バトルオブフラワーズ⑤〜目指せ最速の称号
「キマイラフューチャー、割れちゃいましたね……」
集まった猟兵たちの前で、信じられませんと言いたげな表情をするグリモア猟兵、水瀬・和奏(重装型戦闘人形・f06753)。たぶん集まった猟兵も同じ気持ちだと思う、うん。
「……と、とにかくキマイラフューチャーの危機なので、皆さんの力が必要なんです」
真面目な表情に戻った和奏がタブレット端末を取り出し、猟兵たちに状況を説明する。
その要点は3つ。まず、このアクセスルートが怪人たちの手で再び閉じられる前にキマイラフューチャーの中心部『システム・フラワーズ』へ赴き、そこに陣取るオブリビオンを撃破しなければならない事。
ただし、この周囲を守る『ザ・ステージ』を制圧しオブリビオンから奪還しない限り『システム・フラワーズ』への突入は不可能である事。
そして『ザ・ステージ』には謎の力が働いており、ただ敵を倒すだけでは制圧することができないどころか、強制的に外に弾き出され失敗と見做されてしまう事。
「今回皆さんにお願いしたいのは、『ザ・ステージ』のひとつ『ザ・ゲームステージ』にいる怪人と戦う事です。……といっても普通に戦うだけではダメなので、今から説明しますね」
和奏がタブレット端末の画面を切り替えると、そこにはゲームのタイトル画面が。どうやらキマイラフューチャーのハイウェイを再現したコースで速さを競うゲームらしい。
「皆さんには、このレースゲームをクリアして頂きたいんです。……といっても、ゲーム機を操作するのではなく、ゲームの世界の中で運転して頂くようになりますが」
参加した猟兵のうち誰か一人が1位でゴールすればクリア、怪人に勝利したことになる……が、そこは怪人たちが占領している場所でのゲーム。ゴール間際になると怪人たちが妨害工作を仕掛けてくるらしい。
コースにオイルを撒くとか、わざとマシンをぶつけて事故を起こすとか。
「……色々仕掛けてくるとは思いますが、何とか妨害を排除してクリアしてください」
そう言うと、和奏はタブレット端末を机の上に置き、代わりにグリモアを掲げた。
「――では、準備ができた方から転送始めます!」
一人
初めましての方は初めまして、そうでない方はお世話になってます。にのまえです。
戦争シナリオは初めてなのでもしかすると至らない部分があるかと思いますが、よろしくお願い致します。
オープニングで和奏から説明があった通り、この依頼は通常の集団戦ではありません。
ゲーム対決ではありますが、猟兵たちがゲーム機を操作するのではなく「ゲームの世界で実際に車を運転しレースをする」形式になりますのでプレイングを書く際はご注意ください。
また、オープニングに記載した妨害はあくまで一例なので「こんな妨害をされたらこうやって対処します!」等書いて頂ければ可能な限り反映いたします。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『交通トリオ』
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POW : 一方通行怪人・ウェポン
【一方通行兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : タイヤ怪人・ジェノサイド
【タイヤ攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 三角コーン怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【三角コーン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:まめのきなこ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●Highway to Heaven
――その道は、およそ道としてまともではなかった。キマイラフューチャーのビルの谷間を縫うようにして敷かれた道は、都市の中に作られた公道という名のサーキット。
この狂気のハイウェイに、猟兵たちの駆る車が続々と集まってくる。
沿道には、今宵のバトルの噂を聞き付けたギャラリー。
「――さあ、バトル開始だ!カウント始めるぞ!」
カウントダウンを行う男の声に、猟兵たちの目つきが一斉に変わる。
「……5!4!3!2!1!……スタートォ!」
キマイラフューチャーの命運が掛かった公道バトル。その火蓋が今、切って落とされた。
茅原・紫九
誰か一人が1位になればいいレースか……
なるほど分かりやすい、わかりやすいことこの上ねえルールだ。
俺がとる戦術はただ一つ、徹底した妨害戦術。
無理やり敵の車線に割り込み進路妨害。
可能ならオープンカーから射撃を飛ばして物理攻撃。
最終手段、1位になりそうなマシンに突っ込んで一緒にビルに激突もありだな。
勝つのは俺じゃなくてもいい。妨害できるのがお前らだけだと思うなよ!
