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バトルオブフラワーズ⑥〜AKR〜

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

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●Ring the whistle(踵を鳴らせ)
「キマイラフューチャーで大規模戦争、バトルオブフラワーズが開戦したけ-、皆に協力をお願いするなー」
 海神・鎮(ヤドリガミ・f01026)は、そう言って湯呑を傾け、戦争の概要を説明し始める。。
「事の発端は先日のテレビウム・ロック事件じゃな。オブリビオンに追われとった顔のモニターが鍵状に固定されとったテレビウム達の、あれがキマイラフューチャーの中枢【システム・フラワーズ】からの救援要請じゃったらしい。皆のお陰でテレビウムは無事じゃったみたいじゃな。ありがとな」
 朗らかに笑ってから、次に、と付け足した。
「要請に従ってシステムに続くメンテナンスルートを開放してくれたんじゃが、そのメンテナンスルートがなあ。キマイラフューチャーを2つに割った中央らしいんよ。都市設計者は何を考えとったんじゃ」
 呆れたように顔を手で覆い、気を落ち着けるように湯呑を傾けた。
「さて、こっからきちんと説明することになるよ。侵入者……実質今回の首謀者じゃが。これがオブリビオン・フォーミュラのドン・フリーダムと言うらしい。予知で見ただけじゃけー、細かいことはわからんな」
 軽く黒幕について触れ、他に情報は無いと次の説明に移る。
「システムフラワーズの周辺は怪人達に占領されとる。まずはこの6つのエリア、ザ・ステージを取り戻さんといけん」
 これはビルド、サウンド、ダンス、ゲーム、フード、ペイントの6つだ。他のグリモア猟兵もそれぞれ、解決の為に猟兵を集めている筈だ。
「基本的に各エリアで特殊な戦闘方法が提示されとるから、気ぃ付けて。儂が案内するのはザ・ダンスステージじゃな。UDCアースで有名なダンスゲームは知っとるか? 光ったパネルを音楽に合わせてテンポ良く踏んでいくやつ。それが戦闘エリア一面に広がっとると思って」
 この特殊な戦闘形態は調査後、アカイ・クツ・レボリューション、通称AKRと呼ばれているとか、いないとか。
「きちんとリズム良く光ったパネルを踏みながら戦ってな。光ってないパネルを踏むとアウトじゃ。怪人の数は多いけど、皆よりは大分弱い。手強いのはこのルールじゃな。でも、逆に、ダンスが上手けりゃ上手いほど暴れられるけー」
 曲はジャンル傾向程度まで猟兵が指定して流す事ができる。得意なジャンル、好きなジャンルを流しながら、遊ぶ様に戦って欲しい。
「ああ、ダンス分からんでも、バリバリ動ける戦闘職、とかじゃったら演舞なんかもええな。魔法使いの皆は浮きながら攻撃魔法とか使い魔でパネル押せば多分大丈夫じゃろ。色々考えてみると多分、楽しいよ」
 いまいち真剣味に欠ける言葉を残して、鎮は猟兵達を送る準備をし始めた。



●紫と申します。寒暖差で無気力になってました。
 9本目だった覚えがあります。
 キマイラフューチャーの戦争シナリオです。
 戦争はのんびりゆったり目に、お手伝い出来れば位で考えております。

●シナリオ
 【集団戦】の【ザ・ダンスステージ】です。
 敵オブリビオンは多いですが、猟兵なら苦労しない程度の強さです。
 厄介なのは後述の特殊戦闘形態だと思って下さい。

●特殊ルールAKR(アカイクツレボリューション)
 光ったパネルを音楽に合わせて踏みながら戦うことになります。
 光っていない所を踏んでしまうと、ダンス失敗になる可能性が高まります。
 一方でリズム良く踏みながら戦えれば戦闘能力が向上します。後ろでFUJIYAMA! とか聞こえてきそうな状態ですね。

 猟兵は、聞き慣れたジャンルや、得意な曲のジャンル(ダンス・ダンスゲーム経験者)を選べるようになっております。
(※実際のタイトル・アーティスト名・歌詞等は、著作権の都合上、明記する事が出来ません。ジャンルの指定までにするか、もじった物にするか、自身で考えたオリジナルか、著作権が切れている物にして頂けると助かります。お手数ですが、ご協力お願い致します。)
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第1章 集団戦 『包容力三人衆』

POW   :    バケツ怪人・ウェポン
【バケツ兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    釜怪人・ジェノサイド
【釜攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    金魚鉢怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【金魚鉢】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:まめのきなこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ニィ・ハンブルビー
呼ばれて飛び出てボク登場ー!
よくわからない展開だけど、とりあえずキマフュの危機!
キマイラ達の為にも、マジメに頑張らないとだね!

さて、ダンスしてパネルを踏みながら戦うんだっけ?
つまり、敵を叩くのとダンスとで、2倍速のリズムを刻めば良いって寸法だね!
【焦熱の強襲】で敵を攻撃しつつ飛び回り、そのまま指定のパネルを踏んで【ジャンプ】して攻撃再開!
これを繰り返してリズムよく戦うよ!
ついでに攻撃の時に敵を【吹き飛ばし】て踊りの邪魔をしよう!
ダンスと戦闘を混ぜたのは向こうだからね!
文句は言わせないよ!

