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バトルオブフラワーズ⑦〜ロックンロール猟兵軍団

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

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 ……バトルオブフラワーズ!
 それは、突如として真っ二つになったキマイラフューチャーを巡る戦争のことだ。
 "コンコンコン"こと『システム・フラワーズ』を占拠した怪人どもを倒すには、
 まずそれぞれの特殊なルールで支配された【ザ・ステージ】を攻略せねばならない。
 たとえ敵を倒したとしても、ルールを満たしていなければ敗北してしまうのだ!

「で、今回行ってもらうステージもとい戦場のルールは、『パッショネイトソング』よ」
 "自称・可憐な"グリモア猟兵、白鐘・耀は、眼鏡をかけ直しつつそう言った。
 ルール名から分かる通り、ここでは唄わなければ攻撃が通用しない。
 しかもただ唄えばいいわけではない、『心を奮い立たせる唄』でないとダメなのだ。
「戦う相手は機関車怪人ね。妙に多発してる奴だから、相手にした人も多いんじゃない?
 この怪人、何かにつけて頑固で人の話を聞かないって特徴があるんだけど……」

 今回の機関車怪人は、体制への反逆を大いに嫌っているらしい。
『欲望は止められない』を標榜するというドン・フリーダムの手先にしては妙な話だが、
 裏を返せば、コイツは『人々を圧力で抑えつける』という欲望を暴走させているのだ。
 あれをしろ、これをするな。
 言うことを聞け、勝手な思考は必要ない。
 ……とまあ、迷惑なことこの上ない。時刻を遵守する機関車ゆえだろうか。
 だが、そんな奴には弱点があるという。それは一体!?
「――ロックンロールよ」
 ギラリと、耀の眼鏡レンズが鈍く輝いた。

 ロックンロール。それは反骨の歌。己を貫く者の魂の叫びとも言われる。
 実際のところは別に他のジャンルでも心が奮い立てばなんでもいいのだが、
 それはそれとして、機関車怪人の弱点はロックなのだという。
「ロックンロールがあれば暗黒地底人や邪悪金星人だってやっつけられるわ!」
 グリモア猟兵が妙なことを言い出したがこれもパッションのせいである。
「とにかく秘密を暴露しようが恋人に思いを叫ぼうが回転寿司の文句言おうが、
 ロックと思えばロックよ。ロックンロールで怪人をやっつけるのよ!!」
 耀の目がだいぶキマってきた。そのぐらいのパッションが大事ということだろう。
 火打ち石が妙にロックなテンポで鳴った。それが転移の合図となった。


唐揚げ
 ヘル・イェーガー! こんにゃくです。
 これは戦争イベント『バトルオブフラワーズ』のシナリオです。
 とりあえずまとめいってみましょう。

●まとめ
 『自分自身をを奮い立たせる歌』を唄いながら『機関車怪人』を倒す。
 強い思いを歌に乗せられれば攻撃は強力になる。歌わないと一切通らない。
 機関車怪人はロックンロールが弱点だ!

 以上です。
 別にロックでなくとも構いません。パッション重点でいきましょう。

 なお戦争な関係上、通常よりもシナリオ完結を優先して執筆する予定です。
 普段より不採用が出る可能性もありますが、その点ご承知おき願います。
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第1章 ボス戦 『機関車怪人』

POW   :    トレイン・フリーク
【時刻表】【鉄道模型】【鉄道写真】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    出発進行!
自身の身長の2倍の【蒸気機関車】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    アクシデントクラッシュ
対象の攻撃を軽減する【高速走行モード】に変身しつつ、【煙を噴き上げながらの体当たり】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「ロックンロールなどクソだ!!」
 ものすごいシャウトとともに、機関車怪人の汽笛が盛大に鳴り響いた!
「いいか、キマイラフューチャーの住人たちよ。我々こそが正義なのだ。
 欲望を解放せよ! 与えられた平和に享受するなどもってのほか!」
 これまでのお気楽な日々を捨て去り暴れ回れと、奴はカオスを押し付けるのだ。
 なんという矛盾! お仕着せの自由など無思考の停滞に他ならない!
「あと回転寿司に行ったら好き放題ネタを取れ! わかったか!!」
 なぜかそこは妙に強調してくるオブリビオンであった。

 とにかくまあこんな輩を放っておく理由はないので、歌って殴って倒そう。
 ロックンロールが弱点だ!!
天道・あや
二三がロック!!よーし、あたしの重い想いを一曲演奏しよう!!


あたしが歌に、ロックに込める想いは夢への想い!
周りに何と言われようとどんな壁が立ち塞がろうと……知ったこっちゃない!!あたしの夢への頂点に立ちたいって想いは誰にも止められない!!世間対?無謀?安定した道?そんなの知らない!!夢は…未来は!自分の心のままに!!

そんな想いを込めながら【サウンドウェポン】(ギター)で演奏(【歌唱】【楽器演奏】)をした後!【スカイステッパー】で跳躍からの【これがあたしの想いの乗った重い一撃!】(【属性攻撃】(炎)【鎧砕き】)を怪人にぶつける!!

これがあたしのロック(人生)!!これがあたしの未来(ロック)だー!



●最近破壊されないギターが開発されたそうですね
 ギュワワワァァアアアア~~~ン!!

 突如として鳴り響くディストーションサウンド! これは!?
「よーし、あたしの重い想いを一曲演奏しよう!!」
 ノリノリで現れたのは天道・あや! アイドル志望のサウンドソルジャーだ!
「貴様……ロックンロールをするつもりか!!」
「二三がロック!!(肯定を示すシャウト)」
 機関車怪人の汽笛がポッポー!! と猛々しく鳴り響く。不敬!
「ふざけるなよ小娘……ロックンロールなど許さん!!」
 時刻表、鉄道模型、鉄道写真……これこそまさに機関車三種の神器。
 機関車怪人はそれらを周囲に配置し禍々しいチャントを唱える。危険!
 だがあやは、むしろ挑むようにギターをかき鳴らし思いの丈を叫ぶのだ!

「あたしには夢があった! アイドルになりたいっていう夢が!
 けどそれはもう叶わない――だからあたしは今度こそ頂点を目指すんだ!!」
 曲名? そんなものはない。思いの丈をただぶちまけるのみだ。
 アドリブでかき鳴らされるギターサウンドは、思うがままにリズムを変える!
「あたしの夢! 新しい夢! この力で頂点(テッペン)目指すこと!
 周りが何言ったって壁が立ちはだかったって、全然知ったこっちゃない!!」
 ヘッドマイクががなりたてるような叫びを受け止め垂れ流す。
 荒々しい……あまりにも若く荒削りな旋律。だがそれこそが……ロックだ!
「グワーッ!!」
 機関車怪人が苦しむ! ロックンロールが弱点だ!
「その歌をやめろ!」
「聞こえない知らない関係ない! あたしの想いは誰にも止められない!!
 世間体? 安定? 知らない知らないカンケーない! 無謀でもやってやる!」

 苦しむ機関車怪人が凄まじい速度でチャージを仕掛ける……だが!
 あやは風を纏うミドルキックでこれを力強く蹴り返したのだ!
「グワーッ!!」
「邪魔する奴は蹴っ飛ばす! これがあたしの行く道だッ!
 夢は! 未来は! 自分(あたし)の心のままにある!!」
 勢いに乗ったあやは跳躍! ギターサウンドが最高潮を迎える!
「誰が何言ったって壁が立ちはだかったって、そんなの知ったこっちゃない!
 あたしの夢、新しい夢! 邪魔するやつは――こーしてやるっ!!」
 ギャリィイン! ピックが弦をかき鳴らせば炎が燃え上がり、ギターを包む!
 そして落下速度と重力と体重と、あやの想いを込めた一撃が……SMAAAASH!!
「グワーーーーッ!?」
 強烈な一撃だ。機関車怪人はボールめいて吹き飛び跳ねた!
「これがあたしの人生(ロック)! これがあたしの未来(ロック)!」
 あやがそれを追う。もはやギターをかき鳴らしてすらいない。
 だが二度三度という強烈な殴打により、ギターがハウリングし旋律を生む!
「イヤッホーウ! セーンキュー!!」
 いつのまにやら、ザ・ステージに駆けつけたキマイラたちも大盛り上がり!
 己の心のままに奏で叫ぶ――まさに、これこそロックンロールだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリ・ヴォルフ
獲物は炎霆
掲げるは風の盾
炎のように現れ、暴風を巻き起こし
ありったけの想いをシャウトする!

ラッセル様に作って頂いたこの盾
初陣で楽器のように扱うとは…これもまた戦士のシャウト!
ギィンと金属音が鳴り響くと同時に
歌いながら敵へと突撃する!

私は一人の少女(ココル)を追って旅に出た…
だが今はどうだ。キマFの少女(チコル)を守護したいと魂が叫ぶ
過去の思い出、目の前の笑顔に揺れる天秤!
その境遇は常にデンジャラスな綱渡り!

