バトルオブフラワーズ⑧〜モノクローム・パンツ〜
「良い……落ち着いて聞いてね? 何を言われたか解らなくてもとりあえず聞いて」
ホログラムウインドウを背に、グリモア猟兵ミア・ウィスタリアがいつになく真面目な口調で口を開いた。
「キマイラフューチャーが、真っ二つに割れたわ」
お前は何を言ってるんだ。
既に顔にそう書いてある猟兵達にミアは掌を向け制止を掛ける。
「ストーップ! ま、ま、皆まで言うな。皆が何を言いたいかはよく解る! でも今回はマジだから! マジヤバイから!」
額の汗を拭いながら話すミアの話を要約するとこうである。
発端はつい先日起きたばかりのテレビウムロック事件。
その結果、キマイラフューチャー世界の根幹を為すシステムフラワーズへの侵略が明らかになった。
その指揮を執っているのがオブリビオン・フォーミュラ「ドン・フリーダム」。
まずはそこに至る為の六つのステージを全てクリアしなければならないと言う。
「それぞれのステージには特殊なルールも設定されているだけど、今回目指してもらうのはザ・ペイントステージ! 此処にはクロヌリスレイヤーって言うルールがあるみたいで……まぁ要するに陣取り合戦ね。白ブリーフを被った変態が街を真っ黒に塗り潰そうとしてくるからそれを阻止するのよ! 例え敵を倒しても街が真っ黒に塗りつぶされちゃうと失格と見なされてステージから強制排出されちゃうから気を付けて」
ミアが背後のウインドウにステージ上の街頭マップを映し出した。
細い路地が徐々に黒く塗り潰されていく。
「今、この街を白ブリーフを被った変態が黒で塗り潰していってるわ。全部塗り潰される前に敵を倒せれば皆の勝ち。塗り潰されたら皆の負け。簡単でしょ? 如何に効率的に塗られてるところを見つけられるかが勝負ね」
じゃあ、とミアが天球儀型グリモアを掲げる。
「作戦名バトルオブフラワーズ! 始めるわよ!」
龍眼智
えぇぇぇこの前宇宙戦争終わったばっかじゃないですかーーー!?( ̄▽ ̄;)
龍眼智です。
と言う訳でまさかの令和元年元日に開戦で御座います。
街を塗り潰そうとする白ブリーフ怪人を撃退しましょう!
白ブリーフ怪人なのに黒塗りとはこわいかに。
第1章 集団戦
『白ブーメランパンツ過激派怪人』
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POW : 至高の履物とは
【白のブーメランパンツ】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : 白ブーメランパンツとは強さの象徴なり
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【白のブーメランパンツ】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ : 白ブーメランパンツの魅力を知れ!
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【同志】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
イラスト:くずもちルー
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
白斑・物九郎
●WIZ
平伏せ変態共
この星は嵐の王の領土っスよ
全員まとめてゲームオーバーにしてやりまさァ
・まず中央/高所に陣取りステージ全体を俯瞰
・サーチドローン『茶斑の三毛』も放ち、敵布陣と侵略軌跡を把握(撮影&情報収集)
・敵の戦線の上げ方を【野生の勘】込で類推、路地上をパルクール(ダッシュ+ジャンプ+クライミング)で素早く移動し先回り(追跡)
・先回りざま【先制攻撃】的に【砂嵐の王】を一帯に放ち(投擲)、敵が向かおうとする先の風景をしっちゃかめっちゃかにする
・なんならモザイクの配列を駆使して曲がり角の先を別区画の風景に偽装、敵進軍を混乱させたり来た道を戻らせたりを狙う妨害特化プレイ(だまし討ち+地形の利用)
強風に晒されるビルの屋上に立つ漆黒の影。
暦の上では初夏に入ったとは言え、高所に吹く湿気を孕んだ風はまだ冷たい。
それを物ともせず佇むのは白いマダラとヘアピンだらけの黒髪に、紅黒模様の猫耳一対。パッと見「招き猫を擬人化したみたいな」ナリの甚平姿。
―――人呼んで砂嵐の王、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)である。
