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バトルオブフラワーズ⑥~花の舞

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

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 チックタック、チックタック。
 時計が刻む。
 トントンットトン、トントントン。
 リズムを刻む。
 くるりその場で一回転。遅れてフレアスカートの花開き。
 踊る踊る桃色の花。
 回転の動き止めたその余韻。花開いたスカートが身体巻き付き、花から蕾へ逆戻り。
 だが、それが身体のラインを引き立てて、可憐さの中に蠱惑の香りを匂わせる。
「さあ、あなたも一緒に手を取って」
 画面越しに差し伸べられる手と魅了の声。
 それは見た者の、聴いた者の心を射止め、狂わせる魔性の――。

「いやはやぁ、世界が真っ二つだなんてぇ、びっくりどっきりでしたねぇ」
 鍵映したテレビウム達を助け、猟兵達に届いた救援要請の声。
 それに応えた猟兵達の前に姿を見せたのは、割れたキマイラフューチャーの世界。そして、中枢へと至るためのメンテナンスルート。
 そんな光景に驚くやら、感心するやらといった表情でハーバニー・キーテセラ(時渡りの兎・f00548)は続ける。
「ですがぁ、あまり驚いてもいられませぇん」
 ハーバニーに曰く、開かれたその道は突如として現れた怪人達によって妨害され、また、閉じられつつあるのだ。
「今回、皆さんに行ってもらうのはぁ、その内の1つですねぇ」
 そこはシステム・フラワーズへと至る道を塞ぐ『ザ・ステージ』の一角。
 サイケデリックな光溢れ、スポットライトの光線煌くダンスフロアを模した場所。
 そこで待ち構える怪人――天竺牡丹を打破し、先へと至る道を拓くことが目標だ。
 だがしかし。
「そこではですねぇ、踊りに対して何らかの力が働くようですぅ」
 何故かは分からないが、その場所は先頃に鍵を宿したテレビウム達の画面を通し、キマイラフューチャーの各地へと中継されているらしい。
 それを通し、視る者達の心を動かすような踊りをした者には、常の力以上のモノが宿るのだと言う。
 だが、それは逆もまた然りであり、視る者の心動かすに足らなければ、それは力が十全に発揮出来なくなることへと繋がる。
「ですのでぇ、皆さんにはダンスと戦闘を両立させながら戦ってもらわないといけませぇん」
 特に、今回の敵は天竺牡丹。ヒトの心を動かすに長けたオブリビオンだ。
 相手も加護を受けて戦う可能性を考えた時、猟兵達が加護なしで戦うには、些かの不利が生じることだろう。
「戦いながら他の事にも意識を向ける。なかなか難しいことかもしれませんが、皆さんなら出来ると信じています」
 ――どうか、お気をつけて。
 そして、光が猟兵達を包み込み、世界繋ぐ扉が開かれる。


ゆうそう
 オープニングに目を通して頂き、ありがとうございます。
 ゆうそうと申します。

 ダンスをしながらの変則的な戦闘。
 皆様なら、どんなダンスを取り入れられることでしょうか。
 もしくは、されることでしょうか。
 プレイング・活躍を心よりお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『天竺牡丹』

POW   :    わたしのモノになっちゃえ!
【天竺牡丹に恋する矢】が命中した対象に対し、高威力高命中の【恋慕の情】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    大活躍の予感!
予め【使い魔の時計版がぐるぐる回る】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
WIZ   :    一緒にがんばろ?
【異性を魅了する声と仕草】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。

イラスト:彩

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フィーナ・ステラガーデン
お、踊りながら戦えっての?
いったい何なのよこの世界は・・
私そんなダンスとか出来るほど育ちよくないわよ!

うーん。確か前に魔力を読み取って踊るようにする魔力集中方法があるってどこかで見たことあるわね。試してみるかしら。
えーっとこうだったかしら
(目を閉じ集中し、杖をゆらりと指揮棒のように上げ)
~♪~♪ タッラリッララ~♪
(だんだんノッてきたようにくるくる回りだし、ともに魔力が目に見えるようになり身体纏いだし、次第に魔力は身を守る炎と化す【指定UC】)

~~~♪どっこいしょーー!(決めのポーズと共に炎の壁を放出され焼き尽くす)

ぷしゅー。案外悪くないわね!!
