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バトルオブフラワーズ⑧〜黒はクール?

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

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●何だこいつら
『俺たちゃ、つよくてクールなアニマルズ!』
『そう、俺達はクール!』
『クールとは黒! ブラック!』
『だから俺たち黒く塗る!』
『世界よ、ブラックに染まれ!』
 キマイラフューチャーの街並みを模して作られた空間で、モグラとカエルとネコの集団が、せっせと周囲を黒く塗って回っていた。
 なんか遊んでいるようにしか見えない光景だが、これは立派な侵攻なのである。

●ペイントステージへ
「えーと、もう聞いてる? キマイラフューチャーが、割れたって」
 グリモアベースに集まった猟兵達に、ルシル・フューラー(ノーザンエルフ・f03676)は困った顔で話を切り出した。
 いや、世界が南北に割れるとか何だよそれ。
「軽く状況を整理するよ。キマイラフューチャーの中枢『システム・フラワーズ』と言うものがあったみたいでね」
 あの世界で、コンコン叩いて色々出てきたのはこのシステムのお陰だったらしい。
「だけど、怪人達のボス、オブリビオン・フォーミュラに占拠されちゃった」
 多発していたテレビウムの一件は、どうやら『システム・フラワーズ』からの救援要請だったらしい。解決した事で、メンテナンスルートが開放されたと言う事だ。
 つまり、世界が割れたはメンテナンスルートと言う事だ。
「と言うわけで、目指すべきはシステム・フラワーズの中枢なんだけど。周囲を守る6つの『ザ・ステージ』を全てオブリビオンに抑えられてしまっている」
 先ずは6つのステージを取り返す必要がある。
「それそれのステージは、特殊なルールがある。これから転移して貰うステージは、ザ・ペイントステージだ」
 そのステージの特殊ルールは、クロヌリスレイヤー。
「キマイラフューチャーの街並みそっくりの空間を、多数の敵がわっちゃわっちゃと街中を『闇のような黒色』に塗り潰している。これを防いで欲しい」
 空間全てが黒く塗り潰されてしまうと、こちらの敗北だ。
 その前に、黒く塗っている敵をすべて倒す必要がある。
「敵も猟兵に見つかったら、普通に応戦してくるから、見つけてしまえば止める事は難しくない。問題は数が多い事かな?」
 敵を見つけるのが早ければ、その方が良いだろう。
「転移先で黒塗りしてるのは、つよくてクールなアニマルズという着ぐるみ染みた怪人の集団だ」
 モグラとカエルとネコの3種が、大量にわちゃわちゃしてる。
「説明は以上だ。しばらく忙しくなりそうだけど、よろしく頼むよ」


泰月
 泰月(たいげつ)です。
 目を通して頂き、ありがとうございます。
 GWに戦争だと……?
 始まったからには仕方がない。頑張りましょう。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結する、バトルオブフラワーズ⑧の戦場のシナリオとなります。
 『システム・フラワーズ』の周囲を守る6つの『ザ・ステージ』の1つです。

●クロヌリスレイヤー
 このシナリオフレームでは、『クロヌリスレイヤー』という特殊戦闘ルールが適用されます。
 キマイラフューチャーの街並みを模して作られた戦場で、多数の集団敵が、街中を『闇のような黒色』に塗りつぶしています。
 街並みが全て塗りつぶされると『敗北』となります。

 敵は下記のどちらかを行っています。

 ・数体集まって堂々と塗りつつ、襲ってきた猟兵を返り討ちにする戦略。
 ・1体で隠れながら、見つからないように塗り潰しを行う、コソコソ戦略。

 敵の行動分布、偏りが出るか否かは、皆様のプレイング次第です。
 プレイングによっては、片方の戦略しか取ってない事になるかもしれません。

 ではでは、よろしければご参加下さい。
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第1章 集団戦 『つよくてクールなアニマルズ』

POW   :    モグラさんドリル怪人・ウェポン
【モグラさんドリル兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    カエルさん殺法怪人・ジェノサイド
【カエルさん殺法攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    ネコちゃん拳法怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【ネコちゃん拳法】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:まめのきなこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フィーナ・ステラガーデン
なんていうか色々ファンシーね!
えっととりあえずこの真っ二つに割れた世界を何とかするために
町並みをペンキみたいに塗りつぶしてる
このぬいぐるみみたいな動物をふっ飛ばせばいいわけね。
って自分で何言ってるのかよくわからなくなってきたわ!?
何なのよこの世界!

もう何でもいいわ!どんどんぶっ飛ばしていくわよ!
UCを地面をなぞるように放って連鎖爆発でどかんどかんするわ!
って気が抜ける相手ねー・・

(アレンジ、アドリブ、連携とか大歓迎!)


久篠・リジェリ
黒塗り防ぐわ!
まだ黒く塗られてない壁を背後に、ウィザードミサイルで攻撃していくわね。

徒党を組まれると困るけれど、単体なら炎を集中させ、複数なら満遍なく攻撃し、行動速度をゆるめるように。

ねこ拳法使ってるところはしっかり見て、以降は当たらないように頑張りたいわ。

魔導書掲げ
焼き払う!

技能フル活用
危機を救いましょう!


