バトルオブフラワーズ⑤~101匹ぬこあつめ
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「キマイラフューチャーがまっぷたつになったことは、貴様らも知っての通りだ」
バーチャルキャラクターのグリモア猟兵、天元銀河・こくう(黒猫看守・f16107)が愉快そうに告げ、集まった面々へと顔を向ける。
「かの世界の中枢『システム・フラワーズ』を占領しているのは、この世界のオブリビオン・フォーミュラ『ドン・フリーダム』。ヤツを倒さん限り、キマイラフューチャーに未来はない」
世界の危機も、彼女にとっては娯楽の一部であるらしい。
にんまりと眼と口を曲げ。
悪だくみをするように、言った。
「『システム・フラワーズ』への突破口を開くためにも、貴様らには、もうひと働きたのむぞ!」
こくうは、今回の戦争マップを猟兵たちの眼前に広げた。
まっぷたつになったキマイラフューチャーの中央には、6つの領域がある。
「中枢に至るためには、まずは周囲を守る6つの『ザ・ステージ』を全てとり戻す必要がある。今回、貴様らを送りこむのは『ザ・ゲームステージ』。ゲームキャラクターに関する特殊戦闘ルールが適用されるステージだ」
グリモア猟兵は黒い猫耳をピンと立て、眼帯をしていない金の片眼をらんらんと輝かせ、続ける。
「このステージは、ゲームの世界に入りこみ、ゲームをクリアすることで勝利できる。ゲームタイトルは『101匹ぬこあつめ』! 貴様らはこのゲーム世界へと入り、101匹のぬこを捕獲するのだ!」
ちなみに『ぬこ』とは、マシュマロのようなふわふわの身体に、猫のような耳と、短い手足をつけたようなゲーム世界の生き物のことである。
UDCアースでいうところの、ビーズクッションのような感触らしい。
「貴様らが降りたつことになるのは、『廃墟化した宇宙コロニー』。そこに取り残された101匹のぬこを捕獲し、連れ戻すのがゲームの趣旨だ」
ほのぼのとしたタイトルでありながら、ゲーム世界設定は意外とシリアスな内容らしい。
「クリア直前になると、『つよくてクールなアニマルズ』が現れ、ぬこを奪おうとする。その妨害を撃破できれば、ステージクリアだ」
ゆらり、黒い尾を揺らしながら、こくうは笑んだ。
「親近感のわく種族救出ゆえ、わたしも駆けつけたいのはやまやまなのだがな! 転送に専念する関係で参戦が叶わん。おのおの、わたしの分までぬこ様をモフモフ……もとい、保護してくるがいい!」
●
――ゲーム世界内では。
廃墟と化した都市群は、今や生命力旺盛な植物にのみこまれつつあった。
緑に覆われた残骸のなかを、マシュマロのような胴体の生き物が、短い手足を懸命に動かし、トコトコと歩いていく。
これまで彼らとともにあったニンゲンたちは、もうどこにも居ない。
ぬこは、変わることのない青空を見上げ、
「ぬみゃーん」
どこか哀し気に、ないた。
西東西
こんにちは、西東西です。
本シナリオは、『キマイラフューチャー』の戦争「バトルオブフラワーズ」に関するシナリオとなります。
マップ【5】ザ・ゲームステージをオブリビオンから取り戻すべく戦ってください。
特殊戦闘ルールは「ゲームキャラクター(敗北条件:ゲームオーバー)」です。
●ゲームの世界観
宇宙戦争によって破壊された宇宙コロニーに置き去りにされた101匹のペット生物『ぬこ』を保護するゲームです。
コロニー内は重力も空気もあるため、普段通り活動できます。
今のところ、『つよくてクールなアニマルズ』以外の敵性存在は確認されていませんが、このコロニーではかつて生物実験が(文章はここで途切れている)
●ゲームクリア条件
ゲーム世界内での『101匹のぬこ』の捕獲。
『ぬこ』はそれぞれ性質や性格がちがい、レアな『ぬこ』も存在するようです。
●持ち込み可能なもの
装備品以外のものは、ゲーム世界内に持ち込めません。
●プレイングの判定方法
・ぬこの捕獲方法。
具体的な方が、より成功確率、捕獲数がUPします。
・捕獲プレイングのみの場合、『捕獲に専念する』と判断します。
特別効果:ぬこの発見確率UP、捕獲数UP。
・戦闘プレイングのみの場合、『危険排除に専念する』と判断します。
特別効果:探索の安全度UP。
(例)捕獲:戦闘が、5:5の割合のプレイング。
捕獲、戦闘、どちらも行動できますが、それぞれの成果は少なくなります。
それでは、楽しんでどうぞ。
第1章 集団戦
『つよくてクールなアニマルズ』
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POW : モグラさんドリル怪人・ウェポン
【モグラさんドリル兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : カエルさん殺法怪人・ジェノサイド
【カエルさん殺法攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : ネコちゃん拳法怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【ネコちゃん拳法】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:まめのきなこ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フルム・サーブル
まずはスマホで課金して金のにぼしを大量購入
そして高いグッズを買って設置
――え、そういうゲームじゃないのかい?
