バトルオブフラワーズ④〜ふかふかパンケーキとお姉さん!
●ザ・フードステージ
そこは喫茶店のように椅子とテーブルが並んだステージ。
見渡す限りに、積み上げられたパンケーキの山が置かれている。
「ん~、おいしいわあ」
テーブルには唯一人、可愛いお姉さんが座っている。
ここにあるパンケーキは、全部お姉さんの為に用意されたものだ。
「とってもおいしくて、元気になっちゃうわねえ」
こんがりときれいな焼き色をつけたパンケーキには、バターを乗せてよし、練乳を掛けてよし、それともホイップクリームを乗せて更に贅沢にバニラアイスを乗せてしまおうか?
また一口、味わって、お姉さんは幸せそうにほわほわ笑うのだった。
●グリモアベース
キマイラフューチャーの命運を分ける勝負が始まった。
今回挑んでもらいたいのは『オオグイフードバトル』!!
料理を食べれば食べるだけ強くなる、特殊ルールのバトルだ。
猟兵が到着した時点で、オブリビオンは既にパンケーキを食べてパワーアップしている。
そのため、普通に戦っても勝てない。
敵を倒すには、相手より多くのパンケーキを食べるしかないのだ!!!
「そんな訳でな、皆にはパンケーキを沢山食べてもらわねばならぬのだ」
世界を掛けた戦いを前にして、説明しているクック・ルウ(水音・f04137)の目元もキリリと引き締まる。だが口元からはちょっとよだれが垂れている。
「パンケーキは奥深い。甘いトッピングは元より、しょっぱいベーコンなども合うゆえ、好きにアレンジして心ゆくまでパンケーキを食べて欲しい」
食材の持ち込みは可能、現場にも様々なトッピングが揃っている。
満腹で苦しくなった時の味変は、時に絶体絶命のピンチを救うだろう。
ちなみに敵のお姉さんは乳製品系のトッピングが好きらしい。
スピードは早くないが、お姉さんはペースを落とさず確実に食べ進める。
大食いだけならば、侮りがたい実力といえる。
しかし相手よりたくさん食べるという熱い想いや工夫があれば、叶わぬ敵ではない。
がんばってくれ。とグリモア猟兵は戦いの場へと猟兵達を送り出すのだった。
鍵森
ご覧頂き有難うございます。鍵森と申します。
こちらはパンケーキを沢山食べて敵を倒す依頼です。
●
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「バトルオブフラワーズ」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●
ちょっとギャグ寄りの雰囲気。
お腹いっぱい食べてから戦闘に挑んでください。
オブリビオンのお姉さんは、猟兵達がパンケーキを食べるのを邪魔しないので、ごゆっくりお召し上がり頂けます。
用意されたパンケーキの種類は問いません、スフレタイプや抹茶パンケーキなども美味しいですよね。
皆様のご参加を心よりお待ちしています。
第1章 ボス戦
『近所の可愛い天然お姉さん『千葉・牛美』』
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POW : うふふ、お姉さんハグが好きなの!
【豊満な胸】から【温かく柔らかい感触】を放ち、【妄想や誘惑】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : あらあら、うふふ。
【お姉さんの意図せぬ天然行動】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【や空間をお姉さんの天然色に染め上げる】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ : ほらぁお姉さんの搾りたて生牛乳よ!(言い間違い)
【牛乳瓶】を向けた対象に、【牛乳瓶から放出した牛乳】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:MAKI
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ピオニー・アルムガルト」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「あらあら~? お客さんが来たのね。あなた達もパンケーキ好きなの?」
ふわりと漂うバターとバニラの香りと共に。
到着した猟兵達を、とても呑気な声が出迎える。
「賑やかでお姉さん嬉しいわ。沢山あるから、どんどん食べてね」
やさしく微笑むお姉さんが、座って座って、と席を勧めてきた。
敵意もなく、裏心がある様子でもない。
どうやらパンケーキに夢中で戦いを忘れてしまっているらしい。
そう、このお姉さんは『天然』なのである!
「おいしいものは、大勢で食べる方がおいしいわよねえ」
にこにこしているお姉さんこと――オブリビオン・近所の可愛い天然お姉さん『千葉・牛美』。
その強さは、空になった皿が物語る……。
月夜・玲
く…なんて女子に優しくないステージなんだ…
でも世界を守る為だから!
世界を守る為だからカロリー何て気にしないんだ!
パンケーキ
まずはシンプルにそのまま頂きます!
それからバターを塗って味に変化!
勿論ハチミツをかけるのも良いよね!
ハチミツ+バターも定番だけど最高!
仕方ない、世界を守る為だから!カロリーは仕方ない!
それからアイスをちょっとトッピング
これも良いねー、でも甘すぎはちょっと口が飽きちゃうよね
だから薄手のパンケーキにツナと野菜を挟んでサンドイッチ風にしてみよう
こんなに食べたら太っちゃうじゃないか!!
怒りはお姉さんにぶつけてちょっとでもカロリー発散
【I.S.T.起動】で攻撃!
美味しかったぁぁぁ!!
「く……なんて女子に優しくないステージなんだ……」
パンケーキの山を前にして、月夜・玲(頂の探究者・f01605)は悩ましげな表情を浮かべた。
ここにあるパンケーキを好きなだけ食べられる……それはなんとも魅力的な話ではあった。
だからこそ、彼女は葛藤する。
これを食べれば、必ず後悔すると解っていたから。
「でも世界を守る為だから! 世界を守る為だからカロリー何て気にしないんだ!」
カロリー、それは女子の宿敵にして生涯の隣人。
世界を救うために自分の身を犠牲にすると決めた少女は、フォークとナイフを手にとって。
いざ! フードバトル開始!
