バトルオブフラワーズ⑧〜黒筆赤フン大乱舞
●危険褌区域
「さぁ同士達よ! 赤褌の魅力を広めるために、まずはこの場をすべて黒く塗りつぶすのだ!!」
キマイラフューチャーの中枢たる『システム・フラワーズ』。それを守る六つの区域『ザ・ステージ』が一つ、『ペイントステージ』にてその襲撃は繰り広げられていた。
赤い天狗の面を被り、真紅の褌を締めた筋骨隆々の漢たちが、自らのふてぶてしい墨筆を用いて繁華街を黒く塗りつぶしている。
煌びやかな光を放っていたその街はみるみるうちに黒に染まっていき、無明の闇に変わろうとしていた。
「すべては『システム・フラワーズ』を掌握し、あらゆる下着をすべて赤褌に変えるために! 塗れ! 塗れ! 塗りつぶせーッ!!」
「「「ウォーーッ!! 」」」
響き渡るのは汗を迸らせる漢たちの雄たけび。
風もないのにばさばさと旗のようにはためくのは眩しい赤褌。
――彼らの名前は『ふんどし過激派怪人』。この世界を闇と赤褌に落とすもの。
●
「あらあら、綺麗に真っ二つだねぇ。ハハァ、なかなかの壮観だ」
グリモアを通して屏風絵のように映し出されたキマイラフューチャーの現状に、白門・秋弦(f17908)は掌の賽子を転がし、ニコニコと笑いながら呟いた。
やがて猟兵達に向き直ると、ゆるりとした調子のまま言葉を続ける。
「さて。戦争だよ、おのれら。テレビウムの事件によって開かれた『システム・フラワーズ』のメンテナンスルート、その途中でオブリビオンが暴れてる」
ころりと賽子が回れば、映し出された光景が一変した。
天狗の面を被り目映い紅の褌をなびかせる屈強な漢たちが、色とりどりの繁華街を黒く染め上げている。闇のように深いその色彩はすべてを飲み込み、世界の未来を暗示するように侵食していく。
「場所は『システム・フラワーズ』を守る『ザ・ステージ』と呼ばれる六つの機構のうちの一つ、『ペイントステージ』。あれらの名前は『ふんどし過激派怪人』。目的は『この場所を黒く塗りつぶすこと』。そして、その目的が達成されたら吾らの負け。その時点で吾ら猟兵は不思議な力で吹き飛ばされてしまう」
微笑みは絶えない。秋弦はまるでこの状況を愉しんでいるかのように言葉を紡ぐ。
「メンテナンスルートを閉じたいんだろうねぇ、きっと。だけどそれをされてしまったら吾らはとても困ってしまう」
それは彼らの首魁たる『ドン・フリーダム』へたどり着くための道が失われるということと同義。もしもそうなってしまえば、このキマイラフューチャーという世界は正真正銘の終焉を迎える。
「依頼の内容は極めて単純だ。――『ふんどし過激派怪人の撃破』、これに尽きる」
幸いにも場所は判明している。怪人達の黒塗りが達成される前に、舞台が黒に侵されてしまう前に、怪人達を殲滅すれば猟兵達の勝利だ。
「或いは、戦いの最中に怪人らが勝利を諦めて塗ることに専念する場合もあるだろう。そうなったときの対策を考えておいてもいいかもしれない」
彼らの目的は『舞台を黒く塗りつぶすこと』だ。そのためだったらどのような手段を取ったとしてもおかしくはない。
「ちなみに吾は褌派かどうかといわれると――」
秋弦がそう言いかけたところで、猟兵達の目前が白く染め上げられた。
ヒガキ ミョウリ
こにゃにゃちは~~~ヒガキミョウリです。戦争シナリオです。
今回は褌シナリオです。いいですよね、褌。でも過激派はいけないとおもいます。
そんなわけで褌過激派に鉄槌を下してください。
そして以下は今回のシナリオにおける特殊ルールになります。
よくご確認してからプレイングをお送りくださいませ。
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●クロヌリスレイヤー
このシナリオフレームでは、『クロヌリスレイヤー』という特殊戦闘ルールが適用されます。
キマイラフューチャーの街並みを模して作られた戦場で、多数の集団敵が、街中を『闇のような黒色』に塗りつぶしています。街並みが全て塗りつぶされると『敗北』なので、その前に集団敵を撃破しなければなりません。
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以上になります。皆さんのプレイングお待ちしております。
『筆』に変な意味はないです。
第1章 集団戦
『ふんどし過激派怪人』
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POW : 至高の履物とは
【ふんどし】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : 赤褌とは強さの象徴なり
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【赤褌】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ : ふんどしの魅力を知れ!