スノウ・パタタ
隠れて塗ってる子を見つけに行く、です、
【香水瓶の魔法】にて範囲攻撃、全力魔法の応用
広範囲の地形へ介入、塗られている場所を探索。

せまーい所でも、たかーい所でも、探して伸びて、追いかけるのよ!
ブラックタールの種族特徴を生かし場合に寄って液体化も視野に、こそこそと単体行動する敵に絞って追跡。
バディペットのウミウシの体に精霊の加護を綴じたインクを塗布して多数に分裂させ、分散。静かに掌握の陣地を拡げつつ囲んで行きます。
上手く包囲出来たらシラユキを、例えるならば避雷針に見立てて精霊魔法を展開。
敵の塗ったインクごと水の精霊魔法で流せたらいいなあ、という目論見。

ユキさんは水と相性、良いからだいじょぶなのよー!



●北部エリア――黒を払う炎と白
『俺たちゃ、つよくてクールなアニマルズ!』
『そう、俺達はクール!』
『クールとは黒! ブラック!』
 黒いペンキみたいなものを持ち歩く、モグラとカエルとネコの群れが、キマイラフューチャーの街並みと良く似たステージを闊歩している。
 そう、闊歩している。
 ドイツもコイツも二足歩行してやがる。
「何なの、あのぬいぐるみみたいなの。動物? 怪人?」
 その光景を建物の上から見下ろしていたフィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)は、思わず目を瞬かせていた。
「とりあえずこの真っ二つに割れた世界を何とかするために、黒いペンキみたいなので街並みを塗り潰される前に、あいつらをぶっ飛ばせば良いのよね?」
 フィーナは敢えて口に出して、やるべき事を確認する。
 うん、間違ってない筈だ。なのに。
(「自分で何言ってるのかよくわからなくなって来るわね!?」)
 まず世界が割れるって、何。
 理解を深めようとする程、フィーナの中で混乱が深まっていくのは何故だろう。
 そしてその間にも、わちゃわちゃと集まったぬいぐるみっぽいアニマルズは、黒いペンキみたいなものをぶちまけようとしていた。
 悩んでいる時間はない。
「うん。もう何でもいいわ。どんどんぶっ飛ばしていくわよ!」
 フィーナは愛用の杖を眼下に向けると、そこに魔力を集中させる。
「焔よ。その変幻自じゃいじゃ~~っ!!」
 慣れた筈の呪文の、普段なら噛まないところでフィーナが噛んでしまったのは、きっと混乱してたから。そう言う事にしておこう。
「とにかく、ぶっ飛べぇぇぇぇぇぇ!!」
 キュイーンと甲高い音を立てて、フィーナの杖の先から熱線が放たれる。
 それが地面に届いた次の瞬間、ヂュドーンッ!と大爆発を起こした。
『うわーっ!?』
『何事だー!?』
『敵襲だー!?』
 爆発に巻き込まれたアニマルズが、あっさりと力尽きて消えていく。
『見ろ、あそこだ!』
 だが、まだまだアニマルズは残っていた。
『くそ、遠いな! 俺のモグラさんドリル兵器を投げても届かないか!』
『ネコちゃん拳法の飛び蹴りの出番だな! フシャーッ!』
 悔しがるモグラを飛び越えて、ネコちゃん怪人が地を蹴って跳び上がり――フィーナが再び放った熱線に、チュドーンと撃ち落される。
「てか、気が抜ける相手ねー……」
 実際気の抜けた声を上げながらも、フィーナは杖から放つ熱線を滑らせて直線状に巻き起こした爆発でアニマルズを薙ぎ払っていく。
 それでも撃ち漏らしは出てしまうが、問題はないだろう。
「ま、地上はあの2人に任せて大丈夫よね。見たことある顔だし!」
 戦っているのは、フィーナ1人ではないのだから。

『……』
 ドカンドカンと爆音が響く中、建物の隙間をコソコソしているネコさん怪人。
 コソコソ作戦を取っているアニマルズの一匹である。
『ここなら、あの攻撃は届かないみたいだな』
「だけど、スノウがいるのよー!」
 ネコちゃん怪人が胸を撫で下ろしたそこに、単独行動をとる怪人を標的に絞っていたスノウ・パタタ(Marin Snow・f07096)がするりと姿を現した。
『みぎゃっ!? くそっ』
「逃がさないのよー!」
 慌てて逃げ出すネコを、スノウが追いかける。
『ふふん! この細い隙間なら、追いかけて来れま――え!?』
「せまーい所でも、たかーい所でも、追いかけるのよ!」
 ブラックタールであるスノウにとって、建物と建物の隙間程度の幅ならば、体の形を変えて入り込むのは、然程難しい事ではない。
『こうなりゃネコさん拳法で――』
 ならばとネコさん怪人、応戦の構えを取るが少し遅かった。
「ユキさん、増殖なのよ!」
 スノウの掌から、手乗りサイズのバディペット『シラユキウミウシ』が飛び出す。
 そのもちもちぷるぷるなボディに、スノウは水の精霊の加護を綴じた蒼いインクをさっと一塗り。
 すると、シラユキウミウシはスノウの意思に従ってにょきにょきと凄い勢いで、分裂増殖を開始した。
『にゃぁぁぁ?! 何事だこれは!?』
 にょきにょき、にょきにょき。
 ネコちゃん怪人の行く手が、白いもちもちぷるぷるでふさがれていく。
 このステージでの戦いは、いわば陣取りだ。スノウはそこを理解し、自らが掌握する陣地を拡げつつ、静かに敵を囲んで行く。
 シラユキに先にインクを塗布したことで、この一帯は、すでにスノウが干渉できる領域と化していた。
『ま、まずい。このままでは押し出されてしまう……!』
「一気に押し流しちゃうのよー!」
 スノウの言葉で、シラユキの体が淡い輝きを放つと、そこから水が溢れ出す。ネコちゃん怪人が危惧したそれは、直後に現実となった。
『にゃぁぁぁぁ!』
 ざぱぁっ!
 建物の隙間から流れ出した水とともに、ネコちゃん怪人が押し流されて出てきた。
「リジェリさん!」
「見えたわ、スノウ!」
 建物の奥からスノウが声を上げた直後。
 それに応えた友の放った炎の矢が、ネコちゃん怪人を撃ちぬいた。

