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呉李藻阿捜査網四六時中

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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●掟破り
 悪の商人と悪の代官が手を組み、悪巧みの嫌な笑いを響かせる。
 それを打破する正義の若者の声。
 正義の若者は悪の代官が嗾ける有象無象の兵隊を蹴散らし、先生と呼ばれ控える別格の剣客を斬り倒し、悪を成敗する。
 多くの劇でも題材になった勧善懲悪のワンシーン。
「……なんと手応えの無い」
 ――だが予定調和の筈の戦を制したのは、こともあろうに悪の侍であった。
 数度の刀が鎬を削りあった後、一刀の元に悪の侍が正義の若者を切り伏せた。
 それでも血の衝動は収まらないのか、若者が峰打ちで留めていた有象無象の兵隊を叩き起こすとそれを容赦なく切り刻んでいった。
 それでも尚、この人斬りは満足もしなかったのか、静かに呟いた。
「些か興が削がれたわ……そろそろ手を斬るときやもしれぬ……」
 後日、その侍は本当に雇い主と手を切ることになるが――それは、双方の悪事にとってのメリットが減る以上の、より大きな災いとなって町人に降りかかることとなる。

●小芝居から続く長き語り
「『しかし越前屋、お主もワルよのう?』『いえいえ、お代官様に比べれば……ささ、どうぞ。大好物の山吹色のお菓子でございます』」
 グリモアベースのとある椅子に腰かけ、古ぼけた時代がかった小説をこれでもかと言わんばかりに朗読する長い黒髪の女がいた。
「ガララッ!!――突如として開かれる襖、響く若者の声!! 『代官富田麹之上、並びに桑野信衛門――』」
 ある猟兵は熱を入れた朗読に聞きほれて、またある猟兵は冷ややかな目で一人の小芝居を眺めている。
 そうして何人かの猟兵が集まっていくのを見ると、悪戯っぽく笑いながら長い黒髪をかき上げたグリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートはウィンクを一つ送った。

「――さて、朗読の続きはまた後で。仕事だよ諸君。サムライエンパイア世界でのオブリビオンをやっつけて貰いたい」
 さっさと言えよ、という真っ当な指摘を聞いた上で無視しながら説明を続けた。
 その用心棒は雇われ殺人鬼。
 大変に腕の立つ辻斬りが趣味で、それを見込んだ悪の元締めに雇われたはいいが、雇い主も引くぐらいに殺戮を繰り返しているという。
 尤も、それと同時に相応の強者と戦えることに喜びを覚える武人気質も幾ばくかあるようだが。
 ぽん、と小説を閉じてからスフィーエは詳細を語ろうといくつかの映像を示した。
「さぁ語ろうか。舞台はこの地域。凄くわかりやすい構図で……悪の商人の頼杯屋。表向きは真っ当な廻船問屋、裏では『ご禁制の品々』の元締めさ。そのバックについているのが代官の麻志賀之上。……そして、頼杯屋に雇われた用心棒」
「お約束だな。じゃあ……」
「そう単純にはいかない。……事態をややこしくしているのは、この用心棒君が悪の商人と代官と手を切ったことさ」
 いっそのこと物理的に斬ってくれてたらもっと仕事は楽になったのだけどねと、黒いジョークを心底楽しそうに言うスフィーエにあからさまに猟兵の一人が距離を取った。
 当初こそ良い関係だった。
 用心棒は釣られてやってきた正義漢気取りの強者と戦う機会が得られ、悪人共からすればそうした存在の始末を心置きなく任せられる者が得られた。
 だが用心棒は辻斬りに制限を駆けられ最近は手応えのある正義漢も減る、悪人共からすれば必要以上の虐殺を行い無用なリスクを突き付けてくる。死体の始末もノーリスクではないのだから。
 段々と双方のメリットが噛み合わなくなった結果手を切られるのも真っ当な結果で。
 こうした悪の対立による分解も物語の花だが、事態は全然好転していない。
 ――制限を無くした元・用心棒は辻斬りにより精を出すだろうし、悪人の商売はよりバレないようになっていくだろう。
 こちらも悪事を突き止めた流れでそのままオブリビオンを倒せば良いお約束を見事に叩き切ってくれた。
 全くの出来の悪いコントだと皮肉を一つ言って見せて、
「ま、兎にも角にもまずは悪代官と悪の商人を潰してくれたまえ。流石に真っ向からは不味いから、まず証拠を固めてからになるけれど」

 恵まれた身体を活かして廻船の船員として証拠を調べていくか。
 軽やかな足を活かして商人や代官の周りを調べていくか。
 頭脳や弁舌に自信があるなら、いっそのこと客として接触しても良い。

 辻斬りは言わずもがな、ご禁制の品々が取引されることはならず者の横行だけでなく、真に被害を被るのは何の罪もない町民達だ――違法なクスリや人身売買の食い物となる――ということ。
 過去の亡霊と違い、現在の人間が行う悪事はある意味、過去よりも重くのしかかるのかもしれないのだから。

「勿論、成敗の後はもう一つの悪を成敗しなければならない。それが君達の最終目的さ」
 雇用の枷が切れた以上、その件の元用心棒は積極的に辻斬りに繰り出してくる。
 しかしその時期や場所まで予知することは出来なかったとスフィーエは頭を振った。
 だが、と続けて。
 話すところに依ると、元用心棒の辻斬りの模倣犯――なぜか死者は出ていないようだが――がいるという。
 目的が愉快犯なのか、それとも辻斬りとしての彼を誘き寄せる為なのか――真意は分からない。
 だが模倣犯も場所やタイミング自体は本物と非常に似通っているという。
 上手く突き止められれば、オブリビオンを追い詰める助けとなるかもしれないと語った。

「……色々大変だとは思うけれど、本当に苦しむのはいつだって何の罪もない民なんだ」
 神妙な面持ちで頭を下げたのち、またいつものように漂々と彼女は笑って見せた。
「ま、私だってロマンチストの女の子だ。やっぱり最後は善が悪を懲らしめて勝つ方が――好きだからね。……頼んだよ」


裏山薬草
 初めましての方は初めまして。
 ご存知の方はお久しぶり、裏山薬草と申します。
 良いですよね、時代劇。
 今回もまた楽しい物語を作っていけたら良いと思います。

 第一章では時代劇の定番、いわのゆる「越後屋とお代官様」の企みを成敗する猟兵の群像劇を描きたいと思います。
 第二章からは解き放たれたオブリビオンの捜査に奔走する猟兵達の刑事的な活躍を描いてから、最終決戦に行きたいと思います。

 それでは皆様のプレイングを心よりお待ちしております。
 裏山薬草でした。
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第1章 冒険 『山吹色のお菓子』

POW   :    船に船員として乗り込む

SPD   :    廻船問屋や代官周りの聞き込み調査

WIZ   :    上客のフリをして廻船問屋に近付く

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●在るべき所
 封建社会の世の中でも夜は等しく訪れる。
 それは眠りの時間でもあれば、人ならざる妖(あやかし)の時間でもあり――人知を超えた存在や幽霊などもいれば……人で在りながら人を人とも思わない悪もいる。
 そのような悪が栄える時間、町の外れにある屋敷のとある一室、蝋燭の灯りが頼りなく照らす部屋の中、肘掛に腕を預けながら盃を干していた男と、その傍らに甲斐甲斐しく盃にぬるめの燗を注ぐ男がいた。
「しかしお代官様、都合の良い時にあ奴もよく言ってくれましたなぁ。まさか、奴の方から手を切りたいなどと言いだすとは」
 燗を注ぐ男が言う。
 辻斬りは、邪魔な『ゴミ掃除』を紛らわせるには良いが、やはり掃除は掃除屋に任すものが良いと改めて注がれた男は思い、盃を一口啜り、
「ああ……やはり野の花は野に置くべき、だな……ま、暫くは『大人しく』しようじゃないか。まだ『菓子』はあるのだろう?」
「ええ、『大人しく』しますとも。『お菓子』も十分にありますかと……」
「ふっふっふふふ……」
「ほっほっほっほ……」
 ――それが、言葉通りの意味であることなど、当然なかったが。
セルマ・エンフィールド
さて、それでは…"忍者"とやらの真似事でもしてみましょう。

【スカイステッパー】『忍び足』で代官の屋敷に忍び込みます。
屋敷に忍び込んでからも同じく【スカイステッパー】『忍び足』で…屋根裏に潜ませてもらいましょう。この世界の建物は防諜性が低くて楽ですね。

潜んだ後は代官に仕えている人や女中さんの話に『聞き耳』で耳を澄まします。決定的な情報はなくとも、代官が誰と会っている、どこへ出かけた、そういった情報があれば他の猟兵の調査に役立つでしょう。
もちろん決定的な場面をとらえることができれば一番ですが、代官と廻船問屋、片方に逃げられても面倒です。焦らず二人を同時に捕らえられる状況を待ちましょう。



●陰間
(さて、それでは……"忍者"とやらの真似事でもしてみましょう)
 時を同じくして、闇に紛れながら空を駆けてグリモア猟兵から聞かされていた代官の屋敷に忍び込まんとしている影が一つあった。
 彼女の名はセルマ・エンフィールド(氷の狙撃手・f06556)、銀髪と青い瞳が闇夜に冷たい氷のように輝く人間族の少女だった。
 変装等はしてない為、見つかれば即終わりの際どい状況ではあったが、サムライエンパイア建築の防諜性の低さと忍び足を駆使した結果、無事に屋根裏まで忍び込むことは出来たのであった。
(この世界の建物は防諜性が低くて楽ですね)
 まずは代官の事情を探らんと、聞き耳を立てれば屋根を介して聞こえてくるのは仕える女中たちの声。