生きている生け花を召喚して、植物群に紛れるように設置
ぬこを発見したら、ぬこの狩猟本能を刺激するよう、物陰からチラチラと覗くように妖精の翅を見せる
それで僕の方へ来たら、生け花で包囲しつつ捕獲しよう
花に興味を持つタイプがいれば、そっちを囮にしても良いしね
ぬこのサイズは不明だけど触れる事さえできれば【グラップル】【怪力】で捕まえよう
敵との戦いは、敵が間合いに入るまでなるべく【力溜め】状態で待ち
【カウンター】【鎧砕き】で対処
ぬこだろうと敵だろうと、突然襲ってきたらとりあえずキャッチ、これで行こう
アリス・フォーサイス
ぬこ、モフりたーい。頑張ってモフるよ。
ゲーム世界ならぼくのフィールドだよ。ハッキングを仕掛けて、ぬこの場所と、それぞれの性格を探るよ。さらに、ぬこの動きを制御して捕まえるよ。
かなりイージーモードになっちゃうけど、ここはモフるのが…いや、クリアするのが大切だからね。
装備品を持ち込めないってルールはぼくにとっては無意味だよ。アナロジーメタモルフォーゼで無機物を必要なものに変えられるからね。これでぬこを捕まえる罠やぬこを入れるかごなんかを作るよ。
モフモフ幸せだなー。もっと捕まえて、もっと幸せになるぞー。
●
ゲーム世界への転送後、開口一番。
「まずはスマホで課金して、金のにぼしを大量購入。そして高いグッズを買って設置。あとはひたすら待つだけ。――え? そういうゲームじゃないのかい?」
「うん。そういうゲームじゃないと思うよ」
フェアリーのフルム・サーブル(森林の妖精さん・f03354)が意外そうに零すそばで、穏やかな笑みとともにツッコミを入れたのはバーチャルキャラクターのアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)。
確かに、似たようなタイトルのゲームはどこかの世界に存在していたが、あれは単純に猫をあつめるゲームだったはずだ。
間違っても、宇宙コロニーでぬこを捕獲するゲームではない。
「それでも、考え方は一緒だと思うんだ」
『ぬこ』とはいえ、相手は生き物。
捕獲するならば、罠を仕掛ける手段も有効であるだろう。
「もちろん、その点については同意するよ。でも、あのゲームと違って、このコロニーは広さがあるからね」
「そこで、ぼくの出番!」と、アリスが眼前で羽ばたくフルムへ笑顔を向ける。
「ゲーム世界なら、情報妖精であるぼくのフィールドだよ。この世界にハッキングを仕掛けて、ぬこの場所と、それぞれの性格を探ってみるよ」
意気揚々とハッキングを開始し、コロニー全域の情報を早々に解析。
ぬこの場所と、それぞれの性格を探ることはできたが、ゲーム世界とはいえ敵のフィールド内。
ぬこ自体の動きを制御することだけは、叶わなかった。
「まあ、そこまでできたらかなりのイージーモードになってしまうしね」
力及ばず残念ではあったが、それでもアリスの能力がこの世界内で有効であることは間違いない。
