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バトルオブフラワーズ⑤〜聖剣の復活

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

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●中枢に潜むもの
 チャーリー・ライドゴーは集まった猟兵に目を向けるといつもと変わらないニコニコとした表情で口を開く。
「それでは依頼の説明……の前に。皆様はもうご存知かもしれませんが、今回の戦争『バトルオブフラワーズ』について軽く説明をさせていただきます。
 現在キマイラフューチャーの中枢である『システム・フラワーズ』にフォーミュラーである『ドン・フリーダム』をはじめとする怪人たちが占拠している状況となっています。
 『システム・フラワーズ』にいる『ドン・フリーダム』を撃破するのが今回の戦争の目的ですが、そこに中枢にたどり着く前にまず6つの『ザ・ステージ』を攻略する必要があるのです。
 そして今回この依頼ではこの6つの『ザ・ステージ』のうち一つ『ザ・ゲームステージ』の攻略を皆様にお願いしたいのです」


●素材収集はお好きですか?
「『ザ・ゲームステージ』について補足があります。このステージはゲームが実現しているかのような世界……ゲームの世界に皆さまが入り込み、主人公、もしくはその世界の住民目線で行動してゲームをクリアすることが目的となります」
 普段自分がやっているようにゲーム機を握たりスマホの画面を操作してゲームをするのではなくその世界に入り込む……VRみたいな物と思ってほしい。
「もう一つ補足です。この世界にはオブビリオンが存在しておりこれを倒すことはもちろん必要ですが、ゲームをクリアしないと敗北となってしまいますのでご留意ください」


 ここまで説明をするとチャーリーはカバンの中からが何やら正方形の箱と本を取り出し猟兵の前に正方形の箱を差し出す。
 「『ザ・ゲームステージ』では色んなゲームが展開されているようですが……今回皆さんに挑戦をお願いするゲームはこちらです」
 箱にはなんだかいかにもファンタジーなフォントでこう書かれていた。

『――伝説武器幻想物語~古の聖剣~――』
『かつて勇者の剣として振るわれた光と火の加護を持つ神聖なる剣は長い年月をかけてその神聖なる力を失ってしまった。
 来たる次期魔王誕生の予兆を感じ取った王は、勇者である主人公に剣の力を取り戻し魔王を倒す様に命じる』――というゲーム。

「このゲームの目標は伝説の武器の真の力を取り戻し、魔王を倒すこととなります。
 しかしこの武器、色々素材が必要なようでしてどうも一人だと短時間でクリアするのは少々難しいようです」
 たかだか素材収集。そんなに難しいのか?と首をかしげる猟兵の問いにチャーリーは攻略本のページを開いて確認する。
「えっとですね……北に位置する聖なる火山で手に入れられる神聖なる火50個、東の果て、険しい渓谷の奥深くに住む有力敵のドラゴンから稀に手に入る竜の角2個、そして南の迷いの密林で稀に出現するレアモンスター、バンブーマンから手に入る竹の花1個……と書いてますね」
 時間をかけてやれば一人でも行けるのだろうが、必要素材が世界各地にばらけているので複数に分かれて集めた方が効率がいいと言う事だろう。
 ちなみにこのゲーム単純に黙々とアイテムを収集したり真っ向勝負を仕掛けて敵を倒すのももちろんありだが、聖なる火の効率的な入手う方法を模索する。ドラゴンは罠にはめて最小限の労力でアイテムを手に入れる。レアモンスターが出現しそうな場所で待ち伏せする……など考えても面白いだろう。

「勇者の剣が復活して魔王を倒す段階で敵が群れを成してこちらの妨害してきますのでこれを魔王共々撃破してください」
 魔王の攻撃はとても重く、まともに受ければ戦闘不能になる可能性もあるが聖なる剣で一、二撃を加えれば魔王は致命傷を負うので撃破自体は難しくない。
 しかし、敵を撃破しても魔王に敗北するとこの依頼は失敗になるので注意してほしい。