「……全く、嫌よねぇ」
「ええ、本当に。ねぇ?」
「いっつもこの時間になるとこそこそ……!!」
「まぁでも、お代官様だって殿方ですからねぇ……」
 女の一人が人差し指と中指の間から親指の先だけを出す恰好を拳の中に作る。
 一番の年上らしき女中が顔を赤らめつつ、その仕草を成した女中の頭を掌で軽く叩いた。
「こら!! なに女がそんな仕草を……はしたない」
「てへっ……」
「でも、噂だけどお代官様、そこに行く道とはまるっきり正反対の方だって。確かあそこって……」
「えーっ。じゃあ何、まさか……」
「きゃーっ!!」「ええーっ……」
 ……黄色い声とげんなりした声の理由については、大きな声では語れないが。

(なるほど。ここ最近、この時刻になると最低限の護衛だけ連れて出掛ける、と)
 男の浪漫を求めてのお忍びというには、行く場所が正反対。
 恐らくは件の廻船問屋と密会をしているのかもしれないが――現段階では、伝聞での噂に過ぎない。
 これ以上の情報は無理だろうと判断し、他の猟兵に役立てるための準備を整え始める。
(……場所を突き止め、決定的な場面をとらえることができれば一番ですが、代官と廻船問屋、片方に逃げられても面倒です。焦らず二人を同時に捕らえられる状況を待ちましょう)
 一見、照準器に獲物が入ろうとそれは撃ち方の好機に非ず。
 真に撃つべき時を違えて撃てば獲物は逃げる――焦りは禁物、狙撃手である彼女にはそれが分かっていたのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

テラ・グゥスター
俺は全くもって善じゃねぇが…辻斬り、とあれば見過ごすワケにはいかねぇな。
目に付いたモンを片っ端から斬り捨てるなんぞ命を軽んじるにも程があるだろうよ。消すしかねぇなぁ。
都合よくそんな輩を使い捨てる「お偉いさん」方も同類、のさばらしておく理由はねぇよ。

【SPD】
御禁制の品ってぇのが出回ってるなら理由は様々でも行方が分からなくなった奴はいるだろうな…まずはその辺、片っ端からリストアップだな。
数が増えたら共通点を探って結び付けて、廻船問屋の関与を明らかにできりゃあ設けモンだな。
後は廻船問屋、代官周辺に出入りしてる奴の情報かねぇ。
どっちにも出入りしてる奴を見つけて尾行でもしてみるか。



●点線
「俺は全くもって善じゃねぇが……辻斬り、とあれば見過ごすワケにはいかねぇな」
 時は変わって日の差す明るい街の中。
 黒髪の少年、テラ・グゥスター(生存こそ正義・f04573)は己が集めた情報を一つ一つ整理していた。
「命を軽んじるにも程があるだろうよ。消すしかねぇなぁ」
 そしてそんな輩を使い捨てる「お偉いさん」方も同様。
 天涯孤独の過去を持ち、その身を機械に変え、殺しの力を得てまでも生き延びてきた中、己が貰う筈の上前を跳ねられていた過去を持つからこそ、強い怒りを持つのかもしれない。

 閑話休題。
 ご禁制の品々――中には人身売買の奴隷も含まれている――が関わる以上、何の連絡も無く行方をくらました存在は相応に存在する。
 最近はそうした「神隠し」に遭うような存在は減ってきているそうだが――共通点としては、評判の悪い女性であったり、周囲との関係が希薄であるような――居なくなったとしても気にも留められ辛い存在ということだった。
 ただ一件だけ――今まで伝え聞いた女性の特徴に一致するような女性が、廻船問屋に雇われている者と一緒に歩いていると目撃証言があった。
 話に依れば大層に素行の悪い女だったそうだが、今までに行方を晦ました女性たちとは唯一その女だけが全員と何かしらの関係があったらしい。
 それだけでは関与を決定的に裏付けるものではないが、調べてみる価値はあるだろう。
(後は廻船問屋、代官周辺に出入りしてる奴の情報かねぇ)
 両方に出入りしている者がいればまた何かしらの情報はつかめるかもしれない。
 尾行をするためにまず、彼はまた探りを入れ始めるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

遠呂智・景明
「とりあえず話を聞くとこからだな」
街で船員たちと同じような服装を購入。
ほかの船員に混じって船に乗り込む。

まずは【コミュ力】を用いてほかの船員から話を聞く。
「ウチ、最近景気がいいみたいっすねぇ。なんかあったんですか?」
【見切り】で些細な反応の変化も見逃さないように。

その後時間を見てユーベルコード【風林火陰山雷 陰の如く】を使用。
船内を調査する。【迷彩】【忍び足】を使用。
「さて、なにか出るといいが」
船員の話、取り扱う物品、怪しいところを調査する。

調査後は何食わぬ顔で船を脱出。可能であれば他の猟兵に情報を伝達。



●知り難きこと
「とりあえず話を聞くとこからだな」
 船に乗り込むことに決めた青年の名は遠呂智・景明(大蛇殺しのヤドリガミ・f00220)、大蛇を断ち切った逸話のある刀から生じたヤドリガミである。
 街で購入した船員服に身を包み、何喰わない顔で船上に乗り込んだ彼は友好的な様子で近くの船員に話しかけた。
「ウチ、最近景気がいいみたいっすねぇ。なんかあったんですか?」
「さぁねぇ……? 強いて言うなら旦那様の手腕、じゃないかねぇ……ところでお前さん、新入りかい?」
 僅かな機微をも見破る慧眼を以てしてもこの船員は何も知らず、逆に買い立ての服は違和感を覚えさせたようで。
 これ以上の会話は危険と判断し、そんなところだと足早に場を離れると、彼は己の身体と装備を透明に変え、背景に溶け込み、音を忍ばせながら船内に探りを入れた。
「さて、何か出るといいが」
 船員や物品を探っても、なかなか足は出なかったが、ただ一つ妙に頑丈な鍵を掛けられた扉を見つける。
 それに手をかけんとしたその時、近場に荷物を運んできた船員の気配を感じると、近くの物陰に隠れ聞き耳を立てた。

「……にしても、そこの扉って何があるんですかねぇ」
「お前も知ってるだろ? そこの鍵は旦那か、もしくは最近の旦那のお気に入りの……えーっと、誰だったっけな」
「松林さん?」
「そう、それ。……あの人ぐらいだよ。……つまり、そういうこった。ほれ、さっさと持ち場に戻るぞ。いつまでも下っ端がそんな場所にいりゃまた怒られちまわぁ」

 船中の開かずの間。
 店主以外で唯一鍵を持つ「松林」という男。
 危うく見つかるところであったし、これ以上の詳細は分からないが、真相への一歩は得た。
 それから彼は何食わぬ顔で船を降り、得た情報を伝えに行くのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

初花月・永楽
ここはやはり廻船問屋を直に当たるが早道にございましょう。
何ぞ尻尾でも掴めれば良し、手がかりは一つでも多い方がようございます。

「某、さるお方の使いとして参った者にございます。頼杯屋殿にぜひ折り入ってお願いしたき儀がありお伺いした次第」
客を装って店を訪ねる事とします。ご禁制の薬を手に入れたいので調達して欲しいとでも申しましょう。
素性は明かせないが金は言い値で払う、急いで手に入れたいと言い添えまして、話に乗ってくるならばその場で証文など取り交わせれば、後々動かぬ証拠に出来ましょうし、誤魔化されたなら先方の挙動などに注意を払うといたします。
店の様子もそれとなく、怪しき者がおらぬか見ておくとしましょう。



●薄くても確かに
「某、さるお方の使いとして参った者にございます。頼杯屋殿にぜひ折り入ってお願いしたき儀がありお伺いした次第」
 廻船問屋を直接あたることにした猟兵もいた。
 かつて能面であったヤドリガミ、初花月・永楽(孤舞の面・f07160)の姿は十に達した程度の子供、しかし表情を一切変えない様子にただならない気配を感じたのか、松林という、ここ最近新たに据えられた番頭を奉公人は呼び出してくれて。
 悩みの表情の乏しさも、こうした時には役に立つものだと思いつつもかの番頭に招かれるまま別室で商談に移るのであった。

「……ふむ。とすると素性を明かせないがやんごとなきお方に直ちに薬を届けたい、と……」
「はい、急なこと故、申し訳ありませんが……謝礼の方も言い値で払うとの御意志です。いかに高額でも構わないと」
「具体的には……?」
「……幾らでも。千でも、万でも……」
 ごくり、と唾を飲む松林。
 使いの者が表情一つ変えずにハッタリでここまで言えることなどまず無い――それが、真である場合を除いて。
 尤も、それが生来のものであることは知る由もないが。
「ほう……や、わかりました。そこまで仰られるのであればお譲りしないわけにもいきますまい」
「ありがとうございます」
 相手の手の内が分からないが、千載一遇の儲けの好機を逃すわけにはいかない。
 ……何かあれば始末すれば良いだけだ。
「では、こちらを……くれぐれも、内密に」
「確かに」
 受け取った証文には――敢て明言は避けるが――薬と、それには分不相応な値段が書かれていた。

 ……かくして。
 頼杯屋の裏取引の鍵を握る松林との接触、そして証文という証拠の一歩を固めたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

草剪・ひかり
【POW行動】
こう見えても(見た目通り?)力には自信があるんだよ!
「女だてらに」なんて言われるかもしれないけど、まぁ試しに雇ってみてよ!

……なんて感じで船員になってみようかな?
「船は女だから、女の船員を乗せると嫉妬して海が荒れる」とか言うけど、まぁ廻船問屋なら近海仕事だし大丈夫でしょ!

コミュ力や誘惑、存在感辺りの技能を使って人集めに応募する

何もなければしおらしくしてるけど、胸元や腰つきに目が眩んで「手を出してくる」ような輩は(怪力とかグラップルで)軽く捻っちゃうね
荒くれ者の多い船乗り達には、「ただ者じゃない」って一目置いてもらえるかも?

そうやって、ひとまず現場?近くに行動の足場を作っていこう!



