2
バトルオブフラワーズ⑦〜よいこはねむらない?

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#キマイラフューチャー
🔒
#戦争
🔒
#バトルオブフラワーズ


0




 その場所は何とも夢見心地の空間だった。空中にはシャボン玉が浮かび、綿菓子のように柔らかなクッションがあちこちに散らばり、地面を埋めている。
「~~♪」
 その中心に置かれた寝台に彼女は寝ころび、その魅惑的な肢体を投げ出しながら薄目を開けて口ずさむ。ゆったりとした彼女の歌を聞けば瞼がずっしりと重たくなるのを感じるだろう。
「ねむれ♪ねむれ♪夢のなかで♪」
 オブリビオン『牝山羊怪人マリアディジー』は寝台の上で寝返りを打ち、微睡の中で歌を歌う。

 キマイラフューチャーが真っ二つに割れた事件。その真相はオブリビオン・フォーミラー『ドン・フリーダム』に占拠されたキマイラフューチャーの中核『システム・フラワーズ』、その奪還のために開いたメンテナンスルートとしての機能だった。
 次々と起こる事件に騒然となるグリモアベースに、キケ・トレグローサ(たった一人の流浪の楽団・f00665)は自分の予知した事件を伝えるためにやってくる。
「キマイラフューチャーの事件のことはみんな知ってるよね?メンテナンスルートを守ってる『ザ・ステージ』そのうちの一つ、『ザ・サウンドステージ』の事件を予知したからみんな聞いてほしいんだ」
 『ザ・ステージ』とはメンテナンルートの前に存在する6つのステージのことである。そこは今オブリビオンたちに占拠されてしまっているが、メンテナンスルートを進むためには『ザ・ステージ』奪還は必要不可欠な要素である。
「僕が予測したのは『ザ・サウンドステージ』。『ザ・ステージ』の一つで、歌に関するステージだよ。そこを占拠しているのはオブリビオン『牝山羊怪人マリアディジー』。彼女はこのステージで常に子守唄を歌っている。その歌に『ザ・サウンドステージ』が反応して特殊な変化が起きているんだ。今の『ザ・サウンドステージ』はマリアディジーの歌を増幅させて強力な睡眠作用が発生している。それは例え睡眠を必要としない機械でさえ眠らせてしまうほどに強力な力なんだ。どんなに眠気対策をして挑んでも眠り込んでしまうよ。ただ一つの方法を除いてね」
 睡眠作用の働く『ザ・サウンドステージ』だが、奪還は『ドン・フリーダム』に到達するには必須の条件だ。猟兵たちはキケが提示する、眠気を突破するただ一つの方法に耳を傾ける。
「『ザ・サウンドステージ』の眠気を突破する方法、それはマリアディジー同様、僕らも歌を歌い続けることだよ。自分自身やお互いに鼓舞し合う歌を歌い続けることで、『ザ・サウンドステージ』に響く子守唄の睡眠作用を抑えることができるんだ。注意してほしいのは、その場にいる全員が歌を歌っていないと、睡眠の効果を抑えることはできないこと。マリアディジーと戦うときは常にみんなが歌を歌い続けて戦うんだよ」
 マリアディジーが純粋な歌で睡眠作用を発生させているのだから、同様に歌の力ならば『ザ・サウンドステージ』の効果を超えて、睡眠作用を和らげることができるということだろう。注意するべき点は歌は絶えさせてはならず、しかも、戦場にいる猟兵の全員の歌声が必要ということだろう。
「歌にはまっすぐな気持ちが一番大切なんだ。みんなが胸に秘めた思い、みんなの気持ちを素直に歌にすれば、きっとうまくいくはず。頑張ろうね」
 キケのグリモアが作動する。猟兵たちは歌声の響く『ザ・サウンドステージ』へと誘われていった。


Yggd
『注意』
 このシナリオは戦争シナリオとなります。戦争用の、1章構成の特殊なシナリオですので、参加される場合はご注意ください。
 また、シナリオ内に歌唱、音楽に関する記述が含まれますが、他者の著作物を使用、引用されたと見受けられるプレイングをご提出された際は不採用とする場合があります。

