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バトルオブフラワーズ④〜黄色といえばもちろんアレです!

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

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「えとえと。みなさん、カレーはお好きですか?」

 こめかみに指をあて、ややひきつった微笑で、グリモア猟兵ティアラ・パリュールは呼びかけた。
 その手の上に乗っているフクロウ型ガジェットのフクちゃんも、心なしか微妙な表情に見える。

「みなさんご存知の通り、今キマイラフューチャーではオブリビオンとの大規模戦闘……戦争が起こっています。オブリビオン・フォーミュラ『ドン・フリーダム』がキマイラフューチャーの根幹、『システム・フラワーズ』を占領しちゃってるんです!」

 システム・フラワーズを完全に掌握されてしまうと、キマイラフューチャーは崩壊してしまう。それを防ぐためには、敵首魁ドン・フリーダムを倒さねばならない。
 しかしシステム・フラワーズは、現在6つの『ザ・ステージ』によって守られているため、ドン・フリーダムを倒す為にはまずそちらを攻略し、ザ・ステージを奪還する必要があるのだ。

「ザ・ステージには、それぞれ特殊な戦闘ルールがあるんです。今回、みなさんに攻略をお願いするのはここ」

 ティアラは広げられた戦略マップの一箇所を指さす。

「このステージには、『オオグイフードバトル』という特殊ルールがあるんです。具体的にはその……敵オブリビオン、『マルチプル・アースムーバー』 は、まわりに用意されたカレーを食べ続ける事で、ものすごく強くなっているんですよ。でも、この特殊ルールが適用されるのは、オブリビオンだけではありません。みなさんが、オブリビオン以上にたくさんのカレーを食べる事ができたら、敵オブリビオンを圧倒する事だってできると思います!」

 用意されたカレーは一種類ではない。
 世界各地で供されている多種多様のカレーのみならず、カレー風味に味付けされた料理やカレーせんべいなどのお菓子。果てにはカレー風味の果物などというイロモノまで、ありとあらゆるカレー関連の料理が所狭しと並べられているのだ。

「……みなさん、カレーはお好きですか? 嫌いだっていう人は少ないとは思うんですけど、マルチプル・アースムーバーは身体まで黄色……カレーの申し子と言っても過言じゃないです! 圧倒するのは難しいと思いますけど、なんとか、みなさんの力で、カレー……じゃなくって、マルチプル・アースムーバーを倒してください!」

 もう一つだけ注意があります。とティアラは続ける。

「ときどき、通常では考えられないくらい、とっても辛いカレー料理が混ざっているみたいなんです。そういった料理への対策を、考えておいた方がいいかもしれません。調味料やドリンクの持ち込みは禁止されてませんから、何か混ぜたり、飲み物でごまかしたりもできますけど……もちろん、その分お腹は膨れちゃいますから、気を付けてくださいね」

 ティアラは最後に、いつもそうするように猟兵たちを見回し、笑顔でぺこりとお辞儀をした。

「それじゃ、みなさん。今回もよろしくお願いしますね!」

 その手には、ティアラの優しさ――胃薬が、用意されているのだった。


第六封筒
 当シナリオに目を留めて頂きありがとうございます。
 第六封筒と申します。
 今回は『バトルオブフラワーズ』関連の戦争シナリオです。

 舞台となるザ・ステージでは、OPでの説明通り『オオグイフードバトル』という特殊ルールが適用されます。
 カレーを沢山食べられる理由、カレーにかける熱意や、たくさん食べるための工夫などをプレイングには盛り込んで頂けるといいかと思います。
 また、恋人同士で料理を食べさせ合ったりといった方法もアリかもしれません。それで本当に大食いができるのかどうかはわかりませんが。

 そうそう。何を食べるかも選択可能ですのでよろしければ。

 敵オブリビオンはブルドーザーのようにがーっと料理を集めて、飲み物であるかのようにカレーを消費していく強敵です。

 それでは皆様の熱いプレイング、お待ちしております!
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第1章 ボス戦 『マルチプル・アースムーバー』

POW   :    タイヘン キケンデスノデ チカヅカナイデクダサイ
【放り投げた瓦礫や、ドリルの一撃など】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を塗りつぶし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    シャリョウガ トオリマス ゴチュウイクダサイ
【ブルドーザー形態による猛烈突進攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    ゴメイワクヲ オカケシテオリマス
【排気マフラー】から【環境に厳しい有害物質たっぷりの黒煙】を放ち、【強烈な粘膜刺激と視界の悪化】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:おおゆき

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠グァンデ・アォです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

久条・逢魔
カレーフードファイトという事で挑戦!カレーは好きだし、実は大食いなので自信満々であるが、実は甘党。

中辛以上は水無しでは食べられない!
だが、味を薄めるのは気がひけるからこそ、ここに甘いものを追加する!!そう、蜂蜜だ!

