バトルオブフラワーズ③〜キマイラ武闘伝
●ステージ、タワーダイセンリャク
巨大な頭の集団が走る。
彼等の名は大頭頭ズ、武に道を求め、仮面を被りし拳鬼怪人。
頭に鳥を乗せて走る怪人が地を跳躍する。
鳥は空を飛ぼうと羽ばたくが、一向に頭から離れない。
鳥が飛ぶ為に込めた力を自ら脱力する事で吸収しているのだ。
もう一人の怪人が池を走り答える。
いや、水上ではない。彼は水面に浮かぶ葉の上を走っているのだ。
彼等の名は大頭頭ズ。
武に道を求め、仮面を被りし拳鬼怪人。
その拳でキマイラフューチャーの未来を断つ!
●グリモアベース
「みんな、ライトニングにリングを作るぞ!」
グリモア猟兵、雷陣・通(ライトニングキッド・f03680)は開口一番、リングの設営を呼びかけた。
「今回、俺が予知した場所は『タワーダイセンリャク』という特殊戦闘ルールが適用されるんだ! オブリビオンに対して防衛準備を整えて防衛しなければならない」
ここで少年は拳を握った。
「だけど、俺が予知した相手は大頭頭ズ! 頭はデカいが武術に優れて……そして『武の心』っていう何かを持っている。こいつを持つ者はリングや土俵、道場などで一人で待ち受けると、本能に抗えず一人で挑んでくる。それをタイマンでぶっ倒すんだ!」
グリモア猟兵が時計を弄ればゲートが開かれる。
「だけど、気をつけて! 奴らは俺達と同じ強さを持っている! 気をつけて兄ちゃん達! そして終わったら、俺にどんなやつだったか、話を聞かせて欲しいな」
みなさわ
猟 兵 対 怪 人 一 本 勝 負 !
どうも、みなさわです。今回はキマイラフューチャーで本格格闘シナリオです。
コンビとかは有りません、皆さん一人ひとりで怪人とバトルです。
●防衛施設
リングや土俵、道場などを作れば、怪人の『武の心』が刺激され、一人で突入してきます。
そう言うのがない、防衛施設は集団で破壊されると思って下さい。
凝りすぎてもプレイングが大変なので、程々で。
●大頭頭ズ
怪人で有りつつも武の道に人生を捧げ過ぎた悲しき怪人です。あなたが武器を持っても彼らは拳で立ち向かうでしょう。
なお、みなさわのマスターページにアドリブ度などの便利な記号がございます。よろしければご参考下さい。
第1章 集団戦
『大頭頭ズ』
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POW : x形拳
【様々な生物や機械、自然現象等を模した拳法】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : i極拳
【健康体操のようにも見える連続した攻撃動作】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : n卦掌
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【大地の中を走る気の流れの噴出点(龍穴)】から排出する。失敗すると被害は2倍。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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●『武の心』此処にあり
「これは……」
大頭頭ズの一人が呟けば、怪人達の殺気が漲る。
「面白い、一人で我等と戦うというのか? ならば武人の礼として、我等も一人ずつ、拳を以て返礼せん!」
怪人達が走りだした。
彼等の血が……鬼が……騒いだ。
シエラ・アルバスティ
◎●
さて、まずは歓迎の施設作りからですね
まずは土台を作らないと
ホームセンターっぽい所から丈夫な木材を購入
釘を使用しない高度な木像技術を駆使して舞台を作り上げる
簡易な雨除けも設置!
最後に『う"ぁれすてぃ道場』と書かれた大きな木製の看板を作って取り付けます
何ですかこの労力
そして挑戦者を待ち続けます……
「良く来てくれましたね! 良かった、来てくれて本当に良かった…」
来てくれて救われた気持ちになりますね
「私に勝てたら豪華賞品を差し上げますよ!」
縄で縛ってぶら下げた海王剣『カッツォ・タタキ』
【人狼咆哮】を放ち戦闘開始
残像、第六感、ダッシュを駆使した動きで敵を翻弄
【穿孔滅牙】を拳に乗せて一撃必殺を狙います
●勝負、一番目
それは古代から伝わる日本建築の匠であった。
継手にて木を繋ぎ、仕口にて囲いを作る。
簡素な雨除けが建物の巧みさと相反し異彩を放つ、その場は『う"ぁれすてぃ道場』
シエラ・アルバスティ(調停者・f10505)は中で正座すると、来るべき者を今か今かと待ち受けていた。
「御免」
一人の大頭頭ズが靴を脱ぎ、道場へと入っていく。
「良く来てくれましたね! 良かった、来てくれて本当に良かった……」
来訪者の到着にシエラは胸をほっと撫でおろし、その場に立ち上がる。
「お主が儂の相手をしてくれるのか?」
平穏だがその奥にはいつ刃を抜こうかと狙う餓狼の問いに人狼は頷き。
「私に勝てたら豪華賞品を差し上げますよ!」
と、天井に吊るされた海王剣『カッツォ・タタキ』を指さした。
「……御免」
怪人が踵を返して帰ろうと背中を向ければ。
「まってください~! 戦う気はあるんですから!」
シエラが食い下がる。
大頭頭は嘆息しつつも、改めて彼女に向き直り。
「では、拳を以ってお相手いたす、アレは……お主が持ち帰れ」
腰を落とし、膝を曲げ、掌を伸ばす様に構える。
「儂にとっては一拳の仕合こそが馳走。良きもてなし期待する」
怪人の姿をした、狼がそこには居た。
人狼の咆哮が道場内へ響いた。
本性たる人狼の力を開花すればシエラが突進、大頭頭の研鑽した套路から繰り出される、金行に例えられし劈の掌が彼女の頭を打ち据えんとすればその姿は霞となって消え、更なる間合いを詰め懐に潜り込んだ人狼が腕を振るう。
その腕を餓狼の腕が落とし滑りこむ様に繰り出し、半歩進めば、流麗な掌が少女の顔を撃つ!
「――ッ!」
声も無く、仰け反るシエラに続くのは膝を打ち抜く蹴り、そして踏み込みと共に打ち込まれる直拳。
「残像を活かし、狼が如く襲う技法、見事――だが!」
やられまいと彼女が伸ばした拳を掌で押さえて、下に引き下げれば顎先をカチ上げる掌底がシエラの脳を揺らす。
「その動きに目的無ければ、ただの獣……立て、少女よ! 主が秘めし、必殺拳! そこへ至る道を作り、拳を我が腹へと決めてみせい!」
ひますたー4号と名付けられたハムスターが道場の隅で見つめる中、人狼は立ち上がる。
脳は揺れ、足に力は入らないが、来訪者へ失礼があってはいけない。その為に道場を作った、その為に武器を賞品として献上した。
――だからこそ、大頭頭の言葉が魂を揺らした。
人狼の動きに変化が出た。
先程のような直線的な軌道でなく、周囲を伺うように回り、そして獲物を狩らんする狼の動き。
長き静寂の後、獣の様に飛び掛かるはシエラ、怪人の手刀が首を断たんと空を裂く。
視聴嗅味触――それ以上のもう一つの感を以ってその手刀を回避すれば、繰り出すのは単純で重い突き一つ。
「見事!」
見上げれば大頭頭の拳が少女の視界を塞いだ。
闘気が爆発し、余波で道場の床が割れた。
土煙が舞う中――立ち上がる者はいなかった。
――両者引き分け。
成功
🔵🔵🔴
カナ・リーアス
【心情】1対1の勝負!燃えるんだよー!私も鬼の血が騒ぐよー!腕がなるんだよー!