(アレンジ、アドリブ、連携大歓迎!)


高鷲・諒一朗
ダンスなら任せてくれよお、ってなあ!
うなれ俺のこの長い脚!
スカイダンサーの真髄を見せてやらあ!

俺の一番得意なフラメンコを披露してみっかあ
靴も履き替えて、服も動きやすいように調節して
さぁ! 演じるはかの情熱の国。ここに常夏の日差しを降らせようぜえ!
おれのこの身体で、おれの情熱を表現するんだ!
オーレ!

長い四肢を使って腕の振りや体のひねりも加え演出しつつ
危ないところは「野生の勘」で咄嗟に踏みつつ
とにかく楽しく! 見栄えも考えて! しっかり最後まで踊りきるぜえ
もちろんゲームが終わるまでダンスは絶やさないように
ここぞというときに攻撃できそうなら
『金狼舞踏』で攻撃していくぜえ!



 くるり、はらりと花は舞う。
「わたしを見て、わたしを感じて。そして、わたしの虜に」
 仕草と共に流し目の視線投げかけるは、画面の向こう。そこに数多の観客集うと理解してのその行動。
 元より彼女は天竺牡丹。声と仕草のみでもヒトを魅了し、心捕らえるは本分である。
 それ故に――
「ふふふっ、来てる。来てるわ」
 画面の向こうの視聴者を虜とするなど、さしたる苦もないこと。矢を放つ必要性すらない。
 己に流れ来る力を感じ、天竺牡丹は画面見せぬところで悪しき笑みをこぼすのだ。
 だが、その独壇場もここまで。
「ダンスなら任せてくれよお、ってなあ!」
 ステージに突如として溢れた光。そこより響いたのは滾る情熱隠さぬ声。
 我こそが先陣を切るのだ、と言わんばかりに光――グリモアベースからのゲートより飛び出したのは高鷲・諒一朗(ミルザム・f17861)。
 白金の毛並みも豊かにその姿を世界へと見せつける。
「お、踊りながら戦えっての? いったい何なのよ、この世界は……」
 内に秘めたる熱は諒一朗に負けず劣らずと言いたいところではあるが、今回は勝手が違うのか、普段よりは若干のトーンダウンを見せながら姿見せる金色が1人。
 フィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)は、どうしたものか、と言った表情を見せている。
 ダンス経験は正直、あんまり……なのである。
 だが、今回ばかりはそうはいかない。フィーナの直感が天竺牡丹に集められている力の流れを無意識に感じ取り、それを放置するを良しとは出来ないと訴えかけてくるのだ。
「お、なんだ。踊りは苦手なのか?」
「仕方ないじゃない。私、そんなダンスとか出来るほど育ちよくないわよ!」
 ガーっと吠えるフィーナに、諒一朗は得心がいったと笑い顔。だが、その顔を引き締め、彼は語るのだ。
「技術や経験も勿論大事だが、なにより大事なものがある。それは――」
「――それは?」
「自分のその身体で、自分自身の情熱を表現するんだ!」
 ――唸れ、俺のこの長い脚! スカイダンサーの真髄を見せてやらあ!
 小首傾げるフィーナの前で、諒一朗はその自慢の長い足を見せつけるように、自分の在り様を示すかのように、高らかと床にうちならす。
 その高らかな音に猟兵達の出現へ気づいたのだろう、天竺牡丹は踊りを続けたままに彼らの姿を視界に捉えた。
「来たわね、猟兵達。わざわざ、わたしの引き立て役になりに来てくれるなんて、ご苦労様なことね!」
 だが、そこに萎縮というものはない。それは、自身が舞台の主役であるという自負が故に。力漲るが故に。
 その視線には、仕草には、声色には、猟兵達を見下す色が透けて見えていた。
 それを感情豊かであり、自分のそれに素直なフィーナが我慢できようか――否である。
 萎縮していた心に、めらりと炎が蘇る。
「自分自身の情熱を表現するんだったわね! いいじゃない、やってやるわよ!」
「おう、そうだ。その意気だ!」
 フィーナに宿った炎を垣間見、諒一朗の勘がこれならば大丈夫だと囁きかける。
 しかし、諒一朗自身はそれだけでは足りないとも考える。ならば、その足りない部分は自分が埋めればよいだけだとも。
「さあ! 演じるはかの情熱の国。ここに常夏の日差しを降らせようぜぇ!」
 ――オーレ!
