バトルオブフラワーズ⑧〜ブラック・シティ・アウト
●作戦
グリモアベースには慌ただしく行き来する猟兵達の姿が散見された。キマイラフューチャーの世界が現在、驚異の大戦争『バトルオブフラワーズ』の最中なのだ。
「いよいよシステム・フラワーズの内部への進軍が開始されたらしい」
囁かれる声は戦意に昂っている。
「進軍するためには、周囲の全ステージを抑えている必要がございます」
グリモア猟兵が語っている。
「縁の下の力持ち、と申します。それは、大切な御役目でございます。
進軍経路を支えるため、ステージを抑える作戦に参加くださる方は、いらっしゃいますか」
手に持つ杖がくるりと廻される。
魔導式天球儀が見せるのは、戦況図。そして、ステージのマップだ。
「今回僕たちが攻略するのは、『ペイントステージ』でございます」
グリモアベースの片隅。
ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)が説明をする。
彼らの行き先は、『ペイントステージ』であった。
魔導式天球儀が壁にステージの映像を投影する。彼らはその都市に見覚えがあった。キマイラフューチャーの街並みにとてもよく似ているのだ。
ご機嫌で、楽しい遊びが溢れた都市。なのに映像の中の都市は、真っ黒に染め上げられて殺伐としている。人っ子ひとり、いやしない。
「戦場ステージは、キマイラフューチャーの街並みを模して作成されています。壁や床は『闇のような黒色』に塗り固められています。この『闇のような黒色』により、猟兵のユーベルコードは敵怪人に直接ダメージを与える事が出来ず、一方的に攻撃を受けてしまいます。
その代わり、ユーベルコード或いは直接武器で床や壁を攻撃すると、ピンク、青、緑、紫などの色で、周囲を塗りつぶす事が出来ます。一定以上の範囲を塗りつぶす事に成功すると、一度だけ、本来のユーベルコードで敵怪人を攻撃する事が可能になります」
「敵怪人を攻撃せずに、より広範囲を一気に塗りつぶすスーパー塗りつぶし攻撃を行う事も出来ます。
マップの3分の2以上が猟兵によって塗りつぶされた場合、本来のユーベルコードの攻撃を無制限に行えるようになるので、一気に決着を付ける事が出来るでしょう」
説明を終えると、ルベル・ノウフィルは深々と頭を下げた。
「先に進む者がいて、足元を支える者がいる。
どちらも、大切なのでございます。お力を貸してくださる皆様に心からの感謝を」
グリモアが耀けばステージへの道となる。
それはきっと、勝利へとつながる道だろう。
remo
おはようございます。remoです。
初めましての方も、そうでない方もどうぞよろしくお願いいたします。
今回はキマイラフューチャー、リアイベ『バトルオブフラワーズ』のシナリオ。ザ・ペイントステージでヌリツブシバトルです。
広い都市を走りまわってお好きな色で塗りつぶしバトルしてくださいませ。
キャラクター様の個性を発揮する機会になれば、幸いでございます。
第1章 ボス戦
『ザニーユ・モア』
|
POW : ぺちゃんこになっちゃえ!
【対象の頭上】から【対象のレベルの二乗tの重さの金床】を放ち、【ぺちゃんこにする事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : スラップスティックショータイム!
いま戦っている対象に有効な【コミカルな結果を引き起こす道具】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : もっと笑わせる為に!
戦闘力のない【カートゥーン風に変換されるテレビカメラ】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【出演者の滑稽な姿を見た視聴者の笑い】によって武器や防具がパワーアップする。
イラスト:笹にゃ うらら
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「クロ・ネコノ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●なんとかトゥーン
敵怪人ザニーユ・モアは黒色に塗りつぶした都市を満足そうに歩いている。
公園も学校も高く並ぶビルも。
横断歩道も標識も家々も。
キマイラフューチャーを模した都市はどこもかしこも真っ黒に塗りつぶされている。
「ニッシッシ! 猟兵がステージに来たって? 返り討ちにしてやるよ」
敵怪人は手には真っ黒なシューターを持っている。そしておもむろにカメラを召喚して生放送配信を始めるのであった。
「今回はですね、ちまたで噂の塗りつぶしバトルをしてみようと思うんですね」
どこに投稿するつもりかはわからないが、ザニーユは嬉しそうにカメラで遊んでいる。ハイ・ブラックカラー・シティをイカしたアクションで塗りつぶし。
「すでにブラックだから塗りつぶしてもわからないんだけどね」
真っ黒な海を泳ぐことこそできないが、黒く塗りつぶした都市はザニーユのナワバリだ。スイスイと泳ぐように進むことができる。上を視れば空が青い。
「風船があんなところに! あれも黒くしましょう」
ザニーユは楽しそうに風船を染め、割ってしまった。ジャンプすると白い雲に手が届きそうで、届かない。着地の瞬間に足元を浸していたブラックインクがパシャリと飛び散り、周囲を汚す。
「よっはーい!」
この敵はブラックインクの海を泳ぐように遊んでいるのであった。
と、そんな都市フィールドに猟兵が出現したのである。
◆
謎の機械音声がアナウンスをしていた。
「ザニーユと猟兵チームの塗りつぶしバトルを開始します。
制限時間内、キルを多く取ったほうが勝利! ザニーユが敗れると骸の海に還ります」
猟兵たちの上空でドローンが撮影をしている。もちろん、生中継だ。
人々が見守る中、ひとりまたひとりと猟兵がフィールドに出現する。手に持っている武器は、ピンク色の絵筆、水色ローラーに七色のアニマルライナー、森色のバケットスロッシャー……様々だ。
明智・珠稀
ふ、ふふ!
