バトルオブフラワーズ⑥〜キメポーズ・ダンス!?
こんこんこん。
ファータ・カンタータ(遥か彼方の花びら・f02060)がグリモアベースの地面を叩く。
するとぽんぽんぽん!と空中に突如花が出てきた。
「……えっと、擬似的に説明しましたが、キマイラフューチャーの『システム・フラワーズ』というのはこういうものです」
今出てきた花は彼女が魔力で出したものらしい。
今回行われる『バトルオブフラワーズ』は先程彼女が行ったように壁や地面を叩くと物が出てくるシステムを守るための戦いだ。
キマイラフューチャーならどこでも出来る不思議な仕組みだったが、この世界が今現在のように真っ二つになるまで明らかにされていなかった。
何故か出来る、当たり前のモノ。それが今オブリビオンの手で失われようとしている。
キマイラフューチャーの住民は生活をシステム・フラワーズに大きく依存しているため、このシステムがなくなれば立処に世界は滅んでしまうだろう。
「皆さんの楽しい暮らしを守る為にも、今回見た予知のご協力をお願いいたします!」
彼女はそう言うと、今回見た予知の内容について話していく。
今回戦う場所はメンテナンスルートの道中で、オブリビオンが行く手を阻んでいるらしい。
「予知ではホール? ライブ会場のようでした。誰もいませんが、そこでオブリビオンが破壊活動をしているようで廃墟化しています」
主に戦闘はそのライブ会場のステージ上で行われることになるだろう。
ちなみにその戦闘の様子はテレビウム・ロックで救出したテレビウムの画面を通して、キマイラフューチャー中に中継されるそうだ。
「それで……原理はよくわからないのですが、それを見ている人の反応が大きく戦闘面を左右するそうです」
彼女曰く、観客を盛り上げるようなパフォーマンスをしながら戦闘すれば、戦いを有利に進められるということだ。
逆に盛り下がれば技の威力は半減しまうそう。攻撃する際は必ずパフォーマンスを盛り込んだほうがいいだろうと念を押す。
「今キマイラフューチャーはいろんなブームが訪れていますが、ダンスブームもかなり熱いのです」
今回の敵も何やら踊りながら技を繰り出してくるらしく、こちらもダンスをしながらユーベルコードを放つのが効果的だろうとファータは言った。
中でも最後に『キメポーズ』をすれば観客は大盛り上がり間違いないらしい。
「長々とお話してしまいすみません」と彼女は頭を下げると、要点をまとめて説明していく。
「今回の予知で行われる【戦闘はキマイラフューチャーに生中継】されています。戦いを有利に進めるには【中継先の観客をダンスパフォーマンスで沸き立たせる必要】があります。そのため【敵も踊りながら技を繰り出して】きます。【最後にキメポーズ】すると効果的です」
もちろん戦闘をし敵を倒さなければならないので【ユーベルコードとダンスをうまく組み合わせる】ことがカギとなっていくだろう。
「ダンスが得意じゃない人も、キメポーズだけ頑張ればなんとかなると思います。連携して紙吹雪などのパフォーマンスサポートに徹するのもいいかもしれませんね」
ファータはそこまで言うと「説明は以上です」と再びお辞儀をし、グリモアを展開させていく。
「皆さんの勝利を! 祈って! ます!」
ゲートを展開するとピースした手を額にやりぴしっとキメポーズをする。
その後彼女は照れくさそうに微笑むと、どうかお気をつけてとひらひら手を降ったのだった。
苗木 葉菜
こんにちは、苗木です。一足遅れての戦争シナリオとなります。
今回はダンスステージです。【踊って攻撃しないと技の効果は半減します】。
踊りは苦手だよってお子様は最後のキメポーズだけ頑張ってくれれば効果は上がります、多分。恥じらいも観客にはいいエッセンスです、多分。
盛り上がる演出のサポートに徹するのもアリかもしれません。
逆に敵のダンスを妨害する行為なんかも楽しそうですね。
ダンス用語は疎いので専門用語を使う場合は検索して出てくる単語を使ってプレイングを書いてくれると嬉しいです。お手数おかけします。
俺も疎いよって人は楽しく踊りながらこのタイミングでユーベルコードを放つとかふんわりしたのでもOKです。
それでは皆さん戦争というわけで気を引き締めつつ、楽しく踊って戦ってください。
お気をつけて。
第1章 ボス戦
『怪人『オンナマズ』』
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POW : ジャイアントナマズ
自身の身長の2倍の【巨大ナマズ怪人 】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD : ナマズ人召喚
レベル×1体の、【後頭部 】に1と刻印された戦闘用【ナマズ人】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : 矢ナマズ発射!