●派手なる女神
「こう見えても力には自信があるんだよ!! 『女だてらに』なんて言われるかもしれないけど、まぁ試しに雇ってみてよ!!」
 こう見えても何も?
 見ての通りの間違いだろう――現場の責任者は敢て言葉を飲み込みながらも雇ったが、まさか後程彼女がああなるとは思わなかったと語る。

 かの女――草剪・ひかり(次元を超えた絶対女王・f00837)は黒髪艶やかに、大層に肉付きの良い肢体を誇る女傑であった。
 何もなければ飽く迄淑やかに作業を続けつつ辺りを探っていくつもりではあったようだが。
 女神の嫉妬を避けるため――と言われているが、実際は男所帯に見目麗しく肉付きも良い女が来たら、やることはただ一つ。
 ……が、それを見越していた彼女は一目置かれる好機とばかり、不埒に鍛え上げられた肢体とは互いを引き立てる官能的な臀部に延ばされた手を、強かにひねり上げた。
 現場でも特に大柄で力強い男を容易くねじ伏せた結果には、周囲も好機だけではない様々な感情が入り混じった声でざわめいた。
 平たく言えば「やりすぎ」であった。
 彼女自身は「軽く」のつもりであっても、やられた側からすればそうはならないのが常でもあり――同時に、必ずしも荒くれる者ばかりでないことが災いし、尊敬半分、恐怖半分と憧れとドン引きが半々となる結果であり。
 しかし、良くも悪くも彼女は注目され一目置かれることとなるだろう。
 そしてその(悪?)目立ちは、船で動く猟兵の新たな一助になるかもしれない――

苦戦 🔵​🔴​🔴​


●幕間
 悪者共の会合は続く。
 蝋燭の灯りのみが頼りなく一室を照らす中、酒に上機嫌で酔う代官が商人に告げる。
「しかし頼杯屋……表向きは真っ当な廻船問屋、しかし闇に回れば……ご禁制のクスリや人身売買の元締めとは実にやりおる」
「それもこれも、お代官様のお知恵があればこそのことでございます」
 繰り返される、悪の定番の会話。
 幾度となく繰り広げたやりとりに若干辟易しながらも、機嫌を損ねられては敵わないと頼杯屋は合わせた。
「くふふふふぅ……まさか余の別邸に地下に捕らえた娘を隠してるとは……天も知り得ぬであろうな」
「そしてクスリの方は私の船に保管させ、お互いの首をこうして預け合わせるとは……お代官様は実に悪いお方で……」
「そちに言われとうないわ。まさか、頭の悪い娘を抱き込む所から始めるとはなぁ……」
 人さらいについては悪質だった。
 まず手始めに素行は悪く頭もよろしくない女性を抱き込み、同じ匂いの女性や人付き合いの希薄な女性に当たりをつけさせ、人さらいを目立ちにくくする。
 餅は餅屋。
 女性のことは女性に、実際に抱き込んでから人さらいがやりやすくなった……そして扱いに困ってきたらそれこそ後でまとめて売り飛ばしてしまえばいい。
 実にいやらしいと笑いながら代官は続けて、
「そういえば娘達は、当面は扱わぬそうだな?」
「はい。近々、船に乗せて諸藩へ届けてからはほとぼりが冷めるまで……ですが、その前に」
「その前に?」
「……記念にお一つ“味見”など、なされては……?」
 ……下劣な男の権力者という生き物が考えることは、世界が変わってもさほど変わらないらしい。

 しかし彼らは気づいていない。
 彼らの首を真綿で締めるように、証拠を固めてきている猟兵の暗躍を――
 はてさて、その笑いはいつまで続くやら。
玉兎・巴
事前に先に潜入した猟兵から情報を訊いておくで御座る。
ん?何か騒がしいで御座るな。今の内で御座るよ。

変装もせず、堂々と船内を探索する。
積み荷の護衛と偽る。他に護衛がいなくても廻船問屋直々の護衛としておく。
目標は件の妙に頑丈な鍵が掛けられた扉。
出来るだけ最短・人気のない道筋を行く。
船員に話しかけられたら腰から提げてる刀を見せ、護衛だと誤魔化す(必要なら『恫喝』有り)。
それでも駄目なら、周りに気を配りつつ人目のない所で気絶させる。
扉に辿り着いたら周囲に誰もいないのを確認して『剣刃一閃』で鍵を破壊して押し入って証拠確保。

なんとこんなものを……。これはきつく灸を据える必要があるで御座るな。



●鍵も剣も結局はけんに掛かる
 とある猟兵の女が良くも悪くも、船員の注目を集めている中、「らしい」変装もせずに堂々と船に立ち入る一つの女がいた。
 白髪に鬼灯のように赤い目が映える羅刹の猟兵、玉兎・巴(羅刹の剣豪・f06307)その人であった。
 彼女はすでに仲間の猟兵から得た情報を元に、丈夫な鍵の取り付けられた部屋を探していた。
 元々、さる女傑が船員の注意を引いていたが故に手薄になっていたのに加え、何もらしい変装をしていない彼女を問いかける船員も、
「積荷の護衛でござるよ。詮索はご無用……」
 ……と、刀を見せられれば脅迫の意志があっても無くても、これ以上の詮索は諦める。
 そうして最低限の道筋を選びながらかの扉の前に立つと、周囲の人間が誰もいないことを確かめて。
 自慢の刀が一太刀で丈夫に誂られていたはずの鍵を断ち切り、扉を開けると彼女は赤い目を大きく見開いた。
「なんとこんなものを……」
 ……見つかってきたものは、ご禁制の品々――違法なクスリを始めとする現在では取引を禁止された香木など――の現物。
 傍には取り扱う品々の目録、しかもご丁寧に頼杯屋の実印付き。
 誰がどう見ても言い逃れできない、不正の証拠がそこにあった。
「これはきつく灸を据える必要があるで御座るな」
 
 現物、目録、取引の証文。
 加えて悪人共の出入りする場所の手がかりも。
 ――証拠は固まった。
 あとは、突き付けるだけだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

草剪・ひかり
【POW判定】
松林が人売りと禁制品扱いの仕切り
船に禁制品が保管中
ここまでわかってるっぽい

後は人攫いの情報を積み重ねたいな
囮で捕まってみる……のは無理っぽい
ちょっと目立ち過ぎたし

頼杯屋の店員(恐らく松林?)と一緒にいた女に関する聞き込みから
彼女本人への接触を試みるよ

100%の確率で「被害者との面識がある」彼女
彼女本人が人攫いの元締めとは考えにくいので、次の感じで説得

いずれアナタは切り捨てられるよ
死ぬのが嫌なら知ってることを私に全て話してみて
それが決め手になって攫われた人が帰ってきて
罪を償う気があるなら、私がアナタを全力で庇ってあげる

「人」と「物」の在処がわかれば頼杯屋も代官も一網打尽だよ!



●成敗!!
 既に証拠もだいぶ固まってきた。
 最後の後押しを固める為に、ひかりは猟兵達から聞いていた女の所在を知る者に接触を図っていた。
 囮で捕まるには――見目も実に良いが、優れた腕っぷしを発揮しすぎて目立ち過ぎただろう。
 故に彼女は女を騙していた女に接触を図っていたのだ。
 当初こそ柄は悪く、頭もよろしくはない彼女はひかりの説得にも耳を貸さない状態ではあったが、ひかりが次のように語れば、次第に派手な化粧に覆われた顔を青くしていった。
「いずれアナタは切り捨てられるよ」
 ひかりは語る。
 いつまでもそんな中子みたいな真似が続けられる筈がない。
 証拠の塊の人間が、その内始末されることは想像に容易くないと。
「死ぬのが嫌なら知ってることを私に全て話してみて」
 青ざめていく彼女に、その鍛え上げられた腕を見せつつ、
「それが決め手になって攫われた人が帰ってきて、罪を償う気があるなら、私がアナタを全力で庇ってあげる」
 徳川の御紋を出されていい笑顔で言われては、彼女も観念せざるを得なかった。

 「人」と「物」の在処がわかれば頼杯屋も代官も一網打尽。
 悪の商人と代官の所在も分かっている。
 ……あとは、然るべき裁き司に任せるのみ。

「ぐふぅふぅふぅ……良い、良い。ではさっそく一人お願いしようかの」
「ではさっそく……」
 お楽しみをしようとして立ち上がった彼らの前に、盛大に扉を開けて立ちはだかるのは多くの男たち。
 提灯と十手、刀を持って立ちはだかる姿と、その服から奉行所の連中であることは明らかだった。
「代官田代之上、並びに頼杯屋!! ご禁制の品々の密輸、並びに人身売買の罪、既に証拠は挙がって居る!! 神妙にして、縛につけい!!」
「な、なにを根拠に。貴様ら、わしが誰か」
「既に徳川葵の方々より証拠を頂いておる」
「なっ……!!」
 猟兵達が集めた証文、現物、人身売買の証言――並びに、奉行所連中の後ろに控える捕らえた筈の女子達。
 その内の一人、抱き込んだはずの女が舌を出していた。
 そして徳川葵、それが如何な意味を持つか知らないわけでもなく。
 公的な機関がそれを騙る意味はない、何故ならばそれは打ち首では済まされない大罪――まさか、あの紋所が関わっていたとは。
 こうなっては、もはや彼らも終わりだった。
「あっ、そうだ。先生!! 先生ーっ!!」
「手を斬ったばかりであろうが!!」
 ……最終手段として頼る存在も無い今で、証拠と武力、法を固めた機関に敵う筈もなく。
 彼らはお縄につく以外の選択肢は――なかった。

 かくして、人も知らず世も知らず。
 影となりて猟兵達は街にはびこる悪を討ったのであった。
 しかし、それは、町を襲う悲劇の幕開けに……なるわけではないが、これで終わりというわけでは、無いだろう。
 ともあれ、それはまた次のお話へ……。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『闇夜に紛れて』