ユーベルコード『類推的手法による物質変換(アナロジーメタモルフォーゼ)』を用いて、次々と罠やかごを生み出していく。
「ぬこの位置がわかるようになると、だいぶ楽できるね」
感心したフルムが、アリスに礼を告げる。
「ぬこ、モフりたーい。頑張ってモフるよ」
効率よく捕獲ができるのであればと、アリスもやる気満々だ。
フルムは近くに存在した別のぬこを狙うべく、コロニーに自生していた植物内へ、ユーベルコード『生きている生け花(バトルフラワーアレンジメント)』を発動。
「花は野にあるように」
顕現した33本の花々に、フルム自身が舞い降りる。
「ぬみゃっ」
気付いたぬこが花を注視すれば、花の影からチラチラと蝶の翅が羽ばたいている。
コロニーに放置されたぬこたちの一部は、狩猟本能を目覚めさせ、餌を自力で捕らえ生きながらえているものが多かった。
動く物に眼がないぬこは、その場でお尻をフリフリ。
次の瞬間、蝶の翅めがけ目にもとまらぬ速さでとびかかったのだが、
「捕まえた!」
ぬこの額にとりつき、怪力とグラップルを駆使してキャッチ!
生け花たちもわらわらと寄り集まって押さえこみ、待ち構えていたアリスが虫取り網のような道具で手早くぬこを捕らえた。
「手荒な目にあわせてごめんね」と、かごに移し替える前に抱きしめれば、ぬこはふんわりと柔らかい。
「ぬみゃー」
じたじたと手足を動かすぬこを撫でながら、
「モフモフ幸せだなー。もっと捕まえて、もっと幸せになるぞー」
アリスとフルムは次のぬこをつかまえるべく、コロニーを歩きだした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
二條・心春
なるほど。かわいいですね……!こんな子達が取り残されているなんて……一刻も早く助けましょう!
では私はぬこさんの捕獲に専念します。【ウェポン・ブースト】を使って、ブースター付きの槍に乗って、高いところとか、見つけづらい場所を重点的に探しましょう。「第六感」を働かせたり、足跡とかを「情報収集」しつつ探します。
ぬこさんを見つけたら、怖がらせないように優しく声をかけながら、ゆっくり近づいて抱きしめます。ついでにもふもふします。ぬこさん、助けに来ましたよ。もう怖くないからね。もし彼らが怪我しているなら、救急セットを使って治してあげましょう。
銀座・みよし
あれが、ぬこさん…んまーっ!可愛らしい!!
触ったらふにっふにのふわっふわしてそうで素敵ですね…わたくし、俄然やる気が出たのでございます
ぬこさん探しに専念いたします
とりあえず持ってきているホイッスルをぴゅーと吹いてみましょうか
ぬこは猫ではないので必ずやってくるとは限りませんが
楽器演奏のように調子をつけて吹けば、お歌が好きな子が来てくれるかもしれません
そうした子がわたくしの元に来てくれたら、怖がらせぬように優しく一緒に来てくれないかなってお願いいたしますね
…そういえば動物と話す要領でいいのかしら?
あとついでに、でございますけど
ぬこさんをふわふわもふもふと撫でて愛でたいのでございます
(アドリブ歓迎!