【作戦】軽く紐か何かで土俵を作り待機。腕組みして敵が来るのを待つんだよー!「よく来たんだよー!私と相撲するんだよー!」敵が来たら相撲のように構えて敵に向かう。そしてヒップドロップを食らわす「相撲は相撲でも尻相撲なんだよー!」
敵の攻撃は【見切り】と【衝撃波】でなるべく防ぐんだよー!
【アドリブOK】
●勝負、二番目
土俵代わりに紐をただ円形に回して作った闘技場。
腕を組んで相手を待つカナ・リーアスの血は燃えていた。
それは一対一ゆえか、それとも羅刹の性なのか?
そこへ大頭頭ズにしては巨漢な男が土俵へ上がった。
「よく来たんだよー!私と相撲するんだよー!」
土俵際で蹲踞で待ち受ければ、カナは土俵へと拳を押し付ける。
それは相撲における立ち合いの姿だった。
「すまぬが相撲は知らぬ故、拳で相手をする無礼を許していただけるとありがたい」
巨漢の怪人は腰を落とし、拳を握って待ち受ける。
勝負が始まりつつあった。
八卦良し、発気揚々、言葉に色々と字を当て、意味を探ろうとした掛け声があった。
それは相撲の始まり。
行司が発する一言。
「はっけ……」
「よい!」
カナと怪人、お互いの声が重なり、双方が大地を蹴って自らの間合いへと持ち込む。
突如、羅刹が背を向けた。
「相撲は相撲でも尻相撲なんだよー!」
飛び上がれば、高く飛んで落下する重量感のあるヒップアタックが大頭頭の顔にめり込む。
「いきなり尻相撲とは卑怯とは言わない――だが!」
羅刹の腰に怪人の腕が回されれば、大頭頭がその身を捻り、カナの背中から頭にかけて大地へと叩きつける!
「そのまま受けてやる道理も無し!」
「あぐっ!」
声にならない声を上げ、羅刹の少女は頭を押さえる。一方、怪人の方もその大きな頭にかかった尻の荷重で首を痛めたのか、首根元を抑え膝を着く。
もし、ただの集団戦なら一撃で倒れていただろう。
だが今回の相手は自分達と同じ力量。
故にいきなりの大技で楽に倒れるわけがなかった。
相撲のスタイルからヒップアタックへ移行するのも災いした、隙も何も伺わずに相手に背中を見せて飛ぶなら、当然相手は警戒する。
ユーベルコードだからこそ、両者痛み分けに終わったが、何か間違っていたら勝敗は決していただろう。
だが、戦いはまだ続く。
お互い、倒れては居ないのだから。
カナが衝撃波を放ち、大頭頭と自分の間合いを離す。
もう一度ユーベルコードを決めるには距離が必要な上に、迫られたら象形拳が待っている。
怪人が脱力した姿勢で掌を開けば衝撃波がその手に掴まれ、受け流される。
巨漢の後ろで龍穴から衝撃が噴出し、土が舞い上がった。
「奮!」
脱力した状態から踏み込み放たれる、虎の動きを模した巨漢の双掌。
ギリギリのタイミングでカナが見切れば、相手の肩を踏み跳躍。再びヒップアタックを見舞わんとする。
「同じ手か!?」
見上げた怪人が足を交差し、その場から円を描くように離れる。
落下に身を任せる技故、方向転換は難しい。大頭頭が既に去った場所へ羅刹の重量感のある尻が落下した!
見知った技故避けられた、カナの一撃が土俵を破壊する中、立ち上がろうとする少女の腹に巨漢の掌が撃ち込まれる!
「あの一撃、見事だった……次はもう一手、刃を持ってきなさい」
薄れゆく意識の中、怪人の声が聞こえた。
――敗北。
苦戦
🔵🔴🔴
ステラ・ハーシェル
◎
一体一の真剣勝負……良い響きだ。機械になろうが、私もまた武人と言う事か。
リングにはガソリンや灯油で円を作る。私のその中でバイクに跨り、瞑想をしながら武人として猟兵としての【覚悟】をより強固に持つ。
「騎上より失礼する……私の名はステラ・ハーシェル……」
円内に入ったのを感じたら名乗り、リングにライター等で火を放つ。名乗られたら名に関わらず、武人として心に刻む。
「いざ……尋常に」
【殺気・恐怖を与える】を放ちながら瞑想終わらせ【巨星権限】を発動する。強化されたスピードと反射速度による【騎乗・残像・ジャンプ】で3次元的な動きをし【見切り】で回避、【フェイント・早業】による剣戟で攻撃する。
「参る……!」
●勝負、三番目
機械油脂の臭いが鼻に付く。
そんな何もないフィールドにステラ・ハーシェル(蒼き星雷・f00960)がヘール・ボップと呼ぶ二輪の馬に跨って、来訪者を待っていた。
一見何もない所へ猟兵を狩らんと大挙する大頭頭ズ。
だが彼らも油の臭いで全てを悟り、『武の心』に従い一人を残し別の戦場へと消えていく。
「騎上より失礼する……私の名はステラ・ハーシェル……」
「大頭頭、名は武の道へ進んだ時にもう捨てた」
一人近づいてきた大頭頭ズへと名乗れば、怪人は自らの名を捨てたことを告げ。
「……そうか」
サイボーグの女は無名の拳鬼が名を捨てて打ち込んだものへ、ただ呟き、自らの心に刻む。
その一言だけで油の臭いが晴れた気がした。
けれど……それは少しの時間だけ、鼻腔を刺激する臭いに二人は現実に戻り、互いを見る。
「いざ……尋常に」
ステラがオイルライターに火を灯し、大地へ投げれば、炎が舐めるように土を這い、真円状にバトルフィールドを作る。
「――勝負!」
拳を握った大頭頭が大地を蹴り、サイボーグの武人へと迫った。
「――行くぞ!」
殺気と恐怖にみなぎらせた目を開き明鏡止水の心で精神の泉を見れば、その現身は幾千もの未来が一つを得て、バイクのスロットルを解放。二輪を跳躍させることで怪人の拳を回避する。
極限に迫る速度と反射力を得るユーベルコード『巨星権限』
その力の代償はこの姿に至る未来への道筋。
流星の如き跳躍から音もなく着地すれば、再びアクセルが捻られエンジンの回転数が上がり、180°ターン。
ペルセウスの最も明るい星の名を授かった日本刀一振りを片手に抜刀騎乗突撃を敢行する。
拳鬼の拳が開かれ、掌となれば、その腕は柔らかく鞭の様に動き、サイボーグが振るう一振りを待ち構える。ステラの日本刀を大頭頭が打ち落とそうとしたときだった。
「――!?」
彼女の右手がアクセルを緩めたことでバイクの加速が止まり、タイミングがずれ、大頭頭の腕が空を薙ぐ。
そのタイミングをサイボーグは見逃さなかった。
スロットルが再び解放され、二人は錯綜!
