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バトルオブフラワーズ④〜船上のカツオニスト

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

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●海上の会場
 海の上に設置された戦場の特設会場では怪人たちが 釣竿を手に延々とカツオを釣り上げ続けていた。
「今回は貴様に協力をしてやろう」
「しかし次は、分かっているな」
 鶏とたこさんウィンナーに話しかけられた魚は、にやりと笑みを浮かべる。
「もちろん、カツオを積み上げ、我らの勝利を知らしめた後は、貴様らにも協力しよう」
 そうして話している間にもカツオは積まれていく。
 勝利を告げるカツオの塔の完成は近づきつつあった。

●カツオタワーバトル
「一本釣りはロマン、じゃな」
 ウルフシャ・オーゲツ(f00046)は頷きながら無駄にキリッとした顔で呟く。
「というわけで、みんな、料理の時間じゃ!」
 シュウカクフードバトル。
 キマイラフューチャーに伝わる伝説の戦闘方法の1つである。
 ……多分。
 数多の食糧を積み上げることで勝敗が決まるという恐ろしい戦い。
 猟兵の勝利のためには、怪人たちが現在進行形で釣り上げ続けている『カツオ』を使って料理を行い、相手を食欲により誘惑した後に、打ち倒す必要があるらしい。
「なんでそんな事せなあかんの、って顔してるけどな。シュウカク……今回は釣りじゃな、しておる間は相手への攻撃は通じぬらしい。釣りの手を止めさせるための手段が、あいつらの釣っておる食材を使用して、美味しい料理にして誘い出すということになる」
 美味しい料理を作ればあいつらはホイホイ釣られて手を止めると思われる。何しろ一本釣りは体力を使うのだ、腹も減るだろう。
「料理により誘い出し、相手が食事をすることで攻撃が通じるようになるはずじゃ、食べ終わって満足している間でも相手を料理してしまえば大丈夫じゃろう。妙な戦いになると思うが、一つ頼むのじゃよ!」


しべりあ
 きまきま戦争です。オーソドックスに行きましょう。
 どうも、しょしんしゃのしべりあです。

 改めての解説ですが、このステージでは、食材を収穫中のオブリビオンは攻撃が無効になるという特殊能力があり、一定以上の収穫をされてしまうと、猟兵側の敗北になります。
 オブリビオンは、収穫された食材を山のように積み上げようとするので、猟兵の皆さんにはその食材で料理を作成していただくことになります。
 その料理が美味しそうならば、食欲を刺激されたオブリビオンが作業を中断して、料理を食べてしまい『攻撃無効の効果が無くなる』ので、攻撃して撃破する事が出来ます。

 このように、料理をするのが重要な戦いですが、別に料理によって相手にダメージを与える必要はありません。美味しい料理を作ってあげてください。
 もちろん、料理するだけの人と戦闘するだけの人に別れても大丈夫です。
 ただ、料理する人がいないと攻撃が無効化されて絶対勝てません。チートです。ご注意を。

 それでは、おいしい料理をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『タンパク質三人衆』

POW   :    ニワトリ怪人・ウェポン
【ニワトリ兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    サカナ怪人・ジェノサイド
【サカナ攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    タコさんウィンナー怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【タコさんウィンナー】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:まめのきなこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御劔・姫子
【料理】…うち、まだ習い始めたばかりやから、あまり上手くできひんかもしれへん…
でも、やれるだけのことはせんとっ!

鰹…都だとそこまでやないけど、江戸の方やと初鰹は縁起物いうてえらい人気らしいなぁ。
聞いた話やと、刺身で食べるみたいやし…それやったらうちにもできるかもしれへんねっ♪

あ、でも包丁があらへん…刀使って捌いたら、家の者に怒られるやろか? 誰も見てへんよね?
刺身は鮮度が命やし、【早業】で素早く切って、辛子と独活の千切りを添えて…(江戸時代の食べ方に準拠)

…食べてくれはるやろか?  食べてくれはったんなら…そこが隙やっ! 【秘技・不抜乃太刀】で、油断を突くっ!

(※アドリブ可)



●目には青葉山ほととぎす初鰹
「……うち、まだ習い始めたばかりやから、あまり上手くできひんかもしれへん……でも、やれるだけのことはせんとっ!」
 気合を入れて望む御劔・姫子(f06748)の前にそびえるは、天まで届く程の新鮮なカツオ。
 彼らの目は死んではいない。
 ぴちぴちとしながら俺はやるぜと輝く瞳は、姫子の挑戦(りょうり)を受けて立つという意志を秘めていた。
「鰹……都だとそこまでやないけど、江戸の方やと初鰹は縁起物いうてえらい人気らしいなぁ」
 俳句の季語ともなり、有名な俳人も初鰹に関する句を詠んでいるほどである。
 初鰹は女房子供を質に置いてでも食えという言葉が流行るほど……といえばわかるだろうか。
「聞いた話やと、刺身で食べるみたいやし…それやったらうちにもできるかもしれへんねっ♪」
 周りに漂っているのはタタキを中心とした焙る料理の香り。釣りをしている者たちもその香りになんだなんだと顔を上げていた。
 しかし火を使うということはある程度時間がかかるもの。
 なれば最初の一太刀(いっぴんめ)は刺身に軍配が上がる。
「……誰も見てへんよね」
 包丁を持ってくるのを失念し、手元にある刃物は刀のみ。
 貴人の護衛を代々行ってきた厳格な家柄であるがゆえに、その愛刀で鰹を捌いたと知られればこっぴどく叱られる恐れがある。
 しかしここは異世界の、それも船の上だ。流石にここにまでは目が届いてない……はずだ。
 静かに刀を抜き、鰹と向き合う。
 やるのだな、と鰹が目で語り、やります、と姫子は目で応える。
 ただならぬ様子に怪人たちも釣りの手を止め、一人と一尾の様子を固唾を呑んで見守っていた。
「……でけぇ……」
 一部の怪人は彼女の胸元に目が行っていたらしいが。
 そんなよそ見をしている間に、姫子が鰹の横を通り過ぎる。怪人たちは首をかしげる。通り過ぎただけなのかと。
 シャン、と後から聞こえる音、ゆっくりと解体され、刺身へと昇華されていく鰹は、いつの間にか用意されていた辛子と独活(うど)の千切りがそえられた皿の上に華麗に並べられていった。
 奇跡のようなそのワザマエに怪人たちは思わず歓声を上げる。
「……食べてくれはるやろか?」
 料理を用意した可憐な少女から、不安げに揺れる(ように怪人からは見えた)瞳を、言葉を向けられて、釣り場にとどまれる怪人はいなかった。
 食べていいのだと知ると皆一斉に刺身へと箸をつけ始める。
「いただきます! ああ、自分で釣ってたってのもあるけど……」
「いただきます! 美人の姉さんが用意してくれたものを食うのも何よりだよな……」
「いただきます! でけぇ……」
 無駄に行儀よくしながら姫子を拝み、鰹を口にする怪人たち。しかし鶏はともかくとして、魚が魚を食べるのは……いや、そもそも鰹のエサは鰯である。何のおかしい事もないだろう。
 しかし食事に夢中になっている怪人たちは気が付かない。
 自分たちもまた、捌かれる運命(さだめ)にあるということを。
 刀を用いることなく振るわれる不可視の刃は、幸せのままに海に還す。
 彼らは、自らが捌かれたことにも気が付かないままであったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月宮・ユイ
お腹いっぱいに食べさせれば良いと、この世界らしい戦いですね
戦意や殺気を込めたくはないので調理に集中します

