バトルオブフラワーズ⑤〜Melody Holic
●勝つのはアタシ!!
――枝分かれしたジャンルを全て追うのは難しいけれど。
――あたしは違う。特化する事によって、最強を名乗るに相応しい実力を手にいれた!
――もう誰にも負けない、どんな奴が相手でも、めろほりが戦場である限り……!
そして指を温める様にリズムに乗って、今か今かと挑戦者を待つアヤカだった。
●めろほり
「諸君、戦争だ。対象世界はキマイラフューチャー。知っての通り、現在真っ二つになっている。詳細は省くが、かの中枢機関『システム・フラワーズ』に辿り着くために、幾つかの『ザ・ステージ』を攻略する必要がある」
旋律を凝縮したグリモアをふわふわ浮かべ、織譜・奏(冥界下り・f03769)は集まった猟兵達に予知の内容を告げる。
「私の予知に引っかかった転送先は巨大なコンピュータールームのような場所、『ザ・ゲームステージ』だ。そこに、デンと用意された巨大ゲーム機がある。此処ではまず敵オブリビオンとゲームで勝負するらしい」
厄介な事に、このゲームで勝敗が決まるまでお互い攻撃が通用しないのだと説明する奏は、自身が参加出来ない事が少し悔しい様子。
「ジャンルは所謂リズムゲーム。ゲームセンターによくある『Melody Holic』だ。プレイした事がなくても、見たことくらいはあるかもしれないな」
『Melody Holic』――通称めろほりは、中央から現れる譜面が消える前に◇状のタッチパネル画面を叩き、同時に四隅に配置されたつまみを回すというゲーム。
説明だけ聞くと難しく感じるかもしれないが、直感的にプレイすれば案外イケたりするのがライト層にも人気なんだとか。
「選曲の権利は猟兵にある、自分に有利なものを選ぶと良いだろう。ただ、相手はそのハンデをこちらに寄越しても勝つ自信がある強敵だ。くれぐれも油断はしないでくれ」
指捌き、反射神経、動体視力、暗譜、等々。各々が何を武器としてめろほりに挑むのか、よく考えて挑むべきだろう。
もちろんただ叩く・回すだけのゲームではない。フリック・長押し・連打、それぞれの混合……譜面への対応策も必要となる。
「敵はこのゲームに力を注ぎ過ぎたのか、戦闘力は大したことはない。あくまでめろほりに集中してくれて大丈夫だ」
逆に言えば、めろほりで負けてしまってもそう大したダメージはないという事でもある。
「――とにかく、私が言いたいのは、だ。諸君、楽しんできてくれ!」
奏は楽しそうな笑顔で、猟兵達を送り出した。
まなづる牡丹
OPを読んで頂きありがとうございます。まなづる牡丹です。
皆様、音ゲーはお好きですか? 今や一大ジャンルとなった『リズムに合わせてボタンを押す』、今回は戦争にあわせ、そんなシナリオをご用意しました。
●選曲
曲のジャンルに関しまして、こちらはお客様の好みを反映いたします。曲名やジャンルなどご自由にお書きください。
もし迷われた方は『ランダム選曲』をどうぞ。ダイスを振って以下の目で対応します(ご自分で選ばれる方は、こちらに則る必要はありません)
1:テクノ 2:ハウス 3:ユーロビート 4:ハードコア 5:ポップス 6:電波系。
●音ゲーの上手さと勝負
敵はAUTOほどではありませんが強敵です。参加人数にもよりますが、各人2本先取勝負を予定しています。
キャラクターご本人の慣れ度や得手不得手もありましたら、参考にさせていただきます。
●描写
敵オブリビオンとの一騎打ちになりますので、個人参加推奨です。
しかし、例えばタッチパネルとつまみで担当を分けるとか、1曲ずつ交代でプレイするといった手法であれば合わせプレイングも歓迎いたします。
●勝負後の戦闘
1行あれば十分です。文字数が足りなければ「★攻撃」で構いません。
敵は一撃で倒れる程ヤワではありませんが、ゲームで鍛えた精神的タフさで何発(何名様分)かは耐えるようです。
それでは皆様がめいっぱい楽しめますように。プレイングお待ちしております。
第1章 ボス戦
『アヤカ・ウザカワ』
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POW : そんなにあたしに関わりたいの?仕方ないなあ♪
全身を【構ってオーラ】で覆い、自身が敵から受けた【痛みや苦しみ】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD : もっとアタシに構えー!
