バトルオブフラワーズ⑤〜ゾンビも理系怪人も撃ち抜け!
●バトルオブフラワーズ
――キマイラフューチャーが、まっぷたつに割れました……!
テレビウムを通して伝えられた『システム・フラワーズ』からの救援依頼。
現在、「システム・フラワーズ」を占領しているのは、この世界のオブリビオン・フォーミュラ「ドン・フリーダム」だ。
この奪還の為、猟兵達は驚異の大戦争『バトルオブフラワーズ』へと身を投じることとなる。
グリモアベース。
金髪エルフのグリモア猟兵、セレイン・オランケット(エルフの聖者・f00242)が話を聞いてくれる猟兵を探していた。
「『ザ・ステージ』の戦場の1つ……、依頼をお願いしても構わないかしら?」
猟兵が話を聞く態勢に入ったことで、彼女は微笑みを浮かべて説明を始める。
まず、前提として、周囲を守る6つの『ザ・ステージ』を全てオブリビオンから取り戻さないと、目的地である『システム・フラワーズ』にたどり着くことはできない。
ザ・ステージにはそれぞれ「特殊な戦闘ルール」があり、たとえ敵を倒しても、敗北条件を満たすと謎の力で追い出され、強制敗北になってしまうのだという。
●ゲームキャラクター
この場所で適応されるのは、『ゲームキャラクター』という特殊ルール。
ゲームは、ゾンビが大量発生した北米の街から脱出するというガンシューティングだ。
「プレイヤーとして参加する皆には最初に、1丁のハンドガンと弾丸のセットを手渡されるわ」
ハンドガンの種類にこだわるなら、自由に選ぶことはできる。集団で参加は可能なので、チームを組むのも問題ない。
町の区画の隅にあるスタート地点から、対角線上の隅にあるゴールを目指す。距離はおよそ500m程度だ。
途中、襲い来るゾンビから攻撃を食らわぬよう、銃で倒しながら先に進むことになる。
基本、ゲームプレイヤーとしての武器は銃なので、銃以外の方法でゾンビにダメージは与えられない。
ゾンビはかみつき、爪、握力をいかしたつかみかかりなど、想像以上に強力だ。
いくら猟兵として強くとも、ゲームのプレイヤーとしての体力が0となればゲームオーバーになってしまうので注意したい。
だいたい、5回ダメージを受けたらアウトだと認識しておくとよい。
「道の上に散乱した物資、木箱、車などの障害物を使いつつ、進んでほしいの」
それらの中には、傷薬など体力回復アイテムが入っている場合がある。ただ、障害物がその分減るので、良し悪しだと覚えておきたい。
進行度50%を超えるとゾンビの数が増え、8割を超えると攻撃力、耐久力共に強化されたゾンビが出現する。
「ゲームとして、ボーナスもあるようね」
進行度75%地点で、無傷でかつ一定数のゾンビを倒していたならば、ボーナスとして事前に選んでいた希望の銃砲が一つ手に入る。
ゲームクリアーまでは使うことができるので、これを利用してサクサククリアーを目指してもよいだろう。
「進行度9割~9割5分のあたりに、オブリビオン『実験室トリオ』の集団が皆をゴールさせないようにと待ち構えているわ」
こちらは、ゲームの敵キャラクターではない為、手持ちの武器やユーベルコードでダメージを与えられる。なお、ゲーム内の武器でも応戦は可能だ。
ただ、ゾンビも同時に襲ってくる為、双方を相手取る必要がある。
ゴールを目指す為には、ゲームの腕と猟兵としての腕の両方が必要となるだろう。
一通り説明したセレインは少しだけ身震いして。
「私にはちょっとできない依頼ね……。ゾンビのあのビジュアルは、下手な他世界のゾンビのオブリビオンよりも怖いわ」
でも、皆ならきっとゴールしてくれる。