 こんにちはYggdです。
『ザ・サウンドステージ』はその名の通りに音楽がルールになっているステージです。オブリビオン『牝山羊怪人マリアディジー』の子守唄が響くステージではあらゆるものが強制的に『眠り』落ちてしまいます。それは例え睡眠を必要としない機械などであってもです。突破する方法はただ一つ、睡眠に負けない、己や互いを鼓舞する歌を歌い続けること。歌声の織り成す戦いの始まりです。
 それでは眠気を払い、闘志が沸いてくるようなプレイングをお待ちしております。
19




第1章 ボス戦 『牝山羊怪人マリアディジー』

POW   :    救済の女神は惨劇へと現れる(デウスエクスマキナ)
【自身の生命力】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【より強く速く相手に浸食する活性状態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    お姉さん特製・ふしぎウイルス
【体に力が入らなくなる、肉体へのウイルス】【頭がボーっとなる、精神へのウイルス】【お姉さんにメロメロになる魅了ウイルス】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    大丈夫?疲れてなぁい?私の『ここ』においで…?
小さな【子も軽く包み込む圧倒的な母性の塊】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【優しさが詰まった極上の居心地】で、いつでも外に出られる。

イラスト:すねいる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠マックス・アーキボルトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

轟・やゆよ
故郷がピンチだっていうから戻ってきたら
いろいろ大変なことになってたのよさ!
システムフラワーズが止まったらコンコンどころか環境なんかもヤバそうだし絶対怪人なんかに渡さないだわさ!

眠りの空間…それじゃあたしは
サウンドオブパワーで眠気もふっとびそうなハードロックアニソンを熱唱するだわさ!
ビートステッキで激しいメロディを【演奏】しながら
どんな強大な敵にも立ち向かう鋼鉄の巨大ロボのテーマソングを【歌唱】し続けるのよさ
【鼓舞】【祈り】【破魔】なんかも歌にのせて
声の限りに熱く歌い続けてみんなを支えるだわさ!


フェイルシア・インパーサ
●アレンジ歓迎ですわ

亡き故郷を想い、歌いましょう
かつて私に仕えた人々へ
そして敬愛し続けた唯、一人の主人に向けて

―――命がまた芽吹く、花舞う大地に貴女が微笑む

当時の流行歌を思い出しながら、慣れた踊りに絡めていきましょう
演目は"剣舞"などが宜しいでしょうか
主には、イルシア様には、剣術を良く褒めて頂きましたから

―――立てた誇りは守るため、断つのは涙、我らに悲劇は似合わない

放たれるウイルス(相手のSPDユーべルコード)を切り裂き
相手の救済(POWユーベルコード)を退ける
そんなもの(WIZユーベルコード)は必要ないと断ち切りましょう

オブリビオンの施しなど要らない
私(わたくし)の夢は私だけのものです


アウル・トールフォレスト
お歌を歌いながら戦うの?初めてだから上手くいくかわからないけど…
とにかく、頑張るよ!

戦い方は肉弾戦と【魅了・蠱惑坩堝】
抵抗して暴れたり、わざと攻撃を外したりして、辺りに植物達を広げていくよ
苔は絨毯のように広げ、蔓は壁を伝ってより高くまで。
甘ぁい夢を見せてあげる…♪

『高き森』の歌
♪高き森は奇跡の森。神の息吹が残る場所♪
♪高き森は恵みの森。光に照らされ豊かに育つ♪
~♪(ここから鼻歌。本来の歌詞を忘れている)

♪わたしはアウル♪『高き森のアウル』♪ひとりぼっちは寂しいから♪
♪おともだちになりましょう♪わたしはアウル♪『高き森の――
あ、これはわたしの考えた歌だから!どうかな?