怪人の右腕からおびただしい出血が流れ――。
「フレームを……やられた!?」
バイクのフレームが歪むほどの打撃により、狂ったアライメントが愛馬を暴れ馬へと変え、ステラは制動に意識を集中する。
そこへ怪人が跳んだ。
拳、肘、掌、膝、蹴!
次々と繰り出される攻撃を引き上げた反射神経で見切り、暴れ馬を動かしながら上体を必死に捻る。
大振りの手刀を掻い潜り、アクセルを解放すればバイクは背を向け疾走。
炎の壁を目の前にターンを決めて、ステラは再び怪人へと対峙する。
「バイクを降りる……いや」
彼女の頭に一瞬だけよぎった考え、だが首を振って雑念を消す。
馬を降りて、相手の動きについていける保証など目の前に拳鬼相手に無いからだ、ならば――。
アクセルスロットルを何度も煽り、バイクの回転数を上げていくステラ。
対するはカウンターの一撃を叩きこむ為に腰を落とす大頭頭。
むせかえるような炎と臭い、マフラーから吼える鉄の馬の咆哮。深く、ゆっくりと息を吐く怪人の息吹。
全てが無になる瞬間が――生まれた。
動くのはステラ、暴れる挙動を抑え込み急加速からの突撃。
迎え撃つ拳鬼、半歩踏み込みから放たれるは火が如き拳である崩!
大頭頭の左拳がバイクのライトを砕き、ステラの胸を打ち。サイボーグが振るう日本刀が怪人の左肩を貫く。
「お……おおおおおおお!」
女の咆哮が――上がった。
激痛が体中に伝わる中、ステラがアクセルを捻れば、バイクは大頭頭を連れて炎の壁へ。
「死ぬ気か!?」
「生きるさ!」
怪人の問いに猟兵が答えたとき、二人の姿は炎の中に消えた。
――引き分け。
成功
🔵🔵🔴
火守・かこ
◎
いいねぇ武芸一辺倒のオブリビオン!そういうの大好きだぜ!
骨のあるやつばかりみてぇだし、ここは一つ楽しませてもらおうじゃねぇか!
まずは辺りの廃材で柵を作る
そして柵を使って四方を囲んだら、良し!簡易だがリングの完成ってな!
一人分が入れるくらいのスペースだけ開けておいたら、後は敵が来るのを待つぜ
敵が来たら、そこからは何も考えねぇ。どっちが先に倒れるかの殴り合いでタイマン勝負だ!
もちろん相手が素手で来るってんなら、こっちも素手で挑む。
【護法・火天舞闘】で腕と足に炎を纏って、あとは自慢の【怪力】を駆使してオブリビオンをぶっ飛ばす!
敵の拳法も強力だろうが、いくら打ち込まれたって気合で耐え勝ってみせるぜ!
●勝負、四番目
廃材を原料に四角く囲った柵の中で火守・かこ(戦好事家・f15141)が享楽を待ち受ける。
柵を跳び超え、一人の大頭頭ズが舞い降りた。その佇まいは獲物を狩る虎の如し。
「いいねぇ武芸一辺倒のオブリビオン! そういうの大好きだぜ!」
自らの掌に拳を打ち付けながら、かこが相手を睨む。
「武を好むか……奇遇だな、俺もだ」
虎が笑ったように聞こえたのは気のせいだろうか?
「そうか? じゃあやろうか? どっちが先に倒れるかの殴り合いでタイマン勝負だ!」
「先に倒れるか……分かりやすくていいな」
大頭頭が拳を握れば、妖狐は手足に炎を纏い、互いに構えた。
お互いの拳と拳がぶつかり合い、歯が折れ、仮面がひしゃげた。
小細工などなかった、技などいらなかった。
ただ、両の拳を握って殴り、そして蹴る。
狐の蹴りが腹を穿てば、虎の蹴りが顎を打ち抜く。
相打ちに二人がたたらを踏み、距離が出来れば、再び踏み込んで拳のぶつかり合い。
ゴッ!