そう信じる彼女は、戦場となる『ザ・ステージ』へと参加メンバーを送り出すのである。
なちゅい
猟兵の皆様、こんにちは。なちゅいです。
当シナリオを目にしていただき、ありがとうございます。
キマイラフューチャーで戦争が開始されました。
できる限り、執筆本数を増やしてまいりますので、よろしくお願いいたします。
こちらのシナリオは、1章構成、『実験室トリオ』との集団戦。
ただし、特殊ルール『ゲームキャラクター』が適応される戦場です。
ゲーム内のデジタル世界のような場所が戦場です。
襲い来るゾンビに倒されることなく、ゴールまでたどり着くガンシューティングを行う必要があります。
ゴール直前で、『実験室トリオ』の集団がクリアーを邪魔してきますので、その討伐を願います。
最速のプレイングが届いてから、そちらが失効する前(3日以内)にリプレイを執筆いたしますが、戦争シナリオなので、10名程度の参加が確認できましたら、執筆を開始することもあります。
シナリオの運営状況はマイページ、またはツイッターでお知らせいたします。
それでは、行ってらっしゃいませ。
第1章 集団戦
『実験室トリオ』
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POW : フラスコ怪人・ウェポン
【フラスコ兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 電球怪人・ジェノサイド
【電球攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : バッテリー怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【バッテリー】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:まめのきなこ
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
セルマ・エンフィールド
ふむ……どことなく故郷を思い出しますね。
いきましょうか、ゲームとはいえ、この状況は苦手ではありません。
拳銃も苦手ではありませんが、せっかくですしボーナス狙いでいきましょう。希望は狙撃用のライフルで。
アイテムの補給は無し、隠れつつ忍び足で進んでゾンビに近づき、死角から暗殺するためにも障害物として利用しましょう。
障害物を利用した敵の奇襲は危険そうな場所を見切り、または第六感で察知、飛び出してきたところを零距離からの早撃ちで逆に仕留めます。
オブリビオンが出現したら【ペレグリーネ】を展開、そちらの機銃でオブリビオンは足止めを行い、私はゾンビをメインに手が空いたらオブリビオンを狙いましょう。
チコル・フワッフル
★アドリブ、他猟兵との絡みも歓迎!
ガンシューティングかぁ。ゲーセンで何回かやったことあるし、大丈夫かな?
銃と弾を受け取ると弾数を確認。
無駄に撃つと大変だしね。
【聞き耳】と【野生の勘】を使ってゾンビの位置を把握し、【目立たない】よう物陰に隠れながら移動。
確実に当てられるところまで来たら【スナイパー】でヘッドショットキル!
接近されたら【ジャンプ】で距離を取る。回復薬は怪我してたら取る!
ボーナスが貰えるならロケットランチャーがいいな。
ガンガン撃ち込むよ!
トリオが現れたら上着を脱ぎ捨て、【シーブズ・ギャンビット】で攻撃!
敵の攻撃は【野生の勘】で【見切り】、避け側に一撃を食らわせる!
ゲームクリアかな!?
