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バトルオブフラワーズ⑦〜響け!心の賛頌歌

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

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「ご機嫌よう、皆さん。グリモア猟兵のマーラー・ジュウナナサイですわ」
 ざっくりと露出のある、白いドレスに身を包んだろうたけたエルフが、微笑んでお辞儀をした。
「さっそく今回の依頼についてお伝えいたします。皆さん、キマイラフューチャーが割れたのはご存知ですわね」
 そこに至るまでの経緯はこうだ。キマイラフューチャーの中枢であるシステム・フラワーズから、救援要請が飛んできた。猟兵達がシステムのメンテナンスルートを開けたところ、キマイラフューチャーが割れて、メンテナンスルート(物理)が現れた、と。
「メンテナンスルートに入るためには、周辺の戦場を突破しなければなりません。このたび、そのうちのひとつの戦場を皆さんで制圧していただきます。ただし、この戦場一帯は、『パッショネイトソング』という特殊戦闘ルールに支配されていますの」
 マーラーは『パッショネイトソング』についての説明を続ける。このルール下においては、『自分自身を奮い立たせる歌』を歌い続ける必要があるとのことだ。歌を歌わずに行った攻撃は、効果を発揮しない。だが逆に、強い思いを歌に乗せる事ができれば、攻撃はより強化されるというのだ。
「今回の敵は、マルチプル・アースムーバーという機械のオブリビオンですわ。高い硬度を誇るオブリビオンで、攻撃が通りにくい厄介な相手ですの。ですけれど!」
 ずい、とマーラーが身を乗り出した。
「こと今回の戦場では勝ち目がありますわ。皆さんが、皆さん自身の強い思いを歌に込めていただくことで、装甲を破るだけの攻撃を繰り出すことができるでしょう。皆さんの思いの強さこそが、今回の武器なのですわ」
 マーラーはにこりと微笑むと、姿勢を正して続ける。
「まとめましょう。今回の敵は硬く、攻撃が通りにくい敵です。しかし、強い思いを乗せた歌を歌いながら攻撃することで、ダメージを与えることができますわ。ただし、敵も攻撃してきますから、そちらにも十分注意なさってくださいまし。ただの機械には決して歌えない『心の歌』こそが今回の鍵。皆さんの無事のお帰りを、心から、お待ちしておりますわ」
 猟兵達に向けて、マーラーは深々と頭を下げるのだった。


あんじゅ
 マスターのあんじゅです! マーラーさんジュウナナサイと行く、四つ目の事件のご案内です。
 今回は、⑦ザ・サウンドステージの戦争シナリオです。戦場では『パッショネイトソング』という特殊戦闘ルールが適用されます。『自分自身を奮い立たせる歌』を歌い続けていなければ、攻撃は効果を発揮しません。逆に、歌に乗せる思いが強いほど、より強力な攻撃を行うことができます。
 歌を歌う際、歌詞をつづっていただいても、こんな思いを込めてこんな歌を歌うと表現していただいてもOKです。ただし! 実際にある歌の歌詞は採用できませんので、くれぐれも使わないようになさってください。
 また、歌ったら倒せるという敵ではありませんので、歌だけではなく、攻撃も忘れずに行ってくださいね。
 それでは、皆様どうぞご一緒に、この事件を解決に導きましょう!
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第1章 ボス戦 『マルチプル・アースムーバー』

POW   :    タイヘン キケンデスノデ チカヅカナイデクダサイ
【放り投げた瓦礫や、ドリルの一撃など】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を塗りつぶし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    シャリョウガ トオリマス ゴチュウイクダサイ
【ブルドーザー形態による猛烈突進攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    ゴメイワクヲ オカケシテオリマス
【排気マフラー】から【環境に厳しい有害物質たっぷりの黒煙】を放ち、【強烈な粘膜刺激と視界の悪化】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:おおゆき

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠グァンデ・アォです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

水鏡・陽芽
くわしいことはよくわからないけど、システム・フラワーズに何かあったらこの世界に住む人達が大変なことになっちゃうのね?がんばるよ!

