バトルオブフラワーズ⑥〜光の道を行け
美しく並べられた色とりどりのタイルがどこまでも続いている。おとぎ話のレンガの道のように整然と地面に収まったそれらは、踏まれるために存在していた。
やがて流れ出した音楽に合わせてタイルの各所が光を放つ。リズムに乗って各所で色のついた輝きが空中を照らし出した。
あくまでルールに則ってそれらは色彩を変えていた。楽曲のリズムというルールが厳然と存在したのだ。
唐突に真っ黒い足が傍若無人にタイルを踏みつける。その存在をキマイラフューチャーでは怪人――猟兵たちはオブリビオンと呼んでいた。
「既に聞いているだろうがキマイラフューチャーが真っ二つに割れた。それでいきなり滅んだりしないのはあの世界らしいな」
幽暮・半月(一葉・f00901)は首を傾げるようにブラックタールの体の一部をクエスチョンマークにして曲げた。
原因はオブリビオン・フォーミュラ『ドン・フリーダム』。キマイラフューチャーを滅ぼさんと攻撃を仕掛けてきたようだ。先に起こったテレビウム・ロック事件もそのせいである。
「早速だが対応を頼む。皆に行って欲しいのは『ザ・ステージ』の内の一つ、だ」
ドン・フリーダムに至るにも、その前に数々の戦場をクリアしていかなくてはいけない。
半月が送り出そうという先はザ・ダンスステージ。光るタイルを踏んでダンスをしながらオブリビオンとの戦闘をこなさなくてはならない。
ここではダンスが上手ければ上手いほど戦闘能力が向上する。その分多くのオブリビオンを倒せるだろう。
「ただし、一つ注意があってな」
例え敵を倒しても、光っていないタイルを踏んでしまったり、ダンスに失敗すると戦闘不能になってしまう。
「現れる敵は三人一組、交通トリオ」
タイルを無視して動き回り、勝手に一方通行にしたりタイヤで突撃してきたり三角コーンを放ってきたりして妨害してくる。あまり強くはないが、ダンスに失敗しないように注意が必要だ。
「戦いとは言い難いが、キマイラフューチャーの命運がかかっている。よろしく頼む」
赤城
赤城と申します。よろしくお願いします。
交通トリオはタイルを無視して動きますがフレーバーなので対応してもしなくても判定には影響しません。ダンスに集中していただければと思います。
音楽のノリはプレで指定していただいて構いません。指定がなければこちらで雰囲気で選びます。
それでは楽しいプレイングをお待ちしています。
第1章 集団戦
『交通トリオ』
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POW : 一方通行怪人・ウェポン
【一方通行兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : タイヤ怪人・ジェノサイド
【タイヤ攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 三角コーン怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【三角コーン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:まめのきなこ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ゆったりとしたバラードが流れる中、交通トリオがパントマイムじみた動きでタイルを踏んで回る。光るタイルも光らないタイルもお構いなしだ。交通器具の頭を持ちながら、このステージにおいてあるまじき所業である。
後奏が長いフェードインの末にぽつりと消え、次の音楽も無視して交通トリオは動き回る――かに思われた。
高鷲・諒一朗
ダンスなら任せてくれよお、ってなあ!
うなれ俺のこの長い脚!
スカイダンサーの真髄を見せてやらあ!
キマイラフューチャーはやっぱりダンスにおいても最先端だなあ!
ダンス好きのおれみてえな若者を引き付ける力があるぜえ
リズムとは脈動! ステップとは鼓動!
音楽と一体になれば自然と手も足も動く、それがダンスってもんだぜえ
笑顔がいちばん、楽しんで踊るとすっかあ!
危ないところは「野生の勘」で咄嗟に踏みつつ
とにかく楽しく! 見栄えも考えて! しっかり最後まで踊りきるぜえ
ここぞというときに攻撃できそうなら
『スカイステッパー』で蹴り上げるぜえ!
