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バトルオブフラワーズ⑧〜闇黒整地遊戯

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #夕狩こあら #マルチプル・アースムーバー

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「皆が頑張ってくれたお陰で、テレビウム達の液晶画面に『鍵』が浮び上がる『テレビウム・ロック事件』は無事に解決したのだけれど、『システム・フラワーズ』に続くメンテナンスルートを開放したら、キマイラフューチャーが南北に分断しちゃった!」
 ぱっかーん、と。
 手を刀に見立てて横薙ぎに、スッと宙に滑らせたニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)は、キマイラフューチャーが真っ二つに割れた事で俄に騒然とし出したグリモアベースを見渡す。
 多くの猟兵が往来する中、彼女は声を張って、
「私達は、猟兵の皆に救援要請を発した『システム・フラワーズ』に至る為に、周囲を守る六つの『ザ・ステージ』を全てオブリビオンから取り戻さなきゃならない」
 ステージ毎に異なる特殊戦闘ルールを攻略し、キマイラフューチャーの中枢、全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』内部を目指す――それが目下、猟兵に託された使命なのだと、集まった猟兵達も頷く。
 そうして頼もしい雄渾を見せてくれる彼等に対し、ニコリネが詳述するのは、六つあるステージの内のひとつ、『ザ・ペイントステージ』における特殊戦闘ルール、『ヌリツブシバトル』についてだ。
「これから皆を転送する先は、キマイラフューチャーの繁華街を模して作られた戦場ステージ。其処は壁や床が『闇のような黒色』に塗り固められている筈よ」
 この『闇のような黒色』の影響で、猟兵が操るユーベルコードはオブリビオンに直接ダメージを与える事が出来ず、一方的に攻撃を受けてしまう。
 その代わり、猟兵がユーベルコード或いは直接武器で床や壁を攻撃すると、ピンク、青、緑、紫など、任意の色で周囲を塗りつぶす事が出来るのだ。
「一定以上の範囲を塗り潰す事が出来たら、一度だけ、本来のユーベルコードでオブリビオンを攻撃する事が可能になる筈!」
 或いはオブリビオンを攻撃せずに、より広範囲を一気に塗り潰す「スーパー塗りつぶし攻撃」を行う事も出来るのだ。
「まさに色の塗り合い、『ヌリツブシバトル』って訳ね」
 ステージ(戦場)の三分の二以上が猟兵によって塗り潰された場合、本来のユーベルコードによる攻撃を無制限に行えるようになるので、その後は一気に決着を付ける事が出来るだろう。
「一定範囲を塗り潰してオブリビオンに攻撃を繰り返すか、或いは、敵と戦わずに三分の二以上を塗りつぶす事を目指し、その後一気に攻撃するか……とにかく、皆の力を合わせて戦わなきゃ、このステージは攻略出来ないわ」
 全ては『システム・フラワーズ』に至る為に――戦略を立てなくてはならない。
 ニコリネはそこまで言うと、花型のグリモアを召喚し、
「キマイラフューチャーにテレポートします。惑星の未来を闇色に塗り潰す、わるーい怪人をやっつけに行きましょう!」
 準備はいい? と白磁の繊手を差し伸べた。


夕狩こあら
 オープニングをご覧下さりありがとうございます。
 はじめまして、または、こんにちは。
 夕狩(ユーカリ)こあらと申します。

 こちらは、『バトルオブフラワーズ』における第八の戦場、『ザ・ペイントステージ』のボス戦『ヌリツブシバトル』攻略シナリオ(第一章のみで完結)となります。

●戦場の情報
 旧人類遺構のひとつ「繁華街」。
 大小の看板が所狭しと掲げられる、雑然とした街並みです。
 新宿・歌舞伎町のような風景を想像して頂ければ幸いです。

