バトルオブフラワーズ④〜フルーツスイーツの甘い罠
『ファイト―――!』
『いっぱーーーーつ!!』
『オレたちは勝つ! このルールがある限りオレたちは無敵だ!』
それぞれスイカとレモンとリンゴの頭をした3体の怪人がせっせと畑でイチゴにスイカにメロンにレモンにリンゴにと、時期に関係なくフルーツが食べごろとなり、ありとあらゆるフルーツを収穫していた。
『シュウカクフードバトル』。このルールがある限り怪人達に敗北はない。なぜならば収穫中のオブリビオンは受けた攻撃を無効化させる特殊能力を与えられるからだ!
自信満々に3体の怪人は籠いっぱいに収穫を続け、近くの民家が並ぶ広場に山のようにフルーツを積み上げた。
「諸君。キマイラフューチャーの戦争に力を貸してもらいたい」
グリモアベースの猟兵達にバルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)が声をかける。
「キマイラフューチャーが真っ二つに割れた事は知っての通りだ。オブリビオン・フォーミュラ『ドン・フリーダム』への道を拓く為、道中のステージを攻略する必要がある。そこでここに集まった諸君にはザ・フードステージに挑んでもらいたい」
食べ物関係と思われる単語。食べ物でいったいどんな戦いが起こるのだろうと猟兵は首を傾げる。
「ザ・フードステージでは3体の怪人が果物を畑からフルーツを収穫している。収穫中は怪人達は無敵となっており攻撃は通じない。そしてある一定量収穫が終わると、ステージから猟兵は追い出され敗北となってしまう」
特殊戦闘ルール『シュウカクフードバトル』のルールはなんとも理不尽なものだった。
「そのままでは勝つことは出来ない、敗北必至だ。だがこれにも穴がある。山と集められたフルーツを使いスイーツを作るのだ。美味しい料理に誘われ一口食べたならば、攻撃を無効化する力を失い怪人を倒す事ができる」
無敵でなくなれば戦闘力自体は高くない相手だ、さっさと倒してしまえば解決する。料理は近くの無人の民家で作ることが可能だ。
「敵はフルーティートリオと呼ばれるフルーツの頭部を持つ怪人だ。その姿の通りフルーツを使ったスイーツが好みらしい。敵とてそのルールは理解している。理性を上回る魅力的なスイーツで魅了しなくてはならない。まさに甘い罠というわけだ」
フルーツの旨みを引き出す菓子ならばより効果が高いだろう。
「怪人の為に料理をしなければならないとは、なんとも呑気な戦いな気もするが、それがキマイラフューチャーの流儀だというなら従うしかあるまい。世界を救う為にも美味しいスイーツを作ってくれ」
なんとも締まらない言葉で結び、バルモアは美味しそうなスイーツを思い浮かべながら世界を繋いだ。
天木一
こんちには天木一です。今回はスイーツ作りです! ふんだんにフルーツを使い美味しいスイーツを作りましょう!
戦争シナリオです。『シュウカクフードバトル』という特殊ルールの為、初期状態では怪人に攻撃が無効化され、時間が経って収穫量が一定を超えると敗北となります。まずは魅力的なフルーツのスイーツを作り、敵に食べさせて特殊ルールの効果を消してしまいましょう。
敵が実食と美味しい思いをするバトルですが、料理に味見はつきものです。あまーい戦いを繰り広げましょう!
第1章 集団戦
『フルーティートリオ』
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POW : スイカ怪人・ウェポン
【スイカ兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : レモン怪人・ジェノサイド
【レモン攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : リンゴ怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【リンゴ】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:まめのきなこ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
クック・ルウ
フルーツを使ったスイーツだな
よし、任せておけ、料理には少し心得がある
クックはスムージーを作ろう
栄養も満点、新鮮な果実の旨味を存分に味わえるぞ
フルーツは苺、キウイ、オレンジ、を使い
三種類のスムージを作ろう
並べた時に綺麗だと食欲をそそるからな
ミルクやアイスと一緒にミキサーでシェイク
もちろん味見もするぞ! ふふふ、まろやかでおいしーい!