蜂蜜ならばからさを抑えられる、はず!
それでも辛いならば、飲み物に牛乳だ!
ふはは!!これで完璧だ!勝った!完!(辛さとか雰囲気にやられて変なテンションです)

お、おお!重機なフードファイター……?!え、あれありなの??食べてるって言えるの?
……え、ありなのね、そうなのね……

(アドリブOKです)



「ふはは! カレーならまかせろ!」

 カレーイエロー……もとい、オブリビオンたるマルチプル・アースムーバーに、久条・逢魔が立ち向かう!
 逢魔は小手調べとばかり、手近にあった皿を手に取った。
 皿の上に湯気を立てる、炊き立ての白いライス。その上から、やや黒っぽいとろみのあるカレーがかかっている。
 添えられた銀色のスプーンが宙を舞い、くるくると回転して下りてくるのをパシッと空中で掴み取り。

「いただきます!」

 一皿目のカレーに匙を入れた。
 ……美味い。
 これはビーフカレーだ。それもおそらくスネ肉を使った物。
 十分な時間をかけて煮込まれたスネ肉は、繊維の歯ごたえを残しつつも、噛むごとにホロホロとほどけて爆発的なうま味を口中に弾けさせる。
 その肉のうま味を受け止めるのは、玉葱の甘味。飴色になるまで、じっくり炒めた玉葱を使っているに違いなかった。
 それをまとめる、とろみのあるソース。カレーを咀嚼するたびにスパイスの複雑な香りが口中を満たし、徐々に適度な辛さも立ち上ってくる。そして飲み込めば余韻を残して徐々に消えていく。
 大食い勝負に使うには勿体ないくらいの、極上のカレーだ。
 だが今は勝負の途中。逢魔はカレーを味わうのを忘れないようにしつつも、かきこむようにして一皿目を軽々と平らげた。秒殺だ!
 調子の乗った逢魔は、すぐさま二皿、三皿と皿を積み上げる。
 しかし、次の皿に手を伸ばし、一口食べたところで、逢魔が手を止めた。
 赤系の色をしたそれは、トマトをベースにしたチキンカレーである。
 もちろん、こちらもホテルのレストランで供されていてもおかしくないような、極上の一品。
 だが……

「くっ、辛い……!?」

 ――――そう。
 その一皿は、激辛というほどではないが、多めに唐辛子が投入されたオトナの辛口カレーだったのである。
 実は逢魔は、カレーは好きだし、大食いではあるのだが、超の付く甘党。本来的に、辛い物は得意ではない。
 とはいえ、辛いカレーが含まれているのは予測されていた事。
 では、どうするのか。

「ならば、これだぁ~!」

 取り出したのは、ボトルに入った黄金色のとろりとした液状の物体。
 逢魔は躊躇なく蓋をあけると、カレーの上にその液体を振りかける。
 そして再びスプーンを手にすると、あっというまに辛口チキンカレーを片付けたのだった。

「……ふっふっふ。辛いカレーは水無しでは食べられない! だが、極上カレーの味を薄めるのはもったいない! そこでこの蜂蜜だ! 甘味を追加して、辛みを抑えたんだ!」

 そしてさらに、取り出した水筒からコップに注いだ牛乳を一口。

「ふはは!! これで完璧だ! ……食える、これならいくらでもカレーを食べられるぜ!」

 カレーの熱さとスパイスにやられたのか、妙なテンションで盛り上がる逢魔。
 しかしその向こうでは、逢魔の様子を観察していたため動きが鈍っていたマルチプル・アースムーバーも動き始めていた。

「ピー シャリョウガ トオリマス ゴチュウイクダサイ」

 ギ、ギギィー! ガー、ガーガー。
 マルチプル・アースムーバーは大音量を立てつつブルドーザー形態に変形し、カレーを一箇所に集めていく!
 そして再び人型に戻り、集めたカレーを、食べるというより吸い込む……食べ物というより、飲み物として飲む。そんな風に、大量のカレーを消費していくのだった。

