バトルオブフラワーズ⑧〜カカオ99%の闇
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そこは、究極に苦い闇色に染まっていた。
ファンシーな外装のテラスカフェも、小川も橋も、路地裏も。
見渡す限り全て、カカオ99%のダークチョコレートによって塗り固められている。
純黒の街の中。唯一浮かぶ白い影が、屋根の上でその存在を主張する。
甘い香りを振り撒く白狼の名は『チョコットキング』。このステージの王なり。
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「ヌリツブシバトル・ダークチョコバージョンをやってくれる人、集合!」
黒いマントにすっぽりと身体を包んで、メリー・アールイー(リメイクドール・f00481)は猟兵たちに呼びかけた。
ご存じの通り、現在キマイラフューチャーのピンチを救うためには、『システム・フラワーズ』の周囲を守る6つの『ザ・ステージ』を全てオブリビオンから取り戻さなさなければならない。
そのステージのひとつ、『ヌリツブシバトル』で適応される特殊ルールを説明しよう。
戦場ステージは、キマイラフューチャーの街並みを模して作成されているが、壁や床は『闇のような黒色』に塗り固められている。
この『闇のような黒色』により、猟兵のユーベルコードはオブリビオンに直接ダメージを与えることが出来ず、一方的に攻撃を受けてしまう。
その代わり、ユーベルコード或いは直接武器で床や壁を攻撃すると、ピンク、青、緑、紫など(猟兵の任意)の色で、周囲を塗りつぶすことが出来る。
一定以上の範囲を塗りつぶすことに成功すると、一度だけ、本来のユーベルコードでオブリビオンを攻撃する事が可能になる。
また、オブリビオンを攻撃せずに、より広範囲を一気に塗りつぶすスーパー塗りつぶし攻撃を行う事も出来る。
マップの3分の2以上が猟兵によって塗りつぶされた場合、本来のユーベルコードの攻撃を無制限に行えるようになるので、一気に決着を付けることが出来るはずだ。
一定範囲を塗りつぶしてオブリビオンに攻撃を繰り返すか。
敵と戦わずに3分の2以上を塗りつぶすことを目指し、その後一気に攻撃するか。
猟兵たちの戦略次第である。
「今回の敵『チョコットキング』が支配するこのステージの闇色は『カカオ99%のダークチョコレート』で出来てるよ。塗りつぶされてるだけで街の建物全部がチョコで出来てるわけじゃないし、ただ苦いだけじゃなくてめちゃくちゃマズいらしいから、決して齧らないように! ……舐めるのも止めときなよっ」
残り1%の謎の闇は非常に危険だ。
絶対だよっ、とメリーは心配そうに何度も忠告した。
ちなみに、猟兵たちの攻撃によって色を変えたチョコレートの味は不明である。
「『チョコットキング』はホワイトチョコで出来てるからねぇ……あいつの方がよっぽど美味しそうだよ」
正直な感想を呟きつつ。あれ、なんで味の説明ばかりしてるんだろね、と首を傾げるメリーであった。
バサリ。マントを脱ぎ捨てれば、いつもの色とりどりの着物ドレスが現れる。
「戦略はあんた達に任せるよっ。真っ黒な街をカラフルに変えておくれっ。それじゃあ、よろしゅうにーっ」
葉桜
OPをご覧いただきありがとうございます。葉桜です。
チョコ中毒、冷蔵庫に板チョコは欠かせません。
ルールはOPの通りです。特殊ルールを必ずご確認下さい。
塗りつぶしカラーにご希望があればご記載下さい。
沢山のシナリオ、沢山の人手が必要となる期間です。
こちらの依頼は成功度に達しましたら締め切らせて頂きます。
予めご了承下さいませ。
締め切りはマスターページやTwitterで、なるべく早めに告知致します。
執筆予定日は『5/9(木)』です。ご参加お待ちしております。
第1章 ボス戦
『チョコットキング』
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POW : チョコレートテイルズ
【甘味への欲求 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【巨大な溶けかけのチョコレートの尻尾】から、高命中力の【滑らかトリフチョコ】を飛ばす。
SPD : 蕩けるチョコボディー
【チョコットキング 】に覚醒して【熱々のチョコボディー】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 超硬化チョコボディー
【 超硬化したチョコボディー】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
イラスト:笹にゃ うらら
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠柊・弥生」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
キール・グラナドロップ
【色:赤】
チョコレート……チョコレートだって影くん!
影「お前さあ……話聞いてた???」
……あ、あう。わかってるよう……舐めないって……苦いのやだし……
まずは塗りつぶしが必要なんだね。それなら……【属性応用魔法】で炎の津波を起こしちゃおうか。床も建物もまとめて塗りつぶしちゃえ!