輓馬・桜
※アドリブ・連携歓迎します。
捕獲に専念します。
ランドセルを背負った少年呪術師に、彼が[影の追跡者]を使って呼び出した使い魔ネズミが作戦を提示する。
ネズミ曰く……
ネコというのはネズミを追いかけるものであり、きっと『ぬこ』も同様であろうから、自身がコロニー内をくまなく走り回り、囮となって『ぬこ』を誘き出すので、それを桜を含む猟兵が捕まえればよい。
それに桜は[動物と話す]ことができる上に[コミュ力]もある。
保護した『ぬこ』からの[情報収集]に挑戦してみるのもよいだろう。
「はーい、じゃあそれで!」
話を聞き終わった桜は返事をするが早いか、モフモフとした『ぬこ』たちを求めてネズミと共に走り出す。
●
「あれが、ぬこさん……んまーっ! 可愛らしい!!」
「本当に! かわいいですね……!」
「触ったら、ふにっふにのふわっふわしてそうで素敵ですよね……!」
「こんな子達が取り残されているなんて……、一刻も早く助けましょう!」
「わたくしも、俄然やる気が出たのでございます!」
トコトコと眼前を横切っていく黒いぬこを発見し、シャーマンズゴーストの銀座・みよし(おやしきのみならいメイド・f00360)と、UDCアース出身の少女、二條・心春(弱さを強さに・f11004)が、がっつりと握手を交わす。
二人をよそに、黙々と捕獲準備を進めるのは、UDCエージェントである小学一年生、輓馬・桜(少年呪術師・f17773)だ。
ユーベルコードで召喚した使い魔のネズミたちが語る言葉に耳を傾け、
「ネコはネズミを追いかけるものであり、きっと『ぬこ』も同様であろう。自分がコロニー内をくまなく走り回り、囮となって『ぬこ』を誘きだすので、それを皆で捕まえればよい、と彼らは言っています」
「それは助かります」と、心春が顔を輝かせ、
「では、私はぬこさんの捕獲に専念しますね。ブースター付きの槍に乗って、高いところとか、見つけづらい場所を重点的にフォローしましょう」
「わたくしは、とりあえず持ってきているホイッスルを吹いてみましょうか。楽器演奏のように調子をつけて吹けば、お歌が好きな子が来てくれるかもしれません」
なにしろ、猫に似ているとはいえ、『ぬこ』という別の生き物なのだ。
なんであれ、やってみる価値はあるだろう。
みよしの言葉に、桜も頷いて、
「はーい、じゃあ、それでいきましょう!」
手始めに目の前を歩いていった黒ぬこを追跡するべく、走りだした使い魔ネズミたちのあとを追い、駆けだした。
「上手く制御できれば良いのですが……!」
心春も『対UDC用量産型直槍』に高出力のブースターを搭載し、後を追うように行動を開始する。
「ネズミですよ! たくさんのネズミがここにいますよ!」
動物にもわかる言葉で叫んでまわれば、ネズミの気配と桜の声を聞きつけたぬこが、ちらほらと姿を見せ始めた。
とはいえ、ぬこをおびき寄せられたとしても、それぞれの動きまでは制御できない。「こうしてみると、結構足跡みたいなのが残ってるのね」
心春はあたりを注意深く見渡しながら、第六感も用いて、猟兵たちに気づき脱げだしたぬこが隠れた位置を特定。
槍から降り、優しく声をかけながら、ゆっくりとぬこに近づいていった。
「ぬこさん、助けに来ましたよ。もう怖くないからね」
暗がりに逃げこんだぬこへ手を伸べれば、すんすんと鼻先を寄せ、匂いをかぎにやってくる。
逃げるそぶりがないことを確認し、そっと抱きしめると、ぬこは「ぬにゃーん」と鳴き、心春の腕におさまった。
「はああ、ふかっふかです……!」
もふもふの身体が心地よく、思わず顔を埋める。
「ぬみゃっ!」
ぬこはジタバタと暴れ、悲鳴のような声をあげた。
よくよく見れば、ぬこは脚に怪我をしているようだ。
「ごめんね、痛かったよね。すぐに手当てしてあげるからね……!」
ポーチ型の『ポータブル救急セット』で手当てを施せば、ぬこの具合も落ちついたらしい。
「まずは一匹目、ですね」
怪我したぬこを腕に抱え、心春は再び槍に飛び乗る。
桜がぬこたちを誘い寄せ、心春が個々に散ったぬこを回収してまわる一方。
みよしは、『あにまるホイッスル』をぴゅーと吹き鳴らしていた。