「お、おお! 重機なフードファイター、だと……え、あれ、ありなの?? 食べてるって言えるの!?」

 逢魔は疑問の声を上げるが、実際にその大食いによりマルチプル・アースムーバーは強化されていく。
 ということは、『オオグイフードバトル』のルールに違反しているわけではないという証拠だった。

「……え、ありなのね、そうなのね……。そもそも、食べたものってどうしてるの!?」

 一瞬、呆然として手を止めた逢魔。
 だがしかし、これはカレー好きとして矜持を賭けた、譲れない戦い。
 再びスプーンと、蜂蜜と、牛乳……三つの神器を手に、敢然とマルチプル・アースムーバーと、カレーに立ち向かうのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミリィ・ライジング
ビリー・ライジング(f05930)と共に行動。

カレーはお兄ちゃんと好みが全然違うから、
いつもレトルトで済ませてるんだよね。

食べるカレーの好みは『甘口、芋アリ、豚肉』
「お兄ちゃん! 私はこれ位が好みなの!」

敵オブリビオンにも負けない位食べるけど、一番のライバルはお兄ちゃん。
兄妹で競い合って、その勢いでオブリビオンが食べる量も上回るよ!

とても辛いカレー料理を食べた時は持ち込んだホットミルクを飲み、辛味を流し込む。
辛味にも強いお兄ちゃんのフォローにも回るよ。
「……ッ!? ンーーッ!?」
「お兄ちゃん、ホットミルクだよ」

オブリビオン以上のカレーを食べきったら、UCで攻撃。
「一気に行くよ。お兄ちゃん!」


ビリー・ライジング
ミリィ・ライジング(f05963)と共に行動。

カレーか、あまり家で食べる機会がないのは好みの違い。
ここで思いっきり俺好みのカレーを食べよう。

食べるカレーの好みは『辛口、芋ナシ、牛肉』
「ブラックコーヒーも飲めない癖に……だからお前は子供舌なんだよ」

マイペースに食べたいところだが、これは大食いバトル。
ミリィもライバルと認識して、オブリビオンを抜き去る。

とても辛いカレー料理を食べた時は持ってきた烏龍茶を飲み、口内の油っぽさを洗い流す。
この辛さ……耐えられない程ではないが、キツイ辛さだ……!
「……辛ぇッ!」
「ミリィ、飲め。口の中がサッパリする」

オブリビオン以上のカレーを食べきった時はUCで攻撃する。



 続けて戦場へと送り出されてやって来たのは二人組。
 長いプラチナブロンドに薄い赤の瞳のミリィ・ライジングと、短い金髪に濃い赤の瞳のビリー・ライジング。双子の兄妹だった。
 二人共、もちろんカレーは嫌いではないのだが、普段家で食べる事は少ない。食べるとしても、レトルトで済ませる事がほとんどだ。
 それは、主に二人の好みの違いが理由だったが、今日、この戦場では各々好みのカレーを選んで食べることができる。

「これだ!」「これだよ!」

 二人は素早く目星をつけてそれぞれ選んだ一皿を手に取ると、揃って声を上げ、お互いのカレーを見せ合った。
 ミリィが選んだのはとろみがあって黄色もマイルドな、いわゆる家庭のカレーに近いもの。大きめカットの豚肉やじゃがいも、にんじんが、形を残してゴロゴロ入っている。
 一方のビリーが選んだのは、対照的にさらりとして赤黒く、上に細切りにされた唐辛子がトッピングされたいかにも辛そうなスパイスカレー。おそらくルーが使われていない粘度の低いソースに、形のある具は角切りされた牛肉のみという潔さ。
 スプーンを手にしたミリィとビリーは、背後でカレーを飲んでいるマルチプル・アースムーバーを尻目に、お互いに競うようにカレーを口に運ぶ。

「……そうそう、この味!」

 ミリィは片手を頬に当て、幸せそうな笑顔を浮かべる。
 ゴロゴロ入っている具材はしかし、煮込まれて十分に柔らかくなっていた。スプーンで割ったじゃがいもは口中で解け、他の具やライスと混然一体となりシンフォニーを奏でる。
 それはさながら、一つの宇宙というべきか。