鈍く、重たい音が骨に響き、両者の目の奥に火花が散る。
五行が拳、十二の象形、大頭頭には殴り合いを制する技術があった。
けれど、それはどうでもよかった。
相手が炎と膂力を以ってただ殴り合うなら、こっちは磨いた拳を単純に振るってみたかった。
武と言うには児戯であるかもしれなかった。けれど本能が――心が、踊った。
狐にとってはいつもの事だった謀など苦手だ計算など好まない。
ただ、ただ拳を振るいたかった。戦いの享楽と言う酒に酔いたかった。
二人の顔がみるみる変わる、かこの頬は腫れあがり、こめかみには痣が出来る。大頭頭の頭はひしゃげ、砕かれ、中の何かが見えそうであった。
「いけるか!」
女が問えば。
「応よ!」
男が答える。
ならばと狐と虎が踏み込めば、お互いの水月に拳を捻りこむ。
――ややあって、倒れたのは怪人。
そして立ったのは猟兵。
それで充分だった。
――勝利。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
◎
星が二つに割れようと騎士としてやるべきことは変わりません
システム・フラワーズを奪還し、キマイラFに安寧を再び齎すため戦うまでです
それにしても一騎打ちを所望するオブリビオンとは……。戦術的に利用しない手はありませんね
防衛施設として決闘場を作りそこで待ち構えます
……戦闘能力がかなり高いオブリビオンのようですね。徒手空拳の機動力を活かし、此方に●怪力での武器攻撃をさせずに●武器受け●盾受けでの対処に手一杯になるまで追い込まれるとは……
状況を打開するためのスラスターを使った●スライディングの足払いを仕掛けますが、これは回避されること前提
本命は格納銃器での威力重視の●だまし討ちで一種の機に賭けて迎撃
●勝負、五番目
闘いを求める猟兵も居れば、その『武の心』に戦術的価値を見出す者も居る。
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)はその一人だった。
だが、決してそれは卑しい行為ではない。それを利用して戦いの場を作る様に提案したのはグリモア猟兵なのだから。
そしてトリテレイアにはシステム・フラワーズを奪還し、キマイラフューチャーに安寧を再び齎すため戦うという使命があるのだから。
故に騎士は自らの矜持を持って決闘場で待ち。
大頭頭ズは自らの矜持を持って決闘場へ赴く。
彼らに言葉は要らなかった。
トリテレイアの大剣が空を切り、大頭頭は一歩踏み込み、その腕を払い、騎士の膝を踏み抜かんと足を落とす。
スラスターが噴射され滑走するようにトリテレイアが後ろに下がれば、怪人の踏み抜きは次の一撃への踏み込みへと変わり、その身が蠢動! 猟兵へ向けて追い打ちの蹴りを放つ。
盾で受けとめた騎士の腕に振動が伝わった。
「……戦闘能力がかなり高いオブリビオンのようですね」
トリテレイアがその強さに手を焼く。
武器に対して無手のハンデがありながら、徒手空拳の機動力を活かし拳打を以って追い詰める。
ウォーマシンの分析力が相手の能力を解析し、不利の原因を導き出す。
おそらく強さは同等、ならば原因は相性と初見故に不慣れさ。
だが、退く理由としては不足な上、手はまだある。
思考の間にも猟兵は劈拳を盾で受け、振り下ろした剣を鑚拳が打ち落とす。
五行十二形のx形拳と巨躯と膂力を活かした騎士の剣が真っ向からぶつかり合う。
だが、お互い知っていた――戦士たるものその先がある事を。
トリテレイアが距離を取る。
それを見て大頭頭が腰を落とし、膝を曲げ、掌を前に伸ばす。
「……いざ」
騎士が言葉を発した、一撃へ結びつけるため。
「……いざ」
怪人も言葉を発した、一撃へ結びつけるため。
「「勝負!」」
二人の言葉が重なった、勝利を決めるため。
スラスター噴射による急加速からトリテレイアの身体が沈み、スライディングが大頭頭の膝を砕かんと迫る。
「甘い!」
跳躍する怪人、そこへ騎士の腕が向けられ。
「今です!」
格納された銃器が展開され火を吹く――前に大頭頭の腕が銃口を塞いだ!
何かが破裂し、転がる音がした。
刹那、片腕を失った怪人の全体重を乗せた拳がトリテレイアの胸甲を貫き、内部機能を粉砕した。
「賭けは……俺の勝ちだったようだな」
「分かっていたのですか?」
動けなくなった自らの身体の上で、倒れこむ様に身を預けた大頭頭の言葉にトリテレイアが問う。
「いや、ギリギリまで分からなかった――だから腕を犠牲にした」
「止めを刺しますか?」
騎士が問えば、怪人は首を振り立ち上がる。
「いや、俺はもう武人として満足ある戦いをした、後は怪人としてドン・フリーダムの下で戦う」
「では、次会う時は――」
去り行く男へトリテレイアが問えば。
「――戦場で会おう、強敵よ」
とも……そう聞こえたのは気のせいだろうか。
騎士のメモリーに何かが刻まれた気がした。
――敗北。
苦戦
🔵🔴🔴
メリナ・ローズベル
「えっ。何?この人」
私は、団長に道場を作ってって依頼されて作ってみたんだけど…
まさか、キマイラフューチャーの怪人なの?
それなら、やるしかないわ!
「勝負、受けてたちましょう」
「顔が大きくてかわいいわ」
ウィザードロッドを装備
敵とは距離を取る
敵が動きを変えたりして、攻撃体勢に入ったと思ったら、即座にウィザードミサイルで攻撃よ
笑いそうな変な動きでも油断しないわ
今日の私は真剣よ!
脱力状態っぽい時は、様子を見ようかしら
敵が近くに来て避けきれない場合は、武器を振り回して間合いを取る
壁に激突させられれば面白そうね
「武人の心を持つあなたが、ウィザードに倒されるなんて、ちょっと不幸かしらね」
●勝負、六番目
団長より道場の建築を依頼されたメリナ・ローズベル(紅い花・f13268)が完成した道場で汗をぬぐい、真新しい床の上で大の字になりたい誘惑に駆られた時だった。
大頭頭ズが靴を脱ぎ、素足で道場へと入り込んだのだ。
「えっ。何? この人」
「大頭頭ズです。道場があるのでやってきました」
無論『武の心』がその足を向けさせた結果なのだが、メリナはそんな事とは梅雨知らず。
「まさか、キマイラフューチャーの怪人なの?」
問われれば構えを以って答えを返す大頭頭。
それを見て、やるしかないと少女は覚悟を決めれば。
「勝負、受けてたちましょう」
赤薔薇のウィザードロッドを構えた。
「顔が大きくてかわいいわ」
ウィザードミサイルで距離を保ちながら、メリナが呟けば大頭頭は自分を指さす。
少女が頷けば、沈黙が支配し、次に怪人が距離を詰めようと床板を踏み込む。
「近づけさせない! 今日の私は真剣よ!」
徹底的なウィザードミサイルの連射で距離を保ち、攻撃の起点をつぶし、牽制する。
ややあって不利を悟った怪人が、自らの身体を脱力させれば、ゆっくりと少女へと近づく。
「――!?」
危険を感じたメリナが杖を構え、振り回して距離を取ろうとする。
しかしその手を大頭頭が打ち払えば、すかさず重たい拳を腹に叩きこまれる。
その場に蹲るメリナ、怪人がゆっくりと近づけば彼女の掌が大頭頭の腹へ添えられる。
閃光と炎が二人の間で爆発した。
至近距離からの150本の炎の矢が突き刺されば、いくら怪人といえど立てるものではない。
「武人の心を持つあなたが、ウィザードに倒されるなんて、ちょっと不幸かしらね」
ウィザードロッドに身体を預けて立ち上がるメリナ。
だが、辛勝だったのは自分が一番わかっていた。
――勝利。
成功
🔵🔵🔴
●選ぶはただ一つの道。
「これはもう無理だな」
大頭頭ズの一人が呟いた。
「もうこの戦場は猟兵に確保された。後はいくら勝っても意味がない」
「けど、行くんだろう?」
もう一人の大頭頭ズが訪ねれば、怪人は深く頷いた。
ここから先はただの余興。
顔も名前も捨てた、拳の鬼が猟兵に己が武を示すのみの時間。
決して誰にも邪魔は出来ぬ、決して誰にも邪魔はさせぬ。
見せよ猟兵、その武を!
そして教えてくれ、この道は間違っていなかったと!
守上・火鈴
◎
その心意気や良し!です!
正々堂々受けて立ちますよ!
リングは簡素に作っておきますね!豪華にしても大した意味はないので!
石畳で地面だけがっつり舗装しときましょう!
どっしり仁王立ちで待ち受けます!
さあ来ませい!わたしは逃げも隠れもしませんよ!
