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バトルオブフラワーズ⑤〜大乱闘スマッシュイェーガーズ

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

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 一つ一つの戦いに、感動がある!
 バトルの数だけドラマがある!
 リミットを超えた大乱闘!
 詰め込み過ぎの究極乱闘!!

●格ゲーは好きですか?
 突然すぎる問いかけに、困惑する猟兵が多いだろう。ましてや、キマイラフューチャーが真っ二つに割れたとかぶっ飛んだ情報が流れている中で、馬鹿にしてるのかと眉を顰める猟兵も少なくなかった。
「いや、眉を顰めたいのは俺の方なんだけどさぁ……。」
 ため息混じりで説明を始めるレオウ・ヴァナターク(民の導き手・f01149)は何故だか分からないが、やれやれといった表情を浮かべている。
「ご存知『システム・フラワーズ』にたどり着くためには、オブリビオン達が占領している6つの『ザ・ステージ』を取り戻すことが必須条件だ。」
 彼は右手で眩い剣を発現させて構えると、そのまま話を続ける。
「その『ザ・ステージ』を取り戻すにはそれぞれ何か条件が必要らしいのだが、今回はどうやら『ゲームのクリア』が条件らしくてな…。」
 流石キマイラフューチャー。真面目な依頼のはずなのに、何故依頼を説明する側がこう、頭を抱えるような内容が多いのだろうかと、彼はしみじみとため息を吐く。
「ええと……そのゲームの内容なのだが……。」
 レオウはそんな様子のままゲームの内容を話し始めた。
 どうやら彼の話によると、とりあえず敵をぶっ飛ばしてぶっ飛ばしまくるゲームらしい。
「ここからが重要だけど、プレイヤーは実際にゲームの中に入ってゲームを体験するらしい。要は未知の技術、フルダイブシステムで………いや、きっと長々しく説明をするよりも実際に行ってもらった方が早いだろう。」
 詳しい説明を諦めた彼は、準備が出来た奴から転送する…と告げると、グリモア石を取り出してその準備を始めるのだった。


闇猫鍋
 どうも、闇猫鍋です。
 このシナリオはゲーム内のデジタル世界のような場所が戦場になります。
 ゲーム機を操作するのではなく、ゲームの世界の中に入り込み、ゲームをクリアするような行動を行ってください。

 ●シナリオ情報。
 ・今回は、ゲームの中でゲームキャラを沢山ぶっ飛ばしてもらいます!
 ・勝利条件は、特技やUCを使って自分の対戦相手(ランダムなゲームキャラ)をステージの場外に大きくぶっ飛ばすか、ステージから奈落に落とせば勝利になります!
 ・1人1試合で、複数人での連携はその人数分敵キャラが増えます!
 ・複数人のファイターが猟兵を待ち構えているようで、全て倒すとゲームのクリアを防ぐべくオブリビオンの集団が直々に戦いに来ます。

 それでは皆さんのぶっ飛んだプレイングをお待ちしております!
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第1章 集団戦 『ふんどし過激派怪人』

POW   :    至高の履物とは
【ふんどし】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    赤褌とは強さの象徴なり
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【赤褌】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ   :    ふんどしの魅力を知れ!
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【同志】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。

イラスト:くずもちルー

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

キルク・レニシュ
格闘ゲーム…好きか嫌いなら…大好きと言わざるを得ませんね!
空を飛べるなんて反則じみたキャラですが、得手は最大限活用して戦いますよ!
空に浮かびながら故の広視点で味方を炎でサポートしていきます!

格ゲーにおいて間合いをとれば、リーチ把握することで攻撃恐れるに足らずです!
ですが飛び道具を有していた場合自分にヘイト集まりますね…
その場合は翼、尾のガードで飛び道具を絡めとり
炎を纏わせて飛び道具をお返ししてやります!
また身体の傷が増えそうですが…ここまで増えたらもう少ない方が格好悪いですよね!

炎で移動制限+味方と波状攻撃を行って、敵に隙が見えたら
滑空から空に連れ去ってメテオスマッシュを叩き込んでやりますよ!