●敵の情報(ボス戦)
 マルチプル・アースムーバー。
 安全第一、工期第一で工事にいそしむ『はたらくオブリビオン』。いつもより真心こめてエンヤコラ。

●リプレイ描写について
 フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や呼び方をお書き下さい。
 グループでのご参加は【グループ名】をご記載願います。
 プレイングが届いた順にマスタリングを行い、リプレイが完成した方から随時お返し致しますので、全体として4~8名程度の採用を予定しております。

 以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
 皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
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第1章 ボス戦 『マルチプル・アースムーバー』

POW   :    タイヘン キケンデスノデ チカヅカナイデクダサイ
【放り投げた瓦礫や、ドリルの一撃など】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を塗りつぶし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    シャリョウガ トオリマス ゴチュウイクダサイ
【ブルドーザー形態による猛烈突進攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    ゴメイワクヲ オカケシテオリマス
【排気マフラー】から【環境に厳しい有害物質たっぷりの黒煙】を放ち、【強烈な粘膜刺激と視界の悪化】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:おおゆき

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠グァンデ・アォです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シリン・カービン
なるほど。
そのような条件なら私は塗り方専門で行きましょう。
「色の精霊よ、この地を染めて」
【スピリット・バインド】を発動。
色の精霊を宿らせた投網弾を壁や床に広げ、
緑色に塗り潰して行きます。

作業は丁寧かつ迅速に。
街の構造を把握し、効率良く面積を広げます。
敵の周囲を塗り潰して、あちらの作業効率を落とすのも忘れずに。

オブリビオンが攻撃出来るようになったら
スーパー塗り潰しを発動。
「色の精霊、行きますよ!」
最大精霊力を込めた特大投網弾で勝負を決めましょう。
オブリビオンを巻き込んで拘束出来れば尚良しです。

一面染まった緑色に少し達成感。
顔も服もベタベタです。
「ふふ、子供の頃を思い出しますね」

アドリブ・連携可。



 色とりどりのネオン看板が並び、喧騒が極彩色を掻き立てる繁華街。
 光に包まれて降り立ったシリン・カービン(緑の狩り人・f04146)は、四方から飛び込む煌きに影の輪郭を散らす筈であったが、その影を丸呑みにする闇色に嘆声を添えた。
「――成る程」
 夜の森より昏い、自然に在らざる暗黒。
 これが『ザ・ペイントステージ』における特殊戦闘ルール『ヌリツブシバトル』開始時点の状況か、と周囲を見渡したシリンは、スクランブル交差点の向こう側に響く重機の音を耳にしつつ、【スピリット・バインド】を発動した。
「色の精霊よ、この地を染めて」
 鎖閂式『精霊猟銃』の遊底を手早く動かし、色の精霊を宿らせた投網弾を装填したシリンは、繊指に銃爪を引き、射出――木漏れ日に揺れる若葉の様な緑色を建物や道路に広げる。
『――ゴメイワクヲ オカケスル モノヲ タンチ シマシタ』
 須臾に重機型オブリビオン『マルチプル・アースムーバー』が色の変化を察知し、背面のクローラーを使って高速移動してくるが、外套を翻して突進を躱したシリンは、彼の周囲にも投網弾を撃ち込み、注意を逸らさせる。
「仕事熱心な様ですので、作業を追加して差し上げます」
『! ミドリイロ ハッケン。ガレキデ ウメマス』
 ピーピーと警告音を鳴らしながら盛土作業を始める重機。
 餌を撒いて敵の機動を禦した彼女は、炯眼を巡らせるや地形を把握して街を疾駆し、丁寧かつ迅速にヌリツブシ作業を進めていく。
 得意を弓から銃へと変えた彼女は、蓋し腕利きのハンターである事に変わりない。
 優れた精密射撃が叶う猟銃を脇に、繁華街の大通りを一通り塗り込めたシリンは、更なる広範囲を一気に塗抹する『スーパー塗りつぶし攻撃』に移行する。
「色の精霊、行きますよ!」
 精霊の力を最大限に引き出した佳人の銀髪が光に揺れる。
 素早いボルトアクションで装填された特大投網弾は、螺旋廻旋して闇色を削るや一面を清々しい緑と変え、敵機の仕事量を覆す。
「そろそろ勝負を決めましょう」
『ミドリ ミドリ ミドリジュウジハ……アンゼンノシルシ!!』
 混乱を叫ぶ重機を背に、ふわり、音もなく着地したシリンを迎えるは一面の緑。
 服も、美し花顔も塗料でベタベタになった彼女は、拭う手の甲に微笑を隠して、
「……ふふ、子供の頃を思い出しますね」
 中々に楽しい、と童心を胸に滲ませた。

