バトルオブフラワーズ③~臭い奴らがやってくる
●ザ・ビルドステージの空
さざめく音が聞こえる。音が増えていく。ザザ、ザザ、ブゥンと。
ひとつやふたつではない。数えきれない不快な音が、戦場に響く。
ここは、キマイラフューチャーのステージのひとつ。兵器の残骸で埋め尽くされた戦場。ザ・ビルドステージと呼ばれる場所の空が、緑色で、黄色で、紫色で、とにかく気色悪い有象無象で埋め尽くされていた。不快な羽音が迫る。奴らがやってくる。目指す先は、間違いなくここ。
彼らがどこからやってきたのかは、大した問題ではない。ただ間違いないことは、君たち猟兵の敵であるということだ。抵抗しなければどうなるか……想像に難くない。
爆発音がする。斬撃音がする。ぼたぼたと虫が地に伏す。一人の猟兵が咄嗟に鼻を抑える。だが、もう遅い。鼻粘膜を通じて、臭気を放つ物質が吸収された後では。猟兵たちはあらためて知る。昆虫という生命体の持つ生存戦略を。その底知れぬ、臭いを。
●笛の音が響く
「はいはーいっ! だいちゅーもく!」
グリモア・ホイッスルがけたたましく鳴って、一部の猟兵が耳を抑えた。制服に包まれた細身の体をきゅきゅと動かして、グリモア猟兵のエヴェリーナ・ヘリッジ(笛の音が鳴る・f02247)は自分の存在をアピールする。腰に下げた魔法剣は、彼女がマジックナイトであることの証左。太ももがはっきりと見える丈のスカートは、彼女なりのおしゃれなのかもしれない。オレンジ色の瞳は聴衆の反応を意にも介さぬようで、彼女は説明を始めた。
「あなたたちの敵は、虫! 虫がやってくるわ! それも、とんでもなく臭い奴!」
手をひろげ、親指と小指をうねうねと動かす。どうやら手で虫を表現したいらしい。それはジェスチャー宛てなのか、あるいは以来の内容を想像したのか、猟兵たちから苦笑いが漏れる。エヴェリーナは、したり顔で作戦説明を続ける。
「虫の大軍団を、防衛施設で討伐する! これが今回の仕事ね」
作戦はこうだ。戦争では、『ザ・ステージ』と呼ばれる6つの戦場をオブリビオンから奪わなくてはならない。今回の依頼ではそのひとつ、『ザ・ビルドステージ』が舞台となる。
「このステージの特殊ルールは、その名も『タワーダイセンリャク』よ!」
曰く。各ステージには、『特殊な戦闘ルール』があり、たとえ敵を倒しても、敗北条件を満たすと謎の力で追い出され、強制敗北となるのだという。
「『タワーダイセンリャク』のルールはね。一人一つ、【防衛施設を作る】こと!」
どう? ロマンを感じる?と青い髪のグリモア猟兵は平坦な胸を張る。この戦場においては、【防衛施設】を作り、それで戦うことがルールらしい。ぐるりと作戦に参加する猟兵たちを見回して、何か気になることはあるかしら?とエヴェリーナは問いかける。
――具体的に、どんな施設を作ればいいのか? と一人の猟兵が質問する。
「やってくる虫の駆除に有効だと思うものなら、なんでもいいわ!」
――注意点とか、おすすめとかないの?
「【移動不可】で作成することをおすすめするわ。【移動不可】で作成すると、そのぶん耐久力が上がるからね。逆に【移動可能にしちゃうと、耐久力が大幅に低下する】から注意!」
――【防衛施設】の材料ってどうすればいいの?
「戦場には、様々な兵器の残骸が積みあがっているわ。これら残骸をパーツにして、思い思いの【防衛施設】を立てて欲しいの。技術水準は、UDCアースでいう第二次世界大戦以前程度っていったら伝わるかしら。銃とか、飛行機とか、戦車とか、大砲とか、火炎放射器とか……なんかこう、色々ね! 外の世界からの大っぴらな持ち込みは、あまりおすすめしないわ。なるべくこの世界のものを活かした方がきっと有効だと思う!」
――複数の【防衛施設】って作れない?
「時間やスペース、コストとか……なんか色々考えると、作成できる『防衛施設』は、1人1つが限界だと思うわ。2つ以上作るのは、やめた方がいいと思う」
――【防衛施設】が壊された場合は?
「防御施設が撃破された後、自分だけで戦う事もできるわ。猟兵だもの。でも敵の数はあまりに多くて、戦闘力は大幅に減少するといえるわ。あまり戦果は期待できないでしょうね」
――敵の詳しい情報とか、ないの?
