1
バトルオブフラワーズ④〜Remember Beans

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#キマイラフューチャー
🔒
#戦争
🔒
#バトルオブフラワーズ


0




「集合知の脅威を怪人達へ文字通り振舞っては頂けませんか」
 本日のちっさいテレビウムの第一声。普段の前置きは置いて来た模様。

「メンテナンスルートの為に世界が真っ二つになる辺りすら予定調和なんだろうな感満載のキマイラフューチャーですが、皆さんご存知の通り緊急事態です。システム・フラワーズさんの救援要請に全猟兵で当たる事となりましたが、先ずは『ザ・ステージ』の制圧です」
 先だってのテレビウム・ロック騒動で全ルートが解放されたとはいえ、6箇所に散らばる『ザ・ステージ』全てから怪人を駆逐せねば肝心の中枢へは辿り着けない。
「それでですが、只今より皆さんを転送する場所は一面の豆畑です。怪人御一同様がせっせと色々な豆類を収穫していますが、収穫中は何故か完全無敵ですチートですかあれ」
 つらつらと述べるうちに薄らと怒りの声音になりつつあるテレビウム。
「ただ、彼等の最大の弱点は豆料理。惹かれて寄ってきて一口食べればあら不思議、無敵どころか一撃でボコれます」
 つまり現状自分達の弱点の材料をめっさ積み上げているとも言えるわけです、と続け。
「という訳で武器になるのが皆さんの集合知……豆料理の知識です。古今東西全世界の豆料理を現地で調理し怪人御一同様へ振舞って頂いてフルボッコ、というのが今回のクエストです」
 幸い現地の豆畑中央にはオープンにしては完璧過ぎるキッチン一式が備わっているそうなので、現地の材料をメインに組み込めば良さそうだ。
「但し制限時間は『怪人に一定量以上の豆を収穫され積み上げられる』までです。どれだけ美味しい絶品料理だろうとタイムオーバー即退場敗北ですので、長時間必要なものは避けた方がいいかもしれません」
 また多人数での分担もいいが調理と撃破の両立が必須だという事も忘れずにと付け加え。
「ご助力願えます方はどうぞこちらへ。準備の出来た方から最速で転送致します」
 いつものワープポータル型グリモアを起動した横で、カラビヤン・オダマキ(Little-Jane-Doe・f16643)は深く一礼するのだった。


蔓這霜
 皆様おはようございます、蔓這霜と申します。
 怪人達の風貌的に玉蜀黍と迷った末の豆料理バトルを開催する運びとなりました。
 又特殊戦闘ルールに則りタイムオーバー即敗北です。調理時間には御留意を。

 ◇要約:豆類メインの料理を作って収穫中の怪人達を誘惑し食わせフルボッコ。

 ◇補足事項は以下の通りです。
  ・さやえんどう、さやいんげん、落花生も豆カテゴリでOKです。
  ・枝豆と大豆は何故か美味しい時期を見計らって収穫してくる為両方あります。
  ・下茹で、からいり等の下拵えに相当する作業は省略OKとします。
   魔法の言葉『〇〇した物がこちらになります』をどうぞ。
  ・団体戦を挑む場合は調理担当、戦闘担当と分担して頂いて構いません。
   尚その際は『必ず』同行者No.や旅団名等明記して頂けます様お願い致します。

 尚戦争系シナリオの為序文掲載は行いません。
 オープニングが公開された時点で受付開始となります。

 それでは皆様とのご縁を頂けます事を祈りつつ。宜しくお願い致します。
7




第1章 集団戦 『炭水化物トリオ』

POW   :    炊きたてごはん怪人・ウェポン
【炊きたてごはん兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    焼きたてパン怪人・ジェノサイド
【焼きたてパン攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    蒸したて中華まん怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【蒸したて中華まん】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:まめのきなこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

聖護院・カプラ
調理時間に気を払い作った豆料理を食させる事で倒せるようになるオブリビオンですか。
やはり時間内に簡易的に調理を為そうというのなら、あの料理を選択する他ないでしょう。

取り出したるは『ひよこ豆』。
茹でておいたこちらを徳でマッシュした後に、
『練りゴマ』『オリーブオイル』『レモン果汁』『ニンニク』を混ぜ
ペースト状にしたものになります。
本来はゴマやレモン、ニンニクは素材から作る所ですがチューブの物で構いません。風味はそう落ちませんし、コンコンで新鮮な素材を探すのにも時間がかかりますからね。

