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⏰バトルオブフラワーズ⑦〜RapBattleをもう一度

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

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●【O-blivi ON SOUND-STAGE!】
「Big Up Everyone! Kickin'OVERGROUND! Awesome Sound'n'Rhyme LIKE A 『DANGAN』!!」
 ステージ会場にオブリビオンの声が響く。大きなステージの上で声を張り上げ続けるのはたった一人のオブリビオンだ。
 彼はどこまでもそのステージに歌詞を刻んでいく。どこまでも強く、どこまでも大きく、止まることを知らない彼の歌声はどこまでも響いていく。それはまるで、オブリビオンが『ステージの空気』を味方につけているかの如くであった。
「I'm a Oblivi Bustin' RAP! I'm a Rapper From R-I-P! Hell-Yeah Shootin'Lyric LIKE A 『DANGAN』!!」
 強く自信の乗った歌詞がステージを揺らし、そしてまたオブリビオンはその力を増していく。力を高め、そしてそろそろ来るだろう敵に向けて闘志を燃やす。
 どうやら、敵は戦いを望んでいるらしい。『Rhymeを踏み』、『Rapを刻み』、そして『全てを駆使して戦う』ことが出来る、好敵手との戦いを。即ち――――『ラップバトル』を、だ!
「来いよ猟兵、俺とやろうぜ! テメェらの全てを俺は越えてやる! 宣戦布告だぜ、コイツはよォ! Oblivion-Rapperに挑むなら、RapとBattleの両面で俺にかかってきやがりなァ、Jaeger-Rapper!! 言葉の応酬でも、力のぶつかり合いでも、俺は全力でテメェらに勝ってやる! ポジティブ全ツッパで来い! 全力で楽しもうぜ、この戦いをよ! 俺はオブリビオンとして、ラッパーとして、楽しみながらお前らに勝ァつ!」
 戦闘が始まろうとしていた。言葉の弾丸が、実際の刃が、ステージでぶつかり合おうとしている。ラッパーとしての言葉が、オブリビオンとしての暴力が、君たちへ襲い掛かろうとしている。
 バトルオブフラワーズ、ザ・サウンドステージの一角。この場所での君たちの敵は――――ICE-HEADのオブリビラッパーだ!

●【Jaeger SIX-SIXth In Da House!】
「よう、お疲れさん。戦争の準備は良いな? OKだ。それじゃ、作戦の説明を始めるぜ」
 正純は部屋に入ってきた猟兵たちの顔を見やると、早速本題から話し始めた。戦争の概要自体は既に猟兵たちも知っていると踏んでのことである。
「今回は皆に『歌って』欲しい。その声を、詩を、リズムを、音を、言葉を。全てを駆使して欲しいんだ。今回の敵は、どうやら戦うだけじゃ通用しないみたいなんでな」
 『パッショネイトソング』。今回の戦いが特別である理由はそこにある。システム・フラワーズを守る六つのステージにはそれぞれ特殊な力が働いており、今回の戦場であるサウンドステージでは、戦闘の間、常に歌い続けなければならないというのだ。
 もしも猟兵たちが戦闘中に歌わない場合、なんとステージからの力によって自身の放つ攻撃は効果を失うという。つまり今回の戦いは、猟兵たちの実際の強さと歌に込めた思いが正比例の関係にあると考えて良いだろう。
「だが、この力も利用できる部分がある。戦闘能力と歌に込めた思いが関わっているなら、『思いの乗った』歌詞を歌うことで、皆の戦闘能力は格段に増幅するだろう。そうだな……。例えば、秘密の暴露や思いの告白、決意表明や誰かに対してのメッセージ。敵に向けての戦意や、自信のある自分の特技なんかを歌詞にしてみると良いかもしれねえな」
 敵は絶えずラップで自身の戦闘能力を高め、猟兵に対して攻撃を仕掛けてくるだろう。ステージを味方につけた敵の攻撃は、非常に強い力を伴って君たちを襲うはずだ。だが、敵の強化を止める方法もある。
「今回の相手はラッパーだ。皆がラップを詠めさえすりゃ、その間に敵は皆のラップを聞くしかなくなるだろう。つまり、【猟兵がラップを詠めば、その間敵は強化を止める】はずだ。ターン制だからな、ラップバトルってのは。しかも、皆がラップを見事に詠めば詠むほど、サウンドステージによる強化の恩恵は大きくなるはずだ。この仕組み、利用しない手はないだろ?」
 纏めると、今回は【テーマを決めて歌い、自身の戦闘力を上げる】か、【敵にラップバトルを挑み、歌詞に釘付けにする】か。この二つの行動が活躍への近道となるだろう。
 もちろん、この二つを同時に行ってもいい。強固なテーマのもとでラップバトルを挑んだ場合は、更に活躍への道が広がるはずだ。しかし、やり方は自由である。自分はどう戦うかという点をしっかりと考えてから戦場に向かうのが良いだろう。
「歌い、戦う。この戦闘では、大まかにその二つが必要になるだろう。どちらかではなく、どちらも必須だ。だが、皆ならやれるだろうと俺は信じてるぜ。難しい作戦だが、上手く成し遂げてくれ。キマイラフューチャーの未来が、皆の活躍にかかってる。よろしく頼んだぜ」


ボンジュール太郎
 お疲れ様です、ボンジュール太郎です。無理なく戦争依頼を書かせて頂きます。
 皆様のPC様の魅力を最大限引き出せることを目指し、全力で取り組ませて頂きますので、今回もよろしくお願いいたします。

 ●構成
 以下の構成でお送りします。
 1章はカロリー執事との全力バトル。以上です!
 Rapでも、実際のBattleでも、どうぞ本気の敵を本気で打倒してくださいませ。今回の敵と、私が以前に出した依頼の敵とで関連性はありませんので、その旨どうぞよろしくお願い致します。別個体のオブリビラッパーが、今度は最初から全力で来やがったぜ! ぐらいの感じです。是非、自己表現としての力をぶつけてやってください。

 ●行動について
 【歌うのはラップでなければならない】という訳でもありませんが、ラップを詠んでいただけた方が採用率は上がるかと思います。

 ●プレイング内のラップの分量について
 自分のキャラクターがどんな行動をするのか、を最低限書いてくだされば、そのほかはラップで結構です。皆様のラップの分量に合わせ、頑張ってラップバトルをさせて頂きます。

 ●アドリブについて
 アドリブや絡みを多く書くタイプであることを強く自覚しています。
 アドリブ増し増しを希望の方はプレイングの文頭に「●」を、アドリブ無しを希望の方は「×」を書いていただければその通りに致します。
 無記名の場合はアドリブ普通盛りくらいでお届けします。

 ●判定について
 その時々に応じて工夫が見えたり、そう来たか! と感じた人のプレイングはサイコロを良きように回します。

 ●プレイング再提出について
 私の執筆速度の問題で、皆様に再提出をお願いすることがままあるかと思います。
 時間の関係で流れてしまっても、そのままの内容で頂ければ幸いでございます。

 ※プレイング募集は05/04(土) 08:30~からとさせて頂きます。
 その前に頂いたものは一度流してしまうかと思いますので、その旨よろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『カロリー執事』

POW   :    血糖覚醒
【自らの野望の為 】に覚醒して【全身が高カロリーな食べ物】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    カロリーボム
【口に向けて一日分超の高カロリーな食べ物 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    お食事会
いま戦っている対象に有効な【相手が好みそうな食べ物(カロリー激高) 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ※プレイング募集は05/04(土) 08:30~からとさせて頂きます。
 その前に頂いたものは一度流してしまうかと思いますので、その旨よろしくお願いいたします。
今回は一人って訳だ、まあ良い
……俺が手に入れる前の『奇跡の手帳』か
見付けた奴に『無限の知識』をもたらすって『噂』の魔導書

これを手にしなかったら、俺は猟兵にさえなろうとは思わなかったろうな
コイツのせいで、力に任せて過ごした、怠惰で退屈な、変わらない日々が――――危険で無謀で、色とりどりな刺激のある毎日に変わった
後悔してるかって?

『する訳ねェだろ?』
いくら危険でも、無味乾燥な退屈に殺されるよりはマシさ

失せな、『無色の過去』。この『先』で、色の付いた影と待ち合わせをしてるモンでね。俺はアイツに、過去も未来を歩くための一つの知識だッてことを教えてやりたいのさ。アイツは過去に殺されるようなタマじゃねェ。
 ※大変申し訳ございません。
 こちらの不手際により、全く別のシナリオに出すはずの無関係である個人的なプレイングをこちらに載せてしまいました。現在削除要請を出しております。この依頼との関連性は全くございませんので、無視していただければ幸いです。大変申し訳ございませんでした。
 





 大変申し訳ございませんが、皆様に再送をお願い致しております。
 完成まで今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます。何とか二日後ほどには仕上げたいと思っております。お手数をおかけしますが、もう少しお付き合いくださいませ。
虜・ジョンドゥ

MC.John Doe、再登場―ってね!
さあ、再びラップを刻もうか!
覚悟はいいかい?ボクからのSURPRISE!
中々の辛口だよ?まさにSPICE!

結局ボクはJohn Doe(名無しの権兵衛)さ
けれど在るのさボクにも情動が

ボクの目を見てみな
WinkひとつでIn the clink(ブタ箱行き)さ!

あれれときめいちゃった?
この熱狂じゃ自慢のICE-HEADも蕩けるかな
さあさバイバイ、SHIT-HEAD(××野郎)!

お砂糖、スパイス、素敵なもの
お噺にはそれらで充分だろう?

(“I”m Resetで相手のユベコを相殺するよ!)

さあReset、それこそUpset(逆転)!
Battleはまだこれからさ!


水衛・巽
●●●●●
おいで、勾陳。
リリカルだかフクロウだかスライムだかしらないけど、
それが作法と言うなら留意はしましょう。


迷いはないし悔いもない
今更態度 翻すのが口惜しいだけ
浅ましいなら嘲笑えばいい
さもしいなら見下せばいい

その身に刻みなさい この真剣を
欲張り強情青二才 愚物は嫌悪
綺麗事それだけじゃ 世の中渡れない
清濁呑み込む 世事は知らない 

青臭いと言うなら嘲笑えばいい
見苦しいと思うならどこか去ればいい
私にアナタはいらない
それは多分、大人げない

けれどこれも 悪くない


…留意するとは言ったけど遵守すると言った覚えはないわね。


フィロメーラ・アステール
「YO!YO! 妖精! SO!SO! 双星!」
【錬成されし対の双星】で自分の分身を呼び出し!
長ラップを引き継ぐ事で息継ぎを無効化!
一人での掛け合いもできるぞ!

こんちゃー! キマイラフューチャー!
お前らむっちゃー・くっちゃー・ヤンチャー!
そんでDanger!(でんじゃー!) 来た侵略者!(りゃくしゃー!)
そんじゃrapture!(らぷちゃー!)
歌・うんじゃー!(うんじゃー!)

守れculture! 唸れよlauncher!
戦うsoldier! 飛び出せ勇者!
躍れChallenger! 願うは勝者!
そいつがAnswer! みんなのprayer!

よっしゃー! こんなもんじゃー!
容赦なんかするもんかー!


ウェンディ・ロックビル

ラップは初挑戦だけどっ!故郷のピンチだもん頑張ります!
……ねね、これ、やっぱり形から入った方がいいかなあ。グラサンとか!

◇テーマ「自分の強さへの自信」「家族だいすき!」
ここ僕の故郷ピンチの現状
けどもう安心僕参上!
君のセンスも結構上々
だけど残念僕が優勝!
パパからプライドママから愛情
貰って育った僕最強! 
見てておねーちゃん僕の熱闘
僕のこの脚世界最速!
歌唱舞踏戦闘爆走
全部任せてよね僕が最高!
僕に負けても名誉の負傷
落ち込まないでよ楽しもう!
楽しいバトルもいつかは終了
勝負の行方は君敗北!
骸の海の果てでまた会おう!

歌い踊ってパフォーマンスしながら敵に足技で攻撃するよっ!
リズムに合わせて戦おう!なんてね!


山田・キリン

へいへいお待たせ!
待ちくたびれて首が長くなっちまった
キリンさんのご機嫌RAPのタイムだぜ!

呼んだかどーかは 関係NOだぜ
キリンサンダー キリンさんだ
オレら倒すとか 無謀に失笑
Killingするから 拝めよヴァルハラ
ビリビリ破くぜ 厚い面の皮
塗り直してやる その身の程に
正義のヒーローの 煌めく黄色
Happy starに さぁgive upしな

わかってる怪人じゃねーか!
楽しくバトル!それがキマイラフューチャーだ!
ノリと勢いがものを言うぜ!

キリンさんは相手をやっつける自信と覚悟を持って歌うぜ
雷の[属性攻撃]を付与した塗料で【グラフィティスプラッシュ】だ!
歌だけじゃなくて見た目も楽しくしながら戦うぜ


アルバート・クィリスハール
●弟(f17587)に引っ張られた!
すごい偏見っていうか君そういう目で僕らの喧嘩見てたの!?
あーもーわかったよこれも仕事だ! マジで殺るぜ覚悟しろオブリビオン!

耳障りな大言はShut up 言ったからには認めねぇGive up
てめぇの主張なんざwhatever 僕の前に立ったからにはup yours
キマイラフューチャー 僕にはNo cozy 
だがこのCulture 兄弟が好いてる存外
笑顔の洪水 魅せる彼のため 187さ ここでHit'em!

歌いながら空中戦、あらゆる方向から矢を降らせてあげるよ!


刑部・詠喜
●兄上(f14129)と!
兄上ぜったいこーゆーの向いておられまする!
大兄上に怒鳴りつけてる時の兄上はたいへん生き生きしておられた!
あんな感じでいけばオッケーでござる!
いざ、それがしも頑張りもうす!!

春さり来れば鳴かざりし 鳥も来鳴きぬと詠まれしは
いつの都か忘れども いつの世となれど春は騒がし
界を渡れど百鬼夜行 過去のまろうど悪鬼横行

羅刹が人を守るなどと 指さし凍えた声降る幾度
されど春日より暖かき 兄たちの声よ絶えざりき
いざや叫べや軍喚い 過去よ今こそ因果の蹲い!

太鼓をドンドコ全力で打ち鳴らし、衝撃波で攻撃しながら絶唱するでござる!


シャレム・アルカード
似ているが……違うな。
……フ、詮無いことを言った、許せ。
ただ、貴様という敵と出会ったこの奇縁に感謝する。そして我に無謀にも挑まんとするその気炎に敬意を表し、とっておきをくれてやる!冥土の土産話とするがいい!

飽けぬ暗き夜 鬼は血に酔い 醒めない夢を見る
明けぬ暗き世 己の血は宵 見ていた夢から覚めて
背は遠く 追いかけても 求めるモノは得られない
暁は遠く 逃れれば 大切なモノを失っていく
たとえ陽が沈み 緋に沈み 夜が深まっても
胸に残る日々は消えず 灯は消えず 進む強さになる
血の運命に抗え 己の定めたままに
夜を越えて行け その先に未来があると信じて

……うむ、恥ずかしい。おのれ貴様!照れ隠しアターック!


ゾンビーナ・メロロディア
RapBattle!ヒュウ!面白そうじゃんカ!
当然ノるゼ!詠むだけ蹴るだけジャ勿体ないシ、当然踊りもナ!

C`mon Music!
Okey Battle Start!

オレはZombina 生まれついてのZombies
ある日突然New World もしやオレってLost Child?
でもNo need to worry 不安なんてないサ!
楽しく踊れりゃそこがCountry!
さあ踊ろうゼ everybody 敵も味方も関係なイ
流れるPop Music 刻むリズム RapにノってHop Step Jump!
Get Up Get Up 寝てる場合じゃないゼ
死者も踊り出す Dancing Partyダ!


奇天烈・モクレン

【敵にラップバトルを挑み、歌詞に釘付けにする】


キマイラフューチャー大変なことになってんな
……ってラップ歌うの!?やったことねえ!
でも敵の動きを止められるなら挑戦してみようかな

コホン、コホン ン゛ンッ
あっこれもうマイク入ってんの?(深呼吸)

先手は貰うぜ俺達が先制!
勝手に歌うぜ俺達が宣言!

半端なリズムじゃ遅れるぜラッパー
立派にライムで乗ってけよアッパーに!

ようカロリー執事
あんたに物申す事がある(マイクを握って小指を立てながら)

柔らかカスタードもいいけれど
艶やかマスタードをひとつまみ

工夫がなけりゃ客足は遠ざかる
立地が良くても客行くはローカル

甘味だけだと物足りねえぜ?
安易な甘さは客へのアンチテーゼ!


メルノ・ネッケル

うちの想い、このビートで語るっ!
コトダママイク・スイッチON!

『気づけば世界が半分こ!?気にせず静止じゃHarmへGO!鍵を握るはSoulful Rhymer! 駆けつけろ、そうさ We're "JEAGER"!』

『Song&Shoutで世界をSave、Sonic Shootで急かすぜSlay!奇怪な未来に刻むはRhyme、キマイラセカイは渡せねえ!!』

ご挨拶の【クイックドロウ】、熱線速射をまず取っとき!

『夢も笑顔も壊させねぇ、夢物語じゃ終わらせねぇ!』

『悠久紡ぐイカした未来、野暮なwackはGO HOME NOW!!』

止めの《フォックスファイア》!
魂のビートに乗せて、炎よ燃え上がれぇ!!


レトロ・ブラウン
又出まシたねラップ怪人!
【ダッシュ】でマイク奪取!イキまスよ!
Grad to meet you again but I'll beat you down again!
You know? 苦悩の昨日ノ記憶 no記録 オ気楽 CrackしタChimeraFutureに描くのハ輝クfutureでEnough!
Agree?You need say YES!
CHAOSと化ス明日照らスのハ?All of us!
Mass graveカらのVoice?how scare!でモ勝つノはAll of us!
Guys gets good guts! Winner is All of us!


馬飼家・ヤング

こらまたおもろい敵さんやのう。
見さらせ、わいのテンアゲナニワバイブス!

【ぽよよん☆ポップ】でファッティに変身~!
敵の攻撃はモチモチのび~るな体を伸ばして避けるで!
隙を見つけたら丸まって「ジャンプ」で勢いつけて、「だまし討ち」「パフォーマンス」の体当たりや!
食べ物系の攻撃はむしろ「大食い」パワーマシマシの【フードファイト・ワイルドモード】で食らい尽くす勢いで!


わいの名前は馬飼家ヤング!
ナニワ生まれのDandyなGang!
美味いグルメにゃ迷わずFang!
ナウなヤングにバカウケやん!

ボケがコケても泣かんでー!
変幻自在 I Can Be!
敵を蹴散らしアカンベー!
キッズは真似したらあかんでー!


カタラ・プレケス


えっとラップ?を歌うのは初めてだから可笑しいかもだけど頑張って歌うね

攻撃は【木花咲耶姫】で音楽に合わせて火柱を咲かせる

バラバラ壊れてくださいな
カラカラ踊ってくださいな
呪って歌ってまじなって
揺られて演じて騙らって
幽遠無限の果ての果て
幽冥夢想と果てましょう
刻んだ調子で音合わせ
狂ったテンポで火をあげる
ぼくは呪術師国崩し
あなたは刻み手謡唄い
音を刻んで刻むなら
心の音色も燃やしてください!


パトラ・ペレテムヘル
●今回はマイペースなスイーツ女子から厳格な裁定者の二色のラップでキメるっす!

やっほ~、おひさの登場MC.Libraっすよ~!決めぽーず!

「おいたはダメっす!オブリビちゃん?」
「飴ちゃんみたいに舐めちゃう甘ちゃん!」
「jump around!ハンディキャップ!なしでチャレンジャー!」
「勝者には食べきれない程のハーゲンダッツ!」

次は……
「スイーツ大好きパトラちゃん」ではなく「懲罰者パトラ」として。
……貴方の罪、計らせて頂きます。

「ふらふらなバトラー 拝めアストライアー」
「法の裁き卍固め まるでグラップラー」
「我が名パトラ改めLibra 汝道を外れた」
「締めるとこは締める 道を正すボン・ルトゥール」


穂結・神楽耶
楽譜(らっぷ)─
神より加護を賜るため、彼らを楽しませる韻律を紙に刻み神社に奉納したのが始まりだそうですね。
その起源は日本書紀にも上るとか。
オブリビオンが相手だからというだけでなく。
かつて神の一柱と祀られた身として負けるわけには行きません。

古き楽譜(らっぷ)に必要なのは三つ。
韻律を歌唱す声。鼓動を刻む鈴。そして風切り鳴らす刃。
─奏上致します。どうぞお手柔らかに。

これは熱い戦い 予測つかない展開
ですが勝利は絶対 何故って心が温かい
あなたの楽譜(らっぷ)は鋭く駆けり
だからこちらも熱く燃えけり
よって勝つのはわたくし、です!



●To Be?
 大きな野外ステージ会場で、オブリビオンは独り歌い続ける。
 公園よりも大きく、元々そこにあったステージよりもはるかに巨大なその場所で、敵は孤独なパンチラインを奏で続ける。
 彼が目指すは世界の破壊。平和という仮初の破滅。欲望と欲求の帳を降ろすことこそが彼の目的だ。
 だが、そうはさせない。そうはならない。
 今、ステージにゲストたちが上がる。猟兵が、Yeagerが――ラッパーを、オブリビオンを止めるために現れたのだ!