レベル×5本の【雷 】属性の【刺さるデンキナマズ】を放つ。
イラスト:烏鷺山
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠鳥渡・璃瑠」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
キマイラフューチャー、都市部。
うろついているテレビウムたちが、ぴたりと立ち止まる。突如彼らたちの画面が切り替わった。
ぴ、ぴ、ぴ、ぴーん。
『さあ始まりました〈ザ・ダンスステージ〉にて行われるヒーローショー!』
テレビウムから流れる音声、この声はどこから出ているのか、誰がやっているのかはわからないが、キマイラフューチャーの住民には些細な問題だった。
なにか面白そうなことが始まる。
それだけで、彼らはテレビウムの前に集まる理由になった。
『ヒーロー・イェーガーたちに立ちはだかる今回の怪人はー……?』
テレビウムに映るのはどこかのホールだろうか、大分破壊されているようだが、そこの中心には一つの人影がいた。
それは長い尾びれにも似た黒髪を振り乱し、ワガママなボディを見せびらかす黒い怪人。
『その名も【オンナマズ】! にょろりとぬめった彼女にイェーガーたちは勝利することができるのかー!? Soon after this!』
皆の声援が力になる! イカしたダンスをしたらここぞとばかりに盛り上がってくれよな!という司会者の呼びかけに、キマイラフューチャーの住民たちは歓声で返したのだった。
イリスロッテ・クラインヘルト
レッツダンス!なのです!
…みんなが喜ぶ感じにやればいいなのですよね?
◆煌めけ飛びたてミレナリィドール!
イリスだって立派なスカイダンサー!
踊って戦ってみせるなのです!
【希望の虹翼】を発動、背中に虹色の翼を背負うなのです!
『みんなの希望を翼に乗せて!』
スカイダンサーの華麗なステップと翼の飛翔パワーで
お空で素敵に舞うのです!
攻撃なんかもその勢いで避けるのです!
そして隙を狙うのです!
「えーい!イリス、キーック!」
ていやぁ!と敵ちゃんにキックして
そのままお空で虹色に光って決めポーズ!なのです!
これならイリスも埋もれない!
キマイラフューチャーのみんなに、猟兵はかっこよいのですと
アピールなのです!
オンナマズが荒れ踊るステージにて、まずはじめに降り立ったのは一人の少女。
透き通るような白い肌、さらりと長い桃色の髪。あどけない表情に、八の字眉。
一見するとただの可愛らしい女の子だが、膝の球体関節がミレナリィドールであることを示唆していた。
『おおっと、まず初めに現れたのは可憐な少女だ! その小さな身体でオンナマズとどう戦っていくのか!?』
司会のアナウンスが流れる。イリスロッテ・クラインヘルト(虹の聖女・f06216)はどこからか聞こえる声にか、それとも見慣れない場所にいるからか、きょろきょろと辺りを見回した。
ゆらりとオンナマズがイリスロッテを補足する。
「ヌヌヌ……!!」
オンナマズはぐぐぐと力むと自らの体長の二倍はあるであろう、巨大ナマズ怪人を召喚した。
『おおっとオンナマズ側から巨大なナマズが出現! オンナマズと一緒に踊っているぞ!』
「はわー……」
大きいそれを見上げるイリスロッテ、その表情は物珍しいものをみるかのような顔で、恐怖などは存在しないようだった。
それどころか、少女は楽しそうな様子で弾むようにステップを踏む。
「レッツダンス! なのです!」
イリスロッテはぴょんと元気に飛び上がると、そのまま“希望の虹翼”を発動させた。
「みんなの希望を翼に乗せて!」
美しく、透き通るような七色の翼がイリスロッテの背に生える。
『な、な、なんと! 少女が跳んだ。いや飛んだー! 俺の希望も乗せてくれー!』
司会の声を聞きながらくるんと一回転。テレビウム越しの歓声が、何故だかこちらにも聞こえてきていた。
「ふふ、イリスだって立派なスカイダンサー! 踊って戦ってみせるなのです!」
少女は巨大なナマズ怪人の頭まで来ると、敵を足場に軽やかに飛ぶ。ちょっとぬめっとしたが気の所為だろう。
「ホップ! ステップ! ジャーンプ! からの、ターン! なのです!」