<機能強化>”学習力”で常時行動最適化
念の為自前で道具や調味料等[マーレ+倉庫]に準備しておく
他の方が使うのも有ですから
[メルクリウス]には調理台や調理具になってもらう

あぁ、釣るだけ釣って放置なんて
氷と水は”属性攻撃”で用意、[シスターズ]呼び出し”早業”で〆る作業と調理の手伝いを
お刺身と生が苦手な相手用にたたきも用意しましょう
ポン酢や醤油、お酢各種
ネギ、生姜、ニンニク、ワサビ、大葉、玉ねぎ、大根等薬味や付け合わせも各種用意
相手の反応見”情報収集”おいしい”料理で誘惑”です

絡みアドリブも歓迎



●神曰く、汝、竿を持たず、箸を握れと
 どうやら、怪人の介錯を行ってくれる仲間がいるらしいと分かると、月宮・ユイ(f02933)は安心して料理のみに意識を向ける。
 料理に対し戦意や殺気といった雑念を込めたくはなかったのだ。
「お腹いっぱいに食べさせれば良いと、この世界らしい戦いですね」
 そう言ってほほ笑むユイを取り巻く船上はかなり立派なキッチンと化していた。
 今回の会場は海の上で、道具の補給等をしようと思えば、どうしても時間がかかる。
 それを回避するために、自らの倉庫や電脳空間に満載した数多の調理器具を解放したのだ。
 鰹は足が速い。今はまだ息があるが、余計に時間を浪費するわけにはいかないのである。
「あぁ、釣るだけ釣った放置なんて……!」
 だが、いかに手早く料理するにしても、貴重な食材をそのまま放置するのも我慢ならない。
 ユイは自らの魔力を練り上げ、氷と水による冷却により鮮度を保たせつつ、『シスターズ』に補助させながら鰹の山へと挑んでいった。
 一部は手早く刺身として提供し、そして、もう一部は並行しながらじっくりと、しかし中に火が通らないように気を付けながら焙っていた。
 タタキである。
「生の苦手な人も、もうすぐできるから」
 刺身に手を付けずにいた怪人はユイの笑顔の言葉に、なんという気遣いと感動する。
 新鮮ならば刺身もうまい、しかし生が苦手な者というのは少なからず存在するのだ。
 ユイの気遣いはそれだけでは終わらない。
 それは、用意された数多の調味料。
 ポン酢や醤油、お酢だけでも数種にわたり、ネギ、生姜、ニンニク、ワサビ、大葉、玉ねぎ、大根といった薬味、付け合わせも完備された、まさに食べてもらうための完全武装。
 そこまでお膳立てされて差し出されたタタキに、我慢できる怪人などいなかった。
 あるものはショウガをともに、あるものはワサビを選び。
 思い思いの薬味をタレを楽しみながら、鰹を頬張る彼らの手に握るのは箸のみ。
 喉が渇いたときには水を差しだされ、もう少し欲しいなと思ったときには静かな笑顔と共にお代わりが用意されるという怪人をダメにする程の誘惑。
 ユイの周囲に釣竿を握っていた怪人はもうどこにもいなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

秋山・軍犬
軍犬は苦戦していた…なぜなら
敵とはいえ自分が作った飯を美味そうに
食ってる最中への攻撃…難しい! 軍犬的に!
しかも相手は悪(笑)な面白怪人

「やりにくいなら私がやるでケキよ?
そんで、残った料理は独り占め…いでててケキー!」

美味しい飯の匂いに【奇跡の再会『美食姫』】で勝手に出てきた
グルメ姫の頭にウメボシを決めならがら軍犬は覚悟を決める

相手は美味しい料理が大好き! ならば!

判らせれば良いのだ、この戦争のキマイラFを滅ぼす事の
無意味さ虚しさを! 心に魂に!……料理に込めた味と想いで!

出来るかどうかは分からない!(ルール的に)

勝負だ怪人! この鰹のタタキに込めた味と魂が
自分のお前等への一撃(攻撃)っす!