「まずはシンプルにそのまま頂きます!」
外はサクッと中はふんわりとしたパンケーキを切り分けて、一口大にして口の中へ。
素材そのままのシンプルな味は、口当たりも軽く食べやすい。
物足りなくなってからはバターを乗せる、温かい生地の上でとろりと溶けるそれをナイフで塗り拡げれば塩を効かせたバターの風味が、甘いパンケーキと合わさって味に深みをもたらした。
これに、玲は手を加える事にした。
そう、バターといえば蜂蜜だ。
ハニーディスペンサーに伸ばされた手が躊躇うように震える。
「これも世界を守る為だから!」
ドロリと濃厚な琥珀色をした蜜を生地から溢れるぐらいに注いで、バターと共にパンケーキの熱に溶けさせて。
甘く濡れたパンケーキにナイフを入れると、ジュワリと染み出すハチミツバター。
美味しくないわけがない。
「仕方ない、世界を守る為だから! カロリーは仕方ない!」
何度も自分に言い聞かせ、手と口を動かした。今だけは体重計の事は考えないように意識を集中して。
「うんうん。よくわからないけどお姉さんも応援しちゃう!」
世界の為ひたむきにパンケーキを食べる玲の姿に心を動かされたのか、牛美お姉さんも応援を始めた。
がんばれがんばれ。リズム良くエールを送りながら体を揺らしている。
声援に背中を押されたわけではないが、玲は更に一手を打つ。
アイスだ。
クリーミーで濃厚なバニラアイスを一掬い、ちょっとだけ乗せる。
アイスはすこし溶けて、柔らかくなったところをパンケーキと一緒に口へ運ぶ。
「これも良いねー、でも甘すぎはちょっと口が飽きちゃうよね」
最後は薄く焼きのパンケーキに、ツナとレタスに薄切りきゅうりを挟んだ。
お好みでマヨネーズやチリパウダーを掛けても美味しそうな一品。
野菜を入れたことでさっぱりとした味わいになったパンケーキサンドは、同時に二枚のパンケーキを食べられるという素晴らしいテクニックだ。
満腹になった玲はナイフとフォークを置いた。
ごちそうさま、と手を合わせて悔しさと後悔を吐き出すように一言。
「美味しかったぁぁぁ!!」
戦いの準備は整った。
身体中に、溢れんばかりの力が漲っている。
しかし、その代償は大きい。
嗚呼。
「こんなに食べたら太っちゃうじゃないか!!」
玲の嘆きと苦しみに満ちた慟哭にも似た叫び。
それに呼応するように、System[Imitation sacred treasure]が起動した。
黒く滑らかなガジェットの装甲にブルーライトが灯り、駆動音を立てて彼女の兵器として展開する。
「喰らえぇぇ!」
行き場のないこの怒りは、オブリビオンにぶつけるしかない。
一振りを大きく振り上げて、敵が反応するより速く怒りを乗せた渾身の一撃を放った。
芯を捉えた一撃に、牛美お姉さんが衝撃で後ろに大きく吹き飛ぶ。
やったか!? ……いや!
「あ痛た……。 あらあら、どうしたの?」
なんと、周りに倒れた椅子やテーブルが散乱する中、お姉さんは尻餅をついて首を傾げている。
平気そうな顔をしているが、あれほどの攻撃を受けて無傷な訳がない。
玲は食べた。懸命に食べた。
カロリーへの躊躇を超えて、普段は絶対食べないであろう量を食べた筈だ。
その一撃の重みは、パンケーキを沢山食べたお姉さんも驚くほどの威力を持っていた。
しかしお姉さんはちょっと痛みに鈍感なタイプだったのだ……!
「わかったわ、食後のエクササイズね? よーしお姉さんも頑張っちゃう!」
「いや、エクササイズじゃないんだけど」
「ほらほら怒った顔しないで、まずは両手を伸ばして、いちにーさーんしー、ひっひっふーう」
「だから私は体操がしたい訳じゃ……あとそれって深呼吸じゃないよね」
「カロリーを消費するには運動が一番よ、さあ一緒によいしょよいしょー」
「だめだこの人、話を聞いてくれない!」
立ち上がったお姉さんは、なにかを勘違いしたまま体操を始めた。
深呼吸の変わりにラマーズ呼吸法を始めるという天然な一面を覗かせたものの、なんだかんだで戸惑う玲も強引に体操に誘われてしまうのだった。
成功
🔵🔵🔴
リン・レイ
美味しいそうなパンケーキアルネ!ワタシも食べていいカ?丁度お腹空いてたアルヨ!いただきますアル!お姉さん、いい食べっぷりアル、ワタシも負けないヨ!1枚づつは面倒くさいネ・・・!餡子はあるアルカ?パンケーキの上に餡子のせて♪パンケーキで挟んで完成アル!これなら1度に2枚も食べられるアル♪ワタシは天才アル!このままどんどん食べるアルヨ!パンケーキと餡子、おかわりアル!
技能【大食い】で食べ進める。
他傭兵さんとの絡み、アドリブ大歓迎!
レオナルド・ウラニクス
パンケーキ食べ放題なんて夢のようなバトルじゃないか!
せっかくの機会だ「大食い」を使い、生クリームやフルーツを乗せた激甘パンケーキを堪能するぞ。俺は甘いものに目がないんでな。少し甘さが厳しくなってきたらこの苦いコーヒーを飲んで口の中をリセットすれば良い。
大食いのコツは出来るだけ食べ物と一緒に空気を吸い込まない事と満腹中枢が刺激される前に沢山の食べる事だ。多分。一気に食べるぞ!!