POW   :    辻斬りに真っ向勝負を仕掛ける

SPD   :    事件現場の調査や目撃者探し

WIZ   :    これまでの傾向から次の事件を予測して辻斬りを誘き出す

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●殺しの紋
 ――草木も眠る丑三つ時。
 多数の被虐嗜好を少数の加虐嗜好が虐げることで生まれる封建の社会においても、夜だけは平等に眠りの時間。
 されど、夜に眠りにつかず町を良い気分で歩く存在もまた居て。
「……」
 気分よく酒に酔い、眠りも忘れて町をさまよう男が、僅かに酔いを覚ました頭で周囲を認識すれば、そこにあったのは見慣れぬ区画の風景だった。
 自分の住む長屋のある場所じゃあない。
 足取りもおぼつかないまま、帰路を取ろうとすると目の前には――
「ふぅんっ!!」
「ひっ……ひぃぃぃぃいっ!!」
 全身から妖気とも思える激しい殺気を迸らせ、月光に輝る刀を振り回す謎の男の姿が、そこにある。
 ……酔いなど、簡単に醒めた。
 刀に冷たく腕を浅く切り裂かれながら、酔った男は現場を逃げ出していくのであった。
 その様子を特に追おうとするでもなく、謎の男は刀を納めてから静かに呟いた。
「……さぁ、早く来い。俺は、待ってるぞ」
セルマ・エンフィールド
【SPD】
次の予測のためにもまずは情報集めです。
本物の辻斬り現場と模倣犯の辻斬り現場を『視力』『第六感』を活かして調査します。
辻斬りのものと思われる痕跡はあるか、そしてそれらは本物の現場と模倣犯の現場で違いはあるかは気になるところです。
一般人でも簡単に知ることのできる情報だけでなく、足跡の大きさや歩幅など、一般人では知りにくく、変えにくく、また辻斬りとは関連のないものまで酷似しているようなら……模倣犯が辻斬りを誘き寄せているのではなく、本物の辻斬りが敢えて手掛かりを残し、私たちを誘き寄せていると考えるべきかもしれませんね。
私としてはその方が楽ですが。下手人が1人ならば、弾丸も1つで十分なので。



●現場検証百回
 悪徳商人と悪代官の裏取引を押さえたといえど、町に潜む悪が消えたわけではない。
 今、猟兵達が追っている辻斬りもまた、潜む巨悪の一つなのだから。
 辻斬りの謎を追い、倒すべき亡霊を倒す――それがなければ、猟兵達の戦いは終わらないのだから。
 セルマ――見事に悪代官と商人の居城を特定してくれた彼女は、現場百回というある種のお約束というべきか、模倣犯と本物の現場――実際に殺しがあった場所と、起こらなかった場所を丁寧に見分けていた。
 見極めるのは現場に残った証拠ではない。
 既に自然の人の歩みで消されたと思っても、耐えがたい気配といったものを第六感で探り、狙撃手として研ぎ澄まされた視力が常人には見えない痕跡を見切る。
 いかに上手く模倣したとしても、脚の歩幅などは変えようと思って簡単に変えられるものではない。無理に変えれば必ずどこかに痕跡は残る。
 探るべきものを明確に目標立てて探った彼女の働きは非常に良く出来ていた。
(やはり違う……似たように見えて、歩幅や足の力の入れ具合は全く違いますね)
 ……となると、本物の辻斬りと模倣犯は別にいると考えるべきだろう。
 しかし一体何の為に?
 謎は、いまだに尽きない。
(下手人が1人ならば、弾丸も1つで十分なのですが)
 面倒なことには変わらないようだった。
 しかし突き止めた謎は決して小さくは無いだろう。
 何せ、いっそのこと辻斬りに挑むという手を取ったとしても、単身で強力な亡霊に挑む羽目にならない、ということなのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

星宮・亜希
「そこの暴れたりなさそうな変態さん?一つお話しませんか?明らかに殺意のオーラがすごいですよ貴方」
ま、乱暴は好きじゃないですけど色々芝居してたらその間に血が流れてもおかしくないですから
その謎の辻斬りとやらに接触し軽く煽りに行きましょうか
「こう見えて見た目には自信あるんですけどねー、何無視してるんですかー?」
挑発に乗ってきたらチャンスです。アッカを即座に取り出してオーラと武器で刀をガード。
「ちょっと血の気が荒すぎですね…こいつを喰らいなさい!」
刀を弾き返し反撃の一発を。倒したほうがいいなら容赦無しです。生かす方が好ましいなら片足だけを

POW 誘惑6,挑発2,武器受け7,オーラ防御10,カウンター1



●接触
 いっそのこと、直接的に件の辻斬りに話を聞こうとする猟兵もいた。
 幸いにして件のそれが亡霊ではない確証があるなら、接触も悪手ではないだろう。
「そこの暴れたりなさそうな変態さん? 一つお話しませんか? 明らかに殺意のオーラがすごいですよ貴方」
 長い黒髪に肉付きの良い肢体を西洋着物に包んだオラトリオの星宮・亜希(双星の守護天使・f00558)は、その手に槍を携えながら妖しい辻斬りに声をかけた。
 幸いにして、夜に出歩けば接触はそう難しいことではなかった。
 しかし、その声を無視して先に進もうとする辻斬りは、明らかにこやつではないな……と呟いていた。
「こう見えて見た目には自信あるんですけどねー、何無視してるんですかー?」
「……失せろ小娘、その腸を地面の花としたいか」
 抜き打ちのように、亜希の腰を狙って繰り出された斬撃。
 殺すつもりはないが、着物の裾は台無しになるだろう――そうすれば、怯えて逃げてくれるやもしれない。
 だがその刃は届くことはなく。
「ちょっと血の気が荒すぎですね……こいつを喰らいなさい!!」
 槍の柄で刀の刃を軽くはじき、その勢いで強かに手を打ち据えて。
 体勢を崩した男の片脚に亜希は、無慈悲に槍の穂先を突き刺した!!
「さて、事情をお聞かせ願えますかねー?」
 ……脅迫の、間違いだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

テラ・グゥスター
さて、まずは種を撒いた黒幕共を一網打尽、と。集めた情報が役立って良かったなぁ。
じゃあ次は辻斬り…直接命を刈り取る唾棄すべきクズの番ってなぁ。しっかりその命で償ってもらう為にも、また情報収集だ。

【SPD】
本物と模倣犯、少なくとも2人はいるか…実際対峙するとして、多数を同時に相手取らなきゃならねぇかどうかは見極めてぇ。犯行現場と遺体の状態・傷の具合なんかから何人いるか、同時に起きてるかを調べてみるか。
「追跡」で犯人がどっちに向かってるかだけでもわかれば…複数の現場から繋げてみれば潜伏場所の目星もつくかもなぁ。
遺体は奉行所にでも残ってれば調べさせて貰おう。



●正誤に順は含まれず
(さて、まずは種を撒いた黒幕共を一網打尽、と。集めた情報が役立って良かったなぁ。じゃあ次は辻斬り……直接命を刈り取る唾棄すべきクズの番ってなぁ)
 悪行を為していた者は潰えていない、そして命を刈り取るこれまた唾棄すべき人間を生かしてはおけない。
 テラは多くの犯行現場で遺体の状態を探ろうとしたが、もう既に遺体は現場になかったために奉行所に向かっていた。
(本物と模倣犯、少なくとも2人はいるか……実際対峙するとして、多数を同時に相手取らなきゃならねぇかどうかは見極めてぇ)
 もしかしたら本物と模倣犯を同時に相手取る羽目にならないように、細心の注意を払っていた。
 それから奉行所につき話を聞けば、遺体は残念ながらもう処理されてはいたが、当時の状況をよく知る者の話に依れば遺体は人の為す技で斬れたとは思えない美しい切り口だったという。
 また、模倣犯が現れたのはそうした大変に美しい切り口を残す遺体がぱたりと消えた時期から少ししてから――頼杯屋と悪代官に見いだされ、辻斬りに制限をかけられた時期とも重なること。
 そして実際に辻斬りに殺された数は十八人なら、模倣犯に遭い逃げ出した数も十八人、犯行場所と順番も全く同じであったこと。
 ――そして、十八の箇所のどこかには現れるが、どこにいつ現れるのかも分からず、毎晩多くの人員を割けられないまま今に至る、ということも。
「それに前は代官の圧がありましたし、今は人死にが出てないもんでねぇ。おまけに一か所一か所も、それなりに大きいもんでして」
(なるほどな)
 お役所仕事は大変なもんだと思いつつ、犯行の地図を貰いながら奉行所を後にするのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

草剪・ひかり
【WIZ判定】
まず、根拠なく色々積み重ねて考えてみるよ
似合わない、とか思われてるかも?
時には私も考えるんだよ!

推測される大前提……
模倣犯は真犯人を誘い出そうとしてる

模倣犯の目的……
真犯人に近親者等を殺害された復讐

真犯人が殺害した対象……
代官と頼杯屋の「商売」の邪魔になった奉行所関係者

といったところで
殺害された18人の中にこんな人いないかな?

・奉行所勤め
・幕府(?)の監査関係に従事
・正義感が強い

その上で、その人の近親者にこんな人がいないか探ってみるよ

・ある程度剣腕が立つ
・血気にはやりやすい(若い?)
・最近、夜勤が多い(?)

