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バトルオブフラワーズ③~猟兵ロボ、ショータイム!

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

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「キマイラフューチャーがまっぷたつになるとは、何度見ても傑作だな!」
 「あれがメンテナンスモードとは信じられん」と、バーチャルキャラクターのグリモア猟兵、天元銀河・こくう(黒猫看守・f16107)が愉快そうに告げ、集まった面々へと顔を向ける。
「かの世界の中枢『システム・フラワーズ』を占領しているのは、この世界のオブリビオン・フォーミュラ『ドン・フリーダム』。ヤツを倒さん限り、キマイラフューチャーに未来はない」
 世界の危機も、彼女にとっては娯楽の一部であるらしい。
 にんまりと眼と口を曲げ。
 悪だくみをするように、言った。
「『システム・フラワーズ』を奪い返すため、貴様らに、もうひと暴れたのみたい」

 こくうは、今回の戦争マップを猟兵たちの眼前に広げた。
 まっぷたつになったキマイラフューチャーの中央には、6つの領域がある。
「中枢に至るためには、まずは周囲を守る6つの『ザ・ステージ』を全てとり戻す必要がある。今回、貴様らを送りこむのは『ザ・ビルドステージ』。キョダイロボバトルに関する特殊戦闘ルールが適用されるステージだ」
 グリモア猟兵は黒い猫耳をピンと立て、眼帯をしていない金の片眼をらんらんと輝かせ、続ける。
「このステージは、キマイラフューチャーの表面部を再現したような都市となっている。住民は居ないので、その点は心配無用。貴様らがマシンを作れるよう、機材と資材が揃った『基地』が都市の中央にある。なぜ存在するのかって? そんなこと、わたしが知るわけもなかろう」
 オブリビオンは、自分自身を巨大化させたようなロボットで猟兵達の基地を襲撃してくる。
 猟兵たちは都市の中心部にある基地施設を利用し、自分が乗るマシンを建造。
 オブリビオンのロボットを迎撃し、基地を守らねばならない。
「貴様らのマシンが出そろった後は、変形合体してオブリビオンロボを撃破することが可能だ。敵を撃破できず、基地を完全に破壊された場合は、ジ・エンド。我々の敗北というわけだ」
 ゆらり、黒い尾を揺らしながら、こくうは笑んだ。
「巨大ロボの操縦は浪漫! ひじょーに残念ながら、わたしは転送に専念する関係で参戦が叶わないのだが。……おのおの、わたしの分まで派手に暴れてくるのだ!」


 都市リゾート化した街並みに、黄色い四角い、壁のような巨大なモノが、ぬぼーっと立っていた。
 ――パタタタタタタタタ。
 ぶるぶると小刻みに身体を震わせ、排気マフラーからはぽくぽくと黒煙が浮かぶ。
 彼は、キマイラフューチャーで工事にいそしむ『はたらくオブリビオン』。
 その名を、「マルチプル・アースムーバー」。
 今回の任務は、眼前にある猟兵たちの基地を破壊すること。
 ぽふん、ぽふんと、ふたたび煙をはいて。
 はたらくオブリビオンは、エンジンを唸らせはじめた。

 世界をかけた戦争であっても、彼がすべきことは、ただひとつ。
「ホンジツモ ゴアンゼンニ」
 ――いつもより、真心こめてエンヤコラ。


西東西
 こんにちは、西東西です。

 本シナリオは、『キマイラフューチャー』の戦争「バトルオブフラワーズ」に関するシナリオとなります。
 マップ【3】ザ・ビルドステージをオブリビオンから取り戻すべく戦ってください。

 特殊戦闘ルールは「キョダイロボバトル(敗北条件:基地の破壊)」です。

 最低限、マシンの性能をご記載いただければなんとかします。
 必殺技、セリフ、良い感じの行動など、お好きに盛りこんでみてください。
 機械いじりが苦手なキャラクターさまのご参加も、お気軽に。

 それでは、楽しんでどうぞ。
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第1章 ボス戦 『マルチプル・アースムーバー』

POW   :    タイヘン キケンデスノデ チカヅカナイデクダサイ
【放り投げた瓦礫や、ドリルの一撃など】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を塗りつぶし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    シャリョウガ トオリマス ゴチュウイクダサイ
【ブルドーザー形態による猛烈突進攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    ゴメイワクヲ オカケシテオリマス
【排気マフラー】から【環境に厳しい有害物質たっぷりの黒煙】を放ち、【強烈な粘膜刺激と視界の悪化】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:おおゆき