「臭い虫よ。とてつもなく、臭い虫。飛ぶわ。手を出すと、臭いわ。倒しても、臭いわ。彼らを残さず倒せば、駆除完了。作戦は成功よ!」
「説明はこんなところでいいかしら。みんなの健闘を祈るわ! 頑張ってね!」
くりくりとした瞳を輝かせて、エヴェリーナ・へリッジという名のグリモア猟兵は、どこか他人事のように君たちを見送った。なにせ、彼女は戦場に行かなくていいのだから。その戦場の臭いは、誰しも容易に想像できるがゆえに。
隰桑
お久しぶりです。隰桑(しゅうそう)です。
成功条件:防衛施設を作ること。
●依頼について
虫を倒すだけなので、あまり難しく考えなくて大丈夫です。判定も相応です。【防衛施設】作成にあたって、スクラップビルダーである必要はありません。猟兵ならどなたでも、思い思いの防衛施設を作ることが可能です。
●防衛施設作成のルール
以下の通りです。
・防衛施設は一人一つ。
・材料は戦場に転がっている兵器の残骸。
・移動不可を推奨。移動可能だと耐久下がる。
●敵について
たくさんいて、臭いです。戦うだけで臭いです。倒しても臭いです。
OPでは臭い対策について敢えて触れませんでしたが、対策しない場合、相応の覚悟をもって挑んでください。臭いに対する反応がプレイングにあれば、積極的に採用いたします。
●隰桑について
アドリブは呼吸のようなものです。
アドリブ連携は好物です。他の猟兵さんとの連携不可の場合は、【連不可】と記載ください。
第1章 集団戦
『群れを成す者『ペンタトゥミディア』』
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POW : 臭気放出(臭い)
【凄まじく不快な臭気】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 絶望的な余韻(臭い)
【十秒前に攻撃されたかの如く臭いを撒きつつ】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : バッドスメル(臭い)
【どこ】から【ともなく耐え難い臭気】を放ち、【不快感】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:笹にゃ うらら
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ペイン・フィン
恋人のファン(f07547)と参加。
キマイラフューチャーは、個人的に好きな世界だからね。
戦争で、めちゃくちゃになるのは……、嫌、だな。
防衛設備、放水機を作ろうか。
広範囲に、大量の水をまけるように、何か、工夫もしたいな。
武器改造技能とか、使えないかな。
完成したら、防衛戦、開始。
そして、コードを使用。
毒湯“煉獄夜叉”を複製。
内部の毒の成分を、殺虫と消臭に特化したものに変更。
そしてそれを、放水機で発射。
なぎ払い、範囲攻撃、メカニック、毒使い、念動力など使用。
発射した毒湯を念動力で操って、臭いごとカメムシを包み込む。
ファンと連携しながら、封殺するよ。
臭いのは、嫌だから、なるべく臭いが出ないように……。
ファン・ティンタン
【WIZ】過ぎた力は身を滅ぼす
ペイン(f04450)、頼りにしてるよ?
私は、すごく、すごーく怒ってる(無表情)
あなた達みたいなのが、この時期私の布団を、安息の場所を台無しにしていくんだよ
だから―――あなた達は、私が裁く
【精霊使役術】で泥田坊を呼び出し、普段よりも過剰な魔力供給で協力を仰ぐ
ウンディーネには二度は頼めないんだよ…お願い、泥田坊、何とか力を貸して…
泥田坊協力の下、瓦礫を組むことで檻の外殻を作り、隙間を泥で埋めることで密室を作る
ペインがある程度弱らせ、制圧した敵を土石流で絡め取り、檻へ収容していく
彼らには、あの臭いは過ぎたモノだよ
自らをも蝕む、強すぎる臭い
故に―――異臭に溺れて溺死して
●歩き出す
「戦争で、めちゃくちゃになるのは……、嫌、だな」
個人的に好きな世界だからね、と彼は呟いた。白地の面で隠れていようと、彼の表情が言葉通りのものであることぐらいは彼女にもわかった。だから、白い少女は答える。
「それじゃ、守らなくちゃね。ペイン、頼りにしてるよ?」
彼女の声は素っ気なく聞こえたけれど、言葉通りのものであることぐらいは彼にもわかった。ぐにぐにと柔らかな銃身を折り曲げながら、ペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)の口許は僅かに緩む。その表情は、年相応の少年のそれに見える。
「ん。……任せて」
小さく頷いて、漆黒の外套が翻る。作るものを決めたのか、それとも自分の表情を隠そうとしたのか、あるいは両方か。赤い髪の少年は迷わず歩き出した。
「やれやれ。……さて、と。――――私の声を聞いて頂戴」
心の中で苦笑を浮かべ、自分の仕事に専念せんと左目を閉じて祈りを捧げる。ファン・ティンタン(天津華・f07547)が呼びだすのは、泥を纏った人型のなにか。片眼にして、三本指。歪な姿の小さな妖怪。ファンという名の見目麗しき猟兵の、心強き隣人のひとつ、泥田坊。しかし、一つしかないその瞳は愠色すら孕んでいた。
「お願い、泥田坊、何とか力を貸して……」
戦うことと、戦うための準備。どちらもこなすためには、彼の協力が不可欠だった。祈りの言葉だけでなく、普段以上の魔力献上をして納得させる。やがて、納得したのだろう穏やかな表情となった彼らが動き出す。ぼとり、ぼとりと泥を滴られせながら、命令のままに廃兵器たちを組み上げていく。
「それは、そっち。ん……、その隙間は泥で塞いで」
従う以上、妥協は許さない。表情こそ読めないが、てきぱきと指示を出す。その声に続くように、ずぬぬと動く。虫を通さぬよう隙間を潰し、彼の帰りを待つ。
準備は順調に進んでいった。
●最後の仕上げ
「……それで、結局この装置はどう使うの?」
ほっそりとした白い指が排出口を撫でる。ファンの赤い瞳がペインへと向けられる。
「ん。これはね、放水機なんだ。大量の水を撒けるように、複数の放水銃を連結させてみたんだ」
どこか自慢するように、【武器改造】で作り上げた防衛設備の仕掛けを説明していく。
「……最後に、これを注いだら完成」
十種罰宝から、竹筒を取り出して、念じる。少しだけ嫌そうな顔を浮かべながら。竹筒がふわふわと浮き、瞬間の後、増殖する。それを見たファンの眉が、拒絶するかのように微動する。