観客がいる効果だろうか、いつもよりも身体が軽く感じた。
ひゅんひゅんと、時折回転し踊るようにしながら巨大ナマズ怪人を翻弄するイリスロッテ。
小柄なそれを捉えようと巨大ナマズ怪人は手を伸ばすが、その手さえ踏み台に。駆け上がろうかと思ったが滑って転びそうなので再び飛んだ。
縦回転をして勢いをつけるイリスロッテは、そのまま巨大ナマズ怪人に踵落としをお見舞いした。
「ていやぁ! イリス、キーック!」
『おおっと少女の踵落としが決まったぁー!! 巨大ナマズの頭部が大きくへこむ! そして……そのままオンナマズの元へと倒れていったぁー!』
司会の言う通り、ずぅんと地響きをならしながら巨大ナマズが倒れ込む。よく見ればつぶらな瞳がぐるぐると回っていた。
イリスロッテ追いかけるあまり、目を回していたのもあったのだろう。イリスは倒れゆく巨大ナマズを横目に自身の翼を一層輝かせた。
『う、美しい、美しい七色の光がステージを包み込む! そしてその中心にいるのは――!』
光の中心でふわっと回転し、少女は元気に跳ね上がるポーズで可愛らしくキメるイリスロッテ。
『イェーガーだー!!』
すとん、と着地すると同時に沸き起こる歓声、萎みゆく巨大ナマズ怪人。
オンナマズは押しつぶされたもののまだ元気いっぱいに起き上がっていた。
ともあれ、みんなが喜ぶ感じに出来ただろうし、これで猟兵のかっこよさをアピール出来ただろうか?
イリスは満足気に微笑んだ。が、
『こんなに可愛いイェーガーがいていいのか!? 戦いはまだこれからだー!』
可愛いという単語に彼女は「あれ?」と可愛らしく首を傾げたのだった。
成功
🔵🔵🔴
高鷲・諒一朗
ダンスなら任せてくれよ、ってなぁ!
スカイダンサーの真髄を見せてやらぁ!
まずは楽しむことを第一に
『ダンス』技能を最大限活用
ダンスは一番得意なフラメンコを
ここを情熱の国にしてみせようぜぇ!
ステップを踏みつつ溢れるパッションのままに踊るぜぇ
長い四肢を使って腕の振りや体のひねりも加え演出しつつ
しっかり最後まで踊りきるぜえ
もちろん決めポーズはしっかりとなぁ
オーレ!
ここぞというときに攻撃できそうなら
『金狼ステップ』で攻撃していくぜえ!
『さあお次のイェーガーの登場だ! これはー……キツネ型のキマイラかぁっ!?』
軽快な司会のナレーション。キツネという言葉に耳をぴくりと動かした高鷲・諒一朗(ミルザム・f17861)は声に向かって顔を向ける。
「キツネじゃねぇ、ホッキョクオオカミだ!」
しかもキマイラではない。人狼である。もっとも人狼がいないキマイラフューチャーでは認知がされにくいのかもしれないが。
やれやれと言わんばかりに頭を掻いた諒一朗だったがそれも一瞬で、敵を見据えるなり真剣な顔つきに変わった。
「ダンスなら任せてくれよってなぁ! スカイダンサーの真髄を見せてやらぁ!」
しかしその表情は、どこか楽しそうだ。
彼は敵の前にしゃなりと出ると、大きな手振りで細やかな手拍子をしだした。
細かい手拍子だ。十二拍子のように思えるが、そこには三拍子と二拍子が入り混じっているように思える。
観客も物珍しいリズムにじわじわと期待を寄せているようだ。対するナマズも不審な素早い踊りを踊っていた。
踊っているオンナマズが、一体、二体、三体と数を増やしていく。やがてステージの半分を埋め尽くすであろうナマズ人が壮大なステップを踏んだ。
「……上等だぜぇ! 俺のフラメンコでここを情熱の国に変えてやらぁ!」
しかし諒一朗はそれに怖気づくどころか力強く踏み出していく。
そんな彼に負けじとナマズ人が襲いかかった。
しかし彼は踊りをやめない。長い手足を翻し、腰に捻りを加え、小気味いい音で靴をならし、時折キザっぽく襟元を正して敵の攻撃をいなしていく。
『どうやらこのイェーガーの踊りはフラメンコと言うらしい! なんてアツイ踊りなんだ!! それでいて力強く、誰も……誰も彼から目が話せないぃ!』
司会の言う通り、彼の細やかで力強い動きに観客も息を呑んでいる様子だった。
彼の指先を見ただけでも、情熱的な踊りだと感じるだろう。それくらい諒一朗のフラメンコはパッションに溢れ、敵群の中で目を引いていた。
「オーレ!」