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(アドリブ/連携可)
「ちょっと、なんでゾンビなの」
■作戦
事前にゲームデータに[ハッキング]で侵入しマップデータとアイテム箇所を[情報収集]
■行動
「序盤は銃の反応速度とゾンビの動きに慣れることね」
主に右側サイドを担当。オートフォーカスで視界を鮮明にし
[スナイパー]で確実に仕留める。攻撃パターンを(学習)
進行度50%過ぎからはなるべく[忍び足&目立たない]ように行動
襲われたら[2回攻撃&一斉発射]で切り抜けながら
[ダッシュ]で75%地点へ駆け込む
攻撃を受けそうな時は[見切り&残像]で回避
実験室トリオは弟の攻撃を任せ、ゾンビの排除と怪人の攻撃相殺【アイギスの盾】に専念
四王天・燦
焔(f04438)と参加
SNSで表明流して生配信。
「コンコンばんは。Aki☆Rabbitの動画配信の時間だぜ」
妹を紹介、視界と一致するようカメラをヘルメットに付けて参戦
物陰から物陰にダッシュ。
焔に『敵影なし』とハンドサイン。
その時油断したアタシの背後に―
乱射し弾切れ。
銃でしかダメージが通らないなら銃で殴るのみ。武器受けも活用。
銃身が歪むので弾は「お姉ちゃんの銃…もう駄目みたいだわ」と寂しげに語り焔に託す
「焔は生きろ」
車のガソリンタンクに火を放ちゾンビと最後の戦い
生き残ったら符術『力場の生成』で駆けつけ焔から誕生日に貰ったカウントダウンをトリオに投擲・爆破。
「チャンネル登録よろしくな」で締めるぜ
四王天・焔
四王天・燦(f04448)と一緒に参加
SPD判定の行動を行う。
■心情
ゲームの中で戦うなんて、楽しそうだな。
ゾンビは怖いけど、燦お姉ちゃんと一緒なら
焔も頑張れそうだよ。
■行動
ゾンビ達との戦いでは、燦お姉ちゃんと一緒に
少しずつ進んでいくね。
ゾンビが現れたら、先制攻撃を行い、スナイパーの技能で
確実に銃を当てていくようにするね。
散乱した障害物を上手く使い、地形の利用を駆使して進んでいくね。
私や燦お姉ちゃんが負傷したら、傷薬を入手して回復。
実験室トリオには、白狐召還符を使用して戦う。
電球攻撃に対しては、見切りで避ける様にしつつ
避けられない時は、盾受けや武器受けで防御する様に努めるね。
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【SPD】(アドリブ・共闘可)
「ぎゃー、ゾンビだよ!」
フィオ姉ちゃんとガンシューに挑戦だ
【行動】()内は技能
「だいぶコツは掴んだよ!」
序盤で感覚を掴みながらペアで進んで行くよ(学習力)
真ん中から左側がボクの分担だね。(スナイパー)で狙い撃ち
ピンチの時は(援護射撃)で右もカバーするよ
ゾンビの攻撃は(見切り)で躱しつつ(カウンター)で吹き飛ばすんだ!
傷薬は3個確保しておいて後半はしっかり使うよ
なんとかボーナスの銃砲をゲット出来たら(先制攻撃)で強化ゾンビにお見舞いだ
気持ち悪いけど(勇気)を奮い立たせて乗り切るよ
最後のトリオには(全力魔法)でクラロ・デ・ルーナを飛ばして倒すんだ
フェン・ラフカ
チーム『GN3』ヴァシリッサと行動。※アドリブ・連携等歓迎。
好きなハンドガンですか……では、RSH-12を使わせてもらいましょう。
12.7mmを使ってますがハンドガンです。えぇハンドガンです。(真顔)
途中のボーナスは狙っていきましょう。
そうですね……M1887辺りを映画の様に使いたいですね。
それでは手数は任せます、一撃の重さはこちらで。
前衛で戦うヴァシリッサさんを【援護射撃】してダメージを受けない様に支援します。
……この口径なら貫通による【範囲攻撃】も狙えそうですね。
ラストの集団に関してはUC『フレイ・カ・グル』をゲーム内の銃で撃ちます。
これも"銃口"はついてますからね、それでは覚悟を。
ヴァシリッサ・フロレスク
チーム『GN3』
※アドリブ・連携大歓迎!
やっぱりモーゼルM712だね、手に馴染んでるのが一番さ。
それじゃアタシは先行して【先制攻撃】で敵を【おびき寄せ】るよ。
友軍の援護を信じてるからね。
【捨身の一撃】でギリギリまで引き付けつつ、【早業】【ジャンプ】で回避。
「刑戮者の外套」の伸縮能力も活かして、攻撃から自身を【かばう】。
伊達に場数踏んでないからね、【戦闘知識】は自信があるよ。
攪乱・陽動しつつ、友軍の射線を確保して、確り仕留めて貰うさ。
上手く無傷で凌げられたら、追加武器はMTs255、リボルバーショットガンで。
やっぱゾンビにはドタマに00BUCKだろ?