 諒一朗が音頭を取るように踊りだす。それはリズムを作り、後に続く者がより動きやすくなるためのもの。
 長き手足が華麗に動く。
 手は空間目一杯を時にかき抱くように、時に空はばたく鳥の翼のように。
 自慢の足は常に止まらず、淀みなく。その身体を右に左に、前に奥にと運び行き、地を踏み鳴らす音は人の心にビートを刻み付ける。
 踊り彩る伴奏はない。だが、そこには確かにリズムがあり、見る者全てを惹き付ける魂があった。
 空気が変わった。
 猟兵達には、天竺牡丹には、画面の向こうの状況は分からない。視る者達がどういう状況かは分からない。
 だが、天竺牡丹に流れ込む力が確かに減少し、猟兵達に不思議な力が充足していくのを感じ得る。
 それは画面の向こうで諒一朗のダンスに合わせて手拍子送り、声援送る観衆の心。
「流れが、力の流れが見えるわ!」
 力の後押し受け始めたフィーナの視界。そこにはまるで波のように、音の流れ示すかのように、猟兵へ、天竺牡丹へ流れ込む力の動きが見て取れた。
 その動きに合わせるかのように、フィーナの足が自然と動き出す。
 そのステップは、踊りとして見たならば確かに素人のそれ。だが、魔術の徒として見たとき、その動きは――
「~♪~♪」
 目を閉じ、ゆるり力を抜いて、流れへと身を任せるその動き。
 自然と手が杖を指揮棒のように繰り、身を任せた力を意味あるものとして自身の体を通して汲み上げていく。
 気づけば、その動きは円の動き。纏めあげ、円描くステップが力をよりスムーズに循環させていく。
 ――火の粉が舞った。
 フィーナの描いたステップの円は今や魔法陣。焔描き出す、フィーナのためだけの舞台。
「アナタ達は引き立て役でしょ! ポッと出て、しゃしゃり出ないでよ!」
 力の流れ変わったことに、目の前の変化に、天竺牡丹のヒステリー。だが、画面に見せぬようにとするのは流石か。
 猟兵達へと流れた力を取り返さんと、一層にその魔性を解き放たんとするのだ。
 だが――
「~~~♪ どっこいしょーー!」
「え、ちょっ!? きゃーーー!?」
 最初の消沈はどこへやら。踊るが楽しくなったフィーナがビシッと決めポーズと締めの決めポーズと共に己の描いた、己に宿した炎を解き放ったのだ。
 それは質量をもった炎の壁となり、天竺牡丹の魔性を焼き剥し、吹き飛ばしていく風となる。
「――ぷしゅー。案外、悪くないわね!!」
「そうだ。いいパッションの籠ったダンスだったぜ!」
「ありがと! アンタのお陰でもあるわよ!」
 残り火が火の粉と彩る舞台の向こうで、諒一朗がサムズアップ。フィーナも釣られてサムズアップ。
 天竺牡丹による力の一方的な利用は2人の情熱がかき消した。
「まだまだ踊りは始まったばっかりさぁ!」
 だが、諒一朗宿す金狼の勘が言うのだ。まだ戦いは終わらない、と。
 それを示すように、チックタックと時計の針が鳴り響き、ステージは次なる舞台へと進むを示す。
 そして、それに呼応するかのように動き出す猟兵達の姿もまた、そこにはあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ユェン・ウェイ
アドリブ連携歓迎だよ

踊りながらの戦闘で、相手は人を魅了する怪人かぁ
なかなか大変そうだけど、だからこそやりがいがあるよね

という訳でボクはドラゴンランスを片手に踊りながら戦おう
【パフォーマンス】をしっかりやる事を意識して、中継先の皆にもアピールしながら踊っていくよ!
【スカイステッパー】でアクロバティックに踊ってみよう
できるだけ楽しげに踊るのも忘れずに!