かしこまりました…!
何者にも染まらない黒ですら、ぜひ私の愛とテクニックで美しく彩ってみせましょう、ふふ!
※インク色はピンク
まずはスーパー塗りつぶしに専念。
『たまちゃんお絵描きセット』を手に、絵筆で絵の具を飛ばし塗りしつつ
UC『Art of Flame』で炎&延焼によりじわじわペイント範囲を広げていく。
「さぁ、美しく彩られてください…!!」
【ダッシュ】【2回攻撃】で素早く動き、
【早業】でウサギの絵を描いてみたり、戦いと言いながらもご機嫌
2/3塗りつぶしたら、敵へ攻撃
敵UCには「ぺちゃんこは嫌ですね…!」と【残像】が見える位に早く動き
避け
【カウンター】でUCを
※アドリブ、絡みネタ大歓迎♡
リヴェンティア・モーヴェマーレ
▼アドリブ&他の方との絡み
大歓迎!
もり盛りのモリでも大ジョブです
▼本日のメインの子
響(戦闘特化なハムスター)
他の子が居ても全然大ジョブです
▼【WIZ】
黒い闇の世界に彩りを。
私達のチカラで世界をキレイな色で染め上げまショ!
(その言葉と同時に次々と出てくる森の動物精鋭部隊(部隊名考え中)力を合わせてその場を縦横無尽に駆け回り)
うちの子達ばかりに頑張ってもらうワケにはいきませんカラね!私も頑張りたい気持ち♪
(水色で周りを彩る様に動き回り)
(成功したら、ひびちゃんを先頭に怪人に向かって皆で並んでアタック!その軌道はまるで虹の様に🌈)
雨があがって、晴れたような気持ちになりますようにっ!
叶・都亨
くっくっくっ…
こんなイカしたバトル、参加しないではいられないよな!!
遠慮なく塗りつぶしバトル出来るとか最高では?神ステージでは?
某イカしたゲームのウデマエB+(微妙)な俺の美技を見よ!!
何を使うって?
もちろんバケツです!!
うおおおおお俺色に染め上げる!!くらえ魂のバケツスロッシャー!!
……あれ?!一回バッシャーしたらバケツが空だ!なんで?!
なーーーんてこんなんもちろん想定済み!
俺のバケツは一つじゃないかんね!
ずらりと並ぶ森色ペンキたっぷりのバケツさん達
俺って用意がいい男だからさ…ふっ モテてしまう
ばっしゃーしたらとりあえず一発【流星】
滑っても転んでもどんとこい!
コミカルな結果とかおいしいよね!
霑国・永一
マリア(f03102)と行動
アドリブ歓迎
おやおや、凄い有様だ(個人的に全部黒はどうかと思うが、嫌いではない。マリアが居るので言わないが。というか全部虹色も目がチカチカしそうだ)
競争なら俺は手は抜かないよ?レディファーストはここでは封印なのさ。
じゃあ後は宜しく、《俺》
『俺様に勝負を挑んだ事を後悔させてやるぜ小娘!』
狂気の戦鬼を発動
高速移動をしながらステージに衝撃波をぶつけまくって広範囲を塗り潰すように動く。
敵のコミカル道具も余裕あればついでに【盗み攻撃】で【盗む】
でも1回くらいは運悪く食らってもいい
「赤色で塗り潰せねぇのが不満だなァッ!……あ?うおぁ!?(何か食らう)」
「覚えとけよクソネズミ!」
マリアドール・シュシュ
永一◆f01542と
アドリブ◎
折角の都市が真っ黒で台無しなの…(悲しげ
でもマリアが虹色に塗り替えるのよ!(光が差す様に
ねぇ、折角だもの
マリアと永一、どちらが多く色を塗り潰せるか競争しましょうよ!