〆は「弐八式掩蔽壕爆砕鎗」で消炭にしてやるよ。
青原・理仁
ゲーム風に戦えってことか
面白ぇじゃねぇか、やってみるか
銃の種類には詳しくねぇから適当に選ぶぜ
まぁ何とかなるだろ
ダッシュと隠密を駆使して慎重に進むぜ
ゾンビは銃で対応だ
たしかこいつらは、心臓じゃなくて頭を狙えばいいんだったか?
腕や足を撃ち抜いて行動力を落とすのも、必要があればするぜ
弾丸のリロードは適宜に
ゾンビや障害物を怪力・グラップルで投げ飛ばしたりもするぜ
ダメージは入らねぇが、多少の足止めにはなるだろ
数が増えてきたらさすがに全員相手するわけにはいかねぇからな
ダッシュやジャンプ、逃げ足で戦わずに行けるならそうするか
オブリビオン戦ではライトニングアクセルを使用
邪魔すんじゃねぇよ、吹っ飛べ!
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
ハンドガンならあたしの専門ねぇ。
見た目なんて別に気にならないし、ガンガン撃ち抜いてくわよぉ。
…あたしゲームとかほっとんどやったことないから、そこだけちょっと心配だけど。
得物は当然リボルバーを選択。
弾切れにだけ気をつけて、端から〇先制射撃で●鏖殺を撃ちまくるわぁ。
近づかせないように立ち回るけど、危なくなったら〇ダッシュ・ジャンプ・スライディングを駆使して回避。〇地形の利用して立て直すわぁ。
希望の銃砲ねぇ…
あたし拳銃と弓以外ほぼ素人なんだけど…あ、そうだ。
もらえるんなら、グレネードランチャー希望しようかしらぁ。
オブリビオンの集団纏めて〇範囲攻撃で吹っ飛ばせたら楽よねぇ。
●始まるゾンビとの闘い
キマイラフューチャーで繰り広げられる戦争『バトルオブフラワーズ』。
イレギュラーズ達はその戦場の1つへと降り立っていく。
北米の街を舞台としたガンシューティングゲーム。敵対するのは、街をうろつく死者達だ。
「ふむ……、どことなく故郷を思い出しますね」
その街にどこかダークセイヴァーの犯罪都市を思い出す銀髪、碧眼の少女、セルマ・エンフィールド(終わらぬ冬・f06556)。
その街をうろつく敵に、大きな三日月がついた鍔付きのとんがり帽子を被るフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)が驚きの声を上げる。
「ぎゃー、ゾンビだよ!」
「ちょっと、なんでゾンビなの」
弟フォルセティと一緒に行動する姉、赤髪赤い瞳のフィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)も戸惑いを見せていた。
「コンコンばんは。Aki☆Rabbitの動画配信の時間だぜ」
八重歯が特徴的な妖狐の女性、四王天・燦(月夜の翼・f04448)はSNSで参加表明して生配信を開始する。
彼女は共に参加する妹、和風メイドの格好をした四王天・焔(妖の薔薇・f04438)を紹介していた。
「ガンシューティングかぁ。ゲーセンで何回かやったことあるし、大丈夫かな?」
兎の耳と狐の尻尾を持つキマイラの少女、チコル・フワッフル(もふもふウサキツネ・f09826)はハンドガンと弾のセットを受け取ると、早速弾丸を確認する。
踏破するには十分な弾数を与えてもらってはいるが、無駄撃ちすればなくなりそうな絶妙なバランスになっていると、チコルは感じていた。
「ゲームの中で戦うなんて、楽しそうだな」
ゾンビを怖がる焔だが、姉の燦と一緒に参加ならば頑張れそうだと気持ちを振るい立たせていたようだ。
「ゲーム風に戦えってことか。面白ぇじゃねぇか、やってみるか」
根なし草のように暮らす金髪少年、青原・理仁(人間の聖者・f03611)は銃には詳しくないそうで、適当なハンドガンを手に取る。
一方で、糸目のバーテンダー、ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)はハンドガンは自身の専門だからと、リボルバーを選択する。