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠グァンデ・アォです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ジャハル・アルムリフ
…キカイ、ロボ、マシン…

さっぱり解らんが要は巨大な武器であろうか
つまりは――強きものを真似れば良い
それらしい物をそれらしく組み合わせて

金属の体から黎明色の光を放つ巨大な竜型
口から炎、星形の両眼からは破壊光線
あとは長い尾、体当たりと踏み付けで蹂躙する破壊の王
少しばかり誰かに似たのは恐らく気の所為だろう

己で出て行った方が早いのではないか
と思う程に動かし方が解らん、適当に動かす他あるまい
言う事を聞かぬなら蹴れば目を覚ますだろうか

塗り潰された地形を
跳び上がらせた竜型越しの【竜墜】で破壊し
強引に強化を防ぐ
そら、安い造りの粗悪品など打ち壊してしまえ

…ふむ、ロボとやらも慣れればそれなりに快適かもしれん


メルティア・サーゲイト
 こういう状況に使えそうな、UCのアイデアがあるんだよなァ。私が作れるのは私より小さい物だ。バインダーに入らないからな。でも、パーツ単位で作れば……だが、元パーツのデータが無かった!
「ってここにあるじゃん! コイツはいい、大漁だ」
 使えそうなパーツをバインダーにブチ込んでCRAFTARで作れるようにしながら作るぜ。精密精査すれば設計通りに噛み合うかも分かるしなァ。

「と、言う訳で出来たぜ」
 私の巨大ロボがな。何と、銃が無い。武器が無い! その分デカい!
「遠距離戦闘なら他の形態の方が強いんだよ。この形態はな、純粋にデカい、強い、重いを追い求めた形態……そうだな、CODE CRUDEと名付けるか!」


レナータ・バルダーヌ
機械は全然わからないですけど、とりあえず作ってみます!
ロボットに限っては足りない知識は気合でなんとかなると、ものの本に書いてありました!

変形前は人型がいいですね。
武器は慣れないもの使うより、素手のほうがいいでしょう。
それで、わたしの体とリンクさせて……。
これでマシンの損傷がわたしの痛覚にフィードバックされるようになりますけど、その代わりにマシンも【防衛本能:原点回帰】の特性と同じ機能を使えるはずです。
ダメージを受けるほどパワーアップするマシンの完成です!

「ここから先へは絶対に行かせません!」

基地を背にして敵の攻撃に耐え、必殺の【カウンター】をお見舞いして差し上げましょう!


リステル・クローズエデン
作成

形状
青白い狼型メカ。機動性重視
武装
背中左右に可変腕部に連結された銃剣付きビーム砲
前腕部に強化型電磁クロー。頭部にエレクトロファング。

メカニック+武器改造+世界知識+ハッキングで作成。
世界知識とハッキングは機械知識と制御系作成に

戦闘
迷彩+目立たない+物を隠す でステルス状態に
運転+ダッシュ+ジャンプ+地形の利用で近づき。
情報収集で得たデータをもとに

背中のアームを翼のように広げて
【我流闘法】命中重視
暗殺+鎧無視攻撃+鎧砕きで攻撃

ダッシュ+残像+逃げ足で攻撃を回避しつつ
誘導弾+スナイパー【我流闘法】攻撃力重視でビーム砲攻撃

さらに2回攻撃+残像+グラップル【我流闘法】攻撃回数で
爪と牙で連続攻撃する


ノイ・グランガイオス
自分の思い描く最強のロボを開発すればええんやな!
ウチが最強と信じるお兄ちゃん、殲滅機・グランガイオス
(※宿敵のロボ)を開発するで!

右手に超双刃グランキャリバー!
左手の、重力の矢を打ち出す重穿矢グランアロー!
そして肩のミサイル、無限爆装インフィニット・シェル!
多くの状況に対応しつつも無駄を省いた3つの武装と
大出力による重装甲・高機動!

得意なんは弾幕をばらまいて敵の動きを制限しつつ
中近距離から急突進してのキャリバーで一気に畳みかける戦法やけど
敵がでかいと他の仲間との連携が重要かもしれん。

強敵相手やと、キャリバーでの特攻を
死角からの一撃離脱戦法に切り替える方がええかも。

アドリブ、仲間との絡み歓迎


エンジ・カラカ
すごいなァ……おっきな鉄の塊だァ…!
コレは狼っぽいヤツに。

素早さが自慢のヤツに違いない
アァ……きっとそうだ。
おっきな鉄の塊は強いってコトくらいコレは知っている
なんたってジェットコースター?とかいうやつも強かった
あそこまで速くは無いガ、お前も強いのだろう?