どうだ?最高にロックだろう!?
この狂おしい滾りを貴様にも分けてやろう!
【メギドフレイム】!
リズミカルに炎の剣が繰り出され情熱と共に撃ち貫く
我が人生こそが、狂おしく愛すべきロックンロールだ!!



●道具の問題ではない魂の問題だ
 片手に燃え上がる槍、もう一方には雄々しき盾。
 戦場さながら(事実ここは戦場だが)の装いで現れたユーリ・ヴォルフ!
 彼がばさりと翼を打ち振るうとともに、炎と風とが渦を巻いた。
「ほう……貴様! なかなか骨のありそうな猟兵だな!」
 あやの攻撃からなんとか立ち直った怪人はびしりとユーリを指差す。
 奴はパンクとかヤンクとかそういうのが大嫌いだ。反体制的なので。
 その点ユーリはいい、ロウフルでグッドなのは大歓迎である!

 ……だが!
「ウォークライというのを知っているか、怪人よ!」
「ぬうっ!?」
 やおらユーリは、炎霆で思いきり盾を叩いた。鳴り響く金属音!
「戦いに望む折、戦士が上げる鬨の声……それが音楽へと昇華されたものだ。
 であれば私のこれもまた戦士のシャウトと言えるだろう。聞くがいい!」
「き、貴様……ッ!」
 なんたる反骨精神か。まさに……ロックだ!
 ギィン、ギィン! 力強く奏でられるギターめいて盾ががなりたてる!
 そしてユーリは決断的に突き進む。炎の揺らめきはさながらベースの如く!

「かつての私は少女を探し旅に出た。だが! 今はどうだ!?
 世界を超えて出会った少女が、我が魂を捉えて離さない!」
 ユーリの旅の目的……それは、ココルという名の少女を見つけること。
 だが今の彼は、この世界の少女――チコルと伴にあることを喜び望んでいる。
 なんたる二律背反。使命と暖かな絆に揺れる男の苦悩が旋律に乗る!
「貴様、それはつまり二股――」
「ああ! 私を揶揄し責め立てる者どもが、声を上げて後ろ指を指す!
 わかっている! だがそれでも! 私の心は揺れて求めるのだ!!」
 過去の郷愁、刻み込まれた思い出。
 世界を超えて出会った暖かな笑顔。
 二人の少女! 二つの笑顔! 騎士の心は揺れ続ける!
「燃え上がるこの想い、我が魂の焔は誰にも消せぬ! 奪えぬ! なお熱く!
 騎士の矜持を焦がして渡る、デンジャラスなタイトロープ――!!」
 ガィンッ! 打ち鳴らされる音は風を孕んで吹きすさぶ。それ自体が攻撃だ!
 彼は生真面目で一本気だからこそ、己の懊悩に誰よりも苦しんでいよう。
「グワーッ!!」
「どうだ、最高にロックだろう!? 叫ぶほどに、狂おしい滾りが燃えるのだ!」
 貴様にも分けてやろうと、ユーリの双眸が強く熱く燃え上がる。
 不貞不埒と言わば言え。その声に反逆するからこそのロックンロールだ!
「燃え上がれ我が龍の焔! 我が身を灼くほどに燃え上がれ!!」
「グワワワワーッ!?」
 生み出されたメギドフレイム――焔の剣が次々に木感社会人に突き刺さる。
 それすらも旋律を伴う、リズムの一部。なんたる情熱(パッション)か!
「我が人生こそが、狂おしく愛すべきロックンロールだ!」
「お、おのれ、だからロックンロールは嫌いなのだ……グワーッ!!」
 それはそれとしてユーリは最終的にどうするのだろうか。期待は高まる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と

無理です
なにもかも無理です

いえ、まぁ…… く、くそ
どうしてこんなことに……

一応手伝いますよ……あなたの世界の危機ですもんね……
渋々、嫌々、仕方なく、
手伝うというか、見守りますね
ロックンロールを俺に聞かないでくださいよ
分かる訳がないでしょう

歌う気も無く、そうしたら攻撃も通らない訳で
後ろから見てます
あー……がんばってください
……俺、いる意味ありますか?

断固として歌いませんが

結構ノリノリじゃないですか
なにやら頭を振ってますけど、
それはヘッドバンキングというものですか?
違うか

とりあえず、……見てます
攻撃がきたら避けます
帰っていいでしょうか


オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と

お店のため、先生のため、世界のため!
うちの世界で暴れる奴なんて成敗してあげるんだから!
ヨハン、もちろん手伝ってくれるよね?
……ねぇヨハン。ところで、ロックンロールってどんな感じだっけ?

とりあえずアーアーとか歌詞を乗せずに歌いながら一閃!
あれ?あんまり効いてない?
そうだ!君も歌えばいいと思うんだよね!
大事なのはパッション!

なんだかんだでノッてきた!
槍でエアギターを弾いたら即興で歌詞も乗せちゃおう

想いを叫ぶ……む、無理
それだけは無理だけど
ちらりと後ろの少年を見ては頭を振って

悪を裂くは闇の鋭刃
悪を呑むは闇の残影
悪を穿つは闇の雨

こんな感じで誰かさんを歌にしちゃおっと!



●例にもよってまた引きずられてきたらしい
「無理です」
 ぴしゃりとした第一声であった。そこはかとない諦観も感じられた。
 言ったところでどうしようもないという諦めの籠もった無力な言葉……!!
「ヨハン?」
「なにもかも無理です」
「もちろん手伝ってくれるよね?」
「…………いえ、まぁ………………」
 はい、少女の勝ち! なんで負けたか次までに考えておいてください。

「く、くそ。どうしてこんなことに……」
 そんなわけでヨハン・グレインは頭痛をこらえるように頭を抑えていた。
「お店のため、先生のため、世界のため。手伝ってくれるよね?」
 オルハ・オランシュはニッコニコしながら彼に問いかけた。言質取るために。
「…………一応手伝いますよ、あなたの世界の危機ですもんね……」
 ヨハンは渋々、嫌々、仕方なくといった顔で不承不承頷く。
 するとオルハはうんうんと笑顔のまま頷く。いつものパターンであった。
 たかがキマイラフューチャー、そう思ってないですか?
 それやったら次もオルハが勝ちますよ!
「うちの世界で暴れる奴なんて成敗してあげるんだから! ……ところでヨハン」
「なんですか」
「ロックンロールってどんな感じだっけ?」
「俺に聞かないでくださいよわかるわけないでしょう」
 コンマ秒の即答だったという。

「貴様らァ!!」
 そこでようやく、空気を読んでいた機関車怪人が割り込んだ。
「人をさしおいてべらべらと! 貴様らもロックンロールするというのか!?」
「もちろん!」
「しません」
「は?」
「えっ」
 見守るつもり満々だったヨハンはオルハの"圧"にビビった。
「ふざけた奴らめぇーっ!!」
 そこへ襲いかかる蒸気機関車! ふたりはとっさに左右に飛び避ける!
「くっ、とにかく歌わなきゃ……Ah~、ア~……♪」
「……………………」
 オルハの声はそれはそれは清らかなアルトだったのだが、攻撃は効かない。
 ヨハン? ヨハンはそもそも歌ってないしただ見ているだけだ。
 蒸気機関車の勢いはいささかも減じない! 効いていないから当然である。

 オルハは色々と音階やらオクターブを変えてみるが成果はない。
 あとヨハンにチラッチラ視線を送るが、こっちもこっちで成果はない。
「フハハハハ! 貴様らごとき口ほどにもないわ!」
 調子に乗りまくる怪人! 高らかに鳴り響く汽笛!
「そうだ! ヨハンも歌えばいいと思うんだよね!」
「がんばってください」
「大事なのはパッションだよ!」
「断固として歌いませんが」
 ここまで頑として動かないのは久々だぞという不動っぷりであった。
 だんだんオルハは腹が立ってきた。そこで彼女ははっと気づく!
(――この感情を、歌にぶつければ!)
 オルハはチャージを軽やかに回避し、槍を構え……いや、あれは!

「……エアギター……?」
 ヨハンは我が目を疑った。
 そう、オルハは愛矛ウェイカトリアイナをギターめいて構えたのだ!
 そしてそれっぽくエアギターをしながら、即興で歌詞を紡ぎ始める!
「どれだけ言葉を尽くして眼差しを向けだって、これっぽっちも伝わんない――」
「えっ」
「言えば言うほど言葉は溢れて! 風に紛れて消えてっちゃう!」
「…………」
 ヨハンはそこはかとなく目をそらした。キマイラたちは一気にアガっていく!
「グワーッ!?」
 そして機関車怪人は途端に勢いを減じてたたらを踏んだ!
「どうしてこの言葉に応えてくれないの? 何度だって口にしたのに♪
 聞こえないってんなら大きな声で叫ぼうか、私の中のこの――」
 ぐんぐんとボルテージが上がってきたところで、ふと歌詞が途切れた。
 観客もヨハンも首をかしげる。オルハの視線がつかのまさまよった。
(……やばい! この調子だと……む、無理! それだけは無理!!)
 頭を振る。オルハは何かをごまかすように(エア)ギターをかき鳴らす!
「……この――この、何かを! とにかく叫んでぶつけてやるっ!!」
「…………むう」
 オルハはヨハンのほうをちらりと見たが、意図的に視線を敵へ集中させた。
 これ以上彼の方を見ているとまた妙なことになりそうだからだ!

