バトルオブフラワーズ⑦〜ネガソンVSパショソン
●ザ・ステージ
私はヒロイン。
ヒロイン、だった。だったら、よかった。
彼は夢中。あの子に夢中。私の引き立て、効いてたから?
黒く、陰惨に、駆け続けた私。不幸が跳ね返って来る私。
私は、そのために設定されたから。
皆に届いて、この気持ち。
だって、私、骸の海から帰ってこれたの。
私、私の黒い想い、届いて。
陰湿、根暗、不幸。どこまでも広がって。
骸の海のより広がって。
黒く揺れる兎の耳。伏し目がちの瞳。
暗い歌詞をしとやかに歌い上げる少女にスポットライトが集まる。
●グリモアベース
「先日はテレビウム・ロックの事件を解決して頂きありがとうございます。しかし事態は……流石キマイラフューチャーと言えましょう」
布がかけられた箱が置かれているグリモアベースの中で猟兵達にアルム・サフィレットは礼をする。
「システム・フラワーズからの援助要請に是非向かって頂きたい、所のなのですが」
先程からモニターの中で歌っている女性の方にアルムは視線を向ける。
「私が予言しましたのはシステム・フラワーズの中枢に侵入するのを妨害するオブビリオンの存在でした」
映し出されているオブビリオンの名は鬱詐偽『ウサギ』さん。
陰鬱な雰囲気のステージに立ち、マイクを持ち歌い続けている。
「予知した光景を再現しました。彼女が立つのは『ザ・ステージ』。この領域を彼女より取り戻さない限りシステム・フラワーズへの侵攻は不可能です」
歌う少女。陰湿・根暗・不幸なヴァーチャルキャラという設定を与えられ、役目を終え静かに骸の海に漂っていた存在。
「ザ・ステージが彼女に与えた力、それはパッショネイトソング。心の奥底に持つ想いを歌で表現することにより強大にするものです」
自分に頂かれた好意的な感情を悪印象へと変え放つ、不幸な自分の持つオーラを広範囲に放ち無差別に攻撃する、自らの心象世界に相手を吸い込む。
「怪人鬱詐偽『ウサギ』さんはこれらの攻撃手段を持っています。しかし彼女は今パッショネイトソングの力を利用しています」
自らの与えられた設定に基づいたネガティブな感情を歌として昇華し、歌唱し続ける限りパッショネイトソングの力を与えられ、強化される。
相手とただ戦うだけでは攻撃は効かないだろう。アルムは猟兵達を見回す。
「解決方法はあります」
ていっとアルムは布をめくる。無数の種類のマイクが積まれていた。
「パッショネイトソングの効果は猟兵の皆様にも与えられます」
「彼女がネガティブな感情をパッショネイトソングで表現、力を増幅しているのなら、皆様にはプラス、情熱をこめたパッショネイトソングを歌っていただきたいのです」
いつの間にか音楽は止み、モニターには大きく『パッショネイトソング大作戦!』と文字が浮かんでいた。
「単刀直入簡潔に言います。怪人鬱詐偽『ウサギ』さんとは歌いながら戦ってください。それこそが対抗できる唯一の手段です」
アルムはタブレットを使い内容を追加していく。
「マイナスのパッションを込められた歌に勝つのはプラスのパッションの歌」
「プラスのパッショネイトソング、それは自らを勇気づけ自分自身を奮い立たせる歌」
「更に強いパッショネイトソング、自分の秘めた秘密を高らかに。愛しき人への愛を情熱的に」
歌唱し、かつ攻撃を行えば怪人への攻撃は届くとアルムは改めて説明する。
「それではマイクの準備が出来た方からザ・ステージへと皆様を転送いたします。歌って歌って戦ってください」
そう言うとアルムはマイクの種類を猟兵に説明し始めた。
硅孔雀
ここまで読んでいただきましてありがとうございます。
硅孔雀です。
キマイラフューチャーの戦争、ボス戦のみになっております。
特殊ルールがございますので改めて説明します。
●パッショネイトソング
今回の戦闘では自らを勇気づけ自分自身を奮い立たせる歌を歌わないと敵オブビリオンに攻撃が効きません。
是非歌い戦う!をしてください!