あ、でもあの白い狼さんに塗り返されちゃうかもしれないよね……そうしたら狼さんをかこむように炎の津波で通せんぼするか、【衝撃波】で吹き飛ばしちゃおうか。
攻撃ができるようになったら影くんの出番だね。【影の沼へようこそ】。引きずり込んで動けなくしちゃおうね。……チョコ、いいなあ
(なお影くんは味はどうでもいい様子
マレーク・グランシャール
塗り潰しと言えば今鶴羽(f10403)のぶしゃー(スプラッシュ)だ
存分にやれ、俺はお前が専念出来るよう護衛する
だが攻撃してこないなら俺も塗ってみるか
絵心はないから槍で文字でも刻もう(※ストロベリー色)
Merry,My Sweet.
俺は甘味より肉が好きだ
なので俺にトリュフ飛ばしは通用しない
熱いチョコだの硬いチョコに変化する前に【蒼炎氷樹】で敵の動きを止めたら【碧血竜槍】を投げて先制
【魔槍雷帝】で串刺しにしたら今鶴羽にぶしゃーして貰おうか
そう、チョコフォンデュみたいに
俺の目にはメリーの方がよほど美味そうに見える
俺は幼女でもヤドリガミでもいけるぞ
そう言えばメリーというチョコブランドがあったな
白藤・今鶴羽
・塗りつぶしカラーは薄紫色
・なるほど、これならマレーク(f09171)さんも俺色に染めることができますね。
…意外と乙女な色でちょっと真顔になってしまいました。
・すーぱー塗りつぶしタイムですね、わかります。(スプラッシュぶしゃー)
・…線で囲んだら中身が塗りつぶされるとか、そういうことは。…無いですね、はい(スプラッシュぶしゃー)
・(基本的に、まずは塗りつぶしを優先します。マレークさんが護衛してくださるなら、塗りつぶし終えるまではぶしゃー専念でも良いかなと)
・…滑らか(チョコ的な意味で)なんですか、ふさふさなんですか…?
・(決戦時は主にマレークさんの援護を行いますよ)
ライラック・エアルオウルズ
【WIZ】
闇色は、夜色の様で親しみも感じるけれど
鮮やかさを黒一色とするのはナンセンスだし
――何より。チョコは、甘い方が好きだな
さて。塗り潰すのなら、専売特許だ
《アート》の心得も手繰りつつ、
絵筆を手に取り『薔薇のあやまち』を使用
広範囲を塗り潰すまでは塗る事を優先し、
戦闘力を高め乍ら後の攻撃へと備えよう
塗る間に敵が無差別に攻撃して来るのなら、
『奇妙な友人』で友人を傍にと呼び
敵の攻撃の誘導を頼んで《庇って》頂くよ
期が来れば、隙を突き敵へと絵筆を向けて
高めた戦闘力に加え《全力魔法》で一気に、攻撃を
僕のペイントも大概悪趣味だと思うけど
その対象が貴方であれば、何やら
…ベリーソースの様に見えなくも、ない
明智・珠稀
攻撃するとペイントできる…なかなか楽しそうです、ふふ!
それに99%のチョコ…喉にねっとりするアレですよね、味わって悶絶したい所ですが…!
戦闘後に残っていたらにいたしましょう、ふふ!
■戦闘
武器は黒の長鞭にて「く、ふふ、あははははああは!」と
狂喜乱舞で【ダッシュ】【2回攻撃】【早業】で床や壁を乱打し塗りつぶす
UCが使えるようになったら、UC『愛しのご主人様♡』ボスに赤い糸を
爆発、からの糸を手繰り寄せ近接で鞭、そして
「美味しそうです♡」と味見という名の【吸血】
チョコを浴びても【激痛耐性】及び
「あぁ、素晴らしい…!」と喜ぶド変態。
そしてまた塗りを頑張る☆
※色は『青紫』希望♡アドリブ&ネタ、絡み大歓迎!
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つやつやに光り輝く、芸術品のようなチョコレートコーティング。
美味しそうなグラサージュショコラ? いやいや、そんな甘いステージではない。
カカオ99%のダークなチョコレートに覆われた街に、猟兵たちが続々と訪れる。
「チョコレート……チョコレートだよ影くん!」
(お前さあ……グリモアベースでの話聞いてた???)
