バトルオブフラワーズ⑤~殴って蹴って投げ飛ばす
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「よく来てくれたな。実は、キマイラフューチャーが大変なことになってしまったんだ」
ここは猟兵達の拠点、グリモアベース。その一角に集合した猟兵たちに、グリモア猟兵のガーネットが語り掛けた。
「キマイラフューチャーを構成する惑星が、北半球と南半球で真っ二つに分かれてしまったんだ。例えるなら、ガチャガチャのカプセルのように」
これはキマイラフューチャーの根幹をなす『システム・フラワーズ』への道が開かれた影響だ。そして、その開かれて露出した中心部に向かって、オブリビオン・フォーミュラ『ドン・フリーダム』とその部下たちが侵攻を開始したのだ。
「というわけで、現在キマイラフューチャーを救う作戦『バトルオブフラワーズ』の真っ最中だ。幸い、先のテレビウム・ロック事件をかなりの数解決したので、かなり有利な状況から作戦を開始できている」
ガーネットはキューブ状の発光体グリモアを操作し、戦場の全体図を表示する。まずは、キマイラフューチャーの各地に点在する『ステージ』と呼ばれるエリアを制圧し、敵の戦力を低下させていく必要がある。ステージとは、キマイラフューチャーが誇る様々なポップカルチャーの特色を有する特殊な戦場のことである。
「君たちに向かってもらうのは、このポイントだ。ここは『ザ・ゲームステージ』……分かりやすくいうと、ゲームの世界に入り込み、ゲームのルールに従って行動し、クリアを目指すというものだ」
今回は自分たちがゲームを操作するのではなく、自分自身がキャラクターとなって、ゲーム世界で活動するというわけだ。
「仮想空間にダイブするという感覚だろうか……。スペースシップワールドに存在した、VR装置に近いものだろう」
「へえ、なんか面白そうじゃないか。で、どんなゲームなんだ?」
集まった猟兵の一人が、ガーネットに質問を投げかける。
「えーと。ゲームのタイトルは……『クライシス・ソドム』。犯罪が蔓延る近未来の巨大都市に潜入したプレイヤーが、犯罪組織に攫われた人質を救出するベルトスクロールアクション、だそうだ」
ベルトスクロールアクション。横に長いフィールドを前へ移動しながら敵を倒し、次のステージへ進んでいく、ちょっとレトロでシンプルなアクションゲームである。
「まぁ、プレイ方法はとても簡単。わらわらと湧いてくる敵オブリビオンをひたすら殴り倒しながら、矢印の方向に進めばいい。ステージはブロックごとに区切られていて、オブリビオンを全滅させないと先へ進めないぞ。あと時間制限もあるから、モタモタしないように気を付けて」
「僕らの武器や、ユーベルコードはゲームの中でも使えますか?」
猟兵の装備やユーベルコードは、ゲームの難易度を左右する重要な要素だ。ガーネットはデータ化された説明書を読んで、ルールを確認する。
「ユーベルコードは使用可能だが、ゲージが溜まらないと使えないようだな。一度使えば、ゲージが再び溜まるまで使えない。装備は自分のを持ち込み可能なようだが、ゲーム中に拾える回復アイテムや武器もあるらしい。その辺もうまく活用できればいいな」
ゲームの中が戦場とはいえ、やること自体はいつもの戦闘とあまり変わらないようだ。どんな風に戦ってやろうかと、猟兵達は戦いを前に士気を高めつつあった。
「ああ、自分の残機にはくれぐれも気を付けてくれよ? 参加者の一人でも残機0になったらゲームオーバー、全プレイヤー強制退場だからな」
弥句
こんにちは、弥句です。令和初のシナリオです。このシナリオは戦争『バトルオブフラワーズ』の関連シナリオです。
●ゲームキャラクター
このシナリオフレームでは、『ゲームキャラクター』という特殊戦闘ルールが適用されます。
ゲーム内のデジタル世界のような場所が戦場になります。
ゲーム機を操作するのではなく、ゲームの世界の中に入り込み、ゲームをクリアするような行動を行ってください。
クリア直前になると、集団敵が現れて、クリアを邪魔しようとするので、その妨害を撃破できれば、ステージクリアになります。