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【同志】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
イラスト:くずもちルー
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
久留米・圓太郎
【WIZ】【インクは緑】
…俺の郷里ながら、本当に「世界の危機」なのか?この事態を楽しんでるとしか思えん。
先ずは自分を有利にするための、知識だ!
世界知識、情報収集、学習力、鍵開け、地形の利用使って、より有利にペイントできる場所や手段を見いだそう
【サモニング・ガイスト】発動!
※君達古代戦士は、手分けして黒い陣地を塗りつぶし濡れるだけ塗りまくってくれ
※敵発見と共に、攻撃!炎は延焼が怖いから、基本は槍で
※投擲、誘導弾、範囲攻撃、一斉発射、カウンターを載せて戦おう
※俺の得物は「魔法使いの箒」
塗りむら出るけど、筆代用にはなるだろう
(師匠が怖いけど>使い方が荒いぞ!と)
※アドリブ・連携歓迎です
荒月・紫音
要は街中を塗りつぶしつつ、
相手の塗り潰しを妨害しろって事だよな?
「風乗」であちこち滑って移動しながら、
色塗りしていくぜ。
相手からの攻撃は、ダッシュで避けつつ、
側転からの蹴り飛ばしや回転蹴り、
スライディングからの足払いで反撃。
ユーベルコード【狂咲紅椿】を使って、
攻撃しながら塗り潰し返してやるぜ。
アドリブ・絡みは歓迎だぜ!
●Goodbye AKAHUN Monster.
真緋と翠緑の色彩が爆ぜる。
塗料の染みた箒が振り上げられ、焔を纏った紅椿が吹き荒れる。眩い色彩は塗り込められた黒を上書きし、怪人たちの色を覆っていく。
それが猟兵達による反撃だということに怪人たちが気づくまで、そう時間はかからなかった。即座に敵意を燃やす彼らの瞳に、二つの人影が写り込む。
「まったく……俺の郷里ながら、本当に『世界の危機』なのか?」
一つは三毛猫の耳と尻尾を生やして、鳩のような大翼を広げた少年――久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)。
なんとも危機感の薄い現状だ。怪人たちといいなんといい、圓太郎には楽しんでいるようにしか思えなかった。
手にした魔法使いの箒に染み込ませた翠緑の塗料と脳に詰め込んだ知識は充分。褌怪人達の手の届きにくい上空から圓太郎は塗替えを実行する。
「ま! キマフュってこんなもんだろ? だったらいっちょ、面白おかしくぶっ倒そうぜ?」
もう一つは、圧縮した大気を足場にしてあちらこちらと跳躍を繰り返す赤髪の青年―――荒月・紫音(光現の奏舞手・f06279)だ。
「要は街中を塗り潰しつつ、相手の塗り潰しを妨害しろって事だよな?」
手にしたOrange-Gitarreが再び燃え盛る椿へと姿を変える。
どうやら隣にいる少年はこの場での戦い方を心得ているらしい。ならば、乗っかってしまったほうが“楽しそう”だ。
「それじゃあ始めようぜ! Danse Macabreをな!」
賑やかなる死の舞踏の幕が、今此処に上げられた。
●
「ほう……あくまで我々の邪魔をするか」
「なれば貴様達も赤褌に引き込んでくれるッッ!!」
「行くぞ同志達よ! ヌォォォッ!!」
雄々しい叫び声を上げながら、自らの自慢の拳を振りあげて圓太郎と紫音へと跳躍する怪人たち。彼らの赤褌に対する想いが成せる業なのか、その拳には轟々と燃え上がる赤褌のごとき炎が灯っていた。