【音や煙が派手な様々な火器を装備したモード】に変形し、自身の【回避力と移動力】を代償に、自身の【命中と攻撃速度】を強化する。
WIZ : 世界で一番可愛いのはアタシ!
【笑顔】【挑発的なポーズ】【自分を見ろというオーラ】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
イラスト:つかさ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠リサ・ムーンリッド」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
オート・チューン
まっかせてー!めろほりやったことないけど大丈夫!反射神経は自信あるんだ!野生の動体視力もあるしねー!ふふーん!
アヤカちゃんがお気に入りの曲で勝負しよう!
知らない曲に出会うの大好き!へたっぴでもおかまいなしだよ!だってとっても楽しい!
曲に合わせて(空耳)歌う(輪唱状態)し!合いの手いれるし踊っちゃう!
アヤカちゃんが好きな曲って面白い歌詞だね!
二回戦以降同じ曲選ぶよ!大丈夫、覚えたから!上手にプレイできるよ!
合いの手もイクゾーみたいに上手に入れられるよ!
アヤカちゃんが好きな曲プレイするたびにわたいの事思い出して笑顔になってくれたらいいなー!
わたいが勝ったら「まいった」しなさーい!
●
トップバッター、オート・チューン(太陽のバースデイ・f04855)。めろほりは完全初見、筐体を前にルールを聞いて、うんうんと頷き愉しげな笑顔を溢す。
「うーんと、多分大丈夫! 反射神経には自信あるし、野生の動体視力もあるしね。ふふーん!」
猛禽の目をキラリと光らせ、跳ね毛をぴょこぴょこ。可愛らしいその仕草に対抗するように、アヤカもまた萌え袖で口元を隠しながら不敵に笑う。
「アタシはこのゲーム知り尽くしてるからね、アンタみたいな初心者には絶対負けないし。好きな曲選ばせてあげるわ♪」
「言ったなー! じゃあアヤカちゃんがお気に入りの曲で勝負しよう!」
「は?」
オートの意外すぎる提案に、間抜けな声を出すアヤカ。だってそんな、好きな曲なんて言われたら、1番やり込んでいる曲でもあるのに。
「後悔しても知らないから」
そして、つまみを回して選曲。選ばれたのは……透明感溢れる女性ボーカルのシティ・ポップ。いきなりサビから始まり、譜面を追うオート。ワンテンポ遅れて歌詞をなぞり、輪唱状態で歌う。それはアヤカの集中力を地味に削っていった。とはいえ、アヤカの指捌きは全く緩まない。多少の雑音が入っても、指が勝手に動く、そのくらいやり込んでいる。
一方のオートといえば、それはもうノリノリ! リズムを覚え合いの手を入れたり、譜面が来ない隙を狙っては踊り。そうこうしている間に1曲目は無事終了。初見なので、当然勝ったのはアヤカ――なのだが、隣の視覚的にも聴覚的にも煩いオートに、メンタル的にはかなり疲れているようだった。
「アヤカちゃんが好きな曲って面白い歌詞だね! 曲調も好きだなー! アヤカちゃんは踊りたくならない!?」
