バトルオブフラワーズ⑥〜フロア・ステッパー
●フロアを沸かす交通トリオ見参ッ!
キマイラフューチャーを揺るがせている大事件バトルオブフラワーズ。
オブリビオンに脅かされる全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』の元へとたどり着くには、『ザ・ステージ』と呼ばれる六つのエリアを取り返さなければならない。
それぞれに特徴のあるエリアのうち、ダンスに特化したステージの上には三種類の交通用具オブリビオン達が我が物顔でフロアを熱狂させていた。
「より速くより熱くゥ! 俺のタイヤ・ビートは止められないぜェ!」
頭部のタイヤをぎゅんぎゅん回転させながら光る床タイルを踏み鳴らすタイヤ怪人・ジェノサイド。
「おっとこっちに来るなよメーン。この一方通行は伊達じゃあないんだゼ?」
巧みなステップでひらりひらりと光る床タイルの上で舞踏を刻むのは一方通行怪人・ウェポンだ。
「あーダメですダメです。ここはワタクシの縄張りですのでヨソ行ってください」
好きなように踊るタイヤと一方通行から、自分のスペースを確保すべく手をぶんぶん振っているのは三角コーン怪人・リフレクション。
オブリビオン達は三者三様に舞い踊り、足元で明滅する光る床タイルを踏んづけていた。
●アカイクツレヴォリューション
「ようこそ猟兵、お待ちしておりました」
世界中から猟兵が集まるグリモアベースにて、グリモア猟兵のグロリア・グルッグは電脳空間を展開しながら集まってくれた猟兵達に頭を下げた。
「皆さんもご存知かと思われますが、現在キマイラフューチャーにて大規模な事件が発生しています。呼称を『バトルオブフラワーズ』とし、今回はそれについてのご説明となります」
グロリアは猟兵達に見やすいよう電脳空間を調整し一つの戦場を映し出した。
「攻略目標はここ、ダンス・ステージとなります。予知されている敵の情報もご参考までにどうぞ。特筆すべき点として、このステージには特殊なルールが課されているようです」
「特殊なルール?」
「はい。『アカイクツレヴォリューション』という特殊戦闘ルールですね。具体的にどんなルールかと申しますと……ええっと、はいこれを」
猟兵の質問に答え、グロリアは別途に展開した電脳空間の映像を切り替えた。
そこには何らかの規則性をもって明滅するダンスフロアが映されており、床のタイルが光ったり消えたりする光景が見て取れる。
「……リズムゲー、いやダンスゲーム?」
「ですね。ダンスのリズムに合わせて光るタイルを踏む、という感じです。光っていないタイルを踏んでしまったり、ダンスそのものに失敗してしまうと失格判定を受けてしまい、戦場から追い出されてしまうようです」
特殊なルールという割にはシンプルだが、オブリビオンと戦いながらとなると話は別だ。思いのほか面倒そうだと何人かの猟兵が顔をしかめている。
「ただこのルールにはメリットもあるようで、ダンスが上手であればあるほど戦闘能力が向上するようです。光るタイル重視、ダンス重視、といった感じで戦うのもありかもしれませんね。厳しい戦いが予想されますが、キマイラフューチャーを救うため皆さんのお力をお貸しください」
光るタイルのパターンやタイミングを覚える時間を十分に取り、グロリアは猟兵達を送り出した。
宝野ありか
どうも、お世話になっております。
今回はキマイラフューチャーの戦争シナリオをお送りします。
戦闘の補足を少々。
足場を意識した立ち回りをすると光るタイルをしっかり踏むものとします。
ダンスが苦手でも光るタイルを踏んでいればダンスしているものとします。
飛行はタイルを踏まないので非推奨。
戦闘エリア全体が明滅するという形なので、踏みながらの接近戦も可能です。