恐らく、真っ当な人間じゃ「真犯人」には敵わない
本当に遭遇する前に止めなきゃ



●拝啓、兄上殿
(恐らく、真っ当な人間じゃ「真犯人」には敵わない……本当に遭遇する前に止めなきゃ!!)
 時には私も考えるんだよ、とひかりは模倣犯の特定に推理を張り巡らせていた。
 似合わないと思われているかもしれないとは本人の談ではあるが、仮にも一つの団体を率いて経営する立場の人間が全くの不得手では話にもならないだろう。
 かつて著名な格闘家も、勉強ができないなら良い選手にはなれないと言っていたのは、有名な話である。
 それはさておき、こうした事件を整理する上で大事なのは前提の確保だ。
 他の猟兵の情報からすれば、犯人は少なくとも本物と模倣犯が別にいる。
 では、その模倣犯の目的とは――グリモア猟兵に示唆されていたように、真犯人を誘き寄せることだとしたら?
 既にどういった人物が怪しいか、どういった人物が当て嵌まるのか。
 具体的な指針やあたりをつけている彼女の捜査が順調にいくのは至極真っ当なことであり、結果を得られるのは当然のことと言えた。
「やっぱり……いたんだね」
 彼女の見立て通り、殺害された十八人に、奉行所に努めており大層腕の立つ若者がいた。
 そして、同様に腕が立ち最近は出勤してこない弟がいると。
 その者の名は、有根・剛毅といい、腕も立ち正義感も強いが大変に血の気が多い所があり、兄が殺された時も大層に激怒していたそうな。
 出勤しなくなる一日前、地図と犯行場所を見て何か気付いた様子を見せていたことも。
(でも、このままじゃ剛毅さんの方が危ないよ!!)
 血相を変えて、ひかりは仲間の猟兵にそのことを伝えに行くのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

玉兎・巴
取り敢えず、拙者よりも上手く調査できる御仁が多いようで御座るし、こちらはこれ以上被害が広がらないように、夜の見回りに励むで御座るかな。

【POW】
本物でも模倣犯でも、話して引くようならそれで良し。
それでも本物なら喜々として襲ってきそうではあるので、安全第一で。その場からの逃走も視野に入れる。
勿論被害に遭いそうな人物がいるなら、その人の安全が確保されるまでは引かない。
本物に当たった場合、お互い全力で戦える場を提案できないか。(今の状況では両者の行動が邪魔になる為)

お互いやり難いで御座るよなぁ?ここは後日、日を改めて死合わんで御座らんか?
今我慢すれば、これまでで一番の歯ごたえを約束するで御座るよ。



●夜回り
(取り敢えず、拙者よりも上手く調査できる御仁が多いようで御座るし、こちらはこれ以上被害が広がらないように、夜の見回りに励むで御座るかな)
 何度も鍛え直した痕跡のある、さぞや歴戦の刀であろうそれを腰に下げた巴は、
 本物にしろ模倣犯にしろ、人命の被害はこれ以上は避けたいところだ。
 もし接触さえできれば、後に接触を約束させられれば調査に貢献もできるだろうし、万一人が襲われていれば身を挺してでも逃がしにいくこともできる。
 その見立て自体は間違ってなく、また、柔和な表情の彼女に時折すれ違う町民は不安から解放されたように快い挨拶を行っていく。
 ――しかし不運という他無かったが、先に接触を試みるべくして動いた猟兵と違う方向に行った為か、辻斬りらしき存在との接触は敵わなかった。
 ただ、グリモア猟兵から伝え聞いた元用心棒の人相に何となく似ているような、そんな人影を見ただけで見失ってしまう形となった。
 事前の場所の絞り込みが上手く出来ていれば、また違った結果になったのかもしれないが――兎に角、調査自体にはあまり貢献できるものはなかった。
 尤も、被害の広がらないように行った見回り自体は、心細く夜を歩かねばならなかった町民達にとって少なくない安心を齎したのは、それはそれで治安の維持に貢献したと言えるだろう。

失敗 🔴​🔴​🔴​

草剪・ひかり
【WIZ判定】
取るものもとりあえず、な感じで剛毅さんとの接触を図るよ
もし亜希ちゃんと剛毅さんの切った張ったに間に合えば、一旦亜希ちゃんを押し留めて剛毅さんを説得しよう

お兄さんは間違ったことが嫌いな、高潔な人だったんだね
そんなお兄さんを貴方も本当に慕っていた

なら、改めて考えみて?
剛毅さんが「私的な感情で復習に走り」あまつさえ「命を落とす」
そんな行い、そしてそんな結果を喜ぶか、って

剛毅さんほどの剣腕があれば、彼我の力量差は掴めるはず
悔しさは重々承知で、私達……葵の御紋に連なる者に、この場は委ねてもらえないかな?

そしてその上で、まずは……命を取らないまでも傷をつけてしまった人々への償いを済ませよう?


初花月・永楽
どうやら某の面(かお)もお役に立てた様にございますが、未だ演目は続いております様子。一層気を引き締めてかからねばなりませぬな。

【WIZ】
既に皆様が得られた情報から愚考しますに、有根殿なる御仁が捕らえられたる模倣犯の様に思われますな。彼の方にお話を伺いたく存じます。

目的はご兄弟の仇討ち…でございましょうか。
されど如何に手練れなれど、ただの人の身には危険が過ぎまする。
某らが力をお貸ししますゆえ、どうかご無理はなされますな。

恐らく真犯人めも模倣犯の存在には気づいておりますでしょう。
彼奴を誘い出す為に、有根殿には「模倣犯」を続けて頂きたい。
その上で、某ら猟兵の隠れての同行をお許し願えぬでしょうか?



●兄弟・強大・大捜査網是にて
 ……突き刺したかのように、見えた。
 天使の猟兵の槍が、片足に突き刺さろうとした刹那、それを制止する声が響いた。
 長い黒髪の人族の猟兵ひかりと、能面の宿神の猟兵永楽だった。
 ここは任せて、という声に天使が帰還するのを見送ると、少年と女は男に目を向けて。
 男の方は少年の方の表情の読めない未知数の力、女の方から発せられる剛力の気配に退こうとするが、
「剛毅さん!!」
「!?」
 突然として己の名を呼ばれた男はあからさまに動揺し、かような名前ではなく、ただの辻斬りだと取り繕おうとしても最早、意味はなく。
「目的はご兄弟の仇討ち……でございましょうか」
 ――全てを見透かされていることを悟った男、剛毅は観念したかのように両手を挙げ、無造作に地面に腰かけた。

「お兄さんは間違ったことが嫌いな、高潔な人だったんだね」
 それから、徳川葵の紋を示したこの場の猟兵達にぽつりぽつりと事情を語った剛毅に、ひかりはそう声をかけた。
「なら、改めて考えみて? 剛毅さんがこんなことして、本当にお兄さんが喜ぶと思う?」
 私的な感情で復讐に入り、その末に命を落とす結果を本当に兄が喜ぶのかと告げるひかりに剛毅は何も言えず。
「悔しさは重々承知で、私達……葵の御紋に連なる者に、この場は委ねてもらえないかな?」
「左様、如何に手練れなれど、ただの人の身には危険が過ぎまする。某らが力をお貸ししますゆえ、どうかご無理はなされますな」
 ひかりに続いた永楽の後押しに、剛毅は口籠る。
 それから暫くして漸く剛毅が口を開き始めると、
「っ……あんたらの言いたいことは、十分わかる。……けどな、なにを言ったって、家族なんだ。家族だからこそ、俺がやらなきゃいけなかったんだ。家族だからこそ、せずにはいられないんだよ……」
 悲痛な声で絞り出す剛毅に、猟兵は何も言えない。
 しかしこれ以上の辻斬り紛いは本当に命を落としかねない、かといって無理矢理下がらせても決して納得もしないだろうといくばくかの膠着が続いたが、
「……それでは、こうするのは如何なさいましょう」
 煮え切らない様子の剛毅に、流石にこの場で何もかも退かせるのは酷だと感じた永楽はある提案をした。
「恐らく真犯人めも模倣犯の存在には気づいておりますでしょう。彼奴を誘い出す為に、有根殿には『模倣犯』を続けて頂きたい」
 無論、某ら徳川葵の隠れての同行をお許し願えぬでしょうかと。
 安全を保障した上で、囮にするのならばと、際どくも無難でもある手を提案すれば、剛毅はそれなら、と力なく頷いて。
「無論、戦が始まれば即座に退いていただきますが。……草剪殿もそれで宜しいでしょうか?」
 その声に渋々うなずいてから、でもとひかりは続けた。
「終わったら……命を取らないまでも傷をつけてしまった人々への償いを済ませよう?」
「……ああ、勿論だ」

 そこからの誘き寄せる為の剛毅の説明が続いた。
 既にほかの猟兵が入手した犯行場所の地図があった為に、話自体は非常に円滑に進んだ。もし地図が無ければ説明に時間を費やさねばならなかっただろう。
 彼の話に依ると、件の辻斬りの犯行場所を上手く繋いでいくと、町に「殺」の文字が描かれていくことに気付いたという。
 犯行時期がまばらで書き順にもならなかった為、なかなか気付く者もいなかったとか。
「……兄上と子供のころ、よくこうした謎解きで遊んだんだ」
 ふと遠くを見るような剛毅を暫く見守ったのちに、殺の文字を完成させるために足りないであろう最後の一点を指差して。
「ということは……」
「そうだ、最後にここで辻斬りに及んで、文字を完成させるつもりだろう。……だから、その前に他の場所でやれば、あいつの趣向を邪魔して怒らせて誘き寄せられるかなって」
 どの道、ここらが潮時だったという剛毅の声に、ではここで誘き寄せれば良いと猟兵達は確かにうなずいた。
 もちろん、剛毅以外に偽の辻斬りはいないということも分かっている以上、剛毅の確保が済んだ以上、あとは本物を打倒すだけなのは気が楽、というものだろう。

 一つの歯車が狂ってからの世直し猟兵の道中は混迷を極めたが、漸く在るべき姿へと纏まろうとしていた。
 はてさて、猟兵達は倒すべき真の敵を倒して、この世直し道中を綺麗に終わらせられるのか……
 それはまた、次のお話へ……こうご期待。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『用心棒』

POW   :    剛なる居合い
【居合い 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    飛刃縮地の構え
自身に【修羅の気 】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    死者の誘い
【用心棒が殺した死者 】の霊を召喚する。これは【悲痛な叫び声】や【生前持っていた武器になりそうな物】で攻撃する能力を持つ。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠犬憑・転助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●画竜点睛
 ――またある日の丑三つ時、今の今まで辻斬りによる血の紋様が刻まれなかったその場所に。
 刀を下げ裃に身を包んだ、まがまがしい邪気を放つ男が怒りを放ちながらそこにいた。
 ――辻斬りの場所を点で繋ぎ、殺の文字を刻めば面白い。
 何のことはない思いつきも、不運にも腕を見いだされた権力者に制限をかけられ、漸く解き放たれたと思えば、せっかく己が刻んだ血の点に無粋な模倣が現れる。
 しかも、ただの模倣ではなく悪戯に脅しをかけるだけで殺害まではしないというではないか!!
 いや、それだけなら多少の腹は立つが、まだ収まらぬこともない。
 だがこの男の怒りを掻き立てたのは、最後の一点にはただ現れるだけ現れ、悪戯の脅しすらしないという話ではないか。
 しかも最近の話だ。
 許せない。
 これは明らかに、己の「殺の文字」を分かっている者の所業だ。
 己にとっての楽しみを、無粋な手で穢そうとする。
 最後の一点は、この無粋な愚か者に決めた――!!