…ん?曲選べるの?
こういう時はノリやすいのがいいよね!
ポルカとか丁度良さそうかな?


ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
ダンスはあまり経験はないけど、要はステップの問題よね…。
音楽はユーロビートにしましょうか。
そして、

「ちょっとズルしましょう」

ユーベルコード【錬成カミヤドリ】で本体の青金剛石をレベルの32個作成。
パネル全域に均等に浮かして配置し、自分は全体が見えるポイントで立っているわね。
あとは光ったパネルを近くの青金剛石でタッチするようにするわね。

え、ステップじゃないって?
青金剛石は私の分身だから立派なステップよ?


高鷲・諒一朗
ダンスなら任せてくれよお、ってなあ!
うなれ俺のこの長い脚!
スカイダンサーの真髄を見せてやらあ!

似たようなこういうゲームをUDCアースを旅した時にやったことがあるんだ
さすがキマイラフューチャーは最先端だなあ!
UDCアースの若者向けの有名曲は一通り踊れるから
それから曲を選ぼうかねえ
危ないところは「スライディング」で咄嗟に踏みつつ
とにかく楽しく! 見栄えも考えて! しっかり最後まで踊りきるぜえ
ここぞというときに攻撃できたうなら
『スカイステッパー』で蹴り上げるぜえ!


ラヴ・フェイタリティ
ダンスゲームは初めてだが…なるほど、良くわかったぜ。確かにこいつはダンスが得意な方が有利に見える…が、そいつは製作側の意図!プレイヤー同士の勝負をする上で必要なのは、見栄えやノリじゃねぇ…相手を上回るポイントを獲得することただ一つ!カラオケで歌詞通り歌を歌うよりも単音で音とリズムだけに集中する方が点数が高いように!見栄えを気にせずリズムと正確なパネル操作、そいつが高得点攻略の秘密!!見切ったぜアカイクツレヴォリューション!!
ジャンルはテンポが取りやすく音程もはっきりした童謡!ユーベルコードは発射すれば自動追尾の【ラヴジャヴェリン】!ラヴ様は兎を狩るにも容赦はしねぇ、最高点でKOしてやらァ!



●welcome to AKR!
 猟兵達がザ・ダンスステージの一角に足を踏み入れると、宙空にエフェクトが表示され、効果音が鳴る。その後に、WELCOME! の文字が灯った。
 すぐにプレイスタイルを選択するよう、空気の揺らぐ音と共に宙空に画面が浮かび上がる。シングルは曲は選べるが、協力者と分断される。ダブル、トリプル迄は同様に曲が選べ、協力者と共に踊ることが出来るようだ。
 4人以上の協力プレイの場合、曲目は選べないらしい。収録曲は大凡キマイラフューチャーのバンクデータにある物全てであり、ネットワークを通じて、随時持ってくるという形式で採用され、著作権等が生きている場合は何かしらの代価が制作者に手渡される仕組みとなっている、とシステム音声を交えて、説明された。
「……ん?曲選べるの? こういう時はノリやすいのがいいよね!」」
  展開は良く分らないがキマイラフューチャーの危機だと呼び掛けに応えてくれた、ニィ・ハンブルビー(怪力フェアリー・f04621)は一連の説明を聞き、緑の瞳を元気と好奇に輝かせ、蜂蜜色のポニー・テイルを数度揺らす。
「ポルカとか丁度良さそうかな?」
 音声を感知したのか、ニィの目前にモニターが浮かぶ。適当に気に入った曲に触れると、曲目の音楽が流れる。
「高性能ね。私はユーロビートにしましょうか」
 幾つかは見たことのあるタイトルが有ると、ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)はブロンドの髪に触れながら、口元を一瞬だけ悪戯っぽく釣り上げた。どうやら何か思い付いたようだ。表示される曲目から見覚えのあるタイトルを選ぶ。
「似たような、こういうゲームをUDCアースを旅した時にやったことがあるんだが、さすがキマイラフューチャーは最先端だなあ!」
 関心した様子で少し喉を鳴らし、声を上げたのは高鷲・諒一朗(ミルザム・f17861)だ。あの世界の若者向けの曲なら自信ありと、探してみると案外似たような曲調のポップスやロック調の物は転がっていた。
「ダンスゲームは初めてだが……なるほど、良くわかったぜ……」
 ラヴ・フェイタリティ(怪奇!地下世界の落ちものメインヒロイン!・f17338)は、我が意を得たりと、挑戦的に八重歯を釣り上げる。僅かな動作に、耳元の小さなピアスと大きなツインテールが揺らぐ。選曲の為に小型モニターに指を走らせた。音声認識以外にも対応しているユーザビリティこそが、キマイラフューチャーの恐ろしい所だろう。
「キマイラフューチャーは本当に不思議な世界ですね。今回はソロダンスですか。即興で踊るのも悪くありません」
 ラヴの行動から、構造に関心深く幾度か頷き、取り入れることの出来る技術は取り入りていきたいと考え、真面目な表情と共に青い髪がゆったりと流れた。ステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)はそうした後、楽曲を選択していく。パートナーは今回の戦争についてはまだ、様子見の段階の様だ。
「このゲームならUDCで散々一緒にやってきて攻略済っす。こんな時こそ友情パワーっすよね!」
「ああ見てろよ。UDCアース仕込みの腕前!」
 地元のキマイラフューチャーの危機だと未不二・蛟羽(花散らで・f04322)は駆けつけたが、それ以上に、ゲーム攻略を楽しむ気概が強そうだ。赤渕眼鏡の奥に、強い情熱を秘めながら、協力プレイを選び、スコアは別計算の物を画面から選ぶ。萬場・了(トラッカーズハイ・f00664)と共に選曲を開始するが、この2人の場合は大体決まっていた。
「一番難しい奴で良いっすよね?」
「おう、今回も負けねえからな!」
 限度いっぱいまで行くと言った蛟羽の誘いに、黒のパーカーに隠れた紅梅色がさらり垂れ下がり、裏地の緑が黒にふわりと、その身を一瞬隠す。
 負けないと言う気持ちにはゲームの結果以外のことも込められている様だ。そう言ったライバル意識を燃やす一方で、しっかりと互いを信頼しあい、ある程度の段取りを考えているのは、友情と言って差し支えない。
 AKR最高難易度に音声認識が一番難しいの部分を捉え、彼等の画面に一つのジャケット画像を浮かび上がらせる。Cat wearing boots with paranoia と表示されたそれは、黒を基調とし、赤だけで猫の輪郭を描いた物で、デザインは何処か禍々しい。難易度を示すアイコンがびっしりと並んでおり、本来は開放されていないが、イベント期間に付き、開放中とジャケット下に書かれている。