●食を愛する同士なだけに
「猟兵さん……これ、うまいっすね……!」
「鰹といえばタタキ、これに限るっけぇのう!」
「ありがてぇ、ありがてぇ!」
 個性豊かな怪人たちが鰹のタタキをうまそうに頬張る姿に、秋山・軍犬(f06631)拳を握り震えていた。
 自ら丹精込めて作った料理をうまいと言って食べてくれる。
 しかし猟兵としてはそんな相手を倒さなければならない。
 それはフードファイターとして、いや、軍犬としては簡単なことではなかった。
「やりにくいなら私がやるでケキよ? そんで、残った料理は独り占め……」
 そんな姿を見たからだろうか。それとも飯の匂いに誘われてだろうか。
 全く呼んだ記憶もないグルメ姫がいつのまにか舌舐めずりをしながら怪人たちへと歩み寄っていくではないか。
 いやたしかに、このまま悩むだけではダメだ、どうせやるならとことん突きつけなければ……。
「いででててケキー!? 考え事しながらとかよくな……とめるケキー!?」
 流れるような動作で、ほぼ無意識にグルメ姫の頭を両手の拳でグリグリと、いわゆるウメボシを決めながら軍犬は意思を固める。
「この料理に込めた想いで……この世界を滅ぼす虚しさを知らしめるっす!」
 ぐでっとしたグルメ姫を放置し、軍犬は再度キッチンと、そして鰹と向き合う。
 食材と語り合い、声を聞く。
 怪人たちを唸らせるためには、もっと、今以上に真摯に向き合わなければならないのだから。
 しかし、ああ、なんということだ。
 怪人たちはうまいものを食って若干満足しようとしていた。
「結構食ったなあ」
「これでもうひと頑張り釣りができるってもんだ」
「新鮮な鰹持ってくるからまた頼むぜ!」
 このままでは相手に塩を送ってしまうだけで終わる可能性がある……だが、それは地面に這いつくばっていた彼女が見すごさなかった。
 敵がいなくなってしまっては飯にありつけなくなると悟ったグルメ姫は真剣に鰹と語らう軍犬を見やりながら、やれやれと起き上がる。
「……しょうがないでケキねぇ?」
 あゆむ先は軍犬の用意した料理の前。
「あら、もう満足でケキか? ならあとは全部独り占めにさせてもらうでケキー!」
 その言葉が偽りでないと示すように、一皿をあっという間に平らげる。
「美味しいでケキー。この後の物はもっと美味しくなるから楽しみでケキー!」
 怪人たちは足を止める。今ここを去ってしまえば、このタタキを口にすることは二度と叶わないのではないかと躊躇してしまったのだ。
「独り占めとか、よくないよな」
「俺まだ腹減ってるし、余裕だし」
「それに確かにさっき以上に食欲をそそる香りが……」
 去って行こうとした怪人たちは、姦計により再度食卓につく。
 それとタイミングを同じくして、軍犬の追加の皿が繰り出される。
「勝負だ怪人! この鰹のタタキに込めた味と魂が……自分のお前等への一撃っす!」
 そうして、激しい戦いが始まった。
「く……うまい……しかし……おれは、おれは……」
「悲しいけど、うまいけど、だとしても……!」
「うおおおおおおお!!」
「ケキー!!」
 各自がこの世界を滅ぼすこととの葛藤と戦いながら料理をかきこむ。
 迷いの中でいてもしっかりと味わいながらの食の戦。
 途中で発破をかけるためかはたまたただ食べたかっただけか、グルメ姫が混ざっていた気もしたがきっと気のせいだろう。
 やがて、戦いの終わったその場には、満腹により動くことすらままならない状態となった怪人たちの姿があったという。

成功 🔵​🔵​🔴​

瓜生・コウ
料理と言っても釣ったばかりのカツオだろう? そんなモノそのまま刺身にでもすれば美味いに決まってるぜ。

だが、そこで奴らをおびき出す一手間を加えるとすれば「カツオのたたき」、コイツだろう。

本場、土佐ではカツオは厚く切るほどいい、皮を炙った香ばしい匂い…そこに生醤油、擦り降ろしショウガ、薬味には刻みネギとスライスしたニンニクをたっぷり。
そしてコイツ、土佐の酒「美●夫」、カツオにはこいつが一番合う…どうやって調べた? 未成年だろうって? あんまりヒトの事を詮索するものじゃねえぜ。


ん、「食したる者、内なる業火に焼かれるだろう」? あー、冷凍処理もせずに厚く切ったら寄生虫がいても不思議じゃねえよなあ…。



●タタキがあればアレも欲しい
 船上に漂う、鰹の炙られた香り。
 とてつもなく広い船にもかかわらず、それはすでに船全体に漂っていた。
 それもそのはず、猟兵たちは各自分散して満遍なく行き渡るように調理していたのだ。
 瓜生・コウ(f07693)も船上で腕を振るう一人である。
「料理と言っても釣ったばかりのカツオだろう? そんなモノそのまま刺身にでもすれば美味いに決まってるぜ」
 そう呟きカツオタワーを眺めながらも、調理器具が指し示すのは鰹を炙る準備である。
「だが、おびき出す一手間を加えるなら、『鰹のタタキ』コイツだろう」
 刺身はうまい、うまいのだが美味しそうな香りを出すという意味では間違いなく火を使った調理の方が有利。
「知ってるか、本場では鰹は厚く切るほどいいとされる。ほら、皮を炙った香ばしい香りがたまらないだろ?」
 香りというのは凶器足りうる存在である。とくに一本釣りという重労働で力を使い尽くした後の怪人たちにとってすれば抗いがたき恐ろしいものだった。
 一人、また一人と釣竿を置き、ふらふらと近寄ってきた怪人たちを見やり、コウは笑顔を浮かべ、テーブルに盛り付けた皿を並べる。
「生醤油、すりおろしショウガ、薬味に刻みネギとスライスしたニンニクもたっぷりとある。極め付けは……コイツだ」
 ゴトリ、と置かれたビンを見た怪人は動きを止めた。
 それは鰹で有名な地域の地酒……いわゆる日本酒。
 確かに料理だけでも十分美味しいだろう。しかしそこに酒が加わればどうなるか。
「あっちじゃ手酌で飲んだらいけねぇって言葉があるらしいゼェ」
「んだよー、好きなだけ飲めばいいじゃねえかー」
「ばっかやろー、だからだよ、飲みすぎて止まらねえからだって話だぜ」
「「「ちげえねぇ!」」」
 ガハハと笑いながら怪人たちは赤ら顔で箸を進める。鰹、酒、鰹、酒、鰹、酒……無限ループだ。
 調理の手がひと段落したコウはその様子を眺めながら額の汗をぬぐい、一息つく。
 そしてその刹那に脳裏に走る予言に首をかしげる。
「食したる者、内なる業火に焼かれるだろう……?」
 食べただけで燃えるような料理を作った覚えはない。ではなにが……。
「あー、冷凍処理もせずに厚く切ったら寄生虫がいても不思議じゃねえよなあ……」
 でもタタキならば問題はないはずと、怪人の方をよく見ればタタキにするまで我慢しきれず、厚切りした鰹を生で食べている連中がいたり、しかし鰹なら内蔵でも食べようとしなければ問題ないはずと思えば、『俺魚だから内蔵も食べても大丈夫だよね』という謎の理論の下、廃棄予定の内臓をつまもうとしている連中がいたり、と、どうやら酒を飲みすぎて判断基準が何かとおかしくなっているらしい。
 酔いつぶれた彼らが地獄の苦しみを味わうのはしばらく後の事である。

成功 🔵​🔵​🔴​

クトゥルティア・ドラグノフ
※チーム【クリオネ&タール】で行動。

よーし魚料理なら私の出番だね!漁村生まれの強みを教えてあげるよ!