「……美味い。やっぱり、カレーといえばこうだよな」

 ビリーも思った通りの、自分好みのカレーの味と、幸せそうなミリィに思わず頬を緩めた。
 一見シンプルにも見えるカレーだが、その味も香りも複雑だ。一見、具材は牛肉のみに見えるが、もちろんそうではない。玉葱、人参、セロリといった野菜が、幾層にも重ねられたスパイスと共に、舌の上で立体的に立ち上がってくるのだ。それに一瞬遅れてやってくる辛みは、その味を決して損なわず、むしろ引き立てていた。
 全体としてはまとまっていながら、スパイスや具がそれぞれに自己主張をしている。それは例えるなら、完成された舞台劇のようであった。

「ミリィ、これが本当のカレーだ。食べてみるか」
「お兄ちゃんこそ、このカレーを食べてみてよ。すっごく美味しいんだから」
「やめとくよ。お前は子供舌だし、見るからに甘そうだよな?」
「違うよ、お兄ちゃん! 私はこれ位が好みなの!」
「ブラックコーヒーも飲めない癖に」

 発言の内容だけならば、それは喧嘩をしているようにも聞こえるかもしれない。
 しかしそれはお互いの事を良く知る双子同士の、愛情の籠ったじゃれ合いなのだった。
 二人は軽口を叩きながらも、競い合って極上のカレーに次々と手を伸ばした。
 あえてオブリビオンを敵とせず、兄妹でライバルとして競い合い、量を稼ぐ作戦なのだ。

 どのカレーもそれぞれの好みにあった素晴らしい味だったが、食べ進めていくうちついに大きな壁にぶつかった。
 ――――激辛カレーである。
「……ッ!? ンーーッ!?」
 『大当たり』をひいたミリィは、一気に三分の一程を食べた後、急激の押し寄せた辛みに目を白黒させつつ、持参したホットミルクで激辛カレーを胃に流し込んでいく。
「当りか。貸せ!」
 それを見たビリーが、ミリィの手にした皿を奪い取り、一口。
 元々辛い物には強いビリーには、耐えられない程ではない。耐えられないほどではないが、キツイ辛さだ。
 ビリーはここへやってきて初めて、持参した烏龍茶の封印を解いた。
 口内を洗い、残りのカレーを一気にかきこむ。
「……辛ぇッ!」
 激辛カレーを完食したビリーが、咆哮のような一言を発する。
「お兄ちゃん、ホットミルクだよ」
 それを見ていたミリィが慌てて差し出したホットミルクを、ビリーは奪い取るようにして勢いのまま飲み下し、ほっと人心地付く。
「ミリィ、飲め。口の中がサッパリする」
 そして、まだ辛さが残っているのだろう。少し口をあけて舌先を出しているミリィに、ビリーは烏龍茶を差し出すのだった。

 そして、好機は来た。
 マルチプル・アースムーバーのカレーを食べる動きが止まったのだ。
 どろどろしたカレーが詰まったのか、否か。じゃばじゃばと水で各部の洗浄を始めていた。
「一気に行くよ。お兄ちゃん!」
 スプーンの動きが加速して、皿に残っていたカレーを二人同時に食べ終わる。
 お互いにかなりの量のカレーを食べていた。
 それでも一人一人では、食べた量はマルチプル・アースムーバーには叶わなかっただろう。
 しかし、二人ならば――――総量は、オブリビオンの食べた量にも匹敵する!
『天地万物生滅盛衰、陰陽五行相生相剋……』
 ミリィの詠唱と共に、陽の五行を描いた霊符が、各部洗浄中のマルチプル・アースムーバーに命中する。
「タイヘン キケンデスノデ チカヅカナイデクダサイ」
 攻撃を察知したマルチプル・アースムーバーは、洗浄を中止し、カレーを手に二人へとドリルを向けた。
『木よ土よ、火と金なりて、力なれ。金を溶かせど、刀身果てず!』
 ビリーが、カレーによって強化された脚力で疾風のごとく前に飛び出す。
 突進するマルチプル・アースムーバーとビリーが交差し、ビリーの構えた炎を纏う日本刀がオブリビオンの巨体を捉え。
『……混沌の太極に飲まれて、破滅せよ!』
 それとほぼ同時、ミリィより陰の五行を描いた霊符が放たれ、双子の合体攻撃がマルチプル・アースムーバーの巨体を吹き飛ばした!
 そのダメージは小さくない。
 だがカレーと吐き出した黒煙が舞う中、マルチプル・アースムーバーは反撃を期し、再びカレーを手にするのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紫崎・宗田
【狼豚】で参加
激辛カレーや敵の妨害は俺が担当