ああ、ピタがありませんね。
豆乳クラッカーを代わりに沿えて……召し上がって下さい。

今です。『警策』によるチョップ攻撃を。



「なるほど、此方のオブリビオンは作った豆料理を食させる事で倒せるようになるのですね」

 キッチン中央に転送され、周囲の畑で背負い籠へ収穫した豆を投入し続ける怪人達を視界に収めた鋼の偉丈夫。
 この愉快自在の世界でなくば仏神の顕現と見紛う姿の主、聖護院・カプラ(旧式のウォーマシン・f00436)。
「しかし、やはり時間内に簡易的に調理を為そうというのなら」
 豆類満載の背負い籠でキッチンの物理的封鎖を図ろうとしているのか、進行形で土嚢の如く積み上げようとする怪人達を眺め、調理時間にも気を払わねばならぬと彼が選択したのは、ひよこ豆。
 茹でておいたひよこ豆をボウルに移し、先ず荒く潰す。
 その中に練りゴマを、レモン果汁を、ニンニクを、オリーブオイルを加え擂り潰していく。
 本来は練りゴマもニンニクも素材から加工したいし、レモンも絞りたてを加えたいところだが、コンコンでの調達で全て揃うかは運任せであるし、チューブ製品での代用でも味は然程落ちぬと判断したようだ。
 その代わりと己が威徳を豆擂る手に込め続けて暫し後。

 ペースト状に混ざったボウルの中身を小鉢によそい、大皿に置く。
 さてこれに合わせるならばピタであろうが見当たらぬ……おや、良い物がありました。
 ふと目線を上げると、調理風景に釘付けになっていたらしき焼きたてパン怪人。わらわらわら。
「なあ……それは、それはまさか」
「どうぞ、召し上がって下さい」
 カプラに勧められ渡されたそれでペーストを掬い、そのまま一緒に口の中へ。
「おい、フムスだ! フムスが此処で食えるとは思ってなかった!」
「しかもこのクラッカー豆乳入りだ! 豆で豆を食せるなんて極楽浄土か!?」
「ありがてえ……ありがてえ……懐かしい……」
 感激し咽び五体投地でカプラを拝む怪人達、キッチンが仏殿に変わったその瞬間。

 ――警覚策励。

 静かに振り下ろされた手刀は、確かに怪人達を捉え……彼等の悉くを無に帰した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

仁科・恭介
※アドリブ、連携歓迎
【携帯食料】を噛みながら脳細胞を強化し【学習力】で対策を検討
「このオブリビオン達なら…カレーだな」

材料:
レンズ豆、鶏肉、枝豆、トマト、ニンニク、ショウガ、クミン、カレー粉、塩コショウ、唐辛子

ニンニク、ショウガ、クミンを油で炒めて香りを出し、レンズ豆、鶏肉、大量のトマトを投入して煮る
豆と鶏肉に火が通ったら小皿に分けて…彩りと甘みのアクセントで茹でた枝豆を投入
唐辛子はお好みで
どの怪人とも相性が良いはずだ

食べている時に一言
「そのまま食べても良いのですけど…ご飯やパン、饅頭につけて食べても美味しいんじゃないですかね」

混乱が始まった所で【携帯食料】を口に放り込み残った怪人を一掃する



 中々の人数が功徳で渡(骸)海したとはいえ、まだまだ収穫を続ける怪人達。

 豆畑を駆け巡る彼等の姿を視線で追う、仁科・恭介(観察する人・f14065)の手には干し魚。
「このオブリビオン達なら……」
 主に彼等の『頭』を注視しながら咀嚼し思索を巡らし、辿り着いた解答に頷いて鍋を取り出した。
 油を注ぎ、温まってきた頃にクミンを、次いでニンニクとショウガを投入して炒める。
 そして鶏の挽肉を加えて炒め、主役のレンズ豆と大量のトマトも一緒に。
 ことこと煮込んで最後に決め手を投入。