ダンスを意識し上手く踊ることができると判定が有利になります。
プレイングの文字数をどの行動に使ったかなども加味して判定します。
その他有効そうな技能を活用できると有利になります。
それではよろしくお願いします。
第1章 集団戦
『交通トリオ』
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POW : 一方通行怪人・ウェポン
【一方通行兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : タイヤ怪人・ジェノサイド
【タイヤ攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 三角コーン怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【三角コーン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:まめのきなこ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
高柳・源三郎
まずユーベルコード【源三郎表の顔】で旅芸人モードになり【存在感、パフォーマンス、ダンス】を強化して自分はダンス重視で二体のたぬき人形「たろう」「はな」で踊るように攻撃する。相手の攻撃の手が緩んだ時や敵に隙が生まれた時は「たろう」・「はな」で光るタイルを踏み自信を強化する。三匹のたぬき(本当は人と人形なのだが)の一糸乱れぬコンビネーションダンスで相手を翻弄しつつ攻撃する。
交通トリオが待ち受けるダンス・ステージに一人の猟兵が躍り出た。
「ほほう、こいつが光る床ってやつじゃな? ほい、ほい、ほいっと!」
柔和な表情を赤らめながら高柳・源三郎は軽快な身のこなしで明滅するタイルを踏みつける。わずかに酒気を漂わせた源三郎は、来る前に一杯引っかけてきたのであろう腰元のどぶろくをお供にステップを刻む。
「なるほどこいつは愉快愉快! わしの本業は旅芸人じゃ、どぅれちくっと舞でも披露しようかの?」
戦場に鳴り響くビートに身をゆだね、ご機嫌な様子で源三郎は二体のたぬき人形『たろう』と『はな』を繰り出した。
「たろうさん、はなさん、こらしめてやりなさい! なんつってな、わはは!」
ダンスを重視した源三郎の舞は軽妙で、確かな足取りで光るタイルを踏むだけに留まらず身振り手振りを即興で振り付ける。
そのダンスに魅せられたフロアは熱狂の渦に包まれ、源三郎はビートに後押しされるような感覚と共に自身の戦闘能力が高まるのを感じた。
源三郎の指先から繰り出される二体のたぬき人形にも効果は表れ、たろうとはなはまるで生きた狸であるかのように光るタイルの上を駆け抜ける。
卓越した人形遣いの指先は時として現実を凌駕し、命なきものに生命の息吹を吹き込むという。源三郎という主に操られた二体のたぬき人形は、人形とは思えない迫力でもってタイヤ怪人を左右から挟撃した。
「なんのこれしきィ! 俺のタイヤの餌食にしてやろゥ!」
タイヤ怪人は頭のタイヤを高速回転させ、襲い掛かるたぬき人形を迎え撃つべく頭を振り乱した。
ぎゅんぎゅんと唸りを上げるタイヤの回転は、しかし空しく空を切るのみ。
たろうとはなは寸での所でタイヤをかわしタイヤ怪人を翻弄した。
焦りを見せるタイヤ怪人だが、一たび回りだしたタイヤの高速回転が仇となる。
「ッ、しまッ――!」
勢いよく頭を振り回していた反動か、光るタイルの上でたたらを踏むタイヤ怪人。
好機到来。
源三郎の目が鋭く光り、たろうとはなを繰る指先が疾風の如く舞い踊る。
「すまねぇな、こいつでお仕舞だ」