ふふ、やっぱり負けず嫌いなのね
あら、マリアだって負けないのよ!同居人さん
マリアの攻撃は強くて痛いんだから(ふんす
個人的に永一へ勝負を持ち込む
同様に本気モード
高速詠唱で初手から【茉莉花の雨】使用し広範囲に壁や床攻撃
耳飾りに触れ星屑のコンフェティを撫ぞり創造の言ノ葉(こえ)で唄う(歌唱・パフォーマンス
UC解除後は竪琴で楽器演奏し音の刃で攻撃(敵の攻撃を上回る位
永一のコミカルな結果に思わず笑み零す
勝敗お任せ
鏡島・嵐
判定:【WIZ】
色で染めて攻撃、か……よくわかんねえけど、陣取り合戦みてーなもんかな。
ともかく怪人どもは放っておけねーし、やるからには勝ちを目指さねえとな。
最初は怪人は放置して、塗り潰しに専念。
おれが持ってるスリングショットと《二十五番目の錫の兵隊》の銃剣からペイント弾を撃ち出して、〈早業〉〈アート〉〈属性攻撃〉も併用してどんどん染めていく。
怪人に攻撃可能になったら《兵隊》を狙撃モードに移行させて遠距離から直接攻撃を試みる。おれ自身は〈援護射撃〉〈属性攻撃〉〈鼓舞〉で染めてる領域を維持、もしくは拡大して攻勢を保つようにする。
栗花落・澪
塗りつぶしバトルは初めてだな
左二の腕の聖痕が見えるようノースリーブで参加
それじゃ、やっちゃうぞー!
風の【全力魔法】を★Venti Alaに宿し
武器の代わりに着地位置にダメージ判定を付与
その状態で移動しながら
同時に★どこにでもある花畑+【破魔】を精製していくことで
その根元を色鮮やかな花の色に塗り潰していく
っと、邪魔されないように妨害もしとかないとね
UC発動で、分身達に一斉に敵や敵のカメラに張り付かせる事で
敵の強化も阻害
分身達との同時発動の【誘惑催眠+歌唱】で思考を奪い
★Staff of Mariaでも風魔法を発生させ
破魔の花弁を巻き上げた【広範囲攻撃】で攻撃+壁などにも攻撃範囲を広げる
エレクメトール・ナザーリフ
銃口から銃弾ではなくインクが出てくるとは!
出来れば銃弾をぶち込みたいところですが
それは後の楽しみに取っておきましょう
武器は藍色のマニューバー。二丁拳銃が好きなので!
サブに時限式ボムを持って行きます
マップの3分の2以上になるまでスーパー塗りつぶし攻撃も活用しつつ塗り潰す方針で
また、なるべく敵の行動を邪魔します
インクの海を泳ぐように進むとの事ですので
進路方向の少し前で塗り潰す偏差撃ちを行います
敵の出現を予測し物陰や段差に向けて先に撃ったり
ボムを投げておきます
これは置き撃ちですね
コード無制限になるとフルボッコタイム!
マニューバーの高速移動で【ダッシュ】し《零弾地獄》を発動
【零距離射撃】をぶち込みます
●英雄たちのイカしたバトル!
「ふ、ふふ! かしこまりました……! 何者にも染まらない黒ですら、ぜひ私の愛とテクニックで美しく彩ってみせましょう、ふふ!」
明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)が戦場へと現れた。武器は絵筆だ。普段から趣味で絵を描いている珠稀、筆の扱いは手慣れたものだ。
「銃口から銃弾ではなくインクが出てくるとは! 出来れば銃弾をぶち込みたいところですがそれは後の楽しみに取っておきましょう」
エレクメトール・ナザーリフ(エクストリガー・f04247)がごそごそとローリーポップのフラワーブーケを取り出した。ピニャコラーダ、バブルガム、コーラ、ブルーベリークリーム、バタースコッチサンデー。一本抜いて味わえば糖分が摂取できる。美味しい。
エレクメトールは藍色のマニューバーだ。くるりと機敏に一回転して発射してみせればそれだけでコメントが盛り上がっている。
「くっくっくっ……こんなイカしたバトル、参加しないではいられないよな!!」
叶・都亨(空翔・f01391)がドローンに向かってブンブンとアピールしている。
「遠慮なく塗りつぶしバトル出来るとか最高では? 神ステージでは? 某イカしたゲームのウデマエB+な俺の美技を見よ!!」
ウデマエを聞くと中継を観ている人々は一瞬微妙な顔をするのであった。
「おやおや、凄い有様だ」
霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)が真っ黒な都市風景をぐるりと見渡して眼鏡の奥の瞳を細めた。個人的には、全部黒はどうかと思うが、嫌いではない。もっとも、口に出して言うことはなかった。