びしっと決まるハレオ。瞬間、諒一朗の耳には割れんばかりの歓声が聞こえてきた。
オンナマズの群れの中にいても、尚映えるその金は再びステップを踏み出す。
「まだまだいくぜぇ!」
瞬間、一匹のナマズ人が宙を舞った。それは彼の“金狼ステップ”によるもので、足を振り上げざまに放った脚撃は面白いほど群れのナマズ人たちを吹き飛ばしていく。
この威力、恐らく観客の声援による効果もあるのだろう。
『こ、これは凄い攻撃だ! 彼のステップをナマズ人が止めようとするも意味を成さない! 片っ端からぶっ飛ぶ! 跳ねる! やられる! もうイェーガーを止めるものはいない!』
ステージの半分を覆うほどの群れは、いつのまにかまばらになり、そしてそれも諒一朗の蹴りで消え去っていった。
群れは消え去り、オンナマズの元へと向かう蹴り、彼女は咄嗟に受け止めたが、諒一朗はそのままにやりと笑って指を鳴らす。
「踊ろうぜぇ? くるくるってなぁ!」
同時に繰り出される第二撃。それはオンナマズの鳩尾に見事入り、高速回転をしながら舞い上がったオンナマズはそのままべしゃりと床に打ち付けられた。
『決まったぁー! イェーガーの蹴りが! 踊りが! 炸裂だぁー! 見事だったイェーガー! きっとキマイラフューチャーにも空前のフラメンコブームが来る日は近いぞぉ!』
オンナマズを仕留めこそできなかったものの、多大なダメージを与えることに成功したようだ。
司会の声と歓声をBGMに、諒一朗は軽く足うちをすると恭しく礼をするのだった。
大成功
🔵🔵🔵
マックス・アーキボルト
♡♥▽▲
ダンスでこの戦いを有利にできるなら、張り切らなくっちゃ!
今回は、演出と大道具で行ってみようかな。ちょーっと騒がしくなるけど、ね!
【極魔導式"魔砲楽団、大合奏"】発動、【念動力】でダンスホールを取り囲むようにキャノンを展開。僕も【ダンス】で参加するけど、メインはほかの人のダンスと攻撃に【見切り】でタイミングを合わせた【援護射撃】だ。
召喚されるナマズ人にも牽制として攻撃を加えよう!
どんな音楽やダンスだって【世界知識】と【学習力】で頭に入れてあるから、リズムも射撃も、ノリの良さだって併せられるよ!
山風・ラン
ダンスはよく分からないけどパフォーマンスなら何とかなるかな。
折角の機会だし色々試してみよう。
リズムに乗って軽快に動き回って敵を翻弄してみる。
敵のダンスに合わせると見せかけてターンしながらの射撃、背面を向けたり側転、宙返りしながらの射撃を当てて敵を踊らせるよ
チャンスがあれば敵を踏み台にして宙返りしつつの射撃、敵の脚の間をスライディングしながら射撃とかもしてみたいな。
一通り試して盛り上げられたらユーベルコードを撃ってトドメ、ホルスターはないけど銃を手元で回転させながら腰に収めるキメポーズ。
味方とパフォーマンスが合わせられそうなら即興でやってみたいな。
※連携・アドリブ歓迎
『おおっと吹き飛ばされてオンナマズもとうとう本気になり始めたか? 再びナマズ人を召喚していく!!』
司会の声、そして黒で覆われていくステージを見上げるのは山風・ラン(藍玉の従者・f15661)だ。
ずだだだだと足踏みのようなステップがステージ上で繰り広げられる。それが大勢でやっているものだから、ホールは軽い地響きのようなものが起こっていた。
しかし彼女は跳躍し、そんなステージ上に恐れる事なく降り立つ。深い森にも似た緑の双眸が、黒い群れを捉えた。
「ダンスは良く分からないけど、パフォーマンスならなんとかなるかな」
そう言いながらも、愛銃【針葉】を構える。
「じゃあ僕は大道具係も兼ねながらいってみようかな」
そんな彼女の傍らに立ったのはマックス・アーキボルト("ブラス・ハート"マクスウェル・f10252)。ちょーっと騒がしくなるけどね、と言いながらも発動したのは“極魔導式"魔砲楽団、大合奏"”だ。
「マキナエンジン出力全開ッ! アームキャノン複写―魔力ライン、オールセットッ!」
ステージを取り囲むようにずらり展開されたのは彼の装備するアームキャノン。それを驚いた様子で見ているランに、踊ろうと促すマックス。
あまり踊りを踊ったことのないランは、とりあえず目の前のナマズ人のようにステップを踏む、と。
どかん。