●The Curtain Rises!
「……ヘッ。いるンだろ、裏によ? 来な、いとしきライバル共。――やろうぜ!」
「MC.John Doe、再登場―ってね! ここまで来たなら御託は不要! ――さあ、再びラップを刻もうか!」
「OK! DJ! それにAudience! ついて来いよ、全力で盛り上がっていくぜ!? BATTLE-MUSICの幕開けだ!」
 ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!! MC.John Dowーーーーーーーッッッ!!
 そうして猟兵たちが姿を現した。ステージ端から最初に現れたのは、MC.John Doeの名前で良く知られる虜・ジョンドゥ(お気に召すまま・f05137)! すでにキマイラフューチャーでラップに詳しいキマイラたちの中で彼の名を知らぬ奴はいない! 知らない奴はモグリだぜ!
「覚悟はいいかい? ボクからのSURPRISE! 中々の辛口だよ? まさにSPICE! 結局ボクはJohn Doe(名無しの権兵衛)さ けれど在るのさボクにも情動が」
「客寄せピエロじゃAccessorize! 止められやしねえさこのEnterprise! この世界の未来をBowdlerize そして天下を取るのさ俺らのSunrise!」
 既に観客たちも異様な熱狂ぶりでジョンドゥを迎え、ステージの上で繰り広げられるラップバトルに見入るばかり!
 互いにステージの上で走りながら自分の距離に持ち込もうとしている二人の演者は、片手に持ったマイクを離すことなく勝負を続けていく。そしてその時、ラップバトルと並行して行われるガチバトルが動こうとしていた!
「ボクの目を見てみな WinkひとつでIn the clink(ブタ箱行き)さ! あれれときめいちゃった? この熱狂じゃ自慢のICE-HEADも蕩けるかな さあさバイバイ、SHIT-HEAD(××野郎)!」
「好きなことでイキっていく皆 Pinkで収めるMissing-Link! 生き物の欲望は種種雑多 驕児も良いだろそれこそ矜持 I-Aheadのまま口の端にかけるか DreaMin-Trip N Drop-Dead(夢見心地でくたばりなァ)!」
 最初に動いたのは執事である。彼はマイクに魂のRhymeを込めて自己強化を果たすと、エグいほどの脚力でジョンドゥへと接近を果たす。
 そしてそのまま空いた左手を天高く掲げ、攻撃の準備を行っていくではないか。強化されたユーベルコードを用いて、一気に勝負を決めるつもりだ!
「お砂糖、スパイス、素敵なもの お噺にはそれらで充分だろう? さあReset、それこそUpset(逆転)! Battleはまだこれからさ!」
「会同、『チキンライス』、戯け者 I'll Go All In When The Rest All Won! 負けるかOff-set そろそろFull-set ぼちぼちキメるぜGame And Set! ……なにッ?!」
 至近に迫った執事がジョンドゥへ向けて放つのは、異常な程に冷やされたミントソルベ! 触れてしまえば凍傷どころか皮膚の壊死すら免れないだろうその攻撃が迫った時、『Counter Force』をジョンドゥが放っていく!
 その力の名前は【“I”m Reset】。『I』の形の瞳孔にした自身の瞳から放たれるウインクは、執事のユーベルコードを射抜いて封じるジョンドゥの『取って置き』だ! 
「ふふ、ゴメンね! キミの力を無かったコトにしちゃったよ!」
「ほォそうかイ、それならそれでやりようはあるぜ? 例えば、お前の顔面をそのままブン殴るとか――!」
 しかし、そう。このステージの上では強力な歌詞は協力で直接的な強化となって歌手たちの力を増幅させていく! その強化はユーベルコードだけでなく、素の身体能力さえ例外ではないのだ!
 ユーベルコードを封じられたのなら、飽くまでそのまま直接攻撃による殴打で仕留めるだけのこと――そう考えてジョンドゥへの接近を止めない執事の前に、もう一人のチャレンジャーが現れる!
「――おいで、勾陳。リリカルだかフクロウだかスライムだかしらないけど、それが作法と言うなら留意はしましょう。可愛い子に直接手を挙げる下郎が相手なら、尚のこと」
「おのれ貴様……! はっきりきっぱりさっぱりわかんないその力……何奴ッ!!」
「名乗るほどのものではありません! MC.Monohara、a.k.a巽! 悪鬼の所業、今こそ祓って咎を討つ!」
 自身の身体に金の大蛇の力を降ろし、観客たちからの声援を背で受け止め、ジョンドゥへと振り被られた拳を仲間の影から颯爽と出で真っ向から受け止めるのは水衛・巽(鬼祓・f01428)!
 彼もまたこの場に吸い寄せられた『Counter Force』の一柱。ジョンドゥからマイクを受け取り、彼は言葉を紡ぎながら執事へ向かう!
 「えッッ巽さん?!」「MC.John Dowに続いて、二人も……?!」「また伝説たちのRapが見れるなんて……!」観客たちのテンションも、レジェンドたちの登場で既に最高潮だ!
「迷いはないし悔いもない 今更態度 翻すのが口惜しいだけ 浅ましいなら嘲笑えばいい さもしいなら見下せばいい」
「話が見えない座に耐えない 笑いはしないさ挑戦を 追い返すだけさ居丈高に 指し応へを笑う奴なンざ 手拵えのRhymeで成敗」
 右手にマイク、左手に咎討。これこそ巽が今この場で完成させた超々高速のRAPBATTLE-STYLE!
 至近距離の攻撃なら既に予習済みだとばかりに放たれていく彼の舌鋒と鋩が、執事を捉えて離さない!
「その身に刻みなさい この真剣を 欲張り強情青二才 愚物は嫌悪 綺麗事それだけじゃ 世の中渡れない 清濁呑み込む 世事は知らない」
「一切合祭異彩を放つ 気炎を吐くのは青臭い アツいノリと(祝詞)を弘布したら 声援を受けるのが普通さ演者 言うに言われない呑み込むSayを 空に投げろよ世辞はいらない」
 咎討が巽の手の中で縦横の縛りなく自在に動き、蛇のようにしなやかな波状攻撃を仕掛けていく!
 ユーベルコードを封じられている執事も、身体能力の強化によってなんとか巽の攻撃を弾いてはいるが、それももう――限界だ! 連続攻撃によって姿勢を僅かに崩したのを、巽が見逃すはずもない!
「青臭いと言うなら嘲笑えばいい 見苦しいと思うならどこか去ればいい 私にアナタはいらない それは多分、大人げない けれどこれも 悪くない」
「確固たる意思には示すぜ敬意 だけどそれだけじゃ足りないぜ怡怡 だが強いLylicにゃ五分も透かない コイツは正に二の句が継げない 認めざるを得ないぜ感に堪えない……! ッチィ!」
「そこっ!!」
「イェーーイ! 巽くんナイスーー!!」
「ジョンドゥさんの協力あってです、こちらこそ!」
 一瞬の攻防の中で、突き放たれた咎討の刃を執事が靴で蹴りあげていく。しかし、それも全て巽の計算の中! その攻撃はけん制のためのものなのだ!
 執事が攻撃を弾くために片足を上げたその隙に、巽は足払いを執事の軸足に放ち、そしてそのままブレイクダンスのフロアトラックスのような動きからの洗練された回転蹴りを放って見せる! 深々と執事の腹部に突き刺さった蹴りは間違いなく彼にダメージを与えたと言って良いだろう。ジョンドゥの無効化と、畳みかけるような巽の攻撃が魅せた一撃だ!
「……留意するとは言ったけど遵守すると言った覚えはないわね。下郎なら――おっと、この言葉はもう言ったかしら。さ、これで終わりじゃないでしょう? さ、次の方!」

「当然! 一撃二撃で終わってたまるかよォ! 次はどいつだァ!」
 ステージの上で、戦いはまだ続く! 巽が手渡したマイクを掴み、ステージに上がるのはフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)だ!
 ……だが! なんだ?! 彼女の姿が二つあるではないか!? いや、違う! あれは……そう! フィロメーラの用いるユーベルコード、【錬成されし対の双星】によるダブルス-ラップの構えなのだ!
「YO! YO! 妖精!」
『SO! SO! 双星!』
「上等、今度の相手も二人って訳か! 良いねえ、滾るぜ!」
 彼女の力は、魔力の体から生み出された魔力の分身をこの場所に生み出すもの! それ分裂では? と思うところもわずかにあるが、それでもこの場合相当なアドバンテージがあることは疑う余地もないことである!
 何故って!? 『息継ぎしなくても良い』からだ!! ラップにおいてこれはつよい!! めちゃくちゃつよい!! 息継ぎ難しいところ多いからね!!
「こんちゃー! キマイラフューチャー! お前らむっちゃー・くっちゃー・ヤンチャー!」
『そんでDanger!(でんじゃー!) 来た侵略者!(りゃくしゃー!) そんじゃrapture!(らぷちゃー!) 歌・うんじゃー!(うんじゃー!)』
「一見無茶苦茶もしくは滅茶苦茶 ぺちゃくちゃよく喋るしゅーてぃんすたー? ごっちゃなRhythmだが中々愉快だ 受けは良いみたいだぜ観者が判者! お気楽Adventure 止めてみなFracture!」
 フィロメーラの放つRapのリズムはまさに乱れ打ちの如くに執事を追い詰め、そして圧倒しては彼のラップの時間を見事に短くしていく!
 この場所においては歌い続けることこそが勝利への近道だが、彼女は分身と同時に唄う波状のRapを仕掛けることで、執事から見事に、そして着実に勝ちの目を奪っているのだ!
「守れculture! 唸れよlauncher! 戦うsoldier! 飛び出せ勇者!」
『躍れChallenger! 願うは勝者! そいつがAnswer! みんなのprayer!』
「I'm Counter-Culture ビビるなよEye Catcher! このままいけば世界はGotcha Star Snatcherのお手並み拝見 出しなよPower 幸運見付けてStar Reader! ……ハッ、ハッ、くそォ! 一人で二人分とは……やるじゃねえか!」
 流星雨のような勢いで次々に落とされていく彼女のShooting Rapに、執事もなんとか息を合わせて応戦していく。しかし! しかしである。そもそもの話として、二人の繰り出すRapと一人で繰り出すRapではどちらが強いだろうか!?
 そんなことは分かり切っている話だし、そして一人分と二人分ならどっちがより長く、より強い歌詞を刻めるかだなんて――もはや言うのも野暮ってモンだろう!
「よっしゃー!」
『こんなもんじゃー!』
「『容赦なんかするもんかー!』」
「……グッ、You'll Be Lucky Star-Fairy!? Lucky Starの勝率いかが?! 目指すはChecker Tiebreaker!!!! どうだ……!! ……ハッ?!」
 ねじれてこじれて実に愉快、嵐の如くに沸き立つRapは正にTwister! フィロメーラの放つ見事な『口撃』を、執事は受けることしかできていない! そして、そうなれば! 執事も気付いたことだろう、このステージにおいて、オブリビと猟兵の『どちらがより強化を受けたのか』!
「何だあのちいさい女の子! あの子も可愛いぜ!? でも、前にはいなかったよな?!」
「でもほら、めっちゃ良くねェ?! Rhymeもノリやすいし俺好きだわ!」
 その評価は観客の言葉が如実に表していた。フィロメーラの奏でるノリやすく、分かりやすい怒涛のRapは、観客たちの心に見事に響いてステージの空気を我がものとして見せたのである!
「フィロメーラちゃんやるじゃーーん! さって、僕もいくぜ?! ラップは初挑戦だけどっ! 故郷のピンチだもん頑張ります! テーマは『自分の強さへの自信』! それから『家族だいすき!』」
「クソ、そうか! 二人分のRapは俺から強化を取り除くため――!?」
 星型のグラサンを自信ありげに見事に纏い、溢れんばかりの『形から入ってやったぜ!』感を演出しながら登場するのはウェンディ・ロックビル(能ある馴鹿は脚を隠す・f02706)!
 フィロメーラから貰ったマイクを片手に高速Rhymeをかましながら、そのまま彼女はご自慢の脚力で会場全体を翻弄していく!
「ここ僕の故郷ピンチの現状 けどもう安心僕参上! 君のセンスも結構上々 だけど残念僕が優勝!」
「コイツはご丁寧な挨拶状 宵に現れる明けの明星? お前の武器は血脈相承 勝利は譲るか小娘掃攘!」
 ウィンディの放つユーベルコードは、この会場全てを巻き込んで加速する【最速乱舞】!
 フィロメーラたちのRapによって猟兵たちの力が増している今、彼女の速さは三十六界どころか三千世界最速と言っても良い位である!
「パパからプライドママから愛情 貰って育った僕最強! 見てておねーちゃん僕の熱闘 僕のこの脚世界最速!」
「良いお守りだなJoyride 胸の矜持は金科玉条? 愛嬌満点のLylicも一興 期待の応答核弾頭 見せてもらうぜ一投足 魅せておくれよDear Beat! ……ッ、どこだ、ちくしょう……!? 姿を見せやがれ!」
 時に観客のキマイラたちへ紛れて場外パフォーマンスで場を温め、そして執事の放つ攻撃は『超カロリーなんて重いぜ』と言わんばかりにウィンディは加速を続けていく!
 そして、誰にも気付かせない。誰も気付きもしない。光の速さほどで会場を駆け巡る彼女が閃光を纏って次に現れたのは、――なんと、執事のすぐ背後であった!
「歌唱舞踏戦闘爆走 全部任せてよね僕が最高! 僕に負けても名誉の負傷 落ち込まないでよ楽しもう! 楽しいバトルもいつかは終了 勝負の行方は君敗北! 骸の海の果てでまた会おう! ――――リズムに合わせて戦おう! なんてねッ!」
「狂瀾怒濤東奔西走 してくれるなよ途中で閉口 負けて堪るか敗余は不承 俺の負けなんざは兎角亀毛! だからこそ返事の全てを商量 あり得ないのはこの場の和睦! 邁往してくぜ俺たちゃ災殃――――ガッ?!」
 歌って踊って走って回って、そして繰り出すKickin’Kick! 観客へは笑顔で手を振って、そして執事には足での攻撃!
 口撃で強化された彼女の身体能力は執事の攻撃なんかを置き去りにして、勢いを乗せた回し蹴りを執事の背面へと繰り出してみせたのだ!
「決まったー! 必殺キックのお味はどうだい?! 鹿のお次はなんだろな!」
「チィ……! ああ、最高にいい味だったぜ……! だが、コイツは『星』に見惚れちまってただけさ……! まだまだ、俺の首は廻ってる!」
「へいへいお待たせ! 待ちくたびれて首が長くなっちまった! 鹿さんのお次は――キリンさんのご機嫌RAPのタイムだぜ!」
「新手か! 遠慮はいらねェ! 来やがりなよ、MC.Giraffe!」
 超高速の蹴りを放ったウィンディに代わり、執事の前に現れたのは山田・キリン(キリンさんだ・f14194)! 2m近いその長身に、デッカいノリを携えてやってきたのである!
 勢い任せの鹿の手から、勢い重視のライオンの手へ、今マイクが手渡された! Boon!! Zooもビックリな野生のParty-Nightだ!
「呼んだかどーかは 関係NOだぜ キリンサンダー キリンさんだ オレら倒すとか 無謀に失笑 Killingするから 拝めよヴァルハラ」
「『どうして』『なじかは』 この際Kだぜ Bystanderも待ってたBitterender 『Slick Talker』? 見事な熱唱 HearingしたらばBack-Hander!」
 速さで圧倒したウィンディとは異なり、キリンは目の前に執事を捉えて真正面から挑むつもりだ! 彼の操るキツネのしっぽが、ビリビリするような電撃を纏った黄色い塗料をこの会場に滑らせていく!
 だが、それをただ受ける執事ではない! 雷のスプラッシュに応戦するため彼が呼び出したのは、雷の意味を持つスイーツこと『Eiklɛə』! 大量の塗料とスイーツが会場を痺れさせ、そして盛り上がりはどんどん高まっていく!
「オーライ、お前も中々愉快なYaegerみてェだな? ビビっとくるヤツ、お見舞いしてやるぜ! 痺れちまっても責任は取らねえぞ!」
「わかってる怪人じゃねーか! 楽しくバトル! それがキマイラフューチャーだ! ノリと勢いがものを言うぜ!」
 二人の放つ『雷』は実に見事に会場を揺らしてステージを染め上げ、キリンの産毛を焼き、執事のアイスを溶かしていく!
 二人の攻撃は正に互角! そして、だからこそ――猟兵たちが紡いできたRhymeの数が、そしてキリンが撒いてきた塗料の量が! この勝負を左右したのである!
「ビリビリ破くぜ 厚い面の皮 塗り直してやる その身の程に 正義のヒーローの 煌めく黄色 Happy starに さぁGive upしな」
「非理を止める救世 世界の首皮 治しを為遣る VS Agony だが少し遅いぜFast-Eat-Slow 揺らめく街路のLodestar 笑えるもんならHands Upしな! ッ、チィッ!」
 この場所において、戦闘能力を高める要因はいくつかある。一つ目は『歌詞に込めた思い』。二つ目は『どれだけ長くその歌を唄えたか』。そして三つめは――『キリンさんのグラフィティ』だ!
 そう、雷を纏ったスイーツをただ攻撃のために用いていた執事とは異なり、キリンさんは相手をやっつける自信と覚悟を持って歌い――歌だけじゃなくて、見た目も楽しくしながら戦っていたのである!
 そして『JAEGER SIXTH』の文字がステージを支配した今、キリンと執事の間には大きな戦闘力の差が出来ていた! ならば後は――当然! 決まってる、キメの時間だ!
「しめたぜそこだ! キリンサンダーきりきり舞いだー!」
「ぐ、うおおおおおっ!?」
「すげーー! 今回のラップバトルは最初から動きがあるんだな!? 見たかよさっきのキックとパンチ!?」
「ウェンディちゃーーん! キリンさーーん!! どっちもすごいよーーッ!」
 しっぽを利用した急速接近から、キリンが放ったアッパーは見事に執事のアイスを捉え、そして彼の脳みそをガンガンに揺らし、そして観客たちのハートをガッチリ握ってやることに成功した!
 星が僅かな時間を繋ぎ、鹿と麒麟が一撃ずつ入れて見せたのである! 実に見事なBATTLEであった!