食らえ、必殺技「オオカミアタック!」
どーんな必殺技か全然思い付かないケド狼なんだからコレで良いだろう。
シンプルな方が強い。たぶんなァ……。

素早さは一人前なンだからそのように立ち回るサ
それにしてもコイツはかっこいいなァ……。
アァ……賢い君はもーっとかっこいいから安心してくれヨ。


アレク・アドレーヌ
いやだからロボ作れってなんだよ…まぁ同じ戦場で作ったロボ使うが。
作ったロボは…【最初からバラバラのブロック状だけど組み替えることで形が出来て対応するロボ】だ

つまり最初から組み替えること前提だがブロック状だけでも数が多いからうざいぞ

操作がめんどそうだけどまぁそこはUCで文字通り『手数』を増やして対応すりゃいいし敵の攻撃はロボの特性で攻撃に応じて組み替えて防いでいけばいいと思う。

まぁでもこのロボっていうかブロックの状の何か意外と汎用性高いぞ。操作がめんどくさい以外はな
(アドリブ歓迎・共闘歓迎




 ステージ内基地では、さっそく猟兵たちがマシン作りに取り掛かる。
「機械は全然わからないですけど、とりあえず作ってみます! ロボットに限っては足りない知識は気合でなんとかなると、ものの本に書いてありました!」
 意気込むオラトリオのレナータ・バルダーヌ(復讐の輪廻・f13031)のそばで、
「自分の思い描く最強のロボを開発すればええんやな! ウチが最強と信じるお兄ちゃん、『殲滅機・グランガイオス』を開発するで!」
 ウォーマシンのノイ・グランガイオス(ごっつウォーましん・f08595)も、脳内に思い描く兄の姿に添う資材を集めるべく、さっそく製作スペースを確保し、動き始めている。
 眼前にうず高く積まれた機材と資材を前に、星守の竜人ジャハル・アルムリフ(凶星・f00995)は、うめいた。
「……キカイ、ロボ、マシン……」
 彼にとって、グリモア猟兵の説明にあった単語はどれも耳慣れぬもの。
 マシン作りについてはほとんど要領を得なかったが、
「つまりは――強きものを真似れば良いのか」
 それらしい物をそれらしく組みあわせていこうと、ジャハルもひとまずはイメージを練り始める。
「コレは、狼っぽいヤツを作る」
 エンジ・カラカ(六月・f06959)は、すでにイメージが固まっているらしい。
 機材の山をかき分け、「素早さが自慢のヤツに違いない」と、金の眼を輝かせながら材料の選別をしている。
 ウォーマシンのメルティア・サーゲイト(人形と鉄巨人のトリガーハッピー・f03470)――女性体のドールユニットは、資材の山をあおぎ歓声をあげた。
「コイツはいい、大漁だ!」
 猟兵たちが問うように視線を投げれば、銀髪赤眼のドールが愉快そうに口を曲げる。
「私には『MODE CRAFTAR(モードクラフター)』ってユーベルコードがあるんだが――」
 片割れであるパワードスーツ型機械巨人の背を示し、
「あいにく、ナノクラフトバインダー(万能生成機)に入らないモンは作れねぇんだ。それがどうだ。この宝の山から使えそうなパーツをブチ込んでいけば、最強のマシンを設計できそうじゃねぇか!」
「いやだから、ロボを作れって、一体なんなんだよ。……まぁ、俺は前の戦場で作ったロボを使うが」
 嬉々としてパーツの複製作業にかかるメルティアをよそに、ヒーローマスクのミュータントヒーロー、アレク・アドレーヌ(出来損ない・f17347)は、そうひとりごちる。
 彼は別の同戦場で作ったものと同じ、『最初からバラバラのブロック状マシン』を扱うつもりで、パーツを集めていく。
 二度目の製作とあって、ほかの猟兵たちよりも手慣れたものだ。
 一方、リステル・クローズエデン(なんか青いの・f06520)は黙々とマシンの開発に勤しんでいた。
 『メカニック』や『武器改造』をはじめ、持てるスキルをフル稼働すれば、どの機材を選び、どのように組み立てれば己の望むマシンができ上がるのかが、おのずと見えてくる。
「あの大型機械を相手にするのなら、機動性を重視した機体にするのが良いでしょうか」
 好きなように組み立てができるというのなら。
 どんな備えも、しておくに越したことはない――。