「は?」
本日二回目の、は? である。深く追求はしなかったが、次の選曲を促せば意外な事に先程と同じ曲が良いとオートは言う。
何も、気に入ったからだけで選んだわけでない。2回目ともなればオートもリズムは大体掴んだし、元より優れた身体能力がゲームと相性が良かった。覚えた以上、負けない! というのがオートの作戦。
先程と同じ旋律が流れ出す。1度目とは一変、タッチパネルを押し、つまみを回す手は素早く、リズムから次の譜面を予測出来た。合いの手も先程より精度が高まり、アッソーレだのハードッコイだのを歌詞の間にねじ込んでいく(ちなみに曲の歌詞との調和は全くと言っていいほどとれていない)。
2曲目にして勝者、オート・チューン! 隣で騒ぐオートに段々と気を削がれ、アヤカは少しミスが目立っていた。フルコン余裕のはずなのに……と悔しそうにオートを睨みつける。その視線ににぱっと笑い返すオート。
「えっへへー、アヤカちゃんが好きな曲プレイするたびにわたいの事思い出して笑顔になってくれたらいいなー!」
だなんて、謎の余裕を見せられたらアヤカも負けてられないと妙に肩肘に気合いが入る。
運命の3曲目。もちろん選ばれたアヤカ最押しの曲で――。
「わたい、1Miss・3Good! あとほぼExcellent!! ふふーん! アヤカちゃんは?」
「……2Miss・2Bad……ExcellentとGreatが半分づつくらい……」
「と、言う事は~~?」
とてとてとアヤカの真横に来て、屈託のない笑顔を向ける。悪意も何もないのに、圧がすごい。
「ううう。ま、まいりましたー!」
ばちっ、と一発。オートがアヤカにでこぴんをして、この勝負はオートの勝利!
初見相手にまさか負けるとは思わず、落ち込むアヤカにとって、この曲は1番好きで1番嫌いな曲になっただろう。
大成功
🔵🔵🔵
ライラ・サンタマリア
ローウェンさん(f09657)と
●
はぁ、めろ……ほり……
眼がちかちかするパネルも、心臓を揺らす様な爆音にも生憎と不慣れなもので
ば、場違いだったかしら
気合いで何とかしましょう
もし、そこの貴女
協力プレイというのは可能でして?
わたくしが左半分を、彼に右半分をお頼みする感じでやりたいの
お強いのでしょう?
ハンデですよ
選曲は聖歌とか無いんですの
似た様なのがある?
じゃあそれで良いわ、ぽちー
リズム感の自信はそこそこ
如何様なる物でも負けるのは悔しいですから
彼に伝わる様に音を拾って足でリズムを取ります
息を合わせて下さいね、早くても遅くてもダメよ
わたくしがこんなに可愛くお願いしたんです
叶えて下さるでしょう?
★てやっ
ローウェン・カーティス
ライラさん(f10091)と
己の住まう世界とは異なれど
存続の危機に瀕しているとあれば黙ってはいられますまい
黙ってはいられないんですけれども
ライラさん…ひょっとして我々、割と場違いな勝負に出てしまったのでは?
協力出来るのであれば
未だ可能性はあると見えますね
半分は私にお任せください
舞踏の心得はあります故、リズム感は…
これが譜面…ですか…?