●with play
 猟兵達が曲を選び終えた一方で、今回のオブリビオン、包容力三人衆の軍団は、今もこのゲームを楽しんでいる。ただし、どう見積もってもエンジョイ勢であり、ゲームの腕も大した事は無さそうだ。

●tutorial
 曲選択を終えた猟兵が、すぐにそちらに行けないかと足を踏み出すと、不可視の壁に阻まれ、波紋が浮かんだ。そうしている内に、モニターの画面が切り替わり、基礎ルール、システム説明が流れてきた。
 まず、体力は常に大きな画面で表示され、体力ゲージの存在を説明していく。これは同時入室したプレイヤー全て共用であること。次に、ミスはゲージが減り、グッドはゲーム内ゲージが減らないだけであり、ナイス、パーフェクト、エクセレントは加点され、コンボとなることが説明された。
 コンボは大画面に常にコンボと表示され、100を越える毎に、そのエリア限定で、身体能力の向上をプログラムが手助けするシステムが搭載されている。また、コンボは各エリア毎に区切って管理され、協力プレイをしていない限りはそう問題にならないが、体力ゲージは共通なので、ミスは極力控えた方が良い、と最後に流れると、実際に軽くやってみましょうとその場のパネルが音楽と共に明滅する。
 猟兵達は準備運動と、ゆったりとしたテンポの曲に合わせてパネルを踏んでいく。それを終えると案内のために、数枚のパネルが合わさり、矢印を形作った。矢印の先にはそれぞれ選んだ曲のジャケット画像が表示されていた。