「この街を黒塗りをさせなければいいのよね!」
 まだもとの街並みの色を残した建物を背に、久篠・リジェリ(終わりの始まり・f03984)は魔導書『マスターブレイン』を広げていた。
 その頭上には、炎の魔力が渦巻き、幾つもの矢を形成している。
 高所を取ったフィーナの攻撃は、言わば線の制圧。
 チュドーンッ!
『うぉぉぉ!?』
『あ、危ないとこ――』
「安心するのは早いわよ」
 そこから辛くも逃れたアニマルズに、リジェリの炎矢が満遍なく降り注ぐ。
 空間的に狭い範囲とは言え、干渉領域を拡大しながら追跡するスノウの動きは、面の制圧と言えよう。
「リジェリさーん! 今度はこっちのカエルです!」
「任せて!」
 そうして追い詰められた敵も、追い出された所をリジェリが炎矢で狙い撃つ。
 ――リジェリの戦い方は、言うなれば点の制圧だ。
 線と面からもれた敵を撃つ、最後の楔。
「あまり徒党を組まれると困るけれど、この程度の数なら!」
 今のリジェリが一度に作れる炎の矢の数は、百を超えている。
 他の怪人達も、別の場所で怪人達を追い詰めているこの状況で、怪人の徒党がリジェリが作れる炎の矢の数を超えることは有り得ない。
 リジェリの狙いはもう一つ。
『くそっ! こうなったら、やられる前に少しだけでも塗ってやる!』
「させない。黒塗りは、防ぐわ!」
 バシャンッ。
 アニマルズが苦し紛れに飛ばした闇の様に黒い何かを、リジェリが体で遮る。
 そう――アニマルズの中には、勝ち目がないと悟って苦し紛れに、僅かでも黒塗りしてやろうと動くものが出て来る。
 そう言った連中から、届く範囲だけでも守る――拠点防御。
 それも、リジェリが己に課した戦い方。
「焼き払え!」
 リジェリが掲げた『マスターブレイン』の頁が、パラパラとひとりでに捲れ出す。
 半弧を描くようにずらりと並んだ炎の矢が、周囲に残るアニマルズに向けて一斉に放たれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

榎・うさみっち
このままじゃキマフューが暗黒街になってしまうー!

コソコソ隠れながら悪さしている奴を探してしめあげるぜ!
【きょうふときょうきのせみっちファイナル】カモン!
175匹のせみっち達とともに人海戦術で探すぞ!
隠れているというくらいだから
・狭い路地裏
・屋根の上
・マンホールの中
・ポリバケツの中
・公園の遊具の中
などなど普通に歩いてるだけじゃ目につきにくい場所を重点的に!
他にも、せみっちを普通のセミのように死んだふりをさせて
暫く待って敵がのこのこ出てこないか様子見
見つけたらすかさず数の有利を活かしてタコ殴りにする!
俺もうさみっちばずーかやかっこいいワイヤーで
遠くに逃げた敵も遠距離攻撃で仕留めるてやるぜ!


ガーネット・グレイローズ
街が闇色に塗りつぶされているのか。ポップでカラフルな世界観のキマイラフューチャーに、相応しくないよな。どれ、ひとつ怪人をとっ捕まえて目的を聞いてみようか!
尚、キマイラフューチャーに適応するためにウサミミを着用するぞ。
「街を汚したり落書きしてはいけないと、学校で教わらなかったのか?」
可愛らしい見た目に騙されないよう、よく相手の動きを見て攻撃を見切ろう。ガードは【ブレイドウイング】で〈武器受け〉、攻めるときはブラックバングルで念動力を増幅させ、手から〈衝撃波〉を撃ち出して牽制。飛び込んできたところを、〈カウンター〉の【サマーソルトブレイク】で蹴り落とす!

