バトルオブフラワーズ⑦〜強く可愛く歌も上手い
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「さあ、我ら『つよくてかわいいアニマルズ』の歌を聴け! 近くば寄って目にも見よ! 最高につよくかわいい我らのおうたこそが、このキマイラフューチャーを席巻するに値する!」
二つに割れた世界の狭間で、怪人たちがステージに立つ。
彼らは待っていた。世界を守らんとするヒーローたちの到着を。そして、熱く激しいコウハクウタガッセンを!
「お子さまどもよ、貴様らのヒーローが無残に敗れる様を目に焼き付けるがいい! ただし! おとうさんおかあさんなど、保護者の方と共に見よ! これから起こるは残虐なる合戦である! お子さまの視聴に相応しくないと思ったら、保護者の方が責任を持って視聴をやめさせるのだ!」
口上を述べ終えると、待っていたようにポップな曲が流れ出す。そしてマイクを持った怪人たちが、それに合わせて手を叩きながら歌い始めた。
クマさんとウサちゃんとワンちゃんが、仲良く遊ぶ楽しい歌を――。
●
『歌を歌っている間だけ戦闘力が増加する……歌い続ける限りどれだけダメージを負っても倒れることはなく、歌唱力勝負の敗者のみが敗北時、それまでに負ったダメージを一気に受ける……』
女性型ウォーマシン「星天」が首を傾げる。自らが見た予知の内容を上手く処理しきれないようだ。
『……ともかく事実として、そういった効果を付与される「ザ・ステージ」と呼ばれる空間が、今回キマイラフューチャーを襲った異変の鍵を握っています』
二つに割れた世界、これを視覚的にホログラムで空中に描きながら、星天は言葉を続ける。
『このステージは「コウハクウタガッセン」というルールに支配されています。歌いながら戦い、そして勝敗は「観客」の投票で決する。この場で怪人と戦闘を行う以上決してそれから逃れることは出来ないようです。すなわち、今回の戦いは歌唱力勝負であると断言できるでしょう。
戦いの映像はテレビウムのモニターを通じてキマイラフューチャー全域に配信され、これを目にした「観客」たちが受けた感性や感情を読み取るような形で自動的に判定されます。
肝要なのは、歌の素晴らしさというものは個人の感性に大きく左右されるものだということでしょう。例え音程やリズムが完全であっても、それを素晴らしいと思うかはその方次第。歌の巧拙が判定の基準ではないということです』
なので、と星天は続ける。
『”心”というものが重要になるのでは、と愚考いたします』
人の心を動かす歌というものは、必ずしも上手いものではないだろう。
『……とはいえ、わたくしに理解のできる範疇を明らかに超えてしまっていますので、これ以上は皆様に託したく存じます。――この戦いは、文字通りキマイラフューチャーの未来を決するものでございます。どうか皆様、お気を付けて』
そう言って、星天は静かに頭を下げた。
灰々
初キマイラフューチャーが戦争となりました、灰々(はいばい)と申します。
このシナリオは特殊ルールの適用される戦闘シナリオとなっております。
プレイングに必ず、
・どんな歌をどんな調子で歌うのか
・どう戦うのか
を明記して下さいませ。
敵キャラに合わせて子供向けみたいなステージをイメージしてしまいましたが、観客に大人も大勢いますので、歌の種類は何でも構いません。演歌でもヘヴィメタルでも勝てます。
もし歌わずに戦った場合、かなりのハンデを負うことになってしまいます。また、歌の種類は何でも構いませんが、版権ものにはご注意下さいませ。
そんな感じで、よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『つよくてかわいいアニマルズ』
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POW : 丸太クマさん怪人・ウェポン
【丸太兵器 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 鉄球ワンちゃん怪人・ジェノサイド