 そして勢いに乗ったオルハは、歌いながら攻撃を叩き込む!
「……けっこうノリノリじゃないですか」
 ヘドバンなどをばしているキマイラたちとオルハを交互に見るヨハン。
 自分がいる意味はあるのだろうか? わからないが、まあ、見る。
 そんなこんなしている間にもオルハの歌はいよいよ最高潮だ!
「けれどその力はいつだって、何度だって悪を滅ぼすんだ!」
「……」
「悪を裂くは闇の鋭刃(Sharp Edge)」
「ん?」
「悪を呑むは闇の残影(Shadow) 悪を穿つは闇の雨(Heavy rain)――!」
「オルハさん、あの、オルハさん?」
「無愛想な面(ツラ)して正義を貫く! 孤高のヒーロー!!」
「……!!」
 そう来たか。ヨハンは心底頭を抱えた!
 彼が冷静でもう少し機微に敏いなら『それでパッション重点するってつまり?』という思索に至りそうなものだが、
 気恥ずかしさとかあとなんか色々あってそれどころではない。
「怪人だってやっつける! 世界を救う正義のヒーロー!
 喰らえ悪党正義の一撃、風に乗って闇がほとばしる~ッ!」
「グワワワワーッ!?」
 決まった! ウェイカトリアイナの痛烈な一撃! ヨハンにも大ダメージ!
 湧き上がる観衆にサムズ・アップし、オルハはにかっと汗を拭って笑った。
「ロックンロールって最高だね!」
「最悪ですよ…………」
 なにもかもが対照的であったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

刑部・詠喜
兄者(f14324)と!!
ロックンロールとは自分を奮い立てる物と伺い申した!
詰まる所、己に対する応援歌でござるな!
それがし、とーっても得意とする所でござる!
そして!我が兄弟で最もマイペースな兄者であれば!
歌えなくともなんとか出来るはずでござる!(全力の無茶ぶり)

あっ!そういえば兄者!
世の中にはシャウトという歌い方があるそうでござる!!

それがしも力一杯歌って叩いてどっかんどっかん場を沸かしもうす!
込める思いはずばり!
「貴様の言う事など知らぬ!!それがしの太鼓を聞けぇええッ!!」
あとかいてんずしってなんでござるか!!
兄者!兄者!!後で一緒に行くでござる!!

……兄者の、ちょびっと怖かったでござる。


イリーツァ・ウーツェ
子鬼(f17587)に引っ張られて来た。
今回の戦争はやたらと家族に連れ回されるな……。
しかし、本当に困った。
そもそも私は歌が不得手でな。舌が回らんのだ。

シャウト?
思いを込めて叫べばいいのか。
なるほど、それならば出来るかもしれん。

よし。(大きく息を吸い、『お前を殺す』という強い思いを込めて)

「■■■■■■■■■■■■――ッ!!!」(UC・音属性ブレス)

……これでいいか?

回転寿司? ああ……。
(財布を確認し)……後で行こうな。



●音痴な龍と脳筋子鬼
 困った。はたから見るとまったく普段と顔つきが変わらないように見えるが、
 いまのイリーツァ・ウーツェはめちゃめちゃ困っていた。
 なんと、わざわざ歌を唄って心を昂ぶらせないと攻撃が通らないらしい。
 なんだそれは。ろくに舌も回らない、不得手な己に何が出来るというのか。
「兄者、兄者!」
「……む」
 そんな風に考え込んでいたイリーツァを、少年の声が我に返らせた。
 青い髪をした羅刹の名は刑部・詠喜と云う。イリーツァの"家族"である。
 もちろんその姿形はおろか種族も何もかも似ても似つかないのだが、
 ふたりは――イリーツァがよくつるむ"あの"ふたりも含め――家族なのだ。

 ともあれそんなふたりの関係はさておき。
「それがし、ロックンロールとは自分を奮い立てるものと伺い申した!」
「ふむ」
「つまるところ、己に対する応援歌!
 それがし、とーっても得意とするところでござる!」
 イリーツァは、自信満々な詠喜の言葉に、特に異論を挟まない。
 この元気溌剌な子鬼は、たしかに己よりよほど感情と欲望に忠実であるし、
 ご覧の通りそれを表現することにも長けている。ならば言う通りだろう。
「しかし私は、さっきも言ったが歌があまり、な」
 などというイリーツァの言葉に、詠喜はいえいえ! と力強く首を振る。
「我が兄弟でもっともマイペースな兄者であれば! その程度のことは!
 たとえ歌えなくとも、なんとか出来る!! ……はずで、ござる!!」
 ぐっと握りこぶしを作りながら、やはり自信満々に詠喜は言った。
 あまりにも直截で、あまりにもご無体な無茶振りである!

 そんなこんなをしているうちに、機関車怪人が猟兵たちの攻撃から復帰した!
「おのれ、だが私はこの程度では倒れんぞ……!!」
「こうなれば、私が盾になって時間を稼ぐしかないか」
 あくまでも冷静に戦闘態勢を取るイリーツァ。そこで詠喜は閃いた!
「兄者! そういえば聞いたことがあるでござる!
 世の中には、シャウト、という歌い方があるそうでござるよ!!」
 たしかにロックンロールはシャウトしがちな音楽ではある。
 思いを込めた叫びは、原始的だからこそ人の心を揺り動かすものだ、が……。
「なるほど、それならば出来るかもしれん」
 こくりと頷いたイリーツァ、徒手空拳でずんずんと前に出る。
 頼もしげな背中を目を輝かせて見送り、詠喜も武奏太鼓《雷獅子》を構えた!

「なんだ貴様らは! 邪魔をするな!!」
 ポッポー!と、蒸気煙を吹き出しながら怒り狂う機関車怪人!
 だが返ってきたのは、どんこどんこどっかんどっかんという太鼓の音だ!
「貴様の言うことなど知らぬ! それがしの太鼓を、聞けぇええッ!!」
「グワーッ!?」
 なんたる稲妻めいた猛々しく雄々しき交響楽か! 機関車怪人は苦しむ!
 なぜならこの音こそ、詠喜が得意とする音撃であり彼の叫びゆえに。
 オブリビオンの理屈など片腹痛し! 彼はどこまでも自由奔放な鬼なのだ!
「うむ。これは私も、相応の姿を見せねばな」
 そんな弟の力強さにイリーツァは硬い表情のまま大真面目に頷き、
 すう、っと肺いっぱいに大きく息を吸い込んだ。太鼓の音がいや増していく!
「お、おのれぇ! 邪魔だ、どけぇーっ!!」
 己を強化した機関車怪人が、ずんずんとイリーツァへ突き進む!
 ――龍の目がギラリと輝いた。それは達人すら震わせるほどの慄然たる殺意。
 ガチだった。イリーツァは、ガチでこの怪人を殺すつもりであった。
 思いを、込める。なるほどならば我はこれに込めよう、この鋭き殺意を!
 ……というのが、イリーツァの至った結論。彼はほとほど糞真面目であった。
「█████████████████――ッ!!!」
「いいっ!?」
「グワワワワワーッ!?」
 太鼓を打ち鳴らしていた詠喜すら、耳を思わず抑えるほどの大音声!
 言語化不可能な原初の咆哮は、それ自体が魔力の波となり怪人を打ちのめす。
 まるで竜巻に巻き込まれたかのように、敵は吹っ飛んだ!

 ……怪人どころか、周囲の地形も何もかもめちゃくちゃになっていた。
 言わずもがな、イリーツァの咆哮と雷獅子の音撃による形なき破壊ゆえだ。
 観客のキマイラたちは、耳がキーンとなって涙目になっていた。
「……うむ、これで十分そうだな」
 腕組みしたイリーツァは、ほんのちょっとだけ満足そうに頷いた。
「あ、兄者のいまの、ちょびっと怖かったでござる……!」
 詠喜もぐわんぐわんする耳の調子を整えつつ、ぽそりと頷いた。
 が、今の彼にはそれよりよほど大事な、かつ興味深い案件がある!
「兄者! 兄者!! ところで気になることがあるでござる!」
「ん? どうした」
「かいてんずし、ってなんでござるか! あとで一緒に行くでござる!!」
「……………………」
 イリーツァは、ちらっと懐から財布を取り出し中身を確認した。
 いけるか? いや、多分無理だ。しかしここは兄として振る舞わねば。
「……ああ、あとで行こうな」
「はいでござる!!」
 嬉しそうに太鼓を叩く詠喜。これが怪人への追い打ちになった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

柊・明日真
【アドリブ歓迎】
一から十まで余計なお世話だっての。お前らの思想なんぞクソ食らえだ!
あと寿司はサーモンを食え。

俺は楽器なんぞまともに扱えないが、ロックにそんなもん必要あるか?
いいや無いね!この身ひとつありゃ十分だ!