「見た目なんて別に気にならないし、ガンガン撃ち抜いてくわよぉ」
ただ、ゲームのプレイ経験に乏しいことのみ、ティオレンシアは心配をしていたようだ。
チーム『GN3』として参加の赤髪、眼鏡に悪人顔のダンピール、ヴァシリッサ・フロレスク(浄火の血胤(自称)・f09894)は『モーゼルM712』を選んでいた。
「やっぱり、手に馴染んでるのが一番さ」
自身の普段使っている型であれば、素早く反応できるというものだ。
「好きなハンドガンですか……では、『RSH-12』を使わせてもらいましょう」
その相方、オーバーコート着用のキマイラ、フェン・ラフカ(射貫き、切り拓く、魔弾使い・f03329)がチョイスしたのは、大口径弾を使う大型拳銃だ。
「12.7mmを使ってますが、ハンドガンです。えぇ、ハンドガンです」
真顔で語るフェン。片手で扱う拳銃ではあるが、他のハンドガンと比べると、その大きさに驚かされる。
「いきましょうか。ゲームとはいえ、この状況は苦手ではありません」
セルマを始め、メンバー達はこのゲーム……戦場へと飛び出す。
アアァ、アアアァアアアアァ……。
獲物を見つけたゾンビ達は大きく口を開き、猟兵達目掛けてゆっくりと歩み寄ってくるのである。
●ゲームスタート!
アアァアアアァアア……。
ウアアアァアアァ……。
その街の住民は、ほぼゾンビと化していた。
何らかの形でゾンビだらけの街に放り出されたプレイヤーは、生還する為に脱出をはからねばならない。
町の隅からスタートしたプレイヤー……猟兵達は対角線上の区画の隅にあるゴールを目指す。ルートも自由に選ぶことができそうだ。
「拳銃も苦手ではありませんが、せっかくですしボーナス狙いでいきましょう」
セルマが言っているのは、進行度75%地点で無傷ならボーナスが手に入り、任意の銃砲をゲットできるというもの。ちなみに、セルマは狙撃用ライフルを所望していた。
聞き耳、直感を生かして物陰に隠れはするが、チコルはガンガン前に出て、ゾンビどもの頭を撃ち抜いていく。
そんなチコルは思いっきり、ロケットランチャーで敵を吹っ飛ばしてみたかったようだ。
開始直後はゾンビの数も少ない上、個々の動きは鈍い。
「序盤は、銃の反応速度とゾンビの動きに慣れることね」
弟へと告げる姉フィオリナは、右側サイドを担当して進む。
オートフォーカスで視界を鮮明にするフィオリナは、近づいてくる敵へと確実に銃弾を埋め込み、倒していく。
とにかく、序盤に敵の基本行動を学習しようと、フィオリナはゾンビの動きを注視していたようだ。
また、フィオリナは予めデータにハッキングしており、マップデータとアイテム個所を情報収集していた。
さすがに全てを……とくにゾンビの居場所や能力といったデータまで見ることはできなかったが、それでも情報があるアドバンテージは大きい。
ちなみに、次々に参加者が訪れるからか、一定時間ごとに倒したゾンビや破壊された障害物、回収されたアイテムなどは復活するらしい。
「了解だよ、フィオ姉ちゃん」
弟、フォルセティは3つほど回収すべき傷薬に当たりをつける。
そのうえで、彼は体を慣らしながら銃弾を撃ち込み、ゾンビを倒していく。
アァアアァアアアァ……。
ゆっくり近づいてくる敵は鋭い爪を振るい、猟兵達を傷つけようとしてくるが、フォルセティは照準を合わせて狙い撃つ。
「だいぶコツは掴んだよ!」
何体か倒すうちに、フォルセティもゾンビの倒し方を学ぶ。
姉が示してくれた木箱などを破壊し、フォルセティは傷薬を3つほど確保していたようだ。
スニーキングを主体として進むメンバーもいる。
「まぁ、何とかなるだろ」
理仁は隠密スキルを使い、身を潜めながら慎重に進む。
迫りくる敵を冷静に見ていた彼は、聞いた話を思い出す。
「たしかこいつらは、心臓じゃなくて頭を狙えばいいんだったか?」
適宜リロードしつつ頭を狙い、理仁は敵を倒して先に進む。
こちらは、四王天姉妹。