更にパッションを高める例として自分の秘密の暴露だったり、恋人へのラブソングを紹介しています。
パッションが強く込められた歌にはそれだけ強力な力が宿り、強力な攻撃が出来ます。
ソウルフルにパッショナブル歌唱、そしてバトル。頑張ってください。
第1章 ボス戦
『鬱詐偽『ウサギ』さん』
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POW : どうせ、私は嫌われ者
【自身への好意的 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【陰湿な雰囲気】から、高命中力の【自身への悪印象】を飛ばす。
SPD : 私に近寄ると不幸になる
【自身でも制御できない近寄らないでオーラ 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 世界に私の居場所は無い
小さな【自身が引き籠った鬱詐偽小屋 】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【自身の心象風景が広がる空間】で、いつでも外に出られる。
イラスト:慧那
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠幻武・極」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
リダン・ムグルエギ
アタシは衣装に対する情熱を訴えるわ
衣装は人を変えるって
アタシの目標は…彼女に服を着て幸せな歌を歌ってもらう事よ
Cry鳴り止まぬSickなラビットの
暗い吹き飛ばすFlagはOutfit
Gray塗り替えるマジックなビビッド
Try服変えるミュージックとblend
死んだら終わり?
ノン
シンデレラの始まり
灰かぶりは姫に
無茶ぶりをキミに
作るはドレス ステキな衣装
モデルはboss 敵へと委譲
使うは技能 アートと防具改造
気遣うわ彼女 ハートのロック解錠
生まれたStatus、不運ちゃんでも
帰って来た舞踏会場(ステージ)、ヒロインになるチャンス!
12時過ぎてからの遅い魔法だけど…
この服で変えたいわ
貴女の心証風景ごと
ラヴィ・ピーチローズ
うぅ…お話を聞いてしまいますとあのウサギさんが
少し可哀想に思えてしまいますね…(うさ耳がへにょりとし)
でも。頑張って歌い倒して骸の海へ返ってもらいましょうっ
■戦闘
UC【ライオンライド】でライオン(名前はポチ)に乗り
武器『薔薇桃の弓矢』を構えながら。
「…秘密、ありましたっけ、私…愛しき人も別に……あ!」
それでは、パッションを込めて…!
「行きますよ、ポチ!」
♪ポーーチ ポーーチ 私の友達 ポチ♪
光り輝く ふさふさの毛並み
撫でると嬉しそうに 私に頬をよせるの
私の傍に いつもいてくれる
あったかくて やさしい ポチ
だいすきよ☆
楽しそうに歌いながら弓矢攻撃を★
※アドリブ&絡み&ネタ大歓迎!
アリス・フェアリィハート
アドリブや他の方との絡みや連携も歓迎です
あるメイドさんへの想いを
歌にして戦います
――貴女はずっと独りで
寂しかったんですね
ある一人のメイドさんも
ずっと独りでした
それは…暗く寂しい場所
けれど
メイドさんは
救われて
光ある処に出られました
そして
――わたくしは
わたくしを救って下さいました
この方にお仕えする事に
決めましたわ――
そういって下さいました
そのメイドさんは
いつも
私の側にいてくださいます
そして
私もそのメイドさんに
護られ
救われています
私は
そのメイドさんに
心から伝えたい
『大好き』って
――きっと貴女にも
貴女を慕って
貴女に寄り添って
貴女を護る…そんな方が
貴女にも
『大好き』って
言えたひとが
いらしてたはずなんです
刑部・理寿乃
彼女の歌は後ろ向きの闇。
ならば私は前向きの闇で対抗しましょう。あなたへのアンサーソングを。
幸せな二人 当て馬な私 周りに誰もいない嫌われ者
陰湿 根暗 不幸が寄り添う私 そこに歌もあった
造られた虚像と心? 関係ない
歌声は皆に届く 想いは伝わる