ゲーム名『クライシス・ソドム』20世紀のアメリカをモチーフとした大都会が舞台。プレイヤーは特殊な任務を受けたエージェントとなり、犯罪組織に拉致された要人を救出するために戦う。インターフェイスは体力ゲージ(ゼロになると残機が減る。回復可能)とUCゲージ(これが溜まるとユーベルコードを1回使える)、残機(3つまで)という至ってシンプルなもの。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『つよくてかわいいアニマルズ』
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POW : 丸太クマさん怪人・ウェポン
【丸太兵器 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 鉄球ワンちゃん怪人・ジェノサイド
【鉄球攻撃 】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : ピコハンウサちゃん怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【ピコハン 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:まめのきなこ
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(アドリブ/連携可)
「これほどミスマッチな選択は無いと思うけど」
弟と一緒にペアプレイで参戦
■作戦
ステージ最初に[ハッキング]でマップデータとアイテム箇所を[情報収集]
■行動
「か弱い乙女になんてことさせるのよ」
さすがに素手で殴るはできないので銀翼杖のリーチを活かして
叩く(小攻撃)振り回す(大攻撃)中心に戦う
スクロール外に[おびき寄せ]て画面外で殲滅
画面外からの飛び蹴りなどは[見切り&残像]で回避
回復アイテムを忘れずとって確実に回復
ここぞのポイントでは【ウィザード・ミサイル】を[2回攻撃]で
画面全体に放って敵を炎上させて倒す
最後のアニマルズには【トールの雷鎚】で撃退
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【SPD】(アドリブ・共闘可)
「ヒーローズアースの市長さんが欲しいよね」
面白そうだからフィオ姉ちゃんと参加するんだ
【行動】()内は技能
フィオ姉ちゃんが後ろ側、ボクが進行方向側を主にケアして進むよ
ボクは聖箒をぶん回して戦うよ!
(力溜め)て強攻撃を繰り出しつつ、フィオ姉ちゃんから回復アイテムもらってバッチリ回復
ピンチの時は懐から猫のマシューが飛び出してひっかくよ
敵の攻撃は(ジャンプ&見切り)で躱すよ
ゲージが溜まったら、突進してくる敵にとっておいて前方にクラロ・デ・ルーナ。直線上の敵を殲滅だね
最後のアニマルズには(全力魔法)でイスベル・ウラーノ
「ボクの必殺技だよ。ドッカーン!」
渡塚・源誠
なかなかレトロチックなゲームもあるもんだねぇ
ゲーム中は通常時は伸縮棍での打撃攻撃、UCゲージが溜まったら指定したユーベルコードでの【一斉発射】の【投擲】で敵を一掃しようかな
ユーベルコードでの攻撃を複数回蓄積できるなら、最後に向けて温存しておきたいけどね
道中では戦闘以外でも【失せ物探し】でできる限りアイテムを拾っておこうかな
優先的に拾っておきたいのは回復アイテム、あと通常時も遠距離攻撃を行えるよう、銃とかが落ちてないか探してみるよ
ラストの集団戦は、ユーベルコードによる【先制攻撃】の【投擲】で敵を【吹き飛ばし】するよ
…威力的にはライフル弾位あるんじゃないかな
丸太くらいなら粉砕できると思うんだけど
相馬・雷光
ベルトスクロール……あー、ゲーセンによくあるヤツね!
最近はあんまり見なくなったけど、結構好きだったわよ
犯罪都市の闇を駆ける……いいわね、忍者っぽくて!
私がキャラになるんなら、手数が多いスピードタイプになるかしら?
銃がメインだし、前衛系と協力プレイとか出来ると心強いわね
機動力を活かしてジャンプとかダッシュで敵の攻撃を躱すわ!