燦は視界と一致するようカメラをヘルメットに付け、配信をメインとした行動をとっていた。
斥候しながら乱射する燦に、障害物を上手く使い先制攻撃で確実に仕留める焔。
ゾンビがいないことを確認した燦がハンドサインを出すと、焔が姉に続いて街を駆けていく。
ガンシューティングゲームは個人で行うプレイスタイルのものも多いが、この場ではチームを編成することも可能だ。
だからこそ、連携をとって進むメンバー達の姿もある。
ガンガン弾丸を撃って、攻め立てていくティオレンシア。
木箱や建物の陰をうまく使い、ティオレンシアはゾンビどもへと先制攻撃を見舞う。
併せて、ヴァシリッサもまた先んじて敵の誘き寄せをはかる。
「伊達に場数踏んでないからね。【戦闘知識】は自信があるよ」
彼女は後方の友軍の攻撃に期待し、襲い来る敵を引きつけ、食らいつきや腕をジャンプで避けていく。
ヴァシリッサをチームとして支援するフェンは、援護射撃で攻め来る敵を一撃で粉砕する。さすがの大口径である。
「……この口径なら、貫通による【範囲攻撃】も狙えそうですね」
それは攻撃が激しくなる後半で、発揮されることだろう。
●激しくなるゾンビの攻撃
アアアアァ……。
アァ、アアアアァ、アァアア……。
ゴールまでの進行度50%を超えると、ゾンビ達の攻撃が激しくなってくる。
具体的には敵の数が増え、一度の対処が困難になってしまうのだ。
それまでと同様の行動を行っていても、一瞬の油断。または、不運に見舞われてダメージを負うことも出てくる。
忍びながら、弟フォルセティと進むフィオリナ。
「ぎゃー、また!」
ただ、フォルセティが左側から突然現れたゾンビに襲われて噛みつかれてしまうと、この場を乗り切るべくフィオリナは装填した弾丸を一斉掃射していく。
アァアアアァア……!
「そんなところにも……!」
腕での薙ぎ払いを見切ろうと避けたフィオリナだが、避けた先にもゾンビがおり、爪で引っ掻かれてしまう。
「フィオ姉ちゃん、大丈夫?」
「大したことないよ」
フォルセティはつっぱねようとする姉を傷薬で回復し、ダッシュして進む。
なお、体力を全快にして75%地点に進んだもののフラグを立てられず、ボーナス武器を入手できなかった。
残念ながら、回復して全快になっていても、一度でも攻撃を受けると判定としてはアウトとなるようだ。
進行度が増えていくと、皆最初に申請したボーナスを思い出す。
「希望の銃砲ねぇ……」
拳銃と弓以外はほぼ素人というティオレンシアは、グレネードランチャーを希望していた。
そんなティオレンシアに対し、ゾンビは一瞬の油断をついてくる。
残弾を気にしながら、ティオレンシアはファニングショットで複数のゾンビを倒していく。
ただ、ファニングショットは命中率に難がある場合が多い。
「……っと、いけませんねぇ」
アアアァア……アアァアア!
体を撃たれてなおそのゾンビが噛みついてきたのを、ティオレンシアは受けてしまう。
彼女はスライディングを使ってその場から逃れ、立て直しをはかっていた。
後続として、チーム『GN3』のヴァシリッサが飛び込み、敵を引きつける。
彼女は纏う『刑戮者の外套』の伸縮能力を使いつつ、敵を限界まで引きつけていく。
「ほらほら、食べられるものなら食べてみなよ!」
まさに、捨て身の一撃。ヴァシリッサはギリギリまでゾンビを引きつけてからしゃがむ。
そこに、浴びせかけられる銃弾。理仁もそこに遭遇して敵の腕や足を撃ち抜き、行動力を落とそうとしていく。
襲い来るゾンビ達目掛け、チーム『GN3』のもう1人、フェンは大口径を活かして、敵複数を撃ち抜いた。
彼女のハンドガンの威力は抜群だが、反動が大きく、連射が難しいのが厳しいところ。
次弾を準備する間に、爪の一撃を受けてしまうフェン。
理仁は最初から、その全てを相手取ることは考えてはおらず、怪力はグラップルを生かして張り倒そうとしていく。
「多少の足止めにはなるだろ」
オァアアアァアア……!