(※好きにお任せします)



 マリアディジーの子守歌が眠りの世界に誘う『ザ・サウンドステージ』に体に植物を自生させたアウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)がやってくる。
「お歌を歌いながら戦うの?」
 まどろむように歌うマリアディジーと対峙してアウルは首を傾げる。しかし、その間にもマリアディジーの歌声は響き渡り、アウルの瞼が重くなってくる。その時、更にもう一人の猟兵が駆けつけた。
「故郷がピンチだっていうから戻ってきたらいろいろ大変なことになってたのよさ!」
 轟・やゆよ(あにそん伝道師・f06396)は一連の事件を聞きつけて大急ぎで『ザ・サウンドステージ』へと降り立った。天使を彷彿とさせるドレスの裾を翻してやゆよが『ザ・サウンドステージ』の舞台に立つ。ステージの中央に陣取ったマリアディジーの歌声が優しく眠りの世界に誘おうと響き渡る。先に来ていたアウルは頭を振りながら懸命に眠気を堪えているが、既に歌うどころでは無くなってしまっている。
「うっ…なんだか眠くなってくるだわさ…それなら」
 やゆよは眠気を振り払い、ビートステッキを一振りする。するとビートステッキから激しいイントロが流れ出し、やゆよはリズムに乗って体を揺らす。
「眠気もふっとびそうなハードロックアニソンを熱唱するだわさ!!」
 ビートステッキから流れる演奏に合わせて、やゆよは力強い歌声を響かせ始める。その曲はかつてキマイラフューチャーに存在した人類の残したアニソンと呼ばれるジャンルの歌唱曲。やゆよは己にプログラムされたその曲を力の限り唄う。歌詞に歌われる巨大ロボのようにどんな強大な敵にも立ち向かうその雄姿を猟兵たちに重ねて、彼女の歌声が『ザ・サウンドステージ』に響き渡る。やゆよの歌声にアウルははっとして目を覚ます。
「寝ちゃうところだった。歌いながら戦うんだね。上手くいくかわからないけど…とにかく、頑張るよ!」
 やゆよの歌声でアウルの眠気はさっぱりと消え去る。アウルは自分の喉を抑えて、んっ、んっ、と数度咳払いして調子を整えると大きく息を吸い込んで歌いだした。
♪高き森は奇跡の森。神の息吹が残る場所♪
♪高き森は恵みの森。光に照らされ豊かに育つ♪
 アウルの歌に合わせて彼女の体表に自生している植物たちが枝葉を伸ばして『ザ・サウンドステージ』に移り、成長始める。アウルの手から零れ落ちた苔類は絨毯のように広がり、蔓が生えた植物は天蓋のように『ザ・サウンドステージ』を覆い、緑のカーテンを形作る。
「あらあら、大変」
 マリアディジーは眠たそうな目をこすり、ながらおっとりとした口調で寝台から身を起こし、緑の侵攻から逃れようと抵抗し始める。
「逃げなくていいんだよ。甘ぁい夢を見せてあげる…♪」
 アウルは寝台から起き上がったマリアディジーの肩を引き戻して、再度寝台に押し倒す。
「あら、あらら」
 やわかな苔の生えたマットに倒されたマリアディジーが困ったように言葉を漏らす間に、植物たちはマリアディジーの手足を縛り上げ、彼女を寝台の上に拘束した。
♪わたしはアウル♪『高き森のアウル』♪ひとりぼっちは寂しいから♪
♪おともだちになりましょう♪わたしはアウル♪『高き森の――
 縛り上げたマリアディジーの前でアウルは上機嫌に口ずさむ。二人の猟兵の手によってマリアディジーは寝台の上に縛り上げられるが、それでも彼女は子守歌を歌うのを止めない。歌い切ってしまったやゆよとアウルは、次の曲を歌おうと再度息を吸い込む。だが、その前に、透き通るような歌声が『ザ・サウンドステージ』に響き渡った。
「―――命がまた芽吹く、花舞う大地に貴女が微笑む」
 桃色の髪を靡かせ、フェイルシア・インパーサ(騎士姫の造花・f04276)は『ザ・サウンドステージ』で歌う。マリアディジーの子守歌の響くステージに立ち彼女は胸の前で手を握り美しい歌声を響かせる。フェイルシアは歌声に乗せて無き故郷を思う。彼女の透き通る声は『ザ・サウンドステージ』に染み渡るように響く。
「―――立てた誇りは守るため、断つのは涙、我らに悲劇は似合わない」
 フェイルシアは自らが歌う旋律に合わせ剣を引き抜き、マリアディジーに歩み寄る。やゆよはビートステッキからフェイルシアの歌に合わせた伴奏を奏で、アウルは慎重に音を聞き分けてコーラスを重ねる。三人で奏でられる曲は『ザ・サウンドステージ』により一層凛として響く。寝台に縛られたマリアディジーは彼女たちの声に耳を傾け心地よさそうに目を細めると、剣を手に近づくフェイルシアを愛おしむように暖かな視線を向ける。マリアディジーは拘束されたままの姿勢でフェイルシアに甘い声で諭すように話す。
「綺麗な歌ね。だけど、あなたの歌声は悲しい、寂しい歌声…おいで、つらかったでしょう?もう休んでいいの。あなたが苦しむ必要はないの…私と一緒に、夢の世界で幸せに過ごしましょう?」
 マリアディジーは甘い言葉でフェイルシアを誘惑する。マリアディジー甘言にフェイルシアは目を伏せて彼女に近づく。そして、フェイルシアは自ら歌唱、そして支える仲間の旋律と共にマリアディジーの胸を手にした剣で切り伏せる。
「オブリビオンの施しなど要らない」
 決意に満ちた目でフェイルシアはマリアディジーに宣言する。
「私の夢は私だけのものです」
 フェイルシアは、偽りではない彼女自身の意思でマリアディジーに剣を向けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ミスツ・シューパリツェ
※アドリブ・連携OK