古来より士気を上げるには鬨の声って相場が決まってる。
【気合い】で腹から声出せ!
行くぜ!反逆の歌だ!
(何処からともなく聴こえる重低音ドラム)
ダアアアアアアアアアイ!!!(デスボ)


神元・眞白
【SPD/割りとフィーリング】
音楽。うん、やり方はこの間覚えた。
地味な変、ジミヘンとかなんとか。
飛威、ギターを。何事にもチャレンジしてみる。
(ギターからは酷い音しか鳴らない)
....不思議。同じ様に使ってるはず。符雨、場を整えて。
(やっぱり酷い音しか鳴らない)
これはもしかしなくてもオブリビオンの仕業?
新しい攻撃なのかもしれないし、注意を。
人それぞれの個性を潰すのは良くないと思うから、それを歌にしてみる。
あのおじ様みたいに上手く行くといいけど
(歌声は上手とはかけ離れた凄まじく音程を外したモノに)


才堂・紅葉
ロックと言われても多様ですし、私なりの物で許してくださいね。
優雅に一礼。

ギターで空間を焦げ付かせるようにビートを刻みシャウト。

「そうよ私は世界が嫌い!」

奪われた過去。
師であった義父、家族だった傭兵団がその日に皆死んだ。
世界に一人取り残された。
孤独と辛酸を知った。
世界は何時もクソだった。
世界なんて憎いに決まってる。

「So what?(それが何?)」

世界が憎いと見上げるのは嫌。
そんな無様は大嫌い。
世界の真ん中はここにある。
そこで私は笑ってやるわ。

鉄道男に中指を突き立てる。
怒涛の攻撃に傷だらけになっても平気。

「だから、あんたら/オブリビンは……」

突進を受け止めブレンバスター。

「クソダサイのよ!!」



●多分これが対バンってやつなんじゃないですか
 びょええーん。びろーん。ぼやーん。
 どうやったらギターからそんな音出せるの? みたいなひどい音色だった。
「……不思議。あの時と同じように使ってるはずなのに」
 ばよえーん。びよよーん。ぼんぼやーじ。何度爪弾いても同じことだ。
 神元・眞白は、極めて平易な無表情で不思議そうに首を傾げた。
 彼女の隣で替えの楽器を持つ人形――飛威と符雨も、諦めたように頭を振る。
「これは……もしかしなくても、オブリビオンの仕業?」
「そんなわけないだろうッ!?」
 あちこちにダメージを負った機関車怪人が思わずツッコミを入れた。
「これは、怪人の新しい攻撃なのかもしれない」
「話聞いとらんなこいつ!?」
 そう、眞白はものすごく人の話を聞かないミレナリィドールなのだ……!

 だがそんな彼女にも(怪人にとっては頭の痛いことに)味方がいる!
「安心しな! 楽器なんぞ、俺だってまともに扱えやしねえ!!」
 ざんっ! と胸を張って言い切りながら現れたのは、柊・明日真だ。
「ロックンロールにそんなもん必要あるか? いいやないね!
 クソ食らえなお前らを否定するためにゃ、この身ひとつありゃ十分だ!!」
「何ぃ、生意気な小僧が!!」
「あとな、寿司はサーモンを食え。炙りのやつがおすすめだ」
「子供舌め!」
「うるせえ!!!!」
 明日真はノータイムで殴りかかった。ごいーん。……ノーダメージ!
「チッ、やっぱりロックンロールしねえとダメか……!
 おい人形の嬢ちゃん、こうなったら一緒にロックをしようぜ!」
 ひとりでもいいがふたりでやればロックにロックをかけて百倍だ!
 眞白もこれを否定する理由はなかった。なぜかギターまともに鳴らないし。

「でも、どうして楽器がちゃんと鳴らないんだろう」
「あ? そんなの普通に出来てねえからだろ」
「ううん。やり方はこの間エンパイアでちゃんと覚えた」
 眞白は、脳裏にあのダンディでだいぶ胡乱な紳士の姿を去来させた。
 名前も知らない、ジミ・ヘンドリクスかと思ったらそんなことなかった男!
 その時である! 焦げ付くようなビートがふたりを襲った!
「この音色は」
「ああん? なんだありゃあ!」
 振り返ったふたりの前には、蒸気ギターをかき鳴らす少女がひとり。
 音色と正反対なお淑やかな一礼をすると、淑女はにこりと一同に微笑んだ。
「デスメタ流の、紅葉さん」
「いいえ。今日はロックンロール流の才堂・紅葉と申します」
 眞白と紅葉の顔を、何言ってんだこいつらという表情で二度見する明日真。
 そんな彼をよそに紅葉はさらにギターをかき鳴らす。猛々しいビート!
「グワーッ!」
 苦しむ機関車怪人! 明日真はぐっと拳を握りしめる!
「効いてるじゃねえか! なんだかわからないがいけるぜ!」
「さすがジミ・ヘンドリクス」
「いやジミヘンではなくねえか!?」
 素っ頓狂な眞白に突っ込む明日真! ここでは彼がツッコミ役だ!
「では参りましょう――アァアアアイヘイト、ザ・ワーーーールドッ!!」
「なんだそのめちゃめちゃ腹の据わったシャウト!?」
 お淑やかさを秒でかなぐり捨てた紅葉に明日真も驚愕する!

 だが機関車怪人は苦しんでいる。こうなればもう各々で叫ぶしか無い!
「やっぱり士気を上げるにゃ鬨の声って相場が決まってるな!
 俺たちも腹から声出して行こうぜ! 反逆の歌だ!!」
「わかった。あのおじ様みたいに上手くやってみせる」
 眞白がちらっと人形たちを見る。すでにコーラス隊も準備万端だ!
 どこからともなくご用意されたマイクを手に、明日真と眞白も叫ぶ!
「「ダァアアアアアアアアアアアアイッ!!!!!」」
「グワワワワワーッ!?」
 とんでもねえデスボイスであった。ダカダカと重く低いドラムのリズム!
 音痴にデスボを合わせてつまり百倍の不協和音であった。怪人は悶絶!
 ……悶絶している理由が歌とは別のところにある気がするが、さておき!
「過去を奪われ家族は死に絶え、私は世界にただ一人取り残された!
 孤独と辛酸を味わわせる、いつだってクソみたいなこの世界!!」
 いっぽうで紅葉は、己の過去にまつわる怒りを歌声に込める。
 義父の死。それからの長く辛い生き様……世界が憎いなど当然だ。
「アイヘイト! アイヘイト! アイヘイトザワーッ!!(デスボ)」
 明日真が無駄に慣れたデスボでシャウトする!
「きらいきらい、世界なんてだいきらい~」
 眞白が音程もクソもない外れまくりのコーラスを奏でる!
 高まるドラム! ベース! かき鳴らされるギター……そして紅葉!
「――So what(それが何)?」
 一瞬の静寂、そして爆発的リズムが再び噴き上がった!
「世界が憎い、ええそうよ大嫌い! けれど見上げて憎むなんて無様も嫌!
 世界の真ん中はここにある! そこで私は、何もかもを笑ってやるわ!」
「ファキンファキゴナアイ! アム! ザワーッ!!(デスボ)」
「とぅっとぅる↑っとぅるっとぅ~↓どぅ~↑わ~↓」
 力強い紅葉のシャウト、
 堂に入った明日真のデスボ、
 何もかもがたがたな眞白のコーラス。
 ちぐはぐな三つの歌声はしかし、妙なケミカル反応を起こしていた!
「グワワワワーッ!?」
「イェー! ファッキン・クール!!」
 苦しむ機関車怪人! なぜか盛り上がりまくりのキマイラたち!
 なぜ? そんな疑問はクソ食らえだ! なぜならこれがロックンロール!
 つまりは――魂の、叫びなのだ!

 紅葉が歌う! 人形たちがギターとドラムをかき鳴らす!
「つまりテメエらはクソってことだ、ダァアアアアアイッ!!」
 明日真がマイクスタンドを腕力に任せて怪人に振り下ろす! 轟音!
「グワーッ!?」
「個性を認めないなんて~そんなのは時代遅れ~」
 眞白のガッタガタの音程に合わせ(?)、人形たちも楽器を叩きつける!
「アバババーッ!?」
「あれをしろ! これをするな! あんたら何様? どこの誰!?
 そんなだから、オブリビオン(あんたら)は! クソダサいのよ!!」
 そして紅葉のナックルアロー! かーらーのブレーンバスター!!
 ここに来てプロレス技である! なぜ!? ロックンロールだからだ!
「グワーーーーーーーーッ!!」
「「「センキューッ!!」」」
 会場はぶち上がる。誰も彼もが熱狂でわけわからなくなっていた!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三咲・織愛
ロック……ですか
……お任せください!!

きゅっと頬に星のペインティング
黒い口紅を引き、ネイルも黒
ピアスをつけてハーフグローブ着用!スタッズベルトまきまき!

先ずは形はばっちりです!

ノクティス(槍)をマイクに見立てまして
魂こめて歌います!

……何を歌いましょう!!

