、スーパー塗りつぶしを優先して使う方と一緒にスタートしたいですね。
スーパー塗りつぶしは強めの魔力放電
※アドリブ歓迎


神城・澪
連携可、というより推奨。

「闇のような」って言うならフォックスファイアよね!
なるべく広範囲かつ隙間なくぶつけてやりましょう。
塗り替えによって攻撃可能になったとしても、基本フォックスファイアで塗りつぶし。
味方が敵への攻撃に専念できればいいと思う。
むしろ無制限にできるようになるまで塗り潰しに専念するわ。

よほど敵に隙があれば直接攻撃。といってもやっぱりフォックスファイアで遠距離なのだけれど。

ところで猫耳キマイラって矛盾してるように思うのだけれどどうなのかしら?
あと正直言い難いことなんだけど。
私、人の顔の醜聞どころか個人判定も苦手なタイプだから敵の攻撃が効くのか気になる。


闇之雲・夜太狼
アドリブ・連携歓迎

俺が来たからには、お遊びはここからだよ!
黒一色っていうのはあんまり趣味がよくないなぁ
だから俺が紫に染め直してあげるね!
お礼はいらないよ。もー、俺ってば親切なんだから~♪
まずはESで水の精霊の魔法力を球形にした、文字通りの「水風船」を作って……
MAGに握らせた状態で真上に射出!空高く打ち上げたら、握りつぶしてボン!
開戦の狼煙の代わりだよ!

その後は黒い部分を優先的に狙って、水風船を作ってはバシャバシャばらまくよ
リッパーちゃんを攻撃できるようになったら、限界まで膨らませた超特大水風船を作ってスーパー塗りつぶし攻撃を使うよ!
猫耳のイケメンはCODE:BBで傷付けずに動きを封じ込めよう



●黒く塗りつぶされた街で
 キマイラフューチャーズで繰り広げられる戦争『バトルオブフラワーズ』。
 猟兵達は『システム・フラワーズ』内部に突入する為、『ザ・ステージ』の奪還へと当たる。
 今回、参加メンバーが訪れたのは、一見、キマイラフューチャーの街並みをした戦場。
 だが、決定的に違うのは、戦場のほとんどが『闇のような黒色』に塗り固められていることだ。
「わわっ、ものの見事に真っ黒ですね」
 気弱な性格の魔女のクララ・リンドヴァル(本の魔女・f17817)は、この街の惨状に驚きの声を上げる。
 そこに現れるのは、1人のオブリビオンだ。
「よぉ、今からキミたちを存分に切り裂いてあげるよ」
 猫耳らしきものがついたキマイラの青年、暗黒面『斬裂の支配者ロード・リッパー』。
 そいつを倒せば勝利ではあるものの、この地には『ヌリツブシバトル』というルールが適用される。
 現状だと、ユーベルコードを使っても、ロード・リッパーにダメージを与えることができない。
 ただ、猟兵達のユーベルコードを使うことで、街を自分達の好みの色に塗り替えることができる。
 一定の領域を塗り返すことができれば、ロード・リッパーを倒すチャンスが生まれる。
「命懸けの陣取り合戦……か」
 いささか不機嫌な表情を浮かべるセリオン・アーヴニル(並行世界のエトランジェ・f00924)。どうやら、それは彼の地らしいが、オブリビオンに対する敵意があるのは間違いない。
「んー、また変なルールなのです」
 羅刹の武芸者、露木・鬼燈(竜喰・f01316)はその内容を理解して本音を語り、さほど意に介した様子もなく黒く塗りつぶされた街を見回して。
「いーけどね、これはこれで楽しそうだし」
「特殊なルールがあるなら、単純に突破すれば良いだけの事」
 鬼燈に続き、セリオンは『数の力』というやつを見せつけると告げると、直後にこのステージへと新たな猟兵が続々と参戦していて。
「さてと、この黒い街をいろいろな色に染め上げちゃいますか!!」
 飛び込んできた竜人少女の龍ヶ崎・紅音(天真爛漫竜娘・f08944)は、意気揚々とこの場の戦いに当たる。
「カラフルで楽しい世界なのに、真っ黒なんてつまらない」
 キマイラフューチャーは、もっと鮮やかだったはずだと、アルテュール・ドリィブ(ガラクタドール・f03646)は考える。
 だから、アルテュールは自身のユーベルコードで塗りつぶそうと、この場へとやってきていた。
「俺が来たからには、お遊びはここからだよ!」
 そして、気ままに戦場を巡る人狼少年の闇之雲・夜太狼(クライウルフ・f07230)が姿を現し、ここでも存分に楽しもうと考えていた。
「これで全員かなぁ? そろそろ始めようか」
 ロード・リッパーは楽しげに笑い、地の利を生かして猟兵達へと襲い掛かってくる。
 ただ、ルールの為か、猟兵達は一斉にこの場から離れて。
「急いで塗り返して、システム・フラワーズへの道を開いてしまいましょう」
 クララ達は仲間に呼びかけ、この黒い街を自分好みの色へと塗り替えていくのである。