俺そもそも激辛平気だしな
味わかんねぇし好きではねぇが

まぁ流石に50倍以上の激辛があったら
蜂蜜かミルクくらいは加えさせてもらうが

激辛による衝撃は【火炎耐性、激痛耐性】で対処
諒太ほどは無理でも
元々普通の成人男性の倍以上は余裕で食えるのを活かして
後は気合いで大食い
炎龍~貫~の龍形態、クオンに敵の周囲を飛び回らせ
気を散らせた隙に敵の周囲のカレーも奪い諒太に

カレーは風邪予防や脂肪燃焼にも効果的だからな
筋トレには都合がいいんだぜ?

おっと、妨害はさせねぇよ
【指定UC】+【怪力+衝撃波での吹き飛ばしカウンター】で
敵の攻撃は阻害
動きを止めることで諒太に攻撃の隙を与える


金子・諒太
【狼豚】で参加

大食いバトル?
好きなだけ、食っていいの?

やったぁ、これで僕の食費浮くな!
へへ、自覚はしてるし
激辛があったら、宗田、よろしくな

僕、元々めちゃくちゃ大食いだから
なんでももりもり食えちゃうよ
カレーは飲み物!だよな!
少し、持って帰っちゃ、だめ?

僕は、とにかく量を消費することを優先
【指定UC】の発動で
どんどん蓄えていく

激辛も、別に苦手なわけじゃないから
とりあえず片っ端から食って
これ辛いなって思ったら、それは宗田に渡すよ

攻撃可能になったら
UC効果+ステージルールの攻撃力で
体を急激に肥大化
でっかい大玉のように変化

おりゃー、くらえー、超ぽっちゃりアターック!
とんでけー!(全力体当たり)



 マルチプル・アースムーバーとの対決も佳境。
 特殊ルールにより発生した強大な力と力がぶつかり合った事により、地形も当初とは大きく変わっていた。
 すり鉢状になったステージの上を、マルチプル・アースムーバーは再配置されたカレーを飲みながら整地していくが、それでも追い付かないほどだ。 

「へえ。ここが、大食いバトルの会場? 好きなだけ、食っていいの?」

 戦場へと転送されてきた金子・諒太は、そのふくよかな身体を揺らしてカレーの山へと足を進める。

「おいおい、はしゃぎすぎて転ぶんじゃねぇぞ。……ああ、好きなだけ食っていいぜ」

 諒太の後ろからは、巨大な漆黒の槍を手に紫崎・宗田が続く。
 この戦場へやってきた以上、もちろん宗田もそれなりに大食いに自信はあったが、人には適材適所というものがある。
 ――――この戦場じゃ、諒太のユーベルコードが切り札だぜ。
 無論、自身もやれるだけの事はやるつもりだった。しかし宗田は内心で、諒太の力をいかに発揮させるかを主眼に作戦を考えていたのだ。

「やったぁ、これで僕の食費浮くな!」
「お前、今更食費なんて気にしてんのかよ?」

 振り返る諒太に、宗田は苦笑で返しつつ、油断なく敵を見据えていた。

「へへ、自覚はしてるし。激辛があったら、宗田、よろしくな」

 その言葉に宗田が頷く。
 諒太は視線だけで返事をすると、もうその目にはカレーしか映らなくなる。ユーベルコードを起動しつつ、カレーの山へと向かって突っ込んでいった。
 宗田も並の大人数人程度なら、向こうに回しても相手取る事が出来る程度に大食いではあるが、諒太のそれは文字通り桁が違う。
 ビーフカレー、ポークカレーと手を付けて、続けてチキンカレーやマトンカレーにも手を伸ばす。
 箸休めとばかりにカレーラーメンを一息に飲み干して、再びカレーライスへと。合間には、カレー味のチキンが入ったサラダなどにも手を伸ばしている。

「ウマい! あ、こっちもおいしい!」

 オブリビオンが整地を続けながらとは言え、それを上回るペースで諒太はカレー料理を食べ続けた。
 宗田もすでに数皿を完食しているが、こちらは並の大食いの範疇を上回るものではない。