えーとえーと、
タピオカの歌です!
タピオカおいしい!とってもおいしい!
もちもち甘くてもっちもち!!
どうしてこんなに美味しいのかもう訳がわかりません!
大好きタピオカミルクティー!!
と歌いながらノクティスでガンガン殴ります

そしてトドメのデスボイス!
ボエェーーーー!!

……えっ、これってロックじゃなくてデスメタルなんですか?
ま、間違えてしまいました


ジェニファー・ジェファーソン
ロックンロォォォォォール!!!!!!(挨拶)
ロックをお求めですわねお求めですのねいえロックは求められるから歌うのではなく魂が謳いたいから叫ぶもの!よって高らかに歌い上げましょうロックンロォォォォォールを!
わたくしはギターも歌も残念ながら100人が聴いたら90人は踵を返し9人は聞くに耐えないと文句を言い出し1人はギターを取り上げようとします!しますけれどもロックンロォォォォォールに必要なのは上手さではありません!魂のままに!思っていることを謳うことだけですわ!では、ロンドンコォーリング!(ギターでぶん殴る)
(アドリブ、絡み歓迎)



●何もかも間違っているので実質完全正解。
 可憐な白い肌にあしらわれているのは、星のペインティング。
 薄紅色の唇は禍々しい黒のリップで塗り潰され、ネイルもまた同様。
 長いエルフ耳には無数のピアス。そしてハーフグローブをきゅっと嵌める!
 トドメとばかりに首と腰にスタッズベルトも着用済みだ。
 完璧だ。完璧である。三咲・織愛はあまりの完璧さに我ながら惚れ惚れした。
 いや全然完璧じゃないよねこれって顔の小龍ノクティスを槍に変じさせ、
 マイクスタンドよろしく地面に突き立て両手で握りしめる!
「…………何を歌えばいいんでしょうか!?」
「そもそもそれはロックではないですわ!!!!!」
「ええっ!?!?!!?!?」
 どこからどう見てもデスメタルだ。本当にありがとうございました。

 ところで、そんな天然ボケエルフもとい織愛にツッコミを入れたのは!?
 一同の視線が集まる――なぜかスポットライトがその人を照らし出した!
「ロックンロォォォォォール!!!!!!」
 ギャリィイイイン! かき鳴らされるサウンドギター!
 ともすればレトロなロカビリースタイルに身を包むあの女は一体!?
「ごきげんよう! わたくしはジェニファー・ジェファーソンと申しますわ!」
 ギャイィイイイ~~ン、音程がガッタガタのギターがまた爪弾かれる。
「ジェニファー、さん……! あなたはロックをご存知なんですか!?」
 織愛の言葉に、ジェニファーはふっと微笑み髪をかきあげた。そして答える。
「ロックをお求めですわねお求めですのねいえロックは求められるから歌うのではなく魂が謳いたいから叫ぶもの!
 そもそも何がロックなのかとかそんなことは些末ですわあなたがロックと言えばデスメタルもまたロックなのですからいえでもその格好はだいぶロックからはかけ離れているとわたくしは指摘せざるを得ませんの! しました! それでなおわたくしにロックとは何かを問いかけるのですねええいいでしょうならば答えて差し上げますわ!」
「よく息が続きますね!」
「ロックンロォォォォォール! をしておりますもの!!」
 ドヤァ……会心のドヤ顔を浮かべるジェニファー。感服する織愛!
 なんてことだ、ここにはツッコミ役がいない! つまり地獄(ヘル)だ!
「わたくしはギターも歌も残念ながら100人が聴いたら90人は踵を返し9人は聞くに耐えないと文句を言い出し1人はギターを取り上げようとします!」
「そうなんですか!?」
「しますけれどもロックンロォォォォォールに必要なのは上手さではありません!
 魂のままに! 思っていることを!! 歌うだけですわ!!!!」
「な、なるほど……!!」
 再びのドヤ顔! お嬢様っぽい髪ふぁっさー! 納得する織愛!
「いや待て貴様ら何もかも間違っているだろうが!!!!!」
 あ、よかったツッコミ役いましたね。敵だけど。

 え? 何言ってんの? みたいなきょとん顔をするジェニファーと織愛。
 あちこち割とボロボロの機関車怪人は逆ギレしながら語るのだ!
「ロックンロールを曲解するな! いや私が語ることではないが!!
 思ったことをただ叫べばいいとかそんな雑なものでないのはたしかだろう!」
「ではジェニファーさん、私タピオカの歌を唄おうと思います!」
「それはまさにロックンロォォォォォール! ですわね!!」
「話を聞け貴様ら!!!!!!!!!!!!」
 ポッポー! 汽笛の音すらもボケ二名には届いていなかった。
「ではわたくしが演奏いたしましょうどうぞロックをなさいなさあロックをなさいロックンロォォォォォールの時間ですわさあさあさあさあ!」
「はい! タピオカの歌です! タピオカーーーーーーっ!!(多分Aメロ)」
 ギヨヮェエエエ~~~ン、という感じの調子はずれのギターサウンド!
 それ自体がもうかなりダメージをもたらすのだが織愛のロックはさらに強烈!
「タピオカおいしい!(刺突)」
「グワーッ!?」
「とってもおいしい!(なぎ払い)」
「グワーッ!?」
「もちもち甘くて!(振り上げ)もっちもち!!(突きおろし)」
「グワワワワーッ!?」
 な、なんたることか! 歌いながらのマイク(龍槍)による熾烈な連続攻撃!
 防御姿勢を取ろうとする怪人! ジェニファーの不協和音(ロック)が邪魔をする!
「いいですわよ効いていますわまさにロックンロォォォォォールですわ足を止めず叫ぶのですあなたの思いを心の裡をそれがロックなのですから!」
「どうしてこんなに美味しいのか!(足払い)もう訳がわかりません!!(斃れた怪人への執拗な串刺し攻撃)
 大好き!(腹部への刺突)大好き!!(胸部への刺突)タイピオカミルクティー!!(石突による殴打)」
「アバーッ!!」
 もはやツッコミはおろか防御も回避もままならない。
 なにせ織愛は槍の名手である。その攻撃の苛烈さたるや筆舌に尽くしがたい。
 そこへ襲いかかるジェニファーの音痴(ロック)が拍車をかけるのだ!

「お、おのれ! そこのど下手くそ! 貴様を殺す!!」
 咄嗟に怪人はジェニファーめがけ突進する! だが跳ね返された!?
「グワーッ反射!?」
「あなたはロックではない! わたくしはロックンロォォォォォール!!
 つまりあなたの攻撃はわたくしには通用しませんそれがロックンロォォォォォールなのですから!!」
「それ私の役どころだろうが!!!」
 だが理屈は関係ない! それがロックンロールだ!
「あなたの相手は私ですよ! タピオカァアアアアアアーーーーッ!!」
「アバババババーッ!?」
 おお! どこから出しているのかというデスボイスだ!
 裂帛の気合(ロック)を込めた一撃が怪人を彼方へ吹き飛ばした!
「はあ、はあ……! なんて気持ちがいいんでしょう、これがロックなんですね!」
「いえ今のはデスメタルですわ」
「あれっ!?」
 最後まで間違い続けていたという。いや織愛だけでなくふたりともだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ゼイル・パックルード
UDCに来てから聴いた、パンクロックっていうのが好きだ。
局長もさることながら、反権力、反体制を歌っているんだったか。
おっと、あんたとは気が合いそうにないな。しかしそれこそお仕着せがましく、正義を叫ぶなよ。

本当はリズム読まれるたりするのは好きじゃないんだけどねぇ、お気に入りの曲でも歌いながらリズム良く【早業】で刀とダガーで攻撃をしていくか。
多数には理解されないマイノリティーの歌、それでいて胸の内に誰かも秘めた叫び。
必ずしも理解されたいわけじゃない、自身を貫くための生き方。

最後は叫ぼう、合理的でなくとも正しくなくとも、ただ全力でこの拳をぶつけながら。
そう生きるしかできない自分がいるのだから。



●合間合間に正しいロックを差し込むんだ
 ゼイル・パックルードは、アックスアンドウィザーズで生まれ育った。
 であるからして、ロックンロールという近代的音楽に触れたのは、
 猟兵となって世界を巡ってからのこと。UDCアースでの話だ。
「パンクロック、だったか。俺はあれが好みなもんでね」
 曲調もさることながら、謳われるその内容、方向性がゼイルの胸を打った。
 反骨。反体制、権力に中指を立てるかのような反逆の歌。
 地獄を燃やし、敵も味方も笑みでいなす男にはまさに似合いの曲目だ。
「何ぃ? パンクなどまさにクソの極みだ! 不純!!」
 ステージに戻ってきた機関車怪人は高々にそれを否定した。
「おっと、あんたとは気が合いそうにないな」
「当然だ! 欲望を解放することこそ正義なのだから!」
 カオスの強制などくそったれにもほどがある。ゆえにゼイルは笑う。
「あんたこそ、お仕着せがましく正義を叫ぶなよ」
「何ぃ……!?」
 地獄が燃えた。もとより唯々諾々と従うつもりなどない。
 ゼイルはいつかに聴いた旋律を口ずさむ。リズムが炎を燃え上がらせる!