ただ、態勢を崩しながらも、ゾンビは彼の足へと食らいついてくる。
ヴァシリッサがジャンプしつつそいつを大口径のハンドガンで粉砕し、フェン、理仁と共にその場を突破する。
フェンは腕に手傷を負ってしまったことに気づく。
ボーナスがもらえたならば、散弾銃『M1887』を映画のように扱えればと思っていただけに残念がっていた様子だ。
一方で、ヴァシリッサの手前へと突然現れた木箱。その中からこちらも散弾銃『MTs255』を彼女は入手する。
「やっぱ、ゾンビにはドタマに00BUCKだろ?」
弾丸を込め、ヴァシリッサはにやりと満足げににやけて見せ、向かい来るゾンビの頭に直接鉛の弾丸を叩きこんでいったのだった。
チコルも目立たぬよう物陰に隠れながら、ゴールを目指す。
個人で移動していた彼女は直感をいかしつつ、物陰から物陰へと移動しながら進み、確実に銃弾を浴びせてゾンビをの頭を砕く。
だが、ゾンビも物陰に潜むことがある。
アアオオオォオオオアァアア……!
それに気づいたチコルは僅かに対処が遅れ、体を強く捕まれてしまう。
強引にチコルはジャンプして逃れ、丁度壊れた木箱に傷薬が遭った為、それを飲みつつこの場を駆け抜ける。
セルマはアイテムを補給することなく、忍び足で迫ったゾンビに視覚から狙撃し、零距離から仕留めていく。
彼女は敵が奇襲してきそう場所にも気を払う。
アアァアアァアアアァア……!
飛びかかってくるゾンビにも、セルマは冷静に早撃ちして仕留めて見せる。
行く手を塞ぐように置かれてあった木箱。
セルマはその中に入っていた、狙撃用のライフルを手にしていた。
四王天姉妹は姉の燦が車の影に身を潜めて前方に敵がいないことを確認し、妹へとサインを送るが……。
「燦お姉ちゃん、上!」
オアオオオァアアッ!!
焔がそいつの胸部を撃ったが、進行度8割を超えて現れた強化ゾンビはそれだけでは倒れず、燦へと食らいつく。
ここまでに弾丸を乱射してきていた燦は残弾がなくなり、やむなく銃で直接殴りかかる。
一応、身を守る術としては使えるが、歪んだ銃身はもう銃としては使い物にはならなさそうだ。
「お姉ちゃんの銃……もう駄目みたいだわ」
「何言ってるの。まだ戦えるよ!」
焔は道中で手に入れた傷薬で姉を回復しようとするが、そこへ新手のゾンビの姿が。
「焔は生きろ」
焔の銃を借り、燦は手前の車のエンジンを撃って車を炎上させる。
「燦お姉ちゃん!」
燃え上がる炎の中へと、燦の姿は消えていった。
●オブリビオン『実験室トリオ』
街中を通り抜け、ゴールへと近づく猟兵達。
そこに待ち構えていたのは、オブリビオンの集団だった。
「よくたどり着いたな」
「我々の勝利の為」
「通すわけにはいかん」
それらは、フラスコ怪人・ウェポン、電球怪人・ジェノサイド、バッテリー怪人・リフレクションの3人で構成された『実験室トリオ』。
ゲームをクリアーさせまいと立ちはだかるこのオブリビオンどもは、ゲームの登場人物ではない。
だから、ゾンビとは違い、銃でなくとも攻撃は通じる。
「やっぱり、グレネードランチャーが欲しかったわねぇ」
オブリビオンの集団を纏めて範囲攻撃で吹っ飛ばせたら楽になったかもしれないと、ティオレンシアは残念がる。
ともあれ、この場はハンドガンでやり過ごすしかないと考え、彼女は発砲を続けていく。
ただ、『実験室トリオ』はユーベルコードを使って反撃してくる。