ハイパー・マン
「たまにはこう、手加減とか考えなくていいも気が楽でいいね、来たぞ私がハイパーマンだ!」
基本は【力溜め】た一撃で、敵を【吹き飛ばし】て戦う
なかなか吹き飛ばない敵は【武器落とし】や【鎧砕き】で重量を軽くしながら隙を作り、【気合】で吹き飛ばす
敵の攻撃は【見切り】で判断しかわせないものは【武器受け】し【激痛耐性】で耐える
ステージ端まで追い込まれたら【気合】で落ちないようにする
足を滑らせた場合は、空を飛んで復帰
「いつものいくぞ、ニュートラルナックル!」
「まだまだ、こんなもので私は、あっ……」
「危ない危ない、やっぱり画面端は事故が起きるね!」


カーバンクル・スカルン
なるほど、とにかくボコボコにぶちのめして吹っ飛ばすか奈落に叩き落とせばいいのね?

ならば【ロープワーク】で相手を翻弄させまくりながら、「咎力封じ」で手足をぐるぐる巻きにして動けなくする。

それから金槌で殴るなり水に顔を浸けさせて溺れさせるなり熱した鉄板に押し付けるなりワニに食わせるなり車輪で吹っ飛ばすなりするよ。
何でもありなら、こちらだって何でもありでやらせてもらうよ。かかってこいオブリビオン!


マクベス・メインクーン
ゲームの中で戦うか、めっちゃ面白そうだなっ!
思いっきり敵をぶっ飛ばしてやろーじゃねぇか

魔装銃で炎【属性攻撃】の弾丸で【2回攻撃】して敵にダメージを蓄積していくぜ

こっちへの攻撃は【野生の勘】で回避、攻撃が当たりそうなら風の精霊を纏って【オーラ防御】でガードで飛ばされないよう耐える

こっちもある程度ダメージ受けたなら、UCを使用して能力強化してスピードアップだ
オレは精霊使いだが、純粋に殴りあいすんのも愉しいぜっ!
流血気にせず接近戦で魔装銃に風の【全力魔法】付与してぶっ飛ばす
おらっ!場外までぶっ飛びやがれ!!


神元・眞白
【SPD/割と自由に】
初めて来るけど面白い世界。…あとで観光しよう。
ゲームはよくわからないけど相手を飛ばせばいい?…大体わかった。
場所もまだよくわからないし、こっちから仕掛けるより様子見でいなそう。

落とせば、って事は端かどこかに落とし口?があるってこと。
じゃあ近くに移動しておいて、来た相手を受け流して押し出し。

1回見られたら対策も意識されそうだから、こっちも準備。
マカブルで打ち消しと反射。反射は時間差でできる様に飛威は保持を。
こっちは攻撃されたふりをする事にして、カウンターを。

フェイントも必要だけど、必要なのは度量と演技力。それと決断力。
敵を騙すなら味方から、ってことで


ユキ・コシイ
それでも…これならまだ「いつもの感覚」で戦える、マシな部類だと思う…キマイラフューチャー民です。

格闘ゲームとかあんまり得意な感じではないけど…これならできるかも
わたしが歌うと周囲の人は寝ちゃう予感がすごいし
ちょうどいいユーベルコードがあるし。

というわけで…鎧装騎兵らしくプラズマ推進器を使った【空中戦】を主体としたふわふわした立ち回りで相手を【おびき寄せ】つつ
近づいてきたファイターの隙を見てユーベルコード【Cradle Song】を聞かせる感じで、立ち回りましょう
眠らせることが出来たらチャンス、マイクスタンドを思いっきり振りかぶって…全力のスマッシュヒットを狙うよ。
(アドリブOKです)


アンナ・フランツウェイ
ゲームを操作するのでは無く、入り込む形ならいくらでもやりようはある。向かってくる者、根こそぎ吹き飛ばしてあげる!