「はは! 熱意ってやつもすげーな!」
「延焼が怖いからあんまりしないでほしいけどな……!」
楽しげに笑う紫音に対して、圓太郎は懐から取り出した小ぶりなウィザードロッドを用いて空中に文様を描いていく。
即座に組み上げられたそれは魔法陣となり、それが眩い翡翠の光を放てば、古めかしくも豪奢な鎧に身を包み、巨大な槍を携えた戦士の霊体が出現した。
霊体が二人に向かってくる怪人たちに向かって手にした槍をブゥン!! と振るえば、巻き起こった風圧によって怪人たちの動きが鈍る。
「グゥッ! ウォォォォッ?!」
ばさばさと褌がはためき、拳に灯った炎の勢いがわずかに弱まったその時こそ、二人の猟兵にとっての好機。
「サンキュー圓太郎! いくぜっ!」
「了解だ! 吹き飛ばすぞぉっ!」
焔が貫き、箒が走る。
紅椿の赤と翡翠の緑が怪人たちの肉体を染め上げると同時、彼らの肉体はそのまま硬質の地面へと叩きつけられた。
「グッ……! ゥゥ、無念……っ!」
全身を駆け抜ける衝撃にばたりと倒れる怪人たち。
「よっし! やったな!」
「あぁ! この調子でガンガン行こう!」
それを見てお互いに拳をぱしんと合わせる圓太郎と紫音。彼らは再び、この黒く染まりつつある街を取り戻すべく、空中を駆け抜けていくのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
御形・菘
実にインパクトあるビジュアル、素晴らしいぞ!
しかーし! 妾の統べるこのキマフュで活動するなら、上下関係はきっちり示しておかんとな
なお妾は物理的に下着が穿けんから無関係すぎて、主義主張は何とも思わんとしか言えん!
行動の邪魔は、妾の最も得意とするところであるぞ?
右手を高く上げ、指を鳴らし、さあ高らかに鳴り響けファンファーレ!
寄ってきた者からまとめて邪神オーラの餌食にしてやろう!
ダメージは我慢よ! ルールなど知ったことか!
燃えながらも塗りつぶしに徹するなら、無防備な所を左腕でボコる!
それにこの技、使い手自身には無効……ではない!
もしもの時は我が身を燃やし、攻撃力をブチ上げて尻尾で薙ぎ払ってやるわ!
●見よ、この人を(エッケ・ホモ)
「実にインパクトあるビジュアル、素晴らしいぞ!」
突如ふんどし過激派怪人たちの頭上から高らかな声が響き渡り、彼らは上を見上げた。
そこには蛇の如き下半身に蝙蝠の翼、二対の禍々しい角を生やしたモノ――御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)がビルの頂上から怪人たちを見下ろしていた。
「しかーし! 妾の統べるこのキマフュで活動するなら、上下関係はきっちり示しておかんとな!」
両腕を組み、支配者としての威厳を放つドヤ顔で怪人たちに告げる。
「フン! 下らんな。赤褌の前ではすべてが平等よ!」
「ハハハ! その意気やよし! しかし妾は物理的に下着が穿けんから無関係すぎて、お主らの主義主張は何とも思わんとしか言えん!」
小気味良い高笑いをあげ、怪人たちの主張を両断する菘。
しかし、彼らも赤褌を愛し、赤褌に身を捧げ、そして赤褌の魅力を広めるために全力を尽くす者たち。『何とも思わない』。そう言われたところで、彼らの繊維、もとい戦意が失われるはずもなく。
「そうか……良かろう! ならば貴様に相応しい赤褌を我らが見繕ってやる! 至高の履物とはッッ!!! 即ちッッ!!!」
「「「「「赤褌であるッッ!!!!」」」」」
怪人たちの雄々しい斉唱の後、菘に向けて放たれるのは数多の赤褌。大小様々の赤褌がまるで雨あられのように襲い掛かる!