飛びかかってきた電球怪人が電球を輝かせ、超高速で連続攻撃を繰り出してくる。
「『ペレグリーネ』起動。さぁ、頼みましたよ」
すると、ゴール前に到達してきたセルマがドローンを展開し、それが機銃で敵を牽制してくれる。
また、セルマはボーナスの銃を所持しており、それを使って向かい来るゾンビをライフルで狙撃していく。
後続として、駆け込んでくるソルレスティア姉妹。
「防げ、アイギスの盾よ!」
フィオリナは光り輝く魔法の盾を展開し、フラスコ怪人が投げつけてくるフラスコ兵器を防ぐ。
オブリビオン相手なら、魔法を操るフォルセティがここぞと『聖箒ソル・アトゥース』を手にして。
「放て」
ユーベルコード【クラロ・デ・ルーナ】。
フォルセティは閃光と衝撃を伴う高エネルギー波を前方へと放ち、『実験室トリオ』を巻き込み、吹き飛ばす。
「ぐぬぬ……」
バッテリー怪人がバッテリーでユーベルコードの反射を試みるが、そこで、雷電を纏う理仁が飛び込む。
「邪魔すんじゃねぇよ、吹っ飛べ!」
電光石火の一撃を理仁が雷撃として叩きこむと、殴り倒された怪人が倒れていく。
上着を脱ぎ捨てたチコルが持ち前の素早さを生かし、『花嵐のダガー』を手に怪人どもの体を切り裂く。
電球怪人が応戦してくるが、チコルは素早く避けると同時に一撃を食らわせて地へと沈めていた。
「ゲームクリアかな!?」
「させるか!」
再度、フラスコ兵器を投げつけようとしてくる怪人。
そいつへと、フェンはハンドガンを向ける。ただ、装填していたのは、ゲーム内の弾丸ではない。
「これも『銃口』はついてますからね、それでは覚悟を」
フェンはユーベルコード製の魔弾を発射し、狙い違わずそいつの喉元を穿ってしまった。
チームの相棒がオブリビオンと戦う間、ヴァシリッサはボーナスでゲットした『MTs255』リボルバーショットガンで、強化ゾンビの頭部を粉砕する。
「消し炭にしてやるよ」
ヴァシリッサはゾンビの波が途切れたタイミングで、射突杭『スヴァローグ』を掩蔽壕破壊用射突杭に換装し、周囲の地面ごと怪人どもを蹴散らしていく。
そして、やや煤だらけになって現れた焔。
「符よ妖の郷への扉を開け。おいでませ白の御狐様」
全長3mほどある蒼い狐火を吐く白狐に騎乗し、彼女は怪人どもを踏みつけていく。
多少『実験室トリオ』が応戦したところで、焔はエネルギーの盾『マインドフラワー』で防いで見せる。
守る相手は、ボロボロになってもこの場にたどり着いた姉、燦だ。
「御狐・燦が命ず。符よ、我が意のままに空に留まり、天へと至る足掛かりと成せ!」
空中をジャンプした彼女は、妹から誕生日にもらった箱型時限爆弾を地面のオブリビオン達へと投げつけ、大きな爆発を起こす。
「のわああああ!」
「おのええええ!」
「おぼえてろおお!」
吹き飛んでいく『実験室トリオ』達。
その爆発に乗じて、猟兵達が皆次々とゴールしていく中、四王天姉妹も転がり込むようにしてゴール地点へと身を滑り込ませる。
「チャンネル登録よろしくな」
最後にヘルメットにつけたカメラへと一言告げ、燦は配信の締めとしたのだった。
傷つきはしたものの、猟兵達の圧勝。
参加メンバー達は勝利の余韻に浸る間もなく、次なる戦場へと向かっていくのである。
大成功
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