「アイテム収集はとても大変とは思いますが、皆様の力ならクリアできると信じています。ご武運を」
 ゲーム攻略本を閉じてチャーリーは軽く礼をするのだった。


遭去
 素材収集、地面に生えてるものを回収するのは好きですがひたすら敵を延々と倒したり周回を強要されるタイプのは辛い遭去(あいさり)です。脳死殴りは嫌です。
 以下補足です

●皆さんの戦闘力
 ゲーム世界(のような)の中でも皆さんの能力には変わりないのでご安心ください。

●素材集め
 OPにも書いてますが素材収集のターンは真面目にコツコツ集めるのも戦うのもよし、皆様が思う効率がいいアイテムの収集方法を考えたり、労力をかけずに強敵を倒して素材を手に入れる方法を考えるのも良しです。面白い方法お待ちしています。

●戦闘
 魔王との戦闘開始前に懐かしおもちゃ三人衆が乱入し、『魔王と懐かしおもちゃ三人衆VS猟兵』の構図となります。



 それではよろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『懐かしおもちゃ三人衆』

POW   :    コマ回し怪人・ウェポン
【コマ回し兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    けん玉怪人・ジェノサイド
【けん玉攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    トランプ怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【トランプ】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:まめのきなこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

筒石・トオル
僕は聖なる火を集めようと思う。50個って多いもんね。
聖なるってくらいだから、子供の僕の方が入手しやすいかなって…イメージ的にね。聖なる乙女の方が効果ありそうだけどね。
『視力』『第六感』『世界知識』『失せ物探し』で少しでも見つかる率を上げてみようと思う。
後はUC〔水の魔力〕で自身の防御力を強化し、熱い中でも長時間滞在出来るようにして聖なる火を集めようかな。
念の為『オーラ防御』『火炎耐性』で防御を高めておく。
集める時間が長ければ、それだけ多くの火を集められると思うんだ。
やれるだけ頑張ってみるよ。


紫谷・康行
集める数が多いね
俺は北の火山に行こうか

火を集めるのは大変そうだ
量もあることだしこの子に頼むかな
【フロッカムの気まぐれな住人】を使い大食らいのドリンと言うガマガエルを呼び出す
ドリンはどんなものでも飲み込んでしまう蛙だ
たとえ火であっても平気な顔で飲んでくれるはず
あまり動きたがらないやつだから火が落ちてそうな溶岩のあたりなど神聖なる火が集めやすそうな場所を探してからドリンを呼び出し
背中を撫でたり水をかけたりしてご機嫌を取りながらできるだけたくさん食べてもらい神聖なる火を持ち帰る

火を持ち帰ったらドリンの苦手なニガドングリの実を食べさせて火を吐かせる
その後に好物の果物を与える
「ありがとう、助かったよ」



 北にある聖なる火山はその名の通り寒い地方にそびえたち、その堂々とそびえ立つ姿とたびたび噴火する様は地元民からは信仰の対象となっている。
(北にあるからもっと寒いかと思ったが、意外と暖かいね)
 筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)が山肌に手をつき足元を気を付けながら山の中を慎重に歩いていく。
 定期的に火を噴くためか山の気温は想像よりやや高く、山肌は白い火成岩で覆われており、燃えそうな物はあまり見受けられない。
 色んな人に聞き込みをして辺りを付けたつもりだったけど、一回撤退しようか――ふと彼が周りをぐるりと見渡すと彼の顔がある方向で止まる。見間違いか。眼鏡のレンズ越しにじっと目を凝らせばそれは遠くに揺らめきながらも確かに輝きを放っていた。