ステージを取り囲むアームキャノンから発砲された。続いてマックスがステップを踏めば彼の踊りに合わせて発砲音が響いた。
彼の技量でこちらのダンスに合わせているのだろうが、踊りに合わせてキャノンが発射されるのはなかなかに悪くない感覚だ。
断続的に響く発砲音。時に一発ずつ、時に重なり一つの音のようになる大砲は、着実に敵の数を減らしていっていた。
ラン自身も踊るだけではない。くるりとターンをしながら放つのはビーム照射だ。
緑色のビームが黒の群れを迸り、そのビームにも合わせて大砲の音がなる。
怒りに任せて大群を召喚したはいいものの、二人にとってはいい的だった。ランに飛びかかるナマズ人には大砲が、マックスの背後に忍び寄るナマズ人にはビーム照射が、お互いに補い合うように戦いながら踊っていく。
即興ながら息の合う二人のダンスに、観客も手拍子や歓声を上げた。
『男性のイェーガーはどうやら女性側に合わせて全面的にバックアップを行っているようだ! 踊りながらも大砲を遠隔操作するその手腕! 惚れ惚れするぜぇ!』
どこにカメラがあるのかはわからないが、観客を盛り上げるのも大事な役目だ。マックスはとりあえず上方向に手を振り踊りながらも、ランの射撃の腕に感心していた。
本人が言う通り踊りはそこまでやったことがないのだろう、だが持ち前の運動神経でなされるダンスはキレがあり、その動きの中で発射されるビームは確実に敵の急所を射抜いている。
更に言うのであれば、マックスの大砲で仕留めきれなかった敵に着実にトドメを刺しているのは彼女だ。
その観察眼を踊りながら発揮しているランのほうが、司会の言葉を借りるなら「惚れ惚れする」ものだろう。
そんなことを考えている間にふと見れば、あれだけいたナマズ人の大群がもうほとんどいなくなっていた。
ランがくるくると愛銃を回し、腰に収めるポーズを決めたのをみて、マックスも大砲を活用し彼女の姿に華を添える。
『ここでイェーガーたちの決めポーズが決まったぁあ!! 大砲を使用したド派手な演出に観客たちも大興奮だぁ!』
司会の言葉と同時に二人に届く歓声。残りのナマズ人とオンナマズは、それに悔しそうに地団駄を踏んでいた。
「トドメ、決めるよ」
ランの言葉に、マックスが頷く。彼女は軽く助走を付けるとそのまま側転、バク転、空中ひねりなどのアクロバティックな動きを見せて一気に敵との距離を詰めた。
その最中攻撃を加えようと飛びかかる敵をマックスの大砲が仕留めていく。
ランが銃を構えた。その瞳はオンナマズをぴたりと捉えている。
「樹海の光を、此処に――!」
彼女がぽつり言うと、愛銃に緑の光が集束した。次の瞬間、観客の力により強化された“影の深緑”の最大出力ビーム射撃が高速で繰り出される。
美しい深緑の線はまるで空中に絵を描くかのように軌跡を残しながらオンナマズを貫いた……はずだった。
『決まったと思ったその攻撃! しかしイェーガーの攻撃に割って入ったのは、ナマズ人の生き残りだぁああ!』
司会の声にまさかと思って目を凝らせば、オンナマズの前に生き残ったナマズ人が立ちはだかっている。いや、正確には取り囲んでいた。
マックスの大砲は彼女の周りを警戒していたせいか敵周りの動きに少し反応が遅れたようだ。彼もオンナマズに向けて大砲を発射するも、周りのナマズ人が倒れるだけで終わってしまった。
「くっ……」
ごめんと謝るランに対し、マックスが首を振る。
「まだ踊りは終わってないよ! 観客達が盛り上がり続けれるよう、頑張ろう!」
軽く握りこぶしを作りながら励ませば、彼女はうっすらと目を細めた。
そう、戦いはまだ終わっていない。これだけの分身を大量に発生させれば敵も疲れが見えてくるはずだ。
もう一息でオンナマズをこのステージから下ろすことができるだろう。二人は頷くと、再びステップを踏み出したのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
テルプ・ステップアップ
僕も参戦するよ!
初めましてオンナマズさんよろしくね。
おっとアブな!もう一緒に舞う相手は敬意を払おうよ!
僕のバレエは古式ゆかしいものだけでじゃなくポップやロックだって
バレエにアレンジできるの!