お腹いっぱい食べたら戦闘だな。
【ブレイズフレイム】で攻撃してみようか。
敵意の無いものを攻撃するのは少し可哀想な気もするが仕方ない。
(絡みアドリブ歓迎です)
「パンケーキ食べ放題なんて夢のようなバトルじゃないか!」
トッピングを盛り付けたパンケーキが乗った皿を前に、レオナルド・ウラニクス(人狼の黒騎士・f13660)の鋭い眼差しも柔ぐ。
五枚のパンケーキを花弁のように置いて、生クリームをこんもり乗せる。
その上からベリーシロップを垂らして、イチゴやブルーベリーのフルーツを盛り付ければ、見た目にも色鮮やかで食欲をそそられる一品の出来上がりだ。
クリームを崩しながら、パンケーキを食べれば至福の味わいが口の中に広がる。
フルーツも一緒に食べれば、酸味のある甘さがよいアクセントとなって、いくらでも食べられてしまいそうだ。
甘いものに目がないレオナルドは、ペロリとその皿を食べ尽くす。
「旨かった。次は、リンゴとかオレンジ系のフルーツを乗せるのもいいかもな」
用意していた淹れたてのコーヒーを飲み、口直しと共に一息入れる。
苦く後味のさっぱりしたブレンドは、パンケーキとの相性も抜群だ。
この調子なら、パンケーキを食べる事には何の問題もない。
しかし、レオナルドには一つだけ気がかりなことがある。
オブリビオンのお姉さんだ。
ああも敵意を見せないのでは、戦いに来たこちらもやりにくい。
そんな事を思いながら、新しいパンケーキを取りに席を立った。
●
跳ねるような足取りでステージへ飛び込んできたリン・レイ(いつも腹ペコ・f10712)は、パンケーキを見て額に貼った札の下から瞳を輝かせていた。
いつだってお腹の空いているリンにとって、そこにあるのはまるで宝の山のような光景だろうか。
「美味しいそうなパンケーキアルネ! ワタシも食べていいカ?」
「ええ、もちろんよ~」
「丁度お腹空いてたアルヨ! いただきますアル!」
「お姉さんも体操してお腹空いたところなの、一緒に食べましょう」
リンの嬉しそうな顔を見て、お姉さんも笑顔になる。
二人はテーブル越しに向かい合って席に座ると、パンケーキを食べだした。
「お姉さん、いい食べっぷりアル、ワタシも負けないヨ!」
「うふふ。あなたもおいしそうに食べるわねえ」
大食いには自信のあるリン。
けれどお姉さんも次から次へとパンケーキを平らげていく。
なにかこの状況を覆す策が必要だ。そう考えたリンの頭にアイデアが閃いた。
「一枚ずつは面倒くさいネ……! 餡子はあるアルカ?」
「あんこ? 餡子なら向こうに合ったわねえ。お姉さんと探しに行きましょうか」
「大丈夫アル、一人で行けるヨ!」
●
トッピングの並んだコーナーへ来たリンは、おかわりのパンケーキを盛り付けしているレオナルドに声を掛けた。
「あなたのパンケーキ、クリームとフルーツたっぷりでおいしそうネ!」
「ん、ああ。俺は甘いものに目がないんですよ」
「フムフム、ここには餡子に合うフルーツもあるアルカ?」
「餡子か、それならイチゴはどうでしょう」
「あっ、いいアルネ。いちご大福みたいになりそうアル」
「栗の甘露煮とか」
「それ絶対おいしいネ! 置いてる場所教えて欲しいアル!」
と、その流れで二人は同じテーブルでパンケーキを食べる事になった。
リンを探していたお姉さんも後から合流し、いよいよフードバトルは佳境を迎える!
「フフフ、ワタシの天才的作戦を見せてあげるネ!」
リンは二枚のパンケーキに、餡子を挟んで合わせた。
更にそこへレオナルドのアィディアを取り入れ、バリエーションを増やす。
イチゴ餡子に栗餡子。
和洋の見事な調和と果物が織り成す風味は、まさにベストマッチ。
他にも、バナナやキウイなども試してみたくなる。
「これなら一度に二枚も食べられるアル♪ ワタシは天才アル!」
「すごいわリンちゃん! お姉さん感心しちゃう!」
そう、リンの食べるスピードは倍になった。
見る見る内に餡子サンドパンケーキが消えていく。
「すごい、俺も負けてられないな」
「あなたも大食い得意カ? コツとかあるアル?」
「大食いのコツは出来るだけ食べ物と一緒に空気を吸い込まない事と満腹中枢が刺激される前に沢山の食べる事だ。多分。」
「なるほどネ!」
「一気に食べるぞ!!」
「うん、このままどんどん食べるアルヨ! パンケーキと餡子、おかわりアル!」
ステージには給仕係がいないので、基本的にはセルフサービスだ。
しかし席を立とうとするリンを、お姉さんが止めた。
もしや食事を妨害しようとしているのかと緊張が走るよりも速く。
「うふふ。おかわりなら、お姉さんが取ってきてあげる!」
お姉さんがお代わりを取りに走っていった。
リンからなにか世話を焼きたくなるオーラを感じたのかもしれない。
「お姉さん、こういう子は甘やかしたくなるのよねえ」
帰ってきたと思ったら、リンの横でせっせとお代わりの餡子サンドを作り出し始める始末。
フードバトルだというのに、お姉さんはすっかりパンケーキを食べる事を忘れている!
「ごちそうさまでした」
空になった皿を積み上げて、レオナルドが食器を置いた。
お姉さんは、食後のお茶を取ってくると言って走っていったところだ。
力は充分蓄えた、今なら勝てるだろうか。
席を立つと自身の手の甲を切り、傷を作る。
血の代わりに傷口から溢れ出す炎が、轟轟とその腕を包み込んだ。
レオナルドは戦いの決意を胸に、オブリビオンを迎える。
「みんな~、お茶を持ってきたわよ~」
そんな呑気な事を言っている相手を攻撃しなければならない事に、レオナルドの胸の奥が軋んだ。
――少し可哀想な気もするが仕方ない。
レオナルドは意を決し、拳から飛ばした「地獄の炎」を見舞う。
紅蓮の炎が、お姉さんを包み込んだ。
しばらく経って、燃え盛る炎からお姉さんが熱された湯呑みを持って出てくる。ちなみになぜ湯呑みなのかというと和風の餡子を食べた後なら、緑茶が良いかと思ったようだ。
あちこち黒く焦げてはいるが、パンケーキパワーによってまだまだ元気な様子。
「けほっ。あらあら? 今の火はあなたがやったの?」
「そうだ。俺はあなたと戦う為にここへ――」
「うんうん。そうね。ここは冷たいのより熱いお茶がいいわよね。お手伝いありがとう、お姉さん嬉しい!」
「いや、違……おい、話を聞いてくれ!」
レオナルドの炎は強力だったが、焦げたぐらいでは怯まなかったお姉さん。
逆に給仕のお手伝いのしてくれたのかと絶大な勘違いをされてしまったレオナルドは、感激した牛美お姉さんに力いっぱいハグをされてしまうのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
露木・鬼燈
パンケーキね。
甘いものは嫌いじゃないのです。
お酒のつまみにもなるしね。
カロリー?