試合の最中、ゴールへ向かうヤドリガミ猟兵。
疲れからか、不幸にも黒塗りの高速車に追突してしまう。
仲間をかばいすべての責任を負った茅原に対し、車の主、オブリビオン交通トリオが言い渡した示談の条件とは…
リダン・ムグルエギ
誰かが優勝すればいいのでしょ?
なら、楽ね
優勝は他に任せて…遊ぶわよ!
アタシが選ぶ車は【街宣車】
速度もカーブもイマイチ
けどこれが最適解よ
毒煙草に火を付け
毒香水を窓から垂れ流しつつ
作戦開始よ
序盤だけは怪人達の前を走る事を心がけるわ
後続車に毒煙を浴びせるためよ
以降は無理せずトップを遅れて追う位置へ
彼らの回りを俯瞰的に見るためにね
罠や邪魔を予見したら拡声器を使って呼びかけるの
ハイウェイなら分かれ道もあるでしょ
終盤にコースアウトを敢行するわ
「おおっとトップ陣、正規ルートを外れていった!
トップはアタシの街宣車ね!
毒が効いた敵をコードの力で勘違いさせ纏めて引き剥がすの
ここはアタシに任せていきなさーい、ってね
蝶ヶ崎・羊
乗り物競争ですか…では、馬イクでいかせてもらいますか…え?誰も車だけなんて言っていませんよね?
レースが始まれば【騎乗】によるテクニックを存分に発揮しますよ
敵からの妨害はできるだけ【見切り】たいです
敵の攻撃を受けた場合はユーベルコードを使用して乗り物を停止させます
『オレの愛車にぶつかりましたよね?降りてください』
止まるまで馬イクで追いかけながら光の柱を落とし続けます
『人の乗り物にぶつかっておいて謝罪も無いのですか?傷つけた責任…とれますよね?』
と少しでも多めの敵を正座させて【衝撃波】を飛ばしながら(自分のことを棚に上げて)説教をして【時間稼ぎ】します
●確かに誰かが1位でゴールすればいいってしか言わなかったけどさ
スタートの合図と同時に唸りをあげ飛び出していく鉄の獣……の中になぜか混じっている馬イク……もとい馬。
めっちゃヒヒーンって言ってる。
その光景にざわつくギャラリー。
そんなギャラリーの視線など全く気にも留めず鞍上で手綱を握るのは蝶ヶ崎・羊(伽藍堂の歌箱・f01975)。
曰く、
「え?誰も車だけなんて言っていませんよね?」
だそうです。禁止じゃないなら仕方ない。
あと、車だけど明らかに場違いなのが一台。
いっぱい人が乗れそうなワンボックスカーの上に、スピーカーのついたお立ち台。いわゆる街宣車である。
この明らかにレース向きでない車をチョイスしたのはリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)。
「だって、私じゃなくても誰かが優勝すればいいのでしょ?