鳴らせばその場に居る小動物が寄ってくる、という触れ込みのホイッスルだが、動物たちが効く耳をもつかは、その時々のみよしの腕しだいだ。
根気よくメロディを奏でていると、何匹かのぬこが、物珍しそうにみよしの周囲に集まってきた。
「ぬみゃー」
「ぬみゃあお」
興味津々の顔でこちらを見上げ、メロディに合わせてぬみゃぬみゃ鳴く様子をみるに、特にこちらを警戒している様子はなさそうだ。
「まあまあまあ、こんなにたくさん! みんなお歌が好きなのかしら? もしよろしければ、わたくしと一緒に安全なところへ参りませんか? ぬこさんたちのために、演奏会を開きましょう!」
動物と話す要領で話しかければ、きちんと通じたらしい。
足元にすり寄ってきたぬこを、そっと撫で。
「ふわふわのもふもふ! 極上の手触りでございます……!」
その感触に感動しながら、ぬこたちと一緒に、仲間たちのいる場所へと歩きだした。
ネズミたちをあちこちへ走らせながら、桜も捕獲したぬこたちと話をしていた。
「なんだか、怪我をしているぬこが多いようですけど。どうしたんですか?」
問えば、ぬこたちは哀し気に言った。
ここには、ぬこたちのかわいさをねたんで追いかけまわす、無慈悲な『生き物』が居るのだ、と――。
大成功
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イリーツァ・ウーツェ
●捕獲専念
とんでもなく腹の減る外見をしているな……。
いや、今は我慢しよう。食っていいとは言われていないからな。
【UC】を使い、直感的に居ると思われる方向に車を走らせ、
(第六感)
捕まえたら車に放り込み、次へと向かう。
居そうだが姿が見えない場合は、ジャーキーなどを置いて物陰へ
出てきた所を尾を伸ばして捕まえる。
(見切り)
本人が向かうより疾いからな。
敵が出てきた場合は車で轢く。
(運転)
今回は捕まえる方が優先だ。
●
UDCアースで個人タクシーを営むドラゴニアンのイリーツァ・ウーツェ(盾の竜・f14324)は、ゲーム世界内でも愛車のハンドルを握り、無人の宇宙コロニーを走っていた。
ユーベルコード『不推不察・超直観』――直感力を極限まで高め、正解だけを選ぶ能力と第六感を駆使し、見かけたぬこを捕獲してまわっているのだ。
「みゃー」
「ぬみゃーん」
UDCアースでいう、猫サイズのマシュマロが車内を闊歩しているが、改造済の大型車両のなかは広々としており、多少ぬこを放りこんだところで手狭にはならない。
「それにしても。見れば見るほど、とんでもなく腹の減る外見をしているな……」
丸かぶりしようものなら、胸やけしそうな姿。
ふいにバックミラーに視線を移せば、心なしか、そこに映る子猫を抱いた女性が、イリーツァを非難しているように感じる。
「……いや、今は我慢しよう。食っていいとは言われていないからな」
誰にともなく呟き、手近な地点でふたたび車を停める。
いくつかのぬこの気配は感じるものの、姿を認めることはできない。
「ふむ」
気配を感じる周辺に用意していたジャーキーを置き、イリーツァ自身は物陰へ。
コロニー暮らしは食料の確保に苦労するのだろう。
少し待てば、ぬこたちは匂いにつられてそろそろと集まってきた。
警戒心が緩んだ瞬間、イリーツァの竜尾が伸び、ぬこの胴体を絡めとる。
卵を巻き取れるほど器用に動くその尾は、ぬこを捕まえては車へ放りこみ、寄ってきたぬこをさらに捕まえ、また車へ放りこんでいった。
直感や第六感で、もうこの場にぬこは居ないと感じられれば、また次の場所へおもむくべく、車へと乗りこむ。
そうして、数十匹の猫にまみれながら運転をしていた時だ。
イリーツァの進行路上に、蝶ネクタイよろしく、首元にリボンを結んだカエルが現れた。
二足歩行をするらしいそのカエルは、あえてだらりと両腕を垂らし、車を見据えたまま動かない。
「ああ、あれが」
グリモア猟兵の言っていたオブリビオン、『つよくてクールなアニマルズ』の一体だろう。
イリーツァはそうと判断したうえで、あえてアクセルを強く踏みこんだ。
車を降りるよりも、こうする方が早い。
――ぼこんっ!