 時間をかけ慎重に輝きの元へ歩むと、そこは溶岩が時々噴き出すような場所であった。
 この場にいるだけで熱く普通ならすぐに引き返すような場所であるが、目の前には凛としつつも優し気な光を放つ火――聖なる火が至る所で燃え盛っていた。
 火に50『個』という単位は本来つけられる物ではないが、目の前にある日の輝きはこのゲームでいう50個以上あるだろう。
「さて、どうしようかな……」
 熱気にやられない様に火炎耐性とユーベルコードで体に水の膜を展開し熱さを和らげても暑いこの状況。汗をにじませながらトオルは顎に手を当てて考え込む。 
 見つけたは良いがここまで多いと持っていくのが大変だ。何回も往復する手もあるがここまで来るのも大変な時間ががかるだろう。
(この山の中だ。一気に持っていくより何回かに分けた方が安全かな……)
「簡単さ、大きな怪獣に食べてもらって運んで貰えばいいのさ」
 トオルが持ち運ぶ方針を決めかけた時、横から男――紫谷・康行(ハローユアワールド・f04625)が提案をする。
「難しいんじゃないかな? 食べた時点で体が焼けてしまうだろうし。何しろそんな生き物連れてきてないしね」
「まぁ確かにね。ただし怪獣は難しくても別のものなら持って行ってくれるかもよ?」
 言うが早いか、康行は手に持つ胡桃の木でできた杖を構え精神を集中させる。
『10の季節を持つ気まぐれな魔境フロッカムに住む1000の魔力を秘めし100匹の蛙よ。我が求めに答えここに来たれ』
 呟くのは魔界の森に住まう物を呼び出す呪文。すると直後、目の前の地面が大きく盛り上がる。そうして地面から出てきた物は――
「――蛙?」
 トオルの声に反応するように地面から現れた人間大のガマガエルがゲコッと低い声で鳴く。
「こいつはドリンって言ってね。どんな物でも飲み込んでしまう蛙だ。
 このくらい大きいんだから大量の炎を口に含んで持っていけると思ってね」
 さぁドリン頼むよ、康行がその凸凹した肌をポンと叩けばドリンはけだるげに主人の顔をじろりと見るがそのまま顔をふいと背ける。
「うーん、普段なら食べてくれるんだけどな」
「……さすがに火を飲むのは熱いんじゃないかな?」
 これなら熱さを感じないと思う、と水の魔術を操りドリンの口の中に自らの身に纏っていたのと同じ様な水の膜を張る。
「ドリン、お願い。終わったら君の好きな果物をあげるからさ」
 康行も蛙の肌をなでたり水をあげたりすればようやくドリンが口を大きく開き炎をバクリ。目の前にあった輝きを一口で飲み込んでしまった。
「それじゃあこのまま下山しようか」
「そうだね、ただこの子は一つ問題があってね」
「問題?」
 トオルが首を傾げて聞き返せば康行はこう答える。
「ドリン、あまり動きたがらない奴だからさ。移動してもらえるように機嫌を取らないと」
「……」

 トオルと康行の二人は見事聖なる種火を発見、50個以上の火を一気に運ぶことに成功した。
 余談だが、聖なる火を飲み込んだドリンと共に下山するまで水をやったり好みの木の実を多めにあげる約束を取り付けたりとドリンのご機嫌取りを行う戦いが繰り広げられ、下山した時にはやや疲れた顔をした二人の姿が目撃されたという。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ノイ・グランガイオス
※大阪弁です アドリブ、連携可

とりあえずゲームの世界で素材集めを手伝えばええんやろ?
とはいえ、レアモンスター探しはあんま得意やないし
やっぱドラゴン退治かなあ。
罠は手持ちにええネタがないけど、やっぱ狭い峡谷に
引きずり込むのがええんちゃう?
他の人が罠使うんやったら【存在感】と【おびき寄せ】で
ヘイトを稼いで誘導手伝ってもええかも。
隙を見て【スナイパー】で翼を狙撃して墜落させるわ。
地上に墜としたら【踏みつけ】てとりおさえつつ
『グラン・バッシュ』でガンガンにしばく!
ゲームとは言えせっかく倒せそうなドラゴンやったら倒したいやん?




 所変わってここは東の最果ての渓谷。
 大きな山々を縫うように川が流れるそこは普段は風と水の音が大きな唸り声をあげながらもそれ以外は静かな場所だった。
 しかしその静穏はこの渓谷の主――ドラゴンの怒声によって打ち破られた。
 体長は優に40mはあろうか。黒く強靭な鱗に覆われたその体が空を駆ける姿はまさにこの渓谷の王者と言われても差支えが無いだろう。
「ほらほらー! そないちんけな動きでうちを捉える事なんて百億光年経ったって無理やで!」
 そんなドラゴンに追いかけられるのはノイ・グランガイオス(ごっつウォーましん・f08595)。その紫の髪を揺らしながらドラゴンの攻撃を避けながら煽り立てる。それに反応するようにドラゴンが何度目かの怒声を響かせる。