●Fiery Fairy-Polka Assalut Mix-(火妖精のポルカ-アサルトMIX-)
 足を踏み入れると、挑戦者が現れました、とシステムがアラートのようなエフェクト音と共に案内し、待機画面に移行した。
「侵入者……? 猟兵か! ってあれ、何処に居るんだよ?」
 先程まであれだけ大々的にシステム案内されていたにも関わらず、怪人達はどうも気付いていなかったようだ。恐らくゲームに夢中になっていたか、自分達の声で音声が聞き取りにくかったのだろう。その程度に、包容力三人衆は密集していた。待機は約3分。準備が整えば、任意のタイミングで始めることが出来ると、モニターが案内する。
「……ココだよコ・コ!」
 身長30cmにも満たないフェアリーは、気を配らないと見え辛い。それでも、何処に目を付けているのかと問うように、ニィが遠方を見つめ始めた怪人一同に存在を示す。
「って言うわけで、呼ばれて飛び出てボク登場ー!」
 存在を認識したのを見計らって、怪人にそう言うと、怪人達は鼻でそれを鼻で笑った。
「誰も呼んでねえけど、受け止めてやろう。なぜなら俺達は!」
 包容力三人衆、とここぞとばかりに軍団の全員がマッシブなポーズを決め、包容力をアピールした。
 何となくモヤっとしたニィが軽く、三人衆軍団の釜頭を横から殴ると、凹む音と共に、1体が呆気なく消滅した。怪人達に戦慄と動揺が走る。ニィはもう話すことは無いと、ゲーム開始を元気な声で宣言した。
「さあ、ゲーム開始だよ! 怪人の皆様はお手をどうぞっ! まあ、ボクの手に触ったら、火傷じゃ済まないけどね!」
 マイクの代わりに両拳を力を込めて握り締めると、ニィの周囲に高温の火の粉が鱗粉のように輝き、舞う。カウントダウン終了。ニィの選曲は2分と短いオーケストラ式のポルカ。題名は、憂いもなく。システムは適正の長さまで自動ループする機能を備えているようだ。
 出だしの力強い弦楽器の音に合わせ、パネルがすぐさま明滅する。怪人達が慌ててそれを踏もうとするも、ニィの焦熱を宿した拳が向かった怪人を捉え、閃き、そのまま、パネルを強引に横取る。次の音が響く瞬間までに跳躍、次のパネルの先に向かう怪人と、軌道に居た怪人を焦熱を宿した両拳で粒子に返し、出だし3つ目の音に表示されたパネルを踏み、また跳躍。
「つまりね、この戦闘方法って、敵を叩くのとダンスとで2倍速のリズムを刻めば良いんだよね!」
「頭おかしいこと言ってんじゃねえよおっ!?」
 言うのは簡単だが、実際パネル明滅は忙しなく、普通は無理な芸当だ。怪人達が反撃に出れないのはパネルに気を遣いすぎている上にニィが素早いのが大きい。数で補ってはいるが、間に合っていないようだ。
 ニィはしっかりリズムが速く、和音の多いポルカを二倍速で乗りこなす。怪人に拳を見舞い、飛び回りながら、順調にスコアを稼ぎ、怪人の数を減らしていく。運動量に応じてニィの体温が上昇し、次第に飛び回るニィの純粋な一撃一撃が重くなっていく。怪力で振るわれる拳が圧を纏い、拳打が振るわれる度、炎を伴った衝撃波を直線上に撒き散らし、多数の怪人を巻き添えにし、焼いていく。火妖精のポルカは幻想的で美しく、全てを焼き尽くしそうなほど、荒々しい。
 弦楽器と打楽器の追いかけ合いが終わり、数多のオーケストラの旋律が幾重にも溶け合い、調和して響く愉快軽快なフレーズの先、自身の境遇全てを笑い飛ばす様な、大きな笑い声が二度混ざる。それにあわせてパネルを踏み、跳びながらニィは楽しげに笑った。
 ノーミスで順調にコンボを稼ぎ、100を越えた所で更に身体が軽くなり、ニィは自身のエリアの怪人の群れを旋律の波に乗り、テンポ良く制圧していく。
「思ってたのより、数倍は楽しいかもっ!」
 ポニーテールを元気良く跳ねさせ、そんな言葉が聞こえてきたかもしれない。愉快な曲調のポルカは、敵を交えて題名の通り、憂いもなく、ノンストップ・モードに突入していく。

●Blue diamond eurobeat-Place of happiness-
 別のエリアでヴィオレッタは冷めた瞳で、しかし少しだけ悪戯をする時の子供の様な熱を、色違いの双眸に宿し、ゲームエリアと怪人達を見据えた。
「猟兵……いや、君を追い出すなんて、そんな事はしたくないな。つまらなそうにしてないで、俺達と遊ばないか?」
「ええ、そのつもりで来たから、構わないのだけれど、良いのかしら?」
「ああ、何を言われても良いぜ。俺達、包容力には自信あるからな!」
 そう言って包容力三人衆のは気障なポーズを決めた。ヴィオレッタはそれを無感情に見つめてから、自身のプラチナブロンドを軽く撫で、待機画面を飛ばしながら、自身の複製を32周囲に浮かべ、2個は自身の足元へ移動させ、自身を浮かす。
「そう、じゃあ、少しズルをさせて貰うわ。痛くっても知らないから、そのつもりで、ね?」
「それ踊るつもりが無いってことじゃ、ないかなあ!」
「青金剛石は私の分身だから、立派なステップよ? それに近くのは自分で踏むわ」
 展開終了と同時、選択した計6分程のスーパーユーロビートのシンセ音が導入として鳴り響き、パネルが光る。ジャストのタイミングを狙って近くの金剛石を念動で操作し、零さない。割り込んだ怪人はそのまま力を強め、上から刺していくと、呆気なく消滅していく。その様子を無感情に見つめながら、次のパネルに油断なく目を走らせる。
 リズム良く、スタイリッシュな中高音の女性ボーカルがワンフレーズ。その後は2つのシンプルな音が交差するように鳴り、通り過ぎ、すぐに次のボーカルフレーズ。共に、鼓動の名の通り、最大の特徴である、心臓を打つような独特の拍子が追加されていく。
 ヴィオレッタはそれらに合わせて明滅するパネルを追い切り、浮遊した状態で怪人を介さず、青金剛石と自身でパネルをリズム良く踏んでいく。ボーカルの2フレーズ目が終わるとテーブルターン。耳を澄まし、怪人の動向に気を配り、近づくもの、パネルを占領する者を的確に上空から撃ち抜きながら、自身は一歩も動かぬまま、場を制圧する。
 派手な曲調が形を潜める1分目、転調から途切れることなくボーカルが聞こえ始め、同様のパターンの明滅が散見され始めた所で、不意打ちのように別パターンが混じり、ヴィオレッタは冷や汗を流す。
 急なパネルパターンの加速、明滅パネルの増加、念動の青金剛石で追うのも楽ではない。加えて、怪人の多さに舌を巻きたくなるが、それらを飲み込んで表情はクールに保つ。歌詞の内容は自身の考えに自身を持ち、不安にならず、好きにやれば良いというものだ。困難にめげず、隠れず、それが大事だと語っている。怪人とパネルを処理しながら数多のシンセ音、ボーカルに耳を澄まし、丁寧に、確実に処理していく。
 近寄ってきた怪人をどうにか手元に寄せている金剛石で撃ち抜き、次に備え、2分を超える頃にはフレーズの繰り返し。慣れてきて、随分と読みやすくなってきたと、手応えを感じる。手こずった変速パターンも頭に入り、危うげなく乗り切っていく。煌めくような音の響き、混ざるハンドクラップ、かすかに響く高速のドラム、それらを聞き逃さず、きちんと聞きながらパネルを32の金剛石で押していく作業は、中々に痛快な作業であると、自覚し、微笑みが漏れる。
「楽しいものね……次は、もう少し刺激が有っても良かったかしら?」
 僅かに肩へ散った埃を払い除け、然し操作は緩めず、青金剛石のヤドリガミは冷えた瞳で、調に怪人の数を減少させ、ナイスだったフレーズがパーフェクトに、パーフェクトだった箇所がエクセレントに、そうして、徐々にスコアを上げていきながら、ミスなく、怪人の数を減少させていく。