【鉄球攻撃 】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : ピコハンウサちゃん怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【ピコハン 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:まめのきなこ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
仁科・恭介
※アドリブ、連携歓迎
対戦相手を見て一言
「この曲のテンポを最大まで上げてもらってよいですか?」(【礼儀作法】)
曲は「あしたはワイト」
森に迷い込んだ子供がワイト達に助けられながら伝説の薬を探すハートフルアニメ映画の主題歌
子供や親世代も大好きな曲だが、この曲はテンポアップするだけで素晴らしいポップスに変わる
Bメロからサビに変わる合間にコールを入れてもらおう
キマイラフィーチャーのノリなら合いの手も大丈夫かな
戦闘
【残像】を使用して一人サークルダンスを決めて盛り上げる
サビ部分の合いの手に合わせて客席のテンションを借り【ダッシュ】で間合いを詰め【鎧無視攻撃】で殴る
客席で突き上げる拳に合わせ怪人を突き上げる
猟兵たちがステージに現れた。その瞬間、周囲に張り巡らされた観客席から歓声が迸る。
「では始めようではないか。凄惨極まる、死のおゆうぎかいを……!」
クマさん怪人が丸太を軽々と持ち上げ、見せつけるように前に出た。可愛く微笑む口元に、最大限の殺意が籠もる。
「では、私から。この曲のテンポを最大まで上げてもらってよいですか?」
対し、仁科・恭介はあくまでも礼儀正しく、怪人たちにリクエストを投げた。
「ほほう、『あしたはワイト』であるか。お子さまも楽しめる良いナンバーであるな」
「ええ、この曲はテンポアップするだけで素晴らしいポップスになるのですよ」
愉快で楽しい音楽が流れ出す。怪人たちのそれと恭介のそれが、カオスに響いて混ざり合い、ステージを包み込んでいった。
向き合う二人が大きく息を吸い、歌い始めると共に動き出す。
クマさんの丸太がゴウと伸び、恭介へと叩きつけられる。恭介はその瞬間、掻き消えんばかりに素早く足を動かした。
森に迷い込んだ子供と、ワイトたちのハートフルストーリー。それを彩る楽しい歌を口元に、恭介の姿が無数に分裂する。
無数の残像。
風を切る恭介たちの隊列が、互いに手を組み歌に合わせてダンスを決める。
クマさんの丸太が残像を貫いた。
「ぬう、ニセモノか!」
「さあ、テンポを上げていきますよ!」
襲い来る丸太を躱し、受け流し、ダンスと歌が会場を盛り上げる。
「さあ、皆様ご一緒に!」
Bメロからサビへ入るところで、恭介は声を張り上げた。
合いの手を上げざるを得ない。この盛り上がりは、観客たちを突き動かした。
大人も子供も皆が知っている。そんな歌を楽しく歌われて、テンションの上がらないものなどいない。キマイラフューチャーとは、そういう世界であるのだから。
恭介は客席の盛り上がりに背中を押されるように、一息に前に出た。一足飛びに地面を蹴って、丸太の殴打を潜ってクマさんの懐に潜り込む。
「くっ、馬鹿な!」
「これで終わりです!」
サビの最高潮。恭介と観客の動きは完全にシンクロした。
――あたかも天を突くように、一斉に拳が突き上げられる。その中の一つ、恭介の拳がクマさんの顎先を捉え、そして歌の終わりに合わせて突き抜けた。
クマさんが吹き飛び、そのまま地面に叩きつけられる。
「ふう、歌いながら戦うというのも、なかなか大変ですね」
息をつく恭介の頭上に大きく、Winnerの文字が煌めいた。
成功
🔵🔵🔴
ソフィア・リューカン
歌を歌いながらなのも大変ね!でも、なんだか楽しそうな勝負ね。
私自身の子供っぽさを生かして、子供向けの歌を【優しさ】で穏やかな声音で歌っていくけど……アレンジを加えて、歌詞を【勇気】を齎すような格好良い感じにして【鼓舞】で盛り上げていくわ!
戦い方は人形たちを召喚して足止めに半分、攻撃役に半分ぐらいで行動ね。見た所、武器を使った攻撃をしそうね、数体が食い止めているところを【星縫い】を【投擲】して行動の邪魔……と【フェイント】で見せかけて、足止めに隠れていた数体を動かして武器に対して【盗み攻撃】を仕掛けていくわ!
ちなみに数体は【念動力】で腹話術による合唱もお願いするわ!