今、彼の眼下では街中の至る所で白ブリーフ怪人達が隊列を組み、塗装ローラーで地面を塗り潰しながら爆走している。
その様子を街中にバラ撒かれた三毛猫型ドローンが撮影し、物九郎の周囲に展開されたホロウインドウに映像を送っていた。
給水タンクの上に胡座をかき、暫くぼんやりと画面を眺めていた物九郎。
突如、その顔が肉食獣の愉悦めいて歪んだ。
「にゃるほど……そう来ますかよ」
膝を叩いて立ち上がると、物九郎は屋上を文字通り「飛び出した」。
―――そしてとある路地。
「フゥハハハハハハ!!この路地も頂きだぜぇぇぇぇ!!」
「おい!パンツに跳ねないように気を付けろよ!我らの誇りたる白ブーメランパンツには一点の染みも許されんのだからな!」
「「「サー!ジーク白パン!」」」
顔面を白いブーメランパンツで覆ったマッチョメン達が一列に並び、巨大な塗装ローラーを構え地面を黒く染め上げていく。
正に意気揚々と進む彼らだが、曲り角を曲がった瞬間に異変は起こった。
何故か。
行く先の路地は既に真っ黒に塗り潰されていたからである。
「ん?……おかしいな……この区画はまだ誰も通過していないはずだが……」
「どうした?道を間違えたか?」
「いや……気の所為だろう。むしろ好都合だ、こっちの道にしよう」
そうして反対方向に転身する白パン仮面達。
―――30分経過。
「おかしい……ここは絶対さっきも通っているはずだ……」
「あぁ……間違いない。あの看板はさっきも見たぞ……」
「そもそも此処はどこの区画だ。道が解らなくなってきた……」
彷徨う事に疲れ果て、壁際に蹲る白パン仮面達。
彼らは気付かないだろう。
自分達の背後の壁が、常にモザイクの様に蠢いている事に……
その様子を反対側のビルの屋上から見下ろす物九郎は、吐き捨てる様に呟いた。
「平伏せ変態共。この星は嵐の王の領土っスよ」
大成功
🔵🔵🔵
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
どっちかっていうとあの白パンツたちをスミベタ修正したい気分だけど
やっちゃお、ウィーリィくん!
宇宙バイク・ハイメガシャークを駆ってウィーリィくんの指示に従って塗りつぶされているポイントに急行し、【スナイパー】や【グローバルスウォーミング】で敵を一掃していく
数は多いけど、二人で手分けすれば楽勝だよね!
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
変態だーーー!!!
変態に街を好き勝手させる訳にはいかないのでシャーリーと超協力プレイでクリアしてやるぜ!
パルクールの要領で屋根伝いに移動しながら周囲を見渡し、黒く塗られている場所を発見したらシャーリーに連絡し手分けして対処。
離れた場所はシャーリーに任せ、近くの方は俺が急行。
『飢龍炎牙』で敵にダメージを与えたら大包丁の『二回攻撃』で攻撃。
撃破したら屋根の上に登り、次の敵を探す。
そしてここにも屋上を走る人影がいる。
此方は黒く染まっていく街並みの中では一際異彩を放つ真紅の影、ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)。
そしてその隣を寄り添う様にサメ型宇宙バイク・ハイメガシャークで並走するのはシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)だ。
「うわぁーこの前変態死ぬほど見たのに今度はパンツ野郎かよぉー!」
「どっちかっていうとあの白パンツたちをスミベタ修正したい気分だけどね。やっちゃお、ウィーリィくん!何処から行く?」
「あぁ、そうだなっと!」
ウィーリィは飛び移ったビルの屋上の縁を前のめりに飛び越えながら下を見下ろす。
丁度大通りに面した開けた場所に出たようだ。
眼下では正に白パン仮面達が塗装ローラーを手に走ってくるのが見える。
同時に離れた場所でも幾つか地面が黒く染まり出している路地が幾つか見えた。
「よし、二手に別れよう。俺は此処を片付ける。シャーリーは向こうに見えてるあそこら辺を潰してきてくれ」
「オッケー!行ってくるね!」
宇宙バイクに座標を入力するとハイメガシャークのブースターが爆発的な加速を見せる。
一瞬で視界の彼方へ消えた彼女を見送ると、ウィーリィーは大包丁を抜き放ち、屋上から身を躍らせた。
「喰らい尽くせ、炎の顎!飢龍炎牙!」
その身に燃える紅蓮の龍を纏い、白パン仮面達の頭上に襲い掛かる!