なら、優勝は他に任せればいいの。レースには向いてないけどこれが最適解よ」
運転席でそう言うと、煙草に火を点けながらアクセル全開。怪人たちが乗っているであろうマシンの前に躍り出ると、窓を全開にして煙を垂れ流す。
怪人たちもこの車をなんとか抜こうとするが、並走する馬に加え、同じく妨害役に回った茅原・紫九(風に流され来たる紫煙・f04064)の車に完全に進路を塞がれ前に出ることができない。
結果、リダンの街宣車から垂れ流された煙をまともに吸い込んでしまう。
「……そろそろ頃合いかしらね」
ハイウェイの分岐を示す看板を確認したリダンが、突如車内のマイクを手に取り叫ぶ。
「おおっと、ここでトップ陣がコースアウト!どこへ行くー!?」
無論これは真っ赤な嘘であり、彼女の前を走っていた車は全て正しいルートを走行している。そのルートに反し、封鎖されている分岐へと突っ込んでいく街宣車。
――ユーベルコード『ゴートリック・フォース』
最初に浴びせた煙の正体は、その匂いを嗅いだ者をリダンの言いなりにする毒。
彼女の後ろを走っていたマシンのうち何台かが、街宣車に従いコースアウトし脱落した。
●優しそうな人ほど怒らせちゃいけないんだって
運よくコースアウトを免れた怪人たちは、紫九の執拗な妨害を受けつつも、前を走る馬に狙いを定め何とか足を止めようと攻撃を繰り返す。
羊も持ち前の騎乗技術で華麗に攻撃をかわしていくが、その全てを捌ききることはできず、タイヤ怪人の放ったタイヤが馬のお尻に。
たまらずバランスを崩し減速した馬の横を通り過ぎる怪人たち。この時は勝利を確信しただろう――完全に墓穴を掘ったとは露程も思わず。
一度は大きく速度を落とした羊と馬だったが、素早く体勢を立て直すとぐんぐん速度を上げていき、あっという間に怪人たちの姿を捉えた。
そして怪人たちの進路上に次々と降り注ぐ光の柱。言うまでもなく、羊のユーベルコードである。
「おい、やべぇよ……マジで止まった方がいいんじゃないのか?」
焦る怪人たち。最初からやらなきゃよかったのにね。
やがて逃げることを諦めたのか、車を止め降りてきた怪人たちを一列に並べ正座させる羊。
「人の乗り物にぶつかっておいて謝罪もないのですか?傷つけた責任…とれますよね?」
ユーベルコードを撃った自分はどうなのかと言いたいところだが、そんな事を言ったらその場で殺されかねないので何も言えない。
「す、スイマセン許してください!何でもしますから!」
羊の気迫に縮み上がる怪人たち。でも何でもするは禁句ですよ?
「ん?いま何でもするって言いましたよね?」
直後、怪人目掛けて降り注ぐ天からの光。
哀れユーベルコードの直撃を受けた彼らは塵となって消えた。
●どっちかっていうと猟兵サイドの方が妨害えげつなくない?
一方その頃、リダンの催眠と羊のお説教を掻い潜った生き残りは、紫九とデッドヒートを繰り広げていた。
「……チッ、コイツ結構速いじゃねーか……!」
紫九もなんとか食らいついてはいるが、コーナーの立ち上がりではどうしても怪人の方が速い。
――下手をすれば、次のストレートで引き離されかねない。
「こうなったら、アレをやるしかねぇ……」
コーナーの直前、覚悟を決めたようにハンドルを握り締める。
そのままアクセルを踏み込み、イン側から怪人の車と並んでコーナーへ飛び込む。
「……このバトルの結末は、2人仲良くダブルクラッシュと行こうぜぇ!」
強烈な横Gに耐え切れず外側に膨らむ紫九の車。それは隣にいた怪人の車を巻き込んで吹き飛び、そのまま近くのビルに突っ込んだ。
「いてて……まあ、俺がゴールしなくても誰かが1位を取ってくれるだろ」
コーナーの先に消えていく仲間の車のテールランプを見送りながら独りごちる紫九。その表情には、自分の仕事をやり遂げたという達成感と、完走できなかったという一抹の悔しさが浮かんでいた。
