バトルオブフラワーズ⑦〜俺の歌を聞け~!
●全ては音楽とともに
「ひゅー、今日もいい音が響いてるぜ」
宙に浮いたシルクハットが、どこから響いているのか判然としない声を発した。
同じく宙に浮いた白い手袋に包まれた両手はチェケラ!とばかりに虚空へ向けられている。
「だがな、こんなもんじゃあ足りない。足りないからこうしてでっかいことをやったんだ。それ相応のものを見せてもらわなきゃ釣り合わない、そうだろ?」
黒幕の考えはともかく、彼の中ではそういうことになっているようだ。しかし、理由などどうでもいいのかもしれない。何せ、自由であること、欲に忠実であることが彼らの正義なのだから。
●ザ・サウンドステージ『パッショネイトソング』
「皆、よく集まってくれた」
円卓の鎮座する殺風景な会議室で、猟兵たちにねぎらいの言葉をかけたのは青髪の青年キマイラ、ライヴァルトだ。
「もう聞き及んでいるとは思うが、キマイラフューチャーの世界が、二つに、割れた」
ライヴァルトの言葉は常にしてみれば全く現実感のない、言うなれば頭大丈夫?と言われても仕方がないような荒唐無稽な言葉。だが、ここに集った猟兵たちは既に知っている。それがまごうことなき現実に起きたことであり、実際にキマイラフューチャーの世界が危機に立たされているということを。
「最初は俺もそんな馬鹿なと思ったが、実際に割れてしまったものは仕方がない。今やるべきは驚きに立ちすくむことではなく、出来ることを模索することだ」
それを前提として、とライヴァルトは呼吸を一つ置いた。
「幸いにして、システム・フラワーズ。キマイラフューチャーの根幹をなすシステムへの道は先の猟兵の活躍によって解放された。ならば、そこからそこから黒幕を仕置きしてやるのが最も早い解決方法といえるだろう」
ゆらりと、猫のしっぽが揺れる。それと同時にライヴァルトは眉をひそめた。
「だが、ことはそう簡単ではない。中枢の周囲に展開された6つのステージ『ザ・ステージ』をクリアすることが中枢への道を開く条件だ。それらは特殊なルールに支配されており、ステージにそぐわない行動をとるとステージから排除されるという厄介な性質を持っている」
険しい表情から一転、彼の頬が緩み苦笑いのような顔になる。
「今回俺が予知したのは、6つのうちの一つ、『ザ・サウンドステージ』そしてルールは『パッショネイトソング』だ。皆にはこのステージへと降り立ってもらい、シーディーメーカーと呼ばれる怪人と戦ってもらうことになる」
ライヴァルトはどこからか取り出したペンの線をキュポンと抜くと、背後のホワイトボードにステージの詳細を書き始めた。それによれば、『パッショネイトソング』では、自分を奮い立たせる歌を歌い続けねばならない。その上、歌を介さない攻撃は無効化されるという恐ろしいフィールドである。
「具体的には、秘密のカミングアウト、告白なんかが効果ありらしい。他にも自分自身への応援歌とか、元気が出る歌ならば割と緩い枠組みらしいな。敵となるシーディーメーカーに関しても本来の戦闘力はそれほどでもないが、このフィールド内であれば無二の強敵ともいえるだろう。なんせ、常に己も周りも奮い立たせているような弁舌の使い手だからな。他にもヴァーチャルキャラクターを召喚して頭数を増やしたり、カジノコインをばらまいてみたりと多彩な攻撃を行うようだ」
長台詞を言い終えて、会議室にひと時の静寂が訪れる。猟兵たちも、自らを鼓舞する歌を考えているのかもしれない。そんな彼らに、ライヴァルトは笑って言った。
「君たちを讃える歌はたくさんあるんだけど、自分のって難しいよな。難しい頼み事だとは思うが、俺も故郷のことだ。出来ることは、全部やろうと思っている。どうか俺たちの故郷を、よろしく頼む」
表情を引き締め、決意を言の葉に乗せ、ライヴァルトは一礼した。
夜宵
皆様こんにちは。夜宵と申します。
3本目のシナリオです。それでもって初めての戦争シナリオです!例によって、皆様の感情、思いの丈をシナリオにぶつけていただきたいと思います!