●passionate skydancer-dog days jazz mix-
「スカイダンサーの真髄を見せてやらあ!」
 待機画面で人狼が吠える。
「猟兵だと! お前、悩みは有るか? やり残すことはないか。倒す前に聞いておいてやろう!」
 格好をつけてファイティングポーズを取り、待機中にも関わらず諒一朗に殴りかかる。
「ふざけてんのか。ねえし、俺はお前らに殺される気もねえ。ダンスは俺の情熱の表現方法だ。お前らに負ける要素はねえよ」
 金の目に情熱を宿しながら、挨拶代わりと長い脚を活かしたヘッドスピンを怪人に見舞う。確かな手応えと共に、3体が同時に粒子となって消滅した。
「俺は何時でも良いからな。さあ、踊ろうぜ!」
 犬歯を楽しそうに釣り上げると、音楽が3のカウントダウンと共にイントロが降りてくる。選択した音楽はジャズ調の女性ボーカルのポップスミュージック。都会の喧騒、携帯電話のコール音から、短い会話。大きな溜息から、車のドアを閉める音、それらに合わせてパネルが光る。
  やや速いパネル遷移をしっかりリズムを取り、踊る。動作の基礎は移動範囲からブレイクダンスとジャズダンス、それにカポエイラの動きを織り交ぜながら、足技を主体として見栄え良く、怪人を足技でなぎ倒す。
  車両のドアが閉じた所で、ゆったりと跳ねる様な軽快な低音帯のジャズピアノ、軽い打楽器が瞬時に鳴り響き、トランペットが参入。何処か滑稽なイメージはそのまま、音楽の主役となる女性の心象風景だ。3フレーズほど繰り返し、切なそうな色気を伴った女性のハスキーボイス。背後にはコーラスが響く。
 それらを聞き取りながら、独特な不規則に見える石跳びの様なパネル明滅を諒一朗は気分良く、楽しく踊る。寄ってくる怪人達は足で蹴り上げ、振り抜き、回転を交えて打ち据え、粒子に変える。或いは怪人が居なければもっと気分良く踊れたのにと思わずにはいられない。ジャジーの名にふさわしく不規則に飛び石するアップテンポのパネル遷移は偶に離れた場所に突如パネルを光らせる。すかさずそれを捉えて空を蹴り、また離れた場所に有るものはスライディングでギリギリ、ナイスのタイミングに間に合わせる。何処か投げやりな感情を持った情感深いセクシーなハスキーボイスが頭にしみ入るように響く。
 2分が経過する頃には不規則に見える譜面のパターンも見えて来る。曲の内容はシンプルで、好きだった人が別の人と結婚してしまったという心境をジャズクラブで晴らすという物だ。諒一朗は身体を余すことなく使い、この悩ましい女性の心境を表現していく。自身を自嘲する様なシーンでは上体を逸らして溜息をつく動作を、鬱憤を晴らすように踊り狂う様なフレーズの時は派手なプレイクダンスで怪人を巻き込みながら、持て余した感情を吐き出す様に。
 スコアを保持しつつ、芸術表現としてのダンスを的確にこなし、自身の情熱をぶつけていく。ミルザムの名の通り、先を見るように、パネルの明滅が時間が停止したように感じ取れる。
 走行している内に身体に力が漲ってくる。どうやらコンボ数が100を越えたようだが、彼にはもう関係なかった。後は最後まで踊りきり、体力が尽きるまで、後は踊り狂うのみだ。