甘みが物足りなければハチミツを足しても良いな
フルーティートリオ殿も収穫で疲れただろう
これでも飲んで一息入れたらどうだ
特殊ルールの効果が切れてたら
伸縮する【バウンドボディ】で張り手だ
中々気合の入った相手だからな
クックも思いっきり力を込めるぞ
明石・真多子
おお~今回は畑でシュウカクバトルか~色々あるんだね。
とりあえずスイーツ作って食べさせないとダメなんだね?
ならTACO'Sキッチンスタートだ!
まずは高く[ジャンプ]して畑にどんなフルーツがあるか確かめよう!
目ぼしいフルーツを見つけたら、付近に目掛けて『タコ墨』をぶん投げて付着させよう。
あとはキッチンに移動、足元に『タコ墨』を撒いたら【軟体忍法卍固めの術】でフルーツの近くの『タコ墨』と空間を繋げるよ!
料理は時短が大事、収穫は手早く済ませよう!
収穫したら六本の腕でパパっと調理!今日のメニューはフルーツゼリーだよ!
怪人が喰らいついたら、仕掛けて置いた『タコ墨』から触手をワープさせて締め上げちゃえ!
シュデラ・テノーフォン
俺BAR経営だけど
最近甘味好きな客多くてスイーツ作り凝り出しちゃって
良ければ俺も作って良いかな
敵も頭が果物なんだ?
うーんなら最初は…林檎使おうか
スライスしてコンポートした林檎をカスタード風味の生地に重ね、ジャムにした苺も挟んで焼く
切り口が綺麗で美味しいガトーインビシブルだよ
スイカは定番の皮を皿にしたフルーツポンチにしようか
色んな果物一口サイズに、後ミルク白玉も入れる
炭酸とホワイトキュラソーを注いで完成
最後は擦ったレモンの皮と果汁混ぜた生地を甘くしっとり焼き上げ
アイシングで着飾ったらウィークエンドシトロンの出来上がり
コレは俺も好きなんだ
美味しかった?じゃお代は君達ね
複製銃の雨を浴びせてさようなら
鶴澤・白雪
ザッフィーロ(f06826)と参加
自分の作ったお菓子食べたくないから味見係と後処理は任せるわ
オブリビオンだけど人に食べさせるために作るのは久しぶりね
その方が作り甲斐はあるから腕が鳴るわ
作るのは苺のカスタードタルトとプレーンとベリーの2層チーズケーキ
…あ、手伝ってくれるなら苺とブルーベリー適当にぶつ切りにして鍋に放り込んでおいて?
果物の水分飛ばしてジャム状にした方が嵩も減るしチーズケーキも美味しく仕上がるし大量消費にも持って来いよ
出来上がったらザッフィーロ、味見よろしく
美味しかったらそのまま敵に渡して倒してきて。余った分はアンタが食べていいから
本当食いしん坊ね、今回ばかりは少し敵に同情したわ
ザッフィーロ・アドラツィオーネ
鶴澤f09233と
甘味を食えると聞いたのだが…!勿論味見ならば任せて貰おう
俺は切る煮る焼く程度しか出来んからな。つい興味深く鶴澤の手元を覗いてしまうかもしれん
ん?これらを適当に切れば良いのか?それ位ならば手伝える故任せて貰おう
此の侭でも美味そうだが煮詰まると更に甘みが強まりそうだ。
…、…鶴澤、未だ出来んのか?
味見をすれば程よい酸味と甘みに思わず美味いと笑みを
一口と言わず全て食いたくなるが…依頼だからな
敵へ渡し、一口食べたならば即座に【ジャッジメント・クルセイド】にて攻撃しよう
…よし、これで大部分は残ったな
では、残りは全て頂くとしよう。ああ、本当に全ての依頼がこの様ならばいいのだがな
夜暮・白
わあ美味しそう。料理はそんなにやったことないけど、できるかな。
まずは焦がさないようにシロップを作って。(アクセントのペパーミントも入れ過ぎないように)
果物を切って。(……あ。形がイビツ)
あわせてよく冷やそう。
あとは牛乳、メープルシロップ、卵を混ぜて、ホットケーキミックスも混ぜて、と。(ボールは神霊に押さえて貰う)
溶かしバターを塗ったワッフルメーカーで焼くよ。
できたらマチェドニアの果物と、ホイップクリームを乗せて完成!
残ったシロップはサイダーで割ります。
ワッフルの匂いで気付いてくれるかな。(ドキドキ)
美味しかったら攻撃が通るんだっけ?