雷撃弾(属性攻撃)をバシバシ撃ちまくってゲージを溜める!
援護射撃で敵を怯ませて仲間の援護も!
回避タイプだし、回復アイテムは仲間に取ってもらうわ
丸太に鉄球、ハンマー……全部近接系ね
距離を取ってチクチク撃ちながら、攻撃後の隙を狙って【帝釈天降魔砲】をぶっ放すわ!
いっけえええー!
オリヴィア・ローゼンタール
ソドム……行かなければならない使命感に駆られる名前ですね
こんぴーたーは苦手ですが……直接中に入れるのですか?
不思議なものですね、流石キマイラフューチャー
(軽く槍を振るって)現実と特に違和感はなし、これなら戦えそうです
聖槍で敵を【なぎ払い】ながら進む
【吹き飛ばし】て別の敵にぶつける
よく被弾するので回復アイテムとやら拾っていきましょう
こちらは……武器ですか……えい(銃器でも刀剣でも【投擲】して攻撃)
犯罪組織という割にはファンシーな敵が……あ、ゲームの世界観とは別枠ですか?
ゲージは……よし、ユーベルコードが使えますね
【紅炎灼滅砲】で一気に焼き払います!
ソドムの名を冠するならば、炎で滅ぶのは必然です!
ノイン・フィーバー
心情:あ、これ事件関係なくやってみたいやつですネ
行動:ブーストスライガーを持ち込み、横スクロールSTG風味に。
恐らく目立つと思うので、回避重視で色々引きつけ避けつつ射撃でけん制し、地上を走る皆の援護を。
丸太だけは色々怖いので、回避ではなくて弾幕で迎撃しておきましょう。
フルバーストマキシマムを使いたい所ですが、他の方が使うかもしれない事を考え、リフレクト対策も兼ねてガジェットショータイムで。
スライガー下部のペイロードからガジェット「超大型ロケット花火」を点火しファイア。
「たーまやー、というヤツですネ?」
綺麗な花火を上げる。それはさながらSTGのボムである。
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19××年、アメリカ。未曾有の経済危機が招いた恐慌により、国内の治安は悪化。汚職が蔓延り腐敗した行政は市民の生活を顧みず、いつしかその街は希望を失い享楽に溺れた堕落の都『ソドム』と呼ばれるようになった。そのソドムに、犯罪組織に攫われた要人を救出すべく、エージェントが送り込まれた……。
――というのが、本作『クライシス・ソドム』の背景設定である。『ザ・ゲームステージ』にやってきた猟兵たちは、古びたゲーム筐体からゲームの中に『ログイン』することで、2D存在であるゲームキャラクターと化した。『神』の視点から見れば、現在の猟兵たちは当時のハードの限界に挑んだと形容されるリアルなドット絵姿でフィールドに立っている。その頭上には、自身の体力とユーベルコードを使う力を示すゲージが二本浮かんでいる。
「これほどミスマッチな選択はないと思うけど……」
「ヒーローズアースの市長さんが欲しいよね」
フィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)とフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)のウィザード姉弟は、それぞれ愛用の杖と箒を取り出して辺りを見渡す。白昼だというのに、ダウンタウンはまるでゴーストタウンのように静まりかえっている。虚空に浮かんだ矢印が示す方向に進んでいくと、やがて明らかに犯罪者と思われる風体の敵キャラクターが次々と現れた。皆、手には鉄パイプやナイフといった凶器を手にしている。
「犯罪都市の闇を駆ける……いいわね、忍者っぽくて!」