摂取した分は消費すればいいのです!
気にすることないっぽーい。
とは言え、流石に大量に食べたら飽きるよね。
まずは目玉焼きやベーコン&チーズの軽食系で消費するです。
美味しいけど…ちょっと飽きた。
果物と蜂蜜でデザート系に移行するです。
…いくら美味しくっても物理的な限界ってあるよね?
この程度ではパワー不足なのは明白!
かくなる上は…秘伝忍法<凶>
ムカデにも食べさせて消費量を二倍にっ!
生命力を共有しているので強化も二倍にっ!
これならイケルイケル!
ギリギリまでイケル!
ほんとーにギリギリまで来たら勝負にでるです。
騎乗突撃するっぽい!
「パンケーキね。甘いものは嫌いじゃないのです」
露木・鬼燈(竜喰・f01316)は愉楽めいた笑みを浮かべる。
「お酒のつまみにもなるしね」
酒の入った瓢箪を傾け、注ぎ口から直に酒を飲むと。
濡れた唇を舐め、パンケーキをフォークで差す。
塩胡椒を効かせた目玉焼き。
カリカリに炙ったベーコン。
同じく火で炙り溶かし焼いたチーズ。
パンケーキに載せたトッピングも酒のアテに良い具合だ。
だが、これだけというのもつまらない。
「美味しいけど……ちょっと飽きた」
溜息。
こうなると、甘いものがほしくなる。
蜂蜜を垂らしたパンケーキに盛り付けるのは。
レーズン、オレンジピール、干し無花果。
スパイスの風味を利かせたドライフルーツ。
味濃い舌触りに口の中が乾いたら、また酒を飲る。
酒とパンケーキ、そんな組み合わせもまた乙なものだ。
しかしはたしてこんなにカロリーを摂取して大丈夫なのだろうか。
そんな思いが過る者も居るだろう、しかし鬼燈はあっけらかんと笑って。
「摂取した分は消費すればいいのです! 気にすることないっぽーい」
意にも介さずパンケーキを平らげていく。
そうして相当な量を食べた鬼燈だが、オブリビオンのお姉さんに勝つにはまだパワーが足りないと感じていた。
「かくなる上は……秘伝忍法<凶>」
今こそ奥の手を使う時。
召喚に応じ煙を巻いて現れるは、巨大サイボーグムカデ。
鬼燈の倍の長さもある胴体はとぐろを巻いて、無数の機械腕がカツリガツリと硬い音を立てる。
命あらばその顎は岩をも砕き、その分厚い装甲は恐れもなく戦場を駆けるのだろう。
忠実なるムカデは頭を垂れて鬼燈の言葉を待つ。
「ムカデ」
鬼燈はパンケーキが乗った皿を指さした。
「パンケーキを食べるのです」
鬼燈の言葉に、サイボーグムカデの丸い瞳が更に丸くなったようだった。
「これならイケルイケル! ギリギリまでイケル!」
戦力を増やした鬼燈は、ムカデと共に更にパンケーキを食べ続ける。
――ただ、戦力が増えたわけではない。
鬼燈とムカデは生命力を共有する。
即ち、ムカデがパンケーキを食べて力を蓄えれば、そのパワーは鬼燈にも流れ込むのだ。
二人分の能力上昇、食べる速度は二倍、消費量も一人と一体分!
どこにも隙のない恐るべき忍法である。
「まあまあ。大きなムカデさんねえ」
本当の本当にギリギリまでパンケーキを食べ力を得た鬼燈は勝負を掛ける。
のんびりしていたお姉さんにサイボーグムカデも牙を向いた。
「ムカデさん、元気いっぱいね!」
「二倍のパワーはムカデも同じ、この攻撃力ならやれるのです! 全力で突撃するっぽい!」
ズズズドドオォ――!!
巨大サイボーグムカデが床を這い、地響立てて突進する。
跳ね上がった鬼燈が、その頭上に飛び乗った。
お姉さんが、あっと驚いた顔をしている。
「あらあら? あなた確かお酒を飲んでたわよね。酔った時はムカデさんに乗るのはやめた方が良いわ」
「平気なのです、僕はあれぐらいじゃ酔わないっぽい」
「だめよ! お姉さん、飲酒運転はゆるしません!」
「運転じゃないっぽい! ムカデは自分で動けるから大丈夫なのです!」
「飲んだら乗っちゃいけないのよ~!」
論点がずれているものの、ここでお姉さんは初めてまともな闘志を見せた。
突撃するムカデを押し止めようと正面から立ちはだかる。
パンケーキによって強化された鬼燈とサイボーグムカデと牛美お姉さんの力がぶつかり合う! フードステージはまさに極限状態!
なおサイボーグムカデは確かに半分機械かもしれませんが、運転するわけじゃないのでお酒を飲んでの騎乗も問題ありません。大丈夫です。
成功
🔵🔵🔴
千愛・万望
ぱんけえき。
あーしの故郷(サムライエンパイア)じゃあ見たことない代物さね
甘いのかい、ふうん…
うんまーーーっ!!!
うわっ、旨!なんねこれ!やわらか!
これ俗に言う『無限に食べられる』ってやつだわさ!?
これが食べ放題なのかい!?いっただきぃ!
苺を煮たやつかい!?合うね!
おお、蜂蜜!良い良い!
ちょっとそこの巨乳の姉さん!お勧めの食べ方もっと無いかい!?
牛乳の氷菓子!ほうほう!他には他には!?……
………
……
…
っはあ!食ったぁ!