あたしはみんなが笑顔で楽しくいられるのが、何よりも大切なことだって思うの。それを壊そうとするならどんな相手だってやっつけるよ!って思いを乗せて明るくて元気になれる歌を歌う。少しくらい音程が外れても気にしない

基本的にダッシュと逃げ足、フェイントを使ってヒットアンドアウェイで攻撃していく。【玻璃花弁の舞】はここぞというところで使うよ
それと常に笑顔で歌いながら戦うよ。だって誰かに笑ってもらいたいなら、あたしも笑っていないとね

他の人との絡み・アドリブ歓迎


シホ・エーデルワイス
アドリブ&味方と連携歓迎


楽器を奏でるのも歌うのも得意で
戦闘では普段味方を支援していますが
自分を奮い立たせる歌は初めてです

上手く歌えるかしら?


<楽器演奏、第六感、聞き耳>で【弾葬】を奏でながら
賛美歌を<歌唱し鼓舞>


歌詞の材料(編集お願いします)

生贄にされかけていた人達
隷属から抜け出せない少女達
テレビウムロックで<救助活動>したルッツさん

どんなに過酷で絶望的な状況でも
<勇気と覚悟>を決めてこの身を捧げて立ち向かい
助け出してきました

例えこの身が咎人であろうと
私が助けてはいけない理由にならないと信じて
日々<祈りと優しさ>を忘れず
主に感謝します

あなたの魂に救いあれ


戦後
視聴者へカーテシーで一礼<礼儀作法>



 猟兵達が送り込まれた戦場。
 倒すべき敵であるマルチプル・アースムーバーは、何かの社歌のような歌をずっと歌っているようだ。抑揚もなく、同じ歌詞を、ただ繰り返し繰り返し。
 まるで念仏のような歌が響く戦場に、二人の人影が現れた。
 ヤドリガミの水鏡・陽芽は、太陽の飾りがついたインカムマイク「光華」の角度を少し直すと、三日月のような先端を持つ金属糸「銀鉤」を構える。
「くわしいことはよくわからないけど、システム・フラワーズに何かあったらこの世界に住む人達が大変なことになっちゃうのね?がんばるよ!」
 一方のオラトリオのシホ・エーデルワイスは、少し不安そうな顔をしていた。楽器を奏でることも歌うことも得意なシホは、普段の戦闘では味方を支援して歌うこともあったが、自分を奮い立たせる歌は歌ったことがなかった。静かに、シホは不安を口にする。
「上手く歌えるかしら……?」
 すると、飛び込んできたのは輝くような陽芽の笑顔。
「じゃあ一緒に歌おうよ!あっ、ごめんね、あたしは水鏡・陽芽」
 おかっぱ髪が愛らしい、小さな少女は、驚いた様子のシホへ楽しそうに続ける。
「少しくらい音程が外れても気にしない気にしない。二人で歌ったらきっと、不安になっても助け合えると思うの。敵は強いみたいだけど、仲間と一緒なら大丈夫だよ!」
「……ありがとうございます、陽芽さん。シホ・エーデルワイスと申します。仲間と一緒なら大丈夫……ですね。私も、陽芽さんを支えられるように頑張ります」
 陽芽の笑顔に釣られ、顔をほころばせるシホ。それを見て、陽芽はまた、心底嬉しそうに微笑むのだった。
「やっと笑ってくれた!笑顔が一番!それじゃあ行こう、シホさん!」
 無邪気に笑う陽芽に、シホも微笑んで応えた。
「はい、陽芽さん」
 シホも、愛用の二丁拳銃、白い【聖銃】ピアと黒い【聖銃】トリップを構える。
 二人の視線が同時にアースムーバーに向いた。
 戦闘の開始を告げたのは、人を思うシホの歌声だ。それを合図に、陽芽がダッシュで駆け出した。
「♪生贄にされかけていた人達、隷属から抜け出せない少女達、テレビウムロックに遭ったルッツさん」
 陽芽も続けて歌いながら、アースムーバーにまず牽制の一撃をかけた。陽芽の顔は、楽しそうに笑っていた。
「♪皆の笑顔が奪われていく世界で」
 ガッ。金属と金属のぶつかる音が響いたが、傷つけたのはほんのわずか。アースムーバーが陽芽を邪魔者と認識し、排除しようと腕を振るう。だが、シホの銃弾がリズムを刻んでアースムーバーの腕をわずかに押し返し、即座に逃げに転じていた陽芽はギリギリ攻撃を避けた。アースムーバーから距離を取りながら、陽芽は思う。やはり硬い。予知のとおりの強敵だ。