※他猟兵とのチーム行動歓迎



●東部エリア――アニマルズVSうさみみーず
 爆音響く北部エリアと異なり、こちらは静かだった。
 猟兵も少ないが、アニマルズも少ないのだ。
 建物が多いこの一帯、単独行動コソコソ作戦をとっているのが多いのだろう。
「このままじゃ、キマフューの街並みが暗黒街になってしまうー!」
「闇色は、ポップでカラフルな世界観のキマイラフューチャーに、相応しくないな」
 榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)とガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は、そんなアニマルズを炙り出しにかかる。
「カモン! きょうふときょうきのせみっちファイナル」
 うさみっちがその一言を口にした瞬間、ヤツラはやってきた。
「みーっち」「みーっち」「みーっち」
「みーっち」「みーっち」「みーっち」
「みーっち」「みーっち」「みーっち」
 175匹のせみっち達である。
「アニマルズより多いんじゃないか、もしかして?」
 こう見えて齢100歳のガーネットにしても、この数はちょっと驚きである。
 増えたなぁ……。
「コソコソ隠れながら悪さしている奴らを、人海戦術で探して締めあげるぜ!」
 ぶーんっと散っていくせみっち達。
 うさみっちがせみっち達に重点的に探し回らせたのは、普通に歩いてるだけでは目につきにくい場所。
「「「モグラ発見!」」」
『なんだこれー!?』
 即ち、路地裏のような隙間に入り込み、そこにいた怪人を「みーっち」の鳴き声の唱和で追い出したり。
 せみっちなら屋根の上だって飛んでいけるし、公園の遊具の中だってひとっ飛び。
「ポリバケツの中は――さすがにいないか!」
「そこじゃ隠れてても、黒塗り出来ないだろうしな」
 パカッとバケツを開いて覗き込むうさみっちに返しながら、ガーネットは手首のブラックバングルを確かめる。
 せみっちの数は多いが、ここの戦闘力はお察しだ。
 ならば、見つけたアニマルズを叩くのは――ガーネットの出番。
『くそっ! 見つかっちまったら仕方がねえ、くらえモグラさんドリル!』
「ドリルか……問題ない」
 モグラさんドリル怪人が抱えたドリルを一瞥すると、ガーネットのマントが翻った。
 その陰に潜ませていた『ブレイドウイング』――液化する金属翼がドリルに絡みついたかと思うと、一瞬で硬質化してその動きを止めてしまう。
『お、俺のドリルが通じないだとー!?』
「さて。敵わないと悟ったところで、ひとつ目的を聞かせて貰おうか?」
 何故こんな事をする。
 ガーネットの赤い瞳が、モグラさん怪人を射竦める。
『こ、答える必要はないー!』
「まあ、そうだろうな……ならば散れ」
 ガーネットとて、素直に答えが得られるとは思っていない。ブレイドウイングの形をその名の通り鋭い刃と変えて、モグラさんを斬り倒す。

 その後も、順調にアニマルズを狩っていく2人。
 だが、ハンターはアニマルズにもいた。
 闇の中でキラリと瞳が輝く。
『セミにゃー!』
 なんかネコの本能を刺激されたっぽいネコさん怪人が、ふしゃーっと鳴きながらせみっち目掛けて一気に数体飛び出してきたのだ。
「うぉぉぉっ! 俺はせみっちじゃねーぞ!」
 うっかりうさみっち本人まで狙われて、かっこいいワイヤーを振り回してネコさん達の接近を何とか防いでいる。
「こうなったら――ファイナル!」
 その掛け声で、せみっちが一斉に、ポトリと地面に落ちて動かなくなった。うさみっち本人もである。これぞ最後の手段。シンダフリ。
『にゃにゃ?』
 ここからジジジッとセミよろしく復活するのが常套手段。
 だが今回は、ガーネットがいる。
「私を忘れてもらっては困るな?」
 ブラックバングルで増幅されたガーネットの念動力が、衝撃波と変わってネコさん達を纏めて吹っ飛ばした。(ついでにせみっちも数体巻き込まれてたが)
『くっ、そう言えばもう1人いたんだったにゃ』
『だが、ネコさん拳法で――』
「お前達の動きは、セミを追う間で見せてもらった」
 その為に、ガーネットは敢えてせみっちを狙わせていたのだ。可愛らしい見た目に誤魔化される事なく、僅かな間でその動きをほぼ見切っていた。
「今度は私が、グレイローズ家秘伝の一撃を見せてやろう!」
 タンッと地を蹴って跳んだガーネットが空中で身を翻し、その足が弧を描く。
『みぎゃっ!』
 ガーネットの宙返りからの蹴りが、ネコさん怪人を悉く蹴り倒した。
「全く。街を汚したり落書きしてはいけないと、学校で教わらなかったのか?」
 残るネコさん達にトドメを刺しながら、ガーネットがぼやくように告げる。
「……ん?」
 ふと、頭に感じる違和感。あったものがなくなったような。
「おーい、さっき落としてたぜ」
 先ほどの宙返りの時にガーネットの頭から落ちた『黒いウサミミ』を、うさみっちが拾ってぶーんと飛んでくる。
「けど、何でウサミミなんだ?」
「キマイラフューチャーに適応するためだが?」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

星群・ヒカル
シンプルに強くてクールそうなやつらだ!
こうなったらこちらも強くてクールな戦術を取るしかないッ!

宇宙バイク『銀翼号』に『騎乗』し……轢くッ!!
シンプル!イズ!ベストだっ!!