●自分らしい色に
 暗黒面『斬裂の支配者ロード・リッパー』は楽しげに切りかかり、この場の猟兵を傷つけようとしてくる。
 猟兵達はそれを躱しつつ、街を自分達の色に染めていく。
 黒一色という街の状況に、あんまり趣味がよくないと夜太狼は感じて。
「だから、俺が紫に染め直してあげるね!」
 魔導具『エレメントシューター』を手にした夜太狼が水の精霊の魔法力を球形にする。
 文字通りそれは「水風船」となったそれを念動力式ワイヤー銃『マジックアームガッチャー』に握らせ、夜太狼が真上へと放つ。
 空高く打ち上げた水風船を握りつぶすと、ボンという音が周囲へと鳴り響いた。
「開戦の狼煙の代わりだよ!」
 すぐに、鮮やかな紫の色が周囲を紫に染めていった。
 続くセリオンも、陣地を確保する為にユーベルコード【境界崩壊】を行使する。
 たまたまセリオンは『数の力』を語ったタイミングで仲間が駆け付けていたが、彼の語る力とはこの場の猟兵の数ではない。
「人外《ヒトデナシ》だからこそ出来る『マトモじゃない』手段を見せてやろう」
 彼はこの場で、『自分自身の複製』を30人余り作り出す。
 自らを含め、セリオン達はフィールド内へと散開して、より広範囲を一気に塗りつぶそうとしていく。
「色は……そうだな」
 彼が選んだのは、目立つように薄い赤色。さらに、黄色を織り交ぜながらも街を染め上げる。
「おっと、させないよぉ」
 だが、ロード・リッパーがそれを黙って見ているはずもない。
 敵はユーベルコードを使う猟兵を一人ずつ狙い、暗黒面の感情を植え付けようとしてくる。
 それを植え付けられたら最後、ロード・リッパーがナイフで裂いた空間から呼び出す触手の塊に魂すらも蝕まれてしまうのだ。
 人数でやり過ごすセリオンにいったん見切りをつけ、敵は紅音に狙いを定める。
 紅音は武骨な巨大戦斧『ロックブレイカー』で周囲を薙ぎ払う。
 斬撃痕が残ることはなく、そこは赤く塗りつぶされるのみ。
「負けないよ!」
 自身に狙いを定められたことに気づいた紅音は、持ち前の【勇気】と【気合い】で抵抗する。
 さらに、彼女は連れていた白銀のドラゴン「ホムラ」を槍焔形態として、焔を舞わせた属性攻撃を伴う槍投げで周囲をさらに赤く塗りつぶしていった。
 仲間が気を引いている間に、メンバー達はどんどん黒い部分を別の色に染め上げる。
「『闇のような』って言うなら、フォックスファイアよね!」
 澪は自身の持てる力を使い、20数個の狐火をあちらこちらへと飛ばす。
 そうして、澪はできる限り広範囲にかつ隙間なく攻撃をぶつけて、自らの操るお札の色、黄色をベースに街を塗り替える。
「――汝に木の壁を与え給う」
 傍の通りにいたクララは呼び出したのは、【魔導書を満載した図書運搬用の荷台】の霊。
 それに、彼女は一直線の場所を突撃させ、一気に薄紫色に塗らせていく。
「ついて行きますから、無事に戻って来てくださいね」
 こちらに敵が来ないことをいいことに、クララはあちらこちらの直線を霊に突撃させていた。
 その霊が通り過ぎた区画にて、アルテュールが使うユーベルコードは【グラフィティスプラッシュ】。
 ゴッドペインターとしての側面も持つアルテュールは元々、インクを使って辺りを塗りつぶす為の技を持っている。
「これほど、塗りに向いているユーベルコードはないよ」
 インクは淡い桃色。それがアルテュールのいつもの色だ。
「綺麗な赤色にぬりぬりするっぽーいっ♪」
 戦いとは一風変わった楽しみ方で、闇に染まる街を赤く塗りつぶしていく鬼燈。
 彼は呼び出したサイボーグムカデに騎乗して街を侵攻し、ムカデに側面からのミサイルや正面からのレーザー機銃を掃射させる。
 そして、鬼燈自身はまず、街のマップデータを入手した後、ムカデの補助脳を利用しつつ演算し、効率的に塗りつぶすことのできるルートを算出していく。
 ムカデは地上を走るだけでなく、建物の壁などを移動できる強みがある。
「イケルイケル!」
 これを利用し、鬼燈は川や橋の側面を通るなど、むちゃなルートでも強引に押し通っていたようだった。