●love is Nursery rhyme-base is all-
「プレイヤー同士で勝負をする上で必要なのは、見栄えやノリじゃねぇ。相手を上回るポイントを獲得すること、ただ一つ!」
 ラヴは口元を得意げに釣り上げたまま、得意げに自身の案内されたエリアに入る。彼女の選曲はテンポが取りやすく音程もはっきりとした童謡として、ほたるこいを選択した。
「お嬢ちゃん、猟兵か。遊びに来たなら帰った方が見のためだが、遊んでほしいなら、付き合うぜ!」
 そう言って保護モードの体勢を取った怪人3人にラヴは容赦無くメインヒロイン属性の純力場の槍を召喚し、刺した。呆気なく3体が消滅する。容赦ねえ奴だ。何処がメインヒロインなのか分からん、小さい子のツンデレって言うかかイキリギャップ可愛い。などと自分勝手な感想が漏れ始めるのをラヴは一括して無視し、待機時間をスキップする。
 綺羅びやかな琴の音色に混じって金属質のトライアングルの音が密やかに混ざり、笛の音の素朴な低音が自然に追加され、調和の取れた合唱団の声が響き始めた。
「カラオケで歌詞通り歌を歌うよりも単音で音とリズムだけに集中する方が点数が高いように! 見栄えを気にせずリズムと正確なパネル操作、そいつが高得点攻略の秘密!!」
 ラヴは攻撃を110もの自動追尾の槍に任せ、パネルに集中する。導入の複雑さが終われば、後は童謡の歌唱に乗っかるだけだと、得意げな笑みを崩さない。
「見切ったぜアカイクツレヴォリューション!」
 スコアとは即ち、幾つ明滅したパネルをタイミング良く踏めたかである。1ループでの最高得点値は低くとも、実に曲をループしていけば、高いコンボ数と共に得点も稼げると言った寸法だ。
 赤茶のツインテールを活動的に揺らしながら、ラヴは調子を崩さず、邪魔な怪人を槍で駆除し、着実に光ったパネルをエクセレントを狙う。後は耐久力と倦怠感、弛緩、油断との勝負だ。音楽ゲームとこれらは、切っても切り離せない程緻密な関係にある。
「いいぜ、最高点でKOしてやらァ!」
 声と共に、自動追尾のラヴジャベリンが容赦無く怪人達を串刺しにし、粒子に変えていく。ワンループを終えて、再び琴の音が鳴り響く。危うかったそれらを、今度は危うげなくクリアする。後は先程と同じくエクセレントの数を増やすのみ。不意打ち気味に飛ぶパネルも、もはやラヴの敵ではなく、目論見通り、スコアとコンボが順調に積み上がっていく。約1分30秒ほどを何度もループしている内に、怪人の数は随分と少なくなっていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ステラ・リデル
【SPD】
キマイラフューチャーは本当に不思議な世界ですね。
今回はソロダンスですか。即興で踊るのも悪くありません。
(ということで音楽は何でも良いですよ)
《魔剣舞踏》で25本の宙を舞う光の剣を創出。
光の剣と共に舞い踊りながらオブリビオンを倒して行きます。
パネルに関しては自身で踏んだり、光の剣で押したり。
また、宙に浮く光の剣を足場にして跳ぶことで光ってないパネルを回避したりもします。
「たまにはダンスも良いですね。……今度、お願いしてダンスホールに行きましょうか」



●Devil's tril-under ground shooting star
ステラが選んだのは悪魔と夢の中で出会っった作曲家が作った有名な古典音楽だ。題名もそのまま、悪魔の演奏したトリルであるから、悪魔のトリル。
「侵入者……猟兵……? あ、いや。どうですか、俺達と一曲、宜しければこの手を取って頂けると、嬉しく思います」
 包容力三人衆がステラの雰囲気に気圧された様に膝をついて手を上げる。包容力の定義が問われている瞬間かもしれない。ステラはそんな彼等を青い瞳で一瞥する。
「申し訳ありませんが、間に合っていますので」
 手を取ってほしい人は決まっていると眉一つ動かさず、切り捨てた。オドを練り上げ、無実体の光剣を25、作り上げ、待機画面を終了する。彼等と口を開く気はあまり無いと、待機画面を終了する。
 全体構成13分にも及ぶピアノとバイオリン一本で演奏されるこの曲目の導入はゆったりとした切なさを感じさせる旋律と、穏やかに、ささやかに、細やかに、それを補助する優しいピアノの音色。聞き逃していけないのはこの伏兵の様に潜む後者だ。音色は重なっている癖にバイオリンの影に隠れ、出てこない。
 穏やかにパネルが明滅し、遷移していくのを、25もの光剣が捉え、また自身も淀み無く光るパネルを踏む。舞踊とは即ちそのまま踏み込みである。踊るように怪人を切り伏せながら、時には剣の形態を変化させて、粒子に返す。
 そうして1分に差し掛かる頃、バイオリンの旋律が変化する。パターンの増加。何かを訴える様に強く弦を3度引かれる旋律が2セット。を危うげなく、生成した光剣に乗り、手近の光ったパネルを踏む。ゲージ減少もなく、コンボも今は途切れていない。
 そうして大体1分が過ぎる度にm同じパターンが繰り返され、4分近い所で切なく甘美な音色を伴ったバイオリンが、テンポを上げた速い旋律に変わっていく。悪魔が楽しげに誘うように、ステラの荷重移動と光剣の軌道を弄ぶ。管理世界の悪魔達より性質が悪いと、彼女は少しだけ眉を顰めた。しかしそれ以上に、久し振りの舞踊に確かな高揚感を感じているのも確かだ。一刀のままだった手元の光剣を二刀にし、回転を加え、ステップの邪魔になる怪人を横薙ぎに切り伏せる。
 8分頃にはまた新たな旋律と明滅パターン。忙しない。光るパネルを碧の瞳tが一瞬で見分け、リズム良く足を入れ替えながら、25の光剣を的確に操作する。これらが怪人の集団を薙ぎ、刺しながら、操作しているステラが踊る様は、剣舞そのものと言って差し支えない。光で出来ているが故、薙いだ後の軌跡が、音楽に華を添える。
 山場を乗り切り、再び川が流れていく様な、穏やかな旋律が戻ってくる。そうして11分30秒にまたテンポが上がり、弛緩していくれば無邪気に悪魔が足を攫う。乗り切れば、長い一音一音が余韻を残す、長い長い1分30秒、夢の中で手を振る様に奏でラストスパートまで気を緩めず、ステラはゲージを守り抜き、コンボを繋ぎ切った。
「たまにはダンスも良いですね。……今度、お願いしてダンスホールに行きましょうか」
 14分31秒にも及ぶ古典音楽を舞い終えて、パートナーの顔を思い浮かべ、ステラは口元に仄かな笑みを見せた。周囲の怪人達の数は随分と少ない、誘うためにも、アンコールは悪くない。