 ……ゆうらりふわり、スパイスを炒めている頃から漂っていた香りが一転暴力的に変わる。
 過去より詣でし怪人達のDNAにこれでもかと刻み込まれた抗えぬ誘惑の芳香。
 ひとり、またひとり、手が止まる。足が動く。ふらふらと、ゆらゆらと、キッチンへ。

 恭介の側も仕上げに移る。小皿に盛り分け、彩りと甘味添えるは緑も鮮やかな茹で枝豆。
 唐辛子の粉もお好みでどうぞと個人に合わせた心遣い。

 ――水を一切用いず素材の旨味のみを引き出し凝縮したカレーが、其処にはあった。

「旨い……旨いぞ、何倍でも食えるぞ!」
「この枝豆が良い仕事をしている、料理は目でも食すとは言ったものだ」
 うまうまと相伴に与る怪人達だが、目の前のコックが誰だったかを忘れていたのは致命的だったろう。

「そのまま食べても良いのですけど……ご飯やパン、饅頭につけて食べても美味しいんじゃないですかね」
 にっこり。
 ……ああそうか、だから恭介さん最初にずっと『頭』見てたんですね酷い罠だ!?
「……パン……パンもいいな……」
「……そうか……白米も至高だな……」
「……饅頭……新たな世界が……」
 がたり。
 スプーン片手に虚ろな呟きを纏い互いの頭を狙い始める怪人達を後目に、恭介が今度は干し肉もぐもぐ。
 そしてきらっきらに完璧に研がれた刀を鞘から引き抜いていたのでありました。

 ――何が彼のカレーに一番合う主食だったかは、彼のみぞ知る。

成功 🔵​🔵​🔴​

尾崎・ナオ
時間制限があって。
周囲は豆ばかりで。
なぜか枝豆は何故か美味しい時期と。

そんなのコレしか無いじゃーん♪
枝豆の塩ゆで!
これに勝る料理があるわけない!(ナオの中で)

ふふー、ちょっとした裏技。
塩モミする前にね、さやの両端をハサミで切るの。
そうすると塩味が付きやすくなるんだよ~。

大きなお鍋にお湯を沸かしている間、がっさがっさと塩モミ。
お湯が沸いたらそのままイン!
3分経ったらザルにあげて、塩を振って、さあどうぞ!

こんなの、ビールが欲しくなるに決まってる…!
あ、ビールって知ってる?
人間が造り出した叡智の結晶なんだよぉ(ナオの中で)

美味しい?
そっかぁ、良かった!
【拳銃早打ち】とクイックドロウ108で仕留める。



 集合知の暴力により積載速度が目に見えて落ちた背負い籠を覗き込む小柄な人影。

 隣同士の背負い籠には一見、同じ種別に見えない豆が収穫されていた。
「時間制限があって」
 片方は黄色く乾き陽光に透かせば中も見えるだろう鞘。
「周囲は豆ばかりで」
 他方は緑も鮮やかに若々しく未熟に見えるだろう鞘。
「何故か枝豆は何故か美味しい時期と」

 ――前者を大豆、後者を枝豆と呼ぶ。完熟か未熟かが違うだけで種としては同一である。
 どうして共存出来るんだよという突っ込みは野暮であろう。何分此処はキマイラフューチャー。

「そんなのコレしか無いじゃーん♪」
 くくく、と含んだ笑みを溢した尾崎・ナオ(ウザイは褒め言葉・f14041)。
 彼女の中での最強豆料理を披露すべく大鍋にたっぷりの水を張ってレンジの五徳の上に。
 ざっくりボウル差し込み枝豆を掬おうとして、しかし隣の背負い籠の中身を一つ摘まみ鞘を割り……こっちに変更。
 ざっと水洗いし手にした万能鋏で鞘の両端をちょんちょんと切って別のボウルへ。
 塩味馴染み易くなる素敵な下拵えを仕込み、塩を加えてがっさがっさと鞘ごと揉みながら鍋に目を向ける。丁度ぼこりと沸き立つ湯の様子は何とも頃合い。
 景気良く投入し時計と共に踊る鞘を眺めながら……1……2……3分!
 色鮮やかに茹で上げられたそれを笊へと上げ、仕上げの塩をぱらっと振るえば出来上がり!

 ――シンプル・イズ・ベスト、熱々出来立て枝豆の塩茹で! さあ寄っといで!!