「♪どんなに絶望的でも」
 ヒットアンドアウェイを狙う陽芽のために、シホはまるで楽器が歌うように【【弾葬】聖銃二丁で奏でる葬送曲(ダンソウ・セイジュウニチョウデカナデルレクイエム)】で、援護を続ける。
「♪どんな敵が相手でも」
 陽芽は強敵の横に回るように走り込んだ。
「♪勇気と覚悟」
「♪笑顔忘れず」
 シホが歌えば、陽芽も鏡に映すように同じメロディーを歌う。シホの銃弾がアースムーバーを、先ほどより強く弾いた。二人の歌と【弾葬】が効果を表し始めたのだ。陽芽はその隙を逃さず、横から銀鉤を振るい、一筋の斬撃が刻まれた。すぐさま陽芽は離れ、敵の後ろへと回る。
「♪この身捧げて」
「♪全力尽くして」
 二人に前後で挟まれたアースムーバー。陽芽が駆け込み、シホの聖銃が弾を奏でる。アースムーバーは巨体を回転させて銃弾を弾き、すぐさま後方の陽芽に腕を振るったが、アースムーバーの攻撃は空を切った。陽芽のかけたフェイントに引っかかったのだ。シホ、陽芽、二人の目が合う。
「「♪必ず助けるから!」」
 二人の歌はハーモニーとなり、アースムーバーの前後から同時に攻撃が繰り出される。聖銃の音が響けば、アースムーバーの硬い機体に弾がめり込んでヒビが入り、背中には銀鉤によってくっきりと斬撃が刻まれた。人々を助けたいと思う二人の思いがシンクロし、攻撃力を大きく高めたのだ。
 シホはさらに歌に思いを乗せる。
「♪この身が咎人であろうと、手を差し伸べてはいけない理由にならないと信じて」
 歌の内容に、陽芽は思わず素で反応してしまった。
「大丈夫、信じよう!だって――」
 シホの歌に気を取られた陽芽が、突然黒に覆われる。有害物質たっぷりのアースムーバーの排ガスに、思わず陽芽は動けなくなった。だが、陽芽を押し倒して排ガスの範囲から逃れさせた人影があった。シホだ。オラトリオの翼で、自分も巻き込まれる危険など物ともせずに、一直線に飛んで助けに来たのだ。
「シホさん!ありがとう!とと…… ♪信じよう、自分が誰だろうと、助けたい気持ちは本物だから!」
 笑顔でお礼を言う陽芽に、そしてシホを励ます歌に、シホも思わず微笑んだ。陽芽ももっと笑顔になる。笑い合った二人は、すぐに立ち上がって態勢を立て直しにかかる。
 アースムーバーも一層、威嚇するような駆動音を上げて二人のほうへと歩みを進めた。
「♪皆が笑っていられるように」
 陽芽は歌いながら走り込む。この歌詞こそ、陽芽が笑いながら戦っている理由だった。誰かに笑ってもらいたいと思うのなら、まず自分が笑っていなければ。
「♪祈り、優しさを忘れずに」
 シホが、思いを一段上の祈りへと昇華させて歌い、アースムーバーの両腕を強力に弾いた。先のシホの銃弾でヒビが入っているアースムーバーの胴体が、今、がら空きになる。シホの祈りが作り出した最高の好機を、逃すような陽芽ではなかった。
「♪笑顔壊す敵、やっつけるよ!」
 光華に乗った陽芽の歌が高らかに響けば、銀鉤が透明なガラスの無数の花びらへと変化し、シホの入れたヒビに向かって鋭利な花びらが殺到する。陽芽のユーベルコード、【玻璃花弁の舞(ダンス・ウィズ・グラスフラワー)】だ。
 無数の花びらに、胸部を大きく削られていくアースムーバー。
「♪主に感謝を……あなたの魂に、救いあれ」
 まるで弔銃のように、聖銃の音が響いて歌の最後を飾る。銃弾は真っ直ぐアースムーバーの頭部に食い込んだ。シホが上品に、カーテシーで一礼をすると、アースムーバーの巨体がゆっくり、ゆっくりと傾き、大きな音を立てて地に倒れ込む。
「……やった?やったあ!」
「はい。やりましたね、陽芽さん」
 笑顔で喜び合う陽芽とシホ。
 だが、喜びもつかの間。ギギギギ、と嫌な軋みが聞こえた。どす、どす、重低音を上げ、胸部をえぐられてなお痛みを感じない機械――アースムーバーは、再び立ち上がったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ノトス・オルガノン
◆WIZ
※アドリブ、絡み歓迎です