【POW】

眠らせるだと?ハッ、寝てすんやりと夢見てりゃそりゃ幸せだ
だが俺はそういう訳にはいかねえんだよ

歌は演歌だ
乗せる想いは、前へ進む事だ
俺は昔は人間だったが、化け物に喰われて今やこの有様。昔の夢を見た事が無いとは言わねえ。こうやって演歌を歌ってた頃に浸ってたらそりゃある種幸せだろうよ
でもな、こうなったなら仕方ねえ!俺は過去に浸らねえ、未来を見据え、化け物を作った元凶にケジメをつける!

演歌に途中から仕込んでおいたロックを乗せる
変化を受け入れつつ芯はそのまま、俺のこれからを表す歌がこれだ!

歌いつつUCで攻撃するぜ
じゃあな、偽羊女
おやすみなさい、は趣味じゃねえ。夢は勝手に見な



傷ついたマリアディジーは今は緑に半ば浸食された寝台に横たわり、荒い息をつきながらも子守歌を歌うことをやめなかった。
「ちょっと、お痛が過ぎるわよぉ…お姉さん、泣いちゃうわ…もう、戦うのなんてやめて、みんな幸せに夢の中で過ごしましょう?」
「眠らせるだと?ハッ、寝てすんやりと夢見てりゃそりゃ幸せだ。だが俺はそういう訳にはいかねえんだよ」
 乱暴な言葉が、マリアディジーの提案を切り捨てる。マリアディジーは顔だけを動かして、声の主を探す。立っていたのは真っ白の体に愛らしい顔、伸ばした触手から赤い目のような器官を生やした一体の雌のバイオモンスター、ミスツ・シューパリツェ(バイオモンスターのバーバリアン・f17654)だった。
「そんな乱暴な言葉遣いは良くないわよぉ、せっかく可愛らしいお顔なんだからぁ」
 間延びした声でマリアディジーがミスツの言葉遣いを注意しながら寝台の上をゴロゴロと転がりくつろぐ。一方のミスツは、マリアディジーの態度にうへぇ、と口だけを歪めて唾を吐いた。
「生憎、中身は人間の男なんでな!」
 ミスツは再び乱暴に言葉を吐き捨てた。そう、ミスツは外見は可憐なバイオモンスターだが、その中身は人間の、しかも愛らしさとは程遠い、荒々しい性格をした男なのだ。ミスツはマリアディジーとの会話を打ち切り、子守歌をかき消すように歌を歌いだした。歌うのは渋くこぶしが聞いた演歌。独特の節回しにマリアディジーは子守歌の調子が狂い、混乱する。
「昔の夢を見た事が無いとは言わねえ。こうやって演歌を歌ってた頃に浸ってたらそりゃある種幸せだろうよ。でもな、起きちまったことは仕方ねえ!俺は過去に浸らねえ!変化を受け入れつつ芯はそのまま、俺のこれからを表す歌がこれだ!」
 演歌の節回しに調子を狂わされて首を傾げるマリアディジーに対して、ミスツは更に曲調を変化させる。こぶしが聞いた歌唱は、次第に激しくテンポをあげて、叫ぶように歌唱するシーンも表れ、ロック調の歌声に遷移する。激しい曲調に乗せて、ミスツの気持ちは昂ぶってゆく。
(そうだ、俺は過去に浸らねえ、未来を見据え、化け物を作った元凶にケジメをつける!)