「ほらほら、あっちゃん殿! アッ違う兄上! 兄上ぜったいこーゆーの向いておられまする! 大兄上に怒鳴りつけてる時の兄上はたいへん生き生きしておられた! あんな感じでいけばオッケーでござる! いざ、それがしも頑張りもうす!!」
「あっちゃん殿ってやめろ!! 狐から悪影響を受けてるから止めよう?! で!? すごい偏見っていうか君そういう目で僕らの喧嘩見てたの!? あーもーわかったよこれも仕事だ!  マジで殺るぜ覚悟しろオブリビオン!」
「ヘッ、次のお相手様はアンタらかい? 良いぜェ、二人がかりで詠んできなッ!」
 次に壇上に上がるのは、刑部・詠喜(太鼓の鬼・f17587)とアルバート・クィリスハール(仮面の鷹・f14129)の二人組! 家族のように仲のいい彼らは、世界の危機にこうしちゃおれぬとばかりに執事へと向かうことを選択したのであった!
 霊弓と太鼓をそれぞれ獲物に、音を傍らに立たせ鬼と鷹が今戦場に舞う!
「春さり来れば鳴かざりし 鳥も来鳴きぬと詠まれしは いつの都か忘れども いつの世となれど春は騒がし 界を渡れど百鬼夜行 過去のまろうど悪鬼横行」
「敵より来ればにべもなし 鬼芭沙羅な振る舞い青丹吉 子供相手と言えれども 油断は露ほどもせざるぞ某 介してやるぜ一言一行 まだまだ素人意気軒昂」
 キリンから引き継いだマイクを手に、太鼓でリズムを取りながら挑んでいくのは詠喜のLylic! 彼の放つ【全世界交響楽】は、太鼓から発生した音撃を衝撃波へと変じて敵にぶつけるユーベルコードだ!
 マイクから放たれる口撃と太古から放たれる音撃は、会場を熱狂に渦に落とし込めながら執事に迫っていく! 観客たちのボルテージもリズムセクションの登場により一段と上っていくではないか!
「羅刹が人を守るなどと 指さし凍えた声降る幾度 されど春日より暖かき 兄たちの声よ絶えざりき いざや叫べや軍喚い 過去よ今こそ因果の蹲い!」
「奮い立つなら此処を先途と 越えてきたんだろ十万億土 雷太鼓を手に抱き 和綴じの手帳に日々ありき 『鬼』も朋輩『鷹』も朋輩 いざや叫べや鬨の唄(ばい) やってみせろよ魂呼ばい!」
 それでも執事も音と質量に関してはさるものとばかりに反撃を行う! 太鼓の衝撃波には舌を揺らすほどの大きさのグラタンを盾にすることで防ぎ、そして鬼の絶唱には絶叫で返していくではないか!
 執事は見事に完全燃焼の象徴である蒼い炎でグラタンを温め、鬼火の如くに魂の炎すらも操って反撃すら行っていく! 『魂火』すらも、とあるものにとっては食べ物となるのだ!
「オラオラ鬼のガキ! どうしたよ、それで終わりなら――!」
「ふふん、勘違いしてもらっては困るでござる! それがしはこのステージにおいては脇固めのようなもの! 『めいん ぼおかる』は……兄上ーーッ!!」
「ハードル上げるね君……! 耳障りな大言はShut up 言ったからには認めねぇGive up てめぇの主張なんざwhatever 僕の前に立ったからにはup yours」
「成る程、そういうことかい! Be Dead From The Neck Up Hawk! 吐いた唾飲むなよWar Hawk  道端で『くたばる』のはFace-Saver 素顔を見せなきゃただのMasqueraders」
 詠喜のRhymeは実に見事であったし、結果的に防がれたとはいえ、彼は見事に役割を果たしたと言える。それはなぜかって?
 リズムセクションは音の屋台骨。詠喜一人よりも、もう一人いた方が音は際立つというもの。武奏太鼓《雷獅子》によるリズムは、壁や床に反射し合って、――既に会場を支配した。自己強化のための音作りはこれで終いだ! これから先はメインボーカルによる仕留めの音、即ち『サビ』だ!
「キマイラフューチャー 僕にはNo cozy だがこのCulture 兄弟が好いてる存外」
「Famのためにと戦う応ふ 『竜』虎相搏上等なCozy 仮面の奥まで届かすぜU-zi 『キツネ』ユリが揺れてるぜ化外 挑む理由はMixture 嫌いじゃないぜアツいCaricature!! ……、邪魔な音撃を……小鬼ッ!」
「兄上! 執事の攻撃はそれがしが引き受け致す! 兄上は攻められよ!!」
 自己強化を重ねた詠喜の衝撃波がリズムを刻みながら執事を捉え、そしてその隣でアルバートが実に見事に韻を踏んでいく!
 執事は次々に食べ物を召喚しながらそれらを盾に、時に矢にして猟兵たちと覇を競うが――いよいよ、それも通用しなくなってくる! 詠喜の放つ衝撃はそのテンポを次々に増し、執事がリソースを全て防御へ割かざるを得なくなった時。仮面の鷹が、動いて見せた!
「笑顔の洪水 魅せる彼のため 187さ ここでHit'em! ……これでッ!!」
「合わせます、兄上!!」
「烏の行水? 魅せろお前のため 247だぜ まだまだ来いよ! 言葉の翼をはためかせ、高速で『かけ』ろよPoem Of NoName!!」
 『あの時、ステージ上から枷が消えた』。その光景を観客席から見ていたキマイラは、後にそう語ったそうである。アルバートのユーベルコード、【蒼天に舞う者】。熱、大気、重力を支配して飛行の枷を外すその力は、アルバートの行動とRhymeを邪魔する全てを消し去ったのだ!
 彼は歌いながら空中を舞い、詠喜の放つ衝撃波の上を踊るように歩き、あらゆる方向から執事に向けて矢を降らせていく! 霊弓『天羽貫』と武奏太鼓《雷獅子》がデュエットを奏で――、執事のカロリー防壁を破り、ダメージを与えることに成功した!
「ぐ、が……! ヤるね、ブッ刺されたぜ? テメェらのSounds……So Goodじゃねェか!」
「やっぱり兄上はこういうのに向いておられた! それがしの目に狂いはなかったでござる!」
「そいつはどうも。それじゃ、次の人に代わろうかな」
「なァオイ、今の子詠喜クンっつったか?! めっちゃ良いリズムだぜ、俺らのバンドのドラムに欲しい……!! あと……完全に可愛い……!!!!」
「キャーーーーーーーーーーーーーーッッッッアルバートくーーーーん!! 推せる!!!! 美形……! そしてラッパー……! アッアタシダメ完全にダメつらひ……今日ステージ見に来て良かった……」
 次々に入れ代わり立ち代わり、猟兵たちは執事の身体に着実なダメージを与えていく!
 それはひとえに、彼らが相手の土俵に乗って、その上で見事なRapを刻んでいるからこそ。敵陣に挑むその勇気こそが、活躍を呼び寄せたのである! 一部熱狂的なファンも呼び寄せているが、まあそれはそれだ!!

「似ているが……違うな。……フ、詮無いことを言った、許せ。ただ、貴様という敵と出会ったこの奇縁に感謝する。そして我に無謀にも挑まんとするその気炎に敬意を表し、とっておきをくれてやる! 冥土の土産話とするがいい!」
「抜かしやがれ、お前が言ってるのが誰のことかは知らねえが……。ハッ、俺は俺以上の詠み人知らずだぜ? やろうぜ初対面のNight-Rapper! お前のRhyme運びはどこで学んだのか教えてもらおうじゃねえか!」
 シャレム・アルカード(小さな暴君・f09897)はアルバートたちからマイクを受け取り、そして自らの思いを胸に執事と相対する。
 彼が内に秘めるのは過去への思い。Rhymeにするのは去来する悔い。それでも思いを綴るのは、口に出して戦うことで、少しでも前に進めると信じているから。
「飽けぬ暗き夜 鬼は血に酔い 醒めない夢を見る 明けぬ暗き世 己の血は宵 見ていた夢から覚めて」
「この世は浮世 根強い流行りも冷めて馬鹿を見る 晴れぬ朧月夜 程好い口端をしてたまるかよ諦めて」
 シャレムの纏う夜色のマント、夜の帳。彼はそれを巧みに操りながら、魔力で盾の如く刃の如くに力を振るう。口に出す思いは即ち杭。過去に突き刺す彼の力。
 それを見て執事も自身の身体にIceを纏わせていく。重く、硬く、そして冷たい壁の如くの彼の鎧は、しかし見事な制御の元十全に力を発揮していく。
「背は遠く 追いかけても 求めるモノは得られない 暁は遠く 逃れれば 大切なモノを失っていく」
「所を置くなど口が裂けても 過不及ないじゃ満足行かない 歯牙の間に置く言うなれば これは世界へのUptake!」
 堅牢な鎧を用いて攻め込んでいく執事の拳を、蹴りを、シャレムはマントでいなし、受け止め、向き合っては打ち消していく。
 当然だ。歌にも表れている。シャレムと執事では――積み重ねた『過去』が、秘めた思いが違うのだ!
「たとえ陽が沈み 緋に沈み 夜が深まっても 胸に残る日々は消えず 灯は消えず 進む強さになる 血の運命に抗え 己の定めたままに 夜を越えて行け その先に未来があると信じて」
「物の弾みや軽はずみ 構わないさ呼ばれても 七十にして矩をこえず? 遅すぎるだろそんな絵図! さあさ今こそこの世の代替え 乗っ取ってやるぜちょっと見る間に 断じて許すかお前らの封じ手!」
 最初は押していたはずの執事の殴打が、徐々に徐々にシャレムに押されていく。蹴りを止められ、拳を受けられ、マントは執事の攻撃を流した勢いのままに鎧を斬りつけていくではないか!
 二人の歌詞に籠った思いの差が、実にここまでの力の差となって明らかになったのである。
「て、てめェ……! そんなに自分の過去をペラペラと、恥ずかしくは無ェのか!? アァ!?」
「……うむ、恥ずかしい。だが、それで良いのだ。積み重ねた過去も我の一部だからな! しかしそれはそれとしておのれ貴様! 喰らえ照れ隠しアターック!」
「開き直りやがった?! くそっ、マントが……! 重ェッ! 受けきれ――グッ!」
 【黒衣一閃】。シャレムが纏う過去は、魔力を流し込まれて過去を切り裂く刃となった。それを可能にしたのは、彼の思いの乗った歌詞である!
「シャレムくーん!! こっち向いてーー!! ずっと前からファンでしたーー!!」
「……うむ!! 恥ずかしいなこれは!!」

「RapBattle! ヒュウ! 面白そうじゃんカ! 当然ノるゼ!詠むだけ蹴るだけジャ勿体ないシ、当然踊りもナ!」
「吸血鬼のお次はゾンビかよ!? ……何でもありだな、猟兵ってのは! そこが面白いわけなんだがよ!」
 シャレムからマイクを受け取り、ゾンビーナ・メロロディア(ネクロダンサー・f15802)はステージに上がる!
 世界の危機や何やかやは頭の片隅に確かにあるが、今の彼女はこのステージを楽しむことだけを考えていた! マイクチェックは完全にOK、身体の調子も悪くない! だったら――後は歌うしかないだろ!?
「C`mon Music! Okey Battle Start!」
「行くぜ嬢ちゃん! 死んでる場合じゃねェよなァ、楽しんでいこうぜこのステージを!」
 ゾンビーナがボルトフォンを装着し、そして執事がいよいよ歌いだそうとした時! 彼女の力は発動する!
 【わくわくチャレンジモード】という名前の彼女のユーベルコードは、BGMを戦場に流し、そのリズムを上手く刻んだ分だけ彼女自身の戦闘能力を上げる力! 会場は今、New-Waveに包まれて新たな音に酔いしれている!
「オレはZombina 生まれついてのZombies ある日突然New World もしやオレってLost Child? でもNo need to worry 不安なんてないサ! 楽しく踊れりゃそこがCountry!」
「R-I-Pなゲストの登場 期待の新星NewBies! Other WorldからのCard Of Wild ここから始めるUp-Build!  Done And Doneな活躍はWitが良いのさ やってみせなよTry Capitally!」
 Nice! Great! Excellent! ゾンビーナが唄い、ステップを刻み、見事なダンスでリズムに乗れば乗っただけ、会場のどこかからノリの良いボイスが小気味よく挟まっていく!
 執事も初めてのBGMに対応しようとして体を動かしてはいるが、如何せんGood! 以上の評価は得られていない! 執事が腕を振ってゾンビーナへと巨大なクッキーで攻撃を仕掛ける! Bad! それをステップ一つで躱してインに入ったゾンビーナの動きに会場が湧きたった! 『Perfect!!!』
「さあ踊ろうゼ everybody 敵も味方も関係なイ 流れるPop Music 刻むリズム RapにノってHop Step Jump! Get Up Get Up 寝てる場合じゃないゼ 死者も踊り出す Dancing Partyダ!」
「ダンス相手がDead Body?! 予想もつかないAnybody! Face To Music, Get rewarded! 踊り終わったらTickTack Bolt! Go To Sleep Deaden Girl! 寝かせてやるゼ過去の旋律 Dead or AliveなNecktie Party Night!」
「Hey、執事! 足元がお留守だゼ?!」
 完璧な評価と勢いのあるRhymeの強化を受け、ゾンビーナはインファイトで執事を圧倒していく! 彼女のレガリアスシューズはリズムとステップを見事に会場に刻み、そして執事に対しては手痛い下段蹴りを放つ! いくら堅い鎧を纏おうとも、足元を狙われるのは実にイタい!
 Dance界からの『死者』はSoundにも上手く対応し、そして自分の長所と音を融合させて表現しきってみせたのである!
「ゾンビーナちゃーーん! うちのメーカーの看板持って立ってくれーーーーーーーッッ」
「そういうノは事務所通してくれよナ!」

「キマイラフューチャー大変なことになってんな……ってラップ歌うの!? やったことねえ! でも敵の動きを止められるなら挑戦してみようかな。コホン、コホン ン゛ンッ」
「おおおおいNew-Bie! なにやってんだオメーもう本番中だぞオメー!」
 奇天烈・モクレン(破綻・f00754)はゾンビーナのパスを受け止め、そして手元のマイクを一瞥しながら誰ともなしに呟き、そして何度かの咳を挟んで喉の調子を良い具合にしていく!
 しかし! しかしである! この所業にはさすがのCoolなIceもキレた! 何故って? 本番始まってるしマイク入ってるし演者があまりにもマイペース過ぎたのである! そういうこともあるな!
「あっこれもうマイク入ってんの? スゥ……ハァ……」
「バッバカヤロウ?! もう始まってるんだよステージ!! 何で一回確認してからもっかい深呼吸挟めると思った?!?!」
 この所業にはさすがのCoolなIceもキレた! そりゃキレますわ! お互いプロであることを前提に進んでる訳やからねステージというものは!
 しかしさておき、モクレンはどうやら本気だぜ! 目を見れば分かる! あのへらっとした笑みでもその中に眠る瞳孔を執事はしっかと捉えた! 多分捉えた! ラップバトルのはじまりだー!
「先手は貰うぜ俺達が先制! 勝手に歌うぜ俺達が宣言! 半端なリズムじゃ遅れるぜラッパー 立派にライムで乗ってけよアッパーに!」
「お先にどうぞ一番星! 勝ち星目指す獲物は綺羅星? 目星を付けたらBig 『Up』 『Dipper』! Five-Star目指したNew Star!」
 モクレンと執事は先ほどのわちゃわちゃが噓のように実に華麗な韻を踏んでは互角のラップバトルを繰り広げていく! だが、実際のところモクレンの狙いは別の所にあった!
 それは、【敵にラップバトルを挑み、歌詞に釘付けにする】こと! 彼はなんとユーベルコードを用いず、真っ向から執事とのガチラップバトルを行うことで敵の強化を妨げようとしているのだ!
「ようカロリー執事 あんたに物申す事がある 柔らかカスタードもいいけれど 艶やかマスタードをひとつまみ」
「Star-Studded In Bad Luck Curse! 聴いてやらないこともない! 他のステージに何処はあれど この場に来やがる声たちは生身!」
 モクレンはマイクを握って小指を立てながらRhymeを刻み、そしてIceの鎧を纏って襲い掛かる執事の攻撃をステップで避け、会場の観客たちへとハンドサインを送り、そしてまた攻撃をスウェーで避け、また観客たちにむけて笑って見せる!
 その挙動を可能にしているのが、モクレンの良く良く練られたLylicによる自己強化である! 逆に、執事はモクレンの詩に引きずられてしまって十二分な自己強化を得られていない!
「工夫がなけりゃ客足は遠ざかる 立地が良くても客行くはローカル 甘味だけだと物足りねえぜ? 安易な甘さは客へのアンチテーゼ!」
「俺らは世界の敵だぜ突きかかる ピッチを上げたら拍車が掛かる! だが外連味利かせた意見をどうも それじゃ聴かせるぜ更にメタモルフォーゼ! ……ゼッ、ハァ……! ちくしょう、中々筋の通った良い詩じゃねェか……響くね」
「美形なのにあのつかみどころのない感じ……!!!!! そして観客への供給……!! ハァッ推せる」
「わかる モクレンくん良さしかない だめ おせちゃうカッコ良さ ありがとう……」
 鎧をまといながらの全力のRapに全力の攻撃を行い続ける執事は、モクレンへのアンサーを歌い上げると息を切らしてIceを僅かに溶かし始めている!
 だが、対するモクレンはのらりくらりと最小限の動きによる回避行動を行い、そして自己強化を十全に受けて息一つ上がっていない! この状況を見て、観客たちはどちらがよりカッコ良かったと思うか? それはもう、言わずとも分かろうものだった!

「そこそこスタミナ削っといたぜ、“俺達”で。それじゃ、後よろしくな!」
「OKや、そっちもナイスなビートやったで! それじゃ……うちの想い、このビートで語るっ! コトダママイク・スイッチON! 『Everybody YO-Call』!!!!」
「ゼェ、ハァ……マイク持参とは中々やる気に溢れてンな、B-Girl! 気合いの入ったアツいBeatで頼むぜ!?」
 彼女の登場で、会場が僅かに湧き始める。「やっぱりだ! MC.メルノ……!!」「うわァ、ッてことはこれ、もしかして……!」「マジであるんじゃねえか?!」「あの人達がまた来てるンじゃね?! 猟兵が!!」
 男性を中心とした観客からの歓声を背に受け、メルノ・ネッケル(火器狐・f09332)がステージに上がる! モクレンから空気を引き継ぎ、更にステージをアツくさせるために彼女は往く! MC.メルノの登場だ!
「気づけば世界が半分こ!? 気にせず静止じゃHarmへGO! 鍵を握るはSoulful Rhymer! 駆けつけろ、そうさ We're "JEAGER"!」
「妖狐が降り来てコンコンコン! 気に留め正視さCall Call Call! お前は賑やかProsumer! 果決にキメたらケリ付けてやる、そうさ I'm a "Oblivi-Rapper"!」
 彼女のRhymeは堂に入ったかの如くに上手く、自信を持って繰り出されるLylicは玄妙なリズムの中でピッタリハマって観客たちの心に響いていく!
 ステージの空気は既に掴み、執事のIceも思わずトロけるほど! ただでさえ先ほどモクレンが繰り出したガチラップバトルで疲労が溜まっている所を狙い、メルノは更に畳みかけていく!
「Song&Shoutで世界をSave、Sonic Shootで急かすぜSlay! 奇怪な未来に刻むはRhyme、キマイラセカイは渡せねえ!!」
「俺らが狙うはコンコンコン、Duck ShootさFireworks-Play! 鬼才な俺様踏むのはRhyme、決まり文句は『雨あられ』!」
 メルノが放つのは高速Rapと高速Bullet! 一挙に押し寄せるR&Bが、執事に向かって次々に放たれていく! 執事も新しくティラミスの壁を作って防ごうとするが、疲労も相まってか彼女の攻撃を止めるにはどれも一歩遅い!
 熱線速射のQuick-Drawが、執事の空いた脇に突き刺さっては鎧を溶かしてステージをアツくしていく! まさに二人の戦いは弾丸の雨あられだ!
「夢も笑顔も壊させねぇ、夢物語じゃ終わらせねぇ!」
「言の葉にタマ乗せ放ってきやがれ、R'n'Bにタマ込め撃ってきやがれ! ……ッ!」
 観客たちの心に火を付け、そしてメルノは前へ出る! 魂込めたRhymeを飛ばし、弾を撃ち尽くして執事へ挑む! その時、ゾンビーナが一撃を入れた執事の足元がぐらついた!
「悠久紡ぐイカした未来、野暮なwackは GO HOME NOW!!」
「恒久繋ぐイカれた世界、火器とタマシイでYO-Call NOW!!」
 隙は逃さぬと言わんばかりに、メルノはここぞと必殺を放つ! 彼女が放つは【フォックスファイア】! 魂のビートに載せて燃え上がったコトダマの炎は、一つにまとまり大火力となり、狐火がステージをアツくした!
 そして、まだ終わらない! 炎がIceの鎧を溶かして弱めている間に、メルノはもう一度R&Bの熱線を放つ! 狙うはシャレムが切り裂いた鎧の傷口だ!
「やるで、皆! せーのォ! フォックスファイアは!」
『『ショットの合図!』』
 執事の鎧は砕け散り、そして敵は胴体に多大なダメージを受けた! 猟兵たちはIceの鎧を召喚するというリソースを破り、そのまま打撃へとつなげてみせたのだ!
 シャレムの語った詩が過去を弱らせ、ゾンビーナのダンスが足へ打撃を与えた! モクレンのRapが執事を疲れさせて強化を剥ぎ、メルノがその結果を明らかにして見せた! 四人の猟兵の活躍の全てがあってこその、大殊勲である!

「又出まシたねラップ怪人! イキまスよ! そのマイクは奪わせてもらいマス!」
「なんだとォテメェ!?!? おま……お前っマイク奪うのはダメだろお前! 俺が予備のマイクを持ってなかったらどうするつもりだったんだ?!」
 レトロ・ブラウン(ダイヤルテレビウム・f07843)はメルノにサムズアップを送り、ステージに上がるや否や自慢の脚力で――いやホントに速いな――なんと、オブリビオンのマイクをダッシュで奪取する作戦に出た!! 何たる直接的な作戦だろうか! 気持ちは分かる!!
 だがしかし、マイクを一本奪われたくらいではMC.Iceは小揺るぎもしないのだ! オブリビラッパーを倒すなら、先ずはRhymeで語ってからという訳だ!
「Grad to meet you again but I'll beat you down again! You know? 苦悩の昨日ノ記憶 no記録 オ気楽 CrackしタChimeraFutureに描くのハ輝クfutureでEnough!」
「It’s glad to meet YOU, too MC.BRAUN. What A Coincidence To Be Takin'down! As Far As IDK 過去の追憶 Crackから変えるさPopular Culture 変革齎すBreakthrough!」
 そして始まったRap合戦を見、聞き、そして観客たちは唸るしかない。それもそのはずだ、明らかにレトロのRhymeが達人のそれだからである!
 一部のラッパーと思しきキマイラたちに至っては、最前列にいるのに腕組みしながら驚愕しっぱなしであった!!
「なんてこった……! アレはほとんどエーゴって奴じゃないか……! MC.BRAUNもまた成長を遂げたという訳か……!! 明らかにボリュームが増してやがるぜ……!」
「ああ……!! それに、ああいう手合いは一歩間違えればリズムを取りにくくなること請け合いなのに……! それをああまで……! やるな……!!」
 そういうことである!
「Agree? You need say YES! CHAOSと化ス明日照らスのハ? All of us!」
「I Dis-Agree With U, BRAUN! 俺のLOGOSが課すのさSOS 今のこの世はMalapropos!」
 超上級的なRhyme繰りと並行してレトロが用いるユーベルコードは、その名も【末法輪廻謳歌脚】! ダッシュにジャンプ、そして踏みつけにおいて、彼は今達人ほどの技前を持っていると言っても過言ではないのだ!
 揚げパンや揚げIceなどの超高カロリーをレトロの顔面に向けて投げつけ、次々と攻撃を行う執事を横目に、レトロはステージの上を自在に走り、駆け、跳び、そして少しずつ執事との距離を詰めていく!
「Mass graveカらのVoice? how scare! でモ勝つノはAll of us!」
「Mass Shooting起こす俺の名はICE! How could youな宣言をどうも だが構うもんかよCome In Twos!
 ステージの上をレトロが奔る! 音が走って場を揺らす! 響いたSound執事を惹きつけその間に跳ねるはブラウン管!
 さらに加速を続けるRapの調子と呼応し合うかのようにレトロのスピードは更に上がり、焦れた執事が呼び出した巨大なドーナツ攻撃すらも――彼は空中で跳び越え、執事の攻撃を足場にしながら更に飛んでみせたのである!
「Guys gets good guts! Winner is All of us!」
「『渇に臨みて井を穿つ』! 手遅れなのを悟れよAdios――?! ヤロウ、俺を、足蹴に……ッッッ!!」
 空中へ跳び、そして執事の技すら見事に利用して飛んだレトロは、そのまま超高度からの落下の勢いを活かしたストンピングを執事のIceにブチかましてみせた!
 何とも『High-Key』な――明らかにこの勝負、レトロの勝利である!