さぁ僕と一緒に踊ろうよ!パ・ド・ドゥ!(2人の踊り)
ダンス17で敵の周囲を回るように踊るよ。
旋回や跳躍・伏せで的を絞らせないよ。
それでいて無駄のない踊りと笑顔を振りまくの。
誘惑6、鼓舞5、逃げ足1で翻弄するよ。ダンスの最後で超至近距離まで近づいてユーベルコード「グラン・フェッテ・ピケ」でカーテンコールだよ!
「僕も参戦するよ!」
元気いっぱいに跳ね、颯爽とステージに上がったのはテルプ・ステップアップ(超速天然プリマ・f01948)だ。
『続いてのイェーガーはバーチャルキャラクターだぁああ! 可愛らしいチュチュに身を包んでいる、これはバレエを踊るのかぁ!?』
司会の声に大きく手を振り、肯定するかのようにルティレのポーズをするテルプ。
「初めまして! オンナマズさん、よろしくね!」
礼儀正しく挨拶をする彼女に対し、オンナマズは容赦なく巨大なナマズ怪人を召喚した。
テルプに対抗してだろうか、それらしいポーズを怪人と取ると、そのまま容赦ない蹴りをお見舞いしてくる。
「おっとアブな!」
彼女は美しく身体を反らしながらそれを回避した。その柔らかくしなやかな動きに観客も感嘆の声を上げる。
「もう! 一緒に舞う相手には敬意を払おうよ!」
軽く頬を膨らませ怒るテルプだったが、オンナマズと怪人は知ったことかと言わんばかりに突撃してきた。
しかし彼女は動じない。笑顔で敵を見据え、背筋を伸ばし手を差し伸べると、そのまま攻撃を受け流すように舞った。
「さぁ、僕と一緒に踊ろうよ!」
くるんと一回転して見事な着地。そこからテルプは怪人とオンナマズの周りをぐるぐると周りながらステップを踏んでいく。
オンナマズと怪人は動き回るテルプを捉えようと拳や足を振るうが、美しい曲線を描く彼女の軌跡を追うことは出来なかった。
ちらちらと目が合う彼女は、常に笑顔だ。その笑顔はモニター越しで観客を魅了していった。
徐々に盛り上がる会場、増すテルプの速さ、翻弄される巨大ナマズ怪人とオンナマズ。
「さあ、そろそろカーテンコールかなっ!?」
テルプが片足を鞭のように振り高速回転をしながら敵に近づく。そしてそのまま“グラン・フェッテ・ ピケ”を巨大ナマズ怪人にお見舞いした。
巨大ナマズ怪人はそれによりバランスを崩し再びオンナマズを押し潰す……はずだったのだが、ぬめりで軌道がずれたのか、巨大ナマズ怪人のみを倒す形となってしまった。
「むむむ……なんかぬめってしたし……」
再び頬を膨らませるテルプ。だが彼女の言う通り、カーテンコールの時間もそう遠くはないだろう。
成功
🔵🔵🔴
メルト・プティング
【トイボックス】
カワイイボクと運動神経抜群のベアータさん、そして光星さんの盛り上げがあれば負けるはずがありません!
というか光星さん、サイリウム捌きすご!そんな特技あったんですね、すごい!
ベアータさんと手を繋いで《念動走査》を発動、【情報収集】【第六感】で触れた手から思考を読み取りコンビネーション・ダンスです!
ベアータさんの動きに合わせて【念動力】による援護攻撃を挟みつつレッツダンス!
最後はビシッとキラッと可愛らしく二人でキメッ☆
…ベアータさん、照れちゃダメですよ?
あれ?今、楽しいって感情が《念動走査》を伝わってきました?
ふふ、ベアータさんも楽しめたみたいですね
このことは胸の内に秘めておくのです
ベアータ・ベルトット
【トイボックス】
…恥ずかしさをぐっと堪え、アイドル衣装を着てメルトと舞台に立つ
…さ、さっさと終わらせるわよ!
光星!終わったら速攻で忘れなさい!
光線射出機構を展開しWGを発動
レーザーは攻撃手段だけじゃなく舞台を彩る演出に
…イメージするのは、一緒に手を繋いだメルトの姿
元気一杯で、いっつも楽しそうにしてて…
そんな友達が、のびのび思いっきり楽しめるような
観客も、つられて魅せられちゃいそうな
そんな動きを意識して軽快にダンス
オタ芸に負けてられないわ!
飛び交う光の中、2人踊りながら敵の元へ
キメるわよメルト!
力を合わせた強烈な一撃を浴びせて、最後はビシッとポーズ…や、やっぱ恥ずかしい!