激しくかき鳴らされるギター、呑まれることなく存在感を放つパーカッション。
それをバックミュージックに背負うかのごとく、スカイダンサー、高鷲・諒一朗(ミルザム・f17861)が肩で風を切って現れた。
「ダンスなら任せてくれよお、ってなあ! うなれ俺のこの長い脚!」
力強く、だが決して鈍重ではないステップは長い手足とこれまで躍り続けた経験から産み出されるもの。的確に光るタイルを踏んで進む。
パッションをはちきれんばかりに全身に込め、スカイダンサーの真髄とばかりに力強いダイナミックな動きは惚れ惚れするほど芸術的だ。
踏む度に明滅する足元は諒一朗を照らし、それもまたリズムを刻んでいる。
「さすがキマイラフューチャー、やっぱりダンスにおいても最先端だなあ! ダンス好きのおれみてえな若者を引き付ける力があるぜえ」
色黒な顔の中で笑顔を浮かべると白い歯が輝いた。ダンスは楽しむもの、楽しいもの。躍動的な動きももちろん重要だが、踊っている本人が楽しむことが何よりもの見栄えであった。
だが忘れてはいけない、ここにはダンスに水をさす存在がいる。
「おいおいここは一方通行だぜ?」
一方通行怪人が次のステップを踏もうと運んでいた足を狙い、赤い手持ちの誘導灯を投げつけてきた。
咄嗟に避けること事態には成功したものの、次に踏むつもりでいたタイルに踏み込めば今度は全身がバランスを崩してしまう。
「ちぃっ」
危うく踏み外しかけたが、彼のダンスへの情熱と勘が次のタイルを告げてくれていた。素早く眼球を動かし、足をつけたタイルは光を灯していた。体勢も大きく崩れてはいない。
「猟兵め! この一方通行が見えないのか!」
「そうだそうだ!」
タイルを踏まずに歩いている怪人の説得力はタイル一欠片ぶんも存在しない。
諒一朗はふん、と鼻で笑うと余裕の笑顔を浮かべた。
「リズムとは脈動! ステップとは鼓動!」
踏み外しかけた焦燥はダンスの高陽感の前では塵も同然、何事もなかったかのようにそのまま空中までも踊るべき舞台として足を乗せて跳んだ。
「音楽と一体になれば自然と手も足も動く、それがダンスってもんだぜえ!」
ダンスの一部として放たれた蹴りは一方通行怪人を捉え、本物のプラスチック看板のように軽く吹き飛んでいった。
「うおおっ」
「一方通行ー!」
タイヤ怪人と三角コーン怪人の悲痛な叫びは、諒一朗の次なるステップと音楽の前に続くことはなかった。
「ダンスってのはなあ、笑顔が一番! 最後まで楽しく踊りきってやるぜえ!」
黄金色の髪に汗の玉が輝き、タイルの光の中で弾けた。
照らし出される人狼の青年は心底からの太陽のような笑顔を浮かべ、一曲を踊りきったのであった。
成功
🔵🔵🔴
摩訶鉢特摩・蓮華
光るタイルを踏みながらダンスするってメッチャ難しく感じるんだけど!
しかもオブリンはルール無視してもいいとかムチャクチャじゃないかな!?
…まぁ、文句言っても仕方ないから、がんばって踊るよ!
ダンスって踊ったことないからドキドキするよ…
とりあえず光るタイル踏むので精一杯なんだけど・・・なんとかダンスに見えるように笑顔で手を振ったりしながらやるよ!
うん、慣れてきたら、そんなに難しくないね!なんだか楽しくなってきちゃったの♪
軽快にステップを踏めるようになると今度はハンドスプリングを混ぜて前後左右に転回しつつ手や足で光るタイルを踏みながらリズムに乗って踊るよ!