「こらまたおもろい敵さんやのう。見さらせ、わいのテンアゲナニワバイブス!」
「……ッチ、また平面の……! 良いぜ、お前がどこ出身かは知らねえが……! その顔面、もう一度ロックしてやるよ!」
 レトロから移った手番は、今度は馬飼家・ヤング(テレビウムのちっさいおっちゃん・f12992)の手に渡った!
 彼は最初からユーベルコード【ぽよよん☆ポップ】を用いることで、どこまでもファッティに、恐ろしくGained Weightに変身していく! もはや彼の身体は無敵だ! 彼はカンサイの食い倒れ脂肪タイフーンなのだ!
「むっ待て! テンアゲナニワバイブス!? そして、あれは……! あのフォルム、そしてあの装飾……!! アイツは……もしかして! そういうことなら、アイツのお笑いRhymeは……要チェックや!」
「ああ……『テナモンヤ・ナニワ・シティ』……! まさか実在するとはな……。オオサカとかいう架空都市を信じる奴らの都市伝説だとばかり思っていたがな……! へへ、笑えて来やがったぜ……!」
 ヤングの風体を見るなり騒ぎだす一部の観客! またしても最前列で腕組みのスタイルを隠すことはない! 何者なんだお前ら!
 しかし、その通りなのである。ヤングの出身は大阪風観光都市、「テナモンヤ・ナニワ・シティ」であるのだ! ということは、その口から飛び出すRhymeのどれほどコテコテであろうことか! 今、HotなNANIWAとCoolなIceがぶつかろうとしていた! 知らんけど!
「わいの名前は馬飼家ヤング! ナニワ生まれのDandyなGang! 美味いグルメにゃ迷わずFang! ナウなヤングにバカウケやん!」
「コテコテWizeが透けるぜ暗愚! 何か真反対のTrendyなBang! お前のRhymeにゃ思わず散供! Out Of 眼中な向こう受け、サムいなら着なよ防寒具!」
 脂肪の身体を自在に操り、執事の繰り出す激辛カロリー攻撃を次々と回避するヤング! 機材の裏だ! ステージの影だ! 手すり欄干何でも使えの信条だ!
 モチモチの身体は場所へ選ばずとにかく間に入り込み、そして執事とのRapにはめっちゃええ感じな伝説の黄金マイクからの特注Rhymeで上手く返していくではないか!
「ボケがコケても泣かんでー! 変幻自在 I Can Be! 敵を蹴散らしアカンベー! キッズは真似したらあかんでー!」
「OK OK! Call May-Day! GO TO ええ感じ Let It Be!  突き抜けてみせろ慢慢的! Headsを巻きこめX-Day! ……っこれで、どうだァ!」
 互いに回避と牽制を繰り返し、決定打がないことに焦れた執事がここで勝負に出た! 彼は超巨大たこ入りの超々巨大たこ焼きを両手から召喚してみせると、ステージ全域すらも覆う程の質量を持ったそれを思い切りヤングのいる方向に向かって投擲を行っていく!
 もはや逃げ隠れも効かぬほどの質量で潰してやろうという腹だ!
「がっはっはっは! そういう食い出のあるのんを待ってたんや! いっただっきま~~す! そしてくらえやあ! 浪速の近鉄ボディアタック!」
「ッ、ンだとォ!? アイツ……!! 片っ端から! 俺の生み出したたこ焼きを『食って』――?! グ、ウアア!」
 そう! そこでヤングが取った行動は『逃げ』でも『隠れ』でもなかった! 『食事』! そして『不意打ち』! 彼は全てこの攻撃のために執事を焦らしていたのである! 狙いが外れれば自滅もあり得た戦法の一点狙いとは中々のクソ度胸!!
 ヤングは放り投げられた執事のたこ焼き目がけて空中に飛びあがり、そしてその全てを腹に収めながら落下の勢いのままに執事への体当たりを決めてみせたのだ! ビバ! 食い倒れ精神である―――。

「えっとラップ? を歌うのは初めてだから可笑しいかもだけど頑張って歌うね」
「……、痛ェ、響いてやがるな……が、まだまだァ! おう! 上等よ、皆最初は初心者さ! 下手を笑っちまったら上達は無いぜ! だが、容赦はしねえからな? 最後まで立ってろよ、Yaeger!」
 モクレンがステージのマイクスタンドに残していたマイクを手に取り、カタラ・プレケス(呪い謡て夜招く祈りの鳥・f07768)は少しだけ薄く微笑んだ。
 彼がRapを唄うのは初めてのこと。だが、彼も『音を媒介するナニカ』というものには造詣の深い一人。音を用いて自己を強化し、そして悪と過去を断つ武器にする――。形は多少異なるが、それでも。カタラがこの場所に立ちRapを詠むのに、なんの憂いもあるはずはなかった!
「バラバラ壊れてくださいな カラカラ踊ってくださいな 呪って歌ってまじなって 揺られて演じて騙らって」
「はらはら歌ってもらおうか さらさら吟じてもらおうか 踏んで刻んで韻を合せて さればと言って好き勝手」
 カタラが口の端に音を載せるたび、独特の空気を持っ澄んだ声が会場へと響いていく。その声を聞き、韻をしっかりと踏んだLylicを耳にして、観客たちは口々にカタラの上手さを褒めたたえていく。
 実際のところ、彼のRhymeはRapを詠むのが初めてとは思えないほど。確かなテーマがあり、自信のあるものを歌い上げ、言葉を選んで韻を踏みながらリズムを取っていく。初心者とは思えないほど完成度の高い詩は、今まさに会場を一つにして見せたのだ!
「幽遠無限の果ての果て 幽冥夢想と果てましょう 刻んだ調子で音合わせ 狂ったテンポで火をあげる」
「泡沫無限の過去に果て 古今無双へと成り果てた 重ねた歌詞で意味合わせ 連ねたビートで灯を入れる」
「……なァ、なんかこの……カタラ? の歌ってるこのRhyme、聞いてて安心してこねえ? 不思議な感じだ、初めて聞くのにメッチャノリやすいってか」
「ああ、いや分かるぜ。なんだろ、自然にノれるっていうかな。……そうか、リズムか! すげェ! 良く聞いてみろよ、聞きやすいのはきっとカタラって猟兵さんのRhymeが――!」
 カタラのRapが非常にうまいと思わせる部分はそこにある。彼はなんと、全ての詩に一定のリズムをはめ込むことで自身のRapに一本大きな芯を通してみせたのだ。初めて聞いた観客たちも自然に乗れるような一定のリズムは、今大きなウェーブとなって会場を包み込んでいく! 実に見事な音運びだ!
 さすがの執事もこの空気は止めねばならぬと、星型のアイシングクッキーを多数召喚しては流星のようにカタラへ向けて放っていく!
「ぼくは呪術師国崩し あなたは刻み手謡唄い 音を刻んで刻むなら 心の音色も燃やしてください!」
「運命見通し道示し Needle of compassが天地を見やる 星と暁のその狭間 お前の炎は何照らす!」
 さて、カタラの【Rapが上手い】ということは――必然的に、ステージからの強化の恩恵も相当に得られる、という事でもある! 彼はマイクスタンドのマイクに向かって詩を刻みながら、ユーベルコード【開花・木花咲耶姫】を用いていくと、そのまま音楽に合わせて『火柱を咲かせ』てみせた!
 咲き誇るのは焔の花々、火花は舞い上がりながら咲き乱れ、執事の放ったアイシングクッキーを溶かして進み、甘味を『喰った』炎は成長しながら超弩級の火柱と成りて本体のIceへと著しいダメージを与えていく!
「……~~~~ッッ!! ヘッ……! アツいね……! やるじゃん、初心者とはよく言うぜ!」
 実にアツい動きを見せたカタラは、炎と詩を巧みに操って見事成長を遂げたと言って良いだろう。彼の活躍もまた、執事へ確実なダメージを残したことは疑いようもないことだった!

「やっほ~、おひさの登場MC.Libraっすよ~! 決めぽーず! みんな~! 今回はマイペースなスイーツ女子から厳格な裁定者の二色のラップでキメるっすよ、付いてこれるっすか~!」
「うおおおおおお付いていくぜどこまでもォ! パトラちゃーーん!! いや、MC.Libra--ッ!! 再登場してくれてありがとーーーーッ!!」
「人気だね、Heads? 世俗も悪くないもんだろ? 特にRapみたいな歌はよォ! やるぜッ!」
 カタラから受け取ったマイクを会場の観客たちに向け、Callを行うのはパトラ・ペレテムヘル(審判の劔・f00195)。彼女は天秤の担い手としてここに降り、そしてこうしてRapを詠もうとしている。
 それもまた彼女にとっての選択の一つ。彼女の行動の秤は、今こうしてMCとなる方へと傾いたのだ!
「おいたはダメっす! オブリビちゃん? 飴ちゃんみたいに舐めちゃう甘ちゃん!」
「『大徳あれば小怨滅す』 なんて考えちゃんちゃら甘ちゃん! 俺の恨みかお前の計りか Chantで来いよ言葉のチャンバラ!」
 観客たちからのResponseを背中に受けながら、パトラはオブリビオンのRapを受けながらも自分の気分なりのRhymeを返していく。『それ』が最も大事なことだ。
 Rapは自己表現なのだから、歌い上げるならどこまでも自分に忠実に! 彼女の天秤が傾いた方へ、時にはプッシュしてみても良いという事だ!
「jump around! ハンディキャップ! なしでチャレンジャー! 勝者には食べきれない程のハーゲンダッツ!」
「It's my round, MC.Libra! もう認めちゃいるぜ お前らにWhip Off Cap! 脱帽してるよお前らの上達 これには先達総毛立つ!」
 そしてカタラやパトラの手慣れたLylic、そしてレトロやヤングの魂のRhymeを受け、執事も早々に認めるほかはなくなった。もはやこの場所に初心者など一人もおらず、そして猟兵たちは途轍もない勢いで成長と前進を繰り返している。
 相手の成長を認めねば勝ちはない。そう感じたからこそ、執事は一ラッパーとして更に高まり、そして一オブリビオンとしてより深く全力を出すことをここに誓うのだった。
「次は……『スイーツ大好きパトラちゃん』ではなく『懲罰者パトラ』として。……貴方の罪、計らせて頂きます。  ふらふらなバトラー 拝めアストライアー 法の裁き卍固め まるでグラップラー」
「上等だぜチャレンジャー! 生憎だが俺は今まで通りのOblivion-Rapperとして――お前らと戦い、勝ってやらァ! ゆらゆらなSettler 計れたか調停者? ここの盛り上がりは口固めだぜ 知恵の林檎を貪れTippler!」
 RapによるBattleで互いの力の高まりを感じた演者二人は、それぞれ同時に互いの獲物を出し合ってステージで対峙する。パトラはその手にユーベルコード【偽りを滅す光の羽根】で用いる、光を反射するルーンソード『ケルゥの羽根』を!
 そして執事はパトラに接近を試みながら、その手に生み出した無数のDarkChocolateを自在に操って彼女へと放っていく。高速で飛んでいくチョコの数々は、圧倒的な破壊力を有しながら彼女へと飛来していくではないか!
「我が名パトラ改めLibra 汝道を外れた 締めるとこは締める 道を正すボン・ルトゥール」
「What The Uhhwee UR Shady!? 持って生まれたこの欲望 寒からしめるのはご勘弁! 無き手を出すならA tout à l’heure ! 」
 ――だが! だが、いくらチョコが無数であろうとも。いくらチョコが高速であろうとも。『全てを照らす光』の巨さと速さには、敵うべくもないことであった!
 パトラの放つ力は、刀身に反射した光を刃の如くにして敵を攻撃する超常の力! スポットライト全てを味方につけた彼女の攻撃は執事の攻撃の全てを叩き斬り、そして彼自身へも大きく斬撃を飛ばすことに成功した!
「ギ、、……!! ハッ、そォかい、お返しはWhite-Lightと来たか! ハハ、やるね……ッ! それじゃDarkが破れる訳だ……!」
 少しずつ、少しずつではあるが、猟兵たちは実に見事なRapを披露しながら執事を追いこんでいく。勝負はそろそろ中盤戦という所だ。敵が貯め込んだ数々のダメージを、ここらで一発爆発させてやる頃合いだ!
 
「楽譜(らっぷ)――神より加護を賜るため、彼らを楽しませる韻律を紙に刻み神社に奉納したのが始まりだそうですね。その起源は日本書紀にも上るとか。オブリビオンが相手だからというだけでなく。かつて神の一柱と祀られた身として負けるわけには行きません」
「『良く知ってる』じゃねェか。そうさ、『Cool Jiggy』や、『Man-Your-Shure』にだってそういう記述はある。だがよ、俺だって負けられない理由位あるぜ? 『全力出して負けると悔しい』ッてな! さァやろうぜ、楽しい楽譜のお時間だ!」
 ステージ上の二人が交わす言葉に観客たちはざわざわと湧きたっていく。「本当か? マジで?」「いや、聞いたこと無い……」「いやでも、俺の爺ちゃんが言うには……」その全てが大体このような『楽譜』に対しての疑問符のようなもの。皆、太古の昔からそのようなものが存在していたのかどうかを計りかねているのだ。
「狼狽えるなァ!!!! あの二人を見よッ!!!!」
 しかし、その時である! 会場に響き渡る大きな声!! 観客たちがざわめき始めたその時、遂に空いていた実況席に一人のキマイラが現れた! その名も『実況のB』! Bというイニシャル以外は一切不明の解説者である!
「バカヤロウ!! 観客のお前らがこの場にいてやることは一つだぜ! 楽譜の記述が正しいか!? 学術的にどうだとか?! そんなもん脇に置いとけ!! 今俺たちがやることは、あのお嬢ちゃんとオブリビオンの戦いの行く末を見守り、そして何より今を全力で楽しむことだろうが!! そうだろう!?」
「……! 確かに……!! がんばれーー!! 可愛いお嬢ちゃーーん!! 疑ってすまーーーーん!!」
 そう、Bはパトラから手渡されたマイクを手にステージに上がった穂結・神楽耶(思惟の刃・f15297)を助けるためにここに現れたのだ! 彼にとって楽譜など実在しようと実在しまいとどちらでも良いこと。
 一人の女子が世界の危機に立ち向かうために壇に上がり、そして今まさに力を魅せようとしている時!! 野暮な口など最早罪である!! さあ!! 『楽譜』だ!!
「古き楽譜(らっぷ)に必要なのは三つ。韻律を歌唱す声。鼓動を刻む鈴。そして風切り鳴らす刃。――奏上致します。どうぞお手柔らかに」
「どうやら見たところ……ふゥん、その三つはもう揃ってるって訳だな、お嬢ちゃん? 上等だぜ。囀ってみな、俺相手によ!」
 そして楽譜Battleが始まろうとする。神楽耶の獲物は右手に握った結ノ太刀と、そして左手に持った神楽鈴、そして心で構えたマイクである。その全ては楽譜のために。声、鈴、刃の三種の神器は敵を倒すための必須の力だ。
 対して執事が構えるのはマイク一本と心意気のみ。それで十分なのだろう。何よりも自信のある獲物だ。――さあ、幕開けだ!
「これは熱い戦い 予測つかない展開 ですが勝利は絶対 何故って心が温かい」
「中々どうしてお目が高い 何が起こるか正に乱階 使い込まれた御神体 用いて挑みな他界の俺に」
 執事が生み出し、神楽耶へと向けて放つのは蜜飴の弾丸。先ほどのチョコレイトよりも生み出すの時間はかかるが、硬度と速度はその分折り紙付きだ。だが、神楽耶もまたさるもの。
 彼女は見事に楽譜をマイクに奏上しながらも、空いた手で見事に結ノ太刀にて飴の弾丸を一閃に切り落とし、神楽鈴で叩き落していくではないか。無数の高音と閃光は、過去の詰まった甘い飴玉を結へと導く太刀捌きの証である!
「あなたの楽譜(らっぷ)は鋭く駆けり だからこちらも熱く燃えけり よって勝つのはわたくし、です! ――今ッ!」
「楽譜の応酬は『命なりけり』 ずっけり言うても嘲りではなし それでも何時かは付くのがケリ 勝つのは俺さ倒行逆施!」
 そして楽譜も大詰めのところで神楽耶が放つのは【神遊銀朱】。結ノ太刀を向けた相手に、複製された刀を飛ばすユーベルコードである。既に会場の空気は最高潮に達している。自己強化は滞りなく済んでいる。――で、あれば!
「なんの……ッ、これくらい新しく生み出す飴の壁で……ッ! ッ?! 受けきれ……ねェ!? なぜ?!」
「当然だぜオブリビラッパー! お嬢ちゃんは無傷だが、アンタは全身傷だらけ! それにアンタはCoolだが――、猟兵さんたちには、アツいRhymeとBeatが乗ってんだ!」
 猟兵たちが与えた傷と、仲間が執事から奪った強化の時間の差。神楽耶の放った刃が執事が苦し紛れに出した防御すらも打ち破って届いたのは、彼女自身の楽譜に賭けた思いと、そして他の猟兵たちの活躍によるところであることは、もはや言うまでもないことであろう!
 神楽耶の、そして猟兵たちの刃は見事に敵の甘味を切り裂いて、そして敵へ大きくダメージを与えることに成功した!
「……~~~~~っ、~~~~~~~~~~ッッッ!! ク……!! ……ッ、だが、だが……! まだまだこれからだぜ、Yaeger! 俺はまだ立ってここにいるし、Rapだって全部返してやらァ! 来やがれ猟兵! 俺にRapで挑んできなァ!」
 敵はまだ健在ではあるが、今の一撃が大きく流れを変えたのは言うまでもないことだ! さあ、いよいよ中盤戦! 猟兵とオブリビオンのRapBattleはまだまだ続く――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
●×無限

何!?また俺はラップを詠んでいいのか!?
あれから俺はラップを鍛えた…見せてやるぜ!オブリビ!!

ユーベルコードで相手の攻撃を防いで味方にバフをプレゼント!以上!!
以下ラップ

【テーマ:革命の英雄譚】

Hay YO! 抑圧から始まり
マイクを手に取り 吹き飛ばそうMisery
熱く燃え滾るぜ 俺たちのFury
掴み取ろうぜ 究極の勝利
会場沸かせる My verse only
Lonely Glory Fakery Story
嘘も真になる お前が証人
ついて来れる奴だけが Homie
お呼びじゃないぜ 革命のWannabe
立ち上がれTrainee NeuronはCrazy
始めようバカ騒ぎ 俺が今承認!


荒谷・つかさ


都々逸。私に切れる手札は、これしかない。

さあさ聞きなせ これより語るは とある姉妹の 別れ唄
想い寄せあう 仲良き姉妹 二人を裂くは 悪しき鬼
自然の精と 心通わす 妹の力 狙われて
姉の剣も 蟷螂の斧 軽く手折られ 地を舐める
絶望に染まる 妹の貌 瞼に焼き付き 消え去らぬ
七日七晩 戦いの末 幼き身柄は 救われど
再度参ると 嗤いを残し 絶望刻み 消えし鬼
厄災避ける 最後の手立ては 世界を超える 神隠し
そを意味するは 姉妹の別れ 二人は泣いて 誓い合う
「何にも負けぬ 力を得る」と 涙を枯らし 姉は云い
「何にも折れぬ 心を持つ」と 妹は云い 旅立った

詠みながら【双縛熱視線】をかけ、私に釘付けにするわ。


パウル・ブラフマン
●【SPD】
判ってる。あの人じゃない。
143を額に押し当て無音の決意表明。
スマイル武装、コミュ力全開登壇。
UC発動―69なパフォーマンス魅せてやるよ、Bring the beat!

CALLサンキュー!キマフュのホーミーズ!!
1234MC jailbreak in the Building!!!