●フラグメント目的
シーディーメーカーの討伐 。
●敵情報
元々は市民の娯楽(主に賭博)を担当するヴァーチャルキャラクター。時代遅れ感が否めないが、オブリビオンとなった今も市民を盛り上げるための芝居がかった大袈裟な台詞で戦闘を盛り上げる。
●パッショネイトソング
この戦争における特殊ルールの一つです。公式より、
この戦場では、戦闘中、常に『自分自身を奮い立たせる歌』を歌い続けなければなりません。
歌を歌わずに行った攻撃は、効果を発揮しません。
『秘密にしている事をカミングアウト』したり『恋人への告白を歌にして捧げる』など、強い思いを歌に乗せる事ができれば、より強力な攻撃を行う事が出来るでしょう。
●補足
このシナリオは純戦闘シナリオです。
例によって、皆様のキャラらしさに重点を置いて書いていきたいと思います。
個性、どんとこい!という気持ちで素敵なプレイングをお待ちしております!
第1章 ボス戦
『シーディーメーカー』
|
POW : 人生一発逆転!
レベル×1体の、【背負った負債】に1と刻印された戦闘用【ヴァーチャルキャラクター】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
SPD : レディースアンドジェントルマン!
予め【聴衆を盛り上げる司会進行を行う】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
WIZ : ジャックポット!!
【大量のカジノコイン】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を覆う程の紙幣が舞い飛び】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:ケーダ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ネミ・ミミーニーズ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
イセッタ・リトルハーツ
う、歌わなきゃいけないんだっけ、しかも戦いながらかぁ……。
よし、こうなったら移動は狐に任せよう!どーんと"フェアリードフォックス"!
よし、後は歌いながら"クイックドロウ""一斉発射""第六感""2回攻撃"でリトルクイックの乱れ撃ちをするよ!
えっ、何を歌うかって?えーっと……もふもふよー♪もふもふよー♪みーんなみーんなもふもふよー♪……うん、なんだろ、もふもふの歌?というか動物可愛いよって歌?うん、そんな感じの!
攻撃が飛んで来たら、"動物と話す"で狐と話して"フェイント""第六感"で避けるよ!
シルクハット、否、シーディーメーカーの待つ、ザ・サウンドステージ『パッショネイトソング』に最初に降り立ったのは小柄な少女だった。
身長20㎝ほど、フェアリーであるイセッタ・リトルハーツ(操りふわふわおてんばガール・f00009)は、そのくのいち然とした特徴的な服を翻してふわりと浮かぶ。
「早速のニューカマーが来やがったぜ!世界の危機に真っ先に駆け付ける、小さな体に熱い心持った君は、いったい誰なんだ!」
初っ端からテンション高めな怪人に、しかし小さな戦士は毅然と答えを返す。
「わたしはイセッタ、イセッタ・リトルハーツだよ!」
「いい返事だ!全力で歓迎してやるぜお嬢ちゃん!!」
どこからか音楽が響く。ロックなビートはイセッタのためにあつらえたのだろうか。ノリのいい音楽が場を満たす。ここからが本番、サウンドステージとしての戦いということなのだろう。
「う、歌わなきゃいけないんだっけ、しかも戦いながらかぁ……」