…………え?何?この姉さんがオブリビオン?
……
いや、あれさね
こうして引き付けることでコイツにパンケーキを食べさせない作戦だわさ
ホントだヨ
……
そおい!!(オブリビオンの額にチョップ)
メール・ラメール
まあステキ!スキなだけ食べていいなんて!
しかもオンナノコがダイスキなパンケーキ!カワイイ!
うふふ、心が躍っちゃう。それでは早速イタダキマス!
「カワイイメルちゃんの血肉になるだなんて、ほら!そんな幸せないでしょう?」
春だもの!ベリーがいいわ。ホイップクリームもたっぷりね。
うふふ、おいしい!もっといっぱい食べたいわ。
あっ。ダブルを呼べばもっともっと食べられるのよ。アタシってば頭イイ!
チョコレートソース、ハチミツ、バニラアイスとどんどんトッピングも変えましょう。
そうすれば飽きないもの!ふふふ!
お姉さんのオススメはなあに?教えてチョウダイ?
それも食べ尽くしてみせるから!アタシ、食べるのダイスキなのよ。
●
ぱんけえき。
馴染みのない、不思議な響き。
「あーしの故郷じゃあ見たことない代物さね……」
彼女が生まれ育った世界は和の国サムライエンパイア。
千愛・万望(誰が為に誰が為す・f17823)は訝しげな目で皿の上のパンケーキを見つめる。
丸くて平べったいその見た目は、大きな煎餅を思わせる。
こんがりと焼き色のついた表面をフォークの先でつついてみると、感触は柔らかくも硬くもなさそうだ。
どうやら粉を練って焼いただけのもの、らしい。
実に簡素な料理だ。
漂ってくる香りは甘く、心惹かれるものがある。
だが団子や羊羹といったものとは違う匂いだ。
どうやら上に具材を乗せて食べるようだが、これ自体にどんな味がついているのかもわからないままでは下手に味付けも出来ない。
「……」
なんにせよ、まずは味を確かめなくてはならないだろう。
周りを見ても食べ方に作法などはないようで、万望はそのままフォークでパンケーキを割って、慎重に口へ運んだ。
未知の味が食感を刺激する。
瞬間、電流が走ったような衝撃が脳裏を駆け巡った。
「うんまーーーっ!!!」
感動がそのまま大きな声になって飛び出る。
無理もない。
何しろ生まれて初めてパンケーキを食べたのだから。
「うわっ、旨! なんねこれ! やわらか!」
夢中で残りのパンケーキを食べる。食べる。
あっという間に、皿の上からパンケーキが消えた。
「これ俗に言う『無限に食べられる』ってやつだわさ!? これが食べ放題なのかい!?」
まるで夢のような話だった。
席を立って万望はパンケーキのお代わりを取りに向かった。
今度は躊躇することなく、トッピングも選んだ。
そう、今この瞬間、万望はパンケーキを好きなだけ自由にできるのだ。
「これは苺を煮たやつかい!? 合うね!」
実がごろっとした苺ジャムを塗ったパンケーキは、果実の甘酸っぱさと合わさった格別の味。
「おお、蜂蜜! 良い良い!」
故郷でも馴染みのある蜂蜜は、とろりと絡んで溶けてパンケーキと渾然一体となり、その絶妙な味わいはまさに甘美というほかない。
「ぱんけえき……随分奥深いようだね」
パンケーキは組み合わせ次第で万華鏡のように味を変える。
そのはじめての体験は、万望をさらなる探求へと誘う。
けれどまだ一歩が踏み出しきれていない、苺も蜂蜜も既知の食べ物。
パンケーキを味わい尽くすには、僅かなためらいも捨てて異世界の食を取り入れる事も必要なのだ。
●
「まあステキ! スキなだけ食べていいなんて!」
メール・ラメール(砂糖と香辛料・f05874)はきゃらきゃら笑った。
フードステージの上で両腕を広げてくるりと回れば、どこを見てもパンケーキ。衣装にあしらわれた青い目玉も四方を囲むパンケーキの山を映す。
「しかもオンナノコがダイスキなパンケーキ! カワイイ!」
メールは、はしゃぐようにパンケーキの皿を取り、トッピングを選びに向かう。
トッピング用に様々な種類の品が用意されていて目移りしてしまいそうだったけれど、メールがまず選んだのは甘酸っぱい香りのイチゴだ。
「春だもの! ベリーがいいわ。ホイップクリームもたっぷりね」
ホイップクリームは絞り袋を使ってぐるぐると渦巻状にパンケーキに積み上げて、そこにイチゴを乗せれば、ベリーパンケーキの出来上がり。
「うふふ、心が躍っちゃう。それでは早速イタダキマス!」
メールは席につくとパンケーキを食べ始めた。
クリームに埋もれそうなイチゴごとパンケーキを口に運べば。
パンケーキの柔らかくしっとりした食感に、クリームがふわりと甘く溶け、イチゴは一口噛む度に果汁が溢れみずみずしい酸味をもたらす。
「うふふ、おいしい! もっといっぱい食べたいわ」
ああでもこんなに沢山のパンケーキは、とても一人では食べ尽くせない。
悩ましげに眉を寄せる。
そう、ひとりでは無理だ。
「あっ。ダブルを呼べばもっともっと食べられるのよ。アタシってば頭イイ!」
パッと顔を明るくすれば、メールは何処からともなくステージにもうひとりの自分を招いてみせた。
姿形はメールと寸分と違わず、正面に向かいえばまるで鏡合わせのようだが、その色だけが違う。
それは、ユーベルコードによって現れた、もうひとりのメールだ。
「チョコレートソースでハートを書いてあげるわね」
「カワイイわ、ありがとう」
「ハチミツはたっぷり掛けなきゃ」
「クローバーの花のミツにしましょう」
「バニラアイスも必要だわ」
「丸く掬い取って、コロリと並べるのよ」
「ステキね。まるで目玉みたい!」
二人で並べたパンケーキの皿が、テーブルの上を埋め尽くす。
隣同士で並んだ二人のメールの手元には一つずつのガラスグラス。
