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バトルオブフラワーズ⑤〜銃ヲ取レ

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

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「アナタはどうか分かりませんが、我々に勝てる者は居ないでしょう~? ハハハ」
「私でなくても余裕だし。ばーかばーか」


「……いや、その。悪気は無かった。売り言葉に買い言葉で……」
 アイシャ・ラザフォード(研究者・f01049)は真っ二つに割れたキマイラフューチャーを背景に、気まずそうに視線を逸らす。
 向けられる視線に小さく咳払いを返せば、彼女はあなたたちへと向き直った。
「二つに割れたキマイラフューチャーの危機を救うには、まずは目の前の敵を倒さないといけない。これを倒せば、システム・フラワーズへの道が開く」
 異常が検知された物資供給機構システム・フラワーズへと辿り着くには、まずはオブリビオンを排除しなければならないのだ。
「今回の敵は、少し特殊。没入型のゲーム世界の中で、彼らと戦って貰う」
 ゲーム世界、デジタル空間の中。今回のオブリビオンはゲームクリアを目指す過程で出現するという、特殊な現れ方をするのだという。
「ゲームの設定は――戦場。シューティングゲームは知ってる? First Person shooter……FPS、というのだけど」
 リアルな戦場を模した世界。そこで銃を手に取り敵を倒すという、一見単純にも思える対戦型ゲームである。あくまでゲーム内ではあるが、戦場の制圧が目標だ。
「ゲームクリアを邪魔するために、オブリビオンも銃を持って出てくるはず。それも複数。だから――」
 今回の依頼を受けてくれる猟兵――あなたたちを彼女は見回した。その視線は遊び心の無い冷たいものであり、しかし瞳の奥には感情が燃えているようにも思える。有体に行ってし合えば、ゲームに本気(マジ)なのだ。
「――だから、あなたたちはチーム。このゲームにおいて1対多数は不利にしかならない。あなたたちには、即席でチームを組んでもらう……それぞれのやりたい役割でいい。得意なことをこなせば、それが力になるはず」

 さあ銃を取れ。勝利の栄誉を心に、栄光をその手に掴むため。

 ――戦場は、ここにある。


ねこです
 ばーかばーか、というわけでこんにちは! オフにエア参加を果たしたねこです、です。
 今回はキマイラフューチャーより、FPSをお送りします。

 プレイングは、皆さまの別々のプレイングを勝手に組み合わせて書かせていただきます! なので、自分がFPSですることを自由に書いて下さい。突撃でもよし、サポートに回るもよし、カバーに入るもよし。特にタイトルは決めていませんので、自分の好きな役職をこなせばいいと思います。

 皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『模倣怪人ノッペロイド』

POW   :    倒錯のマスク
自身の【なりきっている役柄にふさわしい振る舞い】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    対策のマスク
いま戦っている対象に有効な【役になりきれる絵柄の仮面】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    贋作のマスク
対象のユーベルコードを防御すると、それを【使い手の猟兵の顔が描かれた仮面に変換して】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。

イラスト:傘魚

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●プレイング受付期限について
 本日夜(5/4夜)くらいまでは何となく受け付けておりますので、時間気にせずお送りいただければと思います。よろしくお願いします!
有り難くもプレイング投げたいという方がいらっしゃったので、受付期限を明日昼頃までちょっとだけ延長します! そこから執筆→公開しますのでよろしくお願いいたします。
●プレイング受付期限→5/5 13:00まで
●MSより
 期限きれないようにリプレイ執筆を開始させていただきます! が、13:00はもちろんのこと、本日夜(5/5 23:00程度まで)くらいまでは執筆しつつも増やせる余地がありますので、プレイングは受け付けております。
 皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
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セルマ・エンフィールド
FPSというのはやったことはありませんが……要は戦場で敵を撃ち、制圧すればいい、と。それならば得意分野です。