選曲はお任せしましょう
反射神経でなんとかします。もう
息を一つに…逸らず、繊細に
然し、緩慢であってはならない…難儀なものです
ですが、やるからには勝ちに行かねば
可愛らしいリクエストのひとつ、叶えられなくては私の矜持も廃るというものですからね
★あっ、すごくやり辛いです…
●
「己の住まう世界とは異なれど、存続の危機に瀕しているとあれば黙ってはいられますまい。黙ってはいられないんですけれども……」
ローウェン・カーティス(ピースメイカー・f09657)は横目で深い溜息を吐く修道女を見た。聴宮を抑え、うんうん唸っている。
パネルから流れるチラチラチカチカした譜面、心臓を揺らすような爆音。どちらもライラ・サンタマリア(ライアーライアー・f10091)には不慣れなもの。プレイ後しばらくは耳がおかしくなりそう、だなんて思いながらめろほりに向き合う。
「ライラさん……ひょっとして我々、割と場違いな勝負に出てしまったのでは?」
「そ、そうかしら……だとしても気合いで何とかしましょう」
来てしまったものは仕方ない。それに、敵は強くないというし万が一負けても死ぬことはないだろう。それに、こちらは二人。数の利を活かしたプレイが許されるなら、勝機もあるだろうとライラはアヤカに交渉を持ちかけた。
「もし、そこの貴女。協力プレイというのは可能でして? わたくしが左半分を、彼に右半分をお頼みする感じでやりたいの」
「え~、どうしよっかなぁ」
渋るアヤカに対して、にこりと笑いながら言い放つライラ。
「お強いのでしょう? ハンデですよ」
褒められればすぐ図に乗ってしまうタイプらしく、いい気分になったアヤカはドヤ顔で協力プレイを快諾した。この女、扱いやすいなと二人は内心思う。こちらとしては好都合なので良しとして。
「曲はそっちが決めていいから、なんでも来なさいよ。あ、でもそっちは二人なんだから2プレイ分として数えるから、実質1回勝負ね!」
「結構。ライラさん、選曲はお任せしましょう。何が来ても反射神経で何とかします」
もう、半ばヤケクソとか言ってはいけない。真面目に世界を救うためのゲームなのだ。やるからには本気(ただし生死は掛けない)を見せようと決心するローウェン。
「そうですわね、聖歌とか無いんですの」
ソレっぽいものなら、とアヤカの方で曲を選ぶと、デモ画面で流れる曲をじっくり聞くライラ。本来の聖歌とは違うのだが、雰囲気はそこそこ。
「舞踏の心得はあります故、リズム感なら……これが譜面、ですか……?」
ローウェンの知る所謂普通の楽譜とは全く違う、ゲーム特有の譜面に少々困惑。よく観察し、脳内イメージで補完した。あとは実際やってみなければ分からない。
「――じゃあこれでいいわ」
曲が決まった一瞬、曇った表情を見せたアヤカの表情を目敏く捉えた二人は内心微笑んだ。この勝負、イケるかも!
デモ画面を見終えてからぽちー、とパネルをタッチすれば、カウントダウンの後流れ出すイントロ。
まだ譜面が現れないうちから、ライラは靴を鳴らしだす。
「息を合わせて下さいね、早くても遅くてもダメよ。わたくしがこんなに可愛くお願いしたんです、叶えて下さるでしょう?」
「ふむ。可愛らしいリクエストのひとつ、叶えられなくては私の矜持も廃るというものですからね。やるからには勝ちに行かねば」
彼女に負ける気は微塵もないのだ、ならば自分も楽しくその大船に乗ろうと、ローウェンはフッと笑みを返す。
――静かに、段々と流れ出す譜面。先程のデモ画面で大体のリズムは掴んだ。元々、ライラの場合は聖歌に慣れている。ここの次はああいう流れ……というものが予測できるし、一度聞けば十分な程度にはリズム感にも自信がある。
右半分を担当するローウェンも、息を一つに焦らず逸らず繊細にタッチとつまみを操作する。ライラが足でリズムを取り、メトロノームの役割を果たすので、あとは外れないように画面に集中すればいい。
タンタンタン、と規則的に刻まれる足音に合わせ、ローウェンは波打つ譜面も体力をガッツリ持っていかれる連打も冷静にこなしていく。半分でも中々きつい、これを本来は左右一人でやるのかと考えると、果たして本当に楽しいのか……? と、少し疑問に思わないでもなかった。
ライラの方は鼻歌混じりに小さく首を振り、初めてとは思えない指捌きで曲を奏でる。たまにくるつまみにワンテンポ遅れがちになるが、それでもMissは出さない。左半分はほぼ完璧、右半分もコンボは繋がっている状態で曲は終了。
「わたくし達は0Miss・8Goodですわね。そちらは如何かしら」
「……1Miss・6Good……」
「私達の方がスコアは上ですね。このタッチした数? も、此方の方が多いですし」
アヤカは言い訳がましく、萌え袖を目元に当て「ふぇぇ」と泣き言。
「だってぇ、この曲あんまやりこんでなくてぇ――」
「問答無用、てやっ!」
「あっ……すごく、やり辛いです……」
メイスで容赦なく頭を叩くライラ。頭から★が飛び出して見えたのは果たして気のせいか。若干可哀想になりながらも、ローウェンは手刀でアヤカの後頭部をチョップした。
「聖歌なんて大嫌い!! もっとノリの良い曲にしてーー!」
アヤカの悲しい叫びがフロアに木霊した。きっともう、ジャンル『アンセム』は二度と選択される事はない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
花菱・サヤ
音ゲーッスか。あたしは専らアクションッスからやった事ねぇッスけど、挑戦してみるッス!