戦闘は菖蒲彁に任せるとして、私は料理に集中!
作るのはオリーブオイルを使った鰹のたたき!
まず薄くスライスしたニンニクを弱火で熱して香りをつける。そのあと鰹をいれて強火でさっと焼く。できたものをスライスしてお皿に盛り付け、上にニンニクも乗せたら仕上げにオリーブオイルをさっとかけて出来上がり!
人手を増やすためサイコキネシスで複数人分作るよ!

「さあ怪人さん、一休みして鰹のたたきでも食べようよ!」

そうして寄ってきて食べ始めたなら、菖蒲彁ちゃん!あとは任せたよ!


三川・菖蒲彁
行動はpow
クゥちゃんその料理凄い美味しそうですよ!
ダメだ今は作戦に集中しなくては
出された鰹のたたきに敵が寄って集って来たら敵の体を私の触手で拘束、そのまま力尽くで鰹のたたきから引き剥がし出来る限り一箇所に集めユーベルコード黒鞭連爪で滅多刺しにしてやりますよ

でも本当美味しそうだな、私も食べたい!



●この後しっかりお召し上がりになったそうです
「よーし魚料理なら私の出番だね!」
 楽しそうに腕をまくり包丁を握るクトゥルティア・ドラグノフ(f14438)に目の前にそびえる鰹タワーは語り掛ける。
 貴様、ただの猟兵ではない、もしや……。
「漁村生まれの強みを教えてあげるよ!」
 鰹たちは悟る。
 漁村生まれ、それは魚を釣り、魚を捌き、魚を血肉として生きてきた対魚決戦存在たち。
 それがこの目の前の少女なのだとしたら、我ら鰹ができるのは、静かにその時を待つのみだと。
 そして刃は振るわれる。その見事な腕前に、鰹たちは、最後まで痛みを感じることすらなかった。
 ……魚に痛覚があるかどうかという議論はどこか隅に置いておくとして、だが。
「さあ怪人さん、一休みして鰹のたたきでも食べようよ!」
 鰹とクトゥルティアとの戦いからしばし後、愉しそうな声と、おいしそうな匂いに釣られた怪人たちが見たのは不思議な光景だった。
 皿が炎が宙に舞い、鰹も浮かんで焙られる。
 漁村生まれってすごい、という顔を浮かべながら、鶏も、魚も、たこさんウインナーも皆呆然としていた。
 大量の怪人たちを満足させるため、料理の手数をサイコキネシスで補った結果がこれである。
 サイキックエナジーにより静かに彼らの目の前に舞い降りた鰹のタタキは焙る際にニンニクと共に熱されることでより一層食欲をそそる一品となっており、仕上げにと纏ったオリーブオイルが眩い輝きを放っていた。
「クゥちゃんその料理凄い美味しそうですよ!」
 料理に気を取られ完全に隙だらけな怪人たちであったが、それに釣られたのは怪人だけではない。
 クトゥルティアと共に来ていた三川・菖蒲彁(f11037)も目を輝かせていた。
「ふふ、ありがとう、それじゃ菖蒲彁ちゃん! あとは任せたよ!」
「……はっ、そうです。今は作戦に集中しなくては」
 怪人たちはすでに竿を箸に持ち替え、クトゥルティアの料理をおいしそうに頬張っている。
 本当においしそうで幸せそうだった。
 しかし、だからといって手心を加えるわけではない。
 むしろ自分も食べたいという菖蒲彁の気持ちが形になったかのように操る触手が怪人たちへと伸び、食事をしている最中であろうと構わず拘束していく。
「し、しまった、罠だったか!?」
「や、やめろ、おれはまだ、もっと喰いたい……!!」
 わめき声を上げる怪人を無理やりに鰹のタタキから引きはがす。
 タタキの近くで倒してしまうと料理が汚れてしまう……などと考えていたわけではないが、無意識のうちにそうしていた。
「私だって食べたいです! だから、あなたたちのお食事はここでおしまいです!」
 菖蒲彁によりまとめられた怪人たちは、自らを取り巻く触手が鋭利な刃物へと変貌していることに気が付き、察する。
 次に捌かれるのは、我々の番なのだと。
「や、やめてくれ、俺は魚のような顔をしているが、その実魚なのだ……!?」
「ま、まってくれ、鶏のように見えるかもしれないが、ただの鶏なのだぞ……!?」
「は、はやまるな、たこさんウィンナーは捌かなくてもそのままで十分おいしく……!?」
 三者三葉で怪人たちが何かを話しているが、菖蒲彁は手を止まることはない。
 そうして起こされた阿鼻叫喚の滅多刺し事件により、しばらく後、怪人たちは沈黙したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

喰龍・鉋
旦那の尊(f12369)と共闘
ボクは料理担当!鰹かぁ、なるほどね、一番最初に思いつくのはたたきかな…後は竜田揚げ、ステーキなんかにしても面白いかも…
取り敢えずカツオを大量に処理するよ、大五郎を包丁や串に変換しながら
たたき、竜田揚げ、ステーキの三種類を作る!
大五郎も血を吸って強化されるのでお得!
たたきは消化に悪くないよう隠し包丁を入れて
飽きないようにぽん酢で、にんにく、ネギ、生姜、マヨネーズで味変して、
竜田揚げもそのまま食べても美味しいけど
タルタルソースを付けても良いね!
ステーキはバターで焼いたから風味が出て美味しいよ!いやぁ茶色いな!
つまみ食いは行儀悪いよ尊!…あれ、何しに来たんだっけ