成功 🔵​🔵​🔴​

未不二・蛟羽
了さん(f00664)と行動
このゲームならUDCで散々一緒にやってきて攻略済っす
こんな時こそ友情パワーっすよね!

了さん!いつもみたいにスコアで勝負っす!今回も負けないっすよ!
戦闘より、ダンスを完璧に踊りきること優先っす!


【ダンス】と【パフォーマンス】でアゲアゲで踊るっす!
パネルの点滅には【野生の勘】と【第六感】で反応し
離れたところのパネルは尻尾の蛇ちゃんでポチッと

光ってない所は踏んじゃダメっすから…了さん、ちょっと肩借りるっす!

遠い場所のパネルは跳ぶと同時に了さんを【怪力】で引っ張り上げ
【スカイステッパー】で空中を蹴り、今度は俺が了さんの足場になるっす!
跳べーっ!おれ達、きらきらになるっすー!


萬場・了
蛟羽(f04322)と参戦
見てろよUDCアース仕込みの腕前!

雑踏から異物を見つけるように〈聞き耳〉で音を聞き分け
見えない敵を探るように次のパネルを〈第六感〉で素早く〈見切り〉
明るい夜空の星を見つけるように〈視力〉で注意深く…

手も足も出ねえ?いや、ここはキマフュだぜ?
触手の1本でも2本でも増やしてド派手なタップと攻撃、決めてやるぜ!
負けねえ。何より楽しむことに負けたくねえ!

不要なパネルは踏まないよう、蛟羽と互いの場所を入れ替えつつ
遠い場所は蛟羽に目配せ。組み手で踏み台を作り目的のパネルまで飛ばす
更に【不死鳥の尾】の触手を蛟羽に持たせ、伸縮性を利用して俺も次のパネルまで飛ぶ
俺らなら、ぜってぇ届く!