大通りのど真ん中に炎の滝が流れ落ちた。
「ん?……なっ!?皆避けろーーー!!」
「「「ギャアアアーーーー!!」」」
炎の龍は地面に激突すると衝撃と共に弾け、そこを起点に放射状に広がった炎の舌がアスファルトを舐め尽くす。
一瞬にして焦土と化した大通りに一人、起き上がるのは包丁を担いだウィーリィー。
「よ〜し、ここは通行止めだ。この先を塗りに行きたいなら俺を倒していくんだな」
―――一方、別の路地では。
「うーん……これは一つずつやってると手間かな」
シャーリーが到着したのは入り組んだ細い路地の商店街だった。
眼下では幾つかのグループに別れた白パン仮面達がそれぞれが勢力圏を広げるように次々と路地を塗りつぶしている。確かに一グループずつ相手にしていては黒塗り範囲も広がってしまう。
「まぁでも、残念ながらボクには道は関係ないのだよ」
言うとシャーリーは、商店街全体が収まる様に大きく円を描く旋回飛行を始めた。
「さぁー今日の天気は「晴れときどき鮫」だよ!」
ハイメガシャークからこれまた鮫型のオーラが次々と生み出され、まるで空中を泳ぐ様に地表の白パン仮面達目掛けて襲い掛かっていく。
「おっ!おい!鮫が追ってくるぞ!?」
「はぁ?何処に鮫が……いたぁぁぁあぁぁーーー!!?」
度肝を抜かれた白パン仮面達が一気に速度を上げた。
「えぇい狼狽えるな!我らには白ブーメランパンツの加護があグワァァァ――!!」
「あ、兄者ァァァァァァァーーーー!!!」
最後尾の白パンに鮫が喰い付き脱落した。
それを皮切りに、路地のいたる所で白パン仮面が赤パン仮面に変えられていき、商店街に断末魔が木霊した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
竹城・落葉
【SPDで判定】
どうやら戦争が始まったようだな。我もキマイラフューチャーを救うべく、駆け付けるとしょう。
我は『森の賢者』を発動。詠唱と共に大量のゴリラを召喚。相手を拘束した後で、名物竹城にて殴打するぞ。また、町を黒く塗り潰そうとしているようだな。ならば、残りのゴリラ達に応援を要請し、塗り潰された箇所を清掃して貰おう!
ペイント関連の作業をするなら、いつもの服装では汚れてしまう。ちょっと待て、何故用意されているのが某SNSで見たセクシーな女武士服なんだ!?顔を赤らめながらも着ていくぞ。くそう……、これも全て、某MSの陰謀に違いない……!!
*アドリブ&共闘、歓迎です
「クククク……この区画も制圧完了だな」
モップを杖代わりにしながら漆黒に染まった路地を満足気に見渡している白パン仮面達。
「さて、次の区画だな」
そこに襲いかかるこれまた黒々した何かの群れ。
「ウホ、ウホホッ」
「ウッホ、ウッホ」
「ウホォーーーー!」
「グワァーー!?」
そうです、ゴリラですね。
何故か、突如、白パン仮面達の上から降ってきたゴリラ達が白パン仮面達を押し潰したのだ。
「そこまでだ変態共!喰らえぇぇぇぇぇぇ!!」
「「「グワァァーーーー!!」」」
更にそこを名物竹城を振り被った竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)がゴリラに押さえ付けられた白パン仮面達の頭部を容赦なく粉砕して回る!