二足歩行のカエル――もとい、カエルさん殺法怪人は、どでかい車に轢かれ、ボンネットを飛び越え後方へごろんと転がり落ちた。
バックミラーごしに確認すれば、地面に倒れたままのカエル怪人は、そのままぴくぴくと痙攣し、起きあがらない。
車内はというと、衝突の衝撃でぬこたちが前方に飛びこんできたが、エアバッグのごとくイリーツァの周囲に詰まり、だれもかれも無事だった。
「今回は、捕まえる方が優先だからな」
ぽいぽいとぬこたちを後部座席へ投げこむと、ふたたびアクセルを踏み、走り始める。
バックミラーに映る女性の腕の中で。
子猫がふわぁと、大きくあくびをしたのが見えた。
大成功
🔵🔵🔵
高宮・朝燈
猫…じゃないんだね。
101匹も居るなら、まずは集める所から始めないと。
しかし『ぬこ』かぁ…嗜好は猫と一緒でいいのかなぁ?
ポチッとな。
「「「か~んか~らか~ん」」」
…それなら、歩く猫缶とか、どうでしょ?
いろんな所で缶を開けて、臭いを漂わせながら広場に誘導するように動けば、何十匹か、レアとか関係なく集められるんじゃない?
とりあえず、100缶。まるで100連ガチャだね!
集めたぬこは…どうしようか?
とりあえず、広場の特に見通しの良い所に集められるだけ集めて、怪人の動向を探ろうかな?
見た感じ、怪人に飛び道具は無さそうだし、見通しが良ければ対策も立てられそう。
千愛・万望
うわああああ可哀想!ぬこおおお!
動物の哀しげな鳴き声ってえのにあーしは弱いんよ!
もう大丈夫だわさ!あーしが来たからねえええ!!
置き去りにされてどうすることもできずにいるぬこは【動物と話す】技能で友好的に近付いて大事に保護するよ
これでも【動物使い】技能は持ってるんでね、寂しそうにしてる子の目はわかるつもりだわさ
マイペースなぬこは【忍び足】でこっそり近付いて【早業】で捕獲さね
あんまり逃げちゃう子は……しょうがない、手荒なことはしたくないが…《星縛》!
オブリビオンには構ってらんないが
あんまりうざったいなら《星縛》からの【早業】で鞭による【範囲攻撃】
あんたらは可愛くない!!ひっこんでな!!
ルパート・ブラックスミス
UC【錬成カミヤドリ】起動。30体超えの複製鎧を連れてぬこの捕獲活動に入る。
要は【救助活動】と考えればいいのだろう。ならどう動けばいいかは大体解る。
まずはコロニー内をマッピング、ぬこを所在や移動ルートを【情報収集】。必要な情報を把握次第、行動開始。
こちらから逃げるぬこは複製鎧を複数動員して包囲するように【おびき寄せ】て捕獲。
【失せ物探し】の要領で廃墟の奥や悪所も探索、取り残されて身動きがとれないぬこがいたら自分自身が青く燃える鉛の翼で飛翔、空中から救出する。
捕獲できたぬこはトライクの後部座席に詰める。
オブリビオンが妨害してきたら手近な複製鎧を囮にして適当に【なぎ払い】だ。
【共闘・アドリブ歓迎】
舞音・ミケ
【戦闘に集中】
皆が集めたねこ…みたいな子たちは私と猫が守る。
敵は近くにしか攻撃できなさそうに見えるし…
「まる」の出番…来て、まる。
離れてても相手が多くても大丈夫。
まる、思いっきり叫んじゃって。
モグラも猫も耳が良いから良く効く…かもしれない。怪人だけど。
カエルは知らない。
怯ませたら次は転がって潰しちゃって。
ドリル刺さらないよう気を付けてね。
潰し損ねは私が…敵の元へ飛び込み、短剣「ネコノツメ」…【早業】で行動させないうちに斬り掛かる。
未知の存在にも一応警戒。
現れたら単体なら私が短剣で、相手が多いか大きければまるが戦う。
ぬこともちょっと挨拶してみたいな。
まるはまるまるしてるし仲良くなれるかもね。
●
「猫……じゃないんだね。101匹のうちの半分は集まったとはいえ、残りを集めきるには大々的に捜索をすすめないと」
他の仲間たちが捕まえてきた50匹ほどのぬこを見やり、妖狐のガジェッティア高宮・朝燈(蒸気塗れの子狐・f03207)が小さく嘆息する。