成功 🔵​🔵​🔴​

朱雀・慧華
【スーパー塗りつぶし】

★ミッキュには今の期間沢山頑張ってもらわないとね

夜はもうおしまい!
少しずつ朝に変えてくよ!

おいでミッキュ!

★七色空絵具(今日は朝焼け)の入ったバケツを取り出し
ミッキュの手足や尻尾にも絵の具を付けて自由に走り回らせる

私も朝焼け絵の具をバケツごと周囲にばら撒いて
広がるのは茜色の美しい夜明けの風景

更に★七色空絵筆の【アート】で
自ら壁の中を動き回る鳥達を描き

さぁ自由に羽ばたいて
君達の通った壁も床もぜーんぶ朝焼けに変えちゃって!
(絵の具は即魔力補充)

敵の攻撃は回避して塗り潰しに専念

UC撃てるようになったら鳥を具現化
更におっきな象さんをいっぱい描き出して
お鼻で絵の具の放水しちゃう!



 現下、闇に在るは重厚な駆動音と喧しい警告音。
『ゴメイワクヲ オカケシテオリマス』
 排気マフラーから有害物質たっぷりの黒煙を噴き出し、繁華街の大通りを闇色に塗り込めていく『マルチプル・アースムーバー』。
 電光看板の陰に潜み、敵機の進攻をやり過ごした朱雀・慧華(純真天使・f17361)は、バケツを手にひょっこり花顔を覗かせると、傍らの相棒ミッキュに目配せした。
「おいでミッキュ! ミッキュには沢山頑張ってもらわないとね」
 この星に起きている異変と危機に共に立ち向かおう。
 透徹たる青の瞳に凛然を煌かせた少女は、バケツにたっぷりと入れた『七色空絵具』をミッキュの手足や尻尾に付け、辺りを自由に走り回らせる。
 そして自身はバケツごと道路や建物に振り撒いて、絶望に沈む闇色に色彩を広げていった。
「夜はもうおしまい! 少しずつ朝に変えてくよ!」
 今回、少女が用意した絵の具は目の覚めるような朝焼け色。
 オブリビオンに蹂躙された色達を起こす暁闇の精彩が、闇色のキャンバスに茜色の美しい夜明けの風景を描いていく。
 慧華の内に秘めた魔力は絵の具となって溢流し、
「さぁ自由に羽ばたいて。君達の通った壁も床も、ぜーんぶ朝焼けに変えちゃって!」
 玉臂が躍らせる『七色空描筆』はアーティスティックな鳥を描くや、命を吹き込まれた鳥は壁の中を楽し気に飛び回る。
 時に彼女の動きに気付いた敵機が反転して向かい来るが、
『カンケイシャ イガイハ ハイッテハ イケマセン』
「ごめんね、今は塗り潰しに専念したいから!」
 ひらり、バケツを手に遠心力で回転・回避した少女は、引き続き闇色に沈む繁華街に暁光を差し入れ、目覚めさせていく。
 他の猟兵もヌリツブシ作業に力を注いだ事で、彼等らは比較的早い段階でフィールドの主導権を得られ、慧華もより広範囲を一気に塗り潰す『スーパー塗りつぶし攻撃』を発動する。
「皆も一緒に遊ぼうよ!」
 佳声に呼ばれて囀るは小鳥――【具現化される夢】(シェイピングドリーム)は街中に描いた鳥達に本当の風を掴む双翼を与え、力強い羽搏きで朝焼けの空へと飛び立たせた。
 その間にも、絵筆を握る手は愛らしい象の群れを描き足し、
「象さん達はお鼻で絵の具の放水しちゃう!」
「パオーン!」
 象たちが色彩のシャワーを揃えれば、朝を迎えた繁華街は賑やかさを取り戻す。
 その眩い払暁に、慧華の笑顔がより一層輝いて見えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