アヤカさんはこいつをやり込んでるんスね。それじゃ、胸を借りるッス。でも、やるからにゃぁ全力ッスよ
曲はハードコアが好きなんでこいつでいいッスか?
はっ!とぉっ!あっ、またミスった!かーっ!難しいッス。押したと思ったら絶妙に遅れてるッス。もうちょっとよく見ねぇとダメッスね
アクションゲーなら見切りで相手の動きを覚えられるんスけど
次はもうちょい上手くやれる気がするんで同じ曲でやるッス
1回目よりは上手くできる筈ッス!
音ゲーって初めてッスけど、楽しいッスね!乗ってきたッス!
それはそれとして、ゲームが終わったらサクッと殴るッス
リリー・ベネット
オートさん(f04855)と戦わせて頂きます。
私は直接叩かず、アントワネットとフランソワーズにお願いします。
私が自分で動くよりも良い動きができるはずです。
アントワネット、フランソワーズ。……オートさんも、いきますよ。
今回は譜面の練習をしてきました。
貴女はプロでしょうがこれの曲は初見。しかもオートさんの自作。
経験値の差をカバーします。
アントワネットとフランソワーズの経験は浅いですが、誰よりも《あのオートさんと》めろほりをしてきたのは彼女達ですから……。
負けられません。
オートさん宜しくお願いします。踊り出してもかまいませんよ。
あとは私達に任せてください。
まいったの声も響かせてあげます。
オート・チューン
またきたよー!
すっごく楽しいからリリーちゃん(リリー・ベネット(f00101)誘ってきたのー!
めろほりのこと勉強してきたんだよ!じゃじゃん!(USBを掲げる)
なんと自作の譜面で遊べるんだって!リリーちゃんにも覚えて貰ったし!皆で踊りたくなっちゃうぞー!
(曲ではなくオートの合いの手に合わせる箇所があるとっても楽しい譜面です)
ちょっと狭いけどパネルとつまみを回すのでリリーちゃんと作業分担
フランソワーズとアントワネットが一緒にやってくれるよ!腕が6本とか絶対つよいから!
楽しくなっちゃって途中でわたいが合いの手と踊る担当になっても大丈夫だしねー!おどるぞー!!