●Cat wearing boots-with paranoia- (Difficulty:Hades)
 楽曲選択を終えた蛟羽と了はエリアに入るなり、待機画面をスキップした。チュートリアルで準備運動は済んでおり、ゲームに早く移行したいと言う所だろう。
 楽曲がカウントダウンと共にスタートする。テンポの遅い独特なテクノサウンドが、遺産相続に貰った猫が語り出す様をイメージした導入。怪人はこの時点で、怒涛のような明滅パネル数と、低速明滅のテンポの取り辛さについていけず、共用ゲージを使い切り、残らず落ちた。音楽ゲームの決まりとして、所謂ゲージを削りに来るパートがあるのだが、高難易度の、更に最上級となると、常時これであると言っても差し支えない。それでも、慣れたプレイヤー、例えば今の蛟羽と了の様に、低速テンポで有れば休憩という様な人種も居る。それを可能にするのは偏に自身のリズム感と経験、聞き逃さない耳の良さ、荷重移動、鍛えられた足腰、動体視力、最後にゲーム勘だ。慣れに近いようで、パネルがこう明滅するから次はこうだ、次にそろそろ不意打って来ると読める感覚。初見クリアラーならば鍛えておきたいスキルとも言える。
 リズムを掴む様にステップを踏みながら、只の一音も聞き逃さないと了は耳を澄ます。
 蛟羽はまだまだ余裕と笑顔を見せながら時折手振りを入れ、手近ではあるが、飛び移る程ではない、少し遠いパネルを尾の蛇ちゃんに任せる。つぶらな瞳には楽しさが宿っていそうだ。
 場面が移り変わるように、シンセ音が基礎のリズムをJ徐々に速める。戸惑う三男から長靴と袋を貰った猫が、意気揚々と兎を捕まえ、王様に謁見するまでをイメージした音楽は愉快さの中に猫の狡猾さが潜む。
 ここから本番と蛟羽は楽しそうに歯を見せて笑い、了は挑戦的に笑う。
 息を合わせ、互いに不要パネルを踏まないよう、身体を入れ替えながら、ステップを踏む。了はそろそろとエージェントしての能力を開放し、演出としてのタイミングも合わせ、身体から幾本かの触手を生やす。
 全てよどみ無く、スコアもコンボ数も互角のまま、気紛れな赤靴と戯れていく。ノって切った所でテンポが暫く上がったかと思うと、段々とスローダウン。猫の勧めで三男が水浴びをし、王様と姫に引き合わせるシーンが表現されているようだ。テンポが遅くとも明滅するパネルは決壊した川の激流。タイミングを間違えれば、あっという間に水没する。
 2人はリズム勘でそれを見極め、的確に処理していく。変調は良く有る手だと、余裕の笑み。不意打ち気味のパターンも難なくこなし、積み上がるコンボは100を越えた。更に身体が軽くなり、動作、パフォーマンスのキレが増していく。
 徐々に決壊を招くかのようなストレスを与える明滅パターンが終わると、次に馬車で王宮のシーンへ向かう。今までと比べて長閑で軽快なフレーズ、スローに慣れた所でトップスピードへ徐々に徐々に。百姓を脅す猫の狡猾さを表現するように、意地の悪い不意打つ様な明滅パネル遷移が事ある事に出現し、しかし蛟羽はこのテンポが好きだと益々笑顔が眩しくなっていく。飛ぶことになるパネルが来そうな気配を感知し、了が目配せ、
「了さん、ちょっと肩借りるっす!」
「生憎だが、発射準備は出来てるぜってな!」
 了が瞬時に組み手を作り、蛟羽を跳ね上げた。飛んだ蛟羽が細身に似合わぬ豪腕で、了から生え文字通り宙を蹴ってパネルに飛ぶ。
「じゃあこっちも! 跳べーっ! おれ達、きらきらになるっすー!」
 声と共にパターンにアタリを付けた了が、蛟羽に持たせた触手の伸縮性を利用して、次のパネル目掛けて、飛ぶ。
「ああ! 俺らなら、ぜってぇ届く!」
 2人の連携は遺憾なく発揮され、悪路を行くかのような街道の道程を乗り切った。猫がオーガを騙して食べるシーンに移る。いよいよもって猫が牙を剥く、ミドルテンポに落ちた明滅パターンは迷路の様で、今までにも増して明滅が多い。不規則な飛び石も増え、猫の悪辣さが際立ってくる。演者を掌で弄ぶかのような嫌らしい明滅パターン。2人は此処が山場だと経験的に察知した。今まで以上に注意深く、テンポを取ってステップを踏んでいく。
 乗り切った先には三男と姫の恋愛模様を表現した物が続き、最後に婚約によるハッピーエンドの転調。
 プレイヤーを労うかのような、緩い明滅パターン。ウェディングロードを表すかのような直線明滅や、花が浮き出るような明滅は分かりやすい。しかし、此の手のものは大抵罠だと、プレイに基づいた第六感が囁く。案の定、段々と展開が怪しくなってくる、音が歪み、テンポが徐々に上がる。誰かが発狂するかのように歪んでいくテクノサウンド。
 明るい未来など無いのだと誰かが嘯く。見られている、裏切られる。嘘つきめ。苦悩を表すような超スピードの不規則気味な明滅パターン。プレイヤーを引きずり込む、この楽曲の最後の抵抗だった。登場人物の誰がそうなったかも分からぬまま、猫の性悪な笑い声が響く。2人は最後まで良好なコンビネーションで乗り切った。
「楽しかったっすー! でも……もう少し上手く踊れたっす?」
「すげえなAKR、何だこの気が狂った様な難易度……確かに、もう一回やりてえかもなあ」
 晴れやかな笑顔を見せ、すぐに疑問符を浮かべる蛟羽と、楽しかった、踊りきったと思いながらも、反省と実感難易度が口に出る了。反省する点が幾つかあると、UDCアースの筐体で上位ランカーの2人は口を揃えて言った。
「今度は協力無しのバトルプレイでやるっす?」
「うーん、出来っかなあ?」
「でも、流石に疲れたっすね……」
「だよなあ……試して見るにしても、少し休んでからにするか」
 そうして2人は暫く、足を伸ばして休憩を取る事にする。宙空には楽曲クリア者の名前がサーバーに登録されたと表示された。
 なお、怪人達は余りの難易度と、それを踊りきった異次元のようなやべえ猟兵2人を見て、別の区画へ移って行ったらしい。しかも不覚にも、2人のステップとパフォーマンスに見惚れていたとか。
 そんな猟兵達の戦争は、まだまだ始まったばかりだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月05日


挿絵イラスト