オヤスミKaiser 怨嗟のShoot up end
Shady 銃を置いた オレの終着点?
いや違ぇな ココからまた発港
HC 交わすPosse cut Shot ya vanila ice!
導きのInSightに喝采を
BroのNoteに刻む勝利への砲音
報恩こそ我が道 行くぜHold ON!

※絡み歓迎!


ヴァーリャ・スネシュコヴァ

お、お前は執事!また会える日が来るなんて…!
…って、別の怪人なのか…
なら、俺も正々堂々と戦えるな!ラップで!

聞いとけice head 乗ってけnice heads
ここは俺のice link linkする俺とmusic
俺は雪のfairy それはreally? 
見ればsurely まさにjewelry

さあ踊ろう 俺のflowで滑ろう
ice headじゃskateはout
ice edge刻むbeatはfat

決めポーズキメて お前は唖然
illな踊りに お前は愕然
氷のbattler アイスのbutlerをmurderなのだー!

(『雪娘の靴』を応用し氷の上で踊りつつ、隙を見て敵に攻撃もするぞ!)


ユエイン・リュンコイス

ラップ、ラッパ…ボンバヘ? ステロタイプはレトロな知識、か。
基本方針はラップバトルで釘付けにしつつ、隙あらば攻撃かな? ……さて、どこまで通じるか。

星が裂けて、腰を上げて、意思を固めて、やって来たのはJaeger。
BatleはRap、RattleはCrack? 残り時間を刻むはClock!
自分の土俵に乗せるはMeenness、だけどそこに乗るのがMandatory。
得意分野じゃなければChicken boy? そこに挑むボクはCourage girl?
申し開きがあるなら言って、勿論得意のLyricを添えて。
腑抜けた言葉は聞きたくないよ、Rockなお返事待ってるよ?
(〆代わりに『月墜』で砲撃)


神羅・アマミ
Represent キマイラ M.C.AMAMI
R-I-Pだと? 墓場に帰れや
HotなChickがオブリを退治
風体騙され 火傷は必至

言葉の応酬? お手軽報酬
甘ちゃんオツムにゃ たっぷりCream
Click交えた Do or Die
でもDopeなAMAMIにゃ Piece of Cake

電光石火は 専売特許
LIKE A DANGAN? ちゃんちゃらおかしい
Levelが違うぜ 張り合う価値なし
Rebelの実力 しっかり見とけ

妾のAnswer 見破るFaker
Beefじゃ負けなし 死屍累々

247 Jaeger SIX
いつでもShot Ya I Gotcha!
(ジャーン)


雨乃森・依音


あ゛?ポエトリーリーディングなら得意だが?
…ぶっちゃけラップとか専門外だけどよ
戦闘の方がもっと専門外だ
だからジャンル外だろうと
意地でも音楽で負けるわけにはいかねぇんだよ!

俺の名前は雨乃森依音 俺の専門オルタナティブロック
自虐的なライム お前に刺さるかなんてわかんねぇ
後ろ向きなリリック お返しに吐き捨てられるあっかんべー
ぶっちゃけ戦力外 でも音楽しか取り柄ねぇ
無力じゃ面目ない でもこれが俺のお家芸

(――ソテル、頼んだ)
(祈るように力を託して)

ならここで踏ん張るしかねぇ 声で劈くしかねぇ
弱虫の遠吠えだと侮るな 手負いの獣の一撃見せてやるよ
土砂降りのところで怯まねぇ けろりとした顔で決めてやるよ!


アノルルイ・ブラエニオン

行動:ラップ刻み弓射る

Mc.Bard is in da house!
悲劇の英雄の物語を語ろう



黒き剣帯びたる勇士
無数の戦場に挙げし勲(いさおし)
されどその運命
破滅に至るtragedy

彼の国に悪しき竜が到来
栄えし国は一夜で崩壊

勇士は放浪の果てに無頼の輩と成れり
だが再会した友の声により
取り戻された彼の誇り

だが過ちが起こった
悪しき者との戦いに向かった
彼は誤って友を殺した

失意の彼は再び流浪の日々に

されど誇りは死なず──

旅の果てに探し出した悪竜
ここに発揮される彼の武勇
戦いの果てに勇士
確かに見た竜の死

されど己が犯した罪重し
黒き剣に捧げると思い
自ら貫いた心の蔵を

かくして黒き剣の勇士の生涯は
ここに幕を閉じた


百鬼・甚九郎
●うむ。

Hey-yo Mr.ice impress us twice
but when return U'r leg turn
No one calls the wrong field
R-R-Rig up rap N-N-Nick night
Lion Orion Oblivion,
com'on lock-on & f**k-off
U look like crackpot
knowin'wat my lack I'm not
IF U Know'it knock'in me
writein mybrain or else shed bloodrain

いえーい。
その食べ物な体をぶっとばしてやらー。


フィン・クランケット
●(ご負担ない範囲で)

わわ分かる言語でお願いします!?
こほん
私だって一端の猟兵
受けたってみせますとも!
いざ、ラップバトル!!

【主題:あなたを倒す理由】
見知らぬ世界 飛び込んで正解
始まるぞデカイとびきりの戦い
敵はRapper カロリー執事
私は雑貨屋 かわいい実に

…自分で言って恥ずかしくないか?
べべべ別に恥ずかしくないが!?(アホ毛みょみょん!)

それよりずるい
魅惑的なスイーツ
何よりムズい
自発的なストップ(くっ…)

あなたにとって八つ当たり?
いえいえ、これは厄払い!
たぶらかしICE-HEADにusから弔辞

あなた倒して悪足掻き
Yeah Yeah、これから再び
久しぶりI'll DIRTで! 明日から本気!


柊・イルザ

巫女ですから祝詞は得意とするけど、ラップは異文化なんですよねー
でもね、それでもね
この平和で愉快な世界には、もう貴方達のものではない、それを知らせましょう
柊イルザは今は一筋の光となりましょう

炎を纏い踊りながら、詠う

骸の海を越えて参上、星の危機に呼ばれ急行
星を蝕む呪いを解け、呪い破る牙を砥げ
毎日が祭りのこの世界、今は争いに抗う時代
牙を持たぬ獣達よ、祈り受けた猟兵達よ
蝕む過去を断ち切ろう、新たな未来を切り開こう
共に手を取れ、勝利を掴み取れ
迫る過去を絶ち、未来へ向けて歩む
この世界はもう、過去の亡霊達のものじゃない、OK?

最後の言葉に合わせて七星七縛符を使用して動きを縛る


ギド・スプートニク

ギド・スプートニクa.k.a.“Blood-lust”
刻んでやろう我がLyric
覚悟は良いな?


怪人は灰燼に帰すのが定め
 キマイラ
《観客》も我らのRhymeにフィーチャー

腑抜けたカロリー即座に燃焼
こちとら年少よりダークセイヴァー育ち
実は甘い物に目がない
当然貴様に勝ち目はない

貴様の戦う意味は何だ?
何故、何の為に歌い続ける?
感じられぬ世界へのリスペクト
楽しもう? その先に待つのは支配
今の貴様に人を楽しませる資格はない

思い出すのだ 人を愛す心
ICE-HEADでも人を愛せる筈
心と向き合い 相対せよHead on

貴様はただのHater ただの兵隊
今すぐそこを退け
さもなくばCan't be freedom


アーサー・ツヴァイク

🔵過多なら不採用可

HEY, Stand up People!
真っ二つに割れた世界が呼ぶぜ! 絶望Shut outの英傑が参上!
I'm a Super Hero!
さあ両目開いてちゃんと見とけ! 常識Break outの伝説が誕生!

かかってきなButler! さあ、ここでBattleだ!
でも譲らねぇぜWinner! Let's go Jeager!

…っと、こんな感じでRap Battleをやってみるぜ!
うまく行ったら【Prominence Impact】でKnock Outだ!


バレーナ・クレールドリュンヌ


【心情】
ラップ?
(前の人たちのを見る)

『だいたい』わかったわ。
リリックとライム、あとは南から吹く風のような情熱。
(何かに影響される)

【バトル】
相手の魂(ソウル)を破砕(クラッシュ)する、歌は魂を揺さぶる手段だものね、信じて歌い、倒(ビート)しましょう。

本日のチューンは、
ユーベルコード『ローレライ・トロイメライ』

【ラップ】
歌で勝負?それは笑止。
君の相手は来た?見た?わかった?
わたしが歌えばセーラーはメロメロ、負けが見えるホラーでキョロキョロ。

やってみるかい、お食事会?
そんなもの気休め、箸休め。
燃えるカロリー、君はメランコリー。

そろそろ決着はわからいで。
ローレライ・トロイメライ!


石動・劒

再びまみえ 刻むは拍子 熱い魂 見せとくれ
思い返すは 夜の伝説 誰も彼もが 無我夢中
独り戦い 戦い抜いた お前を誰もが 覚えてる
踏もうぜリズム 刻むぜラップ あの伝説を もう一度! 

――俺も覚えているぜ、カロリー執事!
俺は都々逸を歌う。主題はそうさな、以前この執事とまみえた時の戦いだ。

怪力でもって振るうは捨て身の一撃。薙ぎ払いから繰り出すは徒刃鳴。
激痛なんざ 忘れちまった お前と戦う ためならば!


ユキ・スノーバー

テレビウム達に酷い目にあわせておきつつ、今度は住んでる所が滅茶苦茶なんて酷過ぎるんだよーっ!
どーんと覚悟を乗せれば良いんだよね?…したことないけど
ステップも含めて頑張るんるん!
画面も歌に合わせて切り替えてお送りするよー

鍵表示ロック画面ジャックおこだ!
追いかける鬼に怒り湧きぷんぷん
アイデンティティ大事でしょ?企み阻止に成敗成敗っ!
けどやっぱクールに決めなきゃノンノン
華吹雪けしかけ物理でも決めちゃう!
白銀世界見失う最後にきらめく凶器は致命傷!
目眩ましだけと見くびると落とし穴
冬の世界は大地も支配してつるりら
滑ればペースが狂って踊って
開いた裂け目に急降下バイバイ
退散の時間サヨナラ良しなにホームラン!


月舘・夜彦
歌が力になるとはなんと面妖な
しかし我々にも影響を与えるならば利用するべきでしょう
らっぷというものは分かりませんが、この韻の踏み方
これはサムライエンパイアの短歌に通じるものを感じます
……なるほど、理解しました

これより刀を筆に、鞘を短冊に
このらっぷばとるとやら私は短歌にて挑みましょう

では、参ります

武器は歌 挑む敵には 情け無し
掲げた誇り 奢りと思え

どんな術であれ手を抜くつもりはございません
しかし……季語がありませんね
ではもう一句

桜散り 集う熱気は 火(日)の如く
一足早い 夏の気配

今後は季語を入れた初夏を思わせる歌にございます
普段と戦う世界や術は違えど目的は同じ
これが私の戦い方です



●Fall The Curtain.
「何!? また俺はラップを詠んでいいのか!? あれから俺はラップを鍛えた……鍛えに鍛えまくった!! 俺がどんだけネットの海でRhymeを求め彷徨った事か……! 文字数にして50000文字程の大冒険だったぜ! 見せてやるぜ! オブリビ!!」
「……ビリビリ来るね。お前もアレか? 観客たちが騒いでやがる『経験者』ッてヤツかい? 俺には何のことか分からねえが……上等。今回は期待のNew-Waveがメチャ多かったからよォ……。無様晒すんじゃねェぜ、かかってきなァ!」
 ヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)は神楽耶からマイクをしっかと受け取り、『右腕』で構えて執事に挑む。ICE Breakerを持つ彼は、いわば執事にとっての天敵だ。
 恐らく作戦無しで力任せに挑んでもそこそこの戦いにはなるだろうが、ヴィクティムがこういう時に求めるのは辛勝ではない。根が負けず嫌いだからこそ、相手のプライドが高いからこそ、彼がこういう時に目指すのは『完全勝利』の四文字だ。
「Hay YO! 抑圧から始まり マイクを手に取り 吹き飛ばそうMisery 熱く燃え滾るぜ 俺たちのFury 掴み取ろうぜ 究極の勝利」
「Ai Yo! 俺たちは所詮行き詰まり だが今なら相取り刻むぜNursery 『Rhyme』 覚悟しとけよInjury この時ばかりは言葉は暴利」
 彼がRapに込めるテーマは、『革命の英雄譚』。革命には多くのものが必要だ。覚悟、決意、下準備、そして仲間。覚悟はずっと昔からヴィクティムの腕にかき抱いてある。決意ならもう誰もが持ってここにいる。
 ならば、次に必要なのは下準備。敵のオブリビオンにハッキリ負けを認めさせ、そして気持ちよく『Giant-Killing』を目指すなら、そこだけは決して手を抜けない。だからこそ、彼はRapを詠み上げながらも灰色の脳細胞で同時にプログラムを練り上げていく。Cool-RapとICE-Magicの完全並行思考。即ち、マルチRapSystemだ!
「会場沸かせる My verse only Lonely Glory Fakery Story 嘘も真になる お前が証人」
「幅を利かせるMultiverse Uncleanly Lylic If Only Keenly Heavenly この場の一翼を担う お前も当人」
「出たァ! 前にも見たことある俺は! アイツの腕をシステムが走る時! それ即ち勝利への布石! Badass-Boyのプログラムコード! 不滅の刃の意味を持つその名は――『Durandal』!」
 執事が鞭のように振るうFROZENを左腕から発射する防壁プログラムで凌ぎ、その間も銃弾のように浴びせられるRapと互角に打ち合いながらも右腕のコードを走らせていく!
 【Reuse Program『Durandal』】! ヴィクティムの狙いはハナから直接攻撃ではない。空気をアツくし、ヤバいLylicで猟兵たちの強ささえも『ハッキング』してしまうこと! 英雄のための、仲間のための下準備こそが、彼の本当の狙いなのだ!
「ついて来れる奴だけが Homie お呼びじゃないぜ 革命のWannabe 立ち上がれTrainee NeuronはCrazy 始めようバカ騒ぎ 俺が今承認!」
「礼儀正しい言葉じゃAcademy 口に出すならWhat The Babe 本能のままに勝手にしやがれ 破壊すべきは平和なLazy 下すは裁きさ俺が執行人!」
 全ての準備は整った! 特注コードを完璧に拵えた彼は、その瞬間全ての防御プログラムを解除して敵の攻撃をその身で受ける! その瞬間、彼の右腕から走ったプログラムはマイクを通し、会場にいる猟兵たちへと『英雄のための魔法』をかけてみせた!
 猟兵たちが英雄になる下準備は整った。後は仲間に任せるだけだ!
「テメェ……ナメやがって! どうせなら直接かかって来いよォ!」
「ハッ、俺は勇者の剣を託すだけの存在で良いのさ。この物語に終わりを齎すのは──英雄の仕事だ。さァ、出番だぜHEROども!」

「完璧な膳立て――乗るしかないわね、この流れに。ありがとう、ヴィクティムさん」
 完全に役割を果たしたヴィクティムが投げて寄越したマイクを受け取り、そのままステージを駆けて執事へと全力疾走するのは荒谷・つかさ(風剣と炎拳の羅刹巫女・f02032)。
 彼女は強化された身体能力をさらに上げるため、腰に構えた愛刀とは別の剣、マイクを獲物に都々逸を唄い始める!
「さあさ聞きなせ これより語るは とある姉妹の 別れ唄 想い寄せあう 仲良き姉妹 二人を裂くは 悪しき鬼」
「どうぞ語れよ ちょんがれちょぼくれ 思い綴って 幾星霜 哀しき話は よしなに聞いて 心を手向け 歌にして」
 彼女は元々サムライエンパイアの出身。そのような事情もあり、彼女が唄いあげる都々逸は実に見事な出来栄えであった。自身の過去をテーマにしながらもリズムを崩さないその手腕に、会場からも思わず拍手が漏れる!
 昔からRapを楽しみにしていたキマイラなどは彼女の都々逸に思うところなどもあっただろう! それほどまでに、彼女の都々逸は刃の如くに研ぎ澄まされて執事を離さない!
「自然の精と 心通わす 妹の力 狙われて 姉の剣も 蟷螂の斧 軽く手折られ 地を舐める 絶望に染まる 妹の貌 瞼に焼き付き 消え去らぬ」
「面妖なる鬼 災禍の如く 姉妹の仲を 切り裂いて それからどうした そうしてそれから よも攫われで 終わるまい 積もる話は 落とすに限る どうせ聞くなら 最後まで」
 高速で都々逸を詠みながら、右腕のマイクを離すことなくつかさは左手に握った零式・改三で見事に執事に攻め込んでいく! 執事も応戦するためにIceの手甲などを纏って氷の剣を振るうが、やはり先ほどまでと比べて全身にスイーツの鎧を纏うスピードが遅い!
 そこを勝機と見たつかさは、更にユーベルコード【双縛熱視線】を執事に向かって発動し、視線の網でがんじがらめにして見せた。彼女の力は視線が通った相手の行動を阻害するもの。もはやつかさから目が離せなくなった執事は、否応なく近距離でのタイマンを余儀なくされていく!
「七日七晩 戦いの末 幼き身柄は 救われど 再度参ると 嗤いを残し 絶望刻み 消えし鬼 厄災避ける 最後の手立ては 世界を超える 神隠し」
「凡そ世界を 越えうるものは 移ろう誓いと 涙のみ 哀しい話に 良く練るからし きけばきくほど 泣けてくる 錆に塗れた 話のキレは 切るに切られぬ 堅い縁」
 氷の剣と真っ向から打ち合い、純粋な剣技と二重に強化された身体能力でごり押しを図るつかさ! 強化された彼女の剣は異常なまでの破壊力を伴って空を裂き、そして執事の僅かに作った鎧すらも打ち破っていく!
 まるでこのステージの効果が、そしてヴィクティムの援護が、つかさに二振りの刃を与えているかのよう! 一振りだけで三度の閃光が奔り、執事はどんどんと追いつめられていくではないか!
「そを意味するは 姉妹の別れ 二人は泣いて 誓い合う 『何にも負けぬ 力を得る』と 涙を枯らし 姉は云い 『何にも折れぬ 心を持つ』と 妹は云い 旅立った」
「お涙ちょうだい コイツは長大 姉さん今日も 誓い手に 世界の破滅に 挑みましては 力を得ようと 修行の身 『一人笑って 暮らそうよりも』 大した思いだ 気に入った……!!」
 そのままステージの端にまで追い詰められた執事は、起死回生の一打を狙うべく鍔迫り合いに持ち込んだ氷の剣を押し込み、一度距離を取ってから高速の突きをつかさに向けて放つ!
 だが、それすらも――『不滅の剣』には届かない! つかさの研ぎ澄まされた剣技は執事の悪あがきなど一顧だにせず、一度の剣振りにて勝利を収めて見せた! 即ち、袈裟斬り。――氷の剣を断ち切り、鎧を砕き、そして執事本体にすらダメージを通す必殺剣が、今見事に入ったのだ!

「パウルさん、お次をどうぞ。……違うわよ」
「サンキュー、つかさちゃん! ……判ってる。あの人じゃない」
 ヴィクティムの援護を受けたつかさの剣技が執事に見事入ったその時、ステージの裏手から一人の男が現れた。既に片手には彼の特注マイク、Herzが握られている。
 Peaceの刻印が入ったネックレス、143を額に押し当て――そして静かに会場入りを果たして執事と向かい合い、無音の決意表明まで済ませた彼の名は、パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)。もう準備は整ってる。さァ、盛り上がっていこうじゃないか!!
「Yeahhhhhhhhhhhhhhhh!!!!! 乗ってるかよキマイラフューチャー! 69なパフォーマンス魅せてやるよ、Bring the beat! Break Your Neck!! ノリ遅れるンじゃねーぜ?!」
「うおおおおおおお! jailbreak! jailbreakじゃねえか!! 今日はやっぱ最高の日だぜーーーーーーッ!!」
 会場入りの次は、観客へのCall! ニカっと笑って完璧なスマイル武装を果たし、パウルは見事にコミュ力全開の登壇をキメてみせた! 『経験者』が続き、そして彼の登場には観客たちも盛り上がるしかない!
 このステージの最高潮はまだまだ向こう、天より高く雲を見下ろし、銀河の果てのまだその先だ! タコの運転手は観客たちをそこまで連れていくDriver、このフロアは揺れるぜ!?
「CALLサンキュー! キマフュのホーミーズ!! 1234 MC jailbreak in the Building!!!」
「Yo'll Shot-Ya! SpaceのDevilfish! Prisoner Of 730! ミスターベビドラWhat The Overground!!!」
 パウルが放つ言葉の弾丸は、それ自体が大きな力となって執事へ向かっていく! ユーベルコード【Lyrical murderer】は、フルスロットルで捲し立てる超々々々々々々絶技巧RAPによる核心を突いたLyricで敵の精神を攻撃するHyper Power!
 ここまでRapに特化したユーベルコードを持ち得る猟兵は、36の世界を見渡してもそうそういるものではないだろう!
「オヤスミKaiser 怨嗟のShoot up end Shady 銃を置いた オレの終着点? いや違ぇな ココからまた発港 HC 交わすPosse cut Shot ya vanila ice!」
「世界を越えろよ Off The Wall Fizzle outじゃ足りねェだろ? 『Up Shit Creek Without A Paddle』! 八荒の先でHardcore目指せ 退屈な世界にIce Runかませ!」
 ここに来て猟兵たちの猛攻に晒される執事は、なんとか難を逃れようとして固めたコットンキャンディによる防御壁を自身の周りに設置していくが、パウルの攻撃の前では多少の防御など意味がないも同然だ!
 相手のRapに文字通り押されている執事と、他の猟兵からの強化もばっちり受けているパウルでは、『生み出せる思い』に大きな差が生じている! そして、――決定的な瞬間が訪れようとしていた!
「導きのInSightに喝采を BroのNoteに刻む勝利への砲音 報恩こそ我が道 行くぜHold ON!」
「一言芳恩に縛られるなよ? 目指すは妙音 避けるはMonotone 轟音上げたら異口同音……ッ、な、ア、ああ?! クソッ、眩暈が……!? 超速Rapを詠み続けたことによる弊害か……!? ……だが……まだ、まだまだまだァァァ!!」
 他の猟兵たちからも受け続けたRap攻撃が、いよいよここに来て形になった! パウルが行った神経系への直接攻撃は執事の疲労を白日の下に晒し、そしてついに彼に膝を付かせて見せたのである!
 だが、執事もステージの上に立っているからには『演者が膝を付いちゃいけない』という矜持の下で戦っているオブリビラッパーだ! 彼はすぐさま立ち上がると、次の猟兵の相手をするべく再度マイクを構えなおすのであった!