「あ。えと……ごめん」
「……どうしてもまだ、慣れなくてね。けど、やりたいことはわかった」
「ん。……まあ、つまり、そういうことだよ」
その威力は、お互いによく知っていた。煉獄夜叉が湛える毒湯が注がれて、準備万端。同時に、羽音が鳴り響いた。
●防衛戦、開始
それはまるで、暗雲のように見えた。深緑や、黄色の斑まじりでなければ、そのまま信じられたかもしれない。だが、目の前の大群は間違いなく虫の群れとわかった。わかってしまった。それを見て、ペインは嫌悪のため息をつく。怯えた様子はない。
「嫌になるぐらいの数だ。あれが一斉に臭いを放つとしたら、ゾッとしない。そうならないためにも、――――よろしくね、……“煉獄夜叉”」
躊躇いのない動作で引き金を引く。複数設えられた噴出口から、勢いよく熱湯が噴出されて、先頭の虫――『ペンタトゥミディア』が飲み込まれる。とはいえ、ペンタトゥミディアはただのクサイ虫ではない。れっきとしたオブリビオン。熱湯ごときで止まるはずがない。この程度か、と一匹の虫が眼下の猟兵をあざわらうように大きく羽ばたいた。だが、その動きが止まる。くらりと揺れて、地面に落ちる。どうして。湯にあたった程度では倒れないはずなのに。その正体を考える知性を持っていたかどうかはともかく、理解する間は与えられなかった。
「……悪いけど、情けはかけないよ」
薙ぎ払うように、放物線を描いて放たれる水流が交差して、次々と虫たちが飲まれていく。回避するように、ペンタトゥミディアが大きく飛び上がる。それを逃がさぬとばかりに、噴出された湯がまるで意思があるかのように追いかけて、飲み込む。虫が落ちる。弱ったものから次々に、ぼとりぼとりと落ちる。彼らの一部は臭いを発そうとするも、一切すべて湯の中に呑まれていく。だが、トドメを刺すには至っていない。落ちた虫は時間が経てばその生命力ゆえにまた動き出すだろう。とはいえ案ずるに及ばない。彼らの策は、二人の力をあわせてこそ。
「臭いのは、嫌だからね」
そっと、付け加えた。
「私は、すごく、すごーく怒ってる」
無表情に、彼女は呟いた。
「あなた達みたいなのが、この時期私の布団を、安息の場所を台無しにしていくんだよ
だから」
両手を広げ、新たな隣人を呼びよせる。
赤い右目が、見開かれる。本気の目だ。
「―――あなた達は、私が裁く」
ゴウ、ゴウと音が響く。地面に落ちた虫たちを泥の津波が飲み込んで、泥田坊が作り出した"施設" へと流し込んでいく。二人のもとにやってきたペンタトゥミディアを余さず"檻" にしまい込んで、ペインに目線で合図する。
「あなた達には、その臭いは過ぎたモノだよ。自らをも蝕む、強すぎる臭い」
その臭いを発揮させる暇すら与えずに、完封しながらも言い放つ。
「故に―――異臭に溺れて溺死して」
白い仮面の少年が、竹筒を傾けた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アイシス・リデル
【連不可】
……くさいのは誰だって嫌、だよね
そうだよね……
わかってるけど、それでも守りたい、から
こういう、スクラップで何かを作るのは慣れてる、よ
【堆塵撃】の時みたいに、わたしの身体でスクラップを繋ぎ合わせて作る、ね
攻撃とか防御の為の施設、じゃなくて、逃がさない為の罠がいい、かな
ネズミ捕り……みたいのだと数が足りない、から、粘着罠?
防御が手薄なところで、他の猟兵の人の邪魔にならないように戦う、ね
粘着罠に誘い込んで、わたしのバラックスクラップで確実に潰してく、よ
くさいのには、慣れてるもん
わたしのはゴミの臭いで、下水の臭いで、あなたたちの臭いとは、違うかも知れない、けど
どっちも同じ、きらわれもの、だよ
●戦場選び
「(……くさいのは誰だって嫌、だよね)」
汚泥のように鈍く光るタールの顔が、寂しそうにどろりと歪んだ。
「(……わかってるけど、それでも守りたい、から)」
きらきらと光るオレンジ色の瞳は、間違いなく聖者のそれだった。
都合の良さそうなスクラップを拾い集めながら、他の猟兵たちがいない場所を探して歩く。誰かと一緒に戦うことを望まない。でも、誰かを守るために戦うために。だから、なるべく守りが手薄そうな場所を探して歩く。誰かがやらねばならないことだった。単独で、連携や優位を捨てた不利な戦いに臨む。
プレイ・アローン
それが、アイシス・リデル(下水の国の・f00300)という猟兵の戦い方だった。
「……ここに決めた」
スクラップに、粘着罠を張り付けて、地面に突き立てていく。翼を持つ昆虫とはいえ、ずっと高い場所にいるわけがない。最後は低い方へと降りてくる。ここを通らざるをえない。それから、誰かの防衛施設から逃げ出した敵を逃がさないようにするために。逃走経路も潰さなきゃ。確実に、捕らえるための罠。
がしゃり、がしゃりと積み上げて、ネジを回して鋲で止めて、スクラップの罠を組み立てる。よろよろと危なっかし気に揺れながらも、健気に罠を積み立てる。
「(こういうのは、慣れてる、よ……なんて、ね)」
一人笑う。なるほど、スクラップビルダーの面目躍如というべきだった。
●きらわれもののたたかい
「……わ。たしかに、くさい、ね」
キィ、キィと鳴きながら、凄まじく不快な臭気があたりを覆う。それを嗅いでもなお、アイシスは平然としたまま、バラックスクラップを大きく振るう。一匹のペンタトゥミディアに直撃して、スクラップにべったりと臭気を放つ黄色い液体がこびりつく。数匹のペンタトゥミディアがその一撃を避けて、粘着罠に囚われる。なぜこの臭いを嗅いで平然としていられるんだとばかりに、粘着罠で身動きのとれなくなったオブリビオンが恨みがましい目を向ける。
「ごめんね。……でも、くさいのには、慣れてるもん」
それに気づいて、アイシスはどろりと笑う。
「わたしのはゴミの臭いで、下水の臭いで、あなたたちの臭いとは、違うかも知れない、けど――」
バラックスクラップの汚れをぬぐうことなく、大きく振り上げる。
「どっちも同じ、きらわれもの、だよ」
またひとつ、大きな黄色い染みができた。
大成功
🔵🔵🔵
セリオス・アリス
アレス◆f14882と
アドリブ◎
要塞なぁ
攻撃は最大の防御っていうし…
兵器の残骸から攻撃できそうなものを集める
大砲に火炎放射機に…っと
全部集めて壁にすりゃ強いだろ!