対戦相手の行動を【見切り】、攻撃を回避したり【オーラ防御】で防ぎつつ、【処刑斧・ロストクロニクル】を【武器改造】で相手を吹き飛ばすのに最適な形態にするよ。

形態を変化させたら処刑斧を振るい【なぎ払い】【衝撃波】で対戦相手を場外へ吹き飛ばしていこう。 防御が固い相手なら【鎧砕き】も使う。

オブリビオンが現れたら【呪詛】を乗せた【拒絶式・呪詛黒百合】で、同志に変えられた者ごと周囲の敵を攻撃しよう。生き残った奴がいるなら処刑斧で【範囲攻撃】、【生命力吸収】で命中した敵にトドメを刺していく。



●試合開始前のひと時
 四方八方、真っ白な空間が続き、まるで自分の身体であると錯覚するようなリアルなポリゴン体。いや、厳密にいえばこれが自身の身体であることには変わらないのだが、ゲームの中に入った感覚は言葉では言い表せないような不思議な感覚があり、それはそこに立つ猟兵達の期待感を一向に募らせる。
 そして、視界真ん中の一番上に表示される、刻一刻と減っていくカウントダウン。これがゼロになるとゲームが始まるということを、その場の全員が理解していた。
「格闘ゲーム、好きか嫌いなら、大好きと言わざを得ませんね!」
 軽いフットワークで、この世界で動く練習をしているキルク・レニシュ(角折ドラゴン・f17382)は、ワクワクした様子で呟く。
「なるほど、とにかくボコボコにして吹っ飛ばすか奈落に叩き落せばいいのね?」
「ゲームはよくわからないけど相手を飛ばせばいい?…大体わかった。」
「その通り!思いっきり敵をぶっ飛ばしてやろーじゃねぇか!」
「たまにはこう、手加減とか考えなくていいのも気が楽でいいね。」
 そして、その近くではゲームの内容を再把握する者、カーバンクル・スカルン(クリスタリアンの咎人殺し・f12355)、神元・眞白(真白のキャンパス・f00949)と、楽しそうに説明をするマクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)、ハイパー・マン(神のスーパーヒーロー・f16472)。それぞれがそれぞれの時間を過ごしている中で、カウントダウンが10を切った。
「もうすぐ始まりだね。みんなでクリアして、ザ・ステージを取り戻そう!」
「えいえいおー。」
 アンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)が皆に呼びかけ、ユキ・コシイ(失われた時代の歌い手・f00919)がそれに答えるようにグーの手を上に突き出すと、同時に全員の身体は光に包まれステージへと転送された。

●ぶっ飛ばすにはやっぱりパワーだ!!
「来たぞ、私がハイパーマンだ!」
「ここが戦場か!さっさとやろうぜ!」
 直径約15m程度のリング。例えるならボクシングのリングの約二倍程の大きさの、丸くて柵のない足場に降り立ったのは、ハイパーとマクベスである。どうやら今回は2vs2の様子で、彼らの反対側には敵ファイターと思われる剣を持った男と、銃を構えた女が同じように並んでいる。
 そして、視界真ん中の上の方に再び表示されるカウントダウンは3から始まった。
「私は剣士の方を相手しよう。君は女銃士を頼む。」
「ちょ、勝手に決めんなよ!俺が剣士に——」
 ハイパーの言葉にマクベスが返す余裕もなくカウントダウンは0になり、試合が始まった。