中を満たしているのは勿論。
真っ赤な真っ赤な、イチゴのジュース。
「カンパイしましょう」
「何にカンパイする?」
「カワイイパンケーキによ!」
「ふふふ! カンパイ!」
互いのグラスを掲げると、中身を呷り喉の渇きを潤して。
二人の娘は、小鳥が囀るように笑い交わしながらパンケーキを頬張った。
飽きないように好きな皿からパンケーキを切り取って食べていく。
気まぐれも、贅沢も、全ては彼女の思うがまま。
並ぶパンケーキはまるで祭壇に捧げられた供物のよう。
「カワイイメルちゃんの血肉になるだなんて、ほら! そんな幸せないでしょう?」
だから全部食べてあげるのよ。
パンケーキが積み重なったところへ、生地が崩れないようにゆっくり深くフォークを抉り差し、食べやすい大きさにナイフで切り分けた。
「ああ、とってもおいしい。うふふ!」
余すところなく、全て味わうようにメールはパンケーキを食べるのだった。
●
牛美お姉さんは、席に座って牛乳を飲んで一休みしていた。
今日は賑やかな子達と過ごせて、ほっこりしている。
ちなみにパンケーキを食べている訳じゃないので、力が上がったりはしていないのだ。
「ちょっとそこの巨乳の姉さん! ぱんけえきのお勧めの食べ方は無いかい!?」
「アタシも聞きたいわ。お姉さんのオススメはなあに? 教えてチョウダイ?」
「あらあら」
三人の、正確には二人ともうひとりの声にお姉さんが立ち上がった。
万望とメールから頼りにされて、嬉しそうな顔をしている。
「お薦めは、やっぱり牛乳アイスかしら。濃厚でクリーミーなのよ」
「牛乳の氷菓子! ほうほう! 他には他には!?」
勢い込んで尋ねる万望の瞳は、期待に輝く。
「そうねえ、バターと、生クリームと、そうそう餡子や果物もおいしいわよ~」
「よし! 全部試そう!」
「他にも、もっとおいしい食べ方があるんだけど、量が多いかしらあ」
「平気よ。それも食べ尽くしてみせるから! アタシ、食べるのダイスキなのよ」
もうひとりの自分と声を重ねてメールはきゃらきゃらと笑った。
「まあまあ、それは素敵ねえ。じゃあね、お姉さんとっておきのパンケーキ教えちゃう!」
好奇心の赴くままありとあらゆるパンケーキを味わおうと、積極的な万望とメール。彼女達を席に座らせると、お姉さんは次々とパンケーキを運んで来るのだった。
「うんまッッーい! なんだいこれ? ぷるぷるしてるだわさ!」
「あら、プリン載せパンケーキね! アタシも後で食べたいわ」
「うふふ。メールちゃん達には、コットンキャンディーパンケーキよ。ソースを掛けて召し上がれ」
「ステキ! 雲みたいにフワフワね!」
「どんどん食べてね! お姉さん、おかわり一杯持ってくるからね!……ああ、なんて食べさせがいのある子たちかしら!」
そして。
幾つの皿を食べ尽くしただろう、パンケーキを何段重ねただろう。
もはや食べた数など思い出せない。
「――……っはあ! 食ったぁ!」
満足気に大きく息を吐いて、万望が席を立つ。
「さあて、これだけ力がつけば充分さね。オブリビオンを探そうじゃないか」
「アラ、オブリビオンならずっと目の前に居たじゃない」
「え」
メールの言葉に万望は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。
まさか。
今の今まで世話好きな巨乳のお姉さんだと思っていた人物がそうなのか。
「…………え? 何? この姉さんがオブリビオン?」
食後のお茶を淹れ始めたお姉さんをそっと指差し小声で確認すれば、こっくりとふたりのメールが頷く。
「……」
「万望ちゃん……?」
二人のメールが万望の顔を覗き込む。
深い紫色のぐるぐるお目々がじーっと見つめている。
「いや、あれさね」
万望はすっと視線を遠くへ馳せた、腕を組んで姿勢を正す。
諸君、勘違いをしてはいけない。
全ては必然なのだと胸を張る。
「こうして引き付けることでコイツにパンケーキを食べさせない作戦だわさ」
「ホントかしら?」
「ホントだヨ」
その顔に冷や汗が伝うのを見たメールは、もうひとりの自分と顔を見合わせて訳知り顔で頷きあうのだった。
オブリビオンだと気づいたからには、戦わねばならない。
若干気まずさはあるものの。
万望は組んでいた腕を解いて、ツカツカと近寄ってお姉さんの真正面に立つ。
そしておもむろに片腕を高く掲げて、鋭く振り下ろした。
「そおい!!」
「あうっ!」
流れるような動きでチョップがお姉さんの額を見事に直撃した。
いろんな攻撃を鈍感に受け止めたさすがのお姉さんも目を丸くする。
万望の一撃に込められた威力は凄まじいものだった。パンケーキの重みは、言うまでもない。
これにはさすがの牛美お姉さんも反撃せざるを得ない。
「もう、いたずらっ子さんね。お姉さんも、えい!」
「うっ!」
ぺちーん、と。
万望の額には、お姉さんのデコピンが返されるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
パウル・ブラフマン
【SPD】
うっわ巨にゅ…じゃねぇ、超かわいいおねーさん居るし!
距離感ヤバイ近い気がするけど多分大丈夫!!(ゆでだこっぽくなりつつ)
まずはパンケーキをいっぱい食べるんだっけ?
任せてよ、オレはこう見えて喰い盛り22歳。
なのに全然縦に育たないのがネックなんだ☆
自虐を交えつつめっちゃ縦に持った
斜塔の如き危うさのパンケーキタワーにココナッツミルクをドバァ。
マジで写真映えしそーじゃん!
おねーさんを直視できないのを誤魔化しつつ
男子の意地で必死の早食い。
でも零さず綺麗に完食したいなって。
ご馳走様の後は腹ごなしにUC発動!