当然、事前の知識を持ってイセッタも挑んでいる。だが、それはそれとして歌いながら戦うなど初めてのこと、不安になるのも無理はないことだった。
「尻込みしている暇はないぜ!?イェア!盛り上がっていこう!」
ただのノリのいい口上に聞こえるかもしれないが、これもれっきとしたユーベルコード。司会進行に合わせて、怪人の戦闘能力は増強されていくのだ。二重の意味で、迷っている時間はなかった。
「Let's Go!」
怪人の周囲を回るCDが加速し、射出される。迫る危機を前にイセッタの腹も決まった。
「よし、こうなったら移動は狐に任せよう!どーんと『フェアリードフォックス』!」
ユーベルコードにより召喚された2m大の白い狐が現れ、イセッタを背に乗せる。
「お願い!」
イセッタの声に応え、獣特有の加速で飛来するCDを振り切ったそれは、一定の距離をとって怪人の周囲を回り始め、背に乗ったイセッタは小さな拳銃を両手に握りこむ。その小さな肺に大きく息を吸い込んで、いざ歌唱という段だ。
「えーっと……もふもふよー♪もふもふよー♪みーんなみーんなもふもふよー♪」
一瞬の逡巡の後、空気に乗った歌は『もふもふの歌』とでも形容すべきだろうか。彼女のもふもふへの、ひいては動物への愛が込められた歌だ。
歌唱と同時に引かれた引き金、パパパッ!という音ともに拳銃からとは思えない発射速度で弾丸が放たれた。イセッタの卓越した技術により放たれたそれは狙い過たず怪人へと着弾していく。
「OH!熱いビートを、感じるぜぇ!」
腕をかざし、大部分は防ぐが、すべてを防ぐことは到底かなわない。シルクハットは破け、白い手袋にも穴を穿っていく。
「やるじゃねぇかお嬢ちゃん!俺も負けてはいられないな!」
存在しない顔がにやりと笑うような雰囲気。まだ、戦いは始まったばかりだ!
成功
🔵🔵🔴
朧・紅
アドリブ歓迎
表人格のお嬢様《紅》 のみで行動
武器はロープと刃だけのギロチン刃
血で赤く染め蛇のように自由に動かします
はにゃーお歌うたわないとだめです?
…それじゃ知ってる人は知ってるですが、殺人鬼なのカミングアウトしながら戦うですね?
僕ね、実はね、殺人鬼なのです~♪素敵なギロチンで首ちょんぱ~♪慈悲はないのです~♪でもね、お願い。寂しいですから、嫌わないで下さいですね?
少々照れながら、だがその動きに慈悲はない
【紅朧月】で複数枚のギロチン刃を呼び出し追い詰めるように複数方向から襲わせて出来た隙を見逃さずCD割っちゃうです
【第六感】で攻撃察知、避けるか武器受けするですね
うぅ、やっぱり恥ずかしいのですぅ
二條・心春
世界が真っ二つに……これは非常事態ですね。ライヴァルトさんやこの世界の人達のために、私も頑張らないと。
自分を奮い立たせる歌……高校に入って勉強とかバイトとか、失敗ばかりで自信喪失してたけど、その後猟兵になって皆さんのお役に立てて、多少自分に自信を持てた……そんな私自身の話を歌にしようかな。猟兵の仕事も辛いことはありますが、皆さんのお役に立って、皆さんを幸せにできるから頑張れるんだと思います。
改めて私が戦う理由を言葉にすることで、自分を奮い立たせましょう!
敵への攻撃は、【召喚:雷鹿】を使います。増えた敵をまとめて雷で攻撃したり、紙幣を嵐で吹き飛ばします。フルフュールさん、一緒に頑張りましょうね。
パウル・ブラフマン
【SPD】
面白そうなコトやってんじゃん、オレも交ぜてよ♪
愛機Glanzで乗り付け宣戦布告といきますか☆
マイク握り締めUC発動!
ちょい擦れたハスキーな声で【歌唱】するのは
エッジの効いたHIP-HOP、フリースタイルナンバーだぜ。
レペゼン『エイリアンツアーズ』!
【パフォーマンス】の神髄魅せてやるぜ、Bring the beat!