えっと。お粗末様でした!(ダガーを投擲)
★クリア済みは返却希望
ベリザリオ・ルナセルウス
●目的
織久と一緒にこのスイーツバトルに挑もう
この戦い方なら織久が特攻して血まみれとか、血の臭いで餓えてしまうなんてそんな心臓に悪い戦いにならないはず!
その分織久を引っ張ってくるのが大変だったけどね
●料理
織久と一緒にフルーツのスムージーを作ろう
バナナはあえて使わずにヨーグルトを混ぜる。バナナだと割と味がかわってしまうけど、これなら大丈夫。果物の味がダイレクトに出るしね
●戦闘
攻撃が通るようになったらこっちのもの
織久は焦らされた分特攻するだろうし、鈴蘭の嵐で敵の視界を阻害して、盾と剣で敵の攻撃を防いで織久をかばう
私の鈴蘭の嵐を相殺したとしても織久の攻撃は物が違うからね。同じ手では防げない
西院鬼・織久
何故オブリビオンに物を食わせねばならぬのか
苦労に見合った敵ではないようですが、仕方ありません
我等は敵を狩るために在るもの。文句は飲み込みましょう
【行動】
呼称:ベリザリオ(f11970)と「料理」を行う
刻み、潰し等旅の保存食作りに欠かせない技術なので慣れている
手早く丁寧に下拵えをしてスムージーを作る
【戦闘】
「戦闘知識」を活かすため五感と「第六感」を働かせる
「先制攻撃+影面」で拘束。そのまま「怪力」で振り回し周囲に叩きつけ
敵が起き上がる前に「ダッシュ+串刺し」で「傷口をえぐる」
敵が反撃するなら「見切り」回避、回避が間に合わないなら「武器受け」
そこから「カウンター」で牽制し「二回攻撃+なぎ払い」
●シュウカクバトル
「おお~今回は畑でシュウカクバトルか~色々あるんだね」
キョロキョロと明石・真多子(軟体魔忍マダコ・f00079)が好奇心旺盛に周りを見渡し、フルーツの積まれた山を見上げる。
「とりあえずスイーツ作って食べさせないとダメなんだね? ならTACO'Sキッチンスタートだ!」
腕まくりするようなポーズで真多子はやる気をアピールする。
「ここのフルーツ以外にも種類があるかもしれないし、確かめてみよう!」
ぐぐっと屈んでタコ足に力を溜めた真多子は、バネの要領で高く跳躍し上空から周囲の畑を見渡す。
「おっ、あそこにパイナップルとマンゴーを発見!」
真多子はタコ墨をぶん投げてその近くに付着させ、キッチンへと戻る。
「では空間を繋げるよ! 軟体忍法、卍固めの術!」
料理は時短が大事と、民家に付けたタコ墨と空間を繋げると南国のフルーツを手早くゲットする。
「忍法に比べれば料理など簡単簡単!」
タコ足の触手をうねうねさせた真多子は、六本の腕でパパっと調理を始める。3人分の作業を同時に熟し、フルーツをカットしゼラチンと交ぜてあっという間に冷蔵庫に入れ、冷えて固まるまでの時間を待つとフルーツゼリーが完成した。
「これならきっと怪人たちも釣れるはずだよ!」
少しばかり味見して真多子は大きく頷き、早速差し入れる準備をする。
「フルーツを使ったスイーツだな。よし、任せておけ、料理には少し心得がある」
自信ありげにクック・ルウ(水音・f04137)がフルーツの山へと近づく。
「クックはスムージーを作ろう。栄養も満点、新鮮な果実の旨味を存分に味わえるぞ」
その為のフルーツを物色し、綺麗な苺、キウイ、オレンジを選んで籠に入れた。
「これだけあれば十分かな。それじゃあ三種類のスムージーを作ろう」
クックは民家に入りミキサーを用意してミルクとアイスも一緒にイチゴと入れる。そしてスイッチを入れるとギュィィィィとミキサーの内部でイチゴが潰れミルクとアイスが混じって柔らかいピンク色の液体へと変わっていく。
「並べた時に綺麗だと食欲をそそるからな」
色合いも大事だとミルクを足しながら調整し、イチゴのスムージーをコップに注いだ。
「味見は大事だからな!」
決して自分が食べたいからではないと誰にでもなく言い訳して、クックはスムージーをぐいっと飲み干した。
「ふふふ、まろやかでおいしーい!」