 基地施設内に配備されていた整備メカの助けを借り、あるいは自身の能力を発揮し、それぞれのオリジナルマシンがようやく完成した、その時だった。
 ――ビーッ! ビーッ!
 けたたましいサイレンが施設内に鳴り響き、基地施設内の巨大モニターに『LIVE』と示された外部映像が映しだされる。
『シャリョウガ トオリマス ゴチュウイクダサイ』
 嫌でも視界に入る、黄色く四角い、壁のような巨大オブリビオンメカが、基地前にあるビルに突進攻撃を仕掛けている。
 間をおかず建物ごと振動に揺さぶられれば、猟兵たちの眼前に積みあがっていた機材が、音をたてて崩れた。
 二度めの突撃を受け、モニター内のビルが積み木のおもちゃのように崩れていく。
「すごいなァ……おっきな鉄の塊だァ……!」
「出撃します!」
 エンジは黒の狼型マシン。
 リステルは青白い狼型マシンに乗りこみ、二台そろって走路を駆け抜け、外へ。
「おっきな鉄の塊は強いってコトくらい、コレは知っている。なんたって、ジェットコースターとかいうやつも強かった」
 地上に出たエンジは、オブリビオン『マルチプル・アースムーバー』の足元を駆けまわり、撃ちだされたドリルの一撃を颯爽と回避する。
 操縦方法はよくわからないが、思ったように動いてくれるため、不便はない。
「あそこまで速くは無いガ、お前も強いのだろう?」
 挑発するように問いかけるが、応える声はない。
 なにしろ、彼ははたらくオブリビオン。
 受けた命令を遂行するまでは、決して手を止めたりはしないのだ。
『タイヘン キケンデスノデ チカヅカナイデクダサイ』
 黒い狼を仕留めるべくドリルアームの連撃をくりだすも、エンジの狼型マシンは軽やかに後方へ退避。
 同じく地上を駆けていたリステルは、青白い狼型マシンを操り、ステルス状態で敵の間合いへ迫った。
 基地周辺の地形は、事前にデータ収集済み。
 どこを駆ければ良いのか、どの建物を足場にすれば良いのかは、手の内だ。
「仕掛けます。――我流闘法……!」
 足場となる建物を踏み台に、高く跳躍。
 背面のアームを二枚の翼のごとく広げ舞いあがると、前腕部に配した強化型電磁クローで、黄色い巨躯を素早くひと裂き。
 のっぺりとした敵の機体に、傷となる穴を穿つ。
 その隙を狙い、疾風の如くかけぬけたのはエンジだ。
「必殺! 『オオカミアタック』!!」
 野生の獣を思わせる獰猛な動きで、ドリルアームを引きちぎらんと喰らいつく。

 基地内では、先行く仲間たちを見やり、操縦席についたジャハルが嘆息ひとつ。
「なんとか組みあげたものの、己で出て行った方が早いのではないか……と思う程に、動かし方が解らん。が、適当に動かす他あるまい」
 「言う事を聞かぬなら、蹴れば目を覚ますだろうか」と、機体をひと蹴り。
 ――オオオオォォォオオオン!
 金属の体から黎明色の光をはなつ巨大な竜型マシンが咆哮をあげ、勢いよく基地の走路を駆け抜ける。
 二匹の狼に翻弄される敵を見定めれば、竜は体当たりで牽制。
 長い尾でさらに連撃を加えると、口から炎、星形の両眼からは破壊光線を撃ちはなつ。
(「少しばかり誰かに似たのは……恐らく、気の所為だろう」)
 脳裏に浮かんだ人物を頭の中から追いはらい、気を取り直して拳を固める。
「――墜ちろ」
 重い一撃を叩きつければ、周囲の地形を巻きこみ、マルチプル・アースムーバーは大きく弾き飛ばされた。