走り回り、『視力・第六感』で集団で塗ってる敵の居所を見つけていこう。

敵の攻撃を『視力・第六感』で察知したら、『逃げ足・ロープワーク』で超宇宙牽引ワイヤーを周囲の壁に引っ掛けて、引っ張ることで向きを強制転換し回避!
空振りしまくっているカエルさんの元へ戻って轢くッ!
大集団に対しては『ゴッドスピードライド』で火力を増して轢くッ!
超宇宙な戦略に恐れおののくがいいッ、かわいいアニマルズ!……あっかわいいって言っちゃった。

※アドリブ歓迎


オル・クブナス
なるほど、ペイント対決でございますか…面白いですね。やってやろうではございませんか。
さて、どう動くのがよろしいでしょうかねえ…【バウンドボディ】によって自身を引き伸ばして『目立たない』よう床に『変装』し、油断して上に乗った敵チームを一網打尽。というようなのは如何でしょうかな?
床の上に自身を重ねることで塗るのも抑えられますし一石二鳥…とまではわかりませんがね。
まぁできる限りやってみましょう。


ペイン・フィン
塗りつぶし、ね。
それなら、こういうのは、どうかな……?

まずは、探索系技能を使って敵を探すよ。
情報収集、ハッキング、追跡、第六感、聞き耳、暗視、世界知識、撮影、視力。
装備のスマホを使ってハッキングしつつ、勘も使って敵の場所を探す。

見つけたら、コードを使用。
複製する拷問具は、毒湯“煉獄夜叉”。
これで怪人を攻撃しつつ、塗られた箇所を洗い流すよ。
なぎ払い、マヒ攻撃、範囲攻撃、気絶攻撃、毒使い、目潰し、時間稼ぎ。
範囲に一気に攻撃して、相手を気絶、マヒさせ、動きを止めて、塗らせないようにするよ。

……この世界、結構気に入っているんだ。
好きには、させないよ……。



●南部エリア――静と動
「成程な……シンプルに強くてクールそうなやつらじゃないか!」
 超宇宙学生服をはためかせ、星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)が駆るは、シルバーメタリックに輝く宇宙バイク。
 その名を――銀翼号!
「クールな相手には、こちらも強くてクールな戦術を取るしかないッ!」
 だからこそ、ヒカルは銀翼号に跨る。
 クールな戦術を、実行に移すために。
「見つけたぞっ!」
 第六感が告げた方向へハンドルを切ったヒカルの目の前に、数体のアニマルズ。
 分離帯のない片側二車線道路のど真ん中なんて目立つところで、黒い何かを撒き散らそうと筆やらドリルやらを振り上げている。
「さっせるかぁー!」
 ガシャンガシャンと銀翼号の形が変わる。
 ゴッドスピードライド――最もスピードが出るとヒカルが考える形に。
『っ!?』
『て、敵だ、皆構え――』
「遅いぜ!」
 アニマルズがその音と姿に気づいた、その一瞬あとにはヒカルはもう目の前に疾駆して来ていて――。

 そのまま轢いた。

 そりゃあもう、盛大に轢いた。
 よいこはまねしてはいけません。
 そんなテロップが欲しくなるくらい気持ちの良い轢きっぷりだった。
「 シンプル! イズ! ベスト!! 見たか、アニマルズ! これぞこの超宇宙番長の強くてクールな戦術だっ!」
 答える力すらなく倒れ臥したアニマルズを置き去りに、ヒカルはすぐ向こうにいる次の集団へと銀翼号を走らせる。
『愚かな。正面から来るなら、カエル殺法の餌食にしてくれる』
 今度は向こうも気づいていて、集団の中にいたカエルさんがスッと構えを取る。
「超宇宙番長を舐めるなよっ!」
 ハンドルから放したヒカルの手から放たれたのは、牽引曳航なんでもござれの超宇宙牽引ワイヤー!
 ガキンッと音を立ててそれが壁に食い込んだ瞬間、ヒカルと銀翼号はそれに引っ張られることで強制的にギュインッと急カーブした。
『なにっ!?』
 驚くカエルの声を後ろに聞きながら、ヒカルはワイヤーを手放すと銀翼号のハンドルを握り直し――敵集団の後ろへと飛び降り、勢い殺さぬように急ターン!
『し、しまったー!?』
 カエルが気づいた時には、すでに遅い。カエル殺法、急には止まらない。
「超宇宙な戦略とドライブテクに、怖れ慄くがいいッ、かわいいアニマルズ!」
『『俺たちは強くてクールなアニマルズだー!』』
 抗議の声を上げながら、轢かれたアニマルズが天高く吹っ飛ばされる。
「つい……かわいいって言っちゃってたぜ」
 銀翼号を止めたヒカルは、ちょっとバツが悪そうに呟いていた。