●鰹、今際の際で愛の甘さを知る
 甘い空気がする、とカツオは感じる。
 それは本来鰹たる我が身が来るはずのない海上の世界だからそう感じるのか、それとも、目の前に並び立つ者たちのなす業なのか。
「鰹かぁ、なるほどね!」
 黒剣【大五郎】の姿を包丁へと変え、脳内でレシピを巡らせる喰龍・鉋(f01859)。
「鉋の料理は天下一品ですからね」
 その様子を楽しそうに眺め笑いかける白皇・尊(f12369)。鰹の前に立っていたのはこの二人であった。
「ふふーん、期待しててね!」
 何気ない会話だろう。
 そのはずなのになぜかとても甘かった。
 自らを一閃する包丁の黒い輝きを見ながら鰹は悟る。
 これが、あ……。

●大五郎の憂鬱
「よし、せっかくだし一品じゃなくていろいろ作っちゃおう」
 鉋が黒い包丁を振るい、一尾、また一尾と鰹を捌く。
「大五郎も血を吸って強くなってお得!」
 そう、血を吸うことで強化される類の妖刀の類である変幻自在の黒剣、彼? の名前は大五郎。
 確かにこの度も血を吸ってはいるのだが、これじゃない感を否めないまま、なすがままになっていた。
 むしろこれを機にこのままずっと包丁として使われたらどうしようという今後に一抹の不安を感じるほどだった。
 しかし、その不安はすぐに解消されることになる。
「次は串だよ、焙るためにはこれだよね!」
 新たな不安として、このままずっと調理器具として扱われたらどうしようという気持ちに苛まれながら、かれは無心に鰹を刺し貫いた。

●声をかけると馬に蹴られそうだったと怪人は語る
 鰹や大五郎の尊い犠牲……もとい献身により、料理は順調に完成していく。
 下手に凝って鰹の使用量が減ることを割けた結果、並べらたのは鰹のタタキ、竜田揚げ、ステーキといったシンプルでかつ人気の高いメニューとなった。
 しかしシンプルだからといって決して手が抜かれているわけではない。タタキには食べやすく、消化の一助として隠し包丁が入れられており、ステーキもバターを用いて焼くことでで食欲をより一層そそる仕上がりである。
 飽きを防ぐため、ポン酢やニンニク、ネギやショウガといったオーソドックスな調味料や、マヨネーズ、タルタルソースといった味変を楽しめるものも用意されている新設設計である。
 完成した料理の見事な茶色さのオンパレードに鉋は思わず苦笑しながら並べていくと、横からひょいひょいと摘んでいく人影があった。
「これは絶品ですね」
 悪びれることなく素直な笑顔で感想を伝えるのは無論、夫の尊である。
「つまみ食いは行儀悪いよ尊!」
「ふふ、そうですね、それではちゃんと手を合わせて……」
「うんうん……あれ、何しに来たんだっけ……?」
 冷静になった鉋がふと周りに視線を巡らせると、そこにはおいしそうな匂いにつられてやってきたけど、なんか甘い空間が形成されており近寄っていいか計りあぐねている怪人たちの姿があった。
「……あ、どうぞ召し上がってください」

●命丸ごとこってり絞り
 鉋が料理を行っている間、尊もつまみ食いをしていただけではない。
 その時のために結界により守りを固め、オブリビオンへの襲撃の準備をしっかりと整えていた。
「おかわりあります!?」
「ありがてぇありがてぇ!」
「いやーいい嫁さんだよなほんとくぅー!」
 整えていたのだがなんかこう、防御整える必要あったのかを疑問に思いながら、尊は背中をたたいてくる怪人を横目に見ていた。
 一応攻撃になったのだろうか、怪人が背中をたたいてくるたびに少しずつ相手の力を吸っていく。
 もしかしたら結界をはってなければ背中がかなり痛かったのだろうか、などと思いながらも、危険が少ないにこしたことは無い、などと思いながら、尊は隣の怪人へと笑顔を向ける。
「鉋の手料理を食べ、僕に吸われて逝かされる……」
「すわれる? こりゃ食いすぎてふらふらしてるだけさぁ……」
 そういって尊の周りにいた怪人たちは笑ったまま一人、また一人と静かに眠っていく。
「いやぁ、皆さん良い最期でしたね?」
 近場の怪人たちは、眠ったまま、尊の剣により、目覚めることはなかった。
「はっ、お前ら一体……まさか、罠、だとぉ!?」
「ええい構うものか、飯がうまいのは確かなんだ、その猟兵を黙らせて俺は続きを食うぞ!」
 尊から離れた位置にいた怪人たちは仲間の様子がおかしいことに気が付く者もいた。
 しかしその動きは鈍重。箸を置き、襲いかかるにしても時間が経ちすぎていた、ご飯がおいしすぎ、食べすぎていたのである。
 さらに確実に入った一撃すら、たっぷりと時間をかけて練り上げられた尊の守りである守護方陣により呆気なく弾かれる始末だった。
「さて、では、食後の運動と行きましょうか、皆さん?」
 余裕を持った笑顔のまま、その膂力の許すままに手にした霊剣を振るい薙ぎ払う。
 やがてその場に残されたのは、剣を突き立てられ、生命力を吸い尽くされた怪人たちの若干幸せそうな残骸であったという。

成功 🔵​🔵​🔴​

エダ・サルファー
カツオ!むしろ釣りたい!
ずるいぞ怪人!私にもそっちをやらせろ!
……と言ったところでルールが変わるはずもなし。
ならせめて、釣りができないストレスを料理にぶつけてやる!

しかしカツオっていうと、どうしてもたたきを思いついちゃうよねぇ。
あれももちろん美味しいんだけど、そればっかりじゃ怪人も飽きるかもしれない。
ならば、ご飯物を作ろう!
というわけでカツオの手こね寿司を作りまーす!
カツオを醤油ベースのタレに漬けてー、寿司飯に合わせてー、海苔を散らしてー……
はい完成!シンプル!
だが味には自身があるぞー!

怪人たちが釣られて食べてくれたら、まあ食べ終わるまで待った上で、バックドロップを喰らわせるよ!