できたのはそれ自体が大砲のような物
まあ…確かに要塞にはちいせえけど
そんじゃアレスお前のと合体だ!
アレスの要塞に取り付け準備完了
うわっマジでくせぇ
顔しかめ鼻をつまみ
全部とっとと焼き払ってやる
焼けば臭わないのでは?と
一斉放射
…うぐ、無理…
広がる焼けた臭いに限界と下がり
アレスのマントに顔を埋める
お前のがいい…匂い落ち着く
ぎゅっとマントを握って離すのを拒否
おおー!アレスお前天才か!
風でマシになったらはしゃいで
同じように風を起こして匂いをとばす
アレクシス・ミラ
アドリブ◎
セリオス◆f09573と
材料は機関車や戦艦、戦闘機をベースに
防御重視で堅牢なものを目指したいね
そして出来たのは城塞…否、城壁
セリオスは攻撃重視か
君らしいけど、小さくないか?
合体の言葉に驚くも少し考え
…分かった、やってみよう!
臭気が酷いな…
マントで鼻と口を覆い
早めに終わらせよう
壁の機関銃や【天星の剣】で援護を……えっ
一斉放射に唖然
そして悪臭の波に巻き込まれる
連 帯 責 任
不味い…気分が…
…セリオス、自分の外套で防いでくれ…
マントを握られ、顔が赤くなりそうになるのを堪える
…君だけ堪能してるのはずるいだろ
ボソリと呟き
(咳払い)…対策として
壁一面をプロペラに変形、風を起こせるようにしました
●黒歌鳥、困る
「要塞なぁ。攻撃は最大の防御っていうし……」
どうすりゃいいんだと頭を抱えるのは、黒髪の猟兵。細く、繊細な顔立ちからは考えられないほど、何も考えているようには見えなかった。セリオス・アリス(黒歌鳥・f09573)はとりあえずとばかりに、彼の思う"役立ちそうなもの" を集め始める。それはどんな? 決まっている。大砲に、火炎放射器に、……とにかく攻撃できそうなもの。昆虫を殺せそうな、兵器。纏めて壁にすれば、強いだろうとばかりに無造作に拾い集める。
それらを適当に組み立てて、嵌めて固めて、ぽんぽんと叩く。ガシャリと崩れた。
「……やべ」
きょろきょろとあたりを見回す。"あいつ" は見てないみたいだ。
そのあたりで拾ったゴム紐で補強する。これでよし。
野戦砲から拝領した車輪を、きゅらきゅらと回して動かして、彼が待っているだろう戦場へと運んでいく。
「……なるほど、セリオスは攻撃重視か」
運んできた【防衛施設】を見て、君らしいねと爽やかに笑った。
「けど、小さくないか?」
顎に手を当て、思案するような仕草で問いかける。青い瞳が、まっすぐ向けられる。
「まあ……確かに要塞にはちいせえけど」
拗ねたように、セリオスは口を尖らせる。そのまま、むすっと黙り込む。沈黙が生まれる。その反応を見て、言い過ぎだったかとアレスが慌て出すのとほぼ同時に、セリオスの顔に笑顔が浮かぶ。宝物を見つけたかのような、無邪気な笑顔が。
「うし。そんじゃ、アレス。お前のと合体だ!」
それを聞いて、アレスは驚きの表情を浮かべる。だが、アイデアごときでは慌てない。
「………分かった、やってみよう!」
少しだけ思案の間をおいて、大きく頷く。
無茶を言うのがセリオスなら、それを叶えるのがアレスだった。
●夜明けの騎士、困る
城壁の外で、ペンタトゥミディアが潰れてできた体液の液だまりが広がっていた。
「うわっ、マジでくせぇ」
整った顔がしかめっつらに、鼻をつまんでかがないように。アレスの建てた城壁の中で、セリオスが愚痴を吐く。
「ああ。臭気が酷いな……」
柔らかく優し気なアレスの顔も、さすがに曇っていた。青く柔らかな仕立てのマントで、鼻と口を覆い隠すも、臭いというのはそんな簡単に防げるものではなかった。
「……とにかく、早めに終わらせよう」
「ああ、全部とっとと焼き払ってやる」
「とりあえず、壁の機関銃や、ユーベルコードで援護を――」
「――焼けば臭わないのでは?」
「――えっ」
ぽちっとな。セリオス特製防衛施設こと、大砲の一斉発射。
戸惑うアレスの反応を、兵器は待たない。
ド ド ド ド ド ド
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
ン ン ン ン ン ン
「――――――えっ」
圧倒的な火力。一部のマニアがよだれを垂らして喜ぶだろう、火力という名の暴力。火炎が舞う。砲弾が跳ぶ。砕ける虫の体。飛び散る体液。唖然とするアレス。二人を飲み込むように広がる、悪臭の波。聡明なアレスには、次の展開が容易に想像ついた。咄嗟に口を押える。だが、もう遅い。共に戦う者の、避けられない結末。黄色と黒が入り混じった煙が、城壁の中へとなだれ込み、狭い空間を満たした。
「こ、これは……臭気が酷いな……」
広がる焼けた不快臭は、ただの虫の死体が放つ臭いよりなお性質が悪い。胃酸が込み上げてくるのを、アレスは感じ必死で抑え込む。戦闘を継続するのは、困難だった。気合で抑え込んでも、現状維持が精いっぱい。
「……うぐ、無理……」
お茶の間に見せるには憚られるような表情を、セリオスが浮かべ、最も近くにあった布に顔をうずめる。ふっと表情が和らいだ。
「セリオス、自分の外套で防いでくれ……」
その様子を見て、懇願するようにアレスが抗議する。嘔気と戦いながらの声は弱々しい。
「やだ。お前のがいい。……匂い落ち着く」
迷いのない、拒絶。言葉だけでなく、握る力をセリオスは強める。
ぎゅっとマントが握られて、ひっぱられるのをアレスは感じた。咄嗟に顔を逸らす。
「(………君だけ堪能してるのはずるいだろ)」
ぼそりと呟く。セリオスはじっと顔をうずめたままだ。聞こえているかどうかは、わからなかった。それが一層悔しくて、ごほんと咳払いをひとつ。
「……とにかく、対策が要る」
じっと動かない黒鳥を振り払って、アレスは壁面を弄りだす。取り残されたセリオスの、名残惜しそうに青いマントと金の髪を眺める視線を背に受けながら。がしゃり、がしゃり。
「これでよし。……どうかな?」
「おおー! アレスお前、天才か!」
壁面に設えられたプロペラが起こす、爽やかな風が二人の城中を吹き抜ける。悪臭が吐き出されていくのを見て、セリオスがはしゃぐ。魔力の風が巻き起こり、プロペラが一層回転する。戦況は、二人の機転で立て直された。
迫る昆虫が何体いようと、二人がそろっている限り、負ける未来は見えなかった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
バーン・マーディ
この世界は中々に変わっているな
事前
ゲーム内における兵器についてと敵の布陣とマップについて細かく調べ
更に己が作る拠点の兵装についての使用方法を細かく把握し之から召喚する者達と情報共有
兵器
移動不可の要塞
ユベコ発動
迅速に拠点要塞
パリ砲とガトリング砲の設置を行う
我は拠点の前に立ちはだかろう
オーラ防御で敵の攻撃と臭気両方を防御
武器受けで攻撃を受けカウンターで切り捨て
更に拠点からガトリング砲と巨大砲弾による蹂躙(尚、召喚したデュランダル騎士達がそれらの兵装を使用
主に我が引き受けきれない敵へと銃撃砲撃銃撃!