これまでに捕獲したぬこは一か所に集められ、手の空いた者たちがオブリビオンの襲撃に備え、警護をおこなっている。
マシュマロじみた生き物たちが即席でつくられた柵のなかをトコトコと歩くさまは、はた目にはなかなかシュールな光景だ。
「嗜好は、猫と一緒でいいのかなぁ?」
ほかの猟兵たちの報告を確認したところ、UDCアースの猫に似た特性をもっていると考えても大丈夫そうではある。
「よーし、今回もレギオンガジェット、行ってみよう! ……えいっ!」
ポチッとユーベルコードを発動させれば、105体の小型ガジェットロボが召喚され、わらわらと朝燈の周囲に集まった。
「「「 か~んか~らか~ん 」」」
その姿は、『歩く猫缶』。
猫缶にカニのような多脚がついた姿で、缶切り型のアームで自身を開封できるようになっている。
「いろんな所で缶を開けて、臭いを漂わせながら広場に誘導するように動けば、何十匹か、レアとか関係なく集められるんじゃない? とりあえず、100缶。まるで100連ガチャだね!」
愉快そうに告げて、各ガジェットへコロニー内へ散るように命じ、自身は見通しの良い場所に立ち、猫缶たちと怪人たちの動向を探ることにする。
「要は『救助活動』と考えればいいのだろう。なら、どう動けばいいかは大体解る」
ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)もユーベルコード『錬成カミヤドリ』で自分の本体(鎧)を33体複製し、猫缶ガジェットに続くべく捕獲活動を開始する。
コロニーを歩き回る最中も、マッピングは欠かさない。
猫缶ガジェットへのぬこたちの反応を探りながら、その所在や移動ルートをつぶさに調べていく。
さまよう鎧たちが一斉に向かいくる様は、ぬこたちにとっては警戒に値する光景だったが、それ以上に、美味しい匂いをふりまきながら歩き回る猫缶ガジェットの威力は絶大だった。
ぬこたちにも恐怖心はあるものの、餌が歩いてやってくるという夢のような事実に抗えず、残るぬこたちは次々と保護されていった。
この現象はルパートの行動にも善い方向に作用し、特に、廃墟の奥や悪所に取り残されて身動きがとれなくなったぬこを探すのに、一役買った。
猫缶の匂いが近づけば、どのぬこたちも懸命に鳴きだしたので、単に捜索をすすめるよりも、格段に所在がわかりやすくなったのだ。
ルパートは青く燃える鉛の翼で飛翔し、足場の崩れた廃墟に取り残されていたぬこを腕に抱えると、大型トライクの広大な収納スペースに詰めていった。
「うわああああ可哀想! ぬこおおお! 動物の哀しげな鳴き声ってえのに、あーしは弱いんよ! もう大丈夫だわさ! あーしが来たからねえええ!!」
人間の陰陽師である千愛・万望(誰が為に誰が為す・f17823)は涙を流しながらそう告げて、猫缶ガジェットの匂いにつられてやってきたぬこを抱きしめる。
動物使いの技能をもっている万望には、寂しそうにしているぬこの目がわかるのだ。
ひとしきりモフモフして構った後は、猫缶ガジェットに頼んで、仲間の猟兵がいる広場へと連れていってもらう。
猫缶ガジェットに夢中になり、てしてしと攻撃を仕掛けているぬこは、忍び足でこっそりと近づいて、早業で捕獲!
それでも逃げようとするぬこに対しては、
「手荒なことはしたくないけど、しょうがない。――『星縛』!」
護符・呪符をねじり合わせ鞭としてあつらえた『霊符拵五芒鞭』をぴしゃりと鳴らし打ち、呪縛封印の法で確実に捕まえていった。
「よーしよし、いい子だねえええええ!!」
自分の脚で歩くぬこは、そのまま引き連れて。
暴れる子は腕に抱え、万望は仲間たちの待つ広場へと向かおうとするも、道の先に、ドリル兵器を手にしたモグラと、ネコちゃん拳法の構えをとったままのネコ怪人が現れた。
迂回してやり過ごそうにも、相手が2体では逃げ切れそうにない。
「あんたらは可愛くない! ひっこんでな!!」
抱えていたぬこをかばうように鞭を振るい、ふたたびユーベルコードを発動!