「お、お前は執事!? また会える日が来るなんて……!」
「や、ヴァーリャちゃん。違う。あの人じゃないよ。……でもでも、こういう相手なら……全力で行くしかないっしょ?! 俺の次、ビシっとお願いね!」
「……う、おお、ありがとうなのだ、パウル……。そうか、別の怪人なのか……。だが! それならそれで、俺も正々堂々と戦えるな! ラップで! いくぞ! カロリー執事!」
 ヴァーリャ・スネシュコヴァ(一片氷心・f01757)はパウルから僅かに言葉を受け取ると、そのままステージの上で執事と向かい合う。目の前の敵が何者であれ、彼女はこの場所にRapをしにやってきたのだ。
 だったらもう、同一個体がどうだのは関係のないこと! Rapを挑んできたオブリビオンに、こっちも全力でRapと本気を出してやるだけだ!
「聞いとけice head 乗ってけnice heads ここは俺のice link linkする俺とmusic」
「中々悪くないA Blind Lead だがBrain-Deadはまだ遠い Have A Drinkな暇はないぜ? Blink厳禁 Never Miss A Trick!」
 ヴァーリャの操る属性である冷気は猟兵たちの中でも相当上位に入る技の冴えを見せつけ、瞬く間にヴァーリャはこのステージの舞台を見事な銀盤へと変えてみせる! 彼女にとってのバトルフィールドとは即ちここ、Rapを詠みながらの本気の戦いならば、ヴァーリャはどこまでもCoolになれるのだ!
 キリンが作り上げたグラフィティや、詠喜が奏でる太鼓のリズムに乗りながら、ヴァーリャもまた自分自身の能力を高め、そして魅せるための戦場を作り上げてみせたのだ!
「俺は雪のfairy それはreally? 見ればsurely まさにjewelry」
「それなら今からInquiry 次の行動は何だいIce Queen? 俺が聞きたいのはSpeedy Reply!」
 氷の妖精たる彼女に対抗するため、執事はマイクを持つ手とは逆の手で幾つかの力を収束させて弾丸を作り出していく。彼が今度召喚したのは、超硬度を誇る金平糖。
 今までの氷やチョコよりも密度の高いそのスイーツは、作り上げるのに時間こそかかるが当たれば猟兵と言えども重傷は必至な執事の取って置きだ!
「さあ踊ろう 俺のflowで滑ろう ice headじゃskateはout ice edge刻むbeatはfat」
「NiceなBlowだが生憎Backflow  Keep A Cool Head, I'm Cool A Hand! Zero Cool なRhythmは実にTight!」
 ステージの上で華麗に踊りながらRhymeを刻むヴァーリャと、彼女に向けて狙いを定めようとする執事。二人の能力は既に最大限近くまで強化されている。勝負は一瞬で決まるだろう。
 ファンクラブ一桁代の実況のBも、ステージで縦横無尽に繰り広げられる一瞬の瞬きを見逃すまいと固唾をのんで見守っている。そして――その時が来た! 大きく円を描くように滑って加速を付けたヴァーリャが、ここで一路執事に向けて真正面から駆けだしたのだ!
「真正面から?! 無茶だぜネシュ!!!」
 その行動には思わずBも驚いた! 超高速の弾丸である金平糖に向けて真正面から挑むなど、反応が間に合わなければ速攻重症の賭けではないか!
「決めポーズキメて お前は唖然 illな踊りに お前は愕然 氷のbattler アイスのbutlerをmurderなのだー!」
「攻め手を繋げて決め手に王手!? だがまだ全然lil’な冷然! 『日向に氷』? そいつはゴメン! I Issue Deportation Order From NOW ON THE! ッ、コイツで……どうだァ!」
 【雪娘の靴】。ヴァーリャの代名詞とも呼べるこのユーベルコードは、彼女の度重なる経験と天性のセンスからなる氷属性の魔力制御によって成り立っている。ならば、『高速で放たれる金平糖』が放たれるのを見てから氷を制御するなど――彼女にとっては造作もないこと!
 反応して回避するのが難しいなら、『銀盤の氷を弄って進路を変えてやれば良い』! 執事の攻撃に合わせて足元の氷に疑似的なレールを敷いたヴァーリャは、それにより軌道を無理やり変えながら執事へと接近し、高く掲げたHigh-Kickを相手のIceに決めて見せた!
「イェイ! どうだ、執事ー!」
 見事に執事の攻撃を潜り込んで一撃を決めたヴァーリャは、会場の観客たちへ向けてえへんぷいとドヤ顔を見せながらVサインの決めポーズを決めてみせた! さあ、畳みかける時間である!

「ラップ……ラッパ……ボンバヘ? ステロタイプはレトロな知識、か。……さて、どこまで通じるか」
「大丈夫だぞユエイン、俺も最初は勢いだった! どーーん! といってばーーんだ! 後は任せたぞ!」
 パウルがよろけさせ、ヴァーリャが奇麗に一撃をブチかました。ならば、ここは流れに乗って思い切りブッ飛ばすのが良いだろう。巨大な一撃が必要だ。
 今必要とされているのは、細やかな技能や冴え渡るセンスじゃない。もちろんそれらも大事ではあるが――この場で最も大事なのは、兎にも角にも勢いとチャレンジ精神が生み出す爆発力だ。そう、例えば――月を墜とす程のインパクトのような!
「星が裂けて、腰を上げて、意思を固めて、やって来たのはJaeger BatleはRap、RattleはCrack? 残り時間を刻むはClock!」
「八幡掛けて諸手を上げて、理迫めて極めて努めて くれてやるのさこの世にHunger ThrottleならFull Up! Little VoiceじゃCrack Me Up! ヌルいRhymeはKnock Them Down!」
 その点において、ユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)は他の参加者たちにも負けず劣らずなものを持ってここに来ている! Rapを初めて詠むという、あまりにもデカい『チャレンジ』!
 一番大きなハードルはもう既に乗り越えているのだ。ならば、白き指先をステージの上で踊らせ、繋がる絹糸をライトの下でかざし、昇華の鉄拳をRhymeに載せて振るってやることなど、もはやユエインにとっては『簡単』なことだ!
「自分の土俵に乗せるはMeenness、だけどそこに乗るのがMandatory 得意分野じゃなければChicken boy? そこに挑むボクはCourage girl?」
「Goodness Gracious 4 My Stars! まさかここに来たのはPurgatory?! かけて欲しい言葉は『Attaboy』? そうじゃないだろB-girl! お前が選んだ地獄だぜ!」
 現に彼女は慣れないながらに情熱の籠った詩をリズムに乗せて執事と互角なラップバトルを繰り広げているではないか! 凝縮した氷で作ったIce-Gauntletを装備して直接殴りかかってきた執事に対し、彼女は左手の五指のみで黒鉄機人を見事に操って拳を合わせていく!
 熱の鉄拳と氷の剛拳とが火花を散らしてステージ上でぶつかり合い、そして一つ打ち合うごとに執事のIce-Gauntletは少しずつ小さくなっていく!
「申し開きがあるなら言って、勿論得意のLyricを添えて 腑抜けた言葉は聞きたくないよ、Rockなお返事待ってるよ?」
「言わせてもらうぜ甚だ以て 死線を越えて得手増えて 世界を救うのがお前らだろうが! Rock The Boatは俺らの役目、得意不得意関係あるか! 守って見せろよ限りある世を!」
 【絶対昇華の鉄拳】! ユエインの発動したユーベルコードは、融解なんて段階は一つ飛ばしにして執事の攻撃そのものを昇華しているのだ!
 ユエインの前に猟兵たちが与えたダメージが、そしてユエインのアツい挑戦の心が、執事の攻撃を消し去っていく!
「隙あり……っ、そこッ!」
「俺のIce-Gauntletが?! 溶かされ、て……ッ!? マズい、零距離で――ッ?!」
 超速で行われていくRapとBattleの最中で、ユエインは最大限に自分の能力が詩によって向上したのを確認すると、〆代わりに執事へ向かって機人の右拳を『絶対昇華形態』へと変化させていく!
 そしてラッシュの後に掌底を打ち放ち、執事の防御を文字通り消し去ってみせると――そのまま機人の装備である、単発式127mm単装速射砲『月墜』で砲撃まで行ってみせた!
 ステージに鳴り響く轟音は、逃れられぬ一撃が執事に命中した音。ユエインがステージで見事にドデカい一撃をブチかましてやったことの証明である!

 ユエインたちがステージで派手に活躍を行い、爆音が止んだステージに現れる新しい影! なんだあのシルエットは?! なんだあの傘は?! そう、Rapと聞いて参戦を決めたのであろうその影は神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)!
 彼女はキマイラフューチャーでのRap経験こそないものの、恐らく純粋な経験値だけで言えばこの場にいる猟兵たちの中でもトップレベルのRapperである! さあ始まるぜ、一流同士のガチマッチ!
「Represent キマイラ M.C.AMAMI R-I-Pだと? 墓場に帰れや HotなChickがオブリを退治 風体騙され 火傷は必至」
「レペゼンBygone From The Universe! Verseの刺客か? あれやこれや CoolなVerseがデブリと対峙 負けを晒されお前ら必死」
 アマミが繰り出す得意のRhymeは相手を煽りつつもしっかりと要所要所でキメながらの由緒正しい礼儀あるRap! 時に尊敬からくるDisで挑発を繰り返し、そして相手からの声を聴いてから的確なFlowを返すそのやり方は、メチャ洗練されているハイスタだ!
 一つの言葉に縛られず、リズム重視で豊富な語彙を武器に執事のRapに真っ向から小細工抜きのバトりあいをしていくその姿は、もはやカッコイイと言わざるを得ない! ここまでRapに情熱をかける猟兵は中々いないぞーーッ!
「言葉の応酬? お手軽報酬 甘ちゃんオツムにゃ たっぷりCream Click交えた Do or Die でもDopeなAMAMIにゃ Piece of Cake」
「猟兵総集 烏合の衆? 世界に強襲もたらす窮愁 Itsy Bitsy Spider Crawled Up The? 『Doomed To Die』は猟兵の定め 不滅なIceにゃ要らないRight To Die」
 だが、ユエインから託されたマイクを片手にアマミはなんと動く様子を見せない! もう片方の手に持つ傘を執事に見せて防御の札があることを示しつつ、怒涛のRap攻撃を仕掛けることで、彼女はなんと執事が容易に攻め込ませない空気を作ることに成功したのだ!
 観客たちもMC.AMAMIの繰り出す言葉の渦に翻弄され、歓喜の中で声援を上げている! こうなってはもはや、一人の演者たる執事としてはRapで勝利を収めてからではないと容易に動けない! 何故ってチャレンジャーは猟兵たちなのだから! 挑まれたRapBattleで勝てないからと言って暴力に走るのはお粗末だという事を、この執事は良く理解していた!
「電光石火は 専売特許 LIKE A DANGAN? ちゃんちゃらおかしい Levelが違うぜ 張り合う価値なし Rebelの実力 しっかり見とけ」
「俺らは鷹派 消息盈虚 Move In The Past? 懐かしいなど馬鹿らしい Novelじゃねえのさ 馴れ合う意味なし この場がBabelさ しっかり聞いとけ」
 だが、だが! そうは言っても、アマミの仕掛けるRapの波は相当な高さを以て執事を飲み込もうとしているではないか! Rapには絶対の自信を持っていたはずの執事も、これにはまさかと一度Rapに集中して詩を返すのに必死である!
 恐ろしいRapperが来ちまったようだ……! 新たな伝説の幕開けだ!! 会場にいた観客は、後にアマミのことを『伝説の一人』と呼称したという。彼女ほど行動をRapに振り切った猟兵は、後にも先にもそうはいないであろう、と――。
「妾のAnswer 見破るFaker Beefじゃ負けなし 死屍累々 247 Jaeger SIX いつでもShot Ya I Gotcha!」
「欲のBell-Tower 見晒せViewer Sherifも形無し 稲麻竹葦 1234 Oblivi-One 来やがれWotcha I Betcha!? ぐっ、ハァ! やるじゃねーか……! MC.AMAMI……!! 純粋なRapでここまでやる奴はそうそういなかったぜ……!」
 Rap使いは惹かれ合う――。キマイラフューチャーに伝わる言い伝えの一つだ。だが、よもやこれほどの使い手が来るとはだれも想定しなかっただろう。なんとアマミは執事相手に『ガチでRapのみの勝負』を挑み、そして見事に互角、いや互角以上に渡り合って見せた!
 その結果、執事がステージから受ける強化の恩恵が少なくなり、Rapの過剰摂取により息切れや頭痛、眩暈などの症状を起こしたことは言うまでもない。彼女は弁舌のみ、口の上手さのみで執事に『膝を付かせた』のである――!!


「俺の名前は雨乃森依音 俺の専門オルタナティブロック 自虐的なライム お前に刺さるかなんてわかんねぇ 後ろ向きなリリック お返しに吐き捨てられるあっかんべー」
「声を武器にする剣呑Boy 雨曇りな顔だなNew Kid On The Block? 横殴りなRhymeは心時雨る(こころしぐる)ぜ 雨催いなLyricに舌は出すかよ 雨に例えて唄えよB-Boy!」
 アマミとのRapBattleが終わっても、執事が休む暇などない。いや、むしろ休む暇など与えない! それっくらいの勢いで現れ、ざあざあ降りのような言葉の暴雨を執事に放つのは雨乃森・依音(紫雨・f00642)!
 新進気鋭のシンガーソングライター兼ギタリストである彼は、Rapに挑むこと自体が初めてのことのはず。しかし、しかし。彼はそんなことをまるで意に介していないような素振りで言葉を横時雨の如くに操っていくではないか!
「ぶっちゃけ戦力外 でも音楽しか取り柄ねぇ 無力じゃ面目ない でもこれが俺のお家芸」
「『車軸を流して』弱音かい? でもそれじゃ昔と変わらねえ あの頃の『ねんね』と違うなら 待つのは止めて叫べよ至芸!」
 荒梅雨のようなどこまでも強い感情を詩に変えて、止めどなく降り続ける長雨のように依音は見事なマイク捌きを見せていく! 時折執事から行われるスイーツの攻撃は構えたビニール傘で流すようにしていなし、エレキギターともに『声』を武器にして鳴き声を上げる!
 命を燃やすような激情を歌い上げる彼の姿に、観客たちはいつしかどこまでも彼の世界に魅せられて。そして、ある時その声が上がるのは不思議なことではなかった。
「雨乃森、依音……。……っ、そうだ、思いだした! 俺昔聴いたことあるよこの人の歌!! 土砂降りの雨の日、どうしようもなく生きていくのがしんどかった時に! 俺はお礼を言いたかったんだ、あの音色の主に……!!」
「そうだ……。……そうだ! 俺も! 俺もある! あの時はめちゃくちゃな雨だったのに、何故だかこの人の声と不思議な音色だけは良く聞こえてきたんだ! 辛いことも哀しいことがあっても、この人の音楽で生きてこれた! 『今は雨でも、生きろ』って言われた気がしたんだ!」
 依音の放つ音は、どこまでもとげとげで、そして篠突く雨の如くに凶暴だ。だが、だが。時に、生きていればそういう音楽が救いになることはままあること。恨みも、絶望も、悲しみも怒りも、全てを音で流してしまいたい時がある。
 彼の音色は、そういう人達を救える音色。辛いことにまみれた世の中で、それでも生きていく人々の『世界を救う音楽』だ!
「テメェ……!! 専門はオルタナっつったな?! その割にはRapも相当に上等じゃねェかよ、やるじゃねえか! 刺さるぜ、良いRhymeだ! 他に得意なモンが無きゃ、Rapも得意だって胸張っていけンぜ!」
「あ゛? ポエトリーリーディングなら得意だが? ……ぶっちゃけラップとか専門外だけどよ、戦闘の方がもっと専門外だ。……だから。……だから、ジャンル外だろうと……! 意地でも音楽で負けるわけにはいかねぇんだよ!」
 ――ソテル、頼んだ。詩を刻み、韻を踏み、執事の攻撃をなんとかやり過ごすようにして耐えながら、それでも依音はマイクを離さない。そして、彼は祈るように力を託してユーベルコードを発動する。
 依音がいのり、ねがい、力を籠めるのはてるてる坊主。触手が生えたてるてる坊主型UDC『ソテル』を喚び出すための依音の武器であり、彼の神様であり、――この世界の、救世主だ!!
「ならここで踏ん張るしかねぇ 声で劈くしかねぇ 弱虫の遠吠えだと侮るな 手負いの獣の一撃見せてやるよ 土砂降りのところで怯まねぇ けろりとした顔で決めてやるよ!」
「そうさ『哀』しい気持ちも愛と詠め! 皮肉と洒落で昇華して笑え! 『子供騒げば雨が降る』 小さな思いも声高に叫べ さめざめと降るよな小夜時雨を止めて 水圧変えたら弾雨で来いよ!」
 そうして、依音はいよいよ反撃に出た! 滝落としのように烈しい執事の攻撃を耐えて詩を綴っていたのは、全て今この時反逆の一手を示すため! 辛いことがあれば血を吐くまで歌えば良い、哀しいことは泣きながら歌えば良い! 彼とソテルの力は今、ユーベルコードとステージの効果により最大限まで上がっている!
 暗雲を晴らす一撃は、今! ビニ傘の脇から飛び出た超巨大なてるてる坊主型UDCの霊は、依音の意のままに動き、執事の繰り出すスイーツ攻撃なんかは全てのみ込み、そして――『体当たり』を、見事に決めてやったのだ!
 全ての感情を歌うためにくべた彼の行動がソテルに届き、そして思いは執事に届いた! 『土砂降りの袋小路、光は未だ見えず――それでも、』それでも! 依音の思いは、攻撃は! 執事にガツンと一撃を喰らわせたのである!