 天の声、『FIGHT!!』の掛け声と同時にハイパーが敵剣士に向かい一直線に踏み込んだ。それに少し遅れつつも、マクベスは女銃士に銃を構える。
「いつものいくぞ、ニュートラルナックル!」
 ハイパーは力を溜めた拳を、開幕と同時に場外へ飛ばすくらいの思いで剣士に放つ。
 しかし、男剣士もこの一撃でやられてしまう程軟ではなかった。ハイパーの拳を最小限の動きでひらりとかわすと、カウンターの一撃をハイパーに食らわせる。
「ぐっ……。」
 痛みは無い。しかし、斬られたという感覚と、視界の端っこに表示されていた0%が15%に増えた。多分これは、自分に蓄積したダメージを表しているのだろう。相手の頭の上にも同じものが表示されている。
「なるほど、つまりは鼻から手加減なんて必要ないということだな?」
 ダメージを受けたものの決して慌てないハイパーはハンサムにそう呟くと、カウンターの攻撃の後に繰り出してきた男剣士の斬撃を最小限の動きで避ける。
「動きが単調になっているぞ?そらそら。」
 敵は手練れとはいえ、ゲームの中のキャラクター。柔軟に動くことのできる現実世界の人と比べれば、やはり動作に制限が生まれるのだろう。
 そんな相手に神でありスーパーヒーローの私が負けるとでも?否、笑わせるな。
「さあ来い、私が相手だ!」
 ハイパーは口元を吊り上げながら男剣士を見据えると、余裕の表情でそう言うのだった。

「野郎、狙ってた獲物を持っていきやがった!!」
 怒りのままに女銃士に魔装銃の炎の弾丸を打ち込むマクベスは、ちょっと怒っていた。というのも、あっちの男剣士の方が強そうだったし、そもそもこっちなんて相手女だぞ!とか、そもそも剣士相手に間合い考えないで突っ込む奴が居るかよとか…いろいろ言っていたが、その思考は段々と別のものになってくる。
(やべぇ…弾当たんねぇ…。)
 バリバリの銃士相手かと思いきや、どうやらかなりのインファイターらしく、なかなか銃の攻撃がヒットせずにいた。それどころか、女銃士が動くたびに弾丸がこちらに飛んできて、じわじわとダメージのパーセンテージが上がっているのだ。
 風の精霊を纏ってガードをしようとするも、動きが早くてガードしきることが出来ない。このままではジリ貧である。
「くっそ、舐めやがって…。オレだって接近戦くらいやれるっての!」
 ちょっと計画と違うものの、ユーベルコード【身体能力超強化】を発動し、自身の動きをスピードアップさせる。
 口につく血の風味。そんなものに構ってなんていられない。精霊使いであるとはいえ、殴り合うときは殴り合うのだ。
 マクベスは瞬間、まるで一瞬で移動したかのように女銃士の目の前に現れると、目にもとまらぬ連撃を彼女に浴びせかける。
 女銃士は手も足も出なかった。そのままパーセンテージは見る見るうちに上がり、その表記は白から赤に変わる。
 そしてそのまま魔装銃に風の全力魔法を付与すると、彼は引き金を引くのだった。
「おらっ!場外までぶっ飛びやがれ!!」

●今更だけど、猟兵ってチートだよねって話をしてもいい?
「…始めて来るけど面白い世界。あとで観光しよう。」
「向かってくるもの、根こそぎ吹き飛ばしてあげる!」
 先程の二人とは全く別の、景色が綺麗なステージに飛ばされたのは、眞白とアンナである。この二人も2vs2の乱闘なもので、相手は見るからに接近型のボクサーと、よくわからない怪獣のような生物だ。人間以外のファイターもいるらしい。
「あれ、どこからどうみてもオブリビオンだよね…。私はどっちを相手してもいいけど、あなたはどっちを相手したい?」
 まだカウントが始まる前、アンナは眞白と少しだけ作戦を話し合う。
「私はどっちでも…来た敵を落とすだけ…。」
「奇遇だね!私も同じことを考えてたんだよ。」
 作戦会議(?)は秒で終わった。どうやらこの二人は、行き当たりばったりでどうにかするらしい。
 そうこうしているうちにカウントダウンが始まり、天の声が『FIGHT!』と叫ぶと、その場にいる四人の身体は一斉に動き始めた。