口の周りを白くしてクックは満面の笑みを浮かべる。
「だが少しハチミツを足しても良いかもな」
蜂蜜を入れ、また味見しなくては仕方ないともう一杯飲む。
「これもおいしーい!」
そうして3種のスムージーが完成するまでに何杯も仕方ない仕方ないと飲み干し、満足そうに採れたてフルーツの味わいを楽しんだ。
「自分の作ったお菓子食べたくないから味見係と後処理は任せるわ」
そう言って鶴澤・白雪(棘晶インフェルノ・f09233)がお菓子作りに取り掛かろうと、まずは山積みにされたフルーツを吟味する。
「甘味を食えると聞いたのだが……! 勿論味見ならば任せて貰おう」
味見ならば任せてくれと、自信満々にザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)が食べる専門宣言をした。
「オブリビオンだけど人に食べさせるために作るのは久しぶりね。その方が作り甲斐はあるから腕が鳴るわ」
白雪は誰であれ食べてもらう相手がいるのは張り合いがあっていいと、真剣な顔でイチゴとブルーベリーを選び、それを籠に入れた。
「荷物運びは俺がしよう」
その籠をザッフィーロが受け取り、共に民家へと入る。
「それで何を作るんだ?」
台所のテーブルにフルーツを置きながらザッフィーロが尋ねる。
「作るのは苺のカスタードタルトとプレーンとベリーの2層チーズケーキ……あ、手伝ってくれるなら苺とブルーベリー適当にぶつ切りにして鍋に放り込んでおいて?」
白雪がまず段取りを整えようと使う材料の分量を量っていると、それをじーっと見ていたザッフィーロにフルーツを押しやる。
「ん? これらを適当に切れば良いのか? それ位ならば手伝える故任せて貰おう」
切る煮る焼く程度しか出来なくとも、その程度ならばお安い御用だとザッフィーロはフルーツを包丁で切ると鍋に入れていく。
「果物の水分飛ばしてジャム状にした方が嵩も減るしチーズケーキも美味しく仕上がるし大量消費にも持って来いよ」
説明しながら白雪が火を点け、焦げないようにかき混ぜるのをザッフィーロに任せる。
「此の侭でも美味そうだが煮詰まると更に甘みが強まりそうだ。……鶴澤、未だ出来んのか?」
ベリーに熱が入り甘い香りを放ちながらジャムになっていくのを見下ろし、ザッフィーロはお腹が減ったと催促する。
「もう少しだからこれでも食べて待ってて」
白雪が余ったイチゴの皿を渡し、ザッフィーロを大人しくさせた。その間に出来上がったジャムを使いカスタードタルトとチーズケーキをそれぞれ仕上げていく。
「俺BAR経営だけど、最近甘味好きな客多くてスイーツ作り凝り出しちゃって、良ければ俺も作って良いかな」
シュデラ・テノーフォン(天狼パラフォニア・f13408)が周囲の猟兵を見渡すと、もちろんと皆が頷き調理台を空けてくれる。
「ありがとう。さて、何のスイーツを作ろうかな」
何を作ろうかと材料を見ていると、シュデラの耳に外から声が聴こえた。
『フルーツフルーツ』
『大漁だー!』
『この調子でこの辺りのフルーツを全て収穫するぞ!』
窓から外の広場を見てみると、そこにはフルーツの頭を持つ3体の怪人が籠いっぱいに集めたフルーツを山積みしていた。そしてさっさと次の収穫へと畑に向かう。
「敵も頭が果物なんだ? うーんなら最初は……林檎使おうか」
リンゴ頭の敵を見て閃いたと、シュデラは手慣れた様子でリンゴをスライスし、砂糖水で軽く煮てコンポートにする。その間に手際よくイチゴをジャムにするべく下処理して煮込む。
「うん、いい色になったかな」
そのリンゴを型の中でカスタード風味の生地に重ね、イチゴジャムを挟んでオーブンに入れる。後は焼き上がりを待つだけと、洗い物も済ませて次の料理に取り掛かる。
「スイカは定番の皮を皿にしたフルーツポンチにしようか」
シュデラはスイカをくり抜き、中にスイカだけでなく、キウイやマンゴー、にイチゴにサクランボとさまざまな一口サイズのフルーツを入れてカラフルに彩る。そしてミルク白玉も足してアクセントをつける。