春霞・遙
敵を倒すのは他の方にお任せしてとりあえず黒い繁華街を明るく塗りかえましょう。

周囲に【葬送花】の花びらを吹き付けて塗りつぶします。
敵への攻撃には参加せず、瓦礫などが飛んできたらそれを杖で「なぎ払い」、「吹き飛ばす」ことで黒を上塗りされることを防ごうと思います。

もう塗らなくて良いのであれば、【葬送花】で排気マフラーを狙って攻撃して詰まらせて、黒煙がそれ以上出ないようにしましょうね。



 多くの猟兵のヌリツブシ攻撃に、有害物質たっぷりの黒煙を噴いて喚く『マルチプル・アースムーバー』は怒っているのだろうか。
『サギョウゲンバニ シンニュウシャ アリ!』
 忙しく赤色灯を回した重機は、方向反転、警告音を連れて突貫する。
 刻下、闇色の繁華街に降り立った春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)は、鳶色の瞳に敵影を捉えるや、視界に飛び込む瓦礫を『木の杖』に薙ぎ払い、間もなく肉薄するドリルの先端を半身を捻って躱す。
 丹花の唇は飄然と佳声を置いて、
『カンケイシャ イガイハ ハイッテハ イケマセン!』
「ところが関係者でして」
 戦うか――否。
 微笑して擦れ違った彼女は、革製のローブを翻してそのまま逆方向へ疾走る。
 繊手に握った杖は眩い光を闇に差し向けると、薄桃色の花吹雪を戦がせ、
「――風に舞う薄紅の嬰児よ。惑う命の導きと成れ」
 詠唱に紡がれる【葬送花】(タムケノハナ)は、闇を躍るや街を薄桃色に塗り替える。
『コウジゲンバデ アソンデハ イケマセン』
 重機は直ぐにもクローラーを逆回転し、バックして遙に迫るが、薄桃色の花嵐はザッと向きを変えてマフラーに飛び込み、排気を詰まらせる。
『モガッ! モガッ!』
 之に抵抗した重機はブルドーザーにモードチェンジ、重厚なる鉄塊ごと猛烈突進攻撃に出るが――遙を押し潰すまでには至らない。
「ッ、……呼吸は空気が抜けなくては苦しいでしょう」
 激痛を受け取った遙は然し炯眼の犀利なる儘、動きを鈍らせた重機に艶笑を注いだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

パウル・ブラフマン
【SPD】
はたらくオブリビオンとかいいやつっぽくない?
えっ名前に騙されちゃだめ?そっかぁ…。(しょんぼり)

こうなったら働き盛りの運転手として対抗しちゃうぞ☆
ワイルドなスピード壁ドンでUC発動、行くよGlanz!
オレらは先に塗り潰し作戦でいってみよっか。
無制限って気になるじゃん?

オレのカラーはマリンブルー♪
愛機Glanzに【騎乗】し、持ち前の【運転】テクをフル活用!
ブルドーザーの突進をわざとスレスレで【見切り】避けつつ
Krakeから弾丸の雨霰を乱れ撃ち!
猛【ダッシュ】で駆け回って広範囲を塗り潰していくよ。

仲間のピンチには
【スライディング】で敵機との間に滑り込むよ!

※アドリブ&相乗り&絡み大歓迎!