あとは【ジャンプ・スライディング・ダッシュ】の動きを上手くダンスと組み合わせつつ敵に接近したり、時には引いて踊りを見せる事を意識しようかな

こちらの有利な状況になれば【串刺し】狙いで攻めていくよ
相手の攻撃もよく見れば見切れるはず、気をつけていこう


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

ダンスバトルかぁ…あたしが習ったの、社交ダンスだからこういう時には…あ。
そういえばアレ使えるわねぇ。

あたしがプレイするのは〇ダンスと〇グラップルを合わせた格闘技…カポエイラ。
これならダンスと戦闘の両立も難しくないわよねぇ。
そこにガンプレイも加えれば。立派な魅せて戦うダンスの出来上がりよぉ。
●封殺と足技織り交ぜて戦うわよぉ。

あたしのオブシディアン、シングルアクションリボルバーだから戦闘中は基本両手塞がるのよねぇ。
近づかれたときなんとかできないかと思って軽く習ってみたんだけど…まさかこんなとこで役立つなんて。世の中わからないわねぇ。



 チックタック、チックタック。
 炎の向こうで時計の針が音を奏で、踊り歌う。
 それは天竺牡丹が失った観衆の心を補填するかのように。
「もー! やってくれるじゃない! 折角の衣装も、ステージも台無し!」
 火の粉吹き散らし、そこにあったのは煤けた天竺牡丹の姿と取り囲むようにしてある時計盤の使い魔達。
 チックタック、チックタック。
 時計が踊り、歌う。そうすればそうするほどに、欠けた筈の天竺牡丹の力が漲りを取り戻す。
 ならばどうするのか。決まっている。それを打ち砕くのみだ。
「相手は人を魅了する怪人かぁ。なかなか大変そうだけど、だからこそやりがいがあるよね」
 くるり手の中で遊ばせ回す竜騎士たるを示す槍。
 流れ込む力の滾りが身体の内に満ち満ちて、その温かきにユェン・ウェイ(M.Y.W・f00349)の口元は柔らかく弧を描いていた。
「ダンスバトルかぁ……あたしが習ったの、社交ダンスだからこういう時には……」
 天竺牡丹の甘い声に負けず劣らず、聞くものの心蕩かすシュガーボイス。
 だが、その声――ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)の表情には思案の色。
「ん? 君も踊りが苦手な口なのかな?」
「いえ、そういう訳じゃ……あ」
 思案の色を汲み取りつつも、己の得物をバトンの如くと華麗な手捌き見せるユェン。
 それに応じ、視線を向けるティオレンシアの脳裏に電撃が走り抜けた。
 それはユェンが見せる得物動かす円の動きからの着想。
「――そういえば、アレ使えるわねぇ」
 そして、着想を得たならば、あとはそれを形にするだけ。それは数多の技能を修めたその身であれば、何の問題もなくできるもの。
 そのために、ティオレンシアの表情には常に湛える微笑みの色が舞い戻ってくるのだ。
 手を伸ばした先に触れた己の得物――ティオレンシア宿す色と同じ、黒曜の名を持つリボルバーが自身の力振るう時は今かと頼もし気な重みを手へと返す。
「答えが出たようで何よりだね」
 その様子をユェンの穏やかな瞳はただ静かにと見守るのだ。
 だが、その手に握った武技の冴え。魅せるに良し、実践に良しと言えるその動きは些かの鈍りも見せはしない。
 演舞とも言えるその動きは、まさしく舞踏でもあり、武闘でもあった。
 チックタック、チックタック。
 その間にも時計は踊る。時計は歌う。
「もう! まだ邪魔をしようってのね! なら、アナタ達をわたしの虜にして、こき使ってあげるんだから!」
 2人の視界の向こう。時計盤の使い魔達に囲まれた天竺牡丹が弓を引き絞る様子が見て取れた。
 それに射られたならば、いかな猟兵と言えども正常のままではいられないことだろう。
 ならばこそ、射られる前に事をなす。
 2人は同時に地を蹴り、目標を蹴散らすべくとステージの上を駆け抜けていくのだ。

 地を駆け抜ける脚は、いつの間にやら宙を蹴り。
 ユェンのその身は重力の楔より解き放たれ、今は優雅に空の上。
 ステップワン、ツー。リズムを刻んで、その身は空で舞い踊る。
 飛び上がり、回転し、一所に留まらぬユェンの空中舞踊は、まるで天女のそれか。羽衣の代わりとばかりに、愛用の中華服が舞の動きにはためき揺れた。
 普段はその容姿、口調から少年とも間違えられることもあるユェンであったが、そのしなやかさ、たおやかな動きはまさしく女性のそれ。
 湛え、画面の向こうに見せる楽し気な笑みは、天竺牡丹の魔性とはまた違う、純朴なる魅力にあふれ、見る者の心の琴線へと触れていくのだ。
 魅せるを意識したその舞は、正しくユェンの背中を後押しする力となっていく。
「故郷の人たちに見られて、応援されてってのも、なんだか擽ったいけれど、こういうのもいいね」
 四肢に満ちていく力。そこにはもしかしたら、ユェンの知人の後押しもあるのかもしれない。
 それを思うと、心を様々な感情が擽り過ぎ去っていく。
 だが、それもよいのだ、と彼女は笑う。
 そして、一転。力得た天女は龍へと変わる。
 ゆったりとした空中演舞は空から地の獲物を狩るそれへと。
 龍の顎が、牙が、一か所集う獲物を喰らわんと稲妻のように地へと奔る!