集団戦もまたヴィランの在り方よ
拠点からの援護射撃を十全に利用して堅実に確実に手この殲滅を試み
殲滅だ!
●デュランダルの騎士
「……この世界は中々に変わっているな」
砲門が並べられた防衛拠点の前で、黒い影が一人呟いた。彼の手に取る魔剣の、身に纏う鎧の禍々しさは、ともすれば何もかもを排除しかねぬ威圧感に満ちている。しかし、彼もまた猟兵。この戦場に、襲い来る脅威を打ち払うためにやってきた一人。バーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)は、空を染める敵の大群を見ても、余裕を崩さなかった。
「――来たれ我に忠を尽くし者達よ」
キチチ、キチチ、と虫が鳴く。なんだ、敵は独りかと嘲笑うように。群れを成して安心しきった黄色い瞳が歪む。今まさに降下せんとばかりに羽ばたく。
そんな無邪気な敵の様子を気にもせず、反転せし騎士は呼び掛ける。
誰もいないはずの"そこ" へ、高らかに宣言する。
「我は此処に居る。我は此処に在る。この場こそ我が領域なり」
その声に応じる影がある。一つや二つではない、十、二十、三十人にものぼろうか。ユーベルコードによって呼び出されるのは、かつてありし叛逆の組織「デュランダル」の騎士たち。彼らは、総帥の指揮のもとに持ち場へと駆けだす。迷いはない。ただ、命じられるがままに。
「用意はいいか。――撃て!」
号令のもと、飛来する集団へ、銃弾が、砲弾が放たれる。ぶちり、ぶちりと虫の体が引き裂かれる。銃弾を受けて、先頭を飛ぶペンタトゥミディアがぼとりぼとりと落ちる。巨砲から放たれた砲弾が通った箇所、群れの間にぽっかり穴が開く。ギチチ、ギチチと虫が悔し気に鳴く。
「集団戦もまたヴィランの在り方よ」
戦果を前に、満足気に笑う。しかし、油断はならない。なにせ敵は数だけは多い。砲弾で幾らか削れたとしても、その間隙を埋める頭数だけは十分にいた。
「――さあ、殲滅だ!」
不敵に笑った黒い騎士は、魔剣「Durandal MardyLord」の刃を煌めかせた。
大成功
🔵🔵🔵
神計・紅牙
護りの陣ならば我の得意ゆえ任せておくがよい!
虫如きに遅れを取る我ではないわ!
やはり優位を取るなら高所から狙うのが良いな
丘になってる場所を選定し、坂には鉄条網を配置せよ!
頂上には穴を掘れ!塹壕ぞ!
四方を固めて機関銃を置けば突貫ながらまあ良かろう
さて、後は向かってくる輩を撃つだけよ。
機関銃で撃って撃って撃ちまくるのだ!
逃げる虫はただの虫よ。逃げぬ虫はよく訓練された虫ぞ!
ハッハッハ、中々楽しいではないか……臭いさえなければな。
一応、周囲に錬成カミヤドリで我が物差しを浮かべ、風車の如く回転させて臭いが漂って来ぬようにしてみよう。
仮初めの身体はともかく本体に臭いが着くのは嫌だしな
これでも我、国宝だしな?
月宮・ユイ
流石はキマイラフューチャー…戦争でも面白おかしいノリね
<機能強化>”学習力”で常時行動最適化
・防衛施設
”拠点防御の為の知識”活用、”念動力・怪力”で作業補助
トーチカ作成。武装としては”範囲攻撃”可能な火炎放射器を用意
銃口の向きを変更できるようにし更に攻撃可能範囲拡大、
虫たちを焼き払う
・臭い
「っっ!これはもう一種の兵器でしょう…」(涙目で鼻から口覆い)
早く対策を…
”情報収集・2回攻撃”<UC殺し>
地面に複数の陣を敷く形で徐々に効果範囲を拡大していく
まき散らされた匂いを(涙目で嫌々ながら)分析解析
臭いに対応した、臭い吸収打ち消す力場を作り上げる
連携アドリブも歓迎
フィン・クランケット
防衛施設の建設っ
よぉし、がんばりますよぉ~ってクサっ!!
え?え?
うわやっぱりクサっ!!
よ、妖精さぁん…え?無理?匂いは無理?
そんなぁ…
半べそ掻きつつ、防衛施設の建設に取り掛かります
ぐすぐす、目に染みるぅ…ん?あれ?ちょっとだけ和らいだ、ような?