 時に。
 多くの猟兵がヌリツブシ作業に取り組んだ結果、闇色に沈む街にも色が戻りつつある。
 焦ったのは当初の施工者だろう。
『イソギ ゲンジョウカイフク シマス』
 ブルドーザー形態にモードチェンジした『マルチプル・アースムーバー』は、クローラーを超速回転させて猛烈突進する。
『シャリョウガ トオリマス ゴチュウイクダサイ』
 警告を号ぶ赤色灯が猟兵らの瞳に差し込んだ刹那、一陣の風――パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)が長躯を滑らせて間を割った。
「はたらくオブリビオンかぁ。いいやつっぽいけどね!」
『!!』
 真面目で朴訥とした――と瞶める瞳は童心に煌きつつ、蓋し重厚なる排土板を止めた『Faust』は凄まじい衝撃をジャケットのはためきに代わらせ、眼前の重機を吃驚に満たす。
 パウルは敵の仕事熱心を認めつつ、その口角を小気味よく持ち上げ、
「働き盛りの運転手として対抗しちゃうぞ☆」
 言うやワイルドなスピード壁ドンで【ゴッドスピードライド】を発動――!
 その瞬刻、轟ッとエンジンを呻らせた白銀の鉄騎が、テールランプに光の帯を引いて闇を裂いた。
「行くよGlanz!」
 長い脚に愛機を跨いだパウルは、次いで肉薄するドリルの一撃を巧みなハンドル捌きで躱すと、擦り抜け様に弾丸雨注を置いて疾走る。
 敵の躯体にも降り掛かる色は、快い風さえ漂いそうなマリンブルー。
『アタラシイ イロヲ カクニンシマシタ ツイビシテ コウシンシマス』
 重機は雨霰と注ぐ青を追って突貫するが、これこそ彼の戦略。
 パウルはサイドミラーに敵機を映しながら、わざとスレスレで回避しつつ、色彩を捲き餌にして惹き付ける。
 目標は三分の二以上の塗抹、フィールドの制圧。
「ユーベルコード無制限使い放題って気になるじゃん?」
 彼の技巧的操舵にダイレクトに反応する『Glanz』が其を叶えよう、鉄騎は道路に塗り込められた闇色をトレールタイヤに弾きながら、街を青い海に変えていく。
 軈て彼は精彩を取り戻した街に、子供の様な笑みを浮かべるだろう。
「うん、綺麗!」
 頬を走る青色を拭う手の甲の下、端整な脣が持ち上がった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ディオ・マンサニー
どう塗っていくか、それが重要であるな。インカム等で連絡を取り合いながら連携するのが良かろう。もってない人へ配れる位には持っていこうか。

吾人としては各個撃破も好ましいが、一気に塗り替えし包囲して叩きたい所である。追い込んで行けば隠れて塗ってる敵も見つけ易そうな。

UC、サモン・アリエスを使ってバシバシ斬り込んで貰おうか。遠隔の攻撃もできる故、サポートも任せてほしい。
うむ、うむ。塗り返してゆくのも中々に楽しいが、猟兵の勤めをしなければな。
無理な追撃は禁物ぞ。こちらが逆に追い詰められてしまうからな。

(アドリブ、他の方への絡み、大歓迎です)