「……あ、あう。わかってるよう……舐めないって……苦いのやだし……」
一瞬、視界を埋め尽くすチョコレートにテンションが上がったキール・グラナドロップ(影に縋る者・f14289)だったが、すぐに誰かに叱られたような反応を示す。しかし、そこには彼以外の姿は無かった。血のような赤色の翅を携えるフェアリーは、彼の頭の中で語りかけてくる相棒に指示されて、この純黒の世界に杖を向ける。
「えっと……これを、こんな感じ、かな?」
確かこんな風に使うはず。身体の記憶に従って、属性と自然現象を混ぜ合わせる高度な応用魔法が放たれる。それは激しい熱が渦巻く炎の竜巻。通常だったら街の建物ごと飲み込みそうな威力だが、この特殊なステージでは竜巻の通り道が赤色に染められていくだけだった。
「やった……上手に出来たよ影くん!」
褒めて褒めてと喜ぶキールは、同じ要領で塗りつぶしの作業を順調に続けていく。
「闇色は、夜色の様で親しみも感じるけれど。鮮やかさを黒一色とするのはナンセンスだし……」
――何より。チョコは、甘い方が好きだな、と。実は菓子好きでもある作家、ライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)は、柄に薔薇を携える絵筆をその手に取った。
「さて。塗り潰すのなら、専売特許だ」
ライラックが描くは『薔薇のあやまち』。赤白混じるペンキは、黒のキャンパスによく映える。アートに心得がある作家はただ塗りつぶすだけでなく、街中に物語を紡いで歩き続ける。彼の進む道には、大輪の赤白の薔薇が咲き誇っていた。
「く、ふふ、あははははああは!」
欣喜雀躍に街を踊り、滅多無性に黒鞭を振るう。しなる鞭に打たれた黒塗りの建物や地面は、鮮やかな青紫に染められていく。明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)は、狂喜乱舞の乱打を続ける。攻撃する度にペイント出来るというこのステージの仕組みを存分に楽しんでいるようにも見えるが、興奮の理由はそれだけではないようだ。
「99%のチョコ……喉にねっとりするアレですよね、味わって悶絶したい所ですが……!ふふ!」
どうやら、戦闘後のお楽しみもあるらしい。まだ我慢だ、我慢すればするほどご褒美になるっ……と。珠稀は自然と緩みまくる顔もそのままに、今はまだ想像による昂りを辺り一面の黒色にぶちまけるのであった。
「なるほど、これならマレークさんも俺色に染めることができますね」
冗談交じりで先輩に語りかけながら、白藤・今鶴羽(ヤドリガミのゴッドペインター・f10403)は塗料をスプラッシュさせる。彼が放つ色は雅な薄紫色であった。思いもよらず乙女な色だったことに、ちょっと真顔になってしまう。そんな彼の心境など露知らず、マレーク・グランシャール(黒曜飢竜・f09171)は、その調子だと深く頷いた。
「塗り潰しと言えば、お前ののぶしゃーだ。存分にやれ、俺はお前が専念出来るよう護衛する」
マレークは今鶴羽が作業に集中出来るように周囲を警戒していたが、まだ敵は近くにいないようだ。それなら、絵心はないが少しは手伝うか、と槍で文字を記していく
『Merry,My Sweet.』ストロベリー色で刻まれたこれは、誰かへのメッセージなのだろうか。
ふわり――。突如、甘いチョコレートの香りが辺りを包みこんだ。漆黒に美しく染め上げたテリトリーを汚された純白の王は、目を吊り上げて猟兵たちを威嚇する。
「彼が『チョコットキング』ですね。……滑らかなんですか、ふさふさなんですか……?」
敵のボディの仕組みに興味津々な今鶴羽に対して、マレークは至って冷静な視線を返している。
「俺は甘味より肉が好きだ。だからお前の誘惑は通用しない」
肉食宣言をしたマレークは指先から青い炎を放ち先制攻撃を仕掛けたが、その『蒼炎氷樹』はチョコットキングの目の前で霧散した。このステージの特殊ルールにより、まだ塗りつぶしの範囲が足りないマレークの攻撃は通らないのだ。
敵意を受けたチョコットキングは、超硬化チョコボディーへと身体を変化させた。先程まではふさふさに見えた毛並みは、鋭く固い凶器と化したホワイトチョコレートへと進化する。唸り声をあげる白狼は猟兵たちに狙いを定める。
「動かないように……凶暴化している間は理性を失っているよ。素早く動くものへ、本能的に攻撃を仕掛けるはずだ」
戦闘を察知したライラックは静かに合流して、事前に得ていた敵の知識を仲間に告げる。そして攻撃は出来ずとも手を貸して欲しい、と『奇妙な友人』を呼んだ。友人は素早く猟兵たちの前に飛び出して、敵の注意を引くように反対の路地裏へと駆けて行く。友人の持つ炎のカンテラに誘われるように、チョコットキングは標的を移して彼を追いかけた。