 時を僅かに逆戻り。
 ティオレンシアと共に地を駆けていた相方はいつの間にやら空の上。
 だが、それでいいのだ。それでもいいのだ。
 ティオレンシアの頭脳が、細められた瞳の奥で冷静に計算を弾き出す。
 何をするべきか、どうするべきか。
 表面からは読み取れぬ、鉄火場で叩き上げてきた勘が、知識が、技術がティオレンシアの全てを動かすのだ。
 ステージの上で夜色が舞った。
 それは闇の帳が人の形をなし、顕現したかのよう。時折に放つ光は星々の輝きか。夜に君臨する女神がそこにはあった。
 その動きは、舞は、円の動きの体現そのものであり、淀まず、常に流れ続けるそれ。
 ティオレンシアはそれをどこで修めたのか。いや、もしかしたら、今までの経験、知識から導き出した動きを、技術でもって昇華し、形と成したのかもしれない。
 カポエイラとも呼ばれる動きと酷似したそれは敵を打ち倒す技術であると共に、見る者を圧倒する華のある動き――舞でもあった。
 だが、ティオレンシアはその動きだけでは満足しない。夜色の女神は更に1歩踏み進める。それこそが時折に見せる星の輝き――黒曜の名を冠する愛銃の瞬きであったのだ。
 弓矢弾く仲間を遠くに見守り、ティオレンシアは時計の針と踊る。
 しかし、それはパートナーとしてのものではなく、互いを制圧し、征服するためのもの。
 時計盤達が針の音を奏でながら、ティオレンシアを押しつぶさんと迫りくる。
 四方八方取り囲まれ、その中央で踊るが故に退路はない。
「――攻撃に移る瞬間ってね、一番隙ができるのよぉ?」
 だが、だがしかし、時計の針が1秒を刻むよりも早く、ティオレンシアは動けるのだ。
 秒針が刻む音を塗りつぶし、銃声がリズミカルに木霊した。
 それは時計盤達を一瞬で吹き飛ばし、固め、同じ場所へと集めていく。
「――今よぉ」
 その行動は敵の隙を潰し、封殺するだけでなく、仲間の隙をカバーし、繋げるものともなっていたのだ。

 空から龍が降ってくる。集められた獲物を喰い千切らんとして。
 そして、その顎は確かに時計盤の群れを悉くと刺し貫いたのだ。
「……まさか、こんなとこで役立つなんて、世の中わからないわねぇ」
「1人より2人。2人より3人。みんなで踊れば、きっと、もっと楽しいよ」
 そこは猟兵達の独壇場。最早、時計の針が踊ることはない。歌うことはない。
 天竺牡丹の加護が、魔性が、剥がれ落ちていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

クリス・カーライル
『ふむ、、ダンスとは興味深い、、刀を使用したダンス、、剣舞のようなものもありますし、それこそ抜き身を煌めかせて、魅せて、この風で吹き飛ばしてあげましょう。』

基本はステップを踏みながら、
敵の攻撃をかわしつつ、一定のリズムで刀を旋回してフィニッシュの一撃に備えます。

『時計の針と私の白刃、どちらが綺麗に舞えますか、、勝負といきましょう』

基本は攻撃は積極的にせず、貯めて一撃のヒットアンドアウェイをメインに。

どうしても牽制をしないといけない時は近くに用意しておく、バトルアックスをくるりくるりと回りながら踊りながら相手の軸にめがけて投擲してやりましょう。


笹乃葉・きなこ
【POW、連携と絡みOK】

へぇ、踊りながら戦うんだべなぁ。
いいべぇ。いいべぇ。じゃぁナギナタをポールに見立てて、
ポールダンスしながら戦うべっ!