アドリブ・絡み歓迎
ソフィア・リューカンが歌うのは、子供向けの優しい歌だ。柔らかい声色が響き渡って、観客席は思わず静まりかえる。だがその歌詞の中に、勇気をもたらすアレンジを加えて鼓舞するようにソフィアが歌えば、徐々に、会場のボルテージも上がっていく。
ソフィアの小柄な体躯も相まって、まるで子供が歌っているようだった。
「ふん、お子さま風情が戦場に立つべきではないワンね」
怪人が、凶悪な鉄球を振り回しながらソフィアへと、挑発的な言葉を投げつける。
「そう? 誰にでも、歌う権利はあると思うのだけど」
互いに一歩も譲らずにじり寄り、そして不意に、戦闘が始まった。
ソフィアが無数の人形を、ばらまくように展開する。
「みんな! 手伝ってね!」
歌声に合わせて人形たちは、ステージ上に散っていく。そのうちの数体がソフィアの両脇に並んで、彼女の歌に合わせて口をパクパクと動かした。
「貧弱なお人形さんワンね!」
残りの人形たちは二つに分かれ、一つは真正面から怪人へと飛びかかっていく。
犬型怪人は、湖の湖畔で遊ぶ愉快な仲間たちを楽しい歌声で表現しながら、無骨な鉄球を激しく振り回した。
ゆったりとした曲調とは裏腹な攻撃に、数体の人形が砕かれる。しかしその隙を狙って回り込んだ別の人形たちが、纏わり付くように怪人の足下に飛び込んでいた。
「な、ずるいワン! 反則ワン!」
あまりに重い鉄球は、一度振り回せば急には止まれない。人形たちに組み付かれながら、怪人は慌てたように歌声を乱れさせた。
対してソフィアの、勇気を鼓舞する歌声は徐々に観客席の心を掴んでいった。優しく穏やかな声色から放たれる勇壮な歌詞のアレンジに、彼らの心は熱くなる。
「歌を歌いながらなのも大変ね!」
動きの乱れた怪人に向け、ソフィアは歌いながら残りの人形たちも飛びかからせた。
人形の手にした大きく鋭い針が、怪人の体を縫い止めんと放たれる。
「ぬう、小癪なワン!」
怪人もまた力を振り絞り、飛来した針を次から次へと叩き落としていく。
互角。
そう見えた。
「……今よ!」
歌の合間にソフィアが叫ぶ。同時に、潜むように怪人の死角に移動していた人形たちが、するりと陰から怪人に取り付いた。
「こ、こいつら、ワン……!」
狙うは鉄球。人形たちが殺到し、指を一本一本外していく。
「そ、そんな、ボクが負けるワンて……」
やがて鉄球の重さに耐えかねて、鎖が怪人の手から滑り落ちた。
「うん、結構楽しかったわ!」
それと同時に最後まで気持ちよく歌い終え、ソフィアは輝く笑顔を客席に向けた。
大きな歓声が上がる。彼女の頭上にWinnerの文字が浮かぶことを、疑うものはいないだろう。
成功
🔵🔵🔴
紅葉谷・えり
コウハクウタガッセン!……ふふ、ついにこの日が来たのね!私が正真正銘のアイドルって事を今一度再確認できるお仕事が!今日こそは変態どもを相手にしなくていいのね!え?なにやっぱり戦わされるの…?いやーっ!帰るーっ!!
うぅ…で、でもキマイラフューチャーの危機なのよね…私の故郷でもあるしやるしかないわ…!まだアイドル活動は日が浅いけど、いつか絶対輝いてみせるのよ!えりは夜空に輝く星になるのよ!そんな気持ちを歌にするわ!
星のように光る未来の自分への憧れをフューチャーポップな感じで歌うわ!曲名はそうね…キラキラスターライトかしら!ついでにオブリビオンをマイクスタンドでかっ飛ばして流れ星にしてあげるわ!