闘いは先手必勝!至近距離で押し切ります!
敵の攻撃は【怪力】で踏ん張って受け止めて!
叩いて叩いて隙が見えたら【旋風掴投・金槌投ゲ】で思いっきり投げ飛ばしてトドメです!
倒れる前に倒せばわたしの勝ちです!
●勝負、七番目
石畳を敷いただけの簡素な闘場、そこで仁王立ちするのは守上・火鈴(鉄拳・f15606)。
来るべき者のその心意気や良し!
と、待ち構える心は生まれ故か、それとも性格故か?
どちらにしても石畳の上にあがる大頭頭ズの姿を見るや、その細い眉尻が上がる。
「待たせた」
怪人が言葉を発せば。
「なんの!」
と一言、答えてから。
「さあ来ませい! わたしは逃げも隠れもしませんよ!」
構えを取るのは霊剣のヤドリガミ。
「無論! では参る!」
応えた大頭頭が構えを取れば、戦いは始まった。
懲悪を刀生とする火鈴の細い腕が振るわれれば、怪人が自らの腕の捻りで下方へ受け流し、半歩踏み込む。
石畳が砕け、五行が一つ、火を司る崩拳がヤドリガミの細い身体を撃つ。
自らの身体を一本の棒と例え、全体重を拳に乗せた一撃が火鈴の胴を抉り、膝を折らせる。
「倒れる前に……」
耐えるようにヤドリガミが一歩踏み込み。
「倒す!」
握った両手をくっつけて鉄槌の様に振り下ろせば、頭に受けた大頭頭が石畳に叩きつけられ、顔面で石を割る。
「餓ぁっ!!」
人ならざる咆哮と共に怪人が立ち上がれば、力強い踏み込みと共に虎を思わせる双掌を足元の石を粉砕しながら打ち込む。
再度、腹に浸透するような打撃を受けた火鈴が呼吸がきつくなるのを我慢して右腕を振り抜けば、拳が大頭頭の巨大な頭を穿ち地面に叩きつけ、また石畳が砕ける。
一歩踏み込めば石が割れ。
大地に倒れれば石が砕ける。
力を技術でいなし、力で砕き、脳が揺れ、呼吸が止まり、思考が身体の動きに集中する。
――そんな世界も終わりが来る。
「――劈!」
大頭頭の掌底が火鈴の頭を貫き、その細身が揺れる。
「待っていました!」
ヤドリガミが叫び、鉄の襷が怪人の伸びた腕に絡まれば。
「っだああああああッ!!!」
激しく振り回し、そして放り投げる――。
「まだまだぁ!!」
大頭頭が叫び絡んだ襷を投げれば、火鈴を縛り、振り回された勢いを逆に利用して、その足を大地から引きはがす。
ボーラが空を舞う様にお互いが錐もみに飛べば、受身も取れず、両者、頭から叩きつけられた。
実力伯仲故の結果だった。
もし怪人が止めに行っても答えはきっと同じだったろう。
全ての石畳が割れた事がその証明となり、誰も立てなかった事が答えとなった。
――引き分け。
成功
🔵🔵🔴
主・役
◎
防衛施設はコロッセオ。武術でタイマンできる施設ならいいんだよね?
異形象形拳の格ゲーキャラをアバターポゼッション。伝承や伝説の生物の動きを取り入れた武術で勝負。
開幕ハウリング、耐えて突っ込んでくるようならシックスセンスでタダヒョイトタイミングを合わせてコマンド投げからサブミッショッションに繋げたい。
慎重に距離を取るタイプなら属性攻撃で再現したドラゴンブレスを放ち、接近してくるように誘導しよう。いいのかい?距離を取ってしまっても?
投げを外されたらそのまま超近接の乱打戦に持ち込むよ。盗み攻撃やイーターで攻撃の機会を奪い勢いを喰らい、相手の技後硬直を狙って指定UCで再現した超必乱舞技を叩きこむよ。
●勝負、八番目
コロッセオ。
古代ローマに建設された円形闘技場。
歴史は古いながらも様々な舞台装置が設置され、模擬海戦からさらには迫(せり)により、地下から闘技場へと戦士を上げる仕組みもあった。
今、その舞台装置が動き出し、主・役(エクストリームアーティスト・f05138)と大頭頭ズ、二人の戦士が闘いの舞台へと上がる。
互いが歩み寄れば、もう言葉は要らなかった。
「アバターポゼッション♪」
役がユーベルコードで憑依させたのは異形象形拳の格ゲーキャラ。振るう技は伝承や伝説の生物の動きを取り入れた武術。
アバターを憑依しキャラに人格を同期して闘うバトルゲーマーだからこそできる動きはまさしくゲームのキャラの様。
「がぁぁぁぁぁ!!!」
神さえも戦く激しい咆哮が大頭頭の動きを釘付けしようとすれば、怪人は大地を蹴り激しい震脚と共に一撃を叩きこもうとする。
そこへ役はシックスセンスで技量を引き上げて勘で回避しようとした時だった。
「うそ!?」
彼女の身体が処理落ちした様に動きが鈍り、そこへ大頭頭の大地を激しく踏む動作から発揮される全身協調一致の一撃――発勁が叩きこまれた。
勁の衝撃と突然の動きの鈍さに戸惑いながらも、竜を模した動作からブレスを放てば。怪人はその半身を焼き、距離を取る。
彼女の動きが鈍ったのは簡単な事だった。
サバイバルにおいて使えるユーベルコードは二つ、それ以上は技量が付いて行かない。
違う場なら可能な動きも一対一、しかも同じ実力の相手との実戦故に求める負荷が強くて発揮できなかったのだ。
だが役もバトルゲーマー、処理落ちする大技を使わずにコンボを主体とした近接乱打戦へと切り替える。
攻撃を盗み、相手の勢いを殺し、次々と攻め立てれば、勝負は五分の流れへと戻っていき、決着の時が徐々に近づく。
大頭頭が攻撃を受け捌き、顔面へ劈拳を叩きこんだところで役がユーベルコードで再現した乱舞技を叩きこもうとした時だった。
健康体操のようにも見える連続した攻撃動作へと移行した怪人の攻撃が役へと襲い掛かったのだ。
乱打戦から更にユーベルコードでつながった乱舞戦が始まり互いの技がぶつかり合う。
もし、格闘ゲームなら技後硬直があり、役は勝っていただろう。
だが相手は武術家で実戦では技後硬直のような事態を封じるために套路や形と言った稽古を積む。
武術とはスタミナや息切れを除けば理論上無限に攻撃できる方法を探る技術なのだ。
格闘ゲームと格闘技の違い。
そこが明暗を分けた。
お互いの乱舞が終わったとき、立っていたのは大頭頭。
実力が近しい相手故にボタンの掛け違いが勝負を分けた結果につながった。
――敗北。
苦戦
🔵🔴🔴
ダンド・スフィダンテ
◎
お!じゃあ俺様プロレスやってみたい!技とか見ても、やるタイミング無かったんだよな!……ん?プロレスってマスク要るんだっけ?(MSにお任せします。)
(リングの中で堂々と怪人を待つ。魅せる為の戦いを、いざ、始めようか。)
(鳴り響くゴング。じりじりと距離を計る怪人に、躊躇無く踏み込みラリアットを狙う。その後コブラツイストやらバックドロップやら、男が一度はやってみたい技をやってみたりとかしたい。MSが良い感じにやってくれるって信じてる。)
(来いよ、という挑発。そして相手の大技を無敵城塞で受け止め、フィニッシュを決めようとする)
熱い戦いだったな……貴殿と戦えた事、嬉しく思うぞ……(勝利の拳を掲げる。)