 ユーベルコードで自らを強化した機関車怪人は拳を振り上げる!
「フンッ!!」
「ハッ、見え透いてやがるな」
 ゼイルはこれを容易く躱し、鼻歌めいてお気に入りの曲目を口ずさむ。
 UDCアースのメインカルチャーからはやや外れた、少し古めの歌だ。
 だが流行り廃りなど、ロックンロールにはなんの関係もない。そこがいい。
「貴様ッ!」
「理解されないマイノリティーの歌なんざ、あんたにゃわかんねえだろうな!」
 続く攻撃をかいくぐり、懐に潜り込んでからの切り上げ!
 魔剣・死月冥夜による斬撃に敵がたたらを踏めば、次いでダガーが襲いかかる。
 まさにかき鳴らされるギターサウンドととめどないドラムめいた、
 防御も回避も許さぬエイトビートの連撃だ。その一つ一つが地獄を纏う!
「ふざけるな……! そんなものを理解しろというのか!?」
「いや? 別に理解されたいわけじゃあないさ」
 ゼイルは小首を傾げる。それこそが彼がパンクに惹かれた理由だろう。
 どこかから、まさにその曲の旋律に合わせたギターの音色が響いてきた。
「"この叫びを聴いてくれ、けれど理解しなくたって構わない"ってな」
 俺は俺として生きるだけ。ただ俺を貫いて生きたいだけなんだ。
 がなりたてるような歌声と言葉が、彼は特に気に入っていた。

「訳がわからん! ならばなぜ歌うというのだ!?」
「"そうしたい"からさ。ああそうさ、俺もそうだ!」
 リズムが早まる。ゼイルの攻撃も苛烈さを増し、炎もさらに燃え上がる!
「合理的? 正しさ? ハッ、くだらねえな! なんの価値もねえ!
 俺は俺だ、こう生きるしか出来やしない、こう生きたいのが俺なのさ!」
 牽制のダガー! 空いた手のひらをぎりりと握りしめスウェーしながら懐へ!
「教えてやるよ、こいつが俺の"地獄(いきざま)"だ。たっぷり味わいなッ!!」
 咆哮とともに拳が――烈破灼光撃が、怪人のみぞおちに突き刺さった!
「グワーッ!?」
「戦いのリズムを読まれるのは好きじゃあないんだけどねぇ」
 ワイヤーアクションめいて吹っ飛ぶ敵を睨みながらゼイルは笑う。
「好き勝手に叫んで叩きつけるのは、なかなか悪いもんじゃあない」
 彼は奏でる。戦いという名の魂踊るリズムを!

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
◆アサルト
◆アドリブ超歓迎

なんだその顔お前ら
歌わな……いや
……仕事の為に必要なら、仕方ないか

楽器? 俺銃で手塞がってるし……
ヴィクティム、音鳴らせる?
じゃー二人とも頑張ってくれ
……いや合いの手くらい入れてやるから
(メイン張らされれば仕方ないなってチームの二人のことを歌います)
(先に歌われた二人の歌へのアンサーソング的な)

攻撃が通るなら【千篇万禍】で直接狙撃

通らないならそれでいい
足場を崩して破壊工作
二人の戦闘を助けることに専念しよう
……そもそも、「そういうの」は在るべきじゃないんだから

◆歌
リズムと音程とテンポだけが完璧で
情感の一切滲まないお経ソング
……のはずですが
少しくらいは感情が滲むと思います


ヴィクティム・ウィンターミュート
【アサルト】

よし、ドラムギターベース諸々任せてくれ
俺のプログラムで音を奏でてやる
え?楽器?エアだよエア!実際に弾けるわけねーだろ!!

気付いていたか?実はこの音…オブリビオンの精神を掻き毟る、聴覚浸食ウィルスなんだぜ?通信機器ジャマーの応用さ
俺の歌と音楽に酔いしれたらズドン、だぜ!

・歌
激しい曲調が好きなので熱が籠る
正にロックと言わんばかりの反骨精神バリバリの感じ


壊せ!壊せ!枷を壊せ!
砕け!砕け!圧政者を!
絶望への死刑宣告!
死神への別れの挨拶!
俺達を止められるものか!
進め!進め!Assault!
倒せ!倒せ!Assault!

イカれたメンバーを紹介するぜ!
凪いだボーカル!匡!
そういうとこだぞ!ネグル!


ネグル・ギュネス
【アサルト】
【アドリブ大歓迎】
歌?いや自信はない…いやわかった
せめて楽器を鳴らして頼む

マイクを手に持ち!
───命、燃やすぜ!

【歌】
どんな困難があっても
どんな試練が待ち受けても
手を取り合い 駆け抜ける
電子の海 ビルの隙間 宇宙の果て
どんな世界でも 我らは共に


チームの絆を掻き鳴らす!
歌声と、熱を飛ばして敵を封殺してやる!

私のロックは、人を熱く繋ぐロックだ!

私の声は、私の思いは
どんな人にでも、熱を抱かせてみせる!

攻撃が通るようになったら、刀を引き抜いて突撃!
様々な足場を飛びながら接敵

ユーベルコード【剣刃一閃】で切り拓く!

(愛を歌っても良かったが、…流石に恥ずかしいから、な。)

サイボーグも、照れる



●Assault of Rock'n'Roll!
 猟兵たちの魂揺さぶる旋律と猛攻が、機関車怪人を追い詰めている。
 だが奴もステージを守護するため、そして己の正義を貫くため立つのだ!
 そこへ銃声なき弾雨――当然ながら怪人には効かない!
「やっぱりダメみたいだな。まあ当然か」
 誰だ! と睨み返す怪人の敵意をよそに、鳴宮・匡はひとりごちた。
 いまのは確認のための射撃だ。やはりここでは歌わないとダメらしい。
「……なんだお前ら、その顔」
 匡をじっと見つめるサイボーグ、ふたり。
 すなわちヴィクティム・ウィンターミュートとネグル・ギュネスだ。
「いや相棒、今回ばかりは私も責めることは出来ん」
 なにかいいたげな匡に先んじて、ネグルが頭を振った。
「私も、歌はあまり自信がないのでな……」
「お前らそんなんじゃダメだろ! もっとアゲてけよ!!
 あれか? 音がねえとダメか。なら俺に任せとけ、ドラムもギターもな!」
 ウェイウェーイみたいな感じでヴィクティムが手振りをすると、
 途端にチキシャンギャギンと、ギター・ベース・ドラム諸々の旋律が!
「……楽器は?」
「エアだよエア! プログラム! マジに弾けるわけねーだろ!!」
 ネグルの問いかけに、ヴィクティムはかっかと笑いながら答える。
 電脳魔術を使えば音の100や200、いくらでも奏で放題なのだ!

「ぬうう!? これは!」
 しかもこのサウンド、実は精神に作用する聴覚侵蝕型のウィルスである。
 機関車怪人は、すでにその音律にペースを狂わされつつあった!
「……仕方ないな。仕事のためなら、俺も歌うか」
「「えっ!?」」
「なんだよ」
 マジで? みたいな顔のネグルとヴィクティムを一瞥する匡。
「楽器を演奏しろとか言われたら断ってたけど、まあ合いの手ぐらいならやるよ。
 別に攻撃が通らなくても、それはそれでサポートだって出来るしな」
「なるほど。……なるほど! よし、ならば私も一肌脱ごうか!」
 相棒と見込んだ男の言葉に、ネグルは嬉しそうに言えばマイクを手にした。
「――命、燃やすぜ!」
「よォし! んじゃミュージックスタートだ、ワン・ツー・スリー・フォー!」
 直後、電脳の旋律が堰を切ったように爆発的サウンドを奏で始める!
 調子を合わせるよな試しではない、8ビートのロックンロールだ!

 そうはさせじとチャージを仕掛ける機関車怪人、だがこれを銃撃が制した!
 言わずもがな匡の先制射撃である。直後、ギターが跳ね上がる!
「どんな困難があっても、どんな試練が待ち受けても手を取り合い駆け抜ける!
 電子の海・ビルの隙間・宇宙の果て、どんな世界でも我らは共に――!」
 そしてネグルは、高らかに自分たち三人……チームアサルトのことを歌う。
 数多の戦場をくぐり抜け、時には衝突すらしたその絆を、友情を込めた歌声!
「ヌウウウーッ!?」
「どんな敵が襲いかかろうと・どんな壁が立ちはだかろうと負けはしない!
 シニカルに・ドライに・スピーディに、あるがままに駆け抜けるだけさ!」
「ハッハー! いいね、こりゃチルだ! なあ匡!?」
「……俺に同意を求めるなよ。っと」
 BLAM! BLAMBLAM! 匡は愛銃の銃声を、あえて大きく鳴らしている。
 敵の機先を制する弾丸は、しかしそれ自体がリズムに合わせたものなのだ。
「なあそうだろう? 私たちなら、どんなところへも辿り着けるはずさ!
 さあいざ行こう! 宇宙の果て、誰も知らないどこかへ光の速さで!」
「そうさ俺たちは止められねえ! 進め進め、過激(Assault)に!!」
 もともとこの手の激しい曲調が好みらしいヴィクティムもノってきた。
 ネグルの、ヴィクティムの視線が匡に向けられる。男は嘆息した。
「なあそうだろう? 相棒! お前の声を聞かせてくれよ!」
「――そうかもな。俺はただお前らについていくだけさ」
 BLAMBLAM! 弾丸が怪人の装甲を……穿った! 届いている!
 リズムもテンポも完璧で、しかしどこか情感の滲まない合いの手(コーラス)ではあるが!
 ネグルとヴィクティムは顔を見合わせて腹の底から高らかに笑い、
 なおもつんざくリズムに乗せられた少年が、肩を並べてマイクに叫ぶ!
「壊せ! 壊せ! 枷を壊せ! 砕け! 砕け! 圧制者を!」
 ヴィクティムのフレーズ!
「絶望への死刑宣告・死神への別れの挨拶! 俺たちは誰にも止められない!」
 ネグルのシャウト!
「理屈なんてどうでもいい、俺は――俺たちは、ただ敵を殺すだけだ」
 BLAMBLAMBLAMBLAM! 匡の銃撃もさらに勢いとテンポを増していく!