●ユーベルコードで一気に……!
 徐々に、猟兵達が街を塗り替える領域が増えていくが、ロード・リッパーは己の優位を疑わず、ただただ猟兵達へと暗黒面の力を振るう。
 どこからか、彼は暗黒面で支配した猫耳キマイラに自らの力を宿した上で支配し、猟兵達へと攻撃を仕掛けさせていた。
「やっぱ、猫耳キマイラっていいよねぇ!」
 己の趣味丸出しで、攻撃を仕掛けてくるロード・リッパー。
 そいつは手あたり次第に、目につく猟兵へと襲い掛かってきている。
 下手に攻撃を食らえば、ユーベルコードを使う手を触手に絡まれたり、応戦したりする為に止めねばならなくなるのが面倒なところ。
 紅音も一度、ロード・リッパーの襲撃をやり過ごし、なおも街の塗りつぶしに注力しようと背中に焔の翼を広げて。
「みんなまとめて燃えちゃえ!!」
 自身の周囲30mほどを炎で包み込み、あっという間に赤く彩っていく。
 猟兵達は街を十分に染めてきてはいたが、まだ足りない。
 一応、一撃であれば、攻撃をロード・リッパーへと叩き込めるようになっていたが、その一手を街の塗り替えに費やすメンバーが多い。
(「おれが倒さなくとも、次に戦う誰かのためになるならそれでいい」)
 仲間が敵を倒してくれることを信じ、アルテュールは『バラックスクラップ』の万年筆となった指先から街をピンクに染め続ける。
「周りを気にしないでいいなんて、なんだか楽しいね」
 思う存分、彼女は町を自分好みの色へと塗り替えていく。
 澪もまた、狐火で周囲を黄色に染め続けていた。
 相手が時折、こちらに向かってくるのが面倒だが、皆攻撃の機をうかがっているのは間違いない。
「そらそらっ!」
 自分好みに染め上げたキマイラ男子をけしかけるロード・リッパーは一時呪縛によって満足に動けずにいたようだったが、澪は適当に敵の攻撃をやり過ごしつつ、街の塗りつぶしに専念する。
 攻撃するには絶好のチャンスではあると、鬼燈も感じてはいたのだが。
「悩むけど……、スーパー塗りつぶし攻撃いくっぽい!」
 彼もたった一撃を攻撃に使うよりは、後のことを考えて街を大きく塗りつぶす為にその機を使う。
 ムカデの武器を換装させ、ここぞと温存していたコンテナミサイルを使う鬼燈。
「広範囲を塗りつぶすならこれだよね!」
 そのコンテナはクラスター爆弾となっており、広範囲を爆撃していく。
 この戦場のルールもあって、周囲が破壊することは一切なく、鬼燈の望む綺麗な赤へと染まっていた。
 広範囲と言えば、クララもまた『ウィザードロッド』を手にして力を高め、周囲の地面や壁へと荷台の霊から魔力を滅茶苦茶に放電させる。
「今度はこっちかぁー!」
 そこに飛びかかってくるロード・リッパーは、イケメン猫耳キマイラをけしかけようとしてくるが、クララはすぐその場から身を引く。
 距離をとって敵が別の仲間を狙い出したところで、クララはさらに魔力の放電を再開していた。
 夜太狼も移動しつつ、黒い部分を見つけるとすぐ水風船を作ってあちらこちらへとバシャバシャばら撒いていく。
「お礼はいらないよ。もー、俺ってば親切なんだから~♪」
 周囲が紫に染まったことで、彼は気をよくしていたようだ。