 ――扨て。
 多くの猟兵がヌリツブシ作業に取り掛かる場合、作業区域の重複があっては非効率だと、連携を重視したのがディオ・マンサニー(葡萄酒の神・f17291)。
「配れる位には持ってきた。これで聯絡を取り合っては如何だろう」
 闇色に沈む繁華街に降り立って直ぐ、昏き中で彼が皆々に手渡したのはインカム。
 戦場を同じくする猟兵の双方向通信を可能にした彼は、耳に届く戦況、作業の進捗状況に常に気を掛けながら、光を隠す街を疾走していた。
「吾人としては、一気に塗り替えた処で包囲して叩きたい所である」
 闇色に沈む今は聴覚を頼りに。
 ヌリツブシ作戦が進行した後は、闇色を裂いて得た精彩を頼りに――敵機を討つ。
「塗り潰し作業に専念した皆々の『スーパー塗りつぶし攻撃』が効果を発揮し始めた様だ」
 多くの猟兵がフィールドの制圧を目指している、と情報と戦術を共有したディオは、『ヌリツブシバトル』のルールである一定以上の色域の獲得を知らしめるに、「本来の効果を発揮するユーベルコード」を発動する。
「――豊穣の牡羊よ。応えるがいい」
 沈着たる言の葉に紡がれて現れるは【サモン・アリエス】――牡羊の頭を持つ戦士は、近きに於いては水を纏った斧を、遠きには氷の矢を放って敵機を攻撃する。
『タイヘン キケンデスノデ チカヅカナイデクダサイ』
「生憎だが、近接でも遠隔でも攻撃出来る」
 重機型オブリビオン『マルチプル・アースムーバー』の警告に返る怜悧な声。
 牡羊の戦士が敵機と烈しく角逐する中、ディオもまたペイントブキを手に「情熱的」なグラフィティを描き、
「うむ、うむ。塗り返してゆくのも中々に楽しいが、猟兵の勤めをしなければな」
 と、インカムを通じて仲間に現況を伝えた。

 ――戦場の三分の二以上が塗り替えられた。これより本来のユーベルコードによる攻撃を無制限に行える。

「攻め時だ」
 敵の躯体を射た緋瞳が、色彩の中で更に犀利を増した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ピオニー・アルムガルト
とりあえずオブリビオンは無視して色塗りに集中!
でっかい図体だと上に上がって来るのは一苦労なはず!
【ダッシュ】と【地形の利用】でビルとビルの間を駆けながら敵の頭上を押さえながら【2回攻撃】【範囲攻撃】を乗っけた【人狼咆哮】で色とりどり染め上げて行くわ!
コンクリートジャングルを吼え駆ける蒼色の狼!そう書くとなんか私カッコ良くないかしら?
ルールはゲームみたいで好きだけど、世界が消えるかもしれない代償があるなんてノーサンキュー。真面目に行かせてもらうわ!



 闇色に影を溶かし、重機が駆動する重低音に跫を隠して。
 ビル間を抜ける風の如く、建物を伝って高速移動していたピオニー・アルムガルト(ランブリング・f07501)は、大通りを猛烈突進する敵機『マルチプル・アースムーバー』を眼下に敷きながら、【人狼咆哮】で闇色を引き裂いていた。
「コンクリートジャングルを吼え駆ける蒼色の狼! ――そう言うとなんか私カッコ良くないかしら?」
 月なき闇夜にあっても麗容は煌々。
 蒼き狼の鋭い咆哮は、暗澹に沈む街に幾度と谺を響かせ、闇に眠った色彩を次々に目覚めさせる。
 彼女が建物上部から精彩の幕を降ろせば、無論、敵機『マルチプル・アースムーバー』も更に塗り替えようと色を追うが、扨て重機は如何にして壁面を昇ろう?
「でっかい図体だと、上に上がって来るのは一苦労よね!」
 ピオニーは一族の紋章を刻んだペンダントを揺らして下を見るが、昇る術のない重機はその黄金の輝きを仰ぐのみ――いや、己が躯体の代わりに有害物質たっぷりの黒煙を噴き上げ、彼女の三角帽のブリムを波立たせた。
『ゴメイワクヲ オカケシテオリマス』
「ッけほ、けほ!」
 冴月を想わせる金瞳の目尻に、涙を浮かべるピオニー。
 然しやられてばかりでないとは、黒煙を掃った魔導杖が、其を振り翳した凛然が示しており――、
「ルールはゲームみたいで好きだけど、世界が消えるかもしれない代償があるなんてノーサンキュー」
 厳然と突き付けた反駁は、眩き光となって敵機に降り注ぐ。
 丹花の唇は今一度――然し今度は「本来の効果を持つユーベルコード」を放ち、
「真面目に行かせてもらうわ!」
『ッガガガ!! ガガガガガ!!』
 闇の帳を切り裂く狼の哮りが、重厚な鉄塊に痛撃を浴びせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

木元・祭莉
おー、だいぶ塗れたねー?
そんじゃ、そろそろ攻撃ターン、行こっか!
キャタピラなら、安定してるのにねー。
なんで立っちゃったのかなあ?