そうして、猟兵たちと敵の間に距離が空けば、その間からキールの炎の津波が出現して道を裂いた。
「えっと……ボクが通せんぼしてるからっ。い、今のうちに、塗りつぶしちゃおう!」
人見知りであるキールは何とかそれだけ告げると、後は自分の魔法の制御に集中した。
「すーぱー塗りつぶしタイムですね、わかります」
チャンスタイムを得た今鶴羽は『グラフィティスプラッシュ』をぶしゃーっと撒き散らす。すでにある程度の塗りつぶしを行っていた彼の塗りつぶしは、パワーアップしていた。
「……線で囲んだら中身が塗りつぶされるとか、そういうことは……ありなんですかっ!?」
何ごとも試してみるものだ。円を描くだけで、その中も自分色に染められる。これもスーパー塗りつぶしタイムの効果なのだろう。可愛らしいカフェもお洒落な雑貨屋も、まるっと薄紫色に染められていく。今鶴羽の後ろでは、ライラックも赤白のペンキで橋や路地を彩り続ける。どうせなら、一気に決着をつけられるところまで――。
そこに辿り着くまで、多くの時間はいらなかった。突如、猟兵たちが色とりどりに塗りつぶしたゾーンが淡く光を放つ。恐らく、マップの3分の2以上が猟兵の色に染まった合図なのだろう。調度、キールの魔法も消える頃合いだ。赤い川の向こう岸には、チョコットキング。そして後ろの路地から走ってやって来るのは……。
「あはははっ、皆さん! 向こう側も殆ど私色に変えてきましたよっ」
興奮冷めやらぬまま駆けてくる珠稀は、そのままキラリと流し目ビームにより標的をロックオンする。突然の爆発、珠稀の赤い糸に捕まったチョコットキングは、もう逃げられない。
「ああ……美味しそうです!」
赤い糸を手繰り寄せた珠稀は甘い匂いを漂わせる白狼に、欲望のまま食らいつく。味見と言う名の吸血だ。滑らかで濃厚なホットホワイトチョコレートが珠稀を満たす。
だが、勿論敵もそんな攻撃を大人しく受け入れるわけがない。がっちりと掴まれていても、自由に動かせるチョコレートの尻尾でガンガンとトリュフチョコレートをぶつけた。
「……っ、素晴らしい……!」
しかし、激痛耐性によるものか、はたまた性癖によるものか。いくら攻撃を受けても珠稀は、あぁもっと……っ、と恍惚の笑みを浮かべるばかりであった。ド変態、強し。
もうヤダと暴れて、何とか珠稀の抱擁から逃れたチョコットキングは若干涙目だ。しかし、猟兵たちは敵に安堵する隙など与えない。その足元には既に、影の沼が出現していた。
「影くん、引きずり込んじゃえ」
キールの合図で沼から湧き出た影の触手が敵を食らおうと、その足に尻尾に絡みつく。恐怖におののく狼に、もはや王の威厳は微塵もない。ライラックは敵の動きが封じられている絶好の機会に、火力が上がったペイント攻撃でその白い毛並みに色を授ける。
「僕のペイントも大概悪趣味だと思うけど。その対象が貴方であれば、何やら……」
ベリーソースの様に見えなくも、ない。
「マレークさん、もう攻撃は効くみたいですよ。頑張って下さいっ」
「チョコレートのくせに、俺の攻撃を無効化するとは腹立たしい。見てろ、倍にして食らわせてやる」
今鶴羽の応援を受けたマレークは、今度こそ確実に仕留める、と再び蒼い炎をチョコットキングに放つ。強化された凍れる炎はたちまち白狼を飲み込んで、その動きを完全に封じる。が、まだ終わらない。チョコレートはチョコレートらしく。マレークは魔槍雷帝で敵の身体の中央を串刺しにする。仕上げに今鶴羽がスプラッシュをかければフィニッシュだ。
こうして猟兵たちは、フォンデュされたホワイトチョコレートと化したオブリビオンから、またひとつのステージを奪い返すことに成功したのだ。
「……チョコ、いいなあ。ねぇねぇ、影くん。お仕事は終わったし、もう食べていいかな?」
キールはホワイトチョコの周りをぐるぐると飛びまわっている。相棒にはもう好きにしろと丸投げされたようだ。
ライラックは遠くに逃げていた友人と再会していた。囮お疲れ様ありがとうと労わって、自分が描いた薔薇の道を辿りながら、暫しの散歩を友人と共に楽しんだ。
自分が串刺しにしたホワイトチョコを見て、マレークはこの依頼を頼まれたグリモア猟兵の姿を思い浮かべる。
「……俺の目には彼女の方がよほど美味そうに見える。俺は幼女でもヤドリガミでもいけるぞ」
もしかして、先程書いていたメッセージはそういう意味だったのだろうか。今鶴羽は首を傾げたが、深くは追及しないことにした。
「……ぁあっ……っ」
最後に、どこからか。珠稀の悶絶した声が聞こえたとか、聞こえなかったとか。
禁断のカカオ99%ダークチョコレートの味は、彼だけが知っている。
大成功
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