ゴキゲン☆Rymer MC jailbreakの番だ
GOD KILL THEN 乱打
お役御免だアンタ
フリーキーなフロウでヘッズを先導
そんなオレだが泳げない!
ボードがなくとも乗ってけ Night Flight
Frightすら越えてくんだMy Fight!
※アドリブ&絡み歓迎!
「世界が真っ二つに……これは非常事態ですね。ライヴァルトさんやこの世界の人達のために、私も頑張らないと」
そう言って怪人を見据えたのは、二條・心春(弱さを強さに・f11004)だ。ライヴァルトとも知己である彼女は、助けの声に応えてこの場に駆けつけた。隣には朧・紅(朧と紅・f01176)が佇み、ロープにつながれたギロチン刃をゆらゆらと揺らしている。
ブオォォォォ!キキッ!
そんな彼女たちの目の前に、低い排気音とともに姿を現したのは、白銀の宇宙バイクである愛機Glanzに騎乗したパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)だ。パンクな見た目の彼は、見た目通りに軽い口調で参戦の意を示す。
「面白そうなコトやってんじゃん、オレも交ぜてよ♪」
「OH!次なるお客さんが現れちまったか!さぁ、俺、俺達と一緒に歌おうぜ!」
3人もの猟兵が現れ、状況としては不利になっているはずなのに、怪人の声は今も面白がるような調子のままだ。
「さぁ来い!パフォーマーズ!行くぜオーディィエンスッ!さぁ、この狂った夜に酔いしれようか!」
そう叫んだ怪人の足元が淡く光り、そこからヒト型の何かが現出する。数十体という規模で現れたそれは、戦闘用のヴァーチャルキャラクター、彼の言葉を借りればパフォーマーだろうか。俊敏な動きで動き出したそれは、次々と3人へと迫る。
そんな中、パウルは笑いながら二人へと促した。
「お嬢さん方、乗りなよ☆ あいつの懐まで行くなら、手を貸すぜ?」
大量のバーチャルキャラクターが跋扈している以上、彼らを振り切るためにも、歌を確実に歌うためにも足は必要だ。実利を考えれば断るという判断はないといってもよかった。
「よろしくなのです♪」
「えっと、よろしくお願いします」
かたや意気揚々と、かたや遠慮がちに答え、宇宙バイク、Glanzへと乗り込む。
「シートベルトは絞めた?ココから先はノーブレーキだぜ!」
各自確認を済ませると、どう猛な笑みとともに発進する。恋愛経験のない彼にとって、女性をバイクに乗せると状況にテンションがあるのは無理のないことであった。
バイクは巧みにバーチャルキャラクター達をかき分けていくが、全てを避けきれるというものでもない。ならば、きっとここは彼女たちの出番なのだろう。
「はにゃーお、歌うたわないとだめです?」
紅は分かっていても繰り返し問うてしまう。難しいことではない。だが、ただただ恥ずかしさがあるのだ。
「僕ね、実はね、殺人鬼なのです~♪素敵なギロチンで首ちょんぱ~♪慈悲はないのです~♪でもね、お願い。寂しいですから、嫌わないで、下さいですね?」
歌詞は空恐ろしいが、可憐な声とともに歌が紡がれた。それに合わせて二十を超えるギロチンの刃が動き、バーチャルキャラクターを薙ぎ払っていく。
数人程度では止められないと理解したのか、十数人のバーチャルキャラクターが一回となって向かってくる。ギロチンの刃にも限りがある。すべてを受け止めるのは難しいだろう。
「~~♪」
紅の隣から、澄んだ音が響く。それは心春の歌声だ。高校に入って勉強やバイト、失敗ばかりで自信喪失、その後猟兵になって皆さんのお役に立てて、多少自分に自信を持てた……、そんな努力家な彼女の歌。同時に彼女の手のひらから翼のある鹿が現れる。彼女のユーベルコード【雷鹿(サモニング・フルフュール)】が体表にバチバチと火花を散らす。