 やがてそんな追いかけっこがどのくらいの時間続いたか――ドラゴンはノイの姿を見失っていた。ノイは人間としては巨躯でもドラゴンから見ればたいして変わりがない。影に隠れられば上空から探すのは困難となる。ドラゴンは忌々し気に根城をぐるりと見渡した。
 我が領域に入った人間を許すこと能わず――この一帯を吹き飛ばすため大きくドラゴンが息を吸い込む。
 だがそれが撃たれることは無かった。
 パンっ!
 渇いた銃弾が響けば翼に大きな穴が空く。
 そのままドラゴンは重力に引かれ大きな音を立てて地面に落下。大きな水しぶきをあげるも落下したダメージは感じさせずに態勢を整えようとするが、それは銃弾を放ったウォーマシン――ノイが許さなかった。
 ドラゴンの近くに着地して暴れるドラゴンに取り付きそのままハンマーを上段に構える。
「だっしゃあ!」
 渾身の力を込めたハンマーがドラゴンの額に向けて振り下ろされる。
 ズンっ!渓谷に空気が震え、ワンテンポ遅れて衝撃により水しぶきが沸き上がり、やがて瀑布となりあたり一面を覆い尽くす。
 水ぶきが収まり視界が晴れるとそこには大きなクレーターとその中心にハンマーを振り下ろしたノイとドラゴンの姿。
 そろーっと下のドラゴンを見やればドラゴンはピクリとも動かない。
「やったで! みたか、うちの大活躍! ……って誰もおらへんやんけ!」
 ゲームとはいえこのゲームの中でもドラゴンは強敵中の強敵。ドラゴンを仕留めたことを確認するとノイはその場でぴょんぴょんと飛び跳ねる。
 そしてノイは戦ったドラゴンへ激戦を感謝をしてその場をかっこよく――
「とと、忘れるところやった。この角をずばーっと切ってさっと回収せぇへんとな」
 ……去る前に再びドラゴンに駆け寄り頭に生える2本の角を回収してノイは今度こそ町へ戻るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(アドリブ/連携可)
「私が残りの素材を集めるから、魔王は任せたわよ。フォルセティ」
■作戦
[ハッキング]でゲームデータにアクセスし可能な限りの[情報収集]を行う
■行動
竜の角は別猟兵が手にすると踏んで南の迷いの密林へ
(想定外ならドラゴン退治に向かう)
攻略本とハッキング情報を元にレアモンスター出現域に到達したら
乱数調整を行いながらエンカウントを狙う
遭遇しない場合は繰り返し周囲を移動して根気よく待つ
バンブーマンは【ウィザード・ミサイル】で蹴散らして竹の花をゲット
弟に集めた素材を託す…
こっそり弟の後をつけ[追跡]、魔王戦では【アイギスの盾】でオブリビオンのUCを防いで支援


フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(アドリブ・共闘可)
「ずっと待っててくれる魔王って律儀だよね」
みんなと一緒に魔王+オブリビオンを倒すよ
【行動】()内は技能
みんなが集めてくれた素材で勇者の剣に真の力を取り戻すよ
「これで古の聖剣が復活したんだね!」
意気揚々と魔王の元へ。その前にセーブするよ。
他の猟兵さん達にもついてきてもらいたいなー
三人衆と魔王に遭遇したら(先制攻撃×高速詠唱)でイスベル・ウラーノを叩きつけるんだ
魔王が態勢を崩した所へ(勇気)を持って剣で斬りつけるよ
特に魔王の攻撃は(見切りとジャンプ)で躱すんだ
そして止めは(全力魔法)でカラミダド・メテオーロを放つんだ
「これでトドメだよ!」


鷹畑・海夜
ゲーム世界で遊びつつ戦うなんて面白そうねぇん。
たまには、私も頑張っちゃうわよぉ。

とりあえず、私はレアキャラ探しねぇ。
他の木と違う木とか竹とかが立っていたりとかぁ、
不自然にひらけた場所が無いかとか探せば良いかしらねぇ。
出てきたらぁ、死角からフック付きワイヤーで殴って倒すわねぇ。
攻撃されたら【逃げ足】使って避けるわねぇ。