 ミスツの気分の高揚に合わせ、バイオモンスターの体は金色のオーラを放ち身体能力を向上させる。オーラを纏ったミスツは拳を握り込み、未来に生きる己の生き方を噛み締めて、過去の存在であるオブリビオンであるマリアディジーを見据える。過去は振り返らない、立ちふさがるなら、乗り越えてゆく。
「じゃあな、偽羊女。おやすみなさい、は趣味じゃねえ。夢は勝手に見な」
 ミスツは金に輝くオーラと共に、マリアディジーを鋭い拳で殴り飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユキ・コシイ
他者に対する同情、憐れみの施し
それは「ヒト」であったなら上等すぎるもの
でも…例え善意であったとしても、その行動が正しいことになるとは限らない
…わたしを電子の海から拾い上げてくれた故郷の危機
それを阻むのならば、わたしは―容赦を持ち合わせない

【「HIGH TRUE LOVE」】…この歌はわたしの本質
全ての知りうる隣人に、語る愛の言葉は優しく
でも…その音は鋭く。熱く駆け抜けるような…テクノポップ
歌う度に人間と手を携え、共に未来を進む…己の本質を思い出す

この歌で泡沫の眠りを覚まし
そして…呼び寄せられた自律兵器群が…あなたを過去の海に還す
さあ、歌うことも 愛することも全て、私に委ねて―眠りなさい



 マリアディジーは猟兵たちの攻撃を受けながらも、未だ『ザ・サウンドステージ』を占拠して子守歌を歌い続けていた。甘い夢の中へ誘う堕落の詩を紡いでマリアディジーは垂れ気味の目を潤ませる。
「他者に対する同情、憐れみの施し…それは「ヒト」であったなら上等すぎるもの…。でも…例え善意であったとしても、その行動が正しいことになるとは限らない」
 マリアディジーの歌声を耳にし、ユキ・コシイ(失われた時代の歌い手・f00919)は静かに思いを述べる。彼女がここに現れたのは無論、混乱するキマイラフューチャーを救うため。断じてマリアディジーの甘言に流される為ではない。
「…わたしを電子の海から拾い上げてくれた故郷の危機。それを阻むのならば、わたしは―容赦を持ち合わせない」
 ユキが歌う。ユキの知り得る全ての隣人に向けて紡ぐ、彼女の歌声は美しく『ザ・サウンドステージ』に響きわたる。歌詞に語られる愛の詩は優しく、けれど歌声は鋭く、熱く。テクノポップのユキの歌声は彼女の本質を描き出して響き渡る。ユキの傍らには、彼女の意思に賛同するように自立兵器が編隊飛行をして飛び回る。
「さあ、歌うことも 愛することも全て、私に委ねて―眠りなさい」
 マリアディジーにユキは告げ、自立兵器たちがマリアディジーを骸の海に帰す。
 猟兵たちが紡いだ歌声が、マリアディジーの泡沫の夢に捕らわれた『ザ・サウンドステージ』を開放する。響く歌は力強く、甘い夢に捕らわれることは無い。自ら夢をつかむため、力強く歩む猟兵たちの歌声だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月13日


挿絵イラスト