それは命中したものにルールを守らせる成約の赤褌。もしも当たれば一体どのような規則を宣言されるかわかったものではない。
しかし。
「フッ――」
菘は笑っていた。
彼女は投げつけられた赤褌が自らに到達する刹那に右手を高くあげて。
「妾を……誰だと思っておるのだ?」
ぱちんと、指を鳴らせば。
「真の蛇神にして邪神!! 御形・菘であるぞッッ!!」
刹那、空間を揺らすのは万雷のファンファーレ。御数多幾多の楽器による、御形・菘という神一人を讃える賛美の音響。
それは自らに向けられた赤褌、更には赤褌を放った怪人たちの肉体に音波として『命中』し、轟!! と情動の炎を灯す。
「なっ……!! んだと……!!」
「クゥッ!! 馬鹿な! あやつから目が放せんっ!」
「いや、放せないのではない――『放したくない』のだッ!!」
「はーっはっはっは! 人気者はつらいのう! しかし妾は全員に誠実に対処するぞ! そら、かかってこんのか? 妾に下着を見繕ってくれるのだろう?」
「クッ……ウォォォォッ!!!」
鳴り止まぬファンファーレ。その音波は触れたものを燃やしつくす神威。そして、それの発生源である菘に近づくということは即ち――。
「なっ?! 体が、グワァァァッ!!」
太陽に近づくということと同義。ふんどし過激派怪人たちの肉体は激しい業火に苛まれ、そうしてビルの下へと落ちていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
高柳・源三郎
「赤褌は良いのう、じゃが」源三郎は【銘酒・狸酔】を飲み言った。「褌の魅力を伝えるのは良いが力尽くはいかん」【裸喧嘩祭】を使い赤褌酔いどれ親父達を呼び自身も服を脱ぎ赤褌一丁になる。「この姿だとふんどし過激派怪人はわしらを仲間だと思うじゃろう。隙を見て倒すんじゃ。では行ってこい!!」散開する源三郎率いる酔いどれ赤褌軍団。ふんどし怪人の捜索中にこの作戦に致命的な欠陥がある事に源三郎は気付いた。「もしかすると他の猟兵にふんどし怪人と間違われるんじゃないか?」酔っている上に焦って考えが纏まらない源三郎の出した答えは(他の猟兵に自分たちが)ヤラレる前に(ふんどし怪人を)ヤレだった。
銀山・昭平
◆心情
おらも褌派だが一言言わせてもらうべ。
……褌は「履く」ものじゃねぇ、「締める」もんだべ!!
◆行動
【即席絡繰強化術】でガジェットを改造、塗装用のでっけぇローラーにして敵どもの黒い陣地を上書きしていくべ!
白いインク……もとい白いペンキで怪人どもの赤い褌ごと白く染めてやるべ!
【マヒ攻撃】の乗った痺れ液ペンキと【気絶攻撃】の乗ったローラーの打撃の相乗効果で敵の動きも少しでも弱めるようにうごくべ!
大量に相手をする時は敵を正面にまとめてペンキをぶっかけてやるべ!或いは逃げる相手もローラーをぶんまわしてペンキを飛ばしてやるべな!!!