愛機Glanzを運転して
おねーさんを跳ね飛ばす…けど罪悪感がぁぁ!!
※アドリブ&絡み歓迎!
七々鐘・茉莉也
お姉さんと聞こえて参上、七々鐘茉莉也、17歳です!
沢山食べるなら、飲み物も凝ってみようかしら
自家製のカモミールティーを皆で分けて食べ進めるわ、胃に優しいらしいの
そうだ!牛美さんの牛乳、私も頂いていいかしら?
カロリー?大丈夫、戦争中だしすぐ燃えるわ
それにパンケーキって美味しいからカロリーゼロよ
あ、攻撃?すっかり忘れてたわ~
UCで変身後、全力魔法に炎と氷の属性を乗せて一瞬で決めるわ
なるべく苦しませたくはないもの
《ブレンド・エクストラクション》カレイドフェザーシャフト!
オブリビオンは過去の幽鬼、彼女の元になった人もいたはず
もし出逢えていたなら、素敵な友達になれたかもしれないわね
(絡み、アドリブOK)
ケイ・フォルク
困った…このおねーさんめっちゃ好みじゃん…
う~ん…まあ、とりあえずパンケーキ食べるか(脳筋
まず一枚、普通にメープルシロップで食べる
お~甘い♪(甘党
次はパンケーキ三段重ねで、合間にバナナとかイチゴ等果物で層を作って、今度はハチミツとチョコソースがけ…ああ、たまらん(激甘党
フルーツの酸味が口の中をさっぱりして、でもやっぱり甘くて最高だわ
おねえさんが何かしてくれたら敵だって事忘れて普通に礼言いそう
あ~やっぱ倒さなきゃダメかな~
ダメだよな~
とりあえずガントレット装備してるから、それで肩とかをベシベシしてみる
きかなかったら、よし、まだ食べ足りないな!って食べに戻る
きいたら…メッチャ申し訳ない気になるなぁ
幾つもの戦いを経て、お姉さんにも疲れが見え始めていた。
ほつれた髪を手櫛で掻き上げる仕草や、そっと吐き出される溜息。
何気ない動きに混じる、なまめかしさ。
なにか見てはいけないもののような、大人の色気が漂っていて。
(うっわ巨にゅ……じゃねぇ、超かわいいおねーさん居るし!)
(困った……このおねーさんめっちゃ好みじゃん……)
牛美お姉さんをつい目で追っていたパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)とケイ・フォルク(ドラゴニアンのブレイズキャリバー・f14875)は、気配を感じてお互いの存在に気がついた。
二人の若者たちの視線が交差する。
頭の中でハイタッチの音が聞こえたような気がした。
どちらともなく近寄って。
「あのおねーさんさあ、」
と、同時に口を開きかけたその時だった。
「お姉さんと聞こえて参上、七々鐘茉莉也、17歳です!」
二人の前に、茉莉也お姉ちゃんが現れたのである。
「おねーさんがもう一人!?」
「こっちのおねーさんもめっちゃいい」
「うふふ。戦いも終盤だけど、一緒に頑張ろうね♪」
七々鐘・茉莉也(羅刹の戦巫女・f11217)は鬼の角を持つ羅刹のお姉ちゃんだ。
新たなお姉ちゃんが現れるというまさかの展開。
フードステージに、嵐が巻き起こる!
「まずはパンケーキをいっぱい食べるんだっけ?」
「……おう、とりあえずパンケーキ食べるか」
「自家製のカモミールティーを用意したの、皆の分もあるから一緒に飲みましょう~」
三人は連れ立ってパンケーキを席に運んだ。
茉莉也お姉ちゃんはせっせと全員分のお茶を用意して。
食べ盛りの男性陣は、それぞれの皿の上にパンケーキを積み上げた。
「パウルの皿、すごいことになってるな」
「大丈夫? ぜんぶ食べられる?」
パウルは重ねたパンケーキが多すぎて、向こう側からは顔が見えなくなっている。
そんなに積み上げて大丈夫なのかと心配する仲間の声に、パンケーキの向こうで、パウルは自信たっぷりに胸を張った。
「任せてよ、オレはこう見えて喰い盛り22歳」
そこでちょっと言葉を切り。
「なのに全然縦に育たないのがネックなんだ☆」
ちょっと悲しい自虐を交えつつ、そびえ立つパンケーキの塔の上からココナッツミルクを大胆に垂らして掛ける。ドバァ、とパンケーキを流れ落ちるココナッツミルクはまるで白い滝のようだった。実に食欲をそそる。
「マジで写真映えしそーじゃん!」
スマホで撮りたくなるような光景に、パウルの瞳も輝く。
「ココナッツミルクもうまそうだな」
ケイはメープルシロップを掛けたパンケーキを食べながら、思案げに呟いた。実はとんでもない甘党の彼は、おいしそうにシロップとパンケーキの風味を味わいながら幸せそうに目を細める。
「お~甘い♪」
あっという間に一枚を食べ終えて。
次は三段に重ねたパンケーキの間にフルーツを挟んで豪華なパンケーキを作った。一緒にハチミツやチョコレートソースも足して、甘々に仕上げる。
フルーツはバナナやイチゴ、キウイにブルーベリーなど様々だ。
「……ああ、たまらん」
ハチミツとソースでたっぷり甘くした味わいの中で、フルーツの爽やかな酸味がアクセントをもたらす。
「二人共たくさん食べるわね。お姉ちゃんもしっかり食べないと」
やる気も充分に茉莉也もパンケーキを食べる。
気になるカロリーなら大丈夫だ。
今は激しい戦争の最中、このぐらいのカロリーならすぐに燃焼できるはず。
「それにパンケーキって美味しいからカロリーゼロよ」
うふふ。と微笑む顔に迷いはない。
茉莉也お姉ちゃん17歳の心は、強い。
「あらあら? なんだかいい香りがするわねえ」
そこへのんきに近寄ってきたのは、牛美お姉さんだ。
「あっ、お邪魔してごめんなさいね。お茶のいい香りがして、つい」
「自家製のカモミールティーなの、良かったら一緒に飲まない?」