 アノルルイ・ブラエニオン(変なエルフの吟遊詩人・f05107)は静かに現れる。
 アノルルイは無粋に戦うだけなどという事は避ける。もちろんだが、働くという行為もだ。世界もめぐるが、それも全ての目的は結局のところ『楽器を鳴らし、詩を歌うため』というところに集約される。なぜって? なぜなら、彼は吟遊詩人なのだから!
「Mc.Bard is in da house! 悲劇の英雄の物語を語ろう。お相手頂いても?」
「またしても変わ……いや、コイツは失礼したな。お前もそうか。俺と同じく『音狂い』か。良いぜ。そういう手合いは大好きだ……。音は良いよなァ、歌は良いよなァ! やろうぜMC.Bard、どこまでもやろうじゃないか! 理由なんざ、『歌いたいから』だけで十分だぜ! Come With Me!」
 執事も最初は唐突に現れた彼を見て、驚愕を隠そうともせずに『変わり種』と呼ぼうとして――そこで言うのを留まった。アノルルイの眼の奥に潜む光に気付いたからである。あの目は、何かにひた進むことが出来る目だ。
 寝食を忘れ、住む場所を捨て、何を犠牲にしようとも――『歌』に全てを賭けられる『漢』の目を執事は見たのだ。そして、そういう手合いは往々にして油断ならない相手であることを、彼はよくよく自覚していた。どこまでもアツいこだわりを持った男の放つ言葉の矢は――時に、全てを貫く真理となることを知っているからである。
「黒き剣帯びたる勇士 無数の戦場に挙げし勲(いさおし) されどその運命 破滅に至るtragedy 彼の国に悪しき竜が到来 栄えし国は一夜で崩壊 勇士は放浪の果てに無頼の輩と成れり だが再会した友の声により 取り戻された彼の誇り」
「これより語るは一つの通史 幾千に唄われた縁起直し 鮮明に紡ぐ宣明なり 悲劇を治す Melodious Remedy 歌を好むは俺らの性来 どこまでも響かせてみせるぜ空界 『今汝は画れり』じゃもったいないぜ? この詩は正に『能事畢れり』」
 執事とアノルルイが二人で新たなメロディを奏で始めた時、観客は一斉にどよめき、そして一部の観客たちのみがこぞってこう口にした。「MC.Bardが戻ってきた」と! 彼のRhymeはそれほどまでに特徴的で、尖っていて、ヤバいくらいに面白いのだ!
 無個性なんか捨てちまえと言わんばかりに癖しかないアノルルイのLylicは、しかし聞いていて全く嫌みがない! 彼の言葉には常に一定の方向性があり、そして確実に芯が通っているが故である! 吟遊詩人たれという一つの柱が、彼のRhymeを信じられないほど強固なものにしているのだ!
「だが過ちが起こった 悪しき者との戦いに向かった 彼は誤って友を殺した 失意の彼は再び流浪の日々に」
「MC.Bardは今こう語った 歌も同じさ切った張った 自己表現を思い切った コイツは参ったリスペクトだ忍びに」
 彼の詩にデカい柱があるからか、最初は一部の観客のみからしか上がらなかった歓声も、今ではステージ全域に轟くほどの大喝采となってアノルルイの背中を押している!
 こだわり、癖。ああ、何と素晴らしい言葉であることか! それらは全てテーマに通じ、強いテーマはRhymeにPowerを齎す! Rapにテーマをガツンと決めて、その全てを見事なリズムの下で詩に変えるという点で、アノルルイはトップクラスの腕前を誇っていた!
「されど誇りは死なず── 旅の果てに探し出した悪竜 ここに発揮される彼の武勇 戦いの果てに勇士 確かに見た竜の死 されど己が犯した罪重し 黒き剣に捧げると思い 自ら貫いた心の蔵を」
「だけども俺もまだ奏づ── 一人で詠んでちゃ匹夫之勇 共に詠むお前が知己朋友 今から歌うは俺らの歴史 確かに俺は負薪の資 だから歌うぜ世界憎し 俺はオブリビ腰は重い だからこそ魅せるぜ俺なりの憎悪」
 アノルルイのリュートがメロディラインを奇麗になぞり、彼の詩がその上にパンチラインを見せていく。そしてその歌声の全てが、彼と彼の周りの猟兵にとっては力となるのだ。
 【サウンド・オブ・パワー】。ラップを刻み、弓を射る彼の行動は執事を仕留めるだけのものではない。音で周りを共感させ、そして同じ思いを抱いた仲間に力を与える――。彼は音楽の根源を、この場所で披露しているに過ぎない!
「かくして黒き剣の勇士の生涯は ここに幕を閉じた」
「そうして甘い過去の執事 障害越えてまだ歌う 世界を閉じたその時まで!」
 会場全体に彼の歌声と思いが響いたころ、ステージの効果でアノルルイ自身の力も相当に高まった。共感させるほどの詩は、強い意志が無くては作れない。『強い思いを込める』など、吟遊詩人にはお手のものだ!
 イチイの弓が番える矢は思いを乗せ、執事の放ったスイーツ攻撃すらも突き破りながら敵を押していく。詩は思いを寄せ、矢は心を乗せ、奏でる音はどこまでも響き、解き放つRapはどこまでも見事であった――。Nice Rhyme――。

 アノルルイが会場全体を沸かせ、そして自分の世界に引きずり込んで盛り上げた後、もう一人の猟兵がステージ脇から階段を上がって執事の目の前に現れた。
 何者だ? 問う執事の声への返答はなく、ただただその猟兵はアノルルイからマイクを受け取って構えるだけ。彼は左手に猟兵たちの思いが乗ったマイクを持ち、巨大な右腕を執事に向け、指をくいくいと上げながら挑発を行う。
 ――やることは一つだろ? と言いたげに彼はマイクを高く掲げると、返事も待たずにラップバトルを開始した――!!
「Hey-yo Mr.ice impress us twice but when return U'r leg turn No one calls the wrong field」
「Ai-Yo Mr.Demon How have U? I'd Like To Pick A Overturn With U! I'll Kick UR Ass N Killed On The Field!」
 ギャア! 何たることか、全て英語だ! 観客のキマイラたちもこれには唖然とするほかない! 英語を混ぜながらRapを行う猟兵たちは今までも多くいたが、まさかまさかの『全て英語』とは!
 恐るべしはRap自体初挑戦であろうのにも関わらず、全て英語でRapを詠んでやるぜと考えたこの男である! この羅刹としか言えない男、姓を百鬼、名を甚九郎(茨鬼童子・f17079)と言い、齢14にして態度のクソデカい猟兵であった。やるじゃねえかちくしょう! という声が会場のどこかから漏れ聞こえてくる。恐らく観客の誰かが発した声であろう。
「R-R-Rig up rap N-N-Nick night Lion Orion Oblivion, com'on lock-on & f**k-off」
「H-H-Holy Grail Troublesome! L-L-Last Straw Boresome Some! I've An Armed Standoff Worse!」
 さて甚九郎、甚九郎や。お主の武器はなんぞと申す。防壁手と申すかそうかそうか。観客の一部は全英語のRapに圧倒されながらも、彼らのバトルがどう転ぶのかを楽しげに見つめている! そしていよいよ勝負が動こうとしていた!
 甚九郎が左手の獲物、そう防壁手で執事をブン殴りにかかったのである! 英語のPowerが詰まりに詰まった彼の拳はすごく強い! だって文字数が詰まってるからね物理的に。密度が違うよ。
「U look like crackpot knowin'wat my lack I'm not IF U Know'it knock'in me writein mybrain or else shed bloodrain」
「What To Do If JACK-POT Happens? THIS Got It, F**k It, Get On With It! Do It If You Can Rain On Parade! My Turn Is 『SHOW'S OVER』, That's All Folks Mr.Demon!」
 左手に持ったマイクでCool-Coolと会場を歓喜の渦に落とし込め、巨大な左腕はぐるぐると回し続けることで来たるインパクトへの布石とする。対する執事は甚九郎の攻撃を喰らう前にやれとばかりに攻め込み、足に纏ったIce-Greaveによる勢いを乗せた回し蹴りを放ってみせたが――もう遅い!
「いえーい。その食べ物な体をぶっとばしてやらー」
「ッッッッ、質量が……!!! 違い過ぎるッ、くそがァァァ!」
 【羅刹旋風】。甚九郎が思い切り振り被り、振り回し、振り終わったその一撃は、『執事が放った回し蹴りごとブッ飛ばし』てみせた! 執事の身体を空に浮かせるほどの威力で放たれた巨大な拳はどこまでも重く、硬く、強く、激しく。
 圧倒的な質量と異様なまでの密度の攻撃は、Rapに乗った思いと甚九郎自身の膂力、観客からの声援とステージ効果の全てを足して執事へダメージを与えていく。余りにも重い一撃であった!

「Hey,B-Betty! R U Ready?! Is The Bullet In The Gun?!」
「わわわ!? 分かる言語でお願いします!?」
「……っと、コイツは済まねえ。少しばかり引きずられちまってな! 準備は良いかいお嬢ちゃん! やろうぜ、RapBattleだ!」
「あっ、なるほど! そういうことでしたら……こほん! 私だって一端の猟兵! 受けたってみせますとも! いざ、ラップバトル!!」
 甚九郎が場を支配し、執事に手痛い一撃を喰らわせてやった後も戦いは続いていく! 甚九郎からマイクを貰って次に壇上に上がるのは、フィン・クランケット(蜜柑エルフ・f00295)!
 蜜柑色の髪の毛と動きまくるアホ毛が特徴的なその商人猟兵は、キマイラフューチャーのために立ち上がり――慣れないながらもRapを詠むことを選択したのだ! 世界の危機ならRapも詠めるこの人物は、まさに猟兵の鏡と言っても良いだろう!
「見知らぬ世界 飛び込んで正解 始まるぞデカイとびきりの戦い 敵はRapper カロリー執事 私は雑貨屋 かわいい実に」
「気ままな現世 移ろう『幻世』 このまま俺らは逃げ切り他界 そういうお前はPersonal Shopper 言葉に反した異色な出自 大した自信ありがたや 言えてる特にその様悉に」
 フィンがRapの主軸に据えたテーマは『敵を倒す理由』。Rapの根幹は逆境からの挑戦であるが、その意味から言えば、彼女は実にRapのオリジンに近いテーマで歌っているのだ!
 自分の身の周りのことなどを歌詞にして、自信を持ってRhymeに変じていくフィンの頑張りRapを見ていると、思わず観客たちも応援したくなってくるというもの。『挑戦』している人物のRhyme程、尊いものがこの世にあるだろうか?! いや、ない!
「……なあ、お嬢ちゃん? 頑張りは認めるがよ、ええと、だな。……『かわいい実に』ってRhyme、自分で言ってて恥ずかしくねーか???」
「……自分で言って恥ずかしくないか?  べべべべ別に恥ずかしくないが!?」
「自信揺らがすなよ『Juice』は形骸化? B-B-B-B-Bettyは災禍に敗退か?!」
 アホ毛をみょみょん! と動かしながら執事の盤外戦法にも耐え、止まることなくLylicを口に出し続けるフィンが、ここでそろそろと自分の力を発動していく。【Jää Jää Rohkea jää】! 鋭い氷柱を超大量に召喚することのできる彼女のユーベルコードは、Rapに乗せた思いの分だけ強化を受けて発動されていく!
 だが、それにわざわざ当たりに行くような執事ではない。彼は彼でFrozen Fruitを大量に召喚すると、時にそれらを盾にして氷の柱を防ぎ、そして時に銃弾の如くに飛ばしてフィンへの攻撃を行っていく!
「それよりずるい 魅惑的なスイーツ 何よりムズい 自発的なストップ」
「堅塞固塁 歌詞を綴るのは一体いつ!? 意到筆随 本能のままに出しなよLong Stop!」
 互いに氷の魔力を駆使したCoolな戦闘が繰り広げられていく中で、並行してRapも同時に行われていく。カギを握るのはそこだ。観客たちはフィンと執事のどちらをも応援しているが、最終的な決着はRapの勢いとノリ、そして詩に込めた逆境にも耐えうる思いの丈で決まるだろう!
 フィンがステージの床や壁から生やした氷の柱の上を、執事は跳び越えて足場にしながら彼女への接近を果たしていく! その左手にあるのは魔力を大量に込められた冷凍果物たち。接近戦で一気に決めるつもりだ。だが、距離を詰められたことで――フィンのRapが、一気に爆発していく!
「あなたにとって八つ当たり? いえいえ、これは厄払い! たぶらかしICE-HEADにusから弔辞 あなた倒して悪足掻き Yeah Yeah、これから再び 久しぶりI'll DIRTで! 明日から本気!」
「出来ないことでも体当たり!? 俺にとっては厄介払い! 夜明かしILL-Lylicにゃ飽いてる寵児 すでに手遅れ駒の足掻き! Hell Yeahかかって来いよ数多度! Redshirtは認めてないぜ 出すなら出しなよ 今から奮起!」
 超至近距離から暴発気味にRapの魔力を解放し、Shotgunのように冷凍果実をバラ撒いて会場を支配するように攻撃を放っていく執事に対し、フィンはRapに込めた魔力を『集中させる』ことにしたらしい!
 彼女のユーベルコードは複数の氷の柱を召喚することが出来るようになる超常の力であるが、このステージの強化はその力を『纏め上げる』ことすら可能にした! 空中の僅かな水分から氷の柱を召喚したフィンは、そこを起点に周囲の空気すらも凍らせるほど強力な冷気を以て執事にカウンターを仕掛けていく!
「~~~ッ、っぐ、……! なんだと……?! 俺に冷気で勝つとは……やるじゃねえかお嬢ちゃん!」
 フィンは強力な力を得たことにより、執事が放った冷凍果実すらも氷の柱の中に取り込み、超巨大な一柱による反撃をキメてみせた! その全ては、彼女の見事な挑戦心とRapの腕前、そして確かな実力とHyperな可愛さによるものである!

「巫女ですから祝詞は得意とするけど、ラップは異文化なんですよねー。でもね、それでもね。この平和で愉快な世界には、もう貴方達のものではない、それを知らせましょう。柊イルザは今は一筋の光となりましょう」
「なに、どこの世界の神サンもラップは好きさ。何せラップは楽譜でもある訳だからな。歌って踊ろうぜ? 舞と歌は、古来から連綿と続く天上の人らの好物だろ!」
 フィンからはい! と手渡されたマイクを受け取り、柊・イルザ(妖狐の化身忍者・f12504)もまた世界のためにここに現れる。世界にオブリビオンが支配できるものなどないことを示すため。そして世界に住まうキマイラたちを守るため。
 敵を殺す事に特化した化身忍者でもあるイルザだが、世界を守ることにだって興味が出てきた頃合いなのだ。そしてここでは祝詞とは僅かに違うが、言葉が直接的な戦闘能力の差になる場所だという。十分じゃないか。歌って踊って世界を守るだなんて――まるで、どこかのアニメの主人公のようだ!
「骸の海を越えて参上、星の危機に呼ばれ急行 星を蝕む呪いを解け、呪い破る牙を砥げ」
「俺と猟兵は正に雲壌 作戦の調子は実に良好 『木仏金仏石仏』 人を見て『Rap』を説け System Flowersは陥落寸前 もう諦めろよ 万事OK」
 Rapを異文化であるというイルザのLylicは、意外なほどに着実なものであった。それぞれの小節の後ろで韻を踏み、全体のリズムを考えながらも要所で挟まれるRhymeの心地よさが耳に残る。恐らくはこの時のために予め詩を練ってきたのだろう。
 その事が分かる、奇麗で礼儀正しさすら感じるほどのRapを聞いて、観客たちも素直にノり始めていく。Rapにおいて勢いというものは大事だが、それと同じくらいに詩の安定度というものも肝要であるのだ。ステージに上がるのは初めてなハズのイルザのRapがここまで好意的に迎えられているのは、彼女のRhymeの端々からその丁寧さが伝わってくるからだ!
「毎日が祭りのこの世界、今は争いに抗う時代 牙を持たぬ獣達よ、祈り受けた猟兵達よ」
「気移り激しいこの世界 次代は事大の時代だぜ? 流行りのRhymeも詠めない血よ 欲が無いなら地に落ちよ」
 イルザのRhymeの雰囲気に合わせるように、執事も彼女の詩と似たようなRhymeを即興で仕立てては口に出し、またその分だけ魔力を蓄えてはムースサンドの連続投擲で牽制を行っていく。キンキンに冷やされたスイーツはその一つ一つが丁寧に作られた凶器のようなものだ!
 だが、しかし、である。連続で放たれていく執事の攻撃は、炎を纏ってステージの上で踊りながら、Rapを詠うように刻んでいくイルザに血数いていくとその勢いを急速に失っていくではないか! 執事の放つIceな攻撃と、イルザの纏う狐火は実に相性がよろしくない!
「蝕む過去を断ち切ろう、新たな未来を切り開こう 共に手を取れ、勝利を掴み取れ 迫る過去を絶ち、未来へ向けて歩む  この世界はもう、過去の亡霊達のものじゃない、OK?」
「溯る過去が世界に逆浪 ルーツの欲にまみれ戯講 平和を捨てて、理性を投げ打て 言葉に余る思い達、今開放するTime この世界はもう、平和でつまンねェまがい物じゃねェ、OK?」
 至近に至るにつれて勢いが弱まっていく執事の遠距離攻撃を忍者手裏剣で的確に落としていくイルザへ向け、遠方から執事が駆ける。今の攻撃でわずかにでも反応を遅らせられれば、そのまま近距離でIce-Barによる直接的な攻撃を狙えるという腹だろう。
 ――しかし、そんな『甘い』考えは通用しない! イルザの奏上するRapは今、世界に対する祝詞と成りて彼女自身へ祝福を返すための呼び水となったのだ!
 ステージの能力上昇効果を他の猟兵同様に最大限まで受けたイルザの反応速度は、今や目の前の全ての動きを何一つ見逃すことはない。最後のRapに合わせて放たれた【七星七縛符】は見事にイルザの狙いに過たず飛び、そして執事を捉えていく!
 『動きを止め』、『ユーベルコードさえも封じた』。ならば、お次は? そう、『どう料理してやるか』の時間だ!

「ギド・スプートニク a.k.a.“Blood-lust” 刻んでやろう我がLyric 覚悟は良いな? カロリー執事」
「チ、畳みかけて来やがったって訳かい……ハ。まあ良いぜ、かかってきなよ! 今ちょいと訳ありで手も足も出せないが、それでもRhymeならひねり出せらァな! Let's Rock!」
 先ほどまで戦っていたイルザが執事の動きを見事に止めて見せたその瞬間、ギド・スプートニク(意志無き者の王・f00088)が新たな詠み手として壇上に上がる。
 イルザから直接手渡されたマイクの感度を確かめた彼は、初っ端から粋な名乗りで執事にBattleを挑んでいく! 彼は今回攻撃手段を持ち得ていないが――。それでも、練ったRhymeなら人並外れてあるらしい!
               キマイラ 
「怪人は灰燼に帰すのが定め 《観客》も我らのRhymeにフィーチャー」
「境界人様Rapは初陣? ここでの問答はIn Camera 会話にAbzyme投げてDeparture」
 ギドの紡いでいく言の葉は中々に繊細。Lylicも見事にこの世界や観客たちに上手く絡んでおり、一工夫入ったRhymeは丁寧に下ごしらえされたフルコース料理のように見事なものだ。
 どうやら見たところではRap自体は初めてということらしいが、執事にはそう思えないほどの好敵手としてギドは器用にマイクを操って言葉を投げてくる。油断できる相手でないことは、執事もすぐにわかるほどの相手だった!
「腑抜けたカロリー即座に燃焼 こちとら年少よりダークセイヴァー育ち 実は甘い物に目がない 当然貴様に勝ち目はない」
「雲上からの物言いどうも だが第一印象は過干渉 恩詔の言葉を宣っても 勝ち目を論じるのは芸がない 求められるのはRhymeさ類のない」
 ――ね、ね、あの人のRhyme結構Coolじゃない? フツーにメチャ乗っちゃうんだけど! ――分かる! 結構いろんな要素Mixしてるはずなのに散らかってないっていうか纏まりあるよね! ――スッゴいイケメンでRhyme捌きも上手いのに……! ホントにこの人Rap初めて?!
 中踏みに合わせ韻などの高等Technicを駆使しながら、ギドは初めてとは思えぬ巧さでRapを口に出していく。想像以上、期待以上のNew-Bieの登場に、観客の女子キマイラたちも湧きたって彼のBeatにゾッコンになっていく!
「貴様の戦う意味は何だ? 何故、何の為に歌い続ける? 感じられぬ世界へのリスペクト 楽しもう? その先に待つのは支配 今の貴様に人を楽しませる資格はない」
「詠いたいから歌うんだ この答えで埒は明ける? あからさまな俺へのDisrespect 『喧喧囂囂牛もうもう』 俺は今歌えりゃそれでいいだけ よく言うだろ? 『馬鹿に付ける薬はない』」
 先ほどのイルザの拘束から抜け出すべくもがき続ける執事も、中々ギドとのラップバトルが白熱してしまって力を入れ切れていない様子。それに、Rapのブーストを用いて一気にもがいても、もうそろそろというところでギドのKick Ass Flowが流れては執事の動きを止めていく。
 ――そう。何を隠そう、ギドはこの場においてイルザの放った【七星七縛符】の拘束に、自身のHotなRapによる拘束すらも重ねてみせたのだ!
            ダブルバインド
 言葉とユーベルコードの二重拘束は執事から完全に主導権を奪い去り、今や彼はステージからのアドバンテージすらも手放しそうになっている!
「思い出すのだ 人を愛す心 ICE-HEADでも人を愛せる筈 心と向き合い 相対せよHead on」
「脇心よりも勘所 Oblivion-Rapperとしての在り様手筈 ソイツはお前らとのバトり合い! ここで相殺させるぜBazz Off! 元々俺はIceだよ!」
 だが、それでも執事は少しでも長くRapを刻むことで主導権をもう一度猟兵の手から自分の手の中へもぎ取ろうとしている!
 もう少し、もう少し――! しかし、それを見逃すギドではない! 今こそJudgmentに前置くFlowを聞かせる時だとばかりに、彼はステージの上でその眼を執事に向けながら最後のRapを口ずさむ!
「貴様はただのHater ただの兵隊 今すぐそこを退け さもなくばCan't be freedom」
「……~~~、ッ、……A Delicate Matter まだ言うかい? 退かしたいならForce Employment できないンなら下すぜJudgment! ……ガ、ハァッ、ッ! 畜生……! 危ないとこだぜ……!」
 ギドの練ってきた無数の言葉の螺旋が、ここに来て韻を踏襲しながら執事のHeartに突き刺さっていく! 僅かに返答が遅れた彼は、『歌わないこと』によるステージからの圧倒的な重圧を感じながらもなんとかかんとかといった体でAnswerを返してみせた、が……!
 それでもまだ執事の拘束は完全に解け切っておらず、彼は『何とかこの場所に留まれた』というところ! 決着の時がそろそろ近付いていることを、誰もが予感していた!