今RESTART 全て終わった ならここが始まり
過去へ反旗を翻す歌で 今を救え
さあRESTART 目を覚ませ 無下に捨てられた
同志の為高らかに歌って 自分を救え
骸の海じゃなく 再び電子の海で
あの日のネガティブな自分を魂から震わせろ
それが貴方のRESTART 居場所はそこにある
壊れたまま放置されている木目の舞台、破れた床に放置されている緞帳。
どこからか光が入り、怪人鬱詐偽『ウサギ』は照らされ歌い続ける。
グリモア猟兵の転送でザ・ステージへと降り立った猟兵達はその光景を眺める。
埃がライトに照らされきらりと輝く。
「ここが、ザ・ステージ……」
アリス・フェアリィハート(猟兵の国のアリス・f01939)が呟く。少し動くだけでも自分の体、金の髪にも埃が付きそうだ。
「うぅ……なんだかとても寂しいところです。そして、とても悲しい歌声です」
白兎の耳を持つラヴィ・ピーチローズ(天を駆ける白兎・f04606)がウサギの歌を聴き取り『薔薇桃の弓矢』を握りしめる。
「パッショネイトソング、自分自身を奮い立たせる歌の力。見せてあげないとね」
刑部・理寿乃(暴竜の血脈・f05426)は桃色の髪を靡かせ、ステージを見つめた。
「パッショネイト、情熱ね。アタシの情熱は一つね。さて、見せじゃなくて聴かせてあげるわ」
眠たげな緑の双眸、リダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)はウサギを見つめ、飛び出した。
●パッショネイトブランディック
『どこまでも どこまでも 暗く深く』
ウサギから紡がれる言葉、歌を真っ先にステージへと向かったリダンは聴く。
(……暗く、深い。それに)
ウサギの纏う衣裳は薄墨色のワンピース。全てがぼんやりと霞み灰を被っているようなそれは歌と共に揺れる。
くせっ毛の青い髪をなでながら、『GOATia』のデザイナーとしてリダンの心に情熱が灯る。
「デザイナーとして、衣装に対する情熱が湧いてきたわ」
衣装は人を変えるってね。
リダンの脳内に湧くイメージ。自然と口から情熱があふれ出す。
『Cry鳴り止まぬSickなラビットの
暗い吹き飛ばすFlagはOutfit
Gray塗り替えるマジックなビビッド
Try服変えるミュージックとblend
死んだら終わり?
ノン
シンデレラの始まり
灰かぶりは姫に
無茶ぶりをキミに』
ウサギは自分の歌への侵入者に驚きを見せ、そしてリダンに視線を向ける。
「骸の海へと参りましょう……え?」
自らの纏った灰色の衣服の色が変わっていく光景に目を見開く。
『作るはドレス ステキな衣装
モデルはboss 敵へと委譲
使うは技能 アートと防具改造
気遣うわ彼女 ハートのロック解錠
生まれたStatus、不運ちゃんでも
帰って来た舞踏会場(ステージ)、ヒロインになるチャンス!』
『いいえ どこまでも 私は』
ウサギはとっさにヒロインへのチャンス、自分へ向けられた感情をマイナスに変えようと動く。
しかし、リダンのユーベルコード:トレンドメーカー・GOATia(トレンドメーカーゴーティア)が先に命中する。
黒い耳と対照的な白い衣服。
ワンピースはプリンセスライン。
サテン生地にオーガンジーを合わせ、細かく縫い合わされたスパンコールで作られたウサギの模様と共に輝く。
(うん、アタシの見立てた通りだねえ)
『こんな 輝く姿なんて 私には』
ウサギの歌に畳みかけるようにリダンの情熱は奏でられる。
『12時過ぎてからの遅い魔法だけど…
この服で変えたいわ
貴女の心証風景ごと』
埃ではなく、自身の纏った衣装の煌めきがウサギの攻撃手段を封じ、そして痛みに顔をゆがめる。
ウサギは苦しんでいたが、リダンの情熱を受け衣服はGOATiaの新作のまま。
「アタシの目標。デザイナーとして服を作り、幸せな歌を歌ってもらう事」
リダンはパッショネイトソングの効果を目の前に、ウサギを目の前に立つ。
ウサギの服、ユーベルで作った衣装が変わらない。
それがリダンの情熱の歌声が産みだした答え、心象風景の塗り替えであった。
●パッショネイトに駆け抜けて
「凄い……!あれがパッショネイトソングの力」