「コウハクウタガッセン! ……ふふ、ついにこの日が来たのね! 私が正真正銘のアイドルって事を、今一度再確認できるお仕事が!」
今日こそは変態どもを相手にしなくてもいい。その事実に胸を弾ませながら、気合いも十分、紅葉谷・えりはステージに躍り出た。
「……あれ?」
しかしてそこに広がっていたのは――着ぐるみのような怪人と激しく戦う、猟兵たちの姿だった。
「え? なにやっぱり戦わされるの……?」
「我の相手は貴様か、小娘。お子さま相手ならばちとやりづらかろうが、それだけ育っておれば容赦はせぬぞ!」
「いやーっ! 帰るーっ!!」
丸太を振り回すクマ怪人が、明らかにえりをロックオンしたようだった。
「うぅ……で、でもキマイラフューチャーの危機なのよね……」
この世界はえりの故郷である。それが二つに割れてしまい、ここで戦わなければ大変な事になると聞かされて、
「やるしかないわ……!」
それで膝を折るえりではない。
えりのアイドル経験はまだ日が浅い。一発ネタと生み出された自分には、まだまだ足りないものは多いだろう。
だが、
「いつか絶対輝いてみせるのよ! えりは、夜空に輝く星になるのよ!」
マイクスタンドを手に、えりは大きく息を吸った。
「来るか小娘。では、いざ参る!」
クマ怪人が、愉快に歌いながら丸太を振り上げる。
風を切って迫り来るそれを、えりは転がるように何とか躱し――声を張り上げ、未来の自分への憧れを、歌へと変えた。
「曲名は……キラキラスターライトかしら!」
フューチャーポップな歌声がステージに響き渡る。
キラキラ輝く星になる。目映い光で皆を照らす、正真正銘のアイドルに。
そんな思いを歌に込め、えりは力の限りマイクを握った。
迫る丸太が頬を掠める。叩きつけられた丸太の衝撃に、足を取られそうになる。
それでもえりはマイクを離さない。
「えりちゃん頑張れー!!」
そんな声が客席から飛んだ。気付けばえりの一生懸命な歌に見せられて、多くの観客が思わずといった様子で立ち上がっていた。
「うん、頑張る!」
声援に突き動かされるように、えりは大きく踏み込んだ。手にしたマイクスタンドを振りかぶり、
「おらーっ!!」
突き上げられる丸太に、全力で叩きつけた。
「なんだと!」
その一撃に丸太が砕ける。破片が無数に宙を舞う。構わずえりは、そのまま思い切り振り抜いた。
驚愕に目を見開いた怪人に、マイクスタンドが直撃する。上がる大歓声。まるで流れ星のように吹き飛んだ怪人の体が地面に激突する前に、えりの頭上にWinnerの文字が輝いた。
成功
🔵🔵🔴
クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎
「歌ですか、軍歌……団歌……ここは、アレを歌いましょうか」
【POW】:UCで飛翔、歌いながら遠距離戦を戦う
●歌
UDCE/HEの名作アニメソングを、空中をアクロバット飛行しながら歌います。
キマイラと言えど半分は男、ロボと飛行機、そしてスパロボソングは琴線に触れるはず。
お子様ソングでそろそろ飽きてきたはず。
「私の歌を聞けぇーーー!」
●戦闘
「何処までも行ける!」
【メカニック】でAFの背面ブースターを起動し飛翔。
空中でも【スナイパー】は狙いを外しません。
「届け この想い」
台詞は歌詞です。
●対抗
『丸太兵器』ですか、高速飛翔し回避します。
「そんなんじゃ、いつまでたっても……」
歌詞です。
「不甲斐ない……不甲斐ないぞ我が同胞よ……!」
次々と、怪人たちが歌合戦に負けては倒れていく。それを目の当たりに、クマさん怪人は酷く憤った。
「歌ですか、軍歌……団歌……」
その姿を眺めながらも、クネウス・ウィギンシティはあくまで冷静に。さて何を歌おうかと悩んでいた。
先ほどから怪人たちの歌う、子供向けの愉快な歌が耳に残っている。
「ではここは、アレを歌いましょうか」
「ふん、我のおうたに迷いなし」
二人が相対すると、観客席から歓声が上がる。それを耳に、クネウスは兵装を起動した。
クマさん怪人は丸太を構え、吼えるように優しい歌を歌い始める。草原を駆ける仲間たち、美味しいケーキ、白い雲。
増強された力がステージを揺らす。強く蹴った地面が弾け、暴虐の丸太がクネウスへと迫る。