そうです、スプラッターですね。
黒く塗り潰された路地に赤黒いモザイクで覆われた○○○がぶち撒けられ……わぁ無残。
「ウホッ」
「ふぅ……取り敢えずなんとかなったか……ん?なんだこれは」
そこにゴリラが取り出したのは真っ白なモップと水の入ったバケツ。そしてマスク。
「そうか、路地の塗料を綺麗しなくてはな」
「ウホッ」
モップを構えたゴリラがゾロゾロと路地の清掃にかかる。
落葉もそこに加わろうと腕まくりをしたところを一匹のゴリラに止められた。
「ん?まだ何か………待て、それを、着ろと?」
ゴリラが差し出したのは先日SNSで見かけた丈が極端に短く、スリットが激しい女武士装束。
「ウホッ」
鼻息荒くズイッと装束を押し付けてくるゴリラ。
……………数分後。
「何故だ……何故こうなった……」
裾を気にしながら路地をモップで擦る落葉の姿があった。
成功
🔵🔵🔴
山風・ラン
※
戦争になってるらしいけど、今回は何だか面白そうなルールの戦闘だね。
相手が変態でなければもっと良かったんだけど。
負けないためには索敵が重要ってことかな。
黒く塗り潰されてもバレにくい、路地裏みたいな街の比較的暗いところを重点的に探すよ。
まだ黒塗りにされていない場所に必ず来るだろうし、五感を研ぎ澄ませて敵の位置を特定してみる。
敵を見つけ次第、ユーベルコードを撃ち込むよ。
こっちの攻撃を無効化できるらしいけど、パンツ履いてるだけの急所を狙われても脱力状態でいられるか、試してあげる。
変態が全部で何匹いるか分からないし、仕留めたらすぐに索敵を再開、徹底的に駆除しないとね。
リリスフィア・スターライト
他の猟兵達と連携して戦うわ。
テレビウム達に異変があったかと思ったら
キマイラフューチャーが、真っ二つに割れて
変態が出てくるとか滅茶苦茶よね。
ブーメランパンツには絶対に当たりたくないし、
全力で回避しつつ華炎連斬で反撃するわ。
複数体を巻き込めるなら纏めて焼き払い、
首尾よく倒せたのなら気を抜かずに次ぐに目標を定めるわ。
「ちょっとこっちに変なのを投げつけないでよ!」
「白でも黒でもない真っ赤に染めてあげるわよ」
レイ・キャスケット
※
大変な変態だー!!!
いやいや変な怪人は数居てもここまでド直球なのはどうなのさ!?
黒塗り?放送禁止?とにかくボクの視界から消え去るんだよー!!!
陣地取りには陣地取り返し
地【属性攻撃】の魔法で畳返しのように黒塗りの地面をひっくり返して回るよ
変態ブリーフ仮面達が近づいてきたら(物理的に)視界から消えて貰うね
二枚の地面で挟み込んで【全力魔法】でミキシングして埋葬
パンツ投げてきたら火焔弾で消し炭に
失せろ変態(とびきりのCawaii!スマイルと正反対の威圧のオーラ)
無機物に効果あるかわかんないけど掘り返したアスファルトはUCで補修しておくね
変なものが生えたら燃やす
ペイントステージにおける白パン仮面側の勝利条件。
それは「全ての路地を黒く塗り潰す事」である。
何処から見ても只の変態にしか見えない彼らではあるが、全く何の作戦もなく事に当たっている訳ではない。
猟兵達の妨害がある以上、目立つ大通りが狙われやすいのは百も承知。そちらは謂わば陽動で数で勝る此方の本命は一見見落とされやすい裏路地なのだ。
―――最も、それすらも見透かして行動している猟兵は少なからずいるのだが。
山風・ラン(藍玉の従者・f15661)もその一人である。
とある路地裏。
エアコンの室外機の陰に息を潜める彼女の横を数人の白パン仮面がローラーを片手に通り過ぎていく。
纏う漆黒のフィルムスーツが保護色となる彼女は、こうして裏路地を塗りに来た白パン仮面達を暗殺者宛らに始末して回っているのだ。
物音を立てないようにそっとブラスターの照準を白パン仮面の尻に合わせるラン。
「さて、これで何人目かな……」
「アーーーーーッ!!」
「なっ!?だ、誰だ!?」
路地を深緑の光線が照らし、尻に光線がクリティカルヒットした怪人が倒れ伏す!
地に伏したその姿が黒焦げの尻を天高く掲げているのは気にしてはいけない!
その問いに答えるより先に続け様に引き金を引くラン。
今度は此方を振り返った白パン仮面の股間を光線が直撃した!
「…………ヒッ、ヒィィィ!!冗談じゃねぇぇーーーー!!」
「あ!逃げた!」
無残に股間を撃ち抜かれた二人の様子に、残る一人の白パン仮面が逃げ出した。
それでも床に塗装ローラーを走らせるのを忘れない辺りは流石というしか無い。
―――そして同時刻。
偶然にもランのいた路地からそれほど離れていない場所を二人の猟兵が探索していた。
リリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)とレイ・キャスケット(一家に一台便利なレイちゃん・f09183)である。
「うわぁ、この辺もやられてるみたいだねぇ」
「そうね、既に誰かが片付けた後みたいだけど……」
彼女たちが入り込んだ路地では既に戦闘が行われた後らしく、白パン仮面達の亡骸が転々と路地裏に倒れ伏していた。
幸いにも黒塗りはされていない様だが……一様に股間を撃ち抜かれて絶命しているのが気になると言えば気になるところか……。
(いやいや変な怪人は数居てもここまでド直球なのはどうなのさ!?)