…でも
結構、楽しかったな
国木田・光星
【トイボックス】
踊って盛り上げてナマズと戦う。
…めちゃくちゃ面白ぇだろ。
俺は華がねぇから盛り上げだな。
しかしメルトは分かるがベアータもアイドルか。
ははっ、いいんじゃねーの?二人ともカワイイぜ。
サイリウムを指に何本も挟んで2人を応援だ。
なんつーんだっけ、オタ芸?
サイリウムを綺麗に魅せるダンスで応援だな。
「コミュ力」生かして周りも巻き込むか。
せーかいいち!かーわいいよ!ってな。
体力使うなこれ。
でも視聴者を「言いくるめ」ねぇとな。
途中で【七つ星】を吹き、光り輝く蝶を舞わせ、更に場をあっためるとするか。
劣勢のナマズにはレーザー光線をプレゼントしてやるか。
失望しました、オンナマズのファンやめます。
オンナマズのダンスステージもクライマックスを迎えるであろう時に、新たに降り立った猟兵が、二人。
『今度のイェーガーはー……可愛らしい女の子二人だぁあ! これは華のあるダンスが期待できるぞぉ!』
ステージに降り立った猟兵の一人目は、メルト・プティング(夢見る電脳タール・f00394)だ。スゴイカワイイ【JK制服】に身を包み、自信満々の表情をしていた。
そして微妙にその影に隠れ気味で立っている二人目は、ベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)。普段は澄ました様子で仲間にも冷静にツッコミを入れる彼女だが、今彼女の表情はどこか恥ずかしさを堪えているようだ。それもそのはず、彼女の身を包んでいるのは可愛らしいアイドル衣装。
ピンクのフリルをふんだんに使ったカワイイが詰まったそれを、普段ならば絶対に自ら着ることはないであろうそれを、彼女はこのために意を決して着用していた。
『……と、観客席のほうになにか光っているモノが見えるが、これは……サイリウムか?』
司会の声に二人が観客席を見れば同じ旅団の仲間である国木田・光星(三番星・f07200)がサイリウムを両手に、それも指の間に挟んで大量に持っている状態で必死に体を動かしていた。
「メルトォー! ベアータァー! 二人ともカワイイぜー!!」
自らには華がないからと盛り上げ役を選んだ彼だったが、もしかしなくても今現在このホールの中で一番目立っているのではないだろうか。
「うわ、光星さんサイリウム捌きすっご……! そんな特技があったんですね!」
額に手を当て光星を見ながら楽しそうに言うメルトに、同じく彼を見てぷっと噴き出すベアータ。
この衣装で人前に立ち踊るということに恥ずかしさと緊張を覚えていたベアータだったが、どうやら彼の踊りで少し緊張がほぐれたようだ。
「大丈夫です。カワイイボクと、運動神経バツグンのベアータさん、そしてあの光星さんのオタ芸とやらがあれば、負けるはずがありません!」
さあ、行きましょうと手を差し伸べるメルトに、ベアータは力強く頷いてその手を握る。
「……ええ、さっさと終わらせるわよ! 光星、今回のダンス、戦いが終わったら速攻で忘れなさい!」
その声はヲタ芸に夢中の光星に聞こえたかはわからない。かくして二人は踊り始めた。
オンナマズへ向かってステップを踏み始めた二人だったが、敵が繰り出して来たのは無数の刺さる電気ナマズ達。
「くっ……!」
ベアータはそれに対し背中の【蝙翼機光】からレーザーを出して相殺していく。相殺しきれずこちらに向かってきた電気ナマズを、メルトが手を上げくるりとターンするようにかわした。
「ベアータさんは何をしたいのかだけ考えて……ボクは、それに全力で合わせて行きます! 楽しんでいきましょう!」
メルトはベアータと手を繋いだ瞬間、既にユーベルコード“念動走査”を発動させていた。
彼女の手から伝わる意思、感情、行動……それらを強化した技能で読み取り、彼女の動きを補助するように動く。
ベアータが踊りながらもしっかりと戦闘に集中出来るよう、メルトは彼女を全力でサポートする心意気だ。
ベアータはそんなメルトに礼を言うと、再び足を踏み出した。
踊りなどほとんど経験はなかったが、楽しむということに関しては、目の前にいいお手本がいた。
彼女が、メルトが楽しいと思えるような、そんな踊りを踊りたい。そしてそんな踊りを見ている人にも楽しんでもらいたい。
『イェーガー達、軽快で楽しいダンスをオンナマズに見せつけていくぅ! 可愛らしい女の子二人! 仲睦まじげに舞う姿は最高だぜ!!』