不思議なたぬき人形『はな』と暗殺用たぬき人形『たろう』の左右同時攻撃が、一撃のもとにタイヤ怪人を打ち破った。
成功
🔵🔵🔴
天翳・緋雨
ここがキマイラフューチャー…。どうも他の世界とは雰囲気が違うね
でもダンスは共通言語!パフォーマーとして怪人を倒すよ
ユーベルコードは【陽炎】を
タイヤ攻撃を見切って転移しつつしっかりと光るタイルも踏んでいこう
意識する技能は【ダンス】【パフォーマンス】【ダッシュ】【ジャンプ】【フェイント】【見切り】【残像】
踊りながら闘うという事だけれど、敢えて攻撃はせず回避しながらのダンスとパフォーマンスに力を注ぐよ
フェイントや残像で怪人に的を絞らせないまま観客を魅了する動きをしていきたい
もし翻弄したまま踊り続けることが出来たならきっと怪人すら振り付けに巻き込んだ様な立ち回りが出来るハズ
そんな風に戦えたらいいな
明滅するフロアの光るタイルを興味深そうに踏みながら、天翳・緋雨はキマイラフューチャーという一風変わった世界を肌で感じていた。
「ここがキマイラフューチャー……。どうも他の世界とは雰囲気が違うね」
緋雨の降り立ったステージは確かに戦場であるはずなのに、場を取り巻く要素が風変りに過ぎたのだ。
吹き荒ぶ風は血と死の臭いではなく沸き立つフロアの熱狂を伝えてくる。鳴り響く音は阿鼻叫喚の地獄絵図ではなく心を奮い立たせるビート。何より足元に広がるのが屍山血河ではなくテンポよく光る床なのだ。
これを不思議と思うのは至極まっとうな感性だろう。
「まぁでも、ダンスは共通言語! パフォーマーとして怪人を倒すよ!」
気分を切り替えた緋雨はユーベルコード・CODE【陽炎】を発動し短距離転移モードに移行した。
光るタイルの明滅にタイミングを合わせて緋雨はタイヤ怪人との距離を詰める。
「むむゥ、何と奇怪なステップだァ! だが俺のタイヤ・ビートの敵ではなァい1」
転移するごとに華麗なダンスを披露する緋雨にタイヤ怪人が襲い掛かる。
だが巧みなフェイントによって生まれた残像に翻弄され、タイヤ怪人の猛烈なタイヤ攻撃が緋雨に届くことはない。
「さぁここからだよ! ボクとキミで、大いにギャラリーを沸かせようじゃないか!」
タイヤ怪人が踏み込んできたのをダンスの一部として取り込み、緋雨は即興即席のダンス・セッションを敢行した。
自らの攻撃によって体勢を制御できないでいるタイヤ怪人を誘導し、唸りを上げるタイヤの高速回転を紙一重で交わしてみせる緋雨。
その攻防は戦いでありながら踊っているようにも見え、ハイレベルな次元で行われる戦闘演武に魅せられたフロアが過熱していく。
隙をみせるタイヤ怪人を攻撃しようと思えばできただろう。猟兵とオブリビオンの関係であればそうなるのが必然かもしれない。
しかし緋雨はあえて攻撃せず、フロアとギャラリーを沸き立たせることを良しとした。
そのパフォーマーとしての決意が緋雨自身をも奮い立たせ、大空に届かんばかりの歓声と熱狂がステージを席捲することとなった。
成功
🔵🔵🔴
高鷲・諒一朗
ダンスなら任せてくれよお、ってなあ!
うなれ俺のこの長い脚!
スカイダンサーの真髄を見せてやらあ!
さて! こういうダンスゲームは、十八番ってほどプレイしてるんでなあ
大船に乗った気持ちで任せてほしい!
戦局は若者向けに最近人気のアーティストの曲をチョイスするより
どんな世代にもなじみのある曲にしたほうが大衆受けはいいだろうなあ
長い四肢を使って腕の振りや体のひねりも加え演出しつつ
危ないところは「スライディング」で咄嗟に踏みつつ
とにかく楽しく! 見栄えも考えて! しっかり最後まで踊りきるぜえ
ここぞというときに攻撃できそうなら
『スカイステッパー』で蹴り上げるぜえ!