『こ、この辺まで来れば』
『ああ、少しは時間が稼げるだろう』
 バイクに吹っ飛ばされる衝撃的なシーンを目撃していた一部のアニマルズは、その場からさっさとトンズラしていた。
 逃げ切れたとは思わないが、しばらくの時間は稼げただろうか。
 ならば、ここを黒く――。
『ん? あれ?』
『もう黒いな?』
『誰が塗ったんだ?』
『俺じゃないぞ?』
 アニマルズ達が今いる場所は、すでに黒くなっていたのだ。
 誰が塗ったのだろうと、首を傾げるアニマルズ。
『もしかして、さっき轢かれた連中か?』
『あ、そうかも』
『じゃあ俺たちで完璧に塗ってやろうぜ』
 そう結論付けたアニマルズ達は、黒い場所の上に足を踏み出す。
 黒い部分、なんだか形が一定じゃなかったからだ。
 それが、猟兵の1人――オル・クブナス(殴られ屋・f00691)が、自身の体をバウンドモードに変化させて広げたその上にいるのだとも知らずに。
 ブラックタールであるオルは、変化させた肉体の伸縮性を最大限に活かした上に、変装の技術と目立たない様に気配を抑える術もあわせているのだから、アニマルズが気づけないことも、無理もない事ではある。
(「乗ってきましたな……ですが、まだ、もう少し」)
 それでも、オルは最大の機を待つ。
 自身の上に乗ったアニマルズを、1匹残らず、一網打尽に出来る好機を。
『あれ? この上なんかふわふわしてるな?』
『全然塗れないぞ?』
『おい、何か変だぞここ――』
「それでは種明かしと行きましょう!」
 広がったオルの上の中心で、アニマルズがさすがに違和感を覚えたその瞬間。
 オルの体が弾かれた様に一気に縮まってアニマルズ達を絡め取った上に、その弾力性を最大限に発揮した。
 要するに地面だと思っていたその場所が、強制的に吹っ飛ばされるトランポリンだったようなものだ。
『あぁぁぁぁぁぁあぁぁー!?』
 もみくちゃ状態で上空に吹っ飛ばされたアニマルズに、その状況を正しく理解できているものなどいなかっただろうが。
「はは、ペイント対決――中々面白いですな。踏まれるのはまあ蹴られたことはありますが、塗られる感触は新鮮でございましたよ」
 すっとシルクハットを掲げるオルの前に、為す術なく落下してきたアニマルズがそのまま力尽きていった。

『くそっ、何と言うめちゃくちゃな奴らなんだ!』
 バイクで入り難いであろう細い路地――そこに1体のカエルさんが逃げ込んでいた。
『だが、ここなら……あの爆送バイクも黒くて訳の判らんやつも、入ってはこれまい……こうなったらコソコソと塗っていくしかないな』
 集団で動いていては、轢かれるか吹っ飛ばされるか。
 単独行動にシフトしようとした、アニマルズ。だが、彼はまだ気づいていなかった。すでにこの空間に、アニマルズの安全地帯などないのだと。
「見つけた」
 どこからともなく現れる、赤毛の少年――ペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)。
『な、何故この場所が!?』
「全部見てたから」
 驚くアニマルズに、ペインがスマートフォン『バベルコール』を軽く掲げて、事も無げに告げる。バベルコールを通じて、周辺のカメラにハッキング。
 それで集めた情報と、後は感と推論。物音も頼りにして。
 周辺の、1人がやっと通れるような目立たぬ場所は、すでにペインの目と耳の中。
『ちくしょう、こうなったら少しでも塗ってやる!』
 カエルさんが懐から取り出したのは、黒いボール。
 カラーボールの様なものか。
「……ほんと、嫌だな……」
 苦し紛れの行動をとろうとしたカエルさんの目の前で、ペインの手から離れた竹筒がその数をどんどん増やしていく。
 竹筒は一見すると水筒の様だったが、ペインは【地獄はここにあり】を使ったのだ。
 増殖した竹筒は、つまり拷問具。ならば、中身がただの水である筈がない。

 毒湯“煉獄夜叉”――概念すら毒するという毒湯。

『か……はっ』
「うん、動けないだろう?」
 周囲あらゆる方向からカエルさんにかかった毒湯は、その手から黒いボールを落とす暇すら与えずに、全身を麻痺させていた。
 毒はそれに留まらない。
 カエルの視界が暗く染まり、意識も混濁していく。
「……このまま放っといても死ぬけど……まだ他にもいるんだよね……」
 ペインのその一言は、カエルさんへの死刑宣告。
 追加で流し込まれた毒が、トドメの一滴。
「……この世界、結構気に入っているんだ。好きには、させないよ……」
 コソコソ作戦に移行しつつある他の怪人を止めるべく、ペインは音もなくその場をあとにした。

 ヒカルがバイクで轢いて。
 オルがその体を伸ばして一網打尽とし。
 そこから逃れた者は、ペインが各個撃破する。
 線と面と点。
 取り方も手段も全く違っていたが、奇しくも組み合わさった形は反対方向で戦っている3人の猟兵と同じ形になっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キララ・キララ
やだー!きらちゃんのグラフィティも塗りつぶされてるー!!

うう…かなしい…とにかく動物をさがします…
《ダッシュ》【トリックステップ】で空から見てみるわね。
地上でぺたぺたしてるとは限らないし…きららもよく屋上とかに描くもん。

みつけたらこっそりほかの猟兵さんに連絡します。
集団ならこっちもたくさんいたほうがいいし、ひとりで行動してるひとはきっと逃げ足に自信があるのよ。はさみうちしましょ。
きららひとりしかいなかったら
…。フフン。鬼ごっこ《追跡》は得意なのでだいじょうぶです!

スプレー缶を使って《アート》で攻撃!ていうか色塗り!
まっくろなんかやーよう。虹色を全部まぜると黒になるけど、これはちがうでしょ?