「GEAR:CLOTHO」
その瞬間に、クネウスは背面ブースターを解放――丸太を飛び越えるように上空へと飛翔した。
「お子様ソングも、そろそろ飽きてきたでしょう」
そのままステージの上を旋回しながらクネウスは、アースと付く世界に色濃く名を残す定番の名作アニメソングを歌った。
「私の歌を聞けぇーーー!」
シャウトと共に魂の熱唱を披露すれば、たちまちに力の湧き上がる。まるで心の奥底から、マグマが湧き上がってくるようだ。
「こ、この歌は……!」
「何処までも行ける!」
歌詞に則るかのように、クネウスはすかさず狙撃銃を構え、高速で飛翔しながら引き金を引く。
その狙いは、飛びながらでも狂うことはない。怪人の動きを読んで次々に弾丸を叩き込んでいく。
「ぬう、飛べぬはクマの道理であるか……!」
回避されても回避の先に、それを躱されればその先に。回り込むような攻撃を、クマさん怪人は丸太を盾に防いでいく。
「届け、この想い」
「く、ロボに飛行機と、おとこのこのツボを如何に押さえようと!」
クマさんがクネウスに向けて強く跳ねた。クネウスは当然、素早くそれを躱す。
「お子さまソングこそ、誰もが通る王道よ!」
落ちるクマさんの手の中で、丸太兵器が一気に伸びた。
風を切って長大な丸太が振り回される。クマさんの野生な腕力が、丸太兵器に力を与える。
だが、それでも。
「そんなんじゃ、いつまでたっても……」
所詮は丸太だ。
歌もクライマックスに近づき、クネウスは丸太を飛び越え更に上空へ。決してクマさんの攻撃が届かない場所から、銃を構えた。
「――終わりです」
撃ち下ろす。
クマさんがステージに落下すると同時に着弾。轟音を響かせて、その眉間に突き刺さった。
クネウスの頭上に刻まれたWinnerの文字は、離れた観客席からでもはっきりと輝いて見えた。
成功
🔵🔵🔴
チトセ・シロガネ
良い子のみんなー!集まれーい!
ボクは【変装】でうたのお姉さんとして子供向けの歌を歌うヨ
【歌唱・パフォーマンス】で子どもたちの心をゲットだヨ
つよくて!かわいい!アニマルズ!
もう暗くなるからみんな地獄……おうちに帰ろうネ!
ピョン!ピョン!ピョン!ウサギさん!覚悟しろ(低いトーン)
なお、戦闘では視聴者への【優しさ】重視で残虐なシーンは一切無いネ
【地形の利用】を使ってステージの影で地獄に落ちてもらう(低いトーン)
【見切り・早業】で攻撃を見極めて【武器受け・カウンター】【破邪光芒】でピコハンを叩き落とすヨ
返すエッジで【属性攻撃・2回攻撃・残像】を使ってバッサリだヨ
手際の良さが命だから【早業】もつけるネ
「良い子のみんなー! 集まれーい!」
うたのお姉さんへと変装したチトセ・シロガネが、ステージ上から観客席に向けてにこやかに手を振った。
その明るいハイトーンボイスに歓声が上がる。
「……ちっ、男共は使えねえし。道連れにもできないのかしら」
そうしたチトセと対照的に、ウサちゃん怪人は気怠げに。ゆらりと手にしたピコハンを振り回しながら呟いた。
「そんな顔してたら、子どもたちが怖がっちゃうヨ。もっと笑顔笑顔! つよくて! かわいい! アニマルズ!」
「はっ、こちとらプロだっつーの……さぁみんなぁ、悪いお姉さんをやっつけちゃうから、応援してピョン!」
明るく元気な音楽の流れるステージに、しかし火花が散っていた。
見た目の軽さとは裏腹に、ウサちゃんの一撃は鉄槌だった。
軽快な歌を響かせながら、うなるピコハンが地面を打つ。衝撃がステージを伝わって、チトセの足下を強く揺らした。
「ピョン! ピョン! ピョン! ウサギさん! 元気がいいのはいいことネ!」
チトセもまた子ども向けの歌を歌って、しかし反撃することなくピコハンを跳ねるように躱しながら後ろへと下がっていく。
今のチトセはうたのお姉さん。幼児教育の先導者なれば、残虐なシーンなど繰り広げるはずもなし。
「さあ、盛り上がっていくヨー!」
画面の前の子どもたちに語りかけ、手を叩きながらチトセは歌う。ステージ上を大きく動き、近くの観客にアピールすることも忘れない。
「舐めやがってこの女……!」
面白くないのはウサちゃん怪人だ。
半ば無視でもされるように、相手がパフォーマンスに夢中になっているとなれば、ピコハンを掴むおててに力が入る。