新しいティーカップを取り出して、茉莉也はふわりと微笑んだ。
「カモミールは胃にも優しくて、リラックス効果もあるの」
「まあ。すごいのねえ」
「そうだ! 牛美さんの牛乳、私も頂いていいかしら?」
「ええいいわよ~」
お姉さんとお姉ちゃんが笑い合う空間に、ほわほわした空気が流れる。
パンケーキを食べながら、パウルとケイは互いに目配せを交わした。
――おねーさんとおねーさんが並ぶとすごいな。
――それな。
「パウルくんの分のお茶は、牛乳たっぷりにしておくわね」
「え……なんで? あ、さっきのあれか!」
先程パウルが言った自虐を案外真面目に受け止めていた茉莉也お姉ちゃんの心遣いにより、パウルのお茶だけ並々と牛乳が注がれる。
「ケイくんは砂糖多め? それともハチミツ入れる?」
「あ、どうも。後は自分でやるんで大丈夫……」
「うふふ、遠慮しなくていいのよ。お姉さんが用意するからパンケーキ食べてね」
甘党のケイのティーカップには、牛美がハチミツを入れて甘くしたカモミールティーが用意される。
ごく自然に甘やかしていくお姉ちゃん達の存在は、若者達の心を乱していった。
いや、雑念が入るのはよろしくない。パウルはおねーさん達を直視しないようにパンケーキだけを見るようにする。
それに、うず高く積み上げたパンケーキを崩さないように食べるためにはある程度集中力が必要だったのだ。
「あらあら、あなたのパンケーキ、崩れちゃわないかしら?」
「や、大丈夫大丈夫。オレ器用なんで」
横に座った牛美お姉さんを見ないよう、パンケーキを正眼に見据える。
「そう、でも心配だから倒れないようにお姉さんが隣で見ててあげるわ」
「おねーさん距離感ヤバイ近い!」
吐息を感じるほどに距離を詰められて、パウルの頬が赤く染まる。牛美お姉さんはそんなパウルを熱でもあるのかと心配そうに首を傾げるのだった。
なんとかパンケーキを食べ終えたケイとパウルだったが。
戦闘前だというのに疲労感を感じていた。
どうやら食事の間中、ドギマギするような事が続いていたようだ。
「あ~やっぱ倒さなきゃダメかな~」
「ダメだよケイくん」
「ダメだよな~」
大きな溜息を吐くケイの横でパウルも切ない顔をしている。
ああ、牛美おねーさんがオブリビオンでさえなければ。
そんなことを考えても、しょうがないのだけれども。
「……先に俺が行く」
ケイは覚悟を決めて、ガントレットを嵌めた拳に力を込めた。
つかつかと牛美お姉さんに近寄って、その肩をベシベシ叩いた。
それは常人なら耐えきれない程の重みを持った攻撃であったが。
「あらあら? なにかしら?」
「あ~、その。肩にパンくずついてたんで」
「え! やだ、お姉さん恥ずかしい。取ってくれてありがとう」
ガントレット装備でベシベシされてもこの反応。
よし、まだ食べ足りないな!
いい子いい子と頭を撫でられて、ケイがパンケーキを食べに戻っていく。
「わるいな。あと頼むわ」
「ずりいっしょ! ケイくん!」
だがケイが倒せないと判断したなら、そうなのだろう。
パンケーキの数が物を言うこの勝負、更に力を得るにはパンケーキを食べるしかない。
ならばあの積み上げたパンケーキの塔を完食したパウルの方が分がある。
愛機Glanzにまたがって、パウルは飛び出した。
宇宙バイクのエンジンが唸りを上げる。
おねーさんを攻撃する事に罪悪感がないといえば嘘になるけれど。
「このまま一気に跳ね飛ばす!」
ステージを疾走し、加速度を上げて牛美お姉さん目掛けて突っ込んでいく。
「あらあら~?」
バイクがぶつかった衝撃に、牛美お姉さんの体が空中へ放り出された。
手応えから、後もう一撃必要だと判断したパウルは奥歯を噛み、ハンドルを廻す。
けれど、その頭を撫でる手があった。
「パウルくん、あとは私にやらせてくれるかしら」
何か言い掛けたパウルの横から、珈琲色の鎧装束に身を包んだ女性が走り出す。
それはユーベルコード・珈琲ノ氷炎戦甲によって変身した茉莉也だった。
「一気に決めるわね」
地を蹴って飛び跳ね、牛美の元へと身をおどらせる。
構えた薙刀の纏う冷気と熱風が膨れ上がり、氷雪と火炎を放ち。
両極をなす二つの力が混じり合い、爆発的な力を生み出す。
「そうよね……」と声がした。「私達は、」
刹那。二人は互いの目を見合った。
「――ええ、お姉ちゃんだもの」
茉莉也お姉ちゃんと牛美お姉さん。
猟兵とオブリビオン。
その立場は違えど、二人は『姉』だった。
だから、下の子が辛い目をしていたら。
……自分が代わってやりたいと、そう思ってしまうのだ。
回転させた薙刀の両対の刃からの攻撃は牛美を斬った。
それがとどめとなり、牛美の身体は地面に落ちてもう動かなかった。
変身を解除した茉莉也は、その傍らに膝をつく。
せめて苦しませないようにと放った一撃によって、牛美の意識はもうない。
「安心して眠って、私が側にいてあげる」
幼い子供を寝かしつけるような声でそう言うと、牛美の手を握った。
オブリビオンは過去の幽鬼、ならば彼女の元になった人もいたはず。
もしその人物が生きている間に出逢えていたなら。
「あなたとも、素敵な友達になれたかもしれないわね」
叶わぬ夢に思いを馳せて、茉莉也はそっと呟いた。
果たしてその声が、聞こえていたのかは定かではない。
けれど、嬉しいような、どこか淋しそうな微笑みを残して。
牛美お姉さんは消滅したのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