 ……かような狂気に満ちた辻斬りが、それが罠であることに気付くわけもなく。
 釣られてのこのこと顔を出した辻斬りと、かつてかの者に兄を殺された剛毅が月光の下、町からやや離れ人っ子一人いない場所で相対していた。
 当の剛毅はというと、
(やっぱ無理だわなぁ……悔しいが、任せるわ)
 分かっていたが、やはり相対するとこの辻斬りの威容は恐ろしく。
 自分では到底敵わないと見て、手筈通りに逃げ出す。
 その様子に怒りを更にむき出しにした辻斬りが剛毅の背を一思いに切り裂かんとするが……
 それは、猟兵達の仕掛けた罠であることに、気付いた時にはもう遅い。
 振りぬかれる刀の一撃を隠れていた猟兵の一人が弾き飛ばし、ほかの猟兵達もぞろぞろと現れていく。
 立ちはだかる猟兵達の威容と、ある一人が掲げた徳川葵の紋章に一瞬目を見開くも、狂気と歓喜に満ちたけたたましい笑い声を辻斬りは挙げた。
「ぐはははっ……終末がうぬら化け物の血とは極上ではないか!! 良かろう。我が殺しの紋様、徳川葵の血で描き切ってくれようぞ!!」
セルマ・エンフィールド
真の姿の片鱗によりスコープを覗く左目が赤く染まっています。

化け物とは言ってくれますね、過去の亡霊が。

ドローン【ペレグリーネ】を起動し、その機銃と私の『スナイパー』技能で他の猟兵の『援護射撃』を行います。

飛刃縮地の構えで動き回られては厄介、敵の動きを『視力』で『見切り』、徹底的に足を止めるようにペレグリーネの機銃とマスケットで銃弾を置いていきましょう。暗さもナイトビジョンの『暗視』があれば問題にはなりません。

もし被弾を覚悟で私の方へ突っ込んできたなら、隠し持ったデリンジャー4挺の『クイックドロウ』で時間を稼ぎ、距離をとります。

最後の一点は辻斬りの自らの血で。お話の結末は、そうあるべきです。


玉兎・巴
ふむ、殺気をまき散らしておっかないで御座るなあ。そういう輩は早々に倒してしまわないといけないで御座るな!

【POW】
先手必勝の『先制攻撃』。厄介な居合いは出される前に潰す。
『2回攻撃』で更なるダメージや、『武器落とし』との併用で相手の武器を使えなくする。もしくは『剣刃一閃』での武器破壊も選択肢に。
相手の攻撃に対しては『残像』で対処。無理な攻めはしない。
付かず離れずでこちらに貼り付けにできないか。
仲間の攻撃の助けになるよう、自身は半分囮のポジションの気持ちで。

良くも悪くも互いに剣の道に生きる者で御座る。遊びじゃない、命がけの腕比べで御座るよ!


草剪・ひかり
【POW判定】
よくもまぁ、他人様のことを化け物呼ばわりできるよね!
そりゃ普通の人とはちょっと違う力を持ってるけど……

ともあれ、ようやく辿り着いた真犯人、ここで決着つけよう!
幸い、剛毅さんは無事に逃げおおせたようなので、ここは敵に集中!

乙女(?)の柔肌を露出した私にとって、辻斬りの剣閃は脅威
なので、ひたすら集中して躱しきる!

その上で、僅かずつ間合いを詰め
敵の意識が逸れた瞬間に一気に肉迫!
正面から抱きかかえ、パワースラムで私自身の体重を浴びせつつ地面に叩きつけるよ!

プロレスは、環境を活かせば十分に「壊せる闘い方」だってこと、思い知らせてあげるね!

他の皆さんとの連携して、此方の被害を減らしたいね!



●巴の戦、撃てば響いて、身が光り、乗らぬというなら乗せるまで
「ふむ、殺気をまき散らしておっかないで御座るなあ。そういう輩は早々に倒してしまわないといけないで御座るな!!」
 全身から激しい妖気を迸らせて刀を照らす辻斬りに躍りかかったのは、人間族の格闘家と羅刹族の剣士であった。
 羅刹族の剣士、巴は先手を打って辻斬りの強力無比な居合の剣閃を叩こうとしたが、辻斬りの放つ居合はそれよりも速く、闇夜に閃く鈍色の閃きが高い金属音を奏で、巴の刀を弾き飛ばす。
 振りぬいた刀の、その隙を狙って潜り込もうとする人間族の格闘家ひかりだったが、辻斬りの反応は速く、返す刀で斬り込んできた巴の刃をいなすと同時、ひかりの目の前にその刃を斬り込ませていく。
 その刃を寸でのところで躱すひかりであったが、鋭い剣閃は彼女の長い黒髪を数本ほど闇夜に舞い上げていた。
 二人がかりの、それも手練れを相手に剣闘を演じられるのは、改めてこの辻斬りが――倒されるべき「お約束」を何度も容易く破ってきた証なのだろう。
「<ペレグリーネ>起動。さぁ、頼みましたよ」
 前衛の女二人が隙を伺う間、後方に控えたセルマが偵察機を起動させ、備え付けられた機銃をけたたましく鳴らし弾丸の雨あられを辻斬りに叩き込む。
 だがその銃撃の弾幕ですらも、彼は攻撃的な笑みを浮かべると、全身に阿修羅さながらの闘気を纏い、命を削ることも厭わない高速の剣技で弾を残さず捌き切る。
 その勢いで縦に振り下ろした剣から地面を削りつつ向かう衝撃波がセルマを穿たんとするが、彼女は最低限の動きで躱した。
 三人と一つ剣を交え、これは確かな実力であると確信を得た辻斬りは血走った眼に鬼気迫る獰猛な笑顔を張り付けて。
「やるではないか。流石徳川葵の化け物は、さぞや良き血を流すであろうなぁ……ふふふふふ……」
「よくもまぁ、他人様のことを化け物呼ばわりできるよね!!」
「ええ。言ってくれますね、過去の亡霊が」
 自分だって亡霊で、銃弾を捌き切りながら二人の剣と拳をいなす。
 人のことを言えないのでないかと、赤々と光る眼の視線を照準器に通し、ひかりの声にセルマは同意を示しながら、自在に動き回る辻斬りの動線に、銃弾を設置していくように撃ち込んだ。
 闇夜もこれがあれば、狙いの邪魔となる暗闇など在って無きに等しい。

 つまるところ、猟兵達の第一の布陣は、次のようであった。
 同じ剣客である巴が、剣を打ち合うことで辻斬りの剣を引き付け押さえながら、後方をセルマの召喚した偵察機と、彼女自身の愛銃による援護射撃を行う。
 そして隙を見て、ひかりが強く重い一撃で決める。
 図らずとも、年齢体形色々な意味で三段重ねの娘たちの間では、そのような連携が生まれていた。
 そしてそれは辻斬りにも狙いは分かっているようで、巴の優れた剣を捌き、セルマの機銃と弾丸を事前に置いていくような優れた先読みと狙撃を縮地と衝撃の斬撃で落とし、ひかりの肉体には乗らぬようにいた。
「良くも悪くも互いに剣の道に生きる者で御座る。遊びじゃない、命がけの腕比べで御座るよ!!」
 軽々と三人の優れた猟兵達を相手取りながら、戦いへの歓喜か、実力故の余裕か――とにかく笑みを崩さない辻斬りに巴が声をあげた。
「だから愉しきものだろう」
 今まで無理な攻撃は繰り出さず、時に残像も駆使しながら剣を張り付けにしていた巴だったが、ひかりとセルマの攻撃をも寄せないとならば、仕掛ける時だと踏んだ。
 決して無理な攻めではないし、誰が見てもそうではあるが、剣を落とすかと放たれた刃を辻斬りは真っ向から強力無比な居合の斬撃で迎えた。
 武器の破壊を目的とした一撃が競り負け、彼女が後方に吹き飛ばされるが、巴とて転んでもただでは起きず、吹き飛ばされると同時に二度目に繰り出したこの世の全てを断つ斬撃が辻斬りの肩を裂いていた。
 鋭く美しい剣に決して小さくない手傷を負いながらも、辻斬りは駆けた。
 ……邪魔な剣客は払ったが、女の剛力に乗るのは避けたい。
 まずは邪魔な小雨を落とすかとひかりの横を通り過ぎ、セルマにその刃を向けんとしたが。
 それを想定していたセルマの、再装填の矢継ぎ早に抜いては撃ち、機銃もかくやと言わんばかりの小型拳銃の連射を真正面から浴び、辻斬りは膝をつく。
 その姿を見降ろしながら距離を取って一言、そして辻斬りの背後から迫る一つの影を見つつ、グリモア猟兵が好みそうな言を放った。
「最後の一点は辻斬りの自らの血で。お話の結末は、そうあるべきです」
「うん、やっと乗ってくれそうだね」
 喜々として肉薄する女に抱きかかえられた時には、己の判断を完全に誤ったと辻斬りは後悔に襲われた。
 乗らぬと気を払っていたはずの、女神の戦場に強引に乗せられて。
「プロレスは、環境を活かせば十分に『壊せる闘い方』だってこと、思い知らせてあげるね!!」
『おーっと、ひかり選手ここで辻斬り選手を担ぎ上げ……決まったぁっ!! 絶対女王のパワースラム!! マットの外でこれは痛い!! さぁカウント始まりました、1、2……立ったぁーっ!! 立ちました!! まだ立ちましたよ辻斬り選手ぅ!!』
 ……その実況の声の出元は依然として分からないが、ひかりの為したことは大体合っていた。
 抱きかかえるや否や、華麗に判定しながら、恵まれに恵まれた彼女の体躯を以て押し潰す。
 魅せるべき戦いを生業とする彼女の、連携の末に生まれた隙を縫って繰り出した、派手さと破壊力を兼ね備えた見事な一撃が決まったのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