私の改造済みマスケットがゲーム中で本来の力を出せるかは分かりませんし、ゲーム内にある狙撃用ライフルをもらっていきましょう。

あとはオーソドックスに。攻める味方の後ろから上手く隠れながら援護をし、敵が見えたら撃つ。その繰り返しで味方の接敵前に敵の数を減らします。

敵にもスナイパーはいるでしょうが、そこは目と腕と速さの勝負。負けるつもりはありませんよ。

対オブリビオンへのUCは【氷の狙撃主】を。ゲームの敵だろうが、オブリビオンだろうが、スコープの向こうにいるのは獲物だけです。


メルティア・サーゲイト
 私の場合、FPSとか言われると出来る事が減るんだが、
「やる事は変らないんだよなァ」
 ドールユニットに近い外見のアバターを使って武器はもちろんガトリング。FPSでガトリングを何に使うのかって? そりゃもちろんポイントマンだよ。思いっきり撃ちまくって暴れまわり要所を固めつつ囮になって味方の進軍をアシストする。単純に見えて結構難しいロールなんだぜ。まァ、
「何より撃ちまくれることが一番なんだがなァ!」
 当然、撃ち合いなら負け知らず。移動は遅いが、死角の少ないカバーに入る事でフォロー。別に当てる必要はない、ここにヤバいのが居るって事を知らしめればいい。


国木田・光星
ははっ、ゲームみたいな仕事だと思ってたけど本当にゲームもできんだな。
よーし、UDCアースの平均的な10代のゲームスキル、見せてやらぁ!

と、息巻いたものの俺FPS苦手なんだよな。
だから前線は無しだ。
後衛から、レーザーガンでもあれば使わせてもらうかな。
なかったら銃ならなんでもいい。

仲間がいるんだよな?
んじゃあそいつの後ろから牽制と援護に努めるぜ。
ボス戦でも変わらずだ。

UCを使われるんならめんどくせぇから今回は虫呼びは無しだ。
万が一仲間が傷ついた時に、UCで回復支援てとこだな。
戦場衛生兵なんて立派なもんじゃねぇが、後ろは任せろ。安心して突っ込んでくれや!

◼️アドリブ共闘歓迎です


シュデラ・テノーフォン
うん分かった、銃ね
自前でいいよねってか自前で蹴散らしたい

ハーキマー、索敵して
俺は隠れて不可視の狼に敵の捜索追跡させる
獲物発見次第、俺が狙い撃つか一番狙えるトコにいる仲間に合図を送る
基本的にヘッドショットで即片付けたいかな
援護射撃も任せて
固まってる獲物は雷の精霊弾で連鎖電撃喰らわそうか

ハーキマーの五感や野生の勘も頼りに敵の気配や攻撃を察知し
指輪の盾で防いでカウンターショットも狙おうか
あァ仲間の防御もやろうか、コレでもパラディンなんだよ
ただの銃兵じゃないとこ見せないとね

最終的には障害物に隠すようにGlasregenの複製銃を其処らに配置
獲物共の死角から一斉射撃で蹴散らそう
うん。FPSって楽しいね!


ニトロ・トリニィ
FPS?… なるほど、ゲームの中で銃を撃ちまくれば良いんだね。
… そう言えば、ゲームってあんまりやった事無いんだよなぁ〜…
みんなの邪魔はしないようにしないと!

【行動】
使う銃は… 現実世界でも使用していた軽機関銃を使おうかな。
いわゆるマシンガンナーって感じの立ち位置だね。
これで、《第七感》を発動して色々と僕達が有利になる様に上手く活用しつつ、技能〈援護射撃〉なんかを使いながら味方の行動を助けるよ!
敵が近づいて来た時は、サブウェポンのハンドガンで〈カウンター/クイックドロウ〉を使って対処してみるよ。

アドリブ・協力大歓迎です!