「あ、これは、辛いやつだな。宗田!」

 諒太も辛い物が苦手ではないが、激辛を多量に食べると汗をかいて体力を消耗したり、胃がびっくりする危険もある。
 激辛に当たった時は、無理せず宗田に渡していくことになっていた。
 そして、カレーの辛さは痛みでもある。度を超えた激辛であれば、宗田は逆に【激痛耐性】によりそのダメージを抑えることが出来た。

「流石にこれが続くとキツい……か? お、いいもんがあったぜ」

 先人が戦場に残した、ボトル入りの蜂蜜やミルクといった物も利用し、宗田は地雷処理のごとく激辛カレーを食べ尽くしていくのだった。
 その一方では、形勢不利を悟ったマルチプル・アースムーバーが攻撃を開始せんと動き始める。

「ゴメイワクヲ オカケシテオリマス」

 ブルドーザー形態のまま、激しくエンジンを吹き上げた。轟音と共に、廃棄マフラーからは黒煙が吐き出される。
 これがただの排気ガスであれば、迷惑ではあるがそこまでの不利益は生じないかもしれない。だが、これはオブリビオンのユーベルコード攻撃!
 喰らっては、もはやカレーを食べ続ける事は難しいだろう。

「おっと、妨害はさせねぇよ。クオン、ちょっと遊んでやれ!」

 未だカレーしか目に映していない諒太を尻目に、カレー皿を放り投げてここでも宗田が動く。
 手にした漆黒の槍に刻まれた、赤い龍の文様が輝くと、その槍は赤い瞳を持つ黒龍へと姿を変えた。
 いや、姿を変えたというのは正確ではない。正しくは、戻った。こちらが本体なのだ。
 クオンと呼ばれた赤眼の黒龍は、マルチプル・アースムーバーの周囲を飛び回ると、その注意を引きつけて黒煙ではない他の攻撃方法を選択させる。
 同時に敵が飲み込もうとしていたカレーの幾つかを、先んじて回収してもいた。
 そこに宗田が駆け込む。クオンが再度槍の姿になって、宗田はそれを手にする。巨大な槍を頭上に振り上げて勢いをつけ、敵オブリビオンへ向けて振り下ろす。
 が、その一撃は外れた。
 ……いや、違う。そもそも、敵の身体を狙ったのではなかった。狙いはその足元!
 その怪力と、重い武器の利点を十分に理解し、地面を叩くことで再び地形が破壊したのだ。
  さらに、発生した衝撃波は、ブルドーザー形態のままであるにも関わらず、マルチプル・アースムーバーを転倒させる。
 敵はあれだけの巨体である以上、地面が平らであるのに越したことはないのだろう。その為に、わざわざカレーを食べる手を遅くしてまで整地にこだわっていたのだ。

「諒太、追加だぜ!」

 クオンが回収したカレーを、手の届く範囲のカレーが少なくなった諒太に渡す。

「カレーは飲み物! だよな!」

 勢いに乗ったままの諒太は、カレーを受け取ると一息に飲み干した。
 敵は転倒していて、そして大食いによる強化も十分。全てのお膳立ては整っていて、この好機を逃す手はない。

『デブだからって、なめると痛いぞ!』

 諒太の身体が何倍にも肥大化し、大玉のごとき姿へと変容する。これこそが、諒太のユーベルコード。戦闘中に食べた、諒太が食べ物と認識したものの量と質に応じ、全身の細胞を超肥大化させると同時に活性化させる。
 極上のカレー【質】を、信じられないほどの食欲で好きなだけ【量】喰い尽くした直後である以上、それはあらゆる悪を滅ぼす力となるだろう。

「おりゃー! くらえー、超ぽっちゃりアターック!」

 大玉はゆっくりと転がりだすと、一回転ごとに加速し。
 マルチプル・アースムーバーの所へと到達した頃には、とんでもないスピードになっている。

「とんでけー!」

 起き上る事が出来ていないマルチプル・アースムーバーは、横向きのままで人型へと変形し、苦し紛れにドリルを諒太へと向ける。
 避ける事は出来ないタイミングだ。常であればいくらユーベルコードを使っていても、痛撃は免れなかっただろう。
 だがしかし、特殊ルールにより超強化された今の諒太には通じない!
 激突したドリルの方が砕け散り、オブリビオンの巨体が交通事故にあったかのように弾き飛ばされて、数十メートル先の地面に叩きつけられたのだ。

 原型を止めないまでに破壊されたマルチプル・アースムーバーは、もう、動かなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月11日
宿敵 『マルチプル・アースムーバー』 を撃破!


挿絵イラスト