初花月・永楽
そろそろこの悪趣味な演目も終いといたしましょう。世に悲嘆の顔を増やし続ける輩など、許すまじ。早々に退場させねばなりませぬ。

【WIZ】
正面からの力押しは避けるといたします。フェイントにて相手の虚をつく事を狙って参りましょう。僅かでも隙を作れたならば、他の方々の一助ともなるかと。

死者の誘いに対しては巫覡載霊の舞を以て当たるといたします。
これ以上犠牲者の方々への愚弄はさせませぬ。
死者の皆様のご無念は察して余りありまする。されど、既に皆様はこの世という舞台から降りられております。
どうか皆様のご悲嘆、お怒り、全て我らに託されませ。
…有根殿の兄君も、どうか。

頭を下げた後、衝撃波で一気になぎ払います。



●その御霊に、永久の楽あれと
「そろそろこの悪趣味な演目も終いといたしましょう」
 重量級の「破壊力」を受けた辻斬りは、刀を杖代わりにして立ち上がると、また新たに響いてきた猟兵の声に血走った目を見開いた。
 見た目は年若く幼き少年だが、その者の前身故か、闇夜にあって顔色一つ変えずどこか妖しい魅力を伺わせる静かな姿の永楽に直接的な武力とはまた違った危機感を覚えさせていた。
「世に悲嘆の顔を増やし続ける輩など、許すまじ」
 ――早々に退場させねばなりませぬ。
 正面からの力押しは避けて、二重三重にも重ねられた不意打ちの連打は、負傷を差し引いても辻斬りをより一層の劣勢へと追い込み、態勢を少しずつ崩していく。
 その威容に歯噛みしながら、辻斬りは刀を振るうと今まで殺めてきた存在の恨み辛みの声を響かせた。
 常人ならば即座に心を狂気に満たされ、打ち壊される声を静かに永楽は聞く。
「皆様のご無念は察して余りありまする。されど、既に皆様はこの世という舞台から降りられております」
 ――分かってる。
 ――どうして俺が。
 ――まだ生きたかった!!
「どうか皆様のご悲嘆、お怒り、全て我らに託されませ」
 その身の命を削ることも構わずに、身を霊体に変えて怨念を一つ一つ受け止め流していきながら、最後に残った声に。
「……有根殿の兄君も、どうか」
 ――弟を、頼んだ。
 その声が聞こえたか聞こえないか、宿神は静かに頭を下げて。
 それから、手に携えた薙刀を振るい、発せられる衝撃波で怨霊を全て薙ぎ払った。
 それは、死してなおその情念を弄ばれる苦しみからの、解放の一撃であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

テラ・グゥスター
なるほどなぁ、他人の命でもって殺の字を書くと…反吐が出る。もう何も訊くことはねぇよ、ここで死ねド畜生。少なくとも俺は、てめぇを殺す化け物さ。

【SPD】
ここまでの話からそりゃあ腕が立つんだろうとは思ってたが…猟兵相手にすらここまでやれるかよ。正面戦闘は俺じゃあ下策と見ていい、幸い味方の攻撃でダメージは与えてる…なら付け入る隙もあるだろう。
UC発動で身体強化、プレッシャー与えて下手に近づかせないように。素手で構えて距離測ってる様に見せてレーザー「暗殺」ネイルガン「だまし討ち」「スナイパー」で攻撃。怯めば被ダメ度外視で接近して廻転鋸で「傷口をえぐる」。俺で決められるとは思わん、動きを落す。



●奇をてらい、足を削ぐ
「なるほどなぁ、他人の命でもって殺の字を書くと……」
 また一つと、現れた影――辻斬りの犯行現場を示す地図を入手していた少年テラは、こういうことかと感慨深げに頷いて、
「反吐が出る」
 闇夜に紅く光るその目には、命を弄ぶ外道への強い怒りが称えられていた。
「ここで死ねド畜生。少なくとも俺は、てめぇを殺す化け物さ」
「……反吐は反吐でも、血反吐を撒きたい化け物が居った、か……」
 興味の対象をテラに向けるように、負傷を負いながらも衰えない修羅の如き闘気を立ち上らせて、その唇を釣り上げる。
 対したテラも、その身に……己が言った通りの「化け物」を宿すことで、その力を高めていく。
 手練れの猟兵達を相手に引けを取らない戦いぶりから見るに、己では正面戦闘は下策……だが、付け入る隙は必ずあるのだと信じて、妖の気迫を纏いながら素手で相対する。
 互いが互いに与える威圧にしばしの硬直が続く中で、動き出したのは喜々とした狂気を顔に浮かべた辻斬りであった。
 仕掛けてきたのを好機にと、素手に見せかけて体に仕込んでいた光線で脚を射抜くが、狙いはそれかと改めなおした辻斬りは釘打ち機の弾を刀を一回転させて弾き、その勢いで飛ばした斬撃がテラの脇腹を抉る。
(こいつ、やべぇ……けど、俺で決められるとは思ってない)
 超強化の代償と斬撃に抉られた傷から激しい流血が起こるが、それでも怯まずに。
 まずは、動きを少しでも落とし後に続く者の為に。
 繰り出した廻転鋸の刃で打ち抜いた脚を抉る。
 鋭利な刀とはまるで違う、醜く傷口を苦痛で抉る刃が片足の腱を潰した。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ベルリリー・ベルベット
サムライエンパイアには、ブシドーっていう大事なものがあるんじゃないの?
お前からはそれを感じないけれど。
ともかく、悪いサムライはここで退治させてもらう。

【SPD】
相手の居合の間合いに入らないように、『逃げ足』で常に距離をとって戦うわ。
でも、衝撃波での攻撃にも注意しないとね。
敵の攻撃は『見切り』や『ジャンプ』で回避。

攻撃の隙を見つけたなら、【早撃ちシンデレラ】で投げナイフをお見舞いしてあげる。
『2回攻撃』で手数を増やして、『属性攻撃』で氷を纏わせるわ。
お前はもう少し頭を冷やした方がいいわね。
なんて言いつつも、時折ナイフでジャグリングの『パフォーマンス』をして、相手をおちょくってみたりして。



●喋るは騒がしく、芸は凛々しく
 片足を醜く傷口を抉られ、刀の鞘を杖代わりにしながらも、用心棒崩れのこの剣鬼は、刃を手に恍惚と笑う。
 そんな彼を制するように、嫌悪と疑問を孕んだ声が響く。
「サムライエンパイアには、ブシドーっていう大事なものがあるんじゃないの? ……お前からはそれを感じないけれど」
 その声の主は、薔薇水晶の瞳と蒼穹の髪を持つ半人半魔の少女、ベルリリー・ベルベット(ルーナフラウ・f01474)であった。
 本繻子の飾りがあしらわれた小刀を片手に、軽く上に投げては刃を掴み受け止める仕草を繰り返す彼女に、用心棒崩れは鼻で笑い、傷ついた足で距離を詰めに行く。
「所詮は人斬りに快楽を見出せぬ弱者の戯言よ。一度人斬りを味わえば分かる……」
「……何それ」
 芸で人を喜ばせることを生業とする彼女には、この男の在り方が快いものではないのか、男の刀の間合いに入らないよう、慎重に起動を見切り、時に刃を跳躍することで躱しながら、小刀に青い冷気を纏わせて、
「ともかく、悪いサムライはここで退治させてもらう」
 男が刃を振りぬいた隙に、矢継ぎ早に冷気を纏った小刀を次々と投げる。
 それを男は刀を回し捌いていくが、捌き切れなかった刃が男の頭部に突き刺さり顔の半分を氷に覆った。
「お前はもう少し頭を冷やした方がいいわね」
 その様子を煽るように唇を釣り上げ、曲芸師の本分を示すように、器用に数多の小刀を投げては取り廻して見せるが、
「ならば、うぬは血を流し冷え切った躯となるが良いわ」
 小刀を弾いていたのと同時、放っていた飛ぶ斬撃がベルリリーが取り廻していた小刀を弾き、肩に衣装に映えるような紅の染みを作り出していった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

フィロメーラ・アステール
「そいつは見過ごせないぞー!」
【スライディング】で流星の尾を引いて乱入!
【生まれながらの光】を発動して、ケガ人に【救助活動】するぜ!
ついでに他のみんなにも活力を与えて【鼓舞】だー!

おっと、ただ光ってるだけじゃない!
渾身の踊りの【パフォーマンス】も組み合わせて、【勇気】と【気合い】をさらに奮い立たせるぞ!

この聖なる光は【破魔】の【属性攻撃】も兼ねる【全力魔法】だぞー!
また怨霊を呼び出されても、たぶん追い返せるはずだぜ!
他の攻撃がきたら【空中戦】と【残像】と【迷彩】を活用して頑張る!

「お天道様も眠る丑三つ時……それはお星様の時間なんだよなー!」
つまり、悪党はそろそろおネムの時間ってことだ!