が、そんな余韻に浸る彼女の視界を遮ったのは――巻き込まれた怪人。
「おいコラ降りろ!テメェ免許持ってんのか!」
「……げっ」
このあと怪人とのリアルファイトに突入するわけですが、結果はお察しください。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
イリーツァ・ウーツェ
【POW】
自前の車を使ってもいいのだろうか。出来れば使いたい。
速度が出るよう、改造も済ませてあるのでな。
開始と同時に一気にスピードを上げる。
最も疾く走れるコースを見切り、最速で駆け抜ける。
ドリフトやサイドターンなどを使い、最高速を維持したまま走る。
(見切り+第六感+運転)
……なぜかは知らんが、敵の車がミスを連発するおかげで楽だな。
(このUCは本人の認識外で発動するため気付かない)
まあ、念のためだ。
急ハンドルで体当たりするなどして、コースアウトさせておくか。
●(走りの)ガチンコ勝負
怪人と猟兵による妨害バトルが繰り広げられる一方、その先では純粋に走りでギャラリーを魅了するバトルが繰り広げられていた。その主役は、いつの間にかCPUと入れ替わっていた怪人と、イリーツァ・ウーツェ(盾の竜・f14324)の2人。
ただ一点、ギャラリーや怪人が首を傾げる点があるとすれば、イリーツァの駆る車がタクシーにしか見えないという点であろうか。
勿論これはイリーツァの酔狂ではなく、自前の車を使いたいという希望があればこそ。見た目こそ普通のタクシーであるが、中身はこのバトルにも耐えうる改造が施された、まさに"羊の皮を被った狼"という言葉がふさわしいシロモノなのだから。
やがて、数キロにわたってデッドヒートを演じてきた2台のバトルの舞台は、とてもハイウェイとは思えない急なコーナーが連続するダウンヒルへと移ろうとしていた。
先行するイリーツェと、その後を追う怪人。
順番だけを見れば怪人劣勢ではあるが、彼の表情に焦りの色は見えない。
「……バカが!そのコーナーの先はすぐに左コーナー!
体勢を立て直して逆方向にドリフトする余裕はねぇ!」
イリーツァ先行のまま飛び込んだ右コーナーの先。そこで減速したところで抜き返すつもりだった。
――が、そんな彼の目論見は次の瞬間あっさりと打ち砕かれることとなる。
最初のコーナーをドリフトで抜けたタクシーは、そのまま逆方向にリアを流しながら次のコーナーへと飛び込んでいく。
「……か、慣性ドリフトだと……!?」
「す、すげぇ……なんだあのタクシー!?」
あまりにも鮮やかなコーナリングに沸き立つギャラリーと、そんな彼らの反応など全く気にせず駆け抜けるイリーツェ。
呆気にとられた怪人は、妨害はおろかハンドル操作すら忘れ――そのままコースアウトしていった。
成功
🔵🔵🔴
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(共闘・アドリブ可)
「誰か一人がゴールすればいいのよね」
弟と一緒にゲームに参加。自身は妨害工作の排除に徹する
■準備
[情報収集]と[ハッキング]を駆使しゲーム内のコースデータを収集
レース中はインカムで弟と通信・情報共有
■作戦
序盤はコース情報を基に[操縦]技能を駆使し弟の先導役として走行
交通トリオが出現したら派手にクラクションを鳴らして注意をひきつける[誘惑]
タイヤや交通標識が飛んで来たら【アイギスの盾】で相殺
更に妨害してくる敵には窓から身を乗り出して[高速詠唱]による
【ウィザード・ミサイル】で蹴散らし、止めの【バベルの光】で粉砕する
「邪魔はさせないわよ」
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【SPD】(共闘アドリブ可)
「レースゲームは大好きだよ!」
フィオ姉ちゃんと参加。ボクは完走を目指すよ!