まさか歌声が力になる日がくるとは思わなかった
それならば、私でも力になることができるだろう

私も元はお前と同じただの物だった
だが、百年以上の年月を、人と共に過ごしてきた
この重み、お前は受け止めきれるかな?

讚美歌に乗せるは、今は亡き友に向けての想い
世界を想い、他人を想い、手を差し伸ばし続けた友に代わって、私が救えるものならば、救いたい
例え傲慢だと言われようと、な

歌を絶さないよう気を付けつつ、ユーベルコード【White Lily】を展開
煙も悪臭も、花と共に散ってしまえ
技能【オーラ防御】も使用
必要があれば他の参戦者の補佐を


マリアドール・シュシュ
アドリブ連携歓迎
架空言語の歌詞お任せ

マリアの唄が糧となるならば
謳うわ
マリア自身を奮い起こす力強い創造の言ノ葉(こえ)で
希望(ひかり)は決して消えはしないのよ
愛華の雨よ降り注げ
響き渡れよ心の歌
マリアに応えて、力を頂戴

士気を鼓舞する交響曲
鈴の鳴る声で高らかに唄う
華水晶は一層煌く

己が意思を示し存在を示し強さを示す(微笑
甘蜜色の眸で敵見据え花弁の様にドレスが揺れる(パフォーマンス・歌唱
詩に併せ小さな星達が寄り添い銀河を描く曲を竪琴で奏でる(マヒ攻撃・楽器演奏