●勝負、九番目
リングの上でロープの張りを確かめるのは上半身裸のダンド・スフィダンテ(挑む七面鳥・f14230)。
「俺様プロレスやってみたい! 技とか見ても、やるタイミング無かったんだよな!」
やりたいことが出来るその口調は嬉しそうだ。
一方、反対側のコーナーで上着を脱ぐ大頭頭ズは表情は分からないがやる気には満ち溢れていた。
「……ん? プロレスってマスク要るんだっけ?」
「…………いる?」
ダンドの疑問に対し、大頭頭が予備のマスク(大きい頭)を差し出した。
「あ、いいです」
サイズが違うので丁重にお断りする元騎士。
ちょっと残念そうな仕草を浮かべる怪人がマスクをリングの外に出すと、どこからかゴングが鳴った。
闘いが始まり、お互いが円を描くように動く。
衝撃吸収を兼ねたスプリングが仕込まれたマットが体重をかけることで音を立て、その動きに躍動感を聴覚から刻み付ける。
ある程度の距離からお互い探る様に近づけば、先に動くのはダンド。
ラリアットが怪人の首に叩きこまれ、倒れることでリング自体が振動する。
すぐに大頭頭が立ち上がれば鷹を連想させるような腕の振りから裏拳を元騎士の顔面に叩きこみ、吹き飛ばした衝撃でマットが激しい音を立てる。
休まず、鋭い踏み込みから怪人が拳を放てばダンドがそれを掻い潜り、足を絡めて相手の脇に身体を入れるコブラツイスト。
「ぬおおおおおおっ」
元騎士が騎士らしからぬ声で怪人の身体を締め上げれば。
「ぬああああああっ」
大頭頭も上半身の拘束を解いて、腕を絡めて腰で投げる。
激しい音とともに投げられたダンドが転がる様に身体を動かして立ち上がれば、お互いが構えを取る。
普通なら、ここで歓声が上がるのだが、ここに居るのは猟兵と怪人の二人のみ。
たった二人のプロレス武闘大戦。
「劈!」
ダンドの拳を抑えて、大頭頭が掌底を顔面に叩きこめば、仰け反ってたたらを踏む元騎士。
「鑚!」
伸ばした掌底をミサイルの発射台に見立て怪人がさらに拳を放てば、それを掻い潜るダンド。
「ガーンセキ落とし!」
両手を相手の腰に回せば、臍で投げると言われるバックドロップ。
頭を打ち、立ち上がれない大頭頭と衝撃が脳を揺らして起き上がることが出来ない元騎士。
お互いがリングの照明を見つめ、そして同時に立ち上がる。
ダンドが両腕を開く。
全てを受け止めてやると言わんばかりの挑発に怪人は軽くリングの上を跳ねタイミングを伺う。
跳ねて着地するごとに響く重低音、それが力強い踏み込みとなったときリングから大きな音がなり、大頭頭が飛翔する。
「旋風脚!」
回転しての蹴りが元騎士の頭を捕えた!
「――硬い!」
怪人が呻く。
無敵城塞! あらゆる攻撃に対して無敵ともいえる超防御ユーベルコード!
「かーらーのー!」
そこからダンドが相手の両足を抱え込めば、怪人を高く跳ね上げ。
「フィニッシュ!」
パワーボムで頭を叩きつけようとする。
「ぬがぁああああああっ!」
大頭頭が最後の意地とばかりに上体を反り、捻る。
大きな頭が振り子になり、パワーボムの勢いと合わさって元騎士が逆に頭からマットに叩きつけられる。
ハリケーン・ラナと呼ばれる技であった。
リングが中央部で大きくひしゃげ、勝負が決まった。
目を覚ましたダンドへ大頭頭の手が差し伸べられる。
闘いは終わった、今は手を取り合う時なのだ。
「熱い戦いだったな……貴殿と戦えた事、嬉しく思うぞ……」
怪人の手を猟兵が取り、立ち上がれば、そのまま大頭頭の勝利を讃えるように彼の拳を掲げる。
いつか、また戦うかもしれない。
それは戦場かもしれない、もしくは別の場所かもしれない。
けれど今は讃えよう――二人のプロレス武闘大戦。
――一応、敗北。
苦戦
🔵🔴🔴
才堂・紅葉
◎
待ち構えるのは円形闘技場。
コロセウムである。
「才堂式柔術皆伝 才堂紅葉です」
短パンにジャケット姿で相手を待つ。
武術特化のオブリビオン。無手で挑むには危険な相手だが合せる。
未完成の技を完成させるに当たり、この上ない相手だ。
柔術を主体に打撃や間接、プロレス仕込の技術を織り交ぜる。
他の手段も駆使するならともかく、こと無手同士ならば相手の功夫の積み上げに苦戦を強いられるだろう。
とにかく粘りワンチャンスを逃さず反撃で崩す。
勝機はその一度のみ。
真の姿を開放し、反動で体が潰れぬよう調整しつつ新必殺技。
相手を打ち上げ。
空中にて【墜天】で捉え、更に【獅子噛】からの【落星】を狙う。
危険な賭けだが挑みたい。
●勝負、十番目
短パンにジャケット姿の女が円形闘技場――コロセウムにて待つ。
彼女の名は才堂・紅葉(お嬢・f08859)、姿はラフだがアップを重ねる動きには切れがある。
コロセウムのエレベーターが上がり、一人の大頭頭ズが闘いの舞台へ上がる。
「才堂式柔術皆伝、才堂紅葉です」
「大頭頭、一介の拳法家」
互いに名乗り、脱力すれば腰を落とし、膝を柔らかく曲げ、掌を相手に向ける。
歌が始まった――。
初めは無音、いや息遣いと土を擦る音。
互いにけん制し合い、隙を伺い、技を極める機を狙う。
長く続くであろうリズムを変えるのは大頭頭。
あえて隙の大きい蹴りを放てば、紅葉が取りつき、回転――ドラゴンスクリュー。
怪人が流れに任せてお互いに回転すれば、立ち上がるのも同時、振り向いた女のストレートを大頭頭が掴み、顔面に掌を撃ち落とせば、すかさず膝を振りぬこうとする――竜形。
足を交差し、サイドへと紅葉が動けば怪人の足は空を切り、竜の撃ち合いは不発に終わる。
けど、戦いは続く。
掴まれた腕を切れば、女が手首を取り捻る。肘から肩を極められて動けない怪人を投げれば、追い打ちで踏みつけに行こうと足を上げる。
大頭頭が体を入れ替え、片足を腹に押しつけつつもう片方の足を刈れば、紅葉の身体が転倒、そこへ立ち上がった怪人が両足で踏み付けを計ろうと宙を舞う。
転がる様に女が逃れ立ち上がれば、大地に靴跡を刻んだ怪人が紅葉の腹を蹴る、彼女が腕を十字にして受け止めれば、そこへ――。
「劈!」
顔面を撃つ掌底。
脳を揺らす衝撃に耐えながら放つ女の下段回し蹴りが、怪人の膝内側を打ちそれ以上の攻めを封じる。
――手強い。
紅葉の呼吸が徐々に荒くなる。
自身も無手の心得があるが、相手の方が練度、研鑽が深い。
違う領域の戦いならいざ知らず、ことに無手――相手の領域に入るなら苦戦は必至。
けれど、まだ勝機はある。
彼女が自らの右拳へ視線を落とせば、誰かの顔が浮かび笑みが漏れた。
転調はそれからすぐに始まった。
互いに牽制の蹴りから、大頭頭が直拳を放てば、それを肘で落とし紅葉がジャブを放つ。
最速の拳技と呼ばれる拳が怪人の頭にヒットすれば、大きな頭をのけ反らす。
――勝機!