天を衝くような熱狂渦巻くダンス・ステージに新たなる表現者が現れた。
彼こそはミルザム――先を行くもの。人狼の猟兵、高鷲・諒一朗は自らに宿る星の名に相応しい輝きと情熱でもって明滅するフロアに挑む。
「ダンスなら任せてくれよお、ってなあ! うなれ俺のこの長い脚! スカイダンサーの真髄を見せてやらあ!」
しなやかな四肢を魅せつけギャラリーのハートをがっちりと掴んだ諒一朗。
一流のダンサーは踊っていなくとも人を魅了し、諒一朗もまた何気ない所作だけで人目を惹きつけてみせた。
思った以上にギャラリーの反応がアツいのは先立って活躍した猟兵の仲間達の戦いあってこそだろうか。
ノリの良い会場に気を良くした諒一朗は、さらに場をアツくするべくミュージックナンバーをリクエストした。
「ヘイDJ! 往年のヒットナンバーを頼めるかい!」
諒一朗のリクエストにどこからともなくOK! という返事が生まれ、ステージに流れていた曲が変更された。
それはかつてキマイラフューチャーを席捲した大ヒット曲。大人から子供まで幅広い世代に愛され、今なおカバー曲で歌ってみたが作られる不朽の名曲だ。
耳に心地よいメロディを楽しみながら光るタイルを踏みしめる諒一朗は、わずかにタイルの光り方が変わっていることに気が付いた。
しかし諒一朗は焦らない。
――こういうダンスゲームは十八番ってほどプレイしてるんでなあ!
光り方のタイミングが変わろうと光ったタイルを踏めばそれで良かろうなのだ。
ゲーマーとしての嗅覚で次に光るタイルを先読みし、情熱的なダンスを魅せながらステージを駆け抜ける諒一朗。
タイヤ攻撃の唸りを上げて待ち構えるタイヤ怪人との距離は瞬く間に埋まり、ついに同じタイルの上で激突した。
諒一朗は高速回転しながら振り回されるタイヤ攻撃を、低姿勢からのスライディングで華麗に回避する。怪人の足元へと滑り込んだ諒一朗は宙返りを打ち、空を駆ける技で渾身の蹴りをお見舞いした。
成功
🔵🔵🔴
ハロ・シエラ
正直な所、突然世界が二つに割れたりして理解が追いついていません。
まぁ……キマイラフューチャーですしね。
ダンスと言うのも私のガラではありませんが、格闘技を学んだ時に一緒に覚えさせられた技術があります。
ここで試してみるのも悪くないですね。
まずは【学習力】でタイルの光り方を覚えます。
本番では【ダンス】しながら【フェイント】を織り交ぜて【グラップル】で戦う事になりそうですね。
敵の攻撃は【第六感】で光るタイルの方に飛びながら回避したい所です。
とにかくタイルを足で踏み、逆立ちして手で押し、ユーベルコードで蹴りつけます。
帽子や上着は取ってしまってもいい。
とにかくリズムに乗りつつ隙を伺いましょう。
沸きに沸くダンス・ステージに足を踏み入れたハロ・シエラは、心なしか周囲の状況に付いて行けていないような表情を浮かべていた。
(正直な所、突然世界が二つに割れたりして理解が追いついていません。まぁ……キマイラフューチャーですしね)
別世界であるダークセイヴァーに生まれ育ったハロからすれば、世界が二つに割れるなど天変地異も甚だしいし、なのにこうしてダンスバトルのギャラリーとして熱狂できる住人達は正直理解できない思いであった。
それはそれとしてハロは気持ちを切り替え戦いに集中する。
戦の常道とは『見』にあり。情報を制するものが勝利するのだ。
ハロは持ち前の学習力を存分に発揮し足元で光るタイルのパターンを解析した。
ダンスと言われるとガラではないという思いが先立つハロだが、格闘技を学んだ際に身体の動かし方を教わっている。
専門的な振り付けを知らずとも、優雅かつ見栄えがする動きというものはあるものだ。
それを実践してみるのも悪くないなと、ハロはステップを刻み始めた。
「こうかな……よし、行こう!」
床の光るパターンをあらかた覚えたハロが走り出す。