●天高く捧げられる鰹への祈り
「カツオ! むしろ釣りたい!」
 エダ・サルファー(f05398)の心の叫びが船上に響き渡る。
「ずるいぞ怪人! 私にもそっちをやらせろ!」
「え、えっと、流石にここまで積んじゃってるから今更交代っていうのも……」
 あまりの勢いに気圧される怪人だが、流石に無理なものは無理なようであった。
 そしてその情熱の行き着く先はもはや1つしかない。
 そう、料理である。
 エダは燃えていた、その釣りができないことへの鬱憤を全て料理へと叩き込む勢いで燃えていた。
 酢飯を混ぜて、混ぜて、混ぜる。
 鰹といえばタタキだが、流石に皆も作っている。
 だがそればかりで飽きがきてしまう、そうなれば料理の効果は半減してしまうだろう。
 考えた末にエダが選んだのは、ご飯物だった。
 鰹の手こね寿司。
 UDCアース的に鰹で有名な某地方……とは別の地方の郷土料理である。
 ピンと来ないならば、漬け鰹丼とでも考えればあながち間違いではない。
 実際、腹を空かした怪人たちの目の前に差し出されたのは、酢飯の上にタレに漬けた鰹を並べ、ノリを散らしたとてもシンプルなものだった。
 しかしだからこそ、ごまかしがきかない。
 単純ゆえの正直さがその料理には存在していた。
「……うまい……!」
 あまりの熱気で料理を行うエダが気になっていた怪人たちだったが、完成した料理を口にするとただ一言、静かに、しかし力強く呟く。
「ふふふ、味には自信があるぞー!」
 怪人仲間の感想につられてか、自信満々に笑うエダの言葉につられてか、料理を求めるものは続々と詰め掛けてきた。
「おかわり!」
「俺もだ!!」
「こっちにも頼む!」
 エダの熱気が移ったかのような盛況の末、やがて、怪人たちが満足し、ごちそうさまという祈りが天に捧げられる。
 その後に彼らは自らの身に天高く舞い上がるバックドロップを受けることになるのだが、怪人の中にそれを予見できるものは存在していなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘルメス・トリスメギストス
「カツオですか。焼いてよし、タタキにしてよし、削り節にしてよしと、調理しがいのある食材ですね」

例えオブリビオンであろうとも、今は一時的に私の仕える主です。
ここは執事として料理の腕前を披露いたしましょう。
(料理役に専念します)

「料理も執事にとっての必須技術の一つです。
主の空腹も満たせなくては、従者として失格ですので」

中国の山奥に籠って修行したこの【執事給仕術】でカツオを調理して主に召し上がっていただきましょう。

カツオを使った中華料理フルコース、満漢全席・オブ・カツオをご堪能くださいませ。

え、中国の山奥にカツオはいない?
はて、私が修行した山ではカツオが空を泳いでおりましたが?

アドリブ大歓迎



●キマフューカツオは飛んだのか?
「カツオですか。焼いてよし、タタキにしてよし、削り節にしてよしと、調理しがいのある食材ですね」
 ヘルメス・トリスメギストスは執事である。
 そしてプロの執事は、どのような主が相手でも手を抜くことはない。
 相手がオブリビオンであってもそれは変わることはなかった。
「料理も執事にとっての必須技術の一つです」
 恐らく世の中の執事の半数はドロップアウトするであろう条件を述べながら、ヘルメスは華麗とも見える動作で鰹を踊らせる。
「主の空腹も満たせなくては、従者として失格です」
 真剣に語りながら見せるその動きは、料理人を越えて曲芸の域にまで達するほど。
 それは中国より伝わる恐るべき執事給仕術。
 鰹が気がついたときにはすでに解体され、3秒を数える頃には刺身どころかタタキにされる一撃鰹殺の奥義である。
「なんと見事なワザマエ!」
「コワイ!」
「ナンデ! シツジナンデ!?」
 怪人たちも若干のシツジ・アナフィラキシーショックを受けながらもその姿に見とれていた。
 やがて完成したのは鰹の鰹による鰹のための中華料理フルコース、満漢全席・オブ・カツオ。
「あんた、その技を、どこで」
 見事なその料理を見た怪人の一人は、何か恐ろしいものを見たかのように震えながら問いかける。
「中国の山奥で修行した際に納めまして」
「中国……? よくわからんが、鰹は山の中にも、いるのか……?」
 鮪が手足をはやして逃げ出す世界のキマフュー民も、そこには疑問を感じたらしい。
 しかし、ヘルメスはさも当然のように語ったという。
「……はて、私が修行した山ではカツオが空を泳いでおりましたが?」

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・フォーサイス
料理かー。自信はないけど、レシピどおりに作ればなんとかなるよね。

これはたぶん、思わず食べたくなるような見た目のインパクトが重要だね。

(料理サイトで調べて)カツオの竜田揚げにしようかな。
料理初心者の失敗の大半は勝手にアレンジしちゃうこと。レシピどおりに作るよ。

え?適量ってどのくらいなの?ま、まあ、具体的に書いてないってことはそれほど量は重要じゃないってことだよね。適当でいいよね(ドボドボ)。

味のよしあしはぼくにはわからないから、とにかく見た目と香り重視だよ。

いい具合に揚がってればこういうのって美味しそうに見えるしね。

怪人が食べに来たらチャンスだ。味の感想を聞いてから火属性の矢をたたきこむよ。



●適度な量、適切な量、適当な量
 適量という言葉がある。
 適度な量という判断に難しいその言葉は数々の料理の初心者を悩ませてきた。
「料理かー。自信はないけど、レシピどおりに作ればなんとかなるよね」
 特にアリス・フォーサイスのようなレシピだよりの者にとっては致命的であった。
「大切なのは相手を引き付けるような見た目のインパクト……よし、これにしようかな」
 料理サイトで調べるうちにたどり着いたのは『鰹の竜田揚げ』。内容としてはそれほど複雑でもなく、間違えるような点もほぼない。
 選択としては何の問題もない、はずだった。
 それに、とても重要なことをアリスは知っていたのだ。
「料理初心者の失敗の大半は勝手にアレンジしちゃうこと。レシピどおりに作らないとね」
 だからこそ途中までは問題がなかった。
「え? 適量ってどのくらいなの?」
 そう、このときが来るまでは
「ま、まあ、具体的に書いてないってことはそれほど量は重要じゃないってことだよね。適当でいいよね」
 適度な量であって適当ではない、と突っ込めるものは、悲しいことにこの場には不在であった。
 本来ならば味見をしながら調整する『適量』。
 しかしアリスにとってはそれは致命的なのだ。
「味の良し悪しはぼくにはわからないから、とにかく見た目と香りを優先しないとね」
 アリスは情報妖精である。
 すべてを情報として処理する特性は、味に関しても情報化してしまっていたのである。そして、その味の適切解に関する情報はアリスが持ち合わせていたなかったのだ。
 やがて完成した料理は見た目も香りもとても素晴らしいものだ。初心者が作ったと言ってもわからないほどである。
 もちろんそれにつられる怪人も多く、どれどれ1つとつまみ、頬張り……。
「「うっ!?」」
 動きを止める。
「どうかな?」
 純粋な笑顔でのアリスの問いかけに、怪人たちは答えられない。そこにあるのは遠慮ではない。強烈すぎる味で硬直から抜け出せなかったのだ。
 復帰し、正直な感想を口にした怪人が、笑顔のままのアリスに燃やされるまでは、まだしばらく時間がかかるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