褐色肌のくノ一相馬・雷光(雷霆の降魔忍・f14459)は、迫りくる敵キャラにも物怖じしない。最近はUDCアースのゲームセンターでも見なくなったが、ベルトスクロールは割と好きでよくプレイした口だ。
「へえ、なかなかレトロチックなゲームもあるもんだねぇ」
泰然自若とした態度で愛用の伸縮棍を構える旅人風の青年は、渡塚・源誠(旅好きの猟兵・f04955)。熟達した棒捌きでスキンヘッドのチンピラの攻撃をガードし、素早く顎に一撃を見舞う。アオゥ! とくぐもった悲鳴を上げてダウンし、消滅していくスキンヘッド。
「こんぴーたーは苦手ですが……直接中に入れるのですか? 不思議なものですね、流石キマイラフューチャー」
長い銀髪を靡かせるダンピールの騎士オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は『破邪の聖槍』を軽く振り、感触を確かめる。ゲームキャラ風にややアレンジされた動きではあるが、どうやらいつもと同じ感覚で戦えそうだ。
「これなら、戦えそうです。……まずはゴミ掃除をしなくてはいけませんね!」
オリヴィアは長槍を薙ぎ払い、複数のザコをまとめて吹き飛ばしていく。防御力の高さと攻撃範囲の広さが、オリヴィアの持ち味だ。その代わり、モーションが大振りで移動速度がやや遅めなのだが。
「私は、手数が多いスピードタイプになるかしら? 銃がメインだし、オリヴィアさんとタッグを組ませてもらうわ!」
「はい。力を合わせて戦いましょう」
雷光はオリヴィアとタッグを組み、機動力を活かしてオリヴィアを支援していく。オリヴィアが回復アイテムを取りやすいように、アイテムの近くの敵を射撃でなぎ倒す。射撃には雷属性の力が与えられており、ヒットした敵の動きを一時的に封じる効果もある。オリヴィアは高い耐久力を頼りに前線へ突撃し、槍を旋風のように振るって次々と敵を突き倒していった。
「シュッ!」
ポリスキャップにホットパンツ姿のパンクガールが、雷光に目がけてナイフを投げつけてきた。
「甘いッ!」
雷光は素早くスライディングしてナイフを回避。滑り込みながら二挺のブラスターを連射し、女の足元に雷撃弾を叩き込む。女が甲高い悲鳴を上げて吹き飛び、消えていった。
「これは……武器でしょうか? ……ていっ!」
オリヴィアは攻撃アイテムの火炎ビンを拾い上げて火をつけ、敵が密集している場所に投げつけた。固まっていた敵の足元に瓶が落下すると、纏めて炎上させてダメージを与えることができた。
「あの一番奥のドラム缶に、アイテムがあるわ!」
電脳ゴーグル『VF-1オートフォーカス』を用いてマップ情報を収集していたフィオリナは、アイテムの在処や敵の出現ポイントを確認しながら進む。フォルセティが言われた通りドラム缶を破壊すると、中から回復アイテムのピザが出現した。
「さすがフィオ姉ちゃん!」
ピザの味は可も無く不可も無くといった具合だったが、これを食べたことによってフォルセティの体力が若干回復した。
「まったく、か弱い乙女になんてことさせるのよ!」
フィオリナは愛用の銀翼杖『セラファイト』を握り、弱攻撃の打突と強攻撃のスイングを巧みに使い分けて敵を殴り倒していく。魔法使いらしからぬ戦闘手段だが、こういうゲームなのだから致し方ない。姉弟は前方と後方の敵をそれぞれ分担し、息の合った連携で敵を打ち倒していく。
「はあああっ!」
フォルセティは聖箒『ソル・アトゥース』の強大な魔力を解放し、フルスイングでツナギ姿の巨漢をぶっ飛ばす。ボタン長押しで発動するガード不能攻撃だ。
「ゲージが溜まったわよ、フォルセティ!」
「よーし、ユーベルコード発動! 『放て』、クラロ・デ・ルーナ!」