「お、私の相手はオブリビオンもどきかな?」
 開始と共にアンナに向かって走ってきたのは、まるでオブリビオンを彷彿とさせるような図体のデカい怪獣である。
 図体がデカいとはいえ動きには無駄がない、まるで動けるデブのようなファイター。それは勢いよくこちらに向かってドロップキックをかましてくる光景は実際に見てみると、名状しがたい何かに襲われる。
 多分、当たればかなりのダメージを貰うのだろうが、何しろ隙の大きい攻撃だ。アンナはいとも簡単にその攻撃を見切ると、『処刑斧・ロストクロニクル』を武器改造で変形させていく。
「やっぱり吹っ飛ばすならこういう形だよね。」
 変形した武器は、まるで野球のバットのような形状をしている。一見では弱そうな武器に見えるものの、元の形状を考えれば相当の重量を持っているはずだ。この処刑用バットに当たった後の未来なんて誰も想像したくないだろう。
 ま、そんなのゲームのキャラクターには何も理解ができないけどね!
「バッターアンナ、いっきまーす!」
 形状を変化させたアンナは、そのまま処刑用バットを振り上げ、間抜けにもドロップキックで大きな隙を見せた怪獣目掛けて渾身の一振を放った。
「ホームラン!」

「場外ってどこだろう…。」
 広いステージの中、ボクサーと対峙している眞白は首を傾げながら呟いた。たしか、落とすかぶっ飛ばせばこちらの勝ちだったはず…。だとすれば、端かどこかに落とし口があるってこと?とか思いつつ、彼女はボクサーを引きつけながら移動してそれらしき場所を探す。
「あった…。」
 それを見つけるのにそう大して苦労は無かった。むしろ、ただステージの端に行けばよいだけだったので、たどり着くのは容易だろう。彼女はその端っこに立つと、しつこく追ってくるボクサーの方を見てちょっとだけ構える。
「はい、さよならー…。」
 そして、殴りかかってくるボクサーを回避して受け流し、ちょんっと背中を押して場外に落とす。猟兵である彼女にとっては簡単なことだ。…簡単なことなのだが、流石にそこまで上手くはいかなかった。
 ボクサーは空中でジャンプを行うと、アッパーのような技で更に飛距離を伸ばしてこちらに帰ってくる。仕方がない…もう少しだけ相手をしよう。
 眞白はやれやれといった様子で、戻ってきたボクサーを見つつため息を居つく。ボクサーの頭上には8%と表示されているが、恐らくさっき背中を押したときに入ったダメージだろう。奴を落とすにはもう少しダメージを入れる必要がありそうだ。
「あいつの攻撃、流石にユーベルコードじゃないよね…。」
 とりあえずボクサーのインファイトを避けつつ、どうしようかと考える。ゲームのキャラだから攻撃の方法は単調だし、負けることはないが、こちらが攻撃しようとすると回避動作を行うのがちょっと厄介だ。すぐに間合いを取られてしまう。
「うーん…。」
 やれやれ、仕方が無いな…とでも言いたそうなため息を吐きながら、眞白はちょっと大ぶりの蹴りをボクサーに入れようとする。勿論、ボクサーはそれを最小限の動きで避け、カウンターの一撃を放とうとこちらに殴りかかってくるが、これは囮。眞白はボクサーの攻撃を受けるが、最小限のダメージになるようにガードをしつつその腕掴むと、逃げられないボクサー目掛けて渾身の一撃を喰らわせた。

●お忘れかと思いますが実はこれ、格ゲーです
「援護は任せてください。自分、飛べるんです。」
「いい性能してるわね。でも、敵も飛びそうよ?」
 またまたステージが変わり、ここは船の上。お決まりのようにセリフを言いながら登場したのはキルクとカーバンクル。そして、その対面側に居るのは羽が生えた二足歩行の鳥と女剣士だ。
「ええ…空を飛べるなんて反則じゃないですか…。」
 先程空を飛べると自慢をしたキルクが手のひらを180度返し、ちょっと嫌そうな顔をしたが無情にもカウントダウンは始まった。
「私は女剣士をやるから、あなたは空中戦頑張ってね。」
「ぅー…やっぱりそうなりますよね…。」
 飛びながら援護に徹しようと思っていたキルクの、とんだ誤算である。