踊り後
あ、そういえば蓮華、スカートだった…
明るく軽快なポップミュージック。安定した王道の人を元気付ける曲。
摩訶鉢特摩・蓮華(紅蓮眼・f09007)は傍目から見て問題なく着地したが、その内心はやや慌ただしい。
「光るタイルを踏みながらダンスするってメッチャ難しく感じるんだけど!」
ほとんど外に聞こえない、口の中だけの小声。ダンス経験のない蓮華の緊張は大きい。しかもオブリビオンはタイルを踏まなくてよいときている。
それでも猟兵として培った運動神経を最大まで生かし、ちゃんとダンスとして形になるように笑顔を作り。スカートの裾を翻して着実に光るタイルを踏んでいく。
「ちゃんとルールは守ろうね!」
時にオブリビオンを蹴散らすついでに手を振って可愛らしく。それらが功を奏してか踊る内にこなれたものになっていく。
緊張が解れるとますますステップは軽やかに、全身の動きは滑らかに。
「うん、慣れてきたら、そんなに難しくないね!」
当初の緊張はどこへやら、今は音楽に合わせて踊る楽しさが蓮華の体を動かしていた。
次はあのタイルを踏み、腕を大きく振ってくるりと一回転、そうしたら次は……。言語としてはっきり思考している訳ではないが次々とダンスの振り付けが浮かんでくる。
やがて曲がクライマックスに差し掛かると蓮華のテンションも最高潮だ。熱いうねりに任せて蓮華は大きく体をひねった。
光るタイルに手をつき、勢いを殺すことなく体を転回して再び足で次の光るタイルを踏みしめる。
盛り上がる曲、刻むリズムとタイルを踏み外すことなく縦横斜めとのびのびとしたハンドスプリングを織り交ぜて、軽やかなだけでなくのびのびと躍動する。
曲が終わり、心地よい疲労感と達成感に満たされて蓮華は汗を拭ったが、そこではっと気付いた。
「そういえば蓮華、スカートだった……」
と頬を赤らめ、周囲を見渡したが幸いにして遠くにオブリビオンがいるだけであった。
大成功
🔵🔵🔵
レイチェル・ケイトリン
わたしも最初の人とおなじスカイダンサー。
スカイステッパーを心にえがくの。
でも、つかうユーベルコードは刹那の想い、心のなかで体感時間をゆっくりにして1秒間を39分割した時間で放つ念動力で光を確実にふんでいくよ。
それではじめるのは人形劇、人形であるわたしのいままでの歩みをわたし自身をうごかして演じるの。
わたしはスカイステッパーをいろいろつかってきた。
その目的意識を機能美にして。
はじまりはていねいに、鳥とかを保護し、そして高いところの薬草をとる……。
はげしさは飛竜を撃墜した急降下、そして地面ぎりぎりで足場をつかったの急旋回。
その緩急で敵をけっとばすの。
ユーベルコードを偽装すれば敵は相殺できないよね。
『心のなかで時間よ、とまれ』
りん、と澄んだ鈴の音と呼応してタイルが灯る。続けてピアノがバラードが空気を震わせた。
「わたしもスカイダンサー。スカイステッパーを心にえがくの」
レイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)が一度瞼を閉じて再び青色の目を開けると、彼女の中で時の流れがバラードの如く穏やかなものになっていく。実際に流れる時間は変わらないが、体感時間は遅く遅く、ゆるく流れる。
自らの歩みを思い出し、それを人形劇として踊る。人形のヤドリガミの彼女は、心を得る前から現在までをスカイステッパーのステップと念動力で表現する。
最初は暗闇、自分が人形でしか無かった頃の記憶。だが心を得て外を歩けば空は青く、それよりもずっと近いところに鳥が飛んでいた。頭上に気を取られているような歩みでも、足は着実に光るタイルを押し込んでいる。
次の視線は地面へと、輝くパネルを鳥に見立ててそっと保護するような動きで押す。あくまで人形劇、掌の中に今は温もりは無いが、心の中に温もりは確かに刻まれている。
怪我した小鳥を手当てすべく高い樹上の薬草を取ろうと念動力でふわりと浮く。その足元をタイヤ怪人のタイヤ攻撃が吹き抜けていった。