エメラ・アーヴェスピア
え…えふぴーえす?…あぁ、そういうゲームなのね
余りゲームはしないから聞き覚えが無かったけど…それなら何とかなりそうかしら
時間よ、同僚さんも揃ったみたいだし…猟兵の仕事を始めましょうか

それじゃ私は高い所から『ここに始まるは我が戦場』を展開
上空からの地形に同僚さんや相手の配置を【情報収集】
それをリアルタイム更新するマップを制作
同僚さん達が見れるように邪魔にならない位置に電脳ウインドウを追跡させるわ
そして…『我が砲火は未来の為に』
呼び出すのは中型の迫撃砲(命中力重視)数門
同僚さん達がマップから要請をした場所に砲撃支援を行うわ
…それは本来システムの仕事?そんな事言われても困るわよ…

※アドリブ・絡み歓迎


夕凪・悠那
なにこれ面白そう。
いやまあ一大事ってのは解ってるけど、それはそれとしてさ。
――腕が鳴る。

【英雄転身】でFPSのキャラになり、身体能力強化してアタッカー。
FPSの経験を活かして立ち回るよ。
突出、孤立厳禁。
バックアップ受けられる位置を維持。
[第六感]で敵の位置や視界外の敵エイムを[見切り]、[早業]でエイムしてヘッドショット狙うよ。
飛び出してきた敵は[第六感]で敵味方判別して決め撃ち。

このゲーム、戦争終わったあとも残らないかな。

絡み、アドリブ歓迎


フィランサ・ロセウス
敵味方に別れて撃ち合うゲームね!こういうの好き!

私の装備は最低限…中でも使う武器はトマホークのみ!
一見無茶にも見えるこの構成も
発砲音から位置を推測される危険とは無縁だし、
装備重量が少ないから移動速度が上がる利点があるわ
(まあ一番は趣味だけど)

マップはしっかり把握しておく
物陰や死角をフルに活用しながら敵を捜索
敵発見時は遠ければ投擲、近くなら忍び寄ってザックリとやっちゃうよ
仕損じた時や敵の数が多いときは深追いせずに後退、
味方の射線が集中するポイントに誘い出して餌になってもらうわ


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

…あたし、弓と拳銃以外ほっとんど使ったことないのよねぇ。
付け焼刃じゃちょっと不安だし、拳銃でプレイするわぁ。
連射力じゃARやSMGには勝てないでしょうけど…拳銃にだって、ちゃんと利点はあるのよぉ?

正面は他のメンバーに任せて、〇目立たないように裏周りからの遊撃に回るわぁ。
〇ダッシュ・ジャンプ・スライディング駆使して走り回りながらグレネードの〇投擲や〇先制攻撃の●封殺で各個撃破していくわよぉ。
足は止めずに機動戦仕掛けるわねぇ。

拳銃の利点は軽さと隠密性の高さ。
抱える必要ないからガチャガチャ音もしないし、全力で走れるの。
あたしこう見えて、かくれんぼも鬼ごっこも得意なのよぉ?


モース・レフレクソン
チーム【鉄の人形】
ゲームの中でオブリビオンを倒す…初めてだが、内容はFPSと聞いた…腕試しには丁度いいだろう。
俺が使うのはセミオートスナイパーライフル…このゲームにあればドラグノフを使いたい。
遮蔽物や高台を探してユーベルコード【精密狙撃】を使って正確に頭をぶち抜いていく。索敵もサイバーアイを使って可能な限り捉えていこう…。

この仕事にはアイリスと行くが、せっかくだ…敵を倒すついでに狙撃で競い合うとしよう。まぁ…俺が勝つがな。
アイリスは…何を使うのやらな…まぁ、何使っても俺が勝つが

俺 が 勝 つ が な

※アイリスと競えるのでちょっとはしゃいでます。


アイリス・クラウディア
【鉄の人形】アドリブ歓迎

【目的】
狙撃でキル数を稼ぐ
(※モースと競争)