ギリギリと拳を軋ませて、ピコハンを大きく振りかぶるとチトセに飛びかかってきた。
「死に晒せェ!」
「駄目ヨ、そんな言葉使っちゃ」
チトセは転がるように、一撃を躱してステージ端のオブジェの陰に滑り込む。そこは照明の光の遮られる、「裏」の場所だった。
「そういう言葉は、カメラのないところで、ネ。――覚悟しろ」
「え……」
光刃が閃いた。
振り下ろされるピコハンの側面を削るように刃が走り、勢いを殺して受け流す。そして攻撃が地面を叩くと共に、残像を残す速度でチトセが動いた。
「地獄に落ちてもらうヨ」
光を纏った目にも止まらぬ連撃が、ハンマーを振り下ろし弛緩したウサちゃんの頭部に迫り――。
大きな歓声を浴びながら、頭上にWinnerの文字を踊らせてチトセがステージに戻ってくる。
「みんなー、ありがとネー!」
大きく手を振るその背中を追うものは、もう誰もいない。
成功
🔵🔵🔴
「ハーイ! セシィちゃん登☆場♪」
続いてステージに上がるのは、青い衣装に身を包む超バーチャルアイドル、セシィ・ソルビーだ。煌めく笑顔で手を振って、軽快なステップでステージ中央に躍り出る。
向かい側から現れるのは、長い耳を揺らすウサちゃん怪人。手にするのはピコハンだが、それは強い殺意を放っていた。
「アイドルだかなんだか知らないけど、あたしのピコハンの錆びにしてやるよ……!」
ぴよぴよと掌をハンマーで叩くウサちゃんの口元が、ニヤリと可愛らしく歪む。
「あぁ、可愛い!」
その姿は、まさしくぬいぐるみが意思を持って動いているようで、子ども向けとしては最高の素材だろう。
自分と組めば、子どもたちからの人気もうなぎ登りだろうに。内心残念に思いながらも、セシィは開幕に備えて気合いを入れるのだった。
「カメラ位置良し、立ち位置良し、ヘッドマイクもセットして……よーし!」
そうして準備は整った。
「動画撮影開始! 可愛い着ぐるみ? と対バンしてみた♪」
弾けるような曲に合わせて、セシィは大きくステップを踏み出した。
常に画角を意識して、最高の角度で自分を映す。遠く離れた画面の向こうに、溢れる魅力を届けるために。
「対バンなんかじゃないわ……これは、一方的な蹂躙よ!」
ウサちゃん怪人は、ピコハン片手に子ども向けの童謡を力強く歌い出す。
ウサギの山のウサギ王国、そこに暮らすはウサギたち。ニンジン掘って、キャベツも食べて、皆で仲良く跳ねるのさ――。
「なんて可愛い歌なの……! でも、セシィちゃんも負けないからね☆」
セシィが歌うのは、誰からも愛されるようなアイドルの名曲だ。歌に合わせて体全体でリズムを刻み、格好良く可愛くセクシーに、そして誰より楽しんで。
セシィは踊る。歌って踊る。
「オラァッ!」
裂帛の気合いと共に、ウサちゃんのピコハンが薙ぎ払われる。鉄槌のような一撃だ。セシィは咄嗟に、踊りの流れで後ろに跳んだ。
「わ、あっぶなーい☆」
「媚び売ってんじゃねえわよ!」
続けてもう一撃。二撃、三撃。
立て続けにウサちゃん怪人が腕を振る。
セシィは紙一重にそれを避けていく。そのたびに発生した豪風が、セシィの髪や衣装を揺らした。
――観客席から、野太い歓声が迸る。
「次はこっちの番だよ!」
セシィの周囲に、百を超える機械兵器が召喚された。
「え、ちょっと多くないっ?」
ウサちゃんが叫ぶ。手にしたピコハンを盾のように、瞬時に構え。
「さあ、盛り上がっていくよー☆」
兵器の群れが一斉に、射撃を開始した。
セシィの歌に合わせてまるで楽器の一つのように、タン、タタンとリズムを刻み、舞い踊るように飛び回る。
「う、ウサちゃんりふれくしょん!」
苦し紛れに怪人がピコハンを振るえば、いくつかの銃撃が無効化されてひしゃげた銃弾が地面に落ちた。
だが同時に、四方八方からその何倍もの弾丸が怪人に向けて叩き込まれて――。
「いえーいっ、大☆勝☆利」
セシィの頭上にWinnerの文字が浮かんだ瞬間、怪人はボロ雑巾のように崩れ落ちていた。
セシィ・ソルビー
ハーイ!セシィちゃん登☆場♪
強くて可愛くて歌も上手い、そんなセシィちゃんみたいな怪人ちゃんがいるなんて!でもセシィちゃん負けないよ〜☆
(あぁ、あの怪人たち可愛い!私と組んだら子供達からの人気が上昇する事間違い無いのにっ…!)