「折角の都市が真っ黒で台無しなの……」
傍らに悲しげに呟く少女がいたからだ。少女マリアドール・シュシュ(蜜華の晶・f03102)はぷくっと可愛らしく頬を膨らませ、やる気満々でぐっと拳を握る。
「でもマリアが虹色に塗り替えるのよ!」
ふわりとドレスを舞わせば七色の光が差したように黒が虹色に塗り返される。
(全部虹色も目がチカチカしそうだ)
永一はそっと目を伏せながら上っ面だけの相槌を打つ。にこやかに。
「虹色シティか。キレイでいいんじゃないかな?」
旅団では胡散臭いと言われることもあるが、大丈夫。マリアドールはピュアだ。目をキラキラさせて勝負を持ちかけてくる。
「ねぇ、折角だもの。マリアと永一、どちらが多く色を塗り潰せるか競争しましょうよ!」
永一はうんうんと頷いた。やはりにこやかに。
「競争なら俺は手は抜かないよ? レディファーストはここでは封印なのさ。じゃあ後は宜しく、《俺》」
言い終わるやいなやゴウッと衝撃波が周囲に迸り、虹色を黒に染めていく。
『俺様に勝負を挑んだ事を後悔させてやるぜ小娘!』
狂気の戦鬼、粗暴な戦闘狂の人格が表に出て高速で移動しながら衝撃波を放ちまくり、広範囲を塗り替えていく。黒から黒へ。同じ黒だから一見塗り替えてないように見えるが猟兵の範囲としてちゃんとカウントされている。何も問題ない。
「ふふ、やっぱり負けず嫌いなのね」
マリアドールは天使のようにニコニコとしていたが、永一(戦鬼VER)が猛ダッシュしていくと背に向かって元気に声をあげた。
「あら、マリアだって負けないのよ!同居人さん。マリアの攻撃は強くて痛いんだから」
ふんす、と愛らしく息を巻きマリアドールが無数のジャスミンの形をした水晶花を蒼穹から降らせれば黒がどんどん虹色に塗り替えられていく。
なんとこの二人、猟兵同士での塗りつぶしバトルを始めたのだった。
「本気モードよ!」
白いジャスミンの耳飾りに触れて星屑のコンフェティを撫ぞり歌を歌う。本気モードだ。
そんな本気な二人が走り出した後、
「色で染めて攻撃、か……よくわかんねえけど、陣取り合戦みてーなもんかな。
ともかく怪人どもは放っておけねーし、やるからには勝ちを目指さねえとな」
鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)がスリングショットを手に呟いた。平素の戦闘とは異なり、少し気楽な様子でユーベルコード『二十五番目の錫の兵隊』を発動させる。
片脚が義足の武装した兵士が銃剣からペイント弾を撃ち出し、嵐が一緒にスリングショットを放てば辺り一面が琥珀色のインクで塗りつぶされる。
「どうせ塗るなら綺麗に塗るか」
嵐はぐるりと都市を見渡した。色とりどりのインクを用意し、ビルを上から順に淡い淡い鴇色、薄柿色、錆浅葱と塗っていく。
「こっちのビルはこうだ」
砥粉色、鳥の子色、若芽色。眼にも止まらぬ速さでビル群を爽やかに塗り替えていけば、視聴者もその手際の良さに吃驚している。
「わー、カラフル!」
ノースリーブ姿の栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は味方にNice! をばら撒きながら愛らしい容貌をほんわかと和ませていた。戦闘というよりこれは遊戯みたいだ、と。
「塗りつぶしバトルは初めてだな~?」
ふわり、と靴に純白の翼が生える。澪は靴に風の魔法を纏わせて軽やかにステップを踏んでみる。同時に身代わりの証である『everywhere garden(どこにでもある花園)』に魔力を込めて聖痕をかざせば破魔の魔力を宿して仇なすものを払う花園が精製される。くるり、ふわりと軽やかに舞えば澪の足元にパッと花が咲いたかのように色鮮やかな赤色が生まれ、パシャンッと飛沫を楽しむかのように跳べば、今度は桃色の花が咲くように色が生まれる。くるり、くるり、遊ぶようにステップを踏んでいけば色鮮やかな花畑がつくられていくようだった。
「黒い闇の世界に彩りを。私達のチカラで世界をキレイな色で染め上げまショ!」
リヴェンティア・モーヴェマーレ(ポン子2 Ver.4・f00299)がもこもこハムスターの響と一緒にフィールドに現れる。
言葉と同時に出て来るのは、森の動物精鋭部隊。部隊の名前はまだ決まっていない。ハムスターの響を筆頭に、ハムスターの架羅、ハムスターの夾、チンチラの藍、ハリネズミの由希、フェレットの壱、全員大集合!