【行動】
FPS。たとえゲームの中だとしても、狙撃で私に勝つなんて、100年早い…。

私は【一撃必殺】を使って 敵を狙撃
ヘッドショットで敵を確実に仕留める。

使う武器はボルトアクション方式のSR

――実力(スナイパー100)の差、見せつけてあげる。

……ゲームの中の銃の性能、癖、楽しみ。いろいろ試し打ちできると、いいな。

【関係性】
モースとは過去に同じ傭兵団で戦っていた仲間。良くも悪くもモースによく絡まれる。人見知りアイリスが唯一冗談が言える仲間でもあります

【口調】
彼女は言葉を慎重に選ぶので、言葉が途切れがちです。
ぶっきらぼうな女の子口調




 立ち並ぶビル群のひとつ。その屋上に佇む一人の少女(36)――エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)。
 人形の瞳で眼下を俯瞰する彼女の髪が、デジタル世界で再現された風に揺れる。
「……時間ね」
 ぽつり、呟く彼女の手からそっと放られたのは、小さな缶のようなもの。その数は尋常でなく、既に100個以上のそれが屋上全体へと転がっている。
「同僚さんも揃ったみたいだし、猟兵の仕事を始めましょうか」
 目的はオブリビオンの排除。
 エメラの言葉と共に、とある缶から微かな蒸気音が周囲へと響く。次の瞬間、側面に小さな亀裂が走ったかと思えば、それはドローンへと姿を変え宙に浮かび上がった。
 続くように、次々に空へと飛び立つドローンたち。
 これは彼女の、いわば“目”であり、今回の作戦においての情報戦の要でもある。
「皆さんへ。視界の隅の地図……マップに、索敵結果を反映するわ。それをよく見て戦って……メルティアさん、10時~13時。敵影4」
「敵4、了解。オラオラオラァ!」
 マップに映る、敵を示す赤い光点は4つ。メルティア・サーゲイト(人形と鉄巨人のトリガーハッピー・f03470)は敵の位置を確認しつつも一歩前進し、構えた銃の引き金を引く。
 ここまではいい。いいのだが……問題は、手にしたその銃の方である。
 アサルトライフルでもサブマシンガンでもない。およそ最前線に立つのに似つかわしくないその銃の名は――ミニガン。UDCアースでの正式名称は、M134。
 毎秒100発に迫ろうかという勢いで弾丸を吐き出す化け物の如きガトリングを構え、私はここにいるぞと言わんばかりに横一文字に周囲を薙ぎ払う。
「ほらほら、ビビってんのかァ? さっさと出てきな、穴だらけにしてやるぜッ!!」
 無限に弾を撃ちまくれるゲームの世界に唇の端を愉しそうにつり上げるメルティア。
 通常であれば、動きの遅いミニガンの射手など、複数の銃口を向けられて一瞬でお陀仏である。しかし、無駄に上手い立ち位置と無駄に正確な射撃精度、そしてカバーに入っている味方2名のこともあり、敵であるNPC4体は遮蔽物にくぎ付けにされてしまったのだ。
 コイツはヤバい。敵にそう思わせ注目を集めることを主旨としていた彼女の作戦は、見事にハマったと言っていいだろう。
「やぁ、すごいね。あれは真似できないな」
「とか言ってゴツいの持ってるじゃねーか! 分隊支援火器、ってやつだろ。それもそうそう真似できないぜ」
 自身の手にある軽機関銃を棚に上げてぼやくニトロ・トリニィ(楽観的な自称旅人・f07375)に、国木田・光星(三番星・f07200)が鋭くツッコミを入れた。
「そうかな?」
 軽機関銃rosé――M249とよく似た外見のそれは、確かに光星のもつ一般的なアサルトライフルと比べると大きく、そして長い。
 弾倉には、彼の愛銃であることを示す『rosé』の文字が書かれ、それも相まって只ならぬ存在感を発していた。
「たぶん少ししたら、あの影から頭を出すからよく狙って――ほら」
「おお、すごい」
 途切れない弾丸の雨に耐え切れず頭を出した敵オブリビオンの元へと数本の射線が殺到し、即座にそのHPを0にする。敵にとっては1人くらいなら痛手ではなく、むしろ囮としての役割を果たしたのだが――その正確無比な射撃に舌を巻く結果となった。
「よく分かるな……俺FPS苦手でさ。よかったらいろいろ教えてくれないか?」
「僕程度にできることがあるなら、いいよ。幸い彼女……メルティアのおかげで、少しこっちに余裕もあることだしね」
 光星の申し出を快諾するニトロ。ゲームをしたことはほぼなかったものの、現実世界と変わらぬその感覚に問題ないなと内心頷いていた。
 絶妙な立ち位置で敵の注意を集め続けるメルティアをカバーするように、この時だけの2人のコンビは動き始め、着実に敵を屠っていく。