 カウントダウンが0になると共に発せられる天の声、『FIGHT!』と共に、全員の身体が動き始める。
 キルクは地面を蹴り空中に跳び上がるが、それは敵である鳥野郎も同じ…どうやらコイツは飛べる鳥らしい。キルクが背中から生えている翼で飛翔しているのに対し、鳥野郎は人間でいう両腕に該当する場所を羽ばたいて飛翔しているので、若干こちらの方が有利だろうか?
「うわわっ!はやっ…。」
 そんなことを思っていたが、向こうはこちらよりも早く飛び回っているうえに、素早く間合いを詰めて翼で切り裂こうとしてくる。明らかにスピード型だ。
 回避が少しだけ遅れたキルクは、翼の切り裂きにかすってしまい視界の右上に表記されている自分のダメージカウントが11%上昇する。
「痛……くはないけど、せっかくの計画が無茶苦茶です…。」
 敵も飛べるという事実に少しだけ動揺したが、思ってみればそんなこと猟兵である彼女にとってはそこまで問題ではない。ぶっちゃけ相手がオブリビオンの場合はそういうことの方が多いからである。
というか、相手が鳥なのに対し、キルクはドラゴン。普通に考えて負ける訳がないのは、火を見るよりも明らかだった。
「お返しです!!」
 再びこちらに飛んで切り裂こうとしてくる鳥野郎に、キルクは軽く尻尾を振り下ろす。その威力は無ダメージでもメテオになり得る攻撃…。いや、これは鳥野郎が軽かった影響だろうか?
受け身を取れずに地面にバウンドしたそいつを容赦なく【ブレイズフレイム】の炎で焼けば、その%はみるみる内に真っ赤になり、煙を吹き始める。
キルクはそんな鳥野郎にこれでもかという追い打ちをかけるように空中に連れ去ると、容赦なく船の場外に叩き落し鮫の餌にするのだった。

「ふむ…ちょっと舐めてたけど、意外とすばしっこいのね…。」
 女剣士と対峙しているカーバンクルもまた、少しだけ計算外のことが起きていた。
咎人封じによるロープでぐるぐる巻きにしてやろうと考えていたのだが、意外にもこの女剣士は冷静にロープを剣で切断してくるのだ。これではロープで拘束することは難しいかもしれない。
加えて、この女剣士…正確な攻撃を繰り出し、確実にこちらへのダメージを蓄積させてくるのだ。
「っ…。」
 また斬られ、自分へのダメージ蓄積は48%にまで上がった。対して自分はまだ女剣士に1%も与えることが出来ていないが、カーバンクルは冷静にどうしようか迷う。
「うーん…やっぱり細かいことを考えるのはやめましょ…。」
 数秒考えていたが、考えることを辞めたらしい。どこにそんなものを持っていたんだと言いたくなるほどの『超巨大金槌』を取り出すと、それをブンブン振り回し始めた。
するとどうだろうか?どこからか、ハンマー状態のBGMが聞こえてくる気がする。(※空耳です)
 不運にもハンマーに当たった時のことは絶対に考えたくないが、不運にもそのステージは狭かった。
 ………どこからか、ピコンという電子音が聞こえた気がした。(※空耳です)

●むしろこれが戦争であることを猟兵達は皆忘れている気がする
「あれ…私、一人?」
 異空間を思わせるような背景に、何もない大きめのリングに転送されたユキは、きょろきょろと周りを見ながら他の人を探すものの、どうやらここに飛ばされたのは自分一人だけらしい。
「えっと……。」
 対戦相手も何故か見当たらないまま試合開始までのカウントダウンが進む。
 訳の分からないままカウントダウンが0になり、背景がグネグネとうねると、そこから大きな何かが飛び出てユキの前に立ち塞がった。