ふわふわもこもこの動物たちがインクの海にバシャバシャと泳げば周囲のインクがの色が変わっていく。赤色、橙色、黄色、緑色……、
「うちの子達ばかりに頑張ってもらうワケにはいきませんカラね! 私も頑張りたい気持ち♪」
リヴェンティアが手に持つはローラーペイント。ぱっしゃん、ぱっしゃん、コーロコロ。ローラーが水色に道を塗りつぶす。水色の中を七色のアニマルズが泳いでいけば、青空に虹が浮かぶにも似て爽快Happy♪
斜め後方、上空にドローンが浮かんでいる。ドローンは猟兵チームを撮影し、生中継しているのだ。
「じゃかじゃん!」
手に持つ筆から放たれたピンクのインクが炎を巻き起こしながらブラックを侵食する。ジャバジャバ、メラメラ。Nice! 味方からのシグナルがポコっと浮かぶ。
ピンク色で周囲を濡らしながら珠稀は道路を猛進する。進行方向をピンクで濡らせばスイスイダッシュできる。
「さぁ、美しく彩られてください……!!」
珠稀が早業でウサギさんを描き上げる。ピンク色のウサギが愛らしくぺたっと描かれ。器用に目のところだけちょこっと黒を残している。
「マッテ! そのつぶらな眼を俺色に染めたげる!!」
ここで都亨が手を上げた。
「なんと! 都亨さんの色に私を染めてくださるのですか?」
珠稀が何か誤解してうっとりしているが都亨は華麗にスルーしてカメラに向かって猛アピール。
「何を使うって? もちろんバケツです!!」
取り出したのは森色カラーのバケットスロッシャー、バケツだ。人差し指の先でクルッと廻して魅せれば観客も大喜び。
「練習してきたから! 見てこの華麗なバケツ捌き」
右下からバシャーンと森色インクをぶちまける。
「うおおおおお俺色に染め上げる!! くらえ魂のバケツスロッシャー!! トルネーッドゥ」
ウサギさんが森色に染まった!
「あっ」
「あ……」
ちらっと窺うように視線を向ければ、珠稀は笑顔で絵筆を走らせてもう一度ピンクのウサギを描いてくれる。目の部分だけを森色に残して。
「これで、完成ですね。ふふ!」
「いえーい!」
結果オーライ! 完成したウサギを前にふたりはポーズを取って写真撮影。パシャッ。
そんな二人の耳に届くはマリアドールの歌声だ。
――era aira Emine (Eminiya yahYa)...♪
寄せて返す波の如くメロディがゆらり揺れ、余韻のように木霊のように跳ね返る旋律。
何処の国の言葉だろう、聞きなれない言葉がゆらゆらと湖に浮かぶ月影のようにフィールドに揺蕩えば少し懐かしくあたたかな心地が聞く者のこころを揺さぶってならない。
――Yahya Afra Fawa (Auhara Yhura)...♪
白花が清らかに舞えばキラキラと虹色に都市が塗りつぶされて行き、虹色インクの海にリヴェンティアのアニマルズが「あっお揃いカラー!」とぴょんぴょんして喜んでいた、その時。
「ハハハハッ! 邪魔だァ!!」
永一がゴウッと高速移動して虹を真っ黒に塗り替えていった!
「あの方は敵ですか?」
「いや、あの人の黒は味方としてカウントされてるみたいだ!」
一瞬他の猟兵が身構えるが、仲間だとわかり胸を撫でおろすのであった。
「いマス! 敵がイマス! 上から、上から!」
リヴェンティアが注意喚起する。
ザニーユが頭上から珠稀を狙っていた。キルを狙って金床が落ちてくる。
「ぺちゃんこになっちゃえ!」
「ぺちゃんこは嫌ですね……!」
足元のピンクを辿りスルスルっと避ける珠稀。
敵は一方的に金床を落としてくる。バシャーン! 派手に足元のインクが飛沫を上げている。珠稀が残像を生むほどの速度で華麗に回避し続ける。
「た、たいへんだ。俺にマカセロ!」
都亨は慌ててバケツを手に……。
「……あれ?! 一回バッシャーしたらバケツが空だ! な゛んで?!」
インク効率が悪いのがバケツの特徴だ。大丈夫か! ハラハラと見守る視聴者たち。だが。
「なーーーんてこんなんもちろん想定済み! 俺のバケツは一つじゃないかんね!」
都亨はずらりと森色ペンキたっぷりのバケツさんたちを展開した。
「俺って用意がいい男だからさ……ふっ モテてしまう」
Nice!