「コード:ハイペリア承認!」
真の姿になる苦境には達していないが、試すべき技がある。
「出力限定解除ランク100!!」
大地を踏み、打ち上げるような掌底で大頭頭を空に浮かせば、自らも超重力の力場に身を包み、空へ走る。
骨が、関節が、悲鳴をあげる。
極めて精密な出力調整をしても真の姿でなければ、反動が大きい、時間はかけられない!
空中で相手を捕えれば、超重力の力場を活かし、関節を極める――墜天!
さらに高重力場で相手の四肢を加重し、極めていく――獅子噛!
四肢を固めれば弓なりに反った相手は動けない、後は地面に叩きつけるのみ――落星!
しかし、超重力の力場がここで途切れた。
真の姿が必要なユーベルコードを二つ重ね、そして技量を上回る四つ目の技。
身体のリミッターが働き、超重力の力場を維持できなくなったのだ。
「見事……あと一歩だった!」
大頭頭が四肢を振りほどき、両足で紅葉の胴を締め上げれば、大きな頭を振り子のように活かして体勢を逆転、女を大地へと叩きつけた!
歌が終わった――。
――敗北。
苦戦
🔵🔴🔴
ミハエラ・ジェシンスカ
……この惨状は惑星破壊兵器の類いでも使ったのか?
帝国の遺産には惑星をぶった切るようなものもあったと聞くが
まあ良い
【念動力】で即席の決闘場を作り上げる
騎士などと名乗るも烏滸がましい身ではあるが
必要だというのなら臆面もなく演じて見せよう
騎士の礼に基づき、貴様らに決闘を申し込む
観客はおらず、名誉すらもない場ではあるが
武人としての誇りがあるのなら応えるが良い
【武器受け】で敵の攻撃を捌きつつ
我が2刀を無効化しようとするタイミングを【見切り】
敵が無力化からの【カウンター】を狙ってくるのならそれこそが隙だ
【邪剣開帳】を防御を考えない【捨て身の一撃】として叩き込む
悪いな
この私が騎士や武人だなど虚言にも程がある
●勝負、十一番目
「……この惨状は惑星破壊兵器の類いでも使ったのか?」
念動力で作った即席の決闘場にて、ミハエラ・ジェシンスカ(邪道の剣・f13828)が二つに割れたキマイラフューチャーへを見上げる。
「帝国の遺産には惑星をぶった切るようなものもあったと聞くが、まあ良い……」
来訪者の到着に気付き振り向けば、そこに立つのは大頭頭ズが一人。
「騎士の礼に基づき、貴様らに決闘を申し込む!」
高らかと叫び手袋を投げれば。
「観客はおらず、名誉すらもない場ではあるが、武人としての誇りがあるのなら応えるが良い」
大頭頭が黙ってそれを受け取る。
「無論、望むところ」
その言葉に邪道の騎士は二本のフォールンセイバーを抜き、赤黒い刃を形成する。
怪人は掌を伸ばせば、それを刃に見立て、円周上に歩き始めた。
中国武術において掌の名を持つ武術は少ない。
n卦掌もその一つであろう。
一見舞踊に見えるその技はユーベルコードを受け流し、跳ね返す特性を持っているが本性はそれだけではない。
ミハエラも受け流しを警戒し待ち受ければ、先に襲ったのは大頭頭。
その手は開かれてはおらず、指は曲げられ拳となって振るわれる。
思った以上の剛拳を剣で受け流し、刃を振り下ろせば次は掌が開かれ、軌道を変えられる。
x形拳を剛の技、i極拳を柔の技と例えるならn卦掌は剛柔一体。
双方を知り、そして易経n卦の思想に基づく龍脈を流れをも知る――故にユーベルコードを受け流すことが出来るのだ。
独特な歩法からの攻め、剣技を受け流す掌の妙。
攻める邪道の騎士も攻撃の手数が減っていく。
だが、それは決して不利故ではなかった。
じりじりと距離を詰めるミハエラ、対する怪人も掌を構え、受け止める姿勢で立つ。
両者が踏み込む!
先に振るうは騎士の二刀。
袈裟、そして逆袈裟に飛ぶ刃に対し、あえて前に出た大頭頭が両腕を前に出し、内から外へと回していく。
剣を持つミハエラの手首が怪人によって軌道をずらされ、切っ先が地へ突き刺されば、その破壊力は龍脈を介し掌に宿り、騎士を斬り裂かんと腕を上げる!
肉に裂ける音がした。
直後、ミハエラの両腕が飛び、大地へ転がった。
「悪いな」
口を開くは邪道の騎士。
彼女の視線は隠された第三の腕が振るったフォースセイバーの刃に注がれる。
その剣は大頭頭の腹を貫いていた。
「この私が騎士や武人だなど虚言にも程がある」
「いや……」
男が否定した。
「俺に三本の腕があれば同じことをしていた。戯言と言う名で片付けるな――騎士よ」
仮面の下から赤いものが流れ、怪人は地に伏した。
――勝利。
大成功
🔵🔵🔵
ユーフィ・バウム
◎
肉弾戦、望むところです。腕が鳴りますね
リングを設置し、そこで怪人を迎え撃つ
あなたはx形拳を使うのですね
森育ちのユーフィ・バウムです。いきますよ!