こう、ナギナタを支柱に見立てて回し蹴りとか、
【笹乃葉式気功術】で上半身を大きく動かしてナギナタを掴んで踊る様に振りしてみるべかな。
相手をユベルコードで掴んだ時は回転しながらステップ踏んでぶん投げたりとか。

回避するときはクルクル横とか縦に丸まって空中を回転しながら避けて、着地時にいちいちポーズをつけてみたりとか。

踊るの好きだけど戦いながら踊るのは始めただべなぁ。
ちゃんと踊りに見れるならいいんだべが。



「さあ、わたしのモノになっちゃえ!」
 恋慕の矢が空間を裂き、空を駆け踊るように迸る。
 その先にあるのはクリス・カーライル(万物流転・f13877)と笹乃葉・きなこ(キマイラの戦巫女・f03265)。
 2人目掛けて流星の如くと迫ったそれを迎え撃つかのように、握った得物に籠る力は強い。
 硬質な音が辺り一面と響き渡り、カラリ床へと転がる恋慕の矢。
 それを弾くを成しえたのは2人の力が、加護の力があったが故に。
 だが、それがあってもなお、2人の手に残るのは甘い甘い痺れ。
「……恋慕を押し付けられるってのは、ちょっとね」
「あ~、手がビリビリするだべや!」
 弾いた手から痺れを追い出すかのように、クリスは大斧から離した手を振り、きなこは両手に息を吹きかける。
 その甘い痺れが胸中へと宿らず、手にのみであったのは幸いか。
 クリスにとって可愛いものは好ましい。天竺牡丹も、まあ、見てくれは可愛らしい少女のそれだ。
 だが、かく語るがように、可愛らしいと感じ、愛でたいと思うのは自分自身の感情の発露。それを押し付けられるのは、些かの違いがある。
 それ故の否定であり、拒絶。
 そして、きなこにとっては恋慕の情というもの自体、まだ完全なる理解には遠いもの。
 かつて言い伝えによって捨てられ、獣と共にあったがために、その行動理念は、情緒は、人のそれとは若干のズレがあるのは致し方のないこと。
 だが、その彼女の本能が、野生の勘が言うのだ。あれは受け入れるべきものではない、と。
 それ故の否定であり、拒絶。
「な、なによ、なんなのよ! 溺れてしまえば、いいのに。虜になれば、いいのに!」
 その2人の視線の向こうで、癇癪を起したかのように叫ぶは天竺牡丹。
 数多を虜としてきた自負が故に、彼女なりの誇りが矢へと宿っていたが故に、それを否定されるは衝撃であったのだろう。
 だからこそ、彼女はより一層に2人へと執着する。傍ら侍る時計盤達が引き離されているとも知らずに。
 恋慕の矢が再びに番えられた。しかし、此度は1本のみにあらず。
「むむ! また、あれがくるだ!」
「私が止めよう」
「いいや、ここはおらに任せるだよ」
 恋慕の矢が数多と、まさしく矢の雨と言わんばかりに撃ち放たれる。
 それに対するはクリスの前へと打って出たきなこ。
 薙刀構え、豊かな胸を揺らし、盾とならんとするのである。
 先ほどの一射は2人掛かりでようやくと止めたもの。それに対しての勝算はあるのか。
「踊りが力になんのなら、おらも踊って戦うだ!」
 ――勿論、勝算があるからこそなのだ。
 ズンと薙刀地面に突き立て、それを支柱と艶やかに、軽やかに、きなこは踊りだす。
 支柱とした薙刀に絡みつく脚。くるり回れば、豊満な身体も弾む。手で支えたならば、瑞々しき脚が宙へと伸びる。
 獣と共に暮らして数年。戦巫女に拾われ、育てられて幾年月。
 自然と共に暮らした経験が、戦巫女として神へ捧げるを学んだ経験が、その踊りを生み出した。それは荒々しくも、見る者に畏敬の念を思わせる舞。
 画面の向こう、観衆の心が、きなこを通して神へと捧ぐ祈りの念が彼女へと届いた。