右に左にと危なげなくタイルを踏み抜け、飛び地となったタイルには飛び込み手を付くことで判定をクリア。そのまま腕の力だけで跳躍を続行させたハロのパワーダンスに会場が大きく沸いた。
自分の身のこなしに対して観客が沸くという稀有な体験。
無自覚な高揚がハロを昂らせ、熱気に当てられたように帽子を脱いでいた。
長い黒髪が空にたなびくと会場は更なる熱狂へと加速していく。
雷鳴のように浴びせられる歓声とダンス・ミュージックのリズムに身を任せ、ハロはついに敵であるタイヤ怪人を射程圏内に捉えた。
ハロの速度に圧倒されたタイヤ怪人が苦し紛れにタイヤ攻撃を繰り出すも、タイヤは空しく空を切る。
研ぎ澄まされた第六感で敵の攻撃を予測したハロは反撃に転じやすいタイルへと飛び込んで態勢を整えていた。
「その隙、もらいました!」
ハロより放たれた高速のスネイクバイトが、無防備なタイヤ怪人を完膚なきまでに蹴り飛ばした。
大成功
🔵🔵🔵
ハルカ・ラグランジュ
光るタイルを踏むゲームなんてダンスとは言いたくないけれど、それがルールなら仕方ないわね。
とはいえ、【ダンス】【パフォーマンス】で可能な限り魅せる事を意識するわ。
観客が居る限り手を抜くことは、私のプライドが許さないから。
アナタたちもステージに立つなら、観客を魅了するアクションの一つも見せてごらんなさい。
攻撃に割く意識は極力減らしておいた方がよさそうね。、UC「散るが故に」のみにとどめるわ。
…こんなのダンスじゃないと言っておきながらなんだけど、結構楽しいわねコレ。
※アドリブ・連携歓迎
「光るタイルを踏むゲームなんてダンスとは言いたくないけれど、それがルールなら仕方ないわね」
ダンス・ステージを取り巻く熱狂とは裏腹に、やれやれといった様子でハルカ・ラグランジュが舞台に上がった。
アーティストを志すハルカは表現者として観客を魅了することに余念がない。
どのようなステージであれ観客が居る限り手を抜かないのがハルカのプライドだ。
そんなハルカだからこそ、敵である交通トリオが自分勝手に踊り狂っているだけの現状に物申す。
「アナタたちもステージに立つなら、観客を魅了するアクションの一つも見せてごらんなさい!」
ビシっと決めたハルカの口上をマイク・パフォーマンスと受け取ったギャラリーが新しい展開に食い付いた。
気ままに踊るだけの怪人のダンスと違ってハルカの舞踏は洗練されており、場に流れる楽曲に合ったダンスを披露する。
床のタイルは音に合わせて光っており、ハルカにしてみれば次にどのタイルが光るかなど考えるまでもない。
「何ですかアナタ猟兵ですか。ここはワタクシの縄張りですよ、邪魔しないでくれませんか」
ハルカのダンス・パフォーマンスに反応した三角コーン怪人が三角コーンを構えて威嚇してくる。
三角コーン怪人はハルカもまた距離を詰め、格闘戦を仕掛けてくるものだと思っているのか迎撃する作戦のようだ。
(攻撃に割く意識は極力減らしておいた方がよさそうね)
しかしハルカの思惑は怪人の予想を上回っており、ダンスを意識しつつ立ち回る作戦が功を奏した。
「――その目に焼き付けなさい。限りある者の美しさを」
ユーベルコードを発動したハルカの周囲に無数の散りゆく花の花びらが舞う。
自身の装備する武器を無数の花びらへと変えて操る『散るが故に』だ。
ハルカは散りゆく花の花びらをステージ上に舞い狂わせ、三角コーン怪人を攻撃対象と認定した。
「な、なんですとー!?」
殺到する無数の花びらが三角コーン怪人を細切れに切り裂いた。
「……こんなのダンスじゃないと言っておきながらなんだけど、結構楽しいわねコレ」
光るタイルを踏みながら踊るという、いかにもゲーム的なルールだったが実際にやってみると意外に楽しかった。
こういうのも悪くないわね、と思いながらハルカは敵が倒れるまでダンスを披露し続けるのだった。
成功
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山梨・玄信
キマイラフューチャーらしいというか…妙な戦場じゃのう。