というわけで、木元祭莉、行っきまーっす!
ダッシュして、身を躱しつつ。ひらひらりん☆(ダンス&パフォーマンス)
野生の勘で大振りの攻撃を避け、黄色いのの足元へスライディング!
吹き飛ばしで、足元を掬ってー!

体勢崩したら、すかさず宙を舞って馬乗りに。
……馬がでっか過ぎて、跨がれないなあー。
まあ、この距離なら、おいらのもんだー♪
バイバイ、でっかいくんっ!(灰燼拳ぶっ込む!)

終わったら、勝鬨上げながら、みんなとハイタッチして回るよー!
勝者、イェーガー! いぇーい!!



 多くの猟兵がヌリツブシ作業に専念した甲斐あって、敵機『マルチプル・アースムーバー』は闇色に塗り替える作業に奔走せざるを得なかった。
 畢竟、戦術が明暗を別ったろう。
 手数と効率に勝った彼等は、比較的早い段階で戦場の三分の二を闇色より救い出し、繁華街は四半刻も経たずして元の派手な色彩を取り戻していた。
『ゲンジョウカイフクニ ヨウスルジカンヲ ケイサンシテイマス……』
 重機はグルグル、グルグル……と視界で円を回し続けるが、原状回復より終焉が近い。
 聯絡を密に、連携を蜜にした一同は既に敵機を囲繞するに成功し、刻下、彼等は「本来の効果を持つユーベルコード」を狂濤の如く浴びせている。
「おー、だいぶ塗れたねー? そんじゃ、そろそろ攻撃ターン、行こっか!」
 と、総攻撃の音頭を取ったのは木元・祭莉(花咲か遮那王・f16554)。
 クローラーで移動するブルドーザー形態から二足歩行形態にモードチェンジする時を狙っていた少年は、眼前に飛び込むドリルの一撃をひらひらりん☆ と躱すと、大振りの攻撃で間が開いた瞬間にスライディング!
「ここで立っちゃったら、足元掬われちゃうよー!」
『――ッ!!』
 にっこり、『アンバーナックル』を衝き入れて体勢を崩させる。
 重機が蹈鞴を踏んだなら、小柄な彼はクルクルと宙を舞って頭上を取り、重力を乗算した【灰燼拳】を撃ち落とす。
「馬がでっか過ぎて、跨がれないけど……まあ、この距離なら、おいらのもんだー♪」
 全身のバネにして放たれた狼拳が鉄塊を貫き、穿ち、黒煙を噴かせる。
 須臾、凄まじい衝撃が波動となって赤茶の髪を梳り、大きな銀瞳を覗かせた。
「バイバイ、でっかいくんっ!」
 少年らしい軽やかな声が別れを告げたのは、目も眩む様な色彩の海が――猟兵達のユーベルコードが一点に集まり、一気に爆ぜたからで、虹色と輝く光の波濤が闇を屠り尽くす。
『ッガ……ッッ……――』
 今際の叫びも精彩に呑まれて――全てが沈黙し、すっかり色を取り戻した街に、心地良い静寂が訪れる。
 祭莉は闇色の払われた街並みを見渡すと、共闘した皆々とハイタッチして回り、
「勝者、イェーガー! いぇーい!!」
 何とも清々しい勝鬨が、揺ぎ無い勝利を感じさせた――。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月04日
宿敵 『マルチプル・アースムーバー』 を撃破!


挿絵イラスト