「あなたは、わたしを満たしてくれるかしら?」
 続いて駆けつけたのは、基地を背に立つレナータの人型マシン。
 機体とレナータ自身をリンクさせることで、マシンの損傷が己の痛覚にフィードバックされる特別仕様だ。
 そうすることで、ユーベルコード『防衛本能:原点回帰(ドロローソ・ダ・カーポ)』と同じ効果を得られることができる。
『シャリョウガ トオリマス ゴチュウイクダサイ』
 機械的な音声が響いた次の瞬間、敵は瞬時にブルドーザー形態に変形!
 猟兵基地を蹂躙すべく、これまでにない驚異的なパワーを発揮した突進を受け、レナータはたまらず弾き飛ばされた。
 ビルに叩きつけられたレナータをかばうよう基地から飛びだしたのは、メルティアの巨大ロボだ。
 銃も武器もないが、大きさは他の機体を凌駕している。
「遠距離戦闘なら他の形態の方が強いんだよ――」
 仲間への突進を繰りかえそうとしたマルチプル・アースムーバーの真正面に構え、正面からの取っ組みあいをしかける。
 マシン同士がぶつかり合うごとに火花を散らし、操縦席にも振動がはしったが、その中にあってメルティアは嗤っていた。
「この形態はな、純粋にデカい、強い、重いを追い求めた形態……『CODE CRUDE』ってんだ!!」
 ――パワーのみを追い求めた機体で、負ける気はしない。
 拳を固め、四角い胴体を渾身の力で殴り続ければ、先に開いていた傷穴周辺から、しだいに大きく落ちくぼんでいく。
 これにはオブリビオンもたまらず、姿勢を崩した。
『ゴメイワクヲ オカケシテオリマス』
 片足を折り傾いだ状態で、マルチプル・アースムーバーが排気マフラーをぶるぶると震わせ、黒煙をはなとうとした、その時だ。
「ここから先へは、絶対に行かせません!」
 受けた痛みで己を強化し、必殺のカウンターを見舞っていたレナータの影から、さらに猟兵が躍りでる。
 漆黒の機体に赤のランプが禍々しく光る――兄弟機『グランガイオス』を操縦する、ノイだ。
「自分で『ご迷惑』言うくらいや。遠慮なく道をあけてもらうで!!」
 両肩に配備したミサイル『無限爆装インフィニット・シェル』で弾幕を張り、オブリビオンの動きを封じこめる。
 急突進からの超双刃グランキャリバーによる一撃が、さらに敵の巨体に傷を斬り刻む。
 死角からの一撃であれば効果は高いが、一度敵に動きを捕捉されてしまえば、一体で圧しきるのは難しい。
 ノイは仲間と連携すべく、左手に仕込んでいた重穿矢グランアローで重力矢を撃ちはなった後、叫んだ。
「もういっちょ、かましたり!」
 呼び声に応え、オブリビオンへとりついたのは、アレクのマシンだ。
「最初から組み替えること前提だが、ブロック状だけでも数が多いから、うざいぞ」
 移動を阻むべく足元を固めるブロックもあれば、反撃をしようとしたドリル腕めがけ、さらに他のブロックが絡みつく。
 まるで脈打つ生き物のように形態を組み替えていくブロックは、敵マシンの稼働部位を次々と固め、マルチプル・アースムーバーはもはやガクガクと身を震わせることしかできなくなっていた。
 正攻法の戦い方ではないが、連携戦ではこの上なく仲間の支援になる。
「このロボ――っていうかブロックの状の何か、意外と汎用性高いぞ」
 「操作がめんどくさいってこと以外はな!」と手数を増やすことで対応しつつ、アレクは仲間たちへ向け、呼びかける。
「さあ、トドメをさすなら今だぜ!」

 次の瞬間、メルティアの機体が浮かびあがったかと思うと手足が折りたたまれ、駆け抜けてきた狼二体――エンジとリステルの機体が脚となり合体!
 ジャハルの竜型機体は頭を、レナータとノイの機体は両腕を司り、アレクの機体は合体したマシンの鎧の如く、その身を固めていく。
「「「「「「「 変形合体! 猟兵ロボ、ショータイム! 」」」」」」」
 7つの機体、性能、パワーがひとつとなり、もはやその力はオブリビオンのマシンをはるかに凌駕している。
 猟兵ロボは天高く飛翔し、黄色い巨体を見おろしたかと思うと、一気に下降を開始。
『タタタ タイヘン キケンデスノデ チカヅカナイデクダサイ』
 あちこちに穴をあけられ、ブルブルと身を震わせるままのマルチプル・アースムーバーへ、一直線。
 その胴体に大穴を穿った次の瞬間、大爆発!
 マルチプル・アースムーバーは倒れ、基地は守られた。

 燃えあがる炎を背に、猟兵ロボ内では勝利の歓声が沸き起こっている。
 仲間たちの声をよそに、
「それにしてもコイツはかっこいいなァ……。アァ……賢い君はもーっとかっこいいから安心してくれヨ」
 エンジはぽんぽんと己の機体をほめたたえ、
「……ふむ、ロボとやらも、慣れればそれなりに快適かもしれん」
 ジャハルはぽつりとつぶやき、ひとり、頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月06日
宿敵 『マルチプル・アースムーバー』 を撃破!


挿絵イラスト