一声、嵐を伴う雷がバーチャルキャラクター達を打ち据えた。痺れ、吹き飛ばされた彼らに、もうバイクを阻む力は残っていない。
「突っ込むぜ☆」
背後で頷く気配を感じて、パウルはさらに速度を上げる。もう敵のひざ元は目と鼻の先だ。
「HEYHEY!いいねぇ。思いの丈。聞かせてもらったぜ。さぁ、最後の演目だ!アゲていこう!」
シルクハットの周囲を周回していた数枚のCDが、白い手袋の動きに合わせて射出され、高速で回転しながら迫る。触れれば金属であろうとも容易く裂かれてしまうだろう。だが、それがユーベルコードならば話は別だ。
「赤く紅く、鮮烈に斬り刻むのです!」
直後の歌に乗せて、紅のギロチンがCDを受け止め、破砕する。
「それで終わりじゃあないぜ!ジャァァァックポッドオォォォ!!」
シルクハットの底面、ちょうど頭が入るべき場所がバイクへと指向され、無数の金貨が射出される。数えるのも馬鹿らしくなるそれは、CDほどの威力はなくとも、バイクを止めるには十分すぎる攻撃だ。
「フルフュールさん、もう一度、力を貸してください」
すぅ、と息を吸い、もう一度、思いを言の葉に乗せた。
「猟兵の仕事も辛いことはあります♪皆さんのお役に立って、皆さんを幸せにできるから頑張れるんです!」
韻を踏んで紡がれた決意が、このステージの加護を引き寄せる。二度、放たれた雷鳴は金貨の雨を吹き散らした。
「AMAIZING!こいつは、ヤバいかな!」
怪人の声に初めて焦りが見えた。その様子とは逆に、二人を讃えるようにヒュウと口笛を吹いてパウルは敵へと一直線に突き進んでいく。
「レペゼン『エイリアンツアーズ』!パフォーマンスの神髄魅せてやるぜ、Bring the beat!」
マイクを片手に、陽気な声と共に懐にもぐりこんだ彼のユーベルコード【Lyrical murderer(リリカルマダラー)】が炸裂する。
「ゴキゲン☆Rymer MC jailbreakの番だ♪ GOD KILL THEN 乱打♪」
言葉とともに嵐のような拳打が怪人を穿つ。怪人は白い手袋を拳に変えて対応するが、速度も重さも違いすぎた。何せRockとHip-Hopは彼の本職だ。いくらDJ然としたシーディーメーカーとはいえ決して後れを取るようなものではない。
「お役御免だアンタ♪ フリーキーなフロウでヘッズを先導♪」
歌の進行とともに速度が上がる。最早手袋は形を成していない。破け解けていくそれを横目に、パウルは本体であるシルクハットへと迫る。
「く……おっ!」
空間を横滑りし、必死に回避を行おうとする怪人。距離をとればまだ打つ手はあるのだろう。だが、それをやすやすと許すほど猟兵たちも甘くはない。
「逃がさないのです♪」
「止まって、ください!」
二人の歌声とともにギロチンと雷が殺到する。痺れ、ギロチンに囲まれた彼に逃げ場はなかった。
「これで、最後だ!そんなオレだが泳げない!ボードがなくとも乗ってけ Night Flight♪ Frightすら越えてくんだMy Fightッ!!!」
パウルの歌う最後の一小節、無数の拳打と共に放たれた蹴りが風切り音とともにシルクハットを破壊する。黒の残骸が千々に裂かれて風に舞い、そして最後に声が聞こえた。
「HAHAHA!いいバトルだったぜ!レディース&ジェントルメン!」
心底満足したような声とともに、怪人は消え去った。
パウルが拳を掲げ、少女二人は顔を見合わせて笑いあう。
このステージは猟兵たちの完全勝利で幕を閉じたのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