烏護・ハル
一塊なのはともかく、単独行動してるのは厄介だなぁ……。
よし、とりあえず何か隠蔽工作してないか、【破魔】の効果を載せてフォックスファイアで広範囲を凪ぎ払ってみよっと。
あ、集まってるのがいたら見つけた傍からどんどん焼いちゃうからね。

もし単独行動してるなら、ウィザードミサイル撃ち込んでやるんだから。ついでに【誘惑】してみればホイホイ引っ掛かってくれないかな?

でも、相手の猫ちゃん拳法は厄介そうだよね……。
よーし、だったらこっちは先手必勝、七星七縛符で対抗しちゃおう。
相殺されちゃうんなら、初めから使わせなきゃ良いんだよね?動けなきゃ相殺しようもないだろうし……たぶん。
とりあえず、仲間との連携に繋げよう!


真守・有栖
つよい。くーる。あにまる。
強狼にして冷狼たる私のことね!

全く、分かってないわね?
くーるといえば、しるばー。
つまり銀狼たる私の色に決まってるじゃない!
銀か。黒か。はっきり決着をつけるわよ……!

もっちろん!くーるな狼たる私は冷静堂々と真っ向勝負よ!
ふふん。いっくら群れても孤狼を極めた私の敵じゃないわ!

(数分後)

ちょ、ちょーっと思ってたより多かったわね!?
ふ、ふん!なかなかやるじゃないの。褒めてあげるわ!

いいわ。その黒を称えて、私の銀を魅せてあげる……!

抜刀。瞬閃。
振るうは光刃。
迸る光の斬撃が飛び、隔てた敵をも一閃するわ!

此の場は全て、私の間合いよ。
刃狼の新たな刃は伊達じゃないわ。覚悟なさい……!



●西部エリア――アニマルズVS羊・狐・狼
「うーん、ここも、あそこも。きららが塗った事ある場所に似てるわね」
 キマイラフューチャーを模した街並みの空間であって、本来の街並みとは違うと判っていても。キララ・キララ(リトル・シープ・ウィズ・ビッグビート・f14752)は街並みを目で追ってしまっていた。
 街並みが似ているのもあるだろうが、キララが街をキャンパスに活動しているアーティストであるのも理由の内だろう。
「きらちゃんのグラフティも塗り潰されてるみたいで、かなしい……」
 キララが描いて来たものは、ありったけの願いと希望と情熱を込めたもの。
 もしもそれが塗り潰されていた――そう思うと、居ても立ってもいられない。
「わるい動物、逃がさないんだから!」
 何もない空中を足場に、キララが跳び回る。
「地上でぺたぺたしてるとは限らないし……きららもよく屋上とかに描くもん」
 キララがキャンパスに選ぶのは『絶対に描けない場所』だ。空間すべてを黒で塗り潰そうとする怪人達が意図的にそう言う場所を選ぶ事はないだろうが、そう言う場所も塗りに来るのは間違いない。
「それに、地上は2人に任せても大丈夫そうだしね!」
 少し弾んだ声でキララが言ったその眼下で。
 炎が迸った。

「うーん……こっちの方は、ひと塊になってるのあまりいないのかしら?」
 目立つところで集団で黒塗りしてる怪人が見当たらず、烏護・ハル(妖狐の陰陽師・f03121)が首を傾げる。
「単独行動してるのが多いんだとしたら、厄介だなぁ……集まってるのをどんどん焼いちゃう方が、やり易いのよね」
 ハルが長けているのは、陰陽道。
 集団を相手にする方が向いていると自覚している。
 とは言え、状況がそうも言っていられない以上、出来る事をやるだけだ。
「よし、とりあえず何か隠蔽工作してないか、その辺を狐火で薙ぎ払ってみよっか」
 ヒュボゥと。
 何もなかった空中に、幾つもの炎が生まれる。
 フォックスファイア――狐火を生み出す炎の業。
 ハルは28個からなる狐火を操り、そこに破魔の力を加えながら幾つかの大きな狐火にと合わせて――。
「燃えちゃえー!」
 建物が並ぶその隙間に、同時に狐火を放り込んだ。
 ゴゥと燃え盛った炎が細い道を迸り、その一体を炎で埋め尽くす。
 そして、炎が消えた後に――。
『な、何故……』
 真っ黒に焦げたアニマルズが、ふらふらとでてきて、ぽてりと倒れ臥した。
「……え、普通に燃えちゃったの? 隠蔽工作とかなかったの?」
 どうやらアニマルズにそんな技術はないとハルが確信したのは、破魔の力を加えない2発目の狐火を迸らせ、もう一体を焦んがり焼いた後だった。

「つよい。くーる。あにまる。それは、強狼にして冷狼たる私のことよ!」
 正に真っ黒に黒塗りしようとしていたアニマルズ数体の集団のその前に、真守・有栖(月喰の巫女・f15177)が自信を漲らせて立ちはだかった。
『……たいした自信だな?』
『俺たちゃ、つよくてクールなアニマルズだぞ!』
「全く、判ってないわね?」
 じろりと睨んできたアニマルズに、有栖は盛大に溜息を付いて、銀色の尾を見せ付けるようにゆらりと揺らす。
「くーるといえば、しるばー。つまり銀狼たる私の色に決まってるじゃない!」
 思わず目を瞬かせる、アニマルズ。
 狼アピールで来るかと思いきや、色ですか。銀色、確かに格好いいけど。
『何を言っている!』
『クールとは黒! ブラックだ!』
 アニマルズも、反論するのそこですかそうですか。
「いいでしょう。銀か。黒か。はっきり決着をつけるわよ……!」
『望むところだ』
 ぶつかる視線の火花を散らす、有栖とアニマルズ。
「いっくら群れても孤狼を極めた私の敵じゃないと、思い知るが良いわ!」
 そして、戦いが始まった。