●幸運の妖精は明日を輝る
 肩口を切り裂かれた猟兵に、更なる追い打ちを掛けんと用心棒崩れの剣客は狂気に満ちた笑顔で刀を手に一歩を踏み出した。
「そいつは見過ごせないぞー!!」
「ぬぅっ!?」
 だが、その踏み出し、地から浮いた足を掬うように滑り込んできた、闇夜に光る一つの流れ星の姿。
 戦場に追い風となるべく現れた幸運の流れ星、妖精族のフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)が箒星のように光る尾を引きながら剣客の――幸運の妖精は流石というべきか、先に別の猟兵が深く抉った足を打つ形となり、これには剣客も勢いよく地面に倒れ込み、少なくない隙を作る。
 その隙に彼女は纏う粒子を更に輝かせ、生まれながらに持つ聖なる輝きを傷を負っていた猟兵達に降り注がせて、一気に癒していく。
 柔らかな光と幸運を齎すであろう妖精の力強い激励に、猟兵達は士気をどんどんと高めていく。
 技の代償に消耗を負っても、只管に陽気な彼女は、その小さな身体で精一杯に踊り、華やかな演舞が、ただでさえ高まっていた味方の士気を更に高揚させていく。
「今度は小鬼が餌食になりにきたか……」
「小鬼じゃないぞー!! 出会えたらラッキーな珍しい妖精だぞー!!」
 よろよろと立ち上がりながら刀を向け、振るってきた剣客の声に抗議をしながら、夜の闇に残影を残し、煌びやかな翅を羽搏かせ宙を舞いながら精度の落ちた剣戟を木の葉のように躱していく。
 痺れを切らした剣客が、再び刀から怨霊の念を放つが、彼女の纏う聖なる輝きは太陽のように、能面の宿神に依って弱体化した怨霊の念を容易く吹き飛ばす。
 その余波に身を焼かれて悶える剣客に、フィロメーラは小さな身体で思い切り胸を張って言い放った。
「お天道様も眠る丑三つ時……それはお星様の時間なんだよなー!! つまり、悪党はそろそろおネムの時間ってことだ!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジンガ・ジンガ
ワァオ、もしかして猟兵ちゃんたち苦戦中?
お手伝いしに来たんだけどォ、この辻斬りちゃん結構やべー相手?
ヤダわぁ、俺様ちゃん死にたくないわァー

っつーワケで、ヤられる前にヤるしかねェじゃん?
まァ、一発ブチ込むくらいならどーにかなるっしょ!

★SPD
夜闇だろうが俺様ちゃんの夜目(【暗視】)が光るっつの
使えそうなら【地形の利用】もしつつ
ヒット&アウェイを心がけるじゃんよ

【フェイント】で体勢を崩すことを狙い
隙を見てシーブズ・ギャンビット【2回攻撃】

飛刃縮地には【逃げ足】【ダッシュ】で対抗
衝撃波や斬撃を集中し【見切り】
当たりそうなフリして【だまし討ち】

そろそろ辻斬りちゃんも、年貢のオサメドキすりゃイイのにさァ



●鬼人が煽る、刃が閃く
「ワァオ、もしかして猟兵ちゃんたち苦戦中……でもなさそ?」
 重傷の用心棒崩れと、士気を燃え上がりそうなほどに高めている猟兵達を見比べ、至って軽い調子で手を叩く声があった。
「お手伝いしに来たんだけどォ、これ要らなくね?」
 現れた羅刹族の青年ジンガ・ジンガ(塵牙燼我・f06126)はわざとらしく肩を掬め、緩い笑顔で喋る。
「小鬼の次は大鬼か……全く、徳川葵は化け物ばかりで……楽しくて堪らぬわ」
 不快な怒りと共に、刃の持つ興味の対象を目立つ桃色の髪の羅刹に切り替えたのか、重傷を圧して残り少ない命を削る闘気を迸らせる剣客に、ジンガはこれまたわざとらしく両手を開いて軽く振った。
「うわ、この辻斬りちゃん結構やべー相手? ヤダわぁ、俺様ちゃん死にたくないわァー」
 死にたくないのは事実。
 かといって、尻尾を巻いて逃げ出すのかというと――この男に、それはない。 
「っつーワケで、ヤられる前にヤるしかねェじゃん? まァ、一発ブチ込むくらいならどーにかなるっしょ!!」
 深手を負いながらも走る剣客の刃を、ジンガは二振りの短刀で見切り受け流した。
 優れた夜目と優れた駆け足で剣客の縮地を巧みにかわし、変幻自在の短刀の軌道が次々に閃けば剣客の体勢を更に崩す。
 だが後ろに僅かに吹き飛ばされると同時、刀から放った衝撃波がジンガを飲み込む――と見せかけて、実際は寸でのところで躱していたのだが、あえて喰らったふりをする彼に、剣客は完全に油断し大振りに刀を振り上げるが。
「鬼の血を以て殺の紋を刻むも一興よ……」
「おおっと、俺様ちゃんの血は俺様ちゃんのモンだ。てめェになんかやるもんか」
 騙されたか、と避ける間もなく、喉元にジンガの繰り出した短刀の連撃が走り、勢いよく血が流れ出して。
 その血を視界に収めながら、羅刹は肩を竦めて独り言ちた。
「そろそろ、年貢のオサメドキすりゃイイのにさァ」

成功 🔵​🔵​🔴​

草剪・ひかり
【POW判定】
さすがの腕利きだったけど、そろそろ覚悟を決めてもらおうかな?
恐らく相手も「死なば諸共」の気合で斬り付けてくるだろうから
私も「肉を斬らせて首を圧し折る」つもりで突っ込むよ!

ここまで温存してきた「女帝」草剪ひかりの代名詞
必殺の“アテナ・パニッシャー”を封印解除!
渾身の踏み込みから、思いっきり振りかぶった右腕で辻斬りの喉元を薙ぎ払う!

私もタダでは済まないけど、それは承知の上
バッサリ斬られてコスチュームを血みどろに染めつつ
がっちり抑え込んで3カウント!……まぁ私なりの「儀式」だからね

魅せて闘うには厳しい相手だったけど……それでも貫くのが私の誇り
「凄い」相手だったよ……闘えて、良かった!



●草木も眠る刻、女神の斧は邪剣を薙ぎ
 用心棒崩れは放っておいても死は遠くない――が、油断はならない。
 今も尚、彼は刀を手に喜々とした顔で刃を振るおうとしていた。
 その前に立ちはだかるのは、際どい戦士の装束に身を包んだ格闘家の姿、ひかりであった。
「さすがの腕利きだったけど、そろそろ覚悟を決めてもらおうかな?」
 左手を右肩に乗せ、右腕を軽く回し、足を僅かに引くと、その右腕を水平に構え。
 ……そして何故か響き渡る実況の声。
『さぁ、絶対女王草剪ひかり!! ここで遂に、激闘に終止符を打つ必殺の右を繰り出すか!?』
 彼女が駈け出すと同時に、ぎらつく目の用心棒崩れが深く彼女の体に切り込んでいく。
(「死なば諸共」で来るよね……でも、そんなの承知の上!!)
 踏ん張らなければ胴体がお別れするような斬撃を、頑強な肉体で耐え忍び、選手装束を血で染めながらも。
「ここまで温存してきた女帝の代名詞!! “戦女神の断罪の斧(アテナ・パニッシャー)”!!」
 掻き切られた喉元へ、渾身の体重を乗せた、女神の斧の名を持つ腕の殴打が決まる!!
 その勢いで彼女の身に食い込んでいたぼきり、と数多の血を吸ってきた刀が圧し折れて、用心棒崩れが地面に叩きつけられた。
 その倒れ伏した男の肩を血に塗れながらも抑えると、
「……まぁ私なりの、そして『プロレス』の儀式だからね!! カウント行くよ!! 1、2……」
 抵抗もなく、剣客に最後の読み上げが下されたのは、言うまでもないだろう。

 そしてどこからかともなく、試合終了の鐘の音が鳴ると、彼女は立ち上がり両腕を挙げて倒れた剣客に向き直り。
「『凄い』相手だったよ……闘えて、良かった!!」
「……うぬらこそ、な……もっと早く……やれ、ば……よか、……」
 掛け値なしの女神の称賛に、最後の最後、武人の矜持を見せて猟兵達の健闘を剣客は送り。
「最後は我が血で、か……」
 描きたかった殺しの紋を、己の血で刻むことに何処か因果を感じながら、無念と安堵の入り混じった顔で剣客は果てるのであった。


●終幕
 用心棒崩れの剣客は正に強敵であった。
 数多の手練れの猟兵達を相手に一歩も引かず、重傷を負いながらも猟兵達を追い詰めていったのだから。
 だが、それでも、猟兵達は見事な積み重ねを以て、罪を重ね続けた剣客を討ったのだ。

 そうして悪の用心棒を打ち破り最後に悪の商人と代官を裁く、お約束の物語を覆し続けた剣豪は果てた。
 彼の望みであった殺しの紋の最後の点は、彼自身の血で刻まれることとなる。
 これは、お約束を覆し続けた彼への因果応報というものだっただろう。
 そして予定調和のように、ご禁制の品々に関わる商人と代官の野望も脆くも崩れ去ることとなった。
 その影で暗躍していた徳川葵の猟兵達の、誰一人が欠けたとしても、この結果は齎されなかっただろう。

 尚、剛毅については人死にが出なかったことと口添えもあり、情状酌量が認められ奉行所で少々厳しいお叱りを受けるだけで済んだそうな。
 そして良くも悪くも、町の商店の大手である頼杯屋と代官の失脚で、平和を取り戻した町もまた混乱を迎えるかもしれない。
 だが、正義の心を兄から受け継いだ彼ならば、きっと猟兵達が守ったこの町を、混乱から守ってくれるだろう。
 夜が晴れ、立ち上る朝日の美しさを眺めながら、侍帝国世界を後に猟兵達は帰っていくのであった。

 はてさて、一つの掟破りから混迷を極めたこの事件。
 猟兵達の快刀乱麻を断つが如き活躍を以て一件落着。
 物語を在るべき姿に導き、また一つ、侍帝国世界に平和をもたらした猟兵達を称えようじゃあ、ありませんか。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月12日


挿絵イラスト