余談だが光星にもしっかり電気ナマズの流れ弾が飛んできていたが、必死の形相で避けているようだ。ヲタ芸をしながら。
光星のヲタ芸はキマイラフューチャーではあまりしない動きなのだろうか、観客達の興味を大きく引いていた。
観客の一人が床をコンコンしてサイリウムを見つけると彼の動きを見よう見まねで真似ていく。
『おおっと? これは観客たち、かつてない異様な盛り上がり方をしているぞぉ! ホールの観客席にいるイェーガーに合わせるよう、中継先でも華麗にサイリウムが舞っていく!』
司会の声を聞いた光星は今が好機と言わんばかりにホールに向かって叫び始めた。
「俺の声に続けぇ!! 『せーかいいち! かーわいいよ!』!!」
はいっ! はいっ! と掛け声を掛けながらサイリウムを振り乱す光星。観客席も光星に続いて掛け声を出し、ここ一番の一体感を出していた。
敵と戦闘こそしていない光星だったが、激しくサイリウムを動かしている彼の体力は着実に減っていく。
だが彼は戦っていないからこそメルトとベアータ、二人を全力でサポートしなければならないと踊りの最中蟲笛【七つ星】を口に咥えた。
ぴぃいっと高い音がホールに響き渡る。響き渡ったかと思えば、薄暗いホールに現れたのは光り輝く蝶。
光星のユーベルコード“風に舞う宝石の輝き”で顕現させたものだ。その蝶は光星の踊りに合わせるように美しく陣形を取り、そして散らばるとステージ上へ。
オンナマズを翻弄するかのように動き回り、そしてベアータとメルトを際立たせるように輝いていく。
観客からの恩恵はこれ以上ないくらいに受けていた。もはやユーベルコードにより強化されたメルトの技能は、ベアータのことが手に取るようにわかるほどだろう。
ベアータのレーザーと蝶が彩るステージは華々しく、電気ナマズをいなし、オンナマズにダメージを与えていった。
一瞬、当たりどころが悪かったのか頭に手を当てふらつくオンナマズが見える。それをベアータは見逃さず、そしてその意思は共に踊っているメルトにも伝わった。
両手をつなぎぐるぐると二人で踊り、回りながら敵へと一気に距離を詰めていく。
「キメるわよ、メルト! オタ芸に負けてられないわ!」
「もちろんですベアータさん! レッツダンス!」
片手が離れ、ベアータから放たれたのは“Weasel Gale”だ。夥しい数のレーザービームの威力を、メルトの念動力が強めた。
分身を出して盾を作ろうとしたオンナマズだったが、その行動は別の場所から来たレーザー光線によって中断される。
「さっきからお前全然踊ってねぇじゃねか。オンナマズのファンやめます」
それは光星が放った【イレイザーレーザー】による射撃で、踊る元気もなく疲れ果てていたオンナマズの動きを止めるには十分な一撃だった。
オンナマズの完全な油断だった。盛り上げ役に徹していた彼が、まさかこの時このタイミングで攻撃してこようとは。
瞬間、レーザーの雨がオンナマズ一点に降り注ぎ、ステージでは大きな爆発が起こる。
そして爆発すると同時に、二人はきらっ☆とウインクをしながらキメポーズをした。割れんばかりの歓声、サイリウムの波、姿形もないオンナマズ。
「……っ」
「ベアータさん、照れちゃダメですよ?」
ぷるぷると小刻みに震えながらポーズを決めるベアータに対し、堂々と可愛くキメているメルトが宥める。
やはり今回の戦い、この衣装でこの可愛らしいポーズをするのは無理があったかと思ったが、その瞬間伝わってきたのはベアータの「楽しい」という感情。
横目で見れば、彼女は恥ずかしがりながらもしっかりと前を見据えていた。その瞳は光星が出した蝶のせいか、それともその感情のせいか、歓声を受けてきらきらと輝いて見える。
『決まったぁあ!! イェーガー達、ついにオンナマズを撃破したぞぉお! そのダンス、可愛さたるや百人力! 盛り上げていたイェーガーも最高だったぜー!!』
歓声の最中、メルトは口を開きかけたが小さく首を振った。
きっと楽しいという感情が伝わってきたことをベアータに言えば、あっという間に縮こまりステージから降りてしまうだろう。
メルトはベアータから伝わってきた感情をそっと胸にしまうと、観客たちに、そして応援を盛り上げてくれた光星に向かって大きく手を降ったのだった。
大成功
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