「――奇術を見せてやるべ」
 踊るきなこを中心として、力が広がる。
 それは不可視の腕であり、神の見えざる手であり、きなこの意思。
 踊りに合わせて振るわれた手が、見えざる手と連動し、降りしきる矢の雨を払いのける傘となる。
「はぁ!?」
 天竺牡丹が驚愕覚えるのも致し方ないこと。
 1つ1つの力は一射のみと込めたものに比べれば、幾分か落ちるとは言え、まさか全てを払われるなど夢にも思わずだ。
 だが、忘れてはならない。
 恋慕の矢は、恋慕という感情は、最初の一回を射止められなければ、次には繋がらないのだ。最初を否定されていれば、この結果は必然。
「でたらめに数を撃ったって、おら達には届くわけがねえだよ」
 決め! と言わんばかりに、支柱利用し一回転からの着地。ポーズも完璧だ。
 だからこそ、人魅了する自分の領分で負け、恋慕すら与えるに居たらかなった天竺牡丹には、心切り裂かれるには十分な一撃となる。
 一瞬の忘我。そして、その一瞬は、猟兵達を前にしたそれは、致命的な隙だ。
 矢の雨が過ぎ去った後の晴れの道。そこをクリスは駆け、走る。
 その手に握られていたのは先ほどの大斧ではない。鋭く研ぎ澄まされた美しき刀。
「時間超えて恋慕与える時計の針と私の白刃。どちらがきれいに舞えますか」
 ――勝負といきましょう。
 残像残すほどの脚は瞬く間に彼我の距離を埋め、クリスと天竺牡丹の舞が始まる。
 片や白刃煌めかせ、くるりくるりと舞うように。
 煌めく白刃を軌跡と残し、美しき残光は見る者を魅了して止まないもの。しかし、その白刃当たれば魅了どころではなく、命断たれるものと知れ。
 片や、弓繰り、白刃いなすをやっとと花は舞う。
 それはまるで花が花弁をはらりはらりと舞い散らすかのよう。
 全て散った時にどうなるか。それは花の終わる時。その時が来ぬようにと、天竺牡丹は必死に舞い踊る。
 最早、取り繕う余裕など、ありはしなかった。
「ふむ。ダンスとは興味深い。こうして刀を、抜き身を煌めかせ、魅せて踊るっていうのはこういうものなのね」
「う、五月蠅い! どうして、力がこっちに来ないのよ! 使い魔達は!?」
 踊り自体は触れてはいなくても、武闘と舞踏は相通じるところがある。
 力強く、しかし、鋭いその動き。これが舞踏会なりであれば、細かな粗を示唆されることもあるのだろう。だが、これは戦いであり、ヒトの心を惹きつけるかだ。その点においては、猟兵の誰もが及第点を超えていた。それはクリスもまた等しく。
 銃声が遠くで響く。時計の音は、いつからか聞こえない。
 ヒトの心離れ、使い魔達の援護は絶え、目の前にはその加護受けるクリスの刃。
 絶望が天竺牡丹の顔を染め上げる。
 だが、誰が気づこうか。クリスの剣舞がその神髄を未だ見せていなかったということを。
「この一撃で、吹き飛ばしてあげましょう」
 ――風が奔った。
 くるりくるりと待っていた刃が神速となり、音すらも置き去りにして、天竺牡丹の身体を断ちぬける。
 それはまさしく一撃必殺。くるりくるりと舞ううちに、クリスの内なるへ溜め込まれた力を起爆剤としての一撃。
 常であれば見破られやすくもなるそれであるが、加護を受け、他の猟兵達が天竺牡丹の力を、心を削ぎ落していたが故に、それはここに成ったのだ。
 魔性の花が舞い散り、声もなく地に倒れ伏す。
 それは人惑わす花の舞の終わりを告げるもの。
 猟兵達によるステージの幕引きであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月04日


挿絵イラスト