【行動】()内は技能
転送してもらったコース情報を基に(操縦)を使って走行
序盤はフィオ姉ちゃんの後ろにつけて安定走行するよ
オブリビオンの集団が現れてからが本番
「アクセル全開、フルスロットル!」
フォルマ・ベンダバールを発動し[ダッシュ]で強硬突破するよ
ドンドン加速してぶっちぎるけど体当たりで迫る敵車には
タイヤを狙ってクラロ・デ・ルーナ(スナイパー)を放つよ
ゴール前に障害物で陣取っていたら(高速詠唱)でカラミダド・メテオーロだね
爆炎を(ジャンプ)で飛び越えてチェッカーを受けるよ
コース上で激しいバトルが繰り広げられる中、安定した走りを続けているのはフィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)とフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)の姉弟ペア。サポート役のフィオリナがコース情報をもとに先行し、万が一妨害が入れば自身が囮となりつつフォルセティが全開走行でゴールを目指すという作戦だ。
この作戦が功を奏し中盤まで安定して走り続けることができたが、そうなればオブリビオンが黙っていない。
レースも佳境に差し掛かろうかという頃、突如として2人を囲むように現れた数台の車。それが予知にあった怪人たちの妨害であるという事に彼女らが気付くのに、そう時間はかからなかった。
「フォルセティ、こいつらは私に任せて先に行って!」
インカム越しに姉の声が聞こえると、作戦通りすぐさまフォルセティが準備に入る。
「――雷帝の剣閃にして、雲海を巡る旋律。我に纏いて一陣の颯とならん――行くよ、アクセル全開!」
乗り手の声に"空飛ぶ箒"の名を冠するマシンが目を覚ます。行く手を阻まんとする怪人たちの車の間を急加速ですり抜け、追いすがろうとする彼らを嘲笑うかのようにテールランプの軌跡を残しながら、瞬く間にコーナーの先へと消えていった。
一方、一人で怪人たちを引き受けたフィオリナ。自身のバイクを激しく蛇行させ、抜こうとする車をブロックしつつ、更にクラクションを鳴らして前方の車を煽り続ける。
公道でやれば即通報モノの危険運転だが、それだけに怪人たちの注意を自身に向けさせるには十分な効果があったようで、後方で焦れたタイヤ怪人が早速フィオリナ目掛けてタイヤを撃ち出す。
「邪魔はさせないわ……防げ、アイギスの盾よ!」
飛来するタイヤをバックミラーで確認するや否や、ユーベルコードの詠唱に入るフィオリナ。その声と共にマシンの後方に現れるのは、あらゆる不浄を退けるとされる盾の名を冠する魔法の盾。その輝きに吸い込まれるように飛び込んだタイヤは瞬く間に弾け飛ぶ。
――弟を守り、必ずゴールさせる。多勢に無勢、決して楽な戦いではないが、執念ともいうべきその意志が彼女を支えていた。
一方、怪人たちの車を引き離し一気に駆け抜けたフォルセティはコーナーを抜け、最後の直線に入る。幸いにして怪人たちのマシンはまだゴールしていないようだ。あとはこのまま駆け抜けチェッカーフラッグを受ければ――そう思った矢先、怪人たちの最後の抵抗に遭遇する。
ゴール直前に突如として集まる怪人たち。彼らは身をがっちりと寄せ合い、さらに標識やタイヤを積み上げ即席のバリケードを構築したのだ。
しかし、幼いながら歴戦の猟兵に対しその程度の妨害ではどうにもならないことを、この後彼らは身を以て知ることになる。
「――悠久に揺蕩う無限の星屑よ。星柩満ちて此へ集うは漆黒の紅炎」
ほんの一瞬、フォルセティの口元が動く。直後、ゴール前に陣取った怪人たちの頭上に煌々と赤く輝く隕石が現れ――何が起こったのか知る暇すら与えることなく彼らの身体を吹き飛ばした。
直後、全てを飲み込み薙ぎ払った爆炎の中から現れたのは"空飛ぶ箒"に跨ったフォルセティ。
彼がゴールを駆け抜けた瞬間、白と黒のチェッカーフラッグが大きく振られ、その瞬間を見届けたギャラリーが駆け寄っていく。
それはレースを制した少年への称賛か、あるいは世界を救うために戦った猟兵への感謝か。
いずれにせよ、この戦いは猟兵たちが制し、オブリビオンの企みを阻止するための一歩となった。
成功
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