二人共湧き上がる生理的嫌悪感を隠そうともせずに点在する死体を乗り越えて進む。
そこに現れるは先程ランから全力で逃げた最後の一人。
「イヤァァァァァァァーーー!!……ムッ!おぉ、助かった!あれは我が同士達!」
「うわぁぁーー!!生きてる奴来たぁぁーーー!!」
「ちょっ、ちょっとくっつかないで!」
驚いたレイに抱き着かれ一瞬対応が遅れるリリス。
「蘇れ同士達よ!ジーク白パン!」
「「「サー!ジーク白パン!!」」」
次の瞬間、二人の背後で転がっていた死んだはずの白パン仮面達が次々と起き上がった!
ご丁寧にパンツもしっかり修復されており、真っ白なブーメランパンツが光を反射して輝いている。
「ギャアア~~~~!!いっぱい出た〜〜〜〜!!!」
涙目で軽く恐慌状態に陥るレイ。
そりゃあね……年頃の乙女が、薄暗い路地裏で、頭にパンツを被ったマッチョの集団に取り囲まれればそうなると思うんだぼかぁ。
「クックックッ……形勢逆転と言う奴だな。貴様らにも白ブーメランパンツの何たるかをたっぷりと教育してやるわ!まずは穿いているパンツを剥ぎ取り、コイツに穿き替えて貰おう!」
眼の前の白パン仮面が自らのブーメランパンツに手を入れると、新たな白ブーメランパンツを取り出そうとする。
「どっから取り出してんのよこの変態!」
「ぐべらっ!?」
怪人の視線が一瞬下に逸れたその時、ようやくレイを振り切ったリリスの飛び膝蹴りが白パン仮面の顔面にブチ込まれたのだ!
吹き飛ぶ白パン仮面には目もくれずにリリスはレイの手を握ると走り出す。
「一旦引くわよ!ここじゃ満足に剣も振れない!」
「う、うんっ!」
「クッ……逃げたぞ!追えーー!!」
「「「サー!ジーク白パン!」」」
路地を一目散に逃げ出す二人とそれを追いかける白パン仮面達。
出鱈目に方向を変えながら路地裏を駆け、やがて二人は大通りへと脱出する事に成功した。
其処は既に見渡す限り漆黒に染まった幹線道路の一角。
後ろでは路地裏から溢れ出した白パン仮面達が自分達を追ってきていた。
「よし、ここまで来れば!こんのぉーー!さっきはよくもやってくれたなー!」
振り返ったレイが付与の羽衣を握りしめると、片手を黒く染まったアスファルトに押し付けた。
黄金色の光がレイの掌を起点に碁盤の様に広がっていく。
程なく賽の目状に分割された境界線から光の柱が立ち昇り、アスファルトが振動と共に浮き上がった。
まるで畳返しの如く、巨大な石板タイルと化したアスファルトは宙に浮かぶと上に乗っていた白パン仮面ごとひっくり返り地面に落下した。
「「「グワァァァーーー!!!」」」
濛々と舞い上がる砂煙が晴れた後……そこには押し潰され、地に伏す白パン仮面達の姿があった。
「グッ……いかん、白ブーメランパンツが……汚れてしまう……」
抜け出そうと藻掻く彼らの目の前に現れたのは四本の生足……否、ゴミを見るような絶対零度の視線で此方を見下ろすリリスとレイの姿だった。
白パン仮面の首筋にブワッと冷や汗が浮かぶ。
「待て、解った。ここは私の秘蔵の白ブーメランパンツで手を打とうじゃないか。さぁ、剥ぎ取ると良い」
まくし立てる白パン仮面にレイがとびきりのCawaii!スマイルを浮かべる。
「「失せろ変態!!」」
「デスヨネェェェェーーーーーー!!!」
リリスの放つ爆炎の斬撃とレイの放つ火焔弾が白パン仮面にトドメを刺した。
「さて……穴だらけになっちゃったけど……治るかなコレ……」
「言っとくけど、私手伝わないわよ?」
確かに黒塗りではなくなったが……広がる光景は宛ら地盤沈下か土石流の跡か。
惨憺たる有様の大通りを前に、レイは淡い光を放つタンポポの綿毛を生み出しながら困ったように笑うのだった。
成功
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