「後は出す前に炭酸とホワイトキュラソーを注げば完成」
この暑い時期には堪らない涼し気なスイーツだ。辺りに甘い香りが漂い始め、チーンと音が鳴った。シュデラは焼け具合を確認してオーブンから出すと、型から取り出して切り分ける。
「切り口が綺麗で美味しいガトーインビシブルだよ」
断面がカスタード生地とリンゴで層となった綺麗なスイーツも完成した。
「最後はウィークエンドシトロンを作ろうか」
シュデラはレモンを擦り皮と果汁を混ぜた生地を作って型に流し込んでオーブンに入れる。それが焼き上がるとアイシングで着飾り白いドレスを纏わせる。
「コレは俺も好きなんだ」
自信を持って勧められる一品だと3種のスイーツを用意し、外の広場へと運び出した。
「何故オブリビオンに物を食わせねばならぬのか」
西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)が敵の為に食事を用意するなど納得できぬと表情を変えぬまま、僅かに眉間に皺を寄せていた。
「この戦い方なら織久が特攻して血まみれとか、血の臭いで餓えてしまうなんてそんな心臓に悪い戦いにならないはず!」
ベリザリオ・ルナセルウス(この行いは贖罪のために・f11970)が偶には平穏な場に織久を連れ出してやりたいと、今回は違う意味で張り切っていた。
「その分織久を引っ張ってくるのが大変だったけどね」
表情には殆ど出ていないが、その不満げな気配を感じ取ってベリザリオは苦笑した。
「苦労に見合った敵ではないようですが、仕方ありません。我等は敵を狩るために在るもの。文句は飲み込みましょう」
郷に入っては郷に従えと、この世界の流儀に合わせて織久は苦言を飲み込んだ。
「そうそう、オブリビオンを倒す為にもまずは料理だね」
もう随分文句を言っているような気がするものの、これ以上へそを曲げられては困るとベリザリオは指摘せずに話を進める。
「ではスムージーを作りましょう。これなら簡単ですから二人で作れますしね」
ベリザリオの提案に織久は何でも構わないと頷いた。
「それじゃあ織久には果物を潰してもらおうかな」
ベリザリオが丸々と立派なスイカを置き、自分はミキサーの用意をする。
「この西瓜を潰せばよいのですね」
ベリザリオが用意したスイカを織久を切って中の赤い果肉を手早く刻み、丁寧に下拵えする。
「西瓜を潰しました。これで宜しいですか」
あっという間に織久はスイカを刻み終えてボウルに入れた。
「ええ、十分です。今回はバナナはあえて使わずにヨーグルトを混ぜましょう。バナナだと割と味がかわってしまうけど、これなら大丈夫。果物の味がダイレクトに出るしね」
果物が好きという怪人の好みに合わせ、ベリザリオはミキサーにスイカと共にヨーグルトとレモン汁を入れスイッチを押す。機械音と共に材料が混ざりスイカの赤にヨーグルトの白が混ざって柔らかい色合いになる。
「こんなものですかね。味見してみますか? ほら、美味しくないと作戦が失敗してしまいますし」
「それならば頂きましょう」
ベリザリオが言葉巧みにスムージーを勧め、そういう事情ならばと織久はグラスに注がれたスイカヨーグルトスムージーに口をつける。
「……美味しいです」
織久の表情が僅かに緩んだのを見て、ベリザリオは満足そうに笑みを浮かべた。
「わあ美味しそう。料理はそんなにやったことないけど、できるかな」
周りの仲間の料理をフードから目だけを出して見渡した夜暮・白(燈導師見習・f05471)は、自分も挑戦してみようと気合を入れて見よう見まねで準備する。
「まずは焦がさないようにシロップを作って……」
慎重に弱火で水と砂糖を入れた鍋をかけ、アクセントのペパーミントも入れ過ぎないように気をつける。
「次は果物を切って……(あ。形がイビツ)」
慣れぬ包丁にリンゴが不揃いな形となってしまうが、使えなさそうな部分を避けて、気にせずに他の種類のフルーツも切り続ける。