 その頃――。
「みつけたぁ!」
 空中を跳び回っていたキララが、屋上で黒い筆を掲げる怪人の姿を眼下に捉えて喝采の声を上げる。
(「ううん――ほかの猟兵さんに連絡して、はさみうちにしたいけれど」)
 少し遠くで立ち昇る、火柱。多分、ハルだろう。
 有栖はさっき見たとき、大変そうだった。
「ここは、きららひとりでやるしかないわね!」
 くるっと空中で回転し、空を足場に怪人のいる屋上にキララが降り立つ。
『しまった! 見つかったか!』
 その音で気づいたか。黒い筆を抱えたカエル怪人は、ぎょっと驚きながらも筆を抱えたままカエルよろしくびょんびょんと跳んで逃げ出した。
「フフン。鬼ごっこは、きらら得意なのよう!」
 おにさんこちら、と逃げるのも。おにを追いかけるのも。
 今日は追いかける方。
 とんっとんっ。
 何もない空を足場に出来るキララと、屋根から屋根を跳躍するだけのカエル怪人。どちらがより自由に跳べるかは、明白だ。
『に、逃げ切れない? ならば少しでも黒くしてやる!』
「まっくろなんかやーよう? そんな事、きらがさせないんだからね!」
 カエルが苦し紛れに筆を構えれば、キララが取り出すのは虹色のスプレー缶。気分に合わせて様々な色が出る、上級者向けのカラースプレーである。
『ぜ、全然塗れないだと』
「虹色も全部混ぜあわせれば黒になるけど、これはちがうでしょ?」
 キララの虹色の方が早く塗られ、黒く塗る余地を一切与えない。アートの腕も、キララの方が明らかに上だった。

「あ、いたいた。ねえ、塗っていいよ?」
『――へ?』
 そんなハルの一言に、ネコさん怪人が目を丸くする。
『わ、罠だろう!』
「黒く塗ろうとしてるんでしょう? 私、黒好きなのよ。ほら」
 訝しむ怪人に、ほら、とハルが見せたのは黒マント。
 黒マントは自前だが、他の言葉は全て、油断を誘う為の誘惑だったりするのだが。
『なんだ、同志か』
 ネコさん、引っかかりました。
(「もう少し……もう少し」)
 ハルが先に準備して、近くに隠してある狐火で囲めるまで、あと少し。
 そこまで誘い出せれば、こっちのものだ。
 その時だった。
『ぐぇぇっ』
『ふぎゃっ!』
 ハルの目の前で、空から降ってきた虹色のカエル男が、ネコ怪人を押し潰したのは。
「え???」
「燃やしちゃってー!」
 驚くハルの上から響く、キララの声。
「良く判んないけど判ったわ! その状態なら、厄介そうなネコちゃん拳法とやらも使えない筈!」
『だ、騙したにゃー!』
「問答無用よ!」
 ハルの声で集まった狐火が、2体のアニマルズを包み込む。
 ゴウと燃え上がった炎が収まると、アニマルズ達は消滅していった。

 一方、その頃。
「ちょ、ちょーっと思ってたより多かったわね!?」
 有栖は、はっきり言って劣勢に追い込まれていた。
『銀か、黒かと言ってたな? 銀ならこっちもあるぜ! このドリルがな!』
 ああ、何と言うことだろう。敵にも銀はあったのだ。
「ふ、ふん! なかなかやるじゃないの。褒めてあげるわ!」
 大きく後ろに跳んで距離を取りつつ、有栖の瞳は力を、自信を失ってはいなかった。
「いいわ。その銀を称えて、私の銀と光を魅せてあげる……!」
 退がってからの、有栖のこの言葉は虚勢だろうか?
 アニマルズの目にはそう映っていた様で、嘲笑を向けているが――否。
「此の場は全て、私の間合いよ」
 有栖の腰にあるのは新たな刀。
 此処とは違う世界で、有栖の体躯に合わせて打たれた、やや小振りな一振り。
 銘を『月喰』と言う。
 その柄を、有栖が強く握り締める。
「刃狼の新たな刃は伊達じゃないわ。月を喰らう一太刀、覚悟なさい……!」
 抜刀した瞬間、光が溢れる。
 鞘走ったのは、使い手の断ち斬る意念を光と変える刃。
 それを振るう有栖の業は剣刃一閃。
 光刃、瞬閃。
 迸った光の一閃が、モグラの持つドリルも。それを持つモグラも。その後ろのアニマルズ全てを――切断していた。
「あなたたちも中々くーるだったけど、相手が悪かったわね!」
 本当はもう一太刀も放てるか怪しいくらい疲れ切ってるなんてのはおくびにも出さず、有栖は勝ち誇った笑みを浮かべていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月02日


挿絵イラスト