(アホ毛がぐるぐる回って風を起こし、ほんのり匂いが来づらくしてる。けなげ)
嗅覚が麻痺しただけかも知れませんが、よぉし、今の内に!!
えっさほっさと荷物を運んで、防衛施設を作ります
隙間がないように、うまーく埋めて
それでもできた隙間は、妖精さん、お願いしますね?(氷で固めてもらいます)
これで完成です!
それでは遠慮なく…もー!貴方達クサイんですよぉ!!(UC)
●特火点
「護りの陣ならば我の得意ゆえ任せておくがよい!」
と、彼は胸を張った。少なくとも見た目は少年にしか見えない。しかしその自信と、どことなく気品のある仕草は、少年のそれではない。それもそのはず。由緒正しきヤドリガミを、常識の物差しで測る愚かさは語るまでもないだろう。虫に後れを取るなどありえないとばかりに、勝利を疑う様子は微塵ともみられなかった。
神計・紅牙(天の御柱・f01140)は、「やはり優位を取るなら高所から狙うのが良いな」と軍配で小高い丘を指し示す。そんな様子を見て傅くように、金と銀の瞳をした少女が静かに頷いた。
「はい、お手伝いします」
月宮・ユイ(捕喰∞連星・f02933)は、シャベルを手に取る。見た目は可憐な少女の彼女もまたヤドリガミ。艶やかな黒髪が風を受けて揺れる。紅牙の指示のもと、丘が防衛拠点として整備されていく。二人が位置すべき場所に、動線に、塹壕が掘られていく。どちらから敵が来てもいいように、機関銃が配置される。その前には鉄条網が敷かれ――中央には構造物が築かれた。
「……なるほど、特火点じゃな」
「わかりますか、さすがですね」
「当然じゃ。護りは得意と、申したであろう」
感心したように、和装の少年が言葉を漏らすと、従者然として少女は得意げに微笑んだ。なるほどユイの判断で築かれたトーチカは、見事であった。類稀な学習力の精華か、紅牙の意を完全に理解していた。火炎放射器の可動性を担保することで弱点を減らすことに成功し、防衛陣地を一層強固なものとしていた。それを誇ることなく、男を立てるように一歩引いて見せる。一方の紅牙は、それを当然と受け入れられる立派な男であった。
「これで準備は万端、じゃな」
「はい。やることはやりました。一緒に勝ちましょう」
出来を見て回ったあとで、二人は満足げに頷いて空を見上げる。
戦闘開始はまもなくだった。
●撃ち落とす
「(流石はキマイラフューチャー……戦争でも面白おかしいノリね)」
虫で染まった空を見て、ユイはぼそりと呟いた。敵の虫をよくよく見れば、なんとも憎たらしい顔つきで、くすりと笑う。だが油断はしない。どんな姿で何をしようと、相手はオブリビオン――存在するだけで、世界を食い尽くす存在なのだから。
「さあ、炎をたっぷり食らいなさい」
飛来した方向へ、火炎放射器の銃口を向ける。朱色の炎が噴き出して、ペンタトゥミディアを黒く染めていく。ギチチ、ギチチと苦悶の音が鳴らして、次々と虫が落ちていく。その様子を見て、ユイは満足げにほほ笑んでいた。有効な位置に配置されたトーチカは、最も防衛に向いた設備といえよう。空を飛ぶ虫は銃眼に突っ込まざるをえず、柔軟な移動ができない。これが屋根のない塹壕だけであれば、これほど順調にいかなかったに違いない。月宮・ユイという戦闘経験に長けたヤドリガミの為せる技だった。
「ハッハッハ、中々楽しいではないか!」
一方の紅牙も、満足げな高笑いをしていた。
「逃げる虫はただの虫よ。逃げぬ虫はよく訓練された虫ぞ!」
ばらまかれた銃弾が、次々に緑色の、黄色の、虫を撃ち落としていく。ぼとぼとと落ちる。ばたばたと落ちる。その様子は、なるほど愉快なものに違いなかった。
敵は犠牲を厭わず数任せに進撃を続ける。近づいたとて、所詮は虫。猟兵たちに負ける要素はなかった。しかし、問題は生じつつあった。近づくにつれて、伝わるようになるもの。そう、臭い。黄色い煙が、あたりを満たしだした。
「――っっ!」
冷静だったユイの目が見開かれる。その空気を、鼻腔が拒絶する。痛い。不快とか、嘔気とかを通り越して、痛い。それほどの臭いであった。一匹のペンタトゥミディアが、ざまぁみろとばかりに口をゆがめる様が見えた。黙って火炎放射器の炎を向けると、彼は焼け死んだ。それでも臭いは止まらない。
「これはもう一種の兵器でしょう……」
ため息をつく。なるほど、確かに兵器と呼べるだけの脅威だった。
●臭う、臭い
「クサっ!!」
物凄い形相をして、一人の猟兵が叫んだ。頭の上にはぴょこんと生えた蜜柑色した大きなアホ毛、エルフの尖った白い耳、くりくりとした青い瞳。フィン・クランケット(蜜柑エルフ・f00295)は鼻をつまんで、くちゃいくちゃいと呟きながら、防衛設備を稼働させる。臭いのせいで、目に浮かんだ涙をぬぐいながら、ペンタトゥミディアを撃ち落とす。泣きながら機関銃を扱う様は、なんともシュールだった。