呪縛封印の法で、ネコちゃん拳法怪人の動きを封じることに成功したが、モグラさんドリル怪人には回避され、そのまま一同を追ってくる。
「ええい、うざったいね!」
猫缶ガジェットや、それを追うぬこ。
そして腕に暴れるぬこを抱えたままでは、満足に戦えない。
ぬこを離し、万望がモグラ怪人と対峙しようとした、その時だった。
「骸の海に還るがいい」
上空から声がしたかと思うと、援護に駆けつけたルパートが翼を広げて滑空してくる。
大剣を振りかざし、着地とともに、一閃。
地を抉るほどの衝撃を受け、モグラ怪人は吹き飛ばされた。
すぐさま複製した鎧たちが駆けつけ、ネコ怪人の動きを牽制。
万望たちの退路を確保する。
「行け」
「恩にきるわさ! ありがたく先にいかせてもらうよ!」
万望は力の限り、全力で仲間たちのもとへ走った。
「怪人たちがやって来たよ!」
ぬこあつめをガジェットに任せ、怪人たちの動きを観察し続けていた朝燈は、オブリビオンの姿を認め、ぬこの保護地に真っ先に知らせてまわった。
現場に居合わせた猟兵たちの多くが集めたぬこたちの護りにつき、攻撃を一手に引き受けるべく果敢に敵の前に立ったのは、猫耳と尻尾をもつキマイラの舞音・ミケ(キマイラのサイキッカー・f01267)だった。
「皆が集めたねこ……、みたいな子たちは、私と猫が守る。――来て、『まる』」
呼び声に応え、丸々とした超巨大猫の霊がアニマルズの前に出現。
モグラ、カエル、ネコの3怪人たちを前に、フーッと毛を逆立て、丸い身体をさらにふくらませる。
『つよくてクールなアニマルズ』は、変わらぬ表情がどこか不気味に映るものの、これだけの猟兵が援護についているのだ。
(「離れてても相手が多くても、大丈夫」)
「まる、思いっきり叫んじゃって」
許しがでるなり、巨大猫は眼をほそめて、口を開いた。
――みゃおおおおおおぉぉぉん!!!
大音声に耳をやられ、モグラ怪人とネコ怪人がばたばたと膝をつく。
すかさずまるがゴロンゴロンと地面を転がり、モグラとネコを潰しにかかった。
「ドリルが刺さらないよう、気をつけてね」
2体はまるの下でぺちゃんこになり、ポップコーンのように弾けて消えたようだが、ミケはカエル怪人が攻撃を回避していたのを、見逃さなかった。
ぬこの柵へ向かおうとするカエルの背へ、
「させない」
『ネコノツメ』と呼ぶ真っ白な短剣を手に、斬りかかる。
切れ味するどい刃は、すっぱりとカエルの背を斬り裂いて。
超高速連続攻撃を披露するまもなく倒れたカエルは、そのままぽーんと弾けて、ゲーム世界から消えていった。
――パンパカパーン!
猟兵たちのあつまった広場の上空に、ファンファーレとともに『GAME CLEAR』の文字が浮かぶ。
どうやら、朝燈、万望、ルパートたちが連れ戻ったぬこを合わせて、101匹のぬこを集めきれていたらしい。
続いて空を流れていくスタッフロールをよそに、ミケは足音に寄ってきたぬこの1匹のそばに、座り込む。
巨大猫のまるをみやれば、柵内で一緒に丸くなっていた。
「まるは、まるまるしてるし、ぬこと仲良くなれるかもね」
そっと、眼前のぬこを撫でれば。
マシュマロのようなぬこは、機嫌良さそうに「ぬみゃー」と鳴いた。
大成功
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