「かーっ! 甘味を引き立てる塩加減完璧じゃねえか!」
「おい……こいつ分かってるぞ……只の枝豆じゃねえ黒枝豆だ!!」
「「「何だとぉ!?」」」
 驚愕の事実に群がりっぷり甚だしい怪人達、にまにまと様子を眺めるナオがさらに追い打ち。
「ふふーん、美味しいとやっぱりアレも欲しくなるよねぇ?」
 怪人達、がくがく頷き熱視線。
「だよねだよねー。人間が造り出したナオちゃん公認叡智の結晶、さあご一緒に!」
 どどんと置かれた波打つ黄金、歓声飛び交い奪い奪われ即席大宴会。
「ねぇ、美味しい?」
「「「美味しーい!!!」」」
「そっかぁ……」

 ――良かった!

 良かった、という彼女の返答を聞き取れた怪人は居たのか否か。
 黒枝豆よりも尚黒く輝く弾丸の雨霰、知覚すらままならぬ神速の射撃が終宴の辞となった。

成功 🔵​🔵​🔴​


他の世界では未だ御存命で、多分この世界にも嘗て存在しただろう国がある。
様々な界隈で揶揄と畏怖を込め『魔改造の民』と称される人々の国。
正確には外界の新しい要素を取り込むだけでは飽き足らず原形を留めぬ程の改良と昇華を繰り広げるものだったろうが……とうとう集合知のリーサルウェポン、御降臨。

――豆料理縛りでフルコース可能だったり不純物を徹底的に削ぎ落とした究極をぶち上げたり出来る国、そうそう無い。
二天堂・たま
料理することで相手の特殊能力を打ち消すとは…なんとも不思議な戦争だな。

早速UC:フレンズコールで召喚した相棒(ひよこ)達に調理の補助と給仕を任せる。
そしてUC:神仙の料理術で料理を作りまくる。
医術・毒使いも活かし、一定量以上食べると毒が利くよう仕込みもしておこう。

豆を使った料理…。
豆炊き込みご飯(鮮度のいいグリンピースを使うとヤバい)
茹で落花生(生落花生を塩茹でするとホクホクしててヤバい)
よせ豆腐(出来たてはヤバい)
おから入りハンバーグ(豆腐作りの副産物を利用して)
水煮大豆とツナのサラダ
さやいんげんのピーナツバター和え(胡麻ペーストとよく似てるので代用)
辺りか。
大豆焼酎があればさらに完璧だ。


聖護院・カプラ
そろそろ、お開きでしょう。
〆の品をご用意しました。
ここまで時間がかかったのは不幸ですが、その中の幸いとして良い材料に巡り合えました。
一見、豆がどこにもないように見えますが。

まずは冷奴。豆腐の原料はご存知の筈。
そして豆腐にかける醤油の原料、こちらもご存知ですね。

食しやすい冷奴ですが、食べ続けていると温かい汁物が欲しくはなりませんか?

そう、次は味噌汁です。
米麹や麦麹を使用していない、豆味噌はいかがでしょうか。
具材は油揚げに……単調になりがちな味わいに変化を齎すミョウガ。

お代わりを欲しくなってしまうかもしれません。
慌てずに、一列になってお待ちください。
今から功徳による浄滅を行い、店じまいと致します。



 豆畑のひとつで地を掘り起こしながら収穫に励む怪人の視野の端っこに飛び込んできた黄色いもっふもふ。
 其処は先程から背負い籠を積みに向かった同胞達が全く帰ってこない中央のオープンキッチン。
 ぴーよぴよぴー、と元気にあっちこっち動き回って背負い籠覗き込んだり食器並べてたりと縦横無尽のひよこ達。
 そしてキッチンでは……まさに最後ならぬ最期の晩餐の仕込みが着々と遂行されていたのだった。