「一緒に攻撃しましょう、都亨さん!」
珠稀が次々降り注ぐ金床を避けながらパチリ☆ とウインクしてみせる。
「よっしゃー! おらーーー!」
ばっしゃーん! 森色バケツがザニーユを狙う。
「う、うおおおっ!?」
ザニーユが慌ててブラックインクの中を後退する。
「邪魔させてもらいましょう」
エレクメトールがザニーユの進路方向の少し前を偏差撃ちで塗りつぶしていく。狙いは的確だ。タイミングもばっちりだ。
「うおおおおお!?」
追い込まれ、逃れた先でボムが弾ける。時限式だ。
「置いときました」
エレクメトールがキシシと笑う。
これでワンキル――。
「くっ、負けないぞ!」
リスポーン地点で復活したザニーユは黒インクをスルスルと進んでいく。まだまだ黒インクはたっぷり都市フィールドを塗りつぶしているのだ。
たまに猟兵の黒インクが混ざっているが。
「また来まシタっ」
リヴェンティアが警告を発し、ピンク色のインクに頬を濡らした珠稀がカウンターでピンクのインクと炎を飛ばす。慌ててザニーユが避けようとし。
「キルはいただきデスー!!」
リヴェンティアがローラーを走らせる。ザバーン! 押し寄せる水色の波。
「うおおおお!?」
響を先頭にアニマルズが並んで突進。水色の波の中を七色のラインが描かれて、みんな一緒にレインボーアタック!
「あわわ!」
キル!
ザニーユがリスポーン地点へと戻された。
「ナイスー!」
「やりまシタ!」
Niceが乱れ飛ぶ。
ザニーユは逃げた先で黒インクを撒きながらで実況していた。
「ちょっと油断したけど、まだまだこれから! イェア!」
その頭上から襲い来るのは都亨のアルタイル。特製の矢が疾風よりも疾く流星の如く閃いてザニーユをサックリ貫いた。
「へええええええっ!?」
華麗なるリスポーン・キル!
これで2キルめである。
「俺! リスキルした! みた!? ――ふぉッ」
都亨は得意げに拳を天に掲げ、ツルっと滑ってパシャンと足元のピンク色のインクの海に転んだ。
「今度は私色に染めてしまいましたね、ふふ!」
珠稀が恍惚と頬を染め手を差し伸べる。
「染まっちゃったんだぜ!」
都亨が元気にぴょこんと立ち上がる。
「俺だけ染まってるのもなんだからハイッ!」
トーンっと珠稀の背を押せば、森色インクに珠稀が転んでくれる。もちろんわざと転んでくれたのだ。明智・珠稀は付き合いがいい変態である。
「染まってしまいましたよ!」
目をキラキラさせて嬉しそうにする変態。
「えっと、大丈夫デス?」
リヴェンティアが不思議そうにふたりを視ていた。
「ぐすん、ぐすん」
ザニーユが涙目で復活していた。
「空からなんてズルいぞユーベルコードォ」
しかし、気を取り直したザニーユはブラックインクを手にフィールドを駆ける。
高いビルによじ登り見下ろせば猟兵たちがキャッキャウフフとインクを使って塗りつぶしをしている。
「えっ。なにしてんの」
まじまじと見てしまうザニーユ。
水色の空に虹がかかっている。
森色で地面が描かれていた。地面にピンク色の家が建っている。
「えっ。猟兵……めっちゃ遊んでる」
ザニーユは思った。俺はソロぼっちなのに、ズルイ。
「スラップスティックショータイム!」
ビル上からザニーユはユーベルコードを狙い放った。奇襲である。
「敵が!」
一斉に上をみて警戒する猟兵たちのもとにお風呂にプカプカ浮いちゃう系アヒル隊長が降りてきた。
「えっ」
「んっ?」
アヒル隊長が空を泳ぐ。ぷか、ぷか。
「ざまあみろ猟兵! 空が海になったぜ」
「ええ……」
「あぁん? 海だあぁ~~? そんなもんこうだ!」
ここで永一が爆走しながら通りすがりざまにアヒル隊長を掬い上げて森色の大地へとホイッと投げてあげる。
「森へお帰り……!」
都亨がアヒル隊長で遊び始める。ぷか、ぷか。
「あいつ黒い色で塗りつぶしてる。もしかして仲間!?」
なんとザニーユが永一を仲間認定!
「一緒にコミカルしようぜ! そーれ!」
ソロぼっちザニーユ、歓迎の印に投げたのはバナナの皮だ!
「赤色で塗り潰せねぇのが不満だなァッ! ……あ? うおぁ!?」
爆走中のちょうど足元に狙ったようにプレゼントされたのはなんと真っ黒な猫耳カチューシャだ!
「はあっ!?」
大変! 永一が猫耳に……!