神月・瑞姫
ほわー…すごい量のカツオさんなの
ここは
みぃの大好きなご本【異世界グルメのススメ】の
出番なの!
(パンパカパーンと懐から取り出し

んーと、お魚さんのぺぃじは…と(ペラペラと頁をめくり
あ、これ美味しそうなの
カツオの竜田揚げなの
にんにくさんも使うから
疲れたオブリビオンさんもいちころなの♪

まずはカツオさんを捌くのー
(霊力を帯びた狐月を上段に構え、豆腐でも斬るようにざっくざく
できた切り身は
お醤油さんと、ニンニクさん、生姜さん、みりんを混ぜたのに漬け込んでー
お鍋さんの油がぐつぐつしたら、片栗さんにまぶして
じゅわーなの♪

火は【フォックスファイア】で用意すればいいかな
オブリビオンさんも揚げてみるの
美味しい…かな?




「ほわー……すごい量のカツオさんなの」
 天高くそびえる鰹の塔に圧倒されつつもそれでも挑む幼き挑戦者がいた。神月・瑞姫である。
「でも大丈夫なの、みぃにはこのご本があるの!」
 軽快なBGMが流れるような動作で高々と頭上に掲げる一冊の本。
 そこには【異世界グルメのススメ】とかかれていた。UDCアースのサブカルチャー本でなければ執筆者は大体猟兵であろう。
「んーと、お魚さんのぺぃじは……」
 瑞姫はその小さな手でパラパラとめくっていく。その姿だけで若干つられる怪人がいたのはさておき、やがて目的のページにたどり着く。
「あ、これ美味しそうなの!」
 そこにかかれていたのは『カツオの竜田揚げ』であった。
「にんにくさんも使うから疲れたオブリビオンさんもいちころなの♪」
 楽しそうに声をあげる瑞姫を見るだけでいちころになっている怪人も若干名存在していたが、本人はそんなことには気がつかない。
 霊力を帯びた薙刀、狐月を構え真剣に鰹と向かい合っていたからだ。
 上段の構えからの流麗な動きは、鰹をまるで豆腐のように滑らかに捌いていく。
 そうして適度に切り分けられた身を醤油、にんにく、生姜、みりんを混ぜ混んだタレに漬け込む。
 その先に用意されたのは広げられた片栗粉と煮えたぎる油であった。
 食欲をそそる揚げ物の音に香りに、それまで気がついていなかった怪人たちもよってくる。
 瑞姫の料理する姿に見とれていた怪人たちは気がつかない。彼女の料理する対象は、自分達も含まれているということに。
 燃え盛る狐火を背後に振り返り、瑞姫は怪人たちに笑顔で語りかける。
「オブリビオンさんも揚げてみたら、美味しい……かな? 」

大成功 🔵​🔵​🔵​

蒼汁権現・ごずなり様
魚料理と言えばアレだな、スターゲイザーパイだ。まずは、正規のレシピを捨てます。……捨てます。
パイを美味しくなるようアレンジします。いや、まぁ、英国料理は食べる側が自分で味整えるのが前提だからそのまま食べると不味いとなるんであって、下味部分にアレンジ加えればきちんと美味しくできるのよ。
で、この行程をおにぃこと混沌権現ごずなり様に任せます。任せます。いや、だってボクは料理素人だからね、バーで軽食も作るおにぃに任せるのがベスト。
仮に見た目で見向きもされずとも無問題、ゴッド・クリエイションで命与えて自立的に食べられに逝くいーとみぃスターゲイザーパイにするのさ。
飲み物はメタモルフォーゼ蒼汁で用意