たまに【レプリカクラフト】で作った落とし穴とか、
ロープ切ったら下から網が出てくる罠とか使ってみるわねぇ。
竹の花が回収出来るまで続けるわぁ。
根気強くやるのは慣れてるから問題ないわよ♪

連携もアドリブも歓迎よぉん♪




 最後の素材が眠る場所、南のジャングル。その特徴は世界各国の植物が繁茂しており、それもオリジナル産地のものに比べて巨大な姿をしている事だ。
 それはここにのみ生息するバンブーマンも例外ではない。
 人間の2倍はあろうかと巨躯を持つバンブーマンが自身の腕からタケコプターを噴出するもそれは褐色の少女――鷹畑・海夜(蒐集科学狙撃者・f06819)は得物のフック付きワイヤーを操り全て叩き落とす。
「それで終わりかぁ?もっと楽しませろよ!」
 そのまま懐に入りフックの部分でバンブーマンの急所を殴打。
 急所の節を突かれたバンブーマンは2,3歩後ずさるとそのままどさりという音と共に地面に崩れ落ちそのまま動かなくなる。
 海夜はバンブーマンに近寄りお目当てのものを探すも……残念ながらソレは持っていなかった。(代わりにかぐや姫のタケノコを見つけた。売ると高値で交換されるレアアイテムだ)
(もう何体目かしらねぇ)
 お目当ての物が出るまでひたすら敵を倒し続ける――科学者たる者、根気よくやる事は慣れっこである。それでも彼女は疲れからくるため息を一つ付き、返り血ならぬ返り汁を浴びたフック付きワイヤーを巻きながらちらりと横を見やる。
「ここでこの数値がでるからこの行動すれば……」
 そこには一歩動いたら止まり、2歩引き返して何もいない空間で武器を振るう……フィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)は傍から見れば奇行としか思えない動きをしていた。
 実はこれ乱数調整と言う一部のゲーマーの間では有名な技。ざっくり説明するとゲーム内部の乱数の動きを把握し、特定の行動を起こすことで普段ではありえない挙動をさせたりレアモンスターとのエンカウント等ランダムなイベントを確実に実行させる事が出来たりするのだ。(ただし非常に難しいのだが)
 視界が良い場所で待ち伏せをしながら、こうして乱数を調整しながらエンカウントを繰り返し本日40体目のバンブーマンが姿を現す。
 さぁてこの子はどうかしら、と海夜が身構えるとふと今までのバンブーマンとは違う点に目がいった。
 まず見た目。今までのバンブーマンより体が大きく、猟兵を見つけるなり好戦的な態度をとっている。いやそれも大事だがそこじゃない。
 あったのだ。頭にあたる部分の横から伸びる枝の先、花が。
 二人が顔を見合わせる。
「あらぁ? これはもしかしたら…? フィオリナさん、あの子の動きは私が止めるからトドメお願いするわねぇ」
「分かりました!」
 短いやり取りをかわし海夜は何度目かの蒐集家として人格が現れれば彼女はついに見つけた高揚感を隠さずそのまま突撃する。
 バンブーマンは海夜を近づけさせまいとその大木と見紛う腕で薙ぎ払う。しかし、その攻撃は空を切るに終わり、更には海夜はその太い腕に乗るとそのままバンブーマンの腕を道代わりに駆け上がる。
「遅せぇんだよ! 」
 慌てて敵がもう片方の腕で振り払わんとするタイミングで海夜は跳躍。後頭部を蹴り上げる。
 蹴られた勢いで竹の体がそのまま数歩よたよたと前に歩を進める。かちっ。バンブーマンの足元から機械的な音がなればそのまま周りの土がめくれ上がり……いや広げられていた網が跳ね上がりそのままバンブーマンを空中へと釣り上げる。
「いまだ!」
「ええっ!業火の驟雨……食らいなさい!」
 後方で精神を集中させていたフィオリナが古の呪文を紡げば200本近い炎を纏う魔法の矢が展開される。
 矢は網から脱出しようともがくバンブーマンの体を貫き、炎の熱は身を破裂させた。
 灼熱の炎に飲み込まれ燃え始めるバンブーマンの体。花まで巻き込んだか!? と冷や汗が伝うも、上空から竹の花が舞い踊って来たのを海夜が慌ててキャッチ。
「やったわねぇ」
「ええ、これで魔王を倒す素材が揃えることが出来ました」
 ついに手に入れたレア素材の竹の花を満足げに様々な角度から見る海夜。
(これでようやく……魔王は任せたわよ、フォルセティ)
 そしてフィオリナは今この場にいない弟を思い、海夜から受け取った竹の花をぎゅっと抱きしめる。
 こうしてついに彼女たちは幻の竹の花を見つけたのだった。