【SPDを使用】
ゲームのルールには従うのが道理じゃ。穴があればそこを突くのも手じゃが、今回は必要無さそうじゃの。
足さばき重視で挑むぞい。
第六感と見切りと情報収集でパネルの光る場所を予想し、軽快にステップを踏むのじゃ。
敵の攻撃はオーラ防御を全力展開して、激痛耐性で耐えるぞい。
ステップを踏みながら、敵が射線に入ったら気弾を2回攻撃でぶち込んでやるのじゃ。敵が固まっていたら、範囲攻撃も使うぞい。
「踊りながら戦う…かなり無茶な要求じゃのう。攻撃と回避にマイナス修正が入りそうじゃ」
こういう時は遠距離攻撃が頼りになるのう」
アドリブ歓迎じゃ。
激闘に次ぐ激闘、猟兵達の華麗なるダンスに心を鷲掴みされた会場のギャラリーが熱い歓声を山梨・玄信に浴びせかけた。
自分達の住む世界が真っ二つに割れたというのに、悲観するでなく嘆くでもなく、猟兵というヒーローの戦いを間近で見れることの方が大事なようだ。
そういったキマイラフューチャーの人々からの応援に応えつつ、玄信は改めてゲームのような戦場に乗り込んだ。
「キマイラフューチャーらしいというか……妙な戦場じゃのう」
踏まなければいけない光るタイル、会場に鳴り響くダンス・ミュージック。
特殊なルール設定やらギャラリーの存在などなど、まさにキマイラフューチャーらしいとしか表現のしようがない戦場である。
だがルールが設定されているのならゲームのルールには従うのが道理。穴があればそこを突くのも手だが、今回は必要無さそうだと玄信は判断した。
あえての正攻法でオブリビオンの企みを打ち破る。王道と呼ばれる戦い方を選択した玄信にギャラリーは魅了されていた。
玄信は第六感をフル稼働して足元のタイルが光るタイミングを見切り、同時に情報収集することでパターンを作り上げる。
玄信の刻む軽快なステップは練り上げられた体術に由来するものであり、無駄のない洗練された動きが見る者の目を釘付けにしていた。
右に左にタイルを踏みながら敵との間合いを詰めようとする玄信に交通トリオ怪人達からの様々な攻撃が放たれる。その攻撃を高出力で展開したオーラのバリアで防ぎつつ、玄信はまっすぐに前進した。
被弾。だが耐えられる。被弾。痛みには慣れている。
玄信は止まらない。
「むっ、そこじゃ!」
敵の攻撃をオーラ防御で防いだ玄信が攻勢に転じた。
刹那の如き一瞬で二発の神聖気弾が放たれ怪人達の連携を打ち崩す。
「ちィ! ヤバい! 何だか知らんがこの弾はヤベぇぞ!」
撃ち込まれた神聖気弾にただならぬ脅威を覚えた怪人が悲鳴を上げた。
再生を封じる効果を持つ気弾の恐ろしさを、身をもって学習してしまった怪人達はもはや連携も何もない。
玄信は敵を一ところにまとめようと神聖気弾をバラまいていく。
「踊りながら戦う……かなり無茶な要求じゃのう。攻撃と回避にマイナス修正が入りそうじゃ。こういう時は遠距離攻撃が頼りになるのう」
光るタイルを踏む必要があるため、どうしても攻撃や回避に制限がかかる。
ゲームとしてはその不自由さが楽しいのだろうが、これが実戦だと思えば楽しさよりもやりにくさが勝ってしまう。
だからこそ玄信は足さばきを重視する作戦を立て、遠距離から敵を攻撃することにしたのだ。
作戦は正しく機能し敵である怪人達をついに窮地へ追い込んでいく。
「こいつでトドメじゃ! はぁっ!!」
射撃による誘導で一か所にまとめられた怪人達に向け、玄信の神聖気弾が叩き込まれた。
発射速度は速く、弾数は膨大。
辺り一面を制圧するショットガンのような範囲攻撃が怪人達をハチの巣にした。
こうしてダンス・ステージを占拠していたオブリビオンは一掃され、戦況は猟兵の有利へと傾いていく。
キマイラフューチャーを取り巻く戦争はまだ続くだろう。
だがこの戦場は、猟兵達が勝利したのであった。
大成功
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