●紅白漢達、戦場を駆ける
「赤褌は良いのう、じゃが」
列を成して己に向かってくるふんどし過激派怪人たちを視界に捉えながらも、高柳・源三郎(流浪の酔いどれおやじ、たぬき人形と共に・f15710)は愛飲している『銘酒・狸酔』を飲み下しながら呟く。
「褌の魅力を伝えるために力尽くはいかん」
酒気に赤く放蕩した顔で、彼はばさりと着ている衣服を脱ぎ捨てる。
現れるのはふんどし過激派怪人たちと同じように赤褌一丁になった源三郎。大酒飲みらしく狸のように膨れた腹と旅芸人をしているうちに鍛えられた肉体に、眩い炎のような赤褌が目を引く。
気付けば、源三郎の周りにも彼と同じような赤褌一丁の親父達が召喚されていた。彼らの褌には漢数字で『一』と書かれており、いずれも酒気で顔を赤くして楽しげな表情を浮かべている。
――そんな親父達が都合三十四人。源三郎も合わせると三十五人。
赤褌一丁の漢たちが、ふんどし過激派怪人たちと相対した。
「さぁ、隙を見て倒すんじゃ。では行ってこい!!」
その言葉と共に、ふんどし過激派怪人たちに向けて走っていく親父達と源三郎。
この姿であれば、おそらくふんどし過激派怪人たちは自分たちを仲間だと見誤るだろう。その隙に親父達、ないしは自分が倒してしまえば問題ない。それに、ここには頼れるもうひとりの仲間がいる。
源三郎は心中で、『彼』に向けて声をかけた。
(「昭平殿、よろしくお願いしますぞぉ!」)
その心の声に応じるように、背後の暗闇から一人の小柄な漢が飛び上がった。
「――おらも褌派だが一言言わせてもらうべ。……褌は『履く』ものじゃねぇ、『締める』もんだべ!!」
喝!! と己の褌に向ける熱情を迸らせるのは銀山・昭平(田舎っぺからくり親父・f01103)だ。
巨大な塗装用ローラーを担ぎ、純白のペンキがたっぷりとはいったタンクを背負い、昭平は己の『褌』に賭ける情熱の為にこの戦場へと赴いた。
「ふん! おめぇらが塗り潰した街は、おらがちゃあんと塗り替えさせてもらったべ!」
彼の背後には白く塗り替えられた繁華街の光景。そう、彼は源三郎との戦闘に合流するまでに、街の黒い塗料を上塗りしてきたのだ。
その言葉に、怪人達の声に困惑が浮かぶ。意識が昭平へと向けられる。
「ぐっ……ぬぬぬゥ! しかァし! こちらにどれほどの人数がいると思っているッ! 見るがいいこの格差を! 対して貴様は一人! たった一人で何ができる!」
「そうだそうだッ!!」
「何ができるーッ!」
ふんどし過激派怪人たちは赤褌一丁となった源三郎たちを完全に仲間だと勘違いしていた。彼らにとって赤褌を締め、己の肉体を晒すものは即ち同志。源三郎の作戦は彼らにとって非常に効果的なものだった。気絶中の対象を同志として操る能力を持つ彼らは、新たに加わった赤褌親父達に疑念を感じることもない。
故に、昭平はニッと笑う。
「『一人』じゃあねぇ。……わからねぇべか? おめぇらは、もうおらたちの掌の上だべさ!」
「何ッ?! どういうことだ!!」
同時、声をあげた怪人の背後で、別の怪人の倒れる音がする。それは一つであり一つではなく、『無数の怪人達が、同時に倒れた音』だった。
「ッ―――!!」
ぞくり、怪人の赤褌が揺れる。
「カカ! 油断したのう。わしらを仲間だと思ったんじゃろう? 残念! 命取りじゃ」
背後から聞こえるのは聞き慣れぬ老人の声、命を掠め取られるような寒気を覚え、怪人は即座に距離を取る。
「ナイスだべ! 源三郎さん!」
「ガハハ、照れるのう! さぁて、最後の仕上げじゃ。共に往こうぞ!」
「おうさ! その赤褌、白く染め上げてやるべ!」
「クッ……!! やはり、猟兵というのは侮れんな。だが、良かろう。この赤褌天狗、貴様達の『褌』への想いしかと受け取った! 正々堂々、勝負と行こうかァ!!」
「「「ウォォォォッ!!!」」」
瞬間、二人と一人のアツい『褌漢』がぶつかり合う。
赤と白、そして黒の色彩の奔流が激しい爆発となってこの繁華街を覆い尽くす。激しい力と力、褌と褌、体と体がぶつかり合い、そうして最後に立っていたのは――。
「――命までは取らねぇ。峰打ちだべ」
「ハッハッハ! どうやら、わしらの勝ちのようじゃのう!」
赤褌一丁の源三郎と、戦いの衝撃によって白褌一丁となった昭平だった。
●
斯くして『ザ・ペイントステージ』の侵攻は食い止められた。
全ての下着が赤褌となる。そんな惨事は避けられたのだった……。
大成功
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