「なんじゃお主。いたのか」
機関銃を撃つフィンの隣で、紅牙が目をまるめる。
「い、いましたよぅ……この拠点建てるのも手伝ったじゃないですかぁ」
涙をぽろぽろ流しながら、フィンが抗議の声をあげる。トーチカや塹壕は、フィンの友である妖精さんの並々ならぬ働きの貢献なくして完成しなかっただろう。ちなみに妖精さんに、戦闘開始後にも防衛施設で戦ってくれないかとお願いしたところ、臭いのは無理と断られてしまった。残念。
「すまぬ、すまぬ」
紅牙が少し慌て気味に詫びてみせる。
「ぐすぐす、臭いと扱いのダブルパンチが目に染みるぅ……ん? あれ? ちょっとだけ和らいだ、ような?」
傍らの二人の猟兵の目には、フィンのアホ毛がぐるぐる回って風を起こしている様が見えた。意思を持つかのように回るアホ毛(バトルモード)、一体どういう原理なのか。そして、それは有効な働きをしているのだろうか。ほんのり臭いが来づらくなっているのかもしれない。あるいは嗅覚が麻痺しただけかもしれないが。
「……それ、どういう原理で」
「?」
あまりに気になってしまい、ユイが尋ねるように呟く。だがフィンは気づいていないのか、きょとんとするのみだった。
「ふむ。仕方ないのぅ。せめてもの詫びじゃ。臭いをなんとかしてやろう」
「できるんですか!?」
紅牙の言葉に、嬉し気に目を丸めるフィン。ちなみにユイは、すでに自身のユーベルコードで力場を形成し、自分だけ安全を確保していた。
「仮初めの身体はともかく本体に臭いが着くのは嫌だしな」
と紅牙は笑い、念じる。ふわり、ふわりと彼の周りの空間に物差しが現れ、くるくると回転しだす。それはさながら、風車のごとく、フィンのアホ毛のごとく。くるりくるり。トーチカの中に入りだした臭いを豪風が掻き出す。
「おおー! すごいですね!」
爽やかな風を頬に受け、臭いから解放されたフィンが両手をあわせて、黄色い声をあげる。なんとも若々しい反応に、紅牙は得意げに胸を張る。戦闘の障害となる臭いは完全に打ち払われていた。虫の脅威は、もはや亡くなったに等しい。
「これでも我、国宝だしな?」
それを聞いた商人エルフの目がきらりと光る。視線に気づいた国宝が目を向け返すと、青い瞳がそっぽを向いて、ぴ~と下手な口笛を吹く。
「さあ、脅威も潰えたところで遠慮なく美味しいところもらっちゃいますね!」
フィン・クランケットは誤魔化すように、威勢よく声を張り上げる。
「……もー! 貴方達、クサいんですよぉ!!」
数の減ったペンタトゥミディアをすべて視界に収めるのは、容易なことだった。恨みがましいその視線に貫かれた彼らに逃げ場はない。
きらきらと舞う氷の花弁に切り裂かれ、その悉くが墜ちる。
こうして、また猟兵たちは勝利を重ねた。
大成功
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リーデ・クインタール
【全世界サイボーグ連盟】の皆様と参加
アドリブ&絡み歓迎
防衛戦ですか… 先ずはメカニックとしての腕の見せ処ですわね
周囲の残骸や自身のエネルギーを使用(この程度のエネルギー消費なら影響は無視できます)して辺り一面を地雷原に変えてしまいましょうか。炸裂時に金属片を撒き散らすようにして、っと…飛ぶらしいですが撃ち落として起爆させましょう
・臭い対策:嗅覚センサーをオフにします(脳以外機械なので)
・戦闘 当然近づくのは論外ですので(地雷原にもしたし)キャノンを展開して「鎧砕き」の「スナイパー」として仕留めましょう 一定距離に近づいてきた相手はフレイムで燃やします。消毒です
クネウス・ウィギンシティ
【全世界サイボーグ連盟(全サ連)】で参加
アドリブ&絡み歓迎
「クラフトであれば、出番でしょうか」
【WIZ】
●臭い対策
ガスマスク(顔アイコン参照)があるので、何とかなるでしょう
●防衛施設
「迎撃する以上、砲台(タワー)が大量に必要ですね」
【メカニック】としての知識を活かし戦場に転がっている兵器の残骸を使ってキャノン砲や火炎放射器等に拠点防衛用に【防具改造】します。
「最後はユーベル・コードですね」
UCを用い、各種砲台に「人間以上の知性」を与えます。
「虫は消毒せねばなりません。頼みましたよ」
●自分自身
【スナイパー】として狙撃銃型アーマードフォートで空中を飛ぶ虫の撃ち漏らし防止のため狙撃します。
リズ・ルシーズ
全サ連と他猟兵と連携、アドリブ歓迎!
【SPD】
防衛拠点っていえば、やっぱり防壁かな?
【ルシーズ】を使って量産型Rシリーズを召喚かな、人海戦術で銃眼付きの防壁を作るよ!防壁の銃眼は30余り、ボクとルシーズが使えるようにだね
行くよルシーズ、【一斉発射】!