 所狭しとレンジを占領する鍋達が盛んに湯気で自己主張。
 これはグリンピース、あれは落花生、それはさやいんげん、湯の中で楽し気に踊る豆達。
 ぱこん、と業務用ツナ缶を開ける動作も迅速で無駄が無い厨房の主、二天堂・たま(ひよこなケットシー・f14723)。
 青灰色の毛並みつやつやなケットシーが研ぎ済み米入り炊飯器にグリンピースの茹で汁を加えてスイッチオン。豆は炊けてから混ぜ込むから、次は茹で上がりのさやいんげんを笊に上げてピーナツバターの瓶の蓋を……。
「そうだ、そろそろ肝心のあれの仕上げを」
「ご助力申し上げましょうか」
 遥か頭上から降る威徳と声。
 先程先陣を切ってフムス渡骸海の偉業を為した聖護院・カプラ(旧式のウォーマシン・f00436)が再びキッチンへと御降臨。猟兵達の集合知で最初の数割にまで怪人達が減っており、幕引きも近いと訪うた御様子。
「肝心のあれとはこちらの事でしょう、なるほど豆料理の中では誤魔化しの効かぬ一品」
「おお、相棒達の手を借りても忙しくて難儀していてなあ、助けとはありがたい!」
 ぴぴっ、と大きな土鍋やら布巾やらお玉やらを並べるひよこ達の横、一番奥のレンジからカプラが持ち上げたのは水に浸し擂り潰した大豆が煮立つ鍋。
 幾重にも重ねた布巾に中身を掬い、土鍋に濾すと満ちるは湯気立つ甘い香り。
 最後の一滴も余さず絞り切った残りは欠片も無駄にせず挽肉と合わせ捏ね上げ丸く形作ってフライパンへ。
 土鍋の側には冷めぬうちににがりを加え、ひと混ぜしたら保温も兼ねて暫し蓋を。
 空いたレンジに新たな鍋を置いたカプラの横、ひよこ達と他の仕上げや盛り付けを始めるたま。
 そうして、そうして、遂に。

 ――ぴっぴぴー、ぴよーっ。ぴよっぴぴー!

 畔を練り歩くひよこ達。何だ何だと顔見合わせる怪人達。
 だが先頭のひよこの持つ紙を一瞥し……ひよこ置いてけの勢いで全力疾走総員着席。
 それは素朴で、魅惑的で、懐かしくて、温かくて、幸せな食膳のお品書き。

 出来立ておからも練り込んだ焼きたて熱々ハンバーグ、水煮大豆とツナのサラダ。
 さやいんげんのピーナツバター和えには炒って砕いた落花生も混ぜ込んで。
 湯気揺れる塩茹で落花生は鞘を割るとほっくほくの中身がこんにちは。
 そしてハンバーグすら副菜に追い遣る程の逸品……此度の主菜は土鍋の中、ふるふる揺れる温かい寄せ豆腐。
 香りと新緑の色が食欲を煽るグリンピースの豆ごはん、油揚げと茗荷散らした豆味噌仕立ての味噌汁。
 私達も忘れないでとささやかに自己主張する醤油と大豆焼酎。

 採れたて新鮮な畑の豆達総動員、季節一切度外視の広大な豆畑だからこそ実現し得た豆好きの為の晩餐。
 顔を見合わせ、豆の恵みに深い感謝の念を込めた一礼の後、箸を取る怪人達。
 まず一口。もう一口。また一口。止まらない。止まらない。
 甲斐甲斐しくお世話するひよこ達に茶碗を、とんすいを、小鉢を、銘々皿を渡しおかわりを求める怪人達。

「……そろそろだろうかね」
「そろそろ、とは」
「なに、これは彼等にとっちゃ最期の晩餐。彼等が一定量をその胃に収めれば」
「……ああ、そういう事だったのですね」

 ある者は満足げに腹を摩る仕草のままで。
 ある者はごちそうさまと手を合わせた姿で。
 ある者は隣と酒杯を重ね鳴らしながら。

 皆が皆不意に力を失い、だがとても、とても幸せそうに頽れていく。

 毒すら薬と為す、神の領域の料理術。
 たまは最初の最初から、厨房の中でこの埒外の術を振るっていたのだ。

「――しかれば、これにて店仕舞いと致しましょう」

 米の豆の一粒も、菜の一片も、汁の一滴も残らぬ釜。鍋。大皿。土鍋。
 その全てを、全てを余さず謳歌した怪人達の姿を正面に収め、カプラが両の掌を静かに合わせた。

 怪人達の姿が薄れていく。
 きらきらと。畑を抜ける爽やかな風に乗って。さわさわと揺れる葉に見送られ。

 そうして。

 豆を愛した心ごと。
 骸の海へ還っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月14日


挿絵イラスト