●そもそもなぜ英国料理をチョイスしたのか、などと聞いてはならない
「魚料理と言えばアレだな、スターゲイザーパイだ」
 その言葉を聞いた怪人たちは思わず釣りの手を止めた。
 スターゲイザーパイ。
 星見の名を冠したある意味有名な魚のパイである。
 その姿を一度見たものはそのあまりの威圧感に恐怖を覚える。
 もし名前をみて、あ、かっこよさそう、などと思い注文した日には目からハイライトが消えてしまうほどの代物だった。
 そうでなくとも英国料理というカテゴリー自体が非常に問題のある料理群が多いのである。
 だからこそ蒼汁権現・ごずなり様(f17211)は強硬手段に出た。
 そう、初めにパイの正式なレシピを廃棄したのである。
「いや、まぁ、英国料理は食べる側が自分で味整えるのが前提だから、そのまま食べると不味いとなるんであって、下味部分にアレンジ加えればきちんと美味しくできるのよ」
 これは真理である。基本英国料理は味が薄い。無いともいえる。その状態のモノを各自が好きなように調味料をぶっかけまくって食べるというのが一般的なスタイルなのだ。
 それを回避するため、今、蒼汁権現・ごずなり様の腕が振るわれる。
「というわけで……おにぃ、よろしく♪」
 ……ことはなかった。
 蒼汁権現の方のごずなり様は料理素人なのだ。それならば、バーで軽食を作ることもある兄に……混沌権現の方のごずなり様に任せるのは自然の成り行きだろう。適材適所である。
 やがて完成したその姿は元のスターゲイザーパイとは一線を画し……より凶悪化した外見を誇っていた。
 なにぜ使用されているお頭が鰹なのである。でかさが違った。
 当然パイ自体もそれに合わせて巨大化させており、いろんな意味で非常にボリュームが満点な一品となっていた。
「ルーツとなったといわれる魚を使ったものだと主張するためのシンボルだ、外すわけにはいかない」
 と制作者は至極真剣な顔で語っていたとかなんとか。
「えっと……お、おれあっちの方にある料理がいいかな」
「その……釣りに戻ったほうがいいよな」
「まてよ、おいしいかもしれないじゃないか、ちょ、ちょっとだけ食べてみれば……ほら、だれか食べてみろよ」
 その異様さは怪人たちをもって足踏みをさせるほどだった。
「好き嫌いはよくない、さぁ、お食べ」
 その異様な気配を放つ料理に回れ右をする怪人たち。しかしその後ろから、にこやかでかつ底冷えのする声がかけられたとき、奇跡(悪夢)は巻き起こる。
 そう、怪異ともいえる星を見るパイが、自らの意志があるかのように動き出し、天へと跳躍したのである。
「いぃいいいいいいいとぉおおおおおおみぃいいいいいいいいいいい」
 あまりの光景にパイから突き出したほしみるさかなたちが叫び声をあげている幻聴すら聞こえる始末。
 あるものは立ちすくみ、あるものは海へと飛び込み、またあるものは泣いて許しを請う。
 だがその誰もが逃げること能わず。口を無理やりこじ開けるが如し勢いで彼らを蹂躙していった。
「ひぎぃいいいい!?」
「こんなおっきいのむりぃいいい!?」
「ごぼ、ごぼおぼぼ……あ、でも、いがいとおいしい」
 見た目こそ異常ではあったが、その味は何気に正常化されていたのだ。
 素直に食べれば生き延びられる、そう悟った怪人たちは慌て食卓に着き、蠢くパイを貪る。
 これならば、助かる。怪人たちの目に希望が戻りつつあった。それが、ほんのわずかな時間の救いだというのに。
「わかってくれて何よりだ、さぁ、喉も乾いただろう、いいものを用意してあるからたっぷりとのどを潤したまえ」
 彼らが蒼く輝く濃縮ゼリー的な何かによって絶望の中で再起不能となるまでのカウントダウンは、すでに始まっていたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

月凪・ハルマ
鰹かぁ。今の時期だと初鰹かな?
(いい加減、この世界の戦争のノリにも慣れたなって顔)

料理はそこまで得意じゃないけど、素材の鮮度は良いし、
無理に手を掛けなくても大丈夫そうなのは助かるな
という訳で、ここはシンプルにいってみよう

まずは鰹の身を【早業】で捌いて1㎝角に切り、生姜醤油に漬ける
小さくしといた方が、早く味が染み込むんだよね

漬けてる間に大葉等の薬味を刻んでおいて……
そしてコレも(予め【ガジェットショータイム】で召喚した炊飯器)

後は、それらを全部ご飯の上に乗せて完成、と
大分自己流入ってるけど、これで鰹のヅケ丼の完成だ

喰いついたなら、後は【暗殺】技能で楽に逝かせよう
無理に苦しませる必要もないだろう



●怪人たちはあくまでも真剣である
「鰹かぁ。今の時期だと初鰹かな?」
 キマイラフューチャーに旬の概念があるかを少々訝しみながら、月凪・ハルマ(f05346)はその場に立っていた。
 世界的に非常に危ない状況であるのは間違いないのだが、相手方の性質もあってか、前回のスペースシップワールドの戦争とは比べ物にならない緊迫感の無さを肌で感じる。
 だからといって手を抜くわけにもいかない、天高くそびえる鰹の塔は油断すればすぐにでも怪人たちの勝利を告げる広告塔となりえてしまうのだから。
「さて、料理はそこまで得意じゃないが、幸いにして素材は新鮮。無理に手を駆けなくても十分においしくできそうなのは助かるな」
 得意ではないと言いながらも包丁を握り、カツオを解体するその手際は見事なものであった。
 現代においては魚を捌ける者自体が少ない。そういう意味でも十分な腕前を持っているだろう。
 それだけで食欲をそそる香りを放つ生姜醤油に1㎝角となった切り身を漬け込み、その間に大葉をはじめとした薬味の準備を終わらせておく。
『ゴハンガ、タキアガリ、マシタ』
 そして鳴り響く、謎の機械からの音声……それは、ハルマによって生み出されたガジェット炊飯器からの時を告げる声であった。
 プシュー……と炊きあがったご飯の蒸気を、おいしそうな香りと共に排出し、解放された蓋の中から白く輝く米が俺を食えと言わんばかりに輝きを放つ。
 あとは盛り付けるだけだ。
 ご飯の上に漬け込んだ鰹と薬味を乗せれば、鰹のヅケ丼の完成であった。
「おお、そろそろシメが欲しかったんだよな」
「魚といえば丼物、やったぜ」
「お、おい、もう俺たちしか残ってないけど食ってていいのか……くうけど……」
 数多の猟兵の活躍により船上に残ったわずかとなった怪人たちは、もはやハルマの丼に誘われた者だけとなっていた。
 このままでは作戦に支障をきたす。
 しかし、鰹の輝きは、世界の崩壊という至上命題を超越させるほどの食欲を彼らにもたらせたのである。
「これならいくらでもかきこめるぜ!」
「うまい、もう一杯!」
「ヒャァ! 我慢できねぇしゃもじを借りるぜ!!」
 終いには勝手に自分たちで盛り付け始める始末であった。
 そこまでくれば後ハルマのすることも『始末』を付ける事である。
 たらふく喰い動けなくなった彼らは、ハルマの振るう刃によって料理され、満足した顔のまま骸の海へと還されたのだった。 

●崩された鰹の塔
 こうしてシュウカクフードバトルは猟兵たちの勝利に終わった。
 天まで届かんとした鰹の塔は、天の怒りにより崩され、人々に鰹をもたらした。
 数多のカツオたちは、ある者は冷凍され、またある者はカツオ節となりながら、いつか来る活躍の日まで眠りにつく。
 この戦いが終わり、平和がもたらされたときには、人々が皆カツオによって手を取り合うことが出来る、そう信じて。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月09日


挿絵イラスト