 瞬く間に、街は黒から鮮やかな色へと変わる。
 これには、ロード・リッパーも戸惑いを隠せない。
「だが、負けたわけじゃないぜ!」
 相手はオブリビオンだ。対等に攻撃ができるようになったからといって、並々ならぬ力を持っているのは間違いない。
 狙われたアルテュールは、またも万年筆の指先からインクをばら撒く。
 ロード・リッパーはそれを避けて見せたが、彼女は気にすることもなく。
「っと、あぶねぇな」
「戦場おれの色に染まるなら、それでいいのさ。ほら、綺麗だろう?」
 元々、アルテュールは相手を倒すためにユーベルコードを使っているわけではない。
 ただ、敵の素振りを見るに、どうやら攻撃が通るようになっているのは間違いなさそうだ。
「ん、そろそろいいかな?」
 紅音も攻撃が通じることを察し、それまでふるっていた斧を消えるようにして「収納用魔宝石」にしまい、無骨な見た目をした『黒焔竜剣』を取り出して力を溜め始めていた。
 ロード・リッパーへと交戦を仕掛けるメンバーも出始めている。
 夜太狼は限界まで膨らませた超巨大水風船を使い、一気に周囲を塗りつぶす。
「いいタイミングです……!」
 クララはその機に乗じて、獲物を求めていたロード・リッパー目掛けて荷台の霊から強めの魔力放電を行う。
「ぐわあああぁっ!」
 そこで、敵は猫耳のイケメンを使い、クララのユーベルコードを相殺しようとするが、夜太狼がそれを許さない。
「遠慮しないで見ていってよ、俺のシャボン芸!」
 指で作った輪に張ったエネルギー膜から、彼は多数のシャボン玉を放ち、猫耳イケメンを合体したシャボン玉へと閉じ込めて動きを封じてしまう。
 さらに、セリオンが分身体全てを終結させて肉盾とさせ、さらに弾丸を発して援護射撃を行わせる。
「数の有用性と言う奴だ。……実感出来たか?」
「くっ……」
 そんなセリオンの皮肉兼挑発に、敵も言葉を返せずにいた様子。
 遠方からは、同時に澪が狐火を放ってロード・リッパーの体を焦がす。
「ところで、猫耳キマイラって矛盾してるように思うのだけれど、どうなのかしら?」
 相手の見た目にさほど関心を持たぬ澪が問いかけると。
「何を言う。イケメンに猫耳こそ、調和がとれた……うんぬんかんぬん」
「はぁ」
 すでに、ロード・リッパーが呼び出したイケメンは夜太狼が押さえつけている。
 相手に気のない返事をした澪は敵本体の顔面目掛け、さらに狐火をぶつけていく。
 それを食らって後ずさりしてしまうロード・リッパーに紅音が距離を詰めて、その体を捨て身の一撃で一刀両断して見せた。
「街全体を『黒』に染め上げたはずが、『黒い』焔の斬撃に切られる気分はどうかな?」
「う、うわあああっ…………!」
 敵は答える余裕すらなく、体を完全に寸断されて虚空へと消え去っていったのだった。

 黒かった街並みは、猟兵達の活躍によってカラフルに染まる。
 この戦場での勝利を勝ち取った猟兵達は、次もまた勝利を目指して新たな戦場へとそれぞれ向かっていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月09日


挿絵イラスト