【地形を利用】して銃眼越しに、【スナイパー】としてボクとルシーズの擬似刻印による光【属性攻撃】のレーザーで攻撃だね
臭い……嗅覚、カットカット(顔をしかめて。神経の伝達系を停止)
他猟兵で前に出る人が居たら、【援護射撃】も忘れずにだね
防壁の上を飛んでいこうとする敵は、鏡面体で反射させて対空砲火かな
なんか、臭い体液が飛び散ってる気がするけど気のせいだよね
●機工兵の要塞
キマイラフューチャーのビルドステージは今や戦場に他ならない。広範な火制地域が敷かれ、その奥に広がる銃眼が設えられた防壁群。その中、要の位置は砲塔によって修飾され、ザ・ビルドステージは文字通り要塞と化していた。
「私も手を加えたとはいえ……これは、圧巻ね」
感嘆を呟いて、煙草に口づける。ふぅっと吐き出した煙が揺れる様の向こうに広がる要塞――そう呼んで差し支えないだろう―― を、リーデ・クインタール(戦闘狂+改造狂・f14086)の琥珀色の瞳が見つめていた。
「敵を迎撃する以上、砲台(タワー)が大量に必要ですからね」
その声に、誇る色は浮かばない。むしろ薙いだ水面のように平面的な、事務的な、ただ事実を伝えるようであった。クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)は。その気障に眼鏡の位置を直す様すら、どこか機械的である。技術者(エンジニア)としての知識を存分に活かし作り上げた砲台の威容は、常人なら全く誇ってもいいものを。それは狙撃手としての冷静さゆえか。
「しかし、これだけの砲塔をどうやって動かすんですの?」
リーデが首をかしげて尋ねると、白い長髪がゆるりと揺れた。
「そこはほら、ユーベルコードを使うのさ!」
横から快活な声が応じる。黒い甲冑に身を包んだ少女の声。クネウスとは対照的に、感情の起伏に満ちた得意げな声。リズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)の疑似声帯が生み出す音は、うら若い少女のそれにしか聞こえないことだろう。
「私は、もう使っていますよ」
その言葉に呼応するように、クネウスの作りし砲塔が旋回する。
まるで生きているみたいだねとリズが笑った。
「CODE:THE CREATOR。自らの技術を形(カタチ)にし、魂を吹き込む。技術者(エンジニア)とは元来そういうものです」
肯定するように、クネウスが頷いた。
なるほど、ボクも負けてられないなとリズが胸を張る。
『アーカイブ接続、ブループリント読込、圧縮展開』
リズの笑顔にあわせて、疑似声帯とは異なる、無機質な機械音声が響く。
「ボクはルシーズ、ボク達はルシーズ。ボク達の本質、見せてあげるよ!」
続く声は、生き生きとしたもの。まるで鏡面が幾重にも連なるかのように人影が広がっていく。虚像ではない。R-Seriesの姉妹機たちが、一斉に銃を構える。一糸乱れぬ統率は、サイボーグ兵の性能を何よりも語っていた。
「狙撃、得意ですものね」
ことさらに詳細を尋ねる必要はなかった。リーデにとってリズの技の冴えは、魔竜の住まう巣で既に知ったものだったから。
互いに互いの技を知り合う戦友たちは、万全の準備をもって哀れな昆虫を待ち構える。
いささか過剰ともいえるほど、徹底的に。
臭いだけが取り柄の虫を殲滅するため、完膚なきまでに。
機械仕掛けの猟兵の辞書に、手心などという言葉は存在しなかった。
●砲門が開く
「虫は消毒せねばなりません。頼みましたよ。――撃て!」
「行くよルシーズ、一斉発射!」
クネウスとリズ、二人の猟兵の声が重なる。
それを上書きするように、砲の轟音が響いた。
ギチギチと鳴る羽音の群れが、ビルドステージの空を覆っていた。何もかもをシニカルに嘲笑するような三"黄" 眼が恐怖で見開かれる。砲塔から放たれる無数の砲弾が、次々にペンタトゥミディアの甲殻を散らす。ぼとぼとと虫体が霰のように落ちる。
「ところで、リーデさんは何を仕掛けたんです?」
ガスマスクを付けようと両手に持ったまま、クネウスがリーデに尋ねる。
「もうすぐ、わかりますよ」
展開された右腕のキャノンの狙いを逸らさぬまま、リーデの口許が愉悦で歪んだ。戦いを生業にするものにだけ許された贅沢を前にした、耽美な笑いだった。リーデの視線の先にあるものを見ようと、マスクをつけたクネウスが好奇心に目を光らせて、顔を動かす。
視線の先の火制地域で、火柱が上がった。爆炎が上空のペンタトゥミディアたちを襲う。緑の昆虫が、黒炭に変わる。火柱の中で、きらきらと舞うものがあった。なんとか火炎を避けようと軌道を変えた昆虫の体を穿つ。
「私が仕掛けたのは、地雷原ですわ」
それが何事もないかのように、リーデがほほ笑んだ。
爆炎を背にしても彼女は優雅だった。
「なるほど、墜として爆発させるんですね」
ツッコミはない。彼は至極真面目な声で評価して、対デウスエクス砲「ゲオルギウス」の照準を定める。轟音。虫の身体が砕け散り、甲羅が、翅が、肢が、ぱらぱらと落ちる。地面に落ちて、そのまま。それを見て、訝し気にクネウスが呟く。
「……おや、爆発しませんね」
「もしかしなくても、威力がありすぎるんじゃないかな」
二人の傍で面白そうに笑って、私の番だと言わんばかりに、リズが光線銃を放つ。綺麗に頭を打ち抜かれたペンタトゥミディアが落ちて、地面に可憐な炎の花を咲かせた。
「お見事」
「ふふっ! どんなもんだ!」
「この調子で、どんどん潰していきましょう」
和やかな雰囲気で、戦いは続く。
●虫は飛び掛かる
ペンタトゥミディアたちは焦っていた。攻勢はすべて失敗し、最後の突撃と思っていた。しかし、彼らを待ち受けていたのは、一切疎漏なき防衛陣地。彼らの勝ち目を図る必要すらなかったといえる。近づくことすらままならない。近づこうと軌道を工夫した頭の良い個体はすべて、狙撃銃の餌食となった。運命の女神は、冷淡だった。
ならば、最後の一撃をと生き残りたちは翅を広げる。もはや生存は望まない。
デウスエクス、ペンタトゥミディアとして為すべきことを為すために。
銃弾で潰されながらも、虫の体が防壁にぶつかる。べちゃり、べちゃりと不快な音をたてる。体液が、べとりと壁に張り付いて、でろりと広がる。あたりに、まるで色のついたかのような空気が広がる。気づいたのは、リズだった。
「臭い……嗅覚、カットカット」
カットされた。
「どうかしたのかい、リズ?」
「どうかしましたの、リズ?」
「ううん、なんでもないよ。クネウス、リーデ姉さん」
二人は気づいてすらいなかった。
こと切れ、薄れ行くペンタトゥミディアの心の内には、ただただ寂寥感のみが残った。
砲音が止んだとき、哀れな虫の姿の影も形も見えなかった。
ただ、砲煙がわが物顔で空を漂うのみだった。
すなわち、猟兵たちのもたらした、完全勝利であった。
大成功
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