「あわせてよく冷やそう。冷やしてる間に次の料理、と」
マチェドニアはこれで完成と冷蔵庫に入れ、次の料理の前に一瞬止まって手順を確認し、牛乳、メープルシロップ、卵を用意する。
「これを混ぜて、ホットケーキミックスも混ぜて、と」
ボールを服の刺繍から顕現した神霊に押さえて貰い、白が泡立て器でかき混ぜる。
「後はバターを溶かしてワッフルメーカーに塗って、焼くだけだよ」
口に出して間違いはないかと確認し、ワッフルメーカーにとろりとした生地を流し入れる。砂糖と小麦粉の焼ける甘く香ばしい匂いが立ち込め、お腹が減って来るようだった。そろそろだと仕上げ用に生クリームを一生懸命泡立てる。
「いい匂い。もう焼けたかな」
ワッフルメーカーを確認すると、いい具合に焼け目がついて火が通っていた。ワッフルを皿に取り出し、冷蔵庫から冷えたマチェドニアとホイップクリームを取り出す。
「仕上げにマチェドニアの果物と、ホイップクリームを乗せて……完成!」
焼き上がったワッフルに彩りを与え、デコレーションされたワッフルが出来上がる。
「残ったシロップはサイダーで割れば、ミントの爽やかなドリンクにもなるよ。
完成したものトレイに乗せ、白は広場へと運び出す。
●フルーツスイーツ
白が広場に設置したテーブルにワッフルとミントサイダーを置く。
「ワッフルの匂いで気付いてくれるかな」
ドキドキしながら白は怪人がやってくるのを待つ。すると籠にフルーツを山のように入れた怪人達が戻ってきた。
「怪人たちが来たよ」
白は怪人達の姿を見つけ、物陰から様子を窺う。
『おい、なんか甘い匂いがするぞ』
『本当だ腹が減ってきたなあ。イチゴ食べたい』
『馬鹿野郎! ここのフルーツを食べたら俺達は無敵じゃなくなっちまうぞ!』
言い争いながら怪人達が広場に足を踏み入れる。
『とりあえず何の匂いか確かめよう』
『そうだそうだ!』
『まあ、確かめるだけなら……』
甘いワッフルの香りに誘われ、怪人達はテーブルの前へとやってきた。
『ワッフルじゃねえか。美味そうだな』
『……ごくり』
『ダメだ! 絶対食べたらダメだぞ! 絶対だぞ!』
「もうちょっとで食べそうなんだけどな」
チラチラッとワッフルを見る怪人達を白が観察していると、そこにクックが近づく。
「フルーティートリオ殿も収穫で疲れただろう。これでも飲んで一息入れたらどうだ」
如何にも親切で言っているといった様子で、クックが3種のスムージーを3人分用意してトレイに乗せて差し出す。
『おお、ちょうど喉が渇いてたんだよ』
『待て! これは罠だ!』
『だが飲んでみないと罠か判らねえんじゃないか?』
ごくりと喉を鳴らして怪人達がスムージーを見下ろす。
「差し入れだ。飲みたければ飲め」
そこへ追い打ちを仕掛けようと、オブリビオンを前にした織久も、殺気を押さえるのに必死になりながらスムージーをテーブルに置いた。
「スイカのヨーグルトスムージーです。美味しいですよ」
それをフォローするようにベリザリオが穏やかな表情を見せて説明する。
『はースイカのスムージーねぇ。なかなか気が利くじゃないの』
『へっ、こんなもんで俺達が引っ掛かると思ったら大間違いだぜ』
『まあ一杯くらいなら飲んでやらんことも……』
手を伸ばそうとしたスイカ怪人の手がビクッと震えて止まる。
『何か寒くねえか、寒気がするっていうか、手が震えやがる』
その様子は何かに怯えるように震え、手を引っ込め体を抱える。
「何故飲まぬ。早く飲め、飲めぬというのなら飲ましてやろうか」
「織久、殺気が漏れてますよっ」
煮え切らない敵の態度に、殺気を抑えきれなくなった織久がぐいぐいとグラスを押し付けようとするのを、慌ててベリザリオが引き剥がし敵から離れさせる。
「今日のメニューは南国風フルーツゼリーだよ!」
真多子がドーンッとパイナップルやマンゴーといったカラフルな色合いのゼリーを固めたグラスを並べる。涼やかなゼリーとフルーツが暑い最中に働いた後の怪人には非常に魅力的に見えた。