スタッカートの効いたバイオリンの音色が加わると、トン、とタイルを踏みつつ劇の場面は次のシーンへ。重さを感じさせないが速いステップが一度、二度、助走として付けられると再び身は空中へと躍り出す。
そこへ空気も読まずに割り込んだのは三角コーン怪人だ。
「ふん! こっちを見ていないだなんてなんてやつだ! 交通ルールは守りたまえ!」
とんでもない観客である。レイチェルは演技に集中しているのだから目線が行かないのは当たり前である。
レイチェルがかつて斃した飛竜を思い描くと美しい曲線で宙で一回転。そこにユーベルコードを吹き飛ばす三角コーンが投げつけられた。
「目に物みせてやる!」
勝ち誇ったような声が怪人の最期の言葉になった。スカイステッパーから繋いで放たれた蹴りに粉砕されたのだ。
レイチェルは念動力を得意としている。彼が見ていたのは念動力であり、ユーベルコードではなかった。
人形劇の乱入者は無事撃退され、曲の終わりでりん、と鈴の音が別れの挨拶のように鳴るとレイチェルは大きくお辞儀をしたのであった。
大成功
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竹城・落葉
【SPDで判定】
キマイラフューチャーで戦争が発生したようだな。ならば、我も駆けつけるとしよう!
我は『森の賢者』を発動、詠唱と共に大量のゴリラを召喚するぞ。そして、ドラミングをしながら情熱的な踊りを見せてやろう。適確に光るタイルを踏みながら、素晴らしい踊りを披露する事で、戦闘力もアップだ!名物竹城を手にしてゴリラと共に相手を倒していくぞ。ついでに、相手をこっそり光っていないタイルへ押し出したり、ダンスの妨害をしたりしよう。
ダンスはあまりした事が無いが、我とても元武将、その場のノリで乗り切ってやろうではないか!
*アドリブ&共闘、歓迎です
竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)は真剣な顔で大きく息を吸った。そして足は肩幅、腰は落とし、背はわずかに逸らす。
『ウホ、ウホホホ、ウホオオオォォーーッ!!』
その様子に交通トリオはあっけにとられたようであった。無意味にタイルを踏みまくっていたのを止め、何だあれはと言わんばかりに顔を寄せ合う――そこに突撃したのは目にも明らかに発達した胸筋、全体的に黒く逞しい体、地面を大きな拳で突きながら進むサル目ヒト科ゴリラ属の一角。
要するにゴリラである。それもたくさんの。
「ゴリラ!?」
「何でこんなとこにゴリ……うお!?」
「三角コーンしっかりしろー!」
バックに流れるのは交通トリオの悲鳴とハイテンポなラテン音楽。そのステップは舞踊かドラムか、衝撃と足音で地面を鳴り響かせ、その癖ちゃっかり光るタイルだけを踏んでいたりする。
落葉本人はというとそれはもう真面目かつ的確かつ光るタイルを押している。ダンスそのものは情熱的なものだ。しっかりゴリラとしても力強いドラミングを披露している。
ちなみにダンスの経験は少ない。
「我とても元武将、場のノリで乗り切ってやろうではないか!」
「こんなゴリラに負けてられるか! くらえ!」
タイヤ怪人の攻撃がゴリラを次々と轢いていく。その肉壁のお陰か落葉の元にタイヤが辿り着くことは無く、その隙にとひっそり近付いて名物竹城を一閃させる。鈍い音共に一方通行怪人に罅が入る。切れないのは、サムライブレイドのように扱っているが実際はバールのようなものだからである。
ゴリラを引き連れ、武将の定義を粉微塵に叩き壊した果てに――音楽は終わった。
周囲にオブリビオンの姿は無い。急激に空間そのものが色褪せ、やがて周囲に外界の姿を映し始めた。このステージでの戦いは終わったのである。
大成功
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