「あら、かわいい!?」
これには本気モードで歌っていたマリアドールも思わず歌を中断して笑みを零してしまう。
「クッ!? 覚えとけよクソネズミ!」
猫耳カチューシャを全力で投げ捨てて永一が怒号を放つ。
「あっ、あれよく見たら猟兵だ。仲間じゃねーや」
ザニーユは残念そうに呟いた。
「っと、邪魔されないように妨害もしとかないとね」
敵は放置していると自由に都市フィールドを塗りつぶし、奇襲をしてくるのだ。澪はザニーユを見上げた。
「いけー、僕の分身!」
澪が意地でも言いたくないそのユーベルコードの名は『極めて小さい天使の物量アタック』。ミニミニサイズの無邪気可愛いエンジェル澪がパタパタと空を跳んでいく。
「なっ、なんだ!? 天使!?」
ザニーユがワタワタとする中、ミニ澪エンジェルたちはザニーユに抱っこ―抱っこ―とせがむように両手を伸ばし。
「くっ!? か、可愛いッ!?」
歌が聴こえる。
ドキドキ高鳴る鼓動を伝えるような弾んだリズム、切ない気持ちを打ち明けるような旋律と歌詞。
「な、なんだろう。ドキドキする」
ザニーユ、陥落――、
同時にザニーユのカメラを覗き込むようにミニ澪エンジェルたちが集い、視聴者に手を振っていた。
『可愛い』
『あ゛ぁ~』
視聴者も脳を蕩けさせたコメントを流している。トドメとばかりにStaff of Mariaをくるりと舞わせて風魔法で足元に咲かせた花を舞い上がれせ、広範囲に花色を咲かせれば拍手喝采であった。
ぽろん、ぽろんと月の雫のように竪琴の音が鳴り響く。
くすくす笑いながら黄昏色に眩く黄金律の竪琴をつま弾いているのはマリアドールだ。
「綺麗な音だな……ってああっ!?」
思わず聞き惚れるザニーユへと音の刃が襲い掛かる!
「ふぎゃあああっ」
キル!
ザニーユはしょんぼりとリスポーン地点で蘇った。
「俺も仲間連れてくればよかった……」
その真正面に爽やかな柑橘系を思わせるオレンジのインクが咲いた。
「はっ!?」
嵐が兵士と一緒にビルの上から狙撃しているのだった。
「もうこんなところまで前線が上がって!? い、いけない」
ザニーユはあたふたと黒インクを撒き散らし、前線を上げていこうと――、
パシュン! パシュン!
「この戦いは平和でいいな、ゲーム感覚で戦えるし」
嵐は穏やかな気分で呟いた。風がサアっと吹き抜けて髪を揺らす。ビル上の空気は澄んでいて、見晴らしも良い。上をみれば青空が広がっている。下は、猟兵たちがカラフルに塗り替えた都市フィールドが広がっている。今も下を駆け巡りバシャバシャとインクをぶちまけている仲間たちも敵も、皆インク塗れで――一生懸命に、楽しそうに笑っている。それが、まるでみんなで泥遊びをしているみたいで、嵐はそっと笑うのであった。
「おっと、敵が前線をあげようとしてるな」
下で動いている敵の動きに目を留め、嵐は領域の維持をするべく援護射撃を飛ばしながら味方へと敵の位置を知らせるのであった。
「~♪」
青空の下、嵐は軽く口ずさむように歌を歌う。
それは、マリアドールや澪が歌っていた歌だ。嵐が歌えば青空に爽やかにクリアに響き渡り、人々はこれから訪れるであろう夏へと思いを馳せるのであった。
「今度こそ、奇襲を――」
前線へ泳ぐ敵がビルの上にスルスルっと登っていく。
そして、登り切った瞬間にバッシャーンと吹き飛んだ。
「ふぁっ!?」
「ニシシ……♪」
エレクメトールがキャンディを手に笑っている。予測からの置きボムだ。
「またお前かー!」
何度目かわからないが敵は再びキルされて戻っていき。
「負けねええええ!!」
「負けないわ!」
「ええ!?」
永一とマリアドールが超高速で塗りつぶしながら敵の陣地を駆けまわっている。なんということだ。視界を塗りつぶしている黒は怪人の黒ではなく、永一の黒になっているではないか。
虹色と黒が競うように敵陣を喰っていく。
「えっと、俺の存在」
ふたりは怪人には見向きもせずに延々とガチバトルを繰り広げているのであった。
「2/3が塗りつぶしできたようですね」
珠稀がフィールドマップを視ながら呟いた。
いつの間にか、フィールドの大部分がカラフルに塗りつぶされている。
黒も多いが、その黒のほとんどが永一の黒だった。
『制限時間、残り5分です』
制限時間を知らせる機械音声が響く。
「そろそろ終わりだね」
膝や肘にインクをつけた澪がにっこり笑う。ミニ天使澪たちがパタパタと視聴者にサービスをしてコメントを沸かせている。
「お絵描きはもうおしまいですか? 名残惜しいですね」
珠稀が足元に大きな薔薇やウサギやリボンを描き、離れた場所で自分の作品を誇らしげに視聴者に紹介していた。
「これは、エッジを滑らかにと気を付けて描きました。ここは淡く色が掠れているのがポイントです。逆にこっちはマットに塗っており質感の違いを出しているわけですね、ふふ!」
リヴェンティアは綺麗な青空と虹に塗り上げた公園でアニマルズと一緒に記念撮影をしていた。ブランコの上で響たちが楽しそうに踊っている。
「そーれ! 気持ちイイダロー!」
ブランコをキイコキイコ揺らしているのは都亨だ。
頬いインクをつけ、頭の先から爪先までカラフルなインクで全身を汚して楽しそうに笑っている。
永一とマリアドールはフィールドマップを視ながらどちらが勝ったかを熱く語り合っていた。塗り領域の結果は引き分けだった。
嵐は終了間際まで敵領域を削り続け、狙撃モードの兵隊で敵の妨害をし続けていた。ふと金糸で刺繍が施された青いリボンをちらりと視て。それは、星を読む隠者のリボン。祖母からの贈り物だ。
(汚れなくてよかった)
そっと微笑むのであった。
「くっ、和やかに終わろうとしていやがる!」
ザニーユが地団太を踏む。
そんなザニーユへとトドメを刺そうと接近する猟兵がひとり。
「フルボッコタイーム!」
エレクメトールは高速移動で一気に敵との間合いを詰めてユーベルコードのマニューバーで零距離射撃を叩きこんだ。
「うわああああああん!」
最後にもう1キル!