 そんな戦場を遠距離から見つめる一つの銃口がある。

 敵部隊の遠距離職――スナイパーである。混沌とし始めた戦場を輪の外から見つめ、前線で弾をばら撒くガトリングの少女の眉間へと照準を合わせた。
 息を閉ざし、揺れを無くし、引き金を引き絞る。距離よし。風向きの計測もぬかりなく。髪の毛一本まで絞った人差し指に、そっと力を入れて――――。


「――1ダウン。快調ですね」
 超遠距離から敵の後衛にいたスナイパーへのヘッドショットを決めたセルマ・エンフィールド(終わらぬ冬・f06556)は、ほっと息を吐く。
 順調を装ってはいるが、思わぬ前衛の味方の危機に、咄嗟に狙撃対象を切り替えたのは内緒だ。
「FPSというのは初めてやりましたが……このゲーム世界なら、現実と大差ありませんね」
 敵を撃ち、ただ制圧すればいい。それならば自分の得意分野であり、現実とあまり齟齬のないこのゲーム内においては簡単なことであった。
「……と、あれは……」
 セルマはとある敵を見咎めると、スコープの中に収めたその足元を射撃し氷漬けにした。
 手榴弾を投擲しかけていた敵はつんのめり、自身の足元に転がる取り落とした手榴弾を見て絶望の表情を浮かべるのだった。


 敵陣の裏側、そこに2名の猟兵の姿がある。
「接敵前のこの緊張感……こういうのも好き!」
「あら、まだだめよぉ?」
 抑えた声音で会話を繰り広げるのはフィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)とティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)。
 それぞれの手に小さな得物を構え、彼女たちは物陰から顔を覗かせる。その視線の先には敵部隊の集団――簡易的な回復場だ。
「…‥そろそろね」
 ピンを抜いた手榴弾を握り締め、きっちり数える3カウント。
 放ったそれは綺麗な放物線を描き、敵地の中央で炸裂する。
「開始よぉ」
 見た目と1800度ほど違う声音でそう呟くティオレンシアの声を合図に、その場での戦闘は幕を開けた。
 音もなく投擲されたトマホークが眉間へと突き刺さり、敵の一人が粒子となって消え失せる。
「まずはひっとりー」
 物陰から物陰へ、追い縋る敵を曲がり角と出入口を駆使し、瞬時に巻いて背後から別の敵を一刺しにするフィランサ。あまりにも軽い装備は足音さえも軽減し敵を攪乱する。

 そうして混乱する敵陣の側面から追い打ちとばかりにハンドガンの銃声が鳴り響く。綺麗に7発で一人のHPをゼロにした相棒の弾を込めながら、彼女はスライディングで障害物の下を潜り抜けた。
「そろそろ誘導よぉ」
「おっけい! 例の場所へ行くのね」
 障害物の先で示し合わせたように落ち合った彼女たち二人は、その装備では考えられないほどの戦果をあげつつも一度引くことを選択する。逃げ回り攪乱するにも限度があり、ある程度の時間を持って体制の立て直しが住めばハチの巣にされると理解しているのだ。
 そして――この撤退は、戦略的撤退でもあった。