「暑い時期には冷たくてあっさりしたスイーツが一番だよね!」
タコ足を使い真多子は敵の目の前にゼリーがよく見えるように向けぷるぷると揺らす。
「ささ、遠慮せずにどうぞ! 畑仕事で汗を流した分ここで補給してね!」
押しが強く真多子はゼリーをレモン怪人に押しつける。
『仕方ねえなぁ、一口だけだぜ?』
接待されて嬉しそうにレモン怪人が一口ゼリーを口にした。そしてうまーーー!と歓喜の声を上げる。
『馬鹿野郎!』
リンゴ怪人がそれを止めようとしたが遅かった。一口のつもりが止まらずにレモン怪人はうめーうめーとバクバクと食べている。
「労働の後には甘いものが必要だよね」
シュデラがフルーツをたっぷり使ったガトーインビシブル、フルーツポンチ、ウィークエンドシトロンと見ただけで食欲をそそられるスイーツを並べる。
『どれも美味そうだなあ!』
能天気にレモン怪人がそれにも手を伸ばす。するともう我慢の限界だとスイカ怪人も手を出し、ウィークエンドシトロンを食べ始める。
『美味い美味い! こっちのスムージーも合う! どの味もイケるぜ!』
一度たがが外れるともう止まらずにスイカ怪人がスムージーも飲んでいた。なら俺もとレモン怪人もスムージーに手を出す。
『お前もか! 罠だと言っただろうが!』
ぶるぶる震えて怒るリンゴ怪人が2人の仲間を見て、リンゴの頭を抱えた。
『まあまあ、こっちのワッフルもまだ温かくてうめーし食ってみ』
『そうそう、心配し過ぎだって。こいつら飯食わしてくれるだけじゃん』
能天気にスイカとレモンの怪人はワッフルを齧りスムージーで喉を潤す。
「そろそろね」
出来上がるまでにもう一度ザッフィーロにフルーツを渡し、白雪は焼き上がったタルトと冷えて固まったチーズケーキをたっぷりと皿に盛りつける。
「完成したわ。ザッフィーロ、味見よろしく」
「では早速頂こう」
白雪が差し出すと、言うが早いかザッフィーロはすぐさま味見用の小さな一切れを口にした。
「美味しかったらそのまま敵に渡して倒してきて。余った分はアンタが食べていいから」
白雪の言葉が聴こえているのかいかいのか、ザッフィーロは夢中になって両方を味わい口の中に広がる程よい酸味と甘みに思わず美味いと声を漏らし、自然と笑みを浮かべていた。
「一口と言わず全て食いたくなるが……依頼だからな」
仕方がないと食べる手を止め、ザッフィーロは皿を持って外に向かった。
「これも食べるといい、こちらがカスタードタルト。こっちがプレーンとベリーの2層チーズケーキだ。どちらも美味いぞ」
『あ、どうも』
ザッフィーロが勧めると、リンゴ怪人はそのリンゴの綺麗な層に魅了されフォークを手に一口食べてしまった。
●甘いスイーツには罠がある
『これは……ベリーの酸味とチーズの酸味が合わさって複雑でいて上品な味を醸し出している! いくらでも食べられそうだ!』
怪人がもう一口とフォークを伸ばしたが、ケーキが遠のく。
「食べたな? ならもう満足しただろう。後は俺のものだ」
『し、しまったーーー!!』
ケーキの乗った皿をすぐに引き戻したザッフィーロは、反対の手を伸ばし敵を指指す。すると天から光が降り注ぎ慌てて逃げようとするリンゴ怪人を貫いた。
『あっぽー!!』
身体を痺れさせるように痙攣させてバタリと怪人が倒れる。
「……よし、これで大部分は残ったな。では、残りは全て頂くとしよう。ああ、本当に全ての依頼がこの様ならばいいのだがな」
敵の事などもう眼中になく、ザッフィーロは美味い美味いとスイーツを楽しむ。
「本当食いしん坊ね、今回ばかりは少し敵に同情したわ」
そんな様子を戦いの援護の為に民家から出て来た白雪が目にして、呆れたように息を吐いた。
「満足してもらえたようだね! ならここからは戦いだよ!」
笑顔を浮かべた真多子は下準備していたタコ墨から触手をワープさせ、レモン怪人の足元から伸びた触手が足を絡め取る。
「これで締め上げちゃうよ!」
触手ががっちりと拘束し、レモン怪人の自由を奪う。
「美味しかっただろう? ならもう思い残すことはないよな」