 観客のキマイラもぶち上がる! ネグルはやおら刀を鞘走らせた!
「見るがいい我らの敵よ、これが私たちの思い、ロックだ!
 この声で、この思いで! どんな人にでも熱を抱かせて見せるのさ!」
「ほざけェーッ!!」
 襲いかかる怪人! 痛烈な拳を避けざまのカウンター斬撃! 入った!
「グワーッ!!」
「進め進め、荒々しく(Assault)に! ブチ倒すぜ、俺達(Assault)が!」
 ヴィクティムのウィルスが怪人の体を麻痺させる! テンポは高まる!
「さっさと滅んで消えちまえよ、お前はとっくにお役御免なんだ――」
 匡の声は静かに、しかしその旋律に乗ってふたりに応えていた。
 熱狂はない。"そういうもの"は、彼の中に在るべきではないのだから。
 ただいつも通りにトリガを引く……テンポよく、リズミカルに!
 BLAMBLAM! BRATATATATA! 銃声とギターサウンドが交響する!
「切り開く!」
「こじ開ける!」
「――撃ち貫く」
 突然(Assault)に、ふざけたクソどもを強襲(Assault)して!
 三人の、フレーズもやり方も何もかも異なる歌声はしかし、たしかに。
 込めっれた思いは、同じであった!
「……愛を唄おうとも思ったが、こっちを選んで正解だったな!」
「そういうとこだぞネグル!」
「恥ずかしくないのかよ」
「照れてるんだぞこれでも……!!」
「お前もお前で凪ぎすぎだぜ、匡!」
「――当たり前だろ」
 音の洪水のなか、三人はいつものように軽口を叩きあっていた。
 だが本当に根っこのところは、三人それぞれいちいち口にすることはない。
 サイボーグの熱は歌を通じて観客を虜にし、怪人の守りを引っ剥がす。
 端役の奏でる音色はそれを助け、誰も彼もを旋律に取り込んだ。
 凪いだ海ような射手の指先は相変わらず冷徹で軽やかでドライだが、
 その銃弾がたしかに敵をつんざいている理由は、もちろんひとつきり。
 そんなことをいちいち口にするまでもない。それは彼らのスタイルではない。
「さあまだまだ行こうじゃないか! 世界の果てのさらに彼方まで!」
「レディースアンドジェントルメン、主役どもの歌がまだまだ続くぜ!」
「……俺もまだ歌うのか? いやまあ、仕事なんだから仕方ないけどさ」
 これが、チーム・アサルトのスタイルなのだ!
 ふざけた理屈を蹴り飛ばし、己を貫きどこまでも駆け抜ける。
 それはまさに――反骨の歌、ロックンロールそのままだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雨乃森・依音
俺の専門はオルタナティヴロックだ
ぶつけてやろうじゃねぇか
こんないつもだったら戦力外もいいとこの俺が輝けるステージなんだ
喰らい付いてやるよ
しがみついてやるよ
息巻いてやるよ
踏ん張ってやるよ
だから聴いてけ!俺の!後ろ向きで自虐的な魂を!
どうしようもない鬱屈と激情を!
暗い歌ばっかり歌いやがってと、いくら後ろ指刺されようと音楽にしがみつき続けた
これが俺の死ねない理由だから――ソテル、頼む
祈るように願うように歌を捧げて力を与えて
うるせぇ!ロックがクソだなんて知ってるわ!
こんなんキモい音楽ヲタの歌だ!高尚さなんてありゃしねぇ!
それでも……それでも……!歌わずにはいられねぇんだ!
これが俺が俺でいられる証だから


兎乃・零時
アドリブ歓迎

ロック…良し!
なんとなくわかった!(※ちゃんとは理解してない)

ガードは任せたパル!
でないと…俺様倒れるし…
(うぅ…怖い…けど【気合・勇気】を込め熱唱!

テレビウムロックで
走って担いで皆と一緒に守れた子がいる!
でも割れたらお前らがいて世界がやばい!
此処で逃げたらその子の世界も終わる!

なら!怖かろうが行くっきゃねぇ!
足が震えようが知ったことか!
俺様は何れ全世界最強の魔術師になる男!

此処でやらなきゃ男じゃねぇッ!

だからお前を…止めに来た!

紙兎
【属性攻撃・誘導弾・援護射撃】駆使
ロックリズムに合わせ攻撃
【オーラ防御・拠点防御】で防御

俺様
【ダッシュ・逃げ足】で避け
【全力魔法】で魔力どばービーム!


マニッシュ・ベリー
星が割れただって!? ロックすぎる……。
あちこちでドンパチしているのもライブ感あるじゃんか!
最高のステージだぜ……!

ロックが弱点なんて勿体無いね!
オレの「みんなに笑顔になってほしい」気持ちをこの曲に込める!
【楽器演奏】と【パフォーマンス】を使って、
誰が聞いても子供のように笑顔になれるロックンロールを聞かせてやるぜ!

イントロ部分は穏やかに。溜めに溜めるぜ。
そして、Aメロから爆発して突っ走っていく!
サビはオーディエンスがノレるほどキャッチーに!

時刻遵守は、みんなの笑顔のためじゃないのかい?
それはもはやロックンロールだぜ…ハニー!
誰かの幸せを想っているんだからね!


バレーナ・クレールドリュンヌ
●アドリブ&絡みOK

【WIZ】

『ロック』
自由の為だと、止め処ない欲望、故なき暴力が叫ばれるなら、
わたしはそんな時代からの『解放(リベリオン)』を歌いましょう。

えぇ、ちょうど良いチューンが今日は用意されているわ。
ユーベルコード『彼は誰星を探して』

『ステージ』
歌唱と誘惑の力で、歌の力を高めてステージを彩るわ。
ロックは、理不尽や不条理に対して戦うこと。
わたしはみんなのように剣や格闘はできないけれど、
こうやって、ステージの上で、戦うことが出来る事を証明すること。

夜明けの時に最後まで輝くあの星のようにわたしは立つわ。

あなたの過ちはたった一つ、クリークとグリードのレールから抜けられない機関車だったこと。




 ロックと一言に言っても、その形態は様々だ。
 もっともジャンルの中でさらに複雑に細分化されるのはロックンロールに限った話ではないのだが、
 それをさしおいてもロックという音楽ジャンルが多岐に渡ることは、その歴史を見るだけでも明らかである。
 そもそも、ロックとはなんだろうか?
 体制に対する反抗と混沌を歌えばロックなのか?
 はたまた、ギターやドラムで鼓動よりも早いビートを刻めばロックなのか。
 ベースがいればロックか。ライブハウスで演奏すればロックか。
 そうだ、その通りだと頷く者がいる。
 いいや違う、それはロックではないと首を振る者もいる。
 これもやはりロックンロールに限った話ではないし、
 商業的なジャンル分けが優先されることもあれば、
 者によっては『我こそがロックンローラーなり』と息巻いて、
 新たな時代を打ち立てるとばかりにジャンルを名乗った結果また細分化されることもしばしば。
 そんなわけで、何をしてロックとするかは、ものすごーくデリケートで解決しづらい問題なのである。
 つまり怪人の言葉は、翻って『お前たちは社会のクズ、なんの価値もないゴミだ』という勝手な定義付けでもあった。

 それを否とし己の情熱(パッション)を高らかに、
 あるいはコミカルに歌い叫び挑む猟兵の有り様は、
 いかにもロックンロールめいている。

●ロックンロール猟兵軍団!
「ソテル、頼む!」
 青年の声に、てるてる坊主めいた見た目のUDCが反応し、迫り来る機関車怪人の攻撃から彼を守る。
 触手がうねって怪人を打ち据えるが……ダメージなし! これは!
「そんな攻撃が私に通用するか!」
「うるせえ」
 青年ーー雨乃森・依音は、機関車怪人の嘲笑めいた罵詈雑言を不機嫌そうに一蹴し、
防御と敵を止めるための攻撃をてるてる坊主……彼がソテルと呼ぶ存在に任せ、なおも叫んだ。
「効かない? 無意味? いいじゃねえか。
 食らいついてやるよ。ぶつけてやるよ。しがみついてやるよ!」
 エレキギターの弦が飛びそうなほどにピックでかき鳴らし、
 罵詈雑言に血を吐きそうなほどのシャウトで挑みかかりながら、依音は歌う。
「息巻いて踏ん張って、何度無意味と言われようが歌い続けてやる!
 いつもだったら戦力外のこんな俺が、役立たずもいいところの俺が!
 心の底から輝けるステージがここなんだ! 今しかねえんだ!!」