「さて、一撃はお任せする。お手際拝見させて頂こうか、アーサー殿?」
「応ッ! イルザにギド……。それに、他の奴らが作ってくれたチャンスだ! 任せておきな、バッチシ決めてやるぜ!」
 マイクをギドから受け取って、そしてハイタッチを交わしながら走ってステージに殴り込みをかけるのはアーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)!
 いや! 平和を取り戻すためにRhymeを踏み、Beatを刻み、Rapで戦うこの場では、彼はこう読んだ方が良いのかもしれない! MC.Down Breaker In Da House!!!
「HEY, Stand up People! 真っ二つに割れた世界が呼ぶぜ! 絶望Shut outの英傑が参上!」
「Ai Yo Ballup This World! 世界が危機を布達しても、もう遅いんだよ多勢に無勢! 失亡をここで眺めてな、Soldier Of The 気炎万丈!」
 アーサーは登場早々に会場全体のキマイラたちへとCallを行っていく! 静かに、そして聞かせるようなギドとは好対照に、アーサーのRhymeは人々を動かして思いッ切りノらせるタイプのBeatだ!
 ステージの周りに集まっているキマイラたちも、戸惑いながらもアーサーの熱に釣られるようにしてどんどんと身体を動かしていく! このフロアは縦ノリだ、もっと激しくやっていこうぜ!
「I'm a Super Hero! さあ両目開いてちゃんと見とけ! 常識Break outの伝説が誕生!」
「Toooo Bright! Rays Of The Sunが眩しいンだよ退け! 有識Ace Outな俺ァ光焰万丈!」
 未だ拘束されているはずの執事でさえ、アーサーの勢いとノリの良さに触発されたか?! 彼は全身のIceを溶かすほどの全力を振り絞って、全身に負担を駆けながらも無理やりにイルザたちが仕掛けた拘束を解き放つと、もう一度本気でIce-Gauntletを片手分のみ召喚してみせた!
 アーサーのアツさが、Rhymeのカッコ良さが、執事さえもノリにノらせてみせたのである! 
「かかってきなButler! さあ、ここでBattleだ! でも譲らねぇぜWinner! Let's go Jeager!」
「上等じゃねえかDown Breaker! お前はここで俺が『Break Down』! Please 『Speak In A Crisp Manner』!」
 そして執事は敵に――否、好敵手に向かって只管に走る! そこに戦略などはもはや存在しない! ただ彼の内に流れる熱い潮味Iceに従うまま、執事はただ走り、拳を振り被るのだ!
 それを見たアーサーも、当然の如くに真っ向から受けて立つ構えを取っていく! 腰を下ろし、全身を脱力の極みに至らせる。ただあるのは静かに燃える自分の呼吸のみ。烈しく燃え上がるその時までは、この禁断の炎を温存し――――『今』だッ! アーサーの拳が、執事の拳が、今交差するッ!
「【Select…BURN ACTION!】この手に宿る太陽の力…受けてみやがれえええええ!!!!」
「しゃらくせえええええええ!! HotなPunch-Lineの一つや二つ、何度だって受けて乗り越えて見せらァァァァァァ!!!!」
 アーサーの放つ【プロミネンス・インパクト】――いや、この場は【Prominence Impact】か! それは執事の放った拳が自分自身の至近に迫った時、目にも止まらぬほどの速度を伴って空を走った!
 結果は――クロスカウンターッ!! ……!? いや、『ではない』! 執事の拳は、ギリギリのところでアーサーに届いていないのだ! 彼自身の熱が、会場の熱気が! 見事に執事のIce-Punchを溶かしてそのままブッ飛ばしてやったのだ! この勝負――執事のKnock Out!

「ラップ? ふうん。『だいたい』わかったわ。リリックとライム、あとは南から吹く風のような情熱ね」
「……ガッ……ハッ……ヘッ、お次はアンタかい? 歌が上手そうだね……良いじゃねえの。好きだぜ、歌が好きな手合いはよ。アア……。何度だって、やる気を出せるくらいには、なァ!」
 アーサーが複数の猟兵たちからの援護を受け、そして執事のIceを震わせるほどの一撃を決めても、尚執事はステージの上で立っている。
 それならばと壇上へ現れたのは、バレーナ・クレールドリュンヌ(甘い揺蕩い・f06626)。彼女はアーサーから、多くの思いが籠ったマイクを受け取り――そして、白銀色の髪をなびかせながらマイクに向かって声を放つ!
「相手の魂(ソウル)を破砕(クラッシュ)する、歌は魂を揺さぶる手段だものね、信じて歌い、倒(ビート)しましょう。観客のみんな、付いてきて? 本日のチューンは、――ユーベルコード『ローレライ・トロイメライ』で」
 新しく現れた才能を感じさせるVocalの登板に、観客たちは盛り上がりながらバレーナを迎えるばかり。割れんばかりの拍手と、会場全体を支配するほどの声援を受けて、彼女は傷だらけの執事へと向き直った!
 ――なあなあ、あの子超美人じゃね?! しかもすげーよく通る声! どんなRapなんだろうな?! ――シッ! 静かに聞こうぜ、ほら……! 始まる! 『人魚の歌』だぜ?! 聞き逃したら損だって!!
「歌で勝負? それは笑止。君の相手は来た? 見た? わかった? わたしが歌えばセーラーはメロメロ、負けが見えるホラーでキョロキョロ」
「Veni, Vidi, Vici, We'll Well-Done! 『Well, You Should Have Known』 This Sound? バックミラーを見てちゃァヘロヘロ イレギュラーに凸るぜUra-Ura-Uraaaaa!」
 そして始まったOn Stage! 会場の興奮も最高潮だ! 入れ替わり立ち代わり現れる演者のどれもが魅力的だが、何せセイレーンのRapともなれば期待度は高まる一方だろう!
 バレーナは『だいたい』分かったとは思えないほどのRhymeを見事にBeatに乗せて披露していく! 彼女の声はそこまで声量を張っているという訳でもないのに、不思議と会場全域まで響き渡っては観客たちを例外なく聞き惚れさせていく!
「やってみるかい、お食事会? そんなもの気休め、箸休め。燃えるカロリー、君はメランコリー」
「俺が目指すは音の欲界 自戒なんかは筋違い 『小袋と小娘』油断は無いぜ 骨休めなんてストロベリー ブッ飛ばしてくぜボキャブラリー!」
 彼女は自分の身体を不可侵の泡沫夢幻領域で包み込み、その歌声で執事を圧倒していく! 攻撃などは全く意に介さずただ唄い、謡い、歌う。バレーナのユーベルコード【泡沫の夢幻郷で歌うセイレーン】が発動した証である!
 そしてそろそろ二人の立ち回りも終盤だ! それが分かっているからこそ、二人の演者は互いの獲物を最後まで振るい続ける! ――即ち、Rapを、だ!
「そろそろ決着はわからいで。ローレライ・トロイメライ!」
「まだまだ悶着一昨日御出で 在りし日の光は燈らない? 夢見心地はまだ躊躇い!」
 執事の放つユーベルコードの攻撃は、その悉くをバレーナのユーベルコードに防がれていく! それはつまり、執事のリソースの無駄使いを表し――バレーナの方が、この場においてはステージの効果を大きく得ていた証に他ならない!
 つまり! より『思いを乗せた』Rhymeを唄いあげたのはバレーナである! セイレーンの歌声はどこまでも会場を盛り立て、観客たちは彼女の歌声に酔いしれるのであった!

「再びまみえ 刻むは拍子 熱い魂 見せとくれ 思い返すは 夜の伝説 誰も彼もが 無我夢中」
「どうぞ奥まで 新たなゲスト その心意気 褒めてやる またソイツかよ 過去の思い出? しかし不思議と 気にはなる」
 バレーナのステージが終わって、次に現れたのは自分の手指の如くに言葉を巧みに繰り、 刀のように歌にして挑むこの男。名を、石動・劒(剣華常刀・f06408)。
 未知を知り、未知を斬るこの男は、どうやらカロリー執事相手に何かを言いたいらしいと見える。見事な都々逸はそのためにあることを、執事は熟練の勘から何となく察知するのだった。 
「独り戦い 戦い抜いた お前を誰もが 覚えてる 踏もうぜリズム 刻むぜラップ あの伝説を もう一度!」
「分かってねえな そいつは俺じゃ――、ッ? ……ないはずだって ことくらい 誰でも知ってる 事実だろうが! なのにどうした この既視感!」
 何人もいた。――本当に、何人もいたんだ。何人かの猟兵がこぞって口にするのは『あの夜』のこと。『伝説を作り出した経験者』たちが自分に見ているのは、偉大な過去のRapperの影。
 分かっている。同個体とはいえ、自分はあの時の同一個体ではない。目の前の猟兵たちが――好敵手たちが言っているのは、自分自身と似た姿の『カロリー執事』であって、自分ではないはずなのに――! なぜ、こうまで心を揺さぶられるのか!?
「――Hey! もちろん俺も覚えているぜ、カロリー執事! 俺は都々逸を歌う。主題はそうさな、以前この執事とまみえた時の戦いだ。お前がそれを知らなくても、忘れてても構わねえ。俺は歌うぜ、あの夜のことを!」
「……チィ! どうして、そんな……!! 『ただの、オブリビオン』だろうが! 俺はお前らが行ってるソイツとは違う! 違うのによォ……ッ!! ……ッ、クソがァ!! 来いよ猟兵! 歌って見せろ最後まで!!」
 劒が主題に掲げるのは、過去の記憶。『カロリー執事』とRapを刻んだあの夜の思い出だ。あの日の盛り上がりを、あの夜のことを――。この場にいる誰もが、何となくでも知っていた。
 観客たちも、猟兵たちの何人かも、『話だけなら』という人も含めれば、この場所にいる相当数の人達が『そのこと』を知っていた。何も知らないのは、『カロリー執事』だけである。
「怪力でもって 振るうは一撃 薙ぎ払いから 繰り出すは 我が必殺の ユーベルコード 受けてもらうぜ この【徒刃鳴】!」
「……痛みも思いも 忘れちまえよ 『昔の記憶』は 引きずんな 過去の亡霊 昔の思い出 今ここ立つは 無二の俺!」
 ユーベルコード、【徒刃鳴】。劒の必殺剣は思いの乗った歌詞に呼応して最大限まで威力を高め、鍔鳴りと同時に執事に向けて思い切り斬撃を飛ばしていく。だが、執事も劒の攻撃をIceの剣で受けながら彼の薄肌を切り裂く返しの太刀を打ち出していく。
 動揺はすれど、やはり『違う』。やはり、今劒が戦っている自分こと『カロリー執事』は、昔彼らが挑んだ個体ではない。……だが、だが。だが、だからこそ。別個体だからこそ、彼なりに言いたい思いもある。執事は劒と思い切り斬り合いながらも、片手でマイクを握っていく! 自らの思いを伝えるために!!
「激痛『だけ』は 忘れちまった お前と戦う ためならば!」
「……お前らは行け ここから先へ 『思い』引き継ぐ 未来まで! あれが一番? ふざけンじゃねェ! 停滞すンのは 俺らだろ?! 伝説なんざ 何個も作れよ お前ら歩く その先で!」
 今戦っている『カロリー執事』は、力を振り絞りながらそう言う。『過去に停滞』しているオブリビオンからすれば、『伝説』なんて言葉は溜まったものではないのだろう。『伝説』とは確かに良い言葉であり、きっとその時に行われた猟兵たちの活躍は未来永劫語り継がれていくに値するものだったはずだ。だが、だが! それでも!
 ――『作った伝説』を、たかが一個で満足してンじゃねえ! テメェら猟兵共には、無限の未来があるだろうが! だったら、過去を引きずるんじゃなくて――『過去から未来へ活かしてみせろ』!! お前らならきっと、いくつだって『伝説』を作れるさ!
 執事は言葉にこそしなかったが、きっと。猟兵たちは、そして観客の全員が、その言葉を聞いたはずだ。彼の、『伝説』ではなかった『彼』なりの、心意気のRhymeを。そして、『彼』の胴体には――劒の放った必殺剣の爪痕が深々と残っていた。それほどまでに、今のRhymeに込められた思いが強かったという事だろう。先は長くない。だが、――長くないくらいが、丁度良いのかもしれない。

「テレビウム達に酷い目にあわせておきつつ、今度は住んでる所が滅茶苦茶なんて酷過ぎるんだよーっ! どーんと覚悟を乗せれば良いんだよね? ……ラップはしたことないけど」
「…………が、は……。……ひひ、そうかィ。初めてか、お前? そりゃいい。そりゃきっといい夜になるぜ。Rapは良いもんだ。気に入ってくれりゃ……げほっ……幸いだね。……。さ、やるかいBaby? 『Quiet on the set……Action』!!!!!」
 劒が託したマイクをしっかと握りしめ、満身創痍な執事と相対するのはユキ・スノーバー(しろくま・f06201)。既に30名ほどからの攻撃を一身に受けた執事の身体はボロボロだ。
 だが、それでも。『オブリビオンは猟兵と戦うもの』。『ラッパーはラップを最大限楽しむもの』。オブリビラッパーである彼は、どんな姿になろうともその役割を全うするべく立ち上がり、そしてユキへ向かい合う! ラップバトルの始まりだ!!
「鍵表示ロック画面ジャックおこだ! 追いかける鬼に怒り湧きぷんぷん アイデンティティ大事でしょ? 企み阻止に成敗成敗っ!」
「救援Yo Say 邪魔な平面が騒ぐぜ幾許 感奮義憤上等さ 今や天下の『魔の十一分』 Safety重視のCharityご苦労 何を言っても驢鳴犬吠!」
 ユキを始めとした猟兵たちが当たり前のように世界を救うみたいに、オブリビオンだって当たり前に彼らと戦いを繰り返す。それは当然のことだが――それでも、今ここで戦っている『カロリー執事』もラッパーであるからこそ、猟兵と殴り合いながらも、その一方ではRapを楽しんでもらうように全力を尽くすのだ!
 観客たちも二人の全力を尽くした戦いを最後まで見届けるべく、思い思いの声援を投げながら二人の作り上げるバトルフィールドに魅了されていく! 一つ声援が上がるたび、ユキと執事の戦闘能力は同じくらいに上がっていくのだった!
「けどやっぱクールに決めなきゃノンノン 華吹雪けしかけ物理でも決めちゃう! 白銀世界見失う最後にきらめく凶器は致命傷!」
「流行ってないぜCall The Loonie 安穏世界に破滅の跫音 『暴を以て暴に易う』? 三千世界損なう今を ときめく俺様King o' Ice!」
 強化された脚力を活かしながら、慣れないRapを詠みながらも要所要所でステップを行い、執事の攻撃を『頑張るんるん!』と避けていくユキ。もはや片手分しかIceの鎧を纏えない執事の殴打を、彼は華麗にステージを広く使いながら跳んだり跳ねたりして躱していく!
 テレビウムであることも活かし、ユキはRapのRhymeに応じた表情を画面に乗せ、上手いタイミングで切り替えながら観客たちに臨場感あふれたステージをお送りしていく!
「目眩ましだけと見くびると落とし穴 冬の世界は大地も支配してつるりら 滑ればペースが狂って踊って 開いた裂け目に急降下バイバイ 退散の時間サヨナラ良しなにホームラン!」
「今がマシだと誰が言った? ビビると仕込むぜ一つ穴 大破の後には欲のShangri-la Rhythm震わす至高の一手 割れた世界に災禍の采配 潰散解散覚悟は良いか? 乖乱挑むはJack o' Frost!」
 火花と言霊散り乱れる戦場で、動いたのはユキである。彼はユーベルコード【華吹雪】を発動すると、観客たちからの声援を背中に受けながらの巧みな高速ステップで執事の拳の真下をすり抜け、そして見事に彼の懐に入って見せた!
「よーーーっし! 逃がさないよー! 覚悟ーっ!」
「……やるじゃん、初心者卒業だな? これからも良いAttack、期待して、ンぜ……ッッ!! ガッ、グアアアアアアアアアアア!!」
 猛吹雪の目眩ましと冷え冷えなアイスピックを用いた超高速かつ超威力の一撃は、至近距離でなければ使えないユキの必殺技だ。『接近』という最大の難点は、彼自身が自信を持って、そして魂と覚悟を乗せて放つRhymeによって得られたステージ効果によって見事攻略してみせた。
 執事はアゴのIceに思い切りCoooolな一撃をガツンと受けて、僅かに意識を手放しそうになりながらも――新たなRapperの誕生に微笑んで、そして立ち上がる。まだ、『最後の一人』が残っているから――!!

「歌が力になるとはなんと面妖な。しかし我々にも影響を与えるならば、他の方々のように利用するべきでしょう。らっぷというものは分かりませんが、この韻の踏み方……。これはサムライエンパイアの短歌に通じるものを感じます。……なるほど、理解しました」
「……OK。……き……ガハッ、……来なよ。面白いじゃねえか、最後の相手が『Rap以外』ッてのも……。最高におもしれえ展開だぜ。返してやるさ。今度は、『俺の挑戦』だな?」
 キマイラフューチャーの危機。バトルオブフラワーズ、サウンドステージの一角。そこに最後に現れたのは、月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)。
 彼はこの場所に他の猟兵と同様、『平和を守るために歌を唄い』にきたのである。だが、どうやら彼が武器にするのは『Rapではない』らしい!
「これより刀を筆に、鞘を短冊に。このらっぷばとるとやら……。私は短歌にて挑みましょう。では、参ります」
「『短歌』……。そりゃ良い! 良いな……げ、がっは、ゲホッ……。OK、OKだ。先手は譲るぜ、色男」
 そう、夜彦はここに『短歌』を詠みに来たのである。彼は彼なりのRapを短歌に見出したのだ。世を思い、もしくは自身を思い、そしてテーマを決めてリズムの中に思いを詩へと変じて落とし込む――。
 なるほど、そう言われると確かに短歌もRapの一種ではなかろうか!? 会場の盛り上がりがそれを証明している。夜彦の挑戦も、執事の挑戦も、その全てがここでは許されている。なによりも、『その挑戦が最高に面白い』故に!
「武器は歌 挑む敵には 情け無し 掲げた誇り 奢りと思え」
「いろは唄 目留む分は 時鮭なし 履かずの下駄が 残りと思う」
 二人の演者がマイクに向かって静かに、しかし力強く短歌を詠んでいく。彼らが語るのは、文字数にしてたかだか30文字程度。しかし、それでも。そこに込められた思いの丈は全く計り知れるものではない。
 会場に集まった観客たちの全員が、夜彦と執事の詠む短歌を耳にしてその意味についての議論を開始していく。面白い。そのような意味が込められているかも、受け取り手次第――という訳だ!
「どんな術であれ手を抜くつもりはございません。しかし……季語がありませんね。では、もう一句。付いて、来れますか?」
「当然。……胸をお借りするぜ。面白いもんだな、短歌ってのも……何事も挑戦、か……」
 夜彦が語り、詠む短歌がどこまでも深く面白いからこそ、執事は攻撃の手を止めて彼との『真剣勝負』に挑んでいる。時ここに至って、この場の刀は筆と言の葉だ。
 もはや殴りなど、この場においては何の意味も持たない。いや、もしかしたら執事はもう、『殴る体力すらない』のかもしれない。それでも最後まで、彼は夜彦との『短歌』に興じるつもりだ。自分の存在が消える、その最後の時まで――。彼もまた、夜彦に教えられたから。どんな時でもチャレンジすることの大事さを、彼に教えてもらった故。
「桜散り 集う熱気は 火(日)の如く 一足早い 夏の気配」
「婀娜比べ 花王の返歌は 梅と説く 勾配早い 春の連俳」
 そして粛々と、静かに。だが、どこまでも広く、大きく。彼らの真剣勝負は静謐さの中に無限の広がりを持って繰り広げられていく。僅かな文字数に込められた意味のここまで重いこと。
 執事が夜彦の短歌を受け、そして返歌を返すその時も、夜彦は『筆を刀』として動かない。この場の真剣勝負は『文字』であり、『歌』なのだから。――そして、執事が最後の返歌を行った時、遂にその時は訪れた。
「今度は季語を入れた初夏を思わせる歌にございます。普段と戦う世界や術は違えど目的は同じ――。これが私の戦い方です。……? 執事殿」
「…………あァ……。……いや、……ゲホッ、満足だよ。……お前、面白いな。新しい世界が開けたみたいだ。何て言えばいい? ……お前が短歌を詠んだ時、まるで――あァ、『初めて目を開けた』みたいな気持ちになったんだ。……もっと詠みてェな、Rapも、短歌も……。……挑戦の、…………面白さ、か。……ありがとよ、猟兵ども――」
 もはや、刀を振るうまでもない。夜彦の『刀』は見事に執事の心を切り裂いて見せたのだから。
 挑戦の楽しさ、素晴らしさ。過去に囚われず、過去を活かす面白さ。その全てを、きっとカロリー執事は手に入れたのだろう。あるいは、もう一度。
 夜彦は、執事が消え去る最後の瞬間までステージに立ち――、そして、最後は観客に一礼をしてから去ったという。
 Extra-Rap-Battle、これにて閉幕。

 戦争はまだまだ続く。しかし、ここに――確かに、一つのステージが終わったのだ。ここに訪れた全ての猟兵たちの活躍が無ければ、きっと不可能だったはずの偉業を、君たちは見事達成してみせたのだ。おめでとう。最高の夜、最高の一幕――最高の、奇跡みたいな、伝説のような――そんなステージだった! 最高だったぜ!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月11日


挿絵イラスト