敵の攻撃はケープでカウンター
最後に【茉莉花の雨】使用
竪琴を花弁へ
咲き馨る旋律で洗い流す
楽しい世界を謳う

猟兵(ひかり)は決して折れたりはしないのよ



 甘蜜色の瞳のクリスタリアンと、光背のようなオルガンパイプ「Panagia」を背に負ったヤドリガミが、並んで敵を見据えた。マリアドール・シュシュと、ノトス・オルガノンだ。
「まさか歌声が力になる日がくるとは思わなかった。それならば、私でも力になることができるだろう」
「マリアもなのよ。この言ノ葉と聲がお役に立つのなら、謳うわ」
 アースムーバーはまだ、二人を敵とは認識していないようだ。マリアドールが竪琴をぽろろんと試し弾きする横で、ノトスはどこかよそを向いたままのアースムーバーに語りかける。
「私も元はお前と同じただの物だった。だが、百年以上の年月を、人と共に過ごしてきた。この重み、お前は受け止めきれるかな?」
 次の瞬間、荘厳な、重いロングトーンが戦場に響く。Panagiaで拡声されたノトスの声は、さながら罰する雷鳴のごとき重低音。
 そこへ、マリアドールが鈴の鳴る声で高らかに歌を乗せた。この世の言葉ではない、彼女だけの言ノ葉を。
「♪Ecna Idara Uoye Vigs Drowym Fi, Lliwi!(エクナ イダーラ ウォーイェ ヴィグス ドロウィン フィー、リーウィ!/マリアの唄が糧となるならば、謳うわ)」
 彼女の詩に併せ、小さな星達が寄り添い銀河を描く曲を、マリアドールは竪琴で奏でる。
「♪Emer Ips Niots Drown Ipsi(エマー イプス ニオッツ ドロウン イプシィ/マリア自身を奮い起こす言ノ葉(こえ)で)」
 華水晶のクリスタリアンは、つややかな歌を響かせ一層煌く。マヒの力のこもった歌が、アースムーバーを絡めとる。だが、センサーをぐるりと回転させるアースムーバーを見るに、完全にマヒさせることはできていないようだ。そもそも、攻撃の通りにくい敵なのだから。
 ふと通奏低音が消え、代わりに、幾重にも重なる声がハーモニーをなす。ノトスの声はまるで激しい雨のよう、あるいは、それは青年の慟哭にも似ていた。
 ノトスが讃美歌の節に乗せて歌い上げるのは、今は亡き友に向けての想い。
「♪Your soul covered the world, your heart wrapped people, your hands kept helping them」
 情熱的に士気を鼓舞する竪琴に、マリアドールとノトス、二人の歌声が重なる。
 アースムーバーはマヒを与えてくる彼らを特定し、邪魔者と認識したようだ。マヒが少なからず効いているのか、ガクンガクンと不自然な動きで近づいてくる。
 アースムーバーが勢いよく腕を振り上げれば、えぐられた胸に火花が散った。
 一方、二人の声はより思いを重ね、厚みを増していく。
「♪Sra Eppas Idre Venec Naid Ara(スラ エッパス イドゥーレ ヴェネック ナイド アーラ/希望(ひかり)は決して消えはしないのよ)」
「♪On your behalf...I want to save ALL, I want to save ALL if I can」
 一体となった歌によって、マリアドールのマヒ攻撃がさらに強まる。動きを抑えられたアースムーバーの腕が、重く地面に刺さって瓦礫を飛ばす。マリアドールもノトスも、本来のそれよりも遅くなった攻撃を間一髪で避けた。
 だがすぐに、アースムーバーは足を振り上げ、踏み付け攻撃を繰り出す。
「♪Even if they say I'm arrogant!」
 覚悟を歌いつづったノトスが、重い巨体をオーラ防御で受け止めた。
「♪Niar Titel, Revod Nuoser!(ニア ティテール、リヴォッド ヌオセール/雨よ降れ、響き渡れよ)」
 同じく思いを歌いつづったマリアドールが、ケープでアースムーバーの胸部を叩き返す。思いを込めた歌で、各段に力が上がっているのだ。すでにダメージを負っていたアースムーバーの胸部で、小爆発が起こる。
 機体がぐらりと傾いた。二人は息を合わせ、曲の大盛り上がりを重ねて歌い叫ぶ。
「♪Uoye Vigi 【茉莉花の雨(ヤースミーン)】!(ウォーイェ ヴィギィ ヤースミーン!/神からの贈り物を、あなたに!)」
「No.496...... ♪うるわしき、白の花。咲き誇れ【White Lily(ホワイトリリィ)】!」
 マリアドールの竪琴が、ジャスミンの形をした無数の水晶の花弁へと形を変える。
 ノトスの百合を模したロッド「Lily」が、無数の白百合の花弁へと形を変える。
 傾いて身動きの取れないアースムーバーは、排気マフラーから二人に黒煙を噴きかけた。
 だが、咲き馨る花と旋律が、黒煙も悪臭も一気に押し返した。水晶の花弁と白百合の花弁が、二人の思いを乗せて光を放つ。光が、アースムーバーにぶつかるたびにその機体を消し飛ばし、そして――ついに、そこには何も残らなかった。
 微笑むマリアドールのドレスが、花弁の様に揺れる。
「猟兵(ひかり)は決して折れたりはしないのよ」
 己が意思を示した二人は、見事強敵に打ち勝った。
「キミのためだけのウタを……私はうまく、唄えただろうか」
 ノクスは勝利の中にも亡き友を悼み、そっと青の瞳を閉じるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月06日
宿敵 『マルチプル・アースムーバー』 を撃破!


挿絵イラスト