 遂に伝説の武器を復活するための素材を揃えた猟兵、もとい勇者たち。
 さて、集めたはいいがこれをどうするか。素材を前に悩む猟兵たち。するとどうだろうか。竹の花、ドラゴンの角が光を放ち錆び付いた伝説の剣へと吸い込まれ――それを食らう様に炎が燃え上がる。
 膨大な熱量と光が猟兵の視界を奪う。その光はやがて徐々に収まり、目を開くとそこには先ほどの炎とは違い神々しい光を放つ白銀の剣がそこにあった。


 猟兵が持つ復活させた聖剣の姿を認めると魔王はどこか懐かしそうに見つめる。
「ふっ、その剣を再びこの姿で見ることになるとはn」
「あーーー!お前らついに来たな!」
「このゲームをクリアさせてやんないぞー!」
「ピコピコなんてしないで昔ながらのおもちゃで遊べ―!」
 けん玉、コマ、トランプの頭をした『懐かしおもちゃ三人衆』が魔王のセリフを食い気味に妨害して登場する。
 なんだか魔王が意味深で大事なこと喋っていたようだが、まぁそれはともかく魔王とオブビリオンの戦いが始まるのだった。


「いくよ、魔王この古の聖剣をもってお前たちを倒す!」
 姉はじめ猟兵が集めた素材を使い、復活した古の聖剣を持ち高らかに宣言するのはフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)。
 彼はこの戦闘の前にセーブもちゃんとしてあるのでここで何があっても大丈夫と準備万端だ。
「ふん、来い勇者! 貴様が守ろうとする物がいかにつまらない物かこの私g」
「そうはさせるかー!行くぞおまえらー!」
「おうー!」
「食らえ、俺のコマさばきー!」
 またもや魔王様のセリフ食い気味に攻撃を仕掛けてくる懐かしおもちゃ三人衆。
 コマの頭をした敵がコマ回し兵器を使い先制攻撃を仕掛けようとするが、それよりも先にフォルセティの術式が完成するのが先だった。
『星霜纏いし冷厳の天王。黄天より招くは無窮の霊氷』
 フォルセティが祈りを捧げる様に強大な魔力を持つ箒を掲げる。すると何も無かった天井から氷の塊が召喚され、そのまま敵に叩きつけられる。
「お前ら危ない―!」
 敵全体に氷塊が降り落ちる――そんなタイミングでコマの頭をしたオブビリオンは3人を突き飛ばし自身はそのまま氷の下敷きになる。まずは一体。
「……まさか我が庇われるとh」
「あーーー!コマがやられた!!」
「コマったなぁ~~~~!!!!」
「さぁ次は魔王さん、キミの番だ!」
 箒から聖剣を持ち替え斬りかかるフォルティ。彼は普段剣を使う事は無いが、その勇気に応えるように聖剣は聖なる光を発する。
「その献身見事な物である」
 魔王が一瞬だけ黙祷。そしてすぐに闇の力を宿す大剣を構えるとフォルティの方に向き直る。
「さぁ、来るが良い勇者よ!」
「いくぞ! これが最後の戦いだ!」
 同時に二人が地を蹴り光と闇の剣が交差する。
 そのまま剣戟を交えるが――魔王の一撃は前情報通り一つ一つが強力でどれか一つでも喰らえればひとたまりもないだろう。
(力じゃあ多分あっちの方が上だ…!それなら!)
 魔王が大ぶりの一撃を仕掛けるその時。受け止める様に見せかけそのまま懐に入り聖剣を突き立てる。
 聖剣は魔王の体に深々と突き刺さる。これでトドメだっ! 彼はそのまま一度距離を置き得意の技でとどめを刺そうと詠唱を始める
――そんな時だ。
「こらー! 俺らのことを忘れるなー!」
「えっ……?!」
 横から入ってきたけん遠心力を交えたけん玉がフォルティの体を抉り、吹き飛ばしたのだ。
 受け身を取るも重い一撃を食らったフォルティ。彼が起き上がるより前に魔王が動く。
 魔王がふらつきながら剣を構えれば周りの闇の魔力が集まる。剣の周りには可視化された闇がうねりをあげる。
「……受けるがいい、聖天失墜!」
 魔王が剣を上段から振るえば闇の魔力が籠った剣から闇の力の奔流が走る。
 もう駄目だ。ぎゅっと目をつむるフォルティ。そして彼はそのままなすすべもなく闇に飲み込まれ――
「そんな攻撃当たらないわよ。防げ、アイギスの盾よ!」
 ここにはいないはずの、聞きなれた凛とした声が彼の耳に届く。
「フォルティ。敵の前で目をつむってはいけないといったでしょう」 
 彼が目を開けるとそこには魔王の姿ではなく、光り輝く魔法の盾。そして見慣れた赤い長髪の――
「ね、姉さん?」
「全く……ほんとは助けるつもりは無かったのだけれどね……。フォルティ、あなたはもう少し周りを見て……」
「ちょ、今小言は聞きたくないって!」
 フォルティを助け起こしながら姉が小言交じりの説教をすれば弟がすこしぶっきらぼうに答える。
 なんだかんだ言うが弟が心配で、送り出した後もこうしてフォローしてしまうのは姉ゆえの性か。