『ゲーム終了! 猟兵チームの勝利です』
ザニーユ、完全敗北であった。
「やりましたネ!」
リヴェンティアがにこにこと笑っている。
水色のインクで空みたいになっている地面にアニマルズが虹を描きながら遊んでいる。
ドローンに向かって手を振りながら、リヴェンティアは願う。
(観ている皆さんガ、雨があガッテ、晴れたヨウな気持ちにナリますよウニっ!)
インクで全身をカラフルに濡らしながら、カラフル・ハイ・シティで仲間たちがニコニコしている。彼らは勝利したのだ。
「最後は、みんなで!」
誰かが声をあげた。
全員の色が花びらの一枚一枚になるようにと塗られていき。
花びらの先にひとりずつ立って、猟兵たちは全員で空から中継しているドローン・カメラに手を振った。
「皆さん、聞いてください」
珠稀がいつの間にか頭にネコミミカチューシャをつけていた。永一が投げ捨てたカチューシャだ。
「猟兵タチハ、システム・フラワーズに侵入シテ戦っていマス」
リヴェンティアがパチリとカメラに向かってウインクしてみせる。そのまわりではアニマルズが楽しそうに追いかけっこをしていた。
「もう明日には、敵幹部のエイプモンキーを倒せそうだぜ!!」
都亨が元気一杯にサムズアップしてみせた。
「俺達は止まらねぇからよ!」
永一はまだ戦鬼モードだった。
「マリアたちを、信じてほしいのよ」
マリアドールが花のように微笑む。
「怪人どもはおれたちが全員倒すよ」
嵐がよく通る声で言う。戦うのは怖い。いつもががたがた震えるほど怖い。でも逃げずに頑張る、それが嵐だ。
「すぐに、日常に戻れるからね! でも、キマイラフューチャーの皆さんなら、この戦争もイベント気分で愉しんでいるかな?」
澪がニッコリと言えば、視聴者たちは明るいコメントを返してくれる。もちろんだ、と。
「戦争が終わったら今度は普通の塗りつぶしバトル、皆さんでやりましょう? ニシシ♪」
エレクメトール・ナザーリフが手を振るドローンは、カメラを持っている。双方向中継のカメラに映っているのは、離れた場所で彼らの戦いを視ていたキマイラフューチャーの――おばあちゃんだ。
彼女はそのおばあちゃんに見覚えがあった。イエーガーカードで遊んだ時、おまんじゅうをくれたおばあちゃんだ。おばあちゃんはニッコニコの笑顔で手を振っている。とても、元気そうだ。
「糖分提供ありがとうございました」
その言葉は、おばあちゃんにしか意味がわからないだろう。
だが、それでよい。コメントに『?』が沢山流れていく生中継の中で、エレクメトールはキャンディを口に含んでニシシ、と笑った。キャンディは、今日も美味しい。
縁の下の力持ち、という言葉がある。
強敵を相手取り、倒すのはとても華やかで格好良い。分かりやすい活躍だ。だが、それが全てではない。こうして人々を励まし、戦う仲間たちの道を支えた彼らは間違いなく戦争の功労者であり、人々の英雄なのだ。
人々やおばあちゃんの笑顔は、どんな輝かしい戦果よりも眩しく、明るく、華やかで。
インクでドロドロに汚れた仲間たちが誰からともなく顔を見合わせれば、皆が同じようにドロドロ、べたべた、カラフルに全身を染め上げながら――達成感と誇りを胸に、笑っているのであった。
――キマイラフューチャーの英雄たちに愛をこめて。
Finish!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2019年05月12日
宿敵
『ザニーユ・モア』
を撃破!
|