「今、何人目だ?」
「さっきも、聞いてた。33」
「チッ……」
 数メートル離れて横並びになった2人は揃ってスナイパーライフルを構え、伏射姿勢で同じ曲がり角を照準に収めていた。
 そこは数十秒前にトマホークを構えた少女とハンドガンを片手に持った女性の二人組が“作戦通りに”駆け抜けた箇所。その地点全体を見下ろせる高所に陣取ったモース・レフレクソン(サイボーグの戦場傭兵・f06734)とアイリス・クラウディア(戦場に咲き誇る小さな花・f09353)は、競い合うように――いや、倒した敵の数を競って狙撃を行っている。
「いくつ」
「……30だ」
 アイリスはスコープから顔を上げ、モースへと視線を送る。
 その視線に訝し気な雰囲気で顔を向けた彼は、彼女の指が自分のことを指差しているのを見た。
「負け」
「うるさい」
「私の、勝ち」
「まだ勝負はついていない」
 モース30、アイリス33。現在のスコアである。
 二人は同じ所作で視線をスコープへと戻すと、同時に発砲。綺麗に頭を抜かれて粒子となる敵2人。
「これで、34」
「まだ時間はある」
「たとえゲームの中だとしても、狙撃で私に勝つなんて、100年早い……」
「次が来るぞ……俺が勝つ」
「モースのスコアが、少なくて……私のスコープに、映らない。小さい」
「アイリスの方が小さいだろう」
「?」
「……背とかな」
「…………」
 ちょっとイラッとしたかもしれないアイリス。
 戦場だというのにどこか牧歌的な雰囲気が流れているが、そんな空気も二人のすぐ後ろ、背後側の草の茂みが揺れたことによって吹き飛ぶことになるのだ。
 背後から押し寄せたのは――敵部隊。あまりに処理され続け業を煮やしたのか、スナイパーを放置できず裏へと回ってきたのだ。
「……アイリスのせいだろう」
「……モースのせい」
 各々のサブウェポンに手を伸ばしつつ、この期に及んで責任のなすりつけ合いを始める二人は――やはり、仲が良いのだった。


 現実世界でならいざ知らず。このゲームにおけるスナイパーというポジションは、イメージと違わず接近戦に弱い職種である。
 モースとアイリスには目の前で発射された複数の弾丸全てに対処する時間は無く、ゼロにならないまでも一定量のダメージは覚悟しなければならないかと思われた。二人が対処に追われ、一定時間スナイパーの存在しない有利な時間が敵へと与えられる――しかし、そんな運命を覆した者達がいる。

 銃弾が来るはずの二人の前に現れたのは、まるで緻密なガラス細工で出来たかのような大きな盾。見た目と違い丈夫なそのシールドは、着弾するはずだった弾丸のほとんどを受け止めて尚、そこに存在している。
「大丈夫か?」
「あぁ……助かった、例を言おう」
「構わないよ」
 指輪から展開した盾を消し去り、即座にカウンターで敵の一人の脳天をぶち抜くシュデラ・テノーフォン(天狼パラフォニア・f13408)の姿がそこにはあった。
「ありがとう、ハーキマー。さて……始めようか」
「了解(ラジャー)。いいタイミングだったね」
 声に答えたのは、夕凪・悠那(電脳魔・f08384)その人である。
 使用したユーベルコードは『英雄転身』。この世界における身体能力を底上げし、シュデラの対処できない敵を対処に回させるか処理していく。
「夕凪くん! アレをやる」
「OK、5秒待って」
 彼女の戦闘は一騎当千の一言に尽きる。
 障害物で数本の射線を遮り、目の前の敵をヘッドショットで素早く処理。続いて自身を狙うであろう視界の外の敵からの銃撃を横移動することで避け、振り向き際に屈んでヘッドラインをずらし2人目をキル。また視線を90度戻せば、足音に合わせ曲がり角に銃弾を流し込み、飛び出た敵を撃破した。
「行けるよ、やっていい」
「ありがとう。よし――綺麗な雨を観せようか」
 チャキリ、という微かな音と共に響くのは、複数の銃口からの発砲音。敵の背後、上、完全な死角に展開された膨大な数の硝子細工の銃――Glasregenから銃弾が一斉に発射され、その場にいた敵部隊を一掃した。
 運よく範囲外にいた撃ち漏らしは言わずもがな、夕凪がきちんと処理している。
「――うん、FPSって楽しいね!」
「当たり前……このゲーム、戦争終わったあとも残らないかな」
 2人がそんな緊張感の無い呟きを洩らしてから数瞬後、視界に表示されるcongratulationの文字。

 この裏回り部隊を最後に、この区画の銃撃戦は『勝利』で幕を閉じたのだった。

 終了後、自身の迫撃砲の出番がなかったことをぼやく金髪の少女がいたという話だが、真偽は定かではない――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月08日


挿絵イラスト