 それは、オルタナティヴ・ロックと呼ばれるタイプの音楽だった。
 ロックンロールそのものが、往々にしてマイノリティのアイコンにされがちだ。
 オルタナティブ・ロックは、そのなかでも特にマイナーな……言ってしまえば、
 "キモい音楽ヲタクが好むタイプ"とされがちなジャンルである。
 事実、依音もそう思っている。嘲笑されたことなど数え切れないほどだ。
 だが。
「暗い歌ばっかり歌いやがってと、何度だって後ろ指を刺されてきた!
 けど俺はやめなかった。音楽(これ)にしがみついて、ただ歌い続けた!」
「気味の悪い輩め、それを現実逃避というのだ!」
「ああそうだよ! うるせえな! ロックなクソだなんざ知ってんだよ!!」
 ギャリギャリとギターが濁ったディストーションをかき鳴らす。
 依音の眼は血走り、歌うことが楽しいとはとてもでは感じられない表情。
 そうだ。"そうするしかない"のだ。だから演奏し、歌い、続けてきた。
「後ろ向きで自虐的! どうしようもない鬱屈と激情!!
 ああそうさ、くだらなくてキモい、他愛もねえおままごとだよ!」
 喉が痛む。裂けそうな痛みに顔をしかめながら、それでも依音は歌う。
「けどこれが! 俺の死ねない理由なんだ! やめられない生き方なんだ!
 だから聴いてけ! 俺の魂を! 俺の歌を、音楽を! 聞けよ畜生!!」
 祈るような、願うような、すがるような歌声。
 それを受けて触手を這い回らせるUDC(邪神)。共依存めいた関係。
 だがそれでも、依音の姿はどこか、神聖で侵されざるものに思えた。

 依音は歌う。だがソテルの攻撃はこれっぽっちも怪人に届かない。
 足りないのか。これではダメなのか。こんなにも思いを込めているのに。
 絶望がひたひたと心に忍び寄り、それを拭うかのように依音はなおも歌う。
 そんな彼の脳裏に、けれども弱音が差し込んだ時――。
「いいじゃねえか! 最高のステージだぜ!」
 彼の歌声とは正反対の、溌剌で明るい女の声がした。
 マニッシュ・ベリー。青い瞳に金髪をした、笑顔の眩しいヤドリガミ。
「星が割れてあちこちでドンパチやらかして、まさにライブって感じだぜ!
 そんで君の曲! たしかに暗くて後ろ向きでめちゃくちゃだけどさ――」
 にかっ、と。マニッシュは青年にウィンクしてみせた。
「それでもロックンロールなのには変わりないだろ! オレはいいと思うぜ!
 どんなもんだろうと、魂のままに歌いや誰もが笑顔になっちまうのさ!」
 マニッシュはそのために歌う。みんなが笑顔になってほしいから爪弾く。
 穏やかなイントロは圧倒的ビートでくぐり抜け、爆発的な演奏で追従する。
 乾いたオルタナティブの音色と、弾けるようなギターが絡み合った!
「お前」
「ボケっとしてんなよ? ロックすんだろ! まあオレと君は正反対だけどさ!
 聴いてたらやりたくて仕方なくなっちまった、だからロックさせてもらうぜ!」
 あまりにも厚顔無恥、遠慮など欠片もない横暴なまでの言葉である。
 だがロックンロールとはそういうものだ! 魂の弾けるさまなのだ!
 不思議なことに、やがてふたりの旋律と歌声はマッチし始めた!
 どちらかがどちらかに合わせるわけではない。互いに正反対の音色。
 それがアンバランスゆえに、マッシュアップして互いを高め合うのだ!
「ロックが弱点なんて勿体無いね、時刻遵守の生真面目ハニー!
 君のそれもロックンロールだぜ? たとえ認めたくなくたってな!」
「なんだと!? 違う、私は……!」
 機関車怪人は困惑する。攻撃どころの話ではない!

 そして、連なる旋律はマニッシュだけのものではない。
 ロックにはやや不似合いに思える、幻想的で高らかな調べが立ち込めた。
 それはまるで霧のように、あるいは夜の海にたゆたう静けさめいて。
「ロックとは、理不尽や不条理に対して戦うこと。抗うためのうた。
 わたしはみんなのように、剣や格闘は出来ないけれど――」
 見よ。さながらセイレーンのように、妖しく歌う声の主を。
 白磁の肌に白皙の鱗、色なき人魚。されどその声は虹のように彩られて!
「こうやって、ステージの上で、心のままに歌うことは出来るわ。
 それがわたしの戦い。自由のための、解放(リベリオン)なのよ」
 バレーナ・クレールドリュンヌは、艶やかに微笑んだ。
 奇妙なことに、テンポすらも異なる彼女の声もまた、
 ふたりのロックンロールに混じり合い、異質であるがゆえに引き立て合うのだ。
「夜明けのときに最後まで輝く、あの星のように――わたしは立つ。
 あなたたちのお仕着せな欲望だなんて必要ない、そんなレールは御免だわ!」
 マニッシュがサムズ・アップする。バレーナはくすりと笑ってうなずいた。
 依音は……つかの間、心奪われたかのように、呆けたかのように立ち尽くす。
 いや、そんなふうではいられない。奏でろ、唄え、心がそうしたいと叫んでいる!
「煌々と輝く星はかはたれに、幻想に彩られた星の名は……」
 彼は誰星を探して(ルシフェル・ファンタジア)。
 それがバレーナの歌う旋律の名。彼女の魂が導き出したナンバー。
 歌声に応じて炎がぽつぽつと灯り、星めいてステージを照らし出す!

「す、すげえ……!」
 魔術師めいた――事実彼は魔術師なのだが――装いの少年が呟いた。
 彼の名は兎乃・零時。この場に現れた最後の猟兵である。
 だが奏でられる旋律と、そしてほのかな敵への恐れが足を止めていた。
 しかしどうだ。あっというまに旋律はそれぞれがそれぞれのままに絡み合い、
 不思議と互いを高め合いながら、あの通り機関車怪人を追い詰めている。
 ロックとはなんなのだ? わかったような気がしたがその実さっぱりだ。
 けれどそれはさっきまでのこと。今の零時にはもはやわかっていた。
「うおおおおっ! 俺様も混ぜろーっ!!」
 そうしたいと思う心のままに謳って叫ぶ。それがロックンロールなのだと!
 楽器も持たずに飛び込んだ零時は、調子もめちゃくちゃに歌を叫ぶ。
 込めるのは勇気と気合。腹の底から、がなりたてるようにシャウトするのだ!
「テレビウムロックで、走って担いでみんなと一緒に守れた子がいる!
 でも世界が割れたらお前らがいて、このままじゃみんなやばい!
 ここで逃げたら、その子も! この世界も! 何もかもが終わっちまう!」
「そうだ! それはロックじゃねえよなハニー!」
 マニッシュが叫ぶ、零時は頷く!
「そんなのは許さない、自由でもなんでもないわ」
 バレーナが囁く。依音は……やがて、堰を切ったように笑った!
「なんだそりゃ! リズムもテンポもなんもねえただのシャウトじゃねえか!
 ――いいな。そういうのが、俺は好きだ。ああ、好きなんだよな、俺は!!」
 そして彼もエレキギターを、力強く、掲げるように爪弾いた!
 三人の旋律が、歌声が、零時の叫びを助けるように合わさっていく!
「怖ぇよ! けど終わらせたくねえ、なら強かろうが行くっきゃねえ!
 足が震えようが、チビりそうになろうが知ったことか! 関係ねえ!!」
 無駄だと? そんなものに意味はないと? ふざけるな、糞食らえだ。
 うるせえ。黙れ。これが俺様だ。これが俺達なんだ。想いが高鳴っていく。
「俺様はいずれ! 全世界最強の魔術師になる男! ここでやらなきゃ男じゃねえッ!
 だから! 俺様は――いいや!」
「俺は!」
「オレも!」
「わたしも――」
「「「「猟兵(おれ/わたし)たちは、お前らを止めに来た!!」」」」
 声音が重なる。ビートは最高潮! そして炎が、それぞれの音と攻撃が敵を襲う!

 怪人は見た。生命の輝き、魂の高鳴りを。
「バカな……バカなぁああああ!!」
 キマイラたちは歓声を上げる。ステージに残るのは猟兵たちだけ!
 お仕着せの自由なんて必要ない。俺達は、この世界はここにある。
 そのさまは――まさしく、ロックンロールそのものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月10日


挿絵イラスト