「手……?」
 そう、彼女の前に立ち塞がったのはファイターではなく、巨大な手。きっとなんちゃらハンドとか名前がついているのかもしれないが、今はそんなこと関係ない。問題なのは、倒せるかどうかという点である。
 巨大な手はうねうねと気持ち悪い動きをしながらユキに迫ると、つつこうとしたり、ぐるぐる回りながら突っ込んできたりと、なかなかのセクハラ具合。いや、多分この敵はプログラム通りに動いているのだろうが、フルダイブで戦うとなるとなかなかに気色の悪い敵だ。
「オブリビオン…なのよね…?」
 彼女がそう勘違いしてしまうのも無理はないが、とりあえず巨大な手の攻撃を素早く避けつつプラズマ推進器で空中にふわふわと跳び上がると、持っていたマイクスタンドを手に向かって思いっきり振りかぶってみる。
 すると、巨大な手のちょっと上に表示されていた300という数字が263まで減る。
「えっと……。」
 きっとその数値を0まで減らせば勝ちなのだろうが、予想外すぎる展開にちょっと言葉が出てこない。もしそうだとすればこれはただの作業ゲーだし、何か思ってたのと違……。
 しばらくの間、子供のようなかわいい女性が巨大な手に向かってマイクスタンドをブンブン振り回すシュールな光景が続いてしまったことは言うまでもない…。
「………。」
 あっという間にHPを0まで削られた巨大な手は、派手な演出をしながら沈んだ。
 そして、流れるスタッフロールのようなもの…。
「…終わりなの?」
 最初は、この依頼はまだマシな部類だと思っていたキマイラフューチャー民、今何を思っているかなんて知らない。むしろ知りたくもないね。

 知らぬ間に長ったらしいスタッフロールは最後まで進み『おしり』と表示される。

 ………ん?

「ぎゃっはっは、そんな簡単にクリアさせるとでも思ったか!」
 その文字の影から、ふんどし一丁の変態怪人が顔を出した。ちょっとげんなりしていたユキの反応は極々薄い。
「シカト?!…流石に傷つくんだけど?」
 段々、ユキの目元が暗くなってきていることに、目の前の変態怪人はきがついていない。
「はっはっは、しかし残念だったな!お前らを一人ずつ潰していくために、ゲーム進行に細工をさせてもらったぜ!」
 その下品な笑いと共に、わらわらと同じ姿をした変態怪人が姿を見せ。
「まずはお前から潰させてもらうぜ!!」
「ちょっと待ったぁ!」
「ひょ?」
 どこからか聞こえてくる声。そして、空間に一筋の光がいくつも現れると、別の空間でファイターを倒した猟兵達が転送されてくる。
「来たぞ。私がハイパーマンだ!」
「何度も自己紹介しなくってもわかってるっての!」
「全部聞いてたよ、オブリビオン。覚悟は出来てるのかな?」
「なんでもありなら、こっちだって何でもありでやらせてもらうよ。」
「まぁ、ゲームの世界も少しは楽しめましたけど…。」
「オブリビオンも…落とせばいいの?」
 そしてゲームの中に入った猟兵が全員終結した。
「え、ちょ…お前ら早すぎだろ!」
 これには流石のオブリビオンも困惑。猟兵達に多少の誤算はあったが、オブリビオンもそれは同じだったようだ。違いを言うとすれば、誤差の違いだろうか?
 とにかく、これから猟兵達によるオブリビオンの殲滅が行われようとしたその時だった。
[ボンッ!!]
 大きな爆発音と、ほのかな火薬の臭い。
「「「「え………?」」」」
 オブリビオンを含めた一同が、怪訝な顔をする。ちなみに爆発の餌食になったのは不幸にも被弾してしまった変態怪人E。彼は大きく吹っ飛ぶと、光の柱を立てながら消滅してしまう。
「………。」
 そして全員が、一斉に少しだけ俯いているユキを…その手に持っているものを見る。
 どこで拾ったのか、彼女が持っていたのは『ゼンマイが付いた爆弾』…。
 彼女の怒りは、オブリビオン一体を爆殺させるだけじゃ止まることはなかった。…少なくとも、ここにいるすべての変態怪人を爆殺させるまでは…。


 爆発オチなんてサイテー…。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月05日


挿絵イラスト