また、まいったしてもらうよー
●
広い戦場で知り合いに出会う等、とてもツイている。先に転送されていたリリー・ベネット(人形技師・f00101)とオートに、花菱・サヤ(花残・f02057)は声を掛けた。
「あんれぇ、リリーさんにオートさんじゃあないッスか」
「花菱さん、あなたも此方にいらしてたのですね」
「あーっ! サヤちゃんだ!! やっほぅ!」
女三人、オブリビオン・アヤカを無視して姦しく騒ぐ。やれ専らアクションばかりだの、今回は譜面を練習してきただのと話は尽きない。輪に入れずぽつんと取り残されたアヤカは顔を真っ赤にしてぷるぷる震える。それをちらりと横目で見たオートが元気よく叫んだ。
「アヤカちゃーん、またきたよー! すっごく楽しいからリリーちゃん誘ってきたのー!」
「ゲーッ!!? アンタまた来たの!? 嘘でしょ、また合いの手を……ソーシマショ、ッタラソーシマショ……ううう」
初戦のトラウマが蘇り、やる前からげんなりするアヤカ。その様子を不思議そうに見るサヤとリリー。
「オートさん、一体何を……」
「アヤカさんはこいつをやり込んでるんスね。それじゃ、胸を借りるッス。でも、やるからにゃぁ全力。こっちには経験者もいるッスからね!」
相手は経験者どころかやりこみ勢なのだが、それをも打ち倒した猛者であるオート。しかも今回はリリーと共に秘策を用意していた。ごそごそと鞄からUSBを取り出し――。
「じゃじゃん! めろほりの勉強してきたんだよ! 自作の譜面で遊べるんだって~、だからリリーちゃんにも覚えて貰ったし」
「は、はぁ~~!? 確かにその機能あるけど! ちょっと、こういうのアリなの!? ズルじゃない!?」
巨大コンピューターもとい筐体は合成音声で一言「OKです」と返した。無慈悲。どうせまた精神的に削られるのなら、先に弱そうな奴から倒そうと、アヤカはまずサヤを対戦相手に指名した。
リリー達の動きを見てイメトレできたなら、と期待していただけに少し驚くも、わざわざこの戦場を選んだ以上こちらも勝つ気で来ている。堂々と筐体に立ち、説明を受けるサヤ。ジャンルを問わず元々ゲームを好む者なら直感的に分かるのだろう、すんなりと飲みこめたようでくるくるとつまみを回し選曲画面に移る。
「ハードコアが好きなんでこいつでいいッスか?」
「あら、それ難しいわよ。アンタに出来るかしらね」
「なぁに一度目でダメなら二度目で挽回すれば良い話ッスよ」
連続で同じ曲。ヤバイ、この流れは最初と同じ……。アヤカは嫌な予感に冷や汗が流れたが、大人しく選ばれた曲にGOサインを出した。
流れ出す重低音に乗せ、力強い男性ボーカルのシャウト。音の奔流が一気に押し寄せ、確かに初心者には厳しい。
「はっ! とぉっ! かーっ難しいッス」
押したと思ったら絶妙に遅れていたり、隣の判定ライン扱いをされていたり。見えているのにズレが生まれるのは単純に不慣れのせいか。しかし、サヤが持つ武器――アクションゲームで鍛えた反射神経と咄嗟の判断力でなんとかライフを保ったまま曲は終了。結果はアヤカの勝利、とはいえ難易度が高いと本人の口から言った通り、得意ではない様でスコアは低い。
「それじゃあ、次はもうちょい上手くやれる気がするんで同じ曲をやるッス」
1回目よりは上手くできる筈ッス! と話すサヤは、勝負というよりゲームそのものを楽しんでいる様だった。実はリズムゲームの才能もあるのかもしれない。
「サヤちゃんがんばれー!」
「大丈夫です、二度目ともなればあなたなら出来ますよ」
オートとリリーの声援を受け、腕で大きく丸を作る。やってやるッスの合図に、二人も同じく丸を返した。曲の掴みはばっちり、ならばあとは小細工なしの全力勝負! サビ前の僅かなタメの間に、譜面が来る位置に指を配置する。あとは流れてきたものを捌くだけ!
――勝負あり。勝ったのは……オブリビオン、アヤカ・ウザカワ!