クックはタールの腕をにゅるりと伸ばし、鞭のようにしならせて風を切り、動けぬ敵の顔にビンタを叩き込んだ。レモンの顔が歪み、亀裂が走って果汁が噴き出した。
『いってー! 何する! 止めろぉお!』
「少し弱かったか? 気合の入った相手だからな、クックも思いっきり力を込めるぞ」
腕をブンブンと振り回して遠心力を乗せ、もう一度ビンタを打ち込み、敵の顔を変形させる衝撃で果汁を絞り出し、しなしなに萎れさせた。
『待て! 何が欲しいんだ! フルーツか? フルーツなら食べさせてもらった礼にいくらでもくれてやる!』
リンゴ怪人がよろよろと起き上がりながら必死に命乞いをする。
「じゃお代は君達ね」
微笑んだシュデラは硝子細工を飾った銃を抜き、30以上の複製を生み出して宙に浮かべると、一斉掃射で硝子の弾丸の雨を降らせた。
「さようなら」
躱す間もなく穴だらけになって怪人達は果汁を噴き出す。一番弱っていたレモン怪人は止めを刺され干からびるように朽ちた。
「我慢もここまでだ。我等の怨念が糧となれ」
殺気を解放した織久が嬉々として突撃し、黒い影を放つ。それは怪人の体に当たると爆発し影の腕で両者を繋いだ。
『この野郎!』
逃げられぬとスイカ怪人が大きなスイカを投げつける。織久が身を反らして避けると、地面に落ちたスイカが爆発して四散した。
『どんどん投げてやるぜ! 俺様のスイカを食らって死にやがれ!』
調子に乗ってスイカを投げると、織久はそれを黒い大鎌で斬り払って進む。
「攻撃が通るようになったならこっちのものです」
ベリザリオはすぐに弓を鈴蘭の花びらに変えて舞わせ、敵の視界を阻害して盾と剣を構える。そして狙いを外れて飛んで来た流れスイカを盾で防いだ。
「食らえというのなら食らってやろう。その血肉を食らわせろ」
花びらを突破して近づいた織久は、大鎌を振り下しスイカを真っ二つにした。ついでに胴まで断ち切られ、両断されたスイカ怪人は血のように果汁を噴き出して息絶えた。
『だから罠だって言ったんだ!』
リンゴが傷だらけになった怪人はじりじりと後ずさる。
「美味しかったら攻撃が通るんだっけ?」
白は物陰からそっと出て敵の背後に忍び寄った。
「えっと。お粗末様でした!」
投げつけたダガーがリンゴの後頭部に突き刺さり、パカッとリンゴが割れて怪人の体は崩れ落ちた。
●勝利のご褒美
「シュウカクバトルはアタシたちの勝利だね!」
真多子はタコ足でガッツポーズを決め、ぴょんぴょん飛び跳ねる。
「料理もやってみると楽しかったな。また機会があればやってみたいかも」
戦いじゃなくのんびり料理をするのもいいかもと白はフードの下で微笑んだ。
「また食べたいな。というか今すぐでも食べられる」
ザッフィーロが期待するような目で白雪を見る。
「また機会があったらね。そもそもさっき敵よりも多く食べてたわよね」
じとーっとした視線を白雪は向けると、ザッフィーロはそうだったかなと惚けた様子で首を傾げていた。
「まあ血は流れなかったけど、スイカ塗れになってしまうなんてね……」
ベリザリオはスイカの返り果汁で塗れた織久をハンカチで拭ってやる。
「喉が渇きました。またスムージーを作ってくれませんか」
されるがままになっていた織久が口を開くと、ベリザリオは今日一番嬉しそうに笑ってもちろんと頷いた。
「このフルーツ持って帰ってもいいのかな? もう収穫してるし少しくらいなら構わないよな」
クックが山積みとなったフルーツを見上げ、ぽぽいと籠一杯に回収しておやつをゲットした。
「まだフルーツがあるのなら何か作ろうか?」
シュデラがそう申し出ると、その提案に乗って皆が一息ついてから帰ろうかと椅子に腰掛ける。
キマイラフューチャーでの長い戦いが続くのだ。休める時に休んでおくのも猟兵の必須技能だと言い訳し、猟兵達はフルーツスイーツを堪能するのだった。
成功
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