基本は【グラップル】での肉弾戦での勝負
素手戦闘なら、負けませんよ!
【戦闘知識】で相手の武術の癖などが分かれば嬉しいです
戦いでは自分の得意の間合いをキープすることを心掛け、
【吹き飛ばし】攻撃を交え相手にペースを握らせない
敵の必殺の攻撃は【見切り】致命の一撃を避けた上で
【オーラ防御】で受け止めます。
私は受け切って勝つタイプです。……へっちゃら!
そしてお返しです!攻撃後の隙をつき、
懐に潜り込んでは【力溜め】ての【怪力】を生かした
《トランスバスター》ですよ!
●勝負、十二番目
リングに立つ少女の名はユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)。
肉弾戦は望むところと、相手を待てばやってくるのは大頭頭ズ。
「森育ちのユーフィ・バウムです」
「大頭頭、それ以外の何かではない」
自然と互いに名を名乗る。
「あなたはx形拳を使うのですね」
ユーフィが問えば、大頭頭は首を振る。
「正確には内家三拳全てを使う」
ちなみに内家三拳とは形意拳、太極拳、八卦掌の事である。
「なるほど……でも、負けません。いきますよ!」
少女がやや上体を後ろ寄りに構えれば、怪人も腰を落とし後ろ足にやや体重を乗せた構えを取った。
初めにペースを取ったのはユーフィの方だった。
攻める相手の機先を前蹴りで吹き飛ばし、ペースを握らせない。
大頭頭が蹴りを警戒して構えを高くして備えれば、そこへタックルを敢行、ロープ際まで追いつめて密着間合いから拳を打ち込み、着実にダメージを重ねる。
勿論、怪人もやられてばかりでない。
首を極め、腕を差し込んで投げ飛ばせば、少女が立ち上がろうとしたところをへ蹴りを打ち込み、腹に突き刺す。
ユーフィが致命的な一撃を見切り、オーラ防御も併用しなければやられてしまうほどの威力。
尚も追い打ちをかけようと大頭頭が踏み込めば少女は肩をぶつける体当たり、相手が崩れるところを再びパンチで攻めていく。
ショートレンジで猟兵がダメージを重ねれば、ミドルからレンジで怪人が一撃を確実に与えていく。
逆に自分の間合いが崩されれば切り返し、間合いを奪い取りそして自分のペースに持ち込む。
一見地味だが、お互いに勝利へのプロセスを積み重ねる戦いがそこにあった。
リングの上で繰り広げられるチェスのような戦いはやがて体力の消耗による、動きの鈍さで決着を迎える。
互いに大技を叩きこめば、勝負は決まり。後はチェックメイトへの一手をどう繰り出すかによる。
先に動いたのユーフィ、ミドルレンジからボディブローを放つ。
そこへ大頭頭の手が伸び、少女の拳を捻る様に下方へ落とし半歩踏み込めば、ねじ込まれるのは――崩拳!
カウンターで繰り出される強烈無比の一撃に身体を曲げるユーフィ。
「……へっちゃら!」
オーラ防御と見切りを組み合わせれば崩拳を耐えられると踏んでの作戦だった。
少女の足が踏み込まれた、溜めた膂力を足から拳へと駆動させて放つ森の一撃――トランスバスター!
攻撃を放った隙へ超高速かつ大威力の一撃を返されては怪人と言えど、立つことは叶わず。
「――見事」
ただ一言だけ告げれば、大頭頭はリングの上で天を仰いだ。だが天井はその視界には入らなかった。
――勝利。
成功
🔵🔵🔴
信楽・黒鴉
【SPD】
自分の刀コレクションを地面に突き刺し柵のように丸く囲う事で、決闘場めいた戦の舞台を整える。
其処で敵の襲来を待ち受けつつ【掃除】で舞台を整え、ついでに精神統一。
「さて……僕も腐っても武芸者の端くれですので、一対一の勝負という奴には目がないんです」
「致し方ないとは言え、ボスを寄って集ってボコるのは何時も心苦しかったんですよね」
「という訳で…… 続く言葉はこの剣にて語ると致しましょう」
相手の超速攻撃に対応するようにユーベルコードを発動。
こちらも超加速しての【ダッシュ】と【残像】による撹乱を仕掛けつつ
素早い【2回攻撃】で【傷口をえぐる】ような連続斬撃で相手を攻め立てていく。
アドリブ歓迎です。
●勝負、十三番目
刀剣が地に刺さった円柵が作るのは仕合の間。
中心にて座して待つのは信楽・黒鴉(刀賊鴉・f14026)。
その精神統一を乱すが如く、来訪者が刃の柵を超える。
「お待ちしてました、さて……僕も腐っても武芸者の端くれですので、一対一の勝負という奴には目がないんです」
立ち上がれば、鯉口を切るのは黒鴉。
「そうか」
「致し方ないとは言え、ボスを寄って集ってボコるのは何時も心苦しかったんですよね」
抜かれるのは二尺八寸の大業物。
「そうか」
「という訳で……続く言葉はこの剣にて語ると致しましょう」
「そうだな」
刀が構えられるのを見た、大頭頭の拳が握られた。
互いが大地を蹴れば、始まるのは剣拳業交の連撃戦。
剣鬼が纏いし風の防壁を螺旋が如く纏絲勁でねじ込めば、突進からの連続した斬撃が拳鬼の皮を斬る。
互いが互いを切り結び、舞い散るのは血の霞。
黒鴉が妖力を帯びた鋭い風の刃を放てば、大頭頭が空を舞い、蹴撃を頭を狙う。
剣の鬼が回避すれば、拳の鬼は追いすがる様に大地を踏み震脚――発勁が風を吹き飛ばせば追い打ちの拳が疾る。
「チィ!」
舌打ちと共に上体を捻り、黒鴉が刀を伸ばせば、拳は彼の脇を抉り、刃を大頭頭の肩を貫く。
威力と勢いに互いがバランスを崩し、転倒し合えば。
「「――ッ!!」」
両者発するは声にならぬ殺気の蛮声。
立ち上がり、互いに得物を構える。
黒鴉が晴眼にて視線の延長線に切先の高さを合わせれば。
大頭頭が拳を自らの顔の高さに掲げ、弓を引く。
ゆるり、ゆるりと円を描き、先に動くは拳の鬼。その拳は閃電の如し剛にして高速――忽雷架!
剣の鬼が踏み込めばその身は翻り、拳を翻弄、円を描いて一閃するは――風を纏いし薙ぎの太刀!
黒鴉の背後で大頭頭の上半身が滑り落ちるように土が着き。遅れて足が倒れた。
――勝利。
大成功
🔵🔵🔵