ラヴィは転送直後、彼女の悲しい歌声に白い兎耳をへにょりとさせていた。
(お話を聞いた時は……あのウサギさんが少し可哀想に思えてしまいました)
「でも、歌で、パッショネイトソングで変えられるのであれば」
ラヴィはユーベルコード:ライオンライドで黄金のライオンを召喚する。
「ポチ、頑張って歌い倒して骸の海へ返ってもらいましょうっ」
ラヴィの黒い髪に絡むように頬を擦り付けるポチにラヴィは跨る。
「さあ、いきましょう!」
ポチに跨り、ステージへと2人は駆けだした。
『綺麗でいても あのひとは ああ あの人は』
華やかな服を着ながらも、ヒロインの引き立て役という『設定』に徹してウサギは歌う。
ウサギはまだラヴィを視界に捉えていない。
「私の秘密……それに愛しき人も……」
空中で『薔薇桃の弓矢』を構えながらラヴィは迷っていた。何をパッションに変え歌えばいいか。
ふわ、とポチの毛が構えた腕に触れる。いつもそばにいる暖かく、そして。
「ありました!私のパッション!それではパッションを込めて……!」
ポチに一瞬顔を寄せ、ステージに響き渡るように叫ぶ。
「行きますよ、ポチ!」
タン、と音を立て荒涼とした舞台に立つポチ、その上に立つラヴィにウサギは振り返る。
『どんなに どんなに 美しくても
私に寄れば 全ては不幸に』
色とりどりに輝くオーラが舞台を切り刻む。
その隙間をポチが駆け抜け、ラヴィの口が開かれる。
『ポーーチ ポーーチ 私の友達 ポチ♪
光り輝く ふさふさの毛並み
撫でると嬉しそうに 私に頬をよせるの
私の傍に いつもいてくれる
あったかくて やさしい ポチ
だいすきよ☆』
明るく楽しく、ポチへの想いがパッショネイトソングとして増加される。
ウサギは、どんなに大切な人が傍にいてもと帰そうとする。
「……草?」
ラヴィの歌、ポチへの想い、ポチが駆けるそこから舞台から草が生い茂る。ポチと一緒に駆ける場所。
『傍にいたとしても いつかは』
「そんなことはないのです。骸の海へ返ってもらいましょうっ」
ラヴィの放った桃色の薔薇の装飾が施された矢がオーラを切り裂く。矢の甘い芳香にウサギは動けなくなる。
いつしか、舞台の全てが瑞々しい草原に覆われていた。
一緒にポチと駆けたい、力いっぱい遊びたい、柔らかい金色のポチに包まれてひと眠り。
ラヴィの想い、情熱が舞台すら変えていく。
想いの力、絆の力。
●パッショネイトラブメッセージ
「想いが力に。パッショネイトソング……これが、力に」
ウサギが華やかな衣服を身に纏いに、そして舞台が美しい草原に。
アリスは周囲を見渡しザ・ステージの力を目の当たりにしていた。
「凄い。想いを込めて歌えば――」
アリスは軽やかに駆けだす。ウサギを追いかけ、追いかけ、行きつくのは不思議な場所。
(私の想い――届け、あの人に)
『全てが美しく 華やかでも 私は 私は』
草原の中、ウサギは追いついてきたアリスに近づいてくる。
どこまでも与えられた役割、後ろ向きな心で不幸という存在がウサギをアリスを深い穴へと誘おうとする。
その様子をはねた金の髪を整えながらアリスは見ていた。
「私は。アリスは、伝えます。あの人への想いを」
『――貴女はずっと独りで
寂しかったんですね
ある一人のメイドさんも
ずっと独りでした
それは…暗く寂しい場所
けれど
メイドさんは
救われて
光ある処に出られました』
草原の中、ウサギさんから放たれるオーラを避けアリスの歌は続く。
歌と共に、壊れ元型を留めてない大道具たちがほのかに光り青空と屋敷の背景が描かれる。
アリスの中の想い。大切なメイドへの想いが込められた声がパッショネイトソングとなり舞台は動く。
『そして
――わたくしは
わたくしを救って下さいました
この方にお仕えする事に
決めましたわ――
そういって下さいました
そのメイドさんは
いつも
私の側にいてくださいます
そして
私もそのメイドさんに
護られ
救われています
私は
そのメイドさんに
心から伝えたい
『大好き』って
――きっと貴女にも
貴女を慕って
貴女に寄り添って
貴女を護る…そんな方が
貴女にも
『大好き』って
言えたひとが
いらしてたはずなんです』