「ふん、雑魚が1人増えたところで戦況はかわr」
「魔王様の言うとおりだー!」
「まだ僕らの方が数としては有利だからなー!」
「じゃあ私が入ったら3人ねぇ?」
「「へ?」」
 怪人たちの後ろから聞こえる妖艶な声と共に網がはね上がり怪人二人が網に包まれた。
「な、なんだこれー!?」
「でられないー!?」
「さぁ今よ。やっちゃいなさいなぁ」
「夜海さんありがとう!」
 フォルセティが精神を集中させ、今度こそ術が放たれる。
「これでトドメだよ! ……『悠久に揺蕩う無限の星屑よ。星柩満ちて此へ集うは漆黒の紅炎』」
 箒を魔王と網の中で暴れる怪人に向ければ上空からは燃え盛る巨大隕石が振り注ぐ。
「……見事なり、人の子よ。しかし光あるとこに闇g」
「ええー! 僕らの見せ場なしに終わりー!? コマはあったのにー!?」
「大人の事情とか許さないー! おぼえてろー!」
 最後までちぐはぐな魔王と怪人を今後は庇ってくれる者はおらず――3人の体はそのまま隕石に飲み込まれた。

「や、やったの…かな?」
 魔王の部屋にしばしの無音が続くと……やがて哀愁が混じりながらも穏やかな音楽が聞こえてきた。
「これでエンディングかしらぁ?」
「おそらくそうですね。隠しボスがとか言わないと良いのですが……」
「でも僕らが言われていたのは魔王を倒す事だから……ゲームクリア、僕らの勝利だ!」
 フォルセティが嬉しそうに聖剣を高らかに掲げれながら宣言すれば、聖剣は猟兵たちの今までの努力を称える様に刀身がきらりと輝くのだった。

 こうして『――伝説武器幻想物語~古の聖剣~――』の世界は無事聖剣は蘇り、魔王を倒し平和な世界を手に入れた。
 このゲームで魔王を倒し世界を救っても『システム・フラワーズ』をめぐる戦いはまだまだ続く。
 しかし今だけは。猟兵たちはエンディング曲を聴きながらこのゲームをクリアした喜びと余韻に浸るのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月10日


挿絵イラスト