UCゲージをMAXまで溜めたフォルセティは、箒から閃光と衝撃を伴う高エネルギー波を射出。一直線に突き進む光の帯に飲み込まれ、無策で突っ込んできたザコ敵の一団はまとめて薙ぎ払われていった。そしてすべての敵が消滅すると、再び『GO』というサインと共に矢印が出現。猟兵たちは次のブロックを目指す。
猟兵たちは襲い来るザコ敵を退けながらダウンタウンを通り抜け、うらぶれた倉庫地帯にやって来た。時刻は昼間から、夕方に差し掛かりつつある。地平線に沈みつつある夕陽が、猟兵達を赤く照らしていた。
「おっ、あそこにも怪しい木箱があるね」
「あの中にもアイテムがあるわね。中は武器かしら」
データを調べたフィオリナに従い、あれも回収しておこうかと源誠が木箱に近づいた時だった。閉ざされていた倉庫のシャッターが、突如ガラガラと開いたのだ。
「しまった、罠か!」
「あー……言うのが遅かったわね。ごめんなさい」
出現した敵を迎え撃つべく、源誠がロッドを構える。が、中から現れた敵の姿に源誠は思わず目を丸くする。
「ここは通さないクマ!」
「ここから先は、我らカワイイシンジケートのテリトリーだワン!」
シャッターをくぐってわらわらと湧いてきたのは、ファンシーな着ぐるみ動物たち。クマさん、ワンちゃん、ウサさんである。しかし、その手にはそれぞれ丸太、鉄球、ピコハンといった武器が握られているではないか。
「出たわね、オブリビオン!」
「シンジケート……犯罪組織という割にはファンシーな敵が……あ、ゲームの世界観とは別枠ですか?」
本来ならばここでボス敵が登場する手筈なのだが、どうやらオブリビオン軍団にデータが書き換えられているようだ。雷光とオリヴィアは愛用の武器を構え、敵の様子を窺う。
「カワイイ見た目だからって、舐めてると痛い目見るウサ!」
「残念だが、お前達はここでゲームオーバークマ」
甲高い裏声で必死にカワイイアピールをしているが、地声は明らかに野太い声のおっさんのそれである。鎖付きの大きな鉄球を振り回し、ワンちゃん怪人が猟兵たちを威嚇している。
「この丸太ソードの威力を思い知るクマ~!」
丸太を抱え、クマさんが源誠に目掛けて一直線に突撃を掛ける。まともに喰らえば大打撃だ。だが、源誠には奥の手があった。
「おっと、長さならこちらも負けないよ?」
魔術による伸縮機能が備わった棍が瞬時に2メートルほどまで伸び、突っ込んできたクマさん怪人の体を下から掬うように持ち上げた。源誠は相手の突進の勢いを利用して、そのまま弧を描く軌道でクマさんを後方へと投げ飛ばす。そこへ、エンジン音を響かせて高速で突っ込んできた物体があった。流線型の大型宇宙バイク『ブーストスライガー』と、それに跨ったヒーローマスクのノイン・フィーバー(テレビ顔のメカ野郎・f03434)である。
「クマ~~!?」
大きく投げ飛ばされたクマさんと、ノーブレーキ状態のブーストスライガーが衝突。哀れなクマさんは画面外まで吹っ飛んでいき、そのまま見えなくなった。
「お待たせしてすみません! ノイン・フィーバー、只今到着でございます。……ところで今何かにぶつかりましたかネ?」
「ノイン君、ナイス! ボクもゲージが溜まったようだね。じゃあユーベルコードを使おうか!」
そう言って源誠は懐から金属製の札の束を取り出した。源誠が軽く念を込めると、札は重力属性の魔力を帯びる。
「キミらにはこちらを受け取ってもらおうかねェ……!」
眩い光を放つ魔法陣を潜り抜け、高重力を帯びた金属のカードが猛スピードで撃ち出される。放たれた札は狙い違わず着ぐるみの怪人達の急所に次々と突き刺さった。カワイイ着ぐるみ怪人達は断末魔を上げる間もなく倒れ伏し、消滅していく。