広がる青空、美しい屋敷。広がる草原に無数の時空等をも歪ませる衝嵐を伴った鈴蘭などの花びらが舞い散る。
それは舞台装置ではなくアリスのユーベルコード:フラワリーズ・フェイトストーム。
ウサギの身に纏う不幸なオーラを消し去るかのように花弁はアリスの歌声と共に舞い、ウサギを花の嵐に包む。
「大好き、って伝えたい。歌の力で前に進め……想いを伝えられます」
アリスは微笑む。
ウサギの黒い耳がザザ、とノイズが入ったかのように揺れ始めた。
●パッショネイトアンサーソング
「ウサギは陰湿、根暗、だから不幸」
「それが、それが、私なのに……なのにいいい!!!」
美しい衣装を着たかった。
楽しく過ごしたかった。
同じ『想い人』に少しでも想いを伝えたかった。
猟兵達の歌、パッショネイトソングで自分が根底から否定される。ウサギは歌うのを止め、絶叫する。
「聴かせてもらったわ、後ろ向きの闇」
全てが塗り替わったザ・ステージに刑部が立つ。
「ならば私は前向きの闇で対抗しましょう」
その言葉にウサギが最後の力を振り絞らん限りに自らの周りにオーラを漂わせる。
『私はウサギ 近寄らないで 全て 不幸に』
唄うウサギに刑部は瞳を逸らさない。
「そう……これは、あなたへのアンサーソング」
刑部の想いを込めた歌、パッショネイトソングが始まる。
『幸せな二人 当て馬な私 周りに誰もいない嫌われ者
陰湿 根暗 不幸が寄り添う私 そこに歌もあった
造られた虚像と心? 関係ない
歌声は皆に届く 想いは伝わる』
刑部の情熱が歌となってザ・ステージに響き渡る。
そして同時に刑部のユーベルコード:サウンド・オブ・パワーが発動する。
ウサギの衣装が、床一面の草原が、青空とお屋敷が。
猟兵達の想いが歌として表現され、刑部の歌声で更に想いが重なる。
『今RESTART 全て終わった ならここが始まり
過去へ反旗を翻す歌で 今を救え
さあRESTART 目を覚ませ 無下に捨てられた
同志の為高らかに歌って 自分を救え
骸の海じゃなく 再び電子の海で
あの日のネガティブな自分を魂から震わせろ
それが貴方のRESTART 居場所はそこにある』
「想い……つたわ、る……?」
刑部へ歩み寄るウサギの足がふらふらと、もつれ、蹲る。
美しい衣装。素敵な草原。どこまでも青く美しいお屋敷。
『私 わたしは でんしの う』
ウサギを取り巻くオーラがはぎ取られる。
それと同時に舞台、ザ・ステージが閃光に包まれた。
●終幕
キラキラと、降り注ぐのは埃ではなく降り注ぐ星のような光。
そよそよと揺れる草原、降り注ぐ青空、屋敷の近くに立つ人影。
GOATiaの衣装を身に纏い、ウサギは進む。
自分の体が変わる――再び海に変えることを分かりながら向かっていく。
「私、電子の妖精……」
4人に一瞬振り返り、ウサギを構成する全てが消えた。
「パッショネイトソング。歌と共に想いが伝わった……のでいいかな」
刑部は全てが元に戻ったザ・ステージで呟く。
「自分の心、それを歌にするって凄い事だったんですね!伝わりましたよ」
ポチを抱きしめながらラヴィは刑部に答える。
「新作、気に入ってくれるといいんだけどねえ」
再び眠たげな様子で、にしかし最後まで自分のデザインした衣装を身に纏ったウサギの姿をリダンは思い出す。
「自分の気持ち、歌にしてみると――届きそうな気がしますね」
アリスは胸に手を当てる。想いが伝わりますように。
ザ・ステージは奪還できた。報告のため猟兵達は転送の準備を始める。
『電子の海 私の海
貴方の歌で 思い出せた
想いをくれて ありがとう』
消滅したはずのウサギの歌声。
刑部は耳にしたそれにザ・ステージを振り返る。
そこには来たばかりの空間が広がるばかり。
しかし、少しだけ消滅する寸前のウサギの煌めきが見えた気がする。
「ありがとう……か」
アンサーソングにアンサーね、と独り言ち、刑部は猟兵達の待つ方へと歩んでいった。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年05月06日
宿敵
『鬱詐偽『ウサギ』さん』
を撃破!
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