◆可愛い着ぐるみ?と対バンしてみた
動画撮影開始。よーし!
幅広い世代から支持されているアイドルの名曲を歌おうかな☆
【歌唱】しながら【ダンス】【パフォーマンス】で魅了だよ!格好良く、可愛く、セクシーに、そして何より楽しく歌って踊るよ☆
歌とダンスに合わせてリズム良くUC【エレクトロレギオン】で攻撃だ☆
攻撃する音も音楽に乗せていこう♪
※アドリブや連携 歓☆迎
「ハーイ! セシィちゃん登☆場♪」
続いてステージに上がるのは、青い衣装に身を包む超バーチャルアイドル、セシィ・ソルビーだ。煌めく笑顔で手を振って、軽快なステップでステージ中央に躍り出る。
向かい側から現れるのは、長い耳を揺らすウサちゃん怪人。手にするのはピコハンだが、それは強い殺意を放っていた。
「アイドルだかなんだか知らないけど、あたしのピコハンの錆びにしてやるよ……!」
ぴよぴよと掌をハンマーで叩くウサちゃんの口元が、ニヤリと可愛らしく歪む。
「あぁ、可愛い!」
その姿は、まさしくぬいぐるみが意思を持って動いているようで、子ども向けとしては最高の素材だろう。
自分と組めば、子どもたちからの人気もうなぎ登りだろうに。内心残念に思いながらも、セシィは開幕に備えて気合いを入れるのだった。
「カメラ位置良し、立ち位置良し、ヘッドマイクもセットして……よーし!」
そうして準備は整った。
「動画撮影開始! 可愛い着ぐるみ? と対バンしてみた♪」
弾けるような曲に合わせて、セシィは大きくステップを踏み出した。
常に画角を意識して、最高の角度で自分を映す。遠く離れた画面の向こうに、溢れる魅力を届けるために。
「対バンなんかじゃないわ……これは、一方的な蹂躙よ!」
ウサちゃん怪人は、ピコハン片手に子ども向けの童謡を力強く歌い出す。
ウサギの山のウサギ王国、そこに暮らすはウサギたち。ニンジン掘って、キャベツも食べて、皆で仲良く跳ねるのさ――。
「なんて可愛い歌なの……! でも、セシィちゃんも負けないからね☆」
セシィが歌うのは、誰からも愛されるようなアイドルの名曲だ。歌に合わせて体全体でリズムを刻み、格好良く可愛くセクシーに、そして誰より楽しんで。
セシィは踊る。歌って踊る。
「オラァッ!」
裂帛の気合いと共に、ウサちゃんのピコハンが薙ぎ払われる。鉄槌のような一撃だ。セシィは咄嗟に、踊りの流れで後ろに跳んだ。
「わ、あっぶなーい☆」
「媚び売ってんじゃねえわよ!」
続けてもう一撃。二撃、三撃。
立て続けにウサちゃん怪人が腕を振る。
セシィは紙一重にそれを避けていく。そのたびに発生した豪風が、セシィの髪や衣装を揺らした。
――観客席から、野太い歓声が迸る。
「次はこっちの番だよ!」
セシィの周囲に、百を超える機械兵器が召喚された。
「え、ちょっと多くないっ?」
ウサちゃんが叫ぶ。手にしたピコハンを盾のように、瞬時に構え。
「さあ、盛り上がっていくよー☆」
兵器の群れが一斉に、射撃を開始した。
セシィの歌に合わせてまるで楽器の一つのように、タン、タタンとリズムを刻み、舞い踊るように飛び回る。
「う、ウサちゃんりふれくしょん!」
苦し紛れに怪人がピコハンを振るえば、いくつかの銃撃が無効化されてひしゃげた銃弾が地面に落ちた。
だが同時に、四方八方からその何倍もの弾丸が怪人に向けて叩き込まれて――。
「いえーいっ、大☆勝☆利」
セシィの頭上にWinnerの文字が浮かんだ瞬間、怪人はボロ雑巾のように崩れ落ちていた。
成功
🔵🔵🔴