「どんな攻撃も、このハンマーで相殺してやるウサッ」
唯一ウサちゃん怪人だけがピコハンを投擲し、カードの迎撃に成功。怪人達から驚嘆の声が上がる。
「さすがウサちゃんクマー!」
「カワイイは強い! 強いはカワイイウサ! ふたつ合わされば無敵ウサー!」
これに勢いづいたのか、着ぐるみ怪人たちが攻勢に転じる。鉄球を振り回し、ワンちゃん怪人が雷光に襲い掛かる。
「必殺の鉄球を受けるワン! 君の頭もクラッシュゼリーみたいにクチャッと潰しちゃうワン!」
「その見た目で猟奇的なこと言うのはやめなさい!」
雷光は超高速の鉄球ジェノサイドを紙一重で見切り、反撃の早撃ちで雷撃弾を叩き込んだ。ゲージを消費し、雷光はさらに追撃の【帝釈天降魔砲】を発動する。
「因陀羅耶莎訶……帝釈天降魔砲! 消し飛べーーっ!」
「キャイーーーンッ!」
雷光が引き金を引くと、出力リミッターを解除された二挺のヴァジュラブラスター『黒と鋼』から激烈な雷エネルギーが迸る。閃光と共に吠え猛る全力射撃が、甲高い悲鳴を上げるワンちゃん怪人を跡形もなく消し去った。
「ふぅ、決まったわね……」
「雷光さん、危ない!」
フォルセティの鋭い叫びに、雷光がハッと背後を振り向く。すると素肌にジーンズベストの長髪男が、雷光に鉄パイプを振り下ろそうとしていた。
「マシュー!」
フォレセティの服の中から、ノルウェージャンフォレストキャットのマシューが音もなく飛び出した。素早く男の顔面に飛びつき、思い切り引っ掻く。
「ありがとう、助かったわ!」
「ノーマルの雑魚敵まで加勢にくるとは……!」
雷光のブラスターと、ノインのアームドフォートが炸裂。雷撃弾とキャノン砲を一斉に叩き込まれ、長髪男は後方へ大きく吹き飛ばされた。
「残り時間も少ないですし、雑魚敵はワタシにお任せください! フンッ!フンッ!」
ノインはスキンヘッド男に組み付くと連続で膝蹴りを入れ、背負い投げで放り投げた。そして再びブーストスライガーに飛び乗り、コンソールパネルを操作して【ガジェットショータイム】を発動。後方から迫りくる増援部隊に向けて、搭載していたロケット花火に点火してゴロゴロと転がした。
「たーまやー、というヤツですネ?」
本来は空に打ち上げられる花火が、地上で大爆発を引き起こす。それはさながらSTGのボムのように、後続のザコ敵をまとめて一掃した。
「お、お前達無茶苦茶ウサ……!」
「残りはお前だけだ……! 猛き炎よ、我が掌中に集い、万象を灰燼と化す破壊の奔流となれ――!」
若干引き気味のウサちゃんに、オリヴィアが聖槍を構えて突撃する。UCゲージを使用し、【紅炎灼滅砲】を叩き込む!
「む、無駄ウサ。こっちには無敵のピコハンが……」
「なら、一緒にこれはどう!? 七界へ轟け、雷神の鎚よ!」
フィオリナが【トールの雷鎚(マルテッロ・デ・ユピテル)】を詠唱し、巨大な雷撃の槌を生み出す。それは、可愛らしいピコハンマーなどとは比べ物にならない、圧倒的なまでの魔力の塊だった。
「ウ、ウサーーッ!?」
一直線に突き出された槍の穂先から、炎熱属性の聖なる破壊光線が放たれる。それと同時に、雷神トールの名を冠する一撃が降り注ぎ、ウサちゃん怪人を激しく打ち据えた。画面全体を埋め尽くすほどのユーベルコードは、もはや完全なオーバーキルだ。
猟兵達の強力なユーベルコードによって、マップ上のすべての敵キャラは駆逐された。『クライシス・ソドム』の攻略に成功した猟兵達は、次なる戦場へと足早に向かうのだった。――SEE YOU NEXT STAGE
大成功
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