「流石に初心者には難しかったようね。ふふ、くらえー!」
アヤカの笑顔と、挑発的な萌え袖ブラブラ、自分を見ろという圧倒的オーラでサヤを封じ込めようとするが……。忘れてはいけない、サヤはアクションゲーム畑の人間だという事を。華麗に回避しながら緩慢な動きのアヤカにダッシュで近寄り、ぽんっと殴った。音は軽いが、相当重い一撃だったようで、アヤカは頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。
「ええ~~! 私が勝ったのになんでぇ~!?」
「勝った方しか攻撃が通らないなんてルールはねぇッス」
ゲームに力を入れ過ぎたアヤカに、アクションをする程の体力はなく。納得いかないとう~う~唸りながら、次の対戦相手を指名した。
●
「はぁ、じゃあ次はアンタ――」
指名しようとリリーに向けられた指に、オートが割り込む。
「わたいもやるのー! フランソワーズとアントワネットと一緒にやるよー!!」
「えぇ……」
最早文句を言う元気もないのか、グッタリするアヤカに対し、ニコニコと微笑む二人と二体。しかも今回はオートの自作譜面。経験で勝るアヤカでも、初見となればMissのひとつふたつは出てしまう。そしてこの流れで行くと……。
「3VS1って事!?」
「違うよ! リリーちゃんは操作役だから4VS1!」
「余計悪いわよ!! そんなん1回勝負しかしないからね!」
アヤカの喚きを訂正して、リリーがスロットにUSBを差し込む。ロード画面に切り替わり、皆で練習した譜面を選んだ。
「練習通り、パネルはわたいがやるからアンソワーズはつまみね!」
「オートさん、混ざってます。アントワネットとフランソワーズです」
冷静にツッコミを入れつつ、リリーは二体の人形をそれぞれ左右に配置。つまみをつかむ人形の姿は、柱にひっついている様で可愛い。左右に人形・中央にオート・少し背伸びしながら背後から覗くリリーの布陣が完成したら、ミュージック・スタート!
短時間ながらも一生懸命練習してきたのは、セツナ系のイントロに凛々しい歌声が入ったスピード・ソフトロック。息継ぎや歌詞の隙間を狙い、オートがすかさず合いの手を入れる!
「ハイハイハイハイッ! んっハーイ!」
「う、うるさ……」
「すみません、うちのオートさんが……」
「いつもこうなんで許して欲しいッス」
「アンタら話しかけてこヌワーッこの譜面明らかに一人向けじゃないでしょ!?」
練習はした。ただし、それはオートと二体(withリリー)の話。この自作譜面、どう頑張っても二本の腕で追いきれるものではない。それこそ、腕が6本は必要だ。
「フランソワーズ、もう少し遅めでExcellent判定です。アントワネットはその調子ですよ」
『あのオート』と一緒にめろほりをしてきた二体だ、息もぴったり合っている。サビに入る直前、ヒートアップしたオートは背後のリリーにタッチパネルをバトンタッチ。
「わたい踊る~! ッソーイ!」
曲に合わせ腕を上下に、脚は軽くステップを踏んでジャンプに手拍子。段々とアヤカの筐体に近づいてきて、チラチラ目につく耳につく。アヤカはまたかと心を無にしたいところだが、生憎と初見の譜面の方に気力を殆ど持って行かれて雑音を無視できない。色んな音が混ざって譜面を押した音なのかオートの手拍子なのか大混乱。
リリーはといえば、練習の時に散々見た光景であるので全く意に介さず淡々と譜面通りにパネルをタッチしていく。サビの1番盛り上がるところが最も難しい……というか一人では絶対不可能な箇所も、相棒である二体と一緒なら簡単にこなす事が出来る。単純に捌く量が1/3なのもあるが、手先の器用さ・正確さはリリーの武器なのだから。
ラストに向かい長押しが入る部分は、つまみ2つとタッチパネルの合わせ技。アヤカは何としてもコンボを途切れさせまいと肘まで使ってプレイするが流石に無理がある。
「……ふぇぇ」
スコア表示後、怯えるアヤカに迫る猟兵達。筐体の明滅が陰影を濃くし、にんまり笑顔が恐怖を増幅させる。
「私達の勝利のようですね」
「もう一回殴れるドンってやつッスか!?」
「ふっふふー、まいったターイム!」
ぽこぽこぽこぽこっ!!
初心者に負けまくったアヤカのメンタルは、もうボコボコ。その場に崩れ落ちメソメソとマジ泣きし出した。これ以上の戦闘続行は不可能だろう。
めろほり、ひょっとしたら恐ろしいトラウマ製